JP2002301099A

JP2002301099A - 使い捨てカイロ

Info

Publication number: JP2002301099A
Application number: JP2001109717A
Authority: JP
Inventors: Noriyasu Mizushima; 紀恭水島
Original assignee: SANPO KAGAKU KK
Current assignee: SANPO KAGAKU KK
Priority date: 2001-04-09
Filing date: 2001-04-09
Publication date: 2002-10-15

Abstract

(57)【要約】【課題】使用済みの使い捨てカイロを山野などに廃棄
したときの塩化ナトリウムによる土壌、河川の汚染問題
と、その内袋の堆積によるプラスチック廃棄物の問題と
を一挙に配設した使い捨てカイロを提供する。【解決手段】発熱性混合物中に混入せしめる塩類を、
カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などの非
ナトリウム系塩類を用い、該発熱性混合物２を封入する
通気性内袋として生分解性内袋１を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、使い捨てカイロに
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の使い捨てカイロは、鉄粉を主体と
し、これに酸化触媒として塩化ナトリウム、炭素粉、バ
ーミキュライト、木粉などの保温、空隙保持剤、水とを
夫々適当な配合量で添加、混合して成る発熱性混合物
を、通気性のある合成樹脂製フィルムから成る内袋に封
入して成り、これを外袋内に気密に包装して製品とした
ものであり、使用に当たり、外袋を破り内袋を取り出
し、いわゆるカイロとして使用されているが、その消費
量は、毎年極めてぼう大な量に達する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の使い捨てカイロ
は、使用後埋立地や山野などに大量に廃棄されている
が、その通気性内袋内の前記混合物中の塩化ナトリウム
が雨水などにより溶け出し、塩水となり、田畑や河川を
汚染する塩害問題をもたらす。一方、内袋は、化学的に
安定であるため、プラスチック廃棄物の堆積による自然
環境を汚染し、大きな社会問題を生じている。また、使
用済みの使い捨てカイロは、焼却処分が行われている
が、焼却に伴う有害ガスの発生による大気汚染などの環
境汚染の問題を生じている。従って、これらの問題を一
挙に解決することが望まれる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記従来の問
題を一挙に解決した使い捨てカイロを提供するもので、
鉄粉を主成分とし、これに、少なくとも酸化触媒として
塩類を混合して成る発熱性混合物を通気性内袋内に封入
して成る使い捨てカイロにおいて、該塩類は、非ナトリ
ウム系塩類であると共に該通気性内袋は、生分解性内袋
であることを特徴とする。また、上記の本発明の使い捨
てカイロにおいて、該非ナトリウム系塩類は、カリウム
塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩の群から選ばれた
少なくとも１種であると共に生分解性内袋は、生分解性
不織布、生分解性フィルム又はこれらのラミネートから
成ることが好ましい。

【０００５】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を詳述
する。本発明の使い捨てカイロは、発熱性混合物中の成
分として混合せしめる塩類として、従来の塩化ナトリウ
ムに代え、非ナトリウム系塩類を使用することと、該発
熱性混合物を封入する通気性内袋として生分解性内袋を
使用したことの組み合わせから成ることを特徴とする。
本発明の発熱性混合物は、一般に、鉄粉３０〜６５重量
％、非ナトリウム系塩類の粉末１．５〜６重量％、水１
５〜３０重量％、活性炭粉末５〜１５重量％、及びバー
ミキュライトや木粉などの多孔性保水剤の粉末６〜１５
重量％を配合し混合して成るものである。鉄粉として
は、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉又は金属鉄粉の単独又は
混合物から成る。非ナトリウム系塩類としては、カリウ
ム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩の群から少なく
とも１種を用いる。カリウム塩としては、リン酸二水素
カリウム、リン酸水素二カリウム、塩化カリウム、硫酸
カリウム、ケイ酸カリウム、重炭酸カリウム等の各種の
マグネシウム塩から少なくとも１種を選択使用し、特に
塩化カリウムが好ましい。また、カルシウム塩として
は、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシ
ウム等の各種のカルシウム塩から少なくとも１種を選択
使用し、また、マグネシウム塩としては、塩化マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マ
グネシウム、クエン酸マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、腐食酸マグネシウム等の各種のマグネシウム塩から
少なくとも１種を選択使用する。更にはまた、カリウム
塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩のうちからその互
いに異種の非ナトリウム塩類の２種又は３種を適宜選択
混合して使用するようにしてもよい。かくして、本発明
の非ナトリウム系塩類を含有する発熱性混合物は、これ
を通気性内袋内に封入したものは、カイロとして使用し
た場合、その非ナトリウム系塩類は、鉄粉の酸化触媒と
して作用し、所望の６０℃以上の有効発熱温度に１０時
間程度維持し、良好なカイロとして使用できるばかりで
なく、使用済みの使い捨てカイロを埋立地や山野に廃棄
しても、含有する塩類は非ナトリウム系塩類であるた
め、上記従来の塩害問題を解消することができ、安心し
て廃棄することができる。また、上記の各種の非ナトリ
ウム系塩類は、肥料や土壌改良材として有用であるの
で、例えば、使用済みの混合物を土壌と適当に混ぜて農
業用、家庭園芸用などにリサイクルすることもできる。

【０００６】本発明は、使用済みの使い捨てカイロを廃
棄した場合に、上記従来の塩害問題と同時に通気性内袋
による上記のプラスチック廃棄物の問題をも同時に解消
し、使い捨てカイロをそのまゝ埋立地や山野に安心して
廃棄し得る環境に易しい使い捨てカイロを提供したもの
で、発熱性混合物に含有せしめる塩類として非ナトリウ
ム系塩類を用いると同時に、該発熱性混合物を封入する
通気性内袋として生分解性素材により作られた生分解性
内袋を用いることを併せ特徴とする。

【０００７】生分解性内袋としては、下記する各種の生
分解性素材を用いこれを袋状としたものである。この場
合、袋の通気性を通気量が４．５リットル／分±０．５
リットル／分となる生分解性不織布や少なくとも片面に
針孔を配設した生分解性フィルム又はこれらのラミネー
トにより通気性袋状としたものである。生分解性素材と
しては、微生物のつくる高分子、植物、動物、海洋由来
の天然高分子、合成高分子から成る不織布又はフィルム
から適宜選択使用する。更に具体的には、例えば、木
綿、麻、ビスコースレーヨン、酢酸セルロースなどのセ
ルロース系の生分解性短繊維又は長繊維又はその混合繊
維をキトサンや澱粉などの天然高分子などの生分解性結
着剤により結着して成る不織布、ポリヒドロキシブチレ
ート、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサ
クシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペート、
ポリエチレンサクシネートカーボネート、ポリビニルア
ルコールなどの生分解性高分子のフィルム又は不織布、
或いはこれら生分解性のフィルム又は不織布のラミネー
トを用いる。これらの各種の生分解性素材シートから適
宜選択した生分解性素材を用い常法により内袋を連続製
造し、その各内袋内に所定量の本発明の非ナトリウム系
塩類を含有する発熱性混合物を収納封口して本発明の使
い捨てカイロを製造し、該使い捨てカイロを非通気性の
外袋に収容密封して貼れないタイプの製品として出荷す
る。貼るタイプの使い捨てカイロでは、その内袋の通気
性を有しない片面の素材シートの外面に粘着剤を塗布
し、その塗布面に剥離紙を仮貼着して成る使い捨てカイ
ロにすることは言うまでもない。

【０００８】かくして、本発明の使い捨てカイロは、使
用に当たり、その外袋を破り、着衣内に入れ、或いは人
体の所定の個所に直接貼って使用することは従来の使い
捨てカイロと変わりがなく、その有効発熱温度６０℃以
上を１０時間程度持続することができる。

【０００９】而して、本発明の使い捨てカイロは、上記
の構成であるから、使用済み後、そのまゝ埋立地や山野
に廃棄しても、経時的に雨水や太陽光に曝されて化学的
に分解することに加え、主として土壌に棲息する微生物
により粉々に分解されるので、従来のような分解せずに
プラスチック廃棄物として堆積し環境を汚染する問題が
解消されると共に、その内容物である発熱済みの混合物
は、非ナトリウム系を含まない、本来、肥料や土壌改良
材として使用される成分ばかりであるので、土壌や河川
を汚染することがなく、従来のような環境汚染の問題が
解消され、安心して廃棄処分することができ、従ってま
た、従来のように使い捨てカイロを焼却処分する必要が
なく、またこれに伴う煙害による大気汚染等の問題も解
消される。

【００１０】尚、本発明の使い捨てカイロとしては、そ
の内袋の両面全面を、茶色、緑色などの所望の色で着色
し、迷彩色の模様に印刷し、廃棄処分した場合にカムフ
ラージュされ目立たないようにしたものとすることが好
ましい。

【００１１】本発明の使い捨てカイロの具体的な実施の
１例を添付図面に基づいて説明する。図１は、本発明の
使い捨てカイロＡの平面図、図２はそのＩＩ−ＩＩ線裁
断面図を示す。該使い捨てカイロＡは、その片面に多数
の針孔から成る通気孔１ａ，１ａ，…を穿設し、通気量
４．５リットル／分±０．５リットル／分とした通気性
を付与した１００ｍｍ×１３５ｍｍの角形の生分解性内
袋１と該生分解性内袋１内に封入された発熱性混合物２
とから成る。該生分解性内袋１の素材は、レーヨンから
成る生分解性不織布１ｂとポリブチレンサクシート・ア
ジペートから成る生分解性フィルム１ｃとのラミネート
から成り、その２枚のラミネートをそのフィルム層１ｃ
を内側にしてその四周縁を重ね合わせ熱融着１ｄして該
発熱性混合物をその生分解性内袋１内に封入して使い捨
てカイロＡとしたものである。発熱性混合物２として
は、鉄粉５０重量％、塩化カリウム５重量％、活性炭１
５重量％、バーミキュライト５重量％の割合で配合し、
混合して成るものを調製し、この発熱性混合物５０ｇを
前記の該通気性内袋１に収納して本発明の使い捨てカイ
ロを作製した。図示の本発明の使い捨てカイロは、貼れ
ないタイプのもので、使用に当たり、着衣の内に収納し
て使用するものである。人体に貼着して使用するタイプ
を製造する場合は、その内袋の通気性のない片面に粘着
剤を全面に或いは部分的に点状又はストライプ状に塗布
して貼着面とし、その貼着面に剥離紙を仮貼着して成る
使い捨てカイロとして製造される。上記の使い捨てカイ
ロの使用済みのものを１００個野外に廃棄し、その生分
解性内袋の生分解状態を観察するべく１２ヶ月放置した
ところ、１００個ともその生分解度は１００％分解し、
殆ど跡形もなくなっていた。

【００１２】

【発明の効果】このように本発明の使い捨てカイロは、
発熱性混合物に混入せしめる塩類として、非ナトリウム
系の塩類、好ましくは、カリウム塩、カルシウム塩又は
マグネシウム塩の群から選択された１種又は２種以上を
混入せしめたものを使用する一方、この発熱性混合物を
封入する内袋として生分解性内袋を用いたので、使用済
みの使い捨てカイロをそのまゝ野外に廃棄しておくとき
は、従来のような塩化ナトリウムによる塩害による環境
汚染の問題が解消されるばかりでなく、内袋の堆積によ
るプラスチック廃棄物の問題も同時に一挙に解消され
る。従ってまた、従来のような焼却処分する煩わしい作
業を要しないと共に焼却による有害ガスの発生の大気汚
染の問題を解消できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施の１例の使い捨てカイロの平面
図。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線裁断面図。

【符号の説明】

Ａ本発明の使い捨てカイロ１生分解性内袋１ａ通気孔２発熱性混合物

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成１３年４月１７日（２００１．４．１
７）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００９

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００９】而して、本発明の使い捨てカイロは、上記
の構成であるから、使用済み後、そのまゝ埋立地や山野
に廃棄しても、経時的に雨水や太陽光に曝されて化学的
に分解することに加え、主として土壌に棲息する微生物
により粉々に分解されるので、従来のような分解せずに
プラスチック廃棄物として堆積し環境を汚染する問題が
解消されると共に、その内容物である発熱済みの混合物
は、ナトリウム系塩類を含まない、本来、肥料や土壌改
良材として使用される成分ばかりから成るので、土壌や
河川を汚染することがなく、従来のような環境汚染の問
題が解消され、安心して廃棄処分することができ、従っ
てまた、従来のように使い捨てカイロを焼却処分する必
要がなく、またこれに伴う煙害による大気汚染等の問題
も解消される。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】鉄粉を主成分とし、これに、少なくとも
酸化触媒として塩類を混合して成る発熱性混合物を通気
性内袋内に封入して成る使い捨てカイロにおいて、該塩
類は、非ナトリウム系塩類であると共に該通気性内袋
は、生分解性内袋であることを特徴とする使い捨てカイ
ロ。
【請求項２】該非ナトリウム系塩類は、カリウム塩、
カルシウム塩及びマグネシウム塩の群から選ばれた少な
くとも１種であると共に生分解性内袋は、生分解性不織
布、生分解性フィルム又はこれらのラミネートから成る
請求項１に記載の使い捨てカイロ。