JP2002296837A - トナーの製造方法 - Google Patents

トナーの製造方法

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JP2002296837A JP2001099337A JP2001099337A JP2002296837A JP 2002296837 A JP2002296837 A JP 2002296837A JP 2001099337 A JP2001099337 A JP 2001099337A JP 2001099337 A JP2001099337 A JP 2001099337A JP 2002296837 A JP2002296837 A JP 2002296837A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】第2混練工程時に加えられる添加剤を含むすべ
ての添加剤を、より効果的に、より十分に、しかもより
均一に分散することができるようにする。 【解決手段】トナー製造方法は、結着樹脂と着色剤と
を含有した原料混合物を連続式2本ロール型混練機によ
り第1混練温度で加熱しながら混練する第1混練工程
と、この第1混練工程で得られた第1混練物を、少なく
とも結着樹脂と同種または異種の結着樹脂と離型剤
や電荷制御剤等の添加剤とを加えて希釈混合するととも
に、連続式2本ロール型混練機により第2混練温度で加
熱しながら希釈混練する第2混練工程とからなる。この
とき、第1および第2混練工程時の第1および第2混練
温度は、第1混練温度<第2混練温度に設定されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真装置や静
電印刷装置等の画像形成装置に用いられるトナーの製造
方法の技術分野に属し、特に、少なくとも結着樹脂と着
色剤とを混合した原料混合物を溶融混練してマスターバ
ッチを作製する第1混練工程と、第1混練工程で混練さ
れた混練物を希釈混練して希釈混練物を作製する第2混
練工程とからなるトナーの製造方法の技術分野に属す
る。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置や静電印刷装置等の画像形
成装置に用いられているトナーの製造方法として、粉砕
法がある。また、この粉砕法によりトナーを製造する従
来のトナーの製造方法として、少なくとも結着樹脂およ
び着色剤を混合した原料混合物を溶融混練する第1混練
工程と、第1混練工程で混練された混練物を希釈混練す
る第2混練工程とからなるマスターバッチ法によるトナ
ーの製造方法がある。
【0003】このトナーの製造方法においては、第1混
練工程で結着樹脂および各種着色剤等の原料を混合する
とともにこの混合物を混練機によって温度をかけながら
圧縮力およびせん断力を付与することにより溶融混練
し、次いで、第2混練工程で、第1混練工程で得られた
混練物に希釈用結着樹脂と離型剤や電荷制御剤等の他の
添加剤を添加して希釈混合するとともに希釈混練し、次
いでこの溶融混練物を冷却して固化するとともにこの固
化物を粉砕装置によって適当な粒径に粉砕し、更にこの
粉砕された粉砕物を分級機によって分級してトナーがそ
の性能を十分発揮できるように粒子径をそろえた後、適
宜の外添剤をトナー粒子に付与してトナーを製造する方
法である。
【0004】ところで、トナーの性能に関する要素とし
て、着色力、透過性、および帯電性があるが、これらは
着色剤の選択や着色剤の含量によって左右されるが、こ
ればかりではなく、トナー粒子内における着色剤の分散
具合によっても大きく左右される。
【0005】そこで、トナー粒子内における着色剤の分
散をより向上させるトナーの製造方法が、例えば特許第
2993624号公報および特許第3010326号公
報等により提案されている。これらの特許公報に開示さ
れているトナーの製造方法は、前述の第1混練工程にお
いて連続式2本ロール型混練機を用いている。すなわ
ち、これらのトナーの製造方法では、連続式2本ロール
型混練機の2本のロールの一端側に投入された原料が2
本のロール間の間隙部で温度をかけられながら、急激な
圧縮力およびせん断力が与えられることで発熱して溶融
し、ロール表面に付着する。そして、この溶融混練物が
ロール表面に付着した状態でロール間隙部で圧縮、せん
断を繰り返し受けて混練されながらロールの他端側の混
練物排出部側へ移送され、この混練物排出部から排出さ
れる。
【0006】これらの特許公報開示のトナーの製造方法
では、連続式2本ロール型混練機のロール間隙部で結着
樹脂および着色剤が圧縮、せん断を繰り返し受けること
で従来の他の混練機に比べてより分散した状態となるの
で、得られるトナーは前述の性能をより確実に発揮する
ことができるようになる。
【0007】このような連続式2本ロール型混練機を用
いた他のトナーの製造方法として、連続式2本ロール型
混練機であるオープンロール型連続混練機を用いて、前
述の第1および第2混練工程を一工程で行うことが、例
えば特開2000−75543号公報あるいは特開20
00−75548号公報により提案されている。これら
の公開公報に開示されているトナーの製造方法では、オ
ープンロール型連続混練機により、結着樹脂に着色剤や
離型剤や電荷制御剤等の添加剤を添加した混練を一工程
で一括して行っている。このオープンロール型連続混練
機により、トナーのすべての混練物がロール間隙部で圧
縮、せん断を繰り返し受けることで従来の他の混練機に
比べて分散するので、得られるトナーは前述の性能をよ
り確実に発揮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トナーの性
能は、前述のような着色剤の分散具合のみならず、トナ
ー粒子中の他の各種原料の分散具合によっても左右され
る。しかも、粉砕法によるトナー製造方法では、トナー
粒子中のこれらの原料の分散状態は混合工程および混練
工程によってほぼ決まる。
【0009】しかしながら、前述の各特許公報に開示さ
れているトナーの製造方法では、第1混練工程の溶融混
練に連続式2本ロール型混練機を用いているため、着色
剤の分散は向上できるものの、ワックス等の離型剤や電
荷制御剤等の添加剤は効果的にかつ十分に、しかも均一
に分散されない。このため、前述の各特許公報開示のト
ナーの製造方法で製造されたトナーでは前述の性能が十
分に発揮されるとは必ずしも言えない。
【0010】しかも、ワックスについては、その配合量
が増加するにつれて分散が悪化するようになるので、製
造時における粉砕性が悪化してしまうばかりでなく、感
光体やトナー規制ブレード等におけるフィルミングの発
生等の問題が生じてしまう。
【0011】また、前述の各公開公報に開示されている
トナーの製造方法では、結着樹脂、着色剤、およびワッ
クス等の離型剤や電荷制御剤等の添加剤の各原料を一括
して混練しているので、各原料の分散を効果的にかつ十
分に分散することは難しい。
【0012】更に、マスターバッチ法によるトナー製造
方法では、第1混練工程と第2混練工程との2工程から
なるため、生産性があまり高くない。しかし、マスター
バッチ法によるトナー製造方法においても、生産性はで
きるだけ向上することが望ましい。
【0013】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、第2混練工程時に加えられ
る添加剤を含むすべての添加剤を、より効果的に、より
十分に、しかもより均一に分散することができるトナー
の製造方法を提供することである。本発明の他の目的
は、ワックス等の離型剤を増加させても、製造時におけ
る粉砕性が悪化するのを抑制でき、しかも前述のフィル
ミングの発生を防止できるトナーの製造方法を提供する
ことである。本発明の更に他の目的は、生産性をより向
上することのできるトナーの製造方法を提供することで
ある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、請求項1の発明のトナーの製造法は、少なくとも結
着樹脂と着色剤とを含有した原料混合物を溶融混練する
第1混練工程と、該第1混練工程で得られた混練物と、
少なくとも前記結着樹脂と同種または異種の結着樹脂
と、離型剤や電荷制御剤等の添加剤とを加えて希釈混合
し、該希釈混合物を溶融混練する第2混練工程とを有す
るトナーの製造方法において、前記第1、第2混練工程
ともに連続式2本ロール型混練機を用いていることを特
徴としている。
【0015】また、請求項2の発明は、前記第1、第2
混練工程時の前記第1、第2混練温度の関係が、 第1混練温度<第2混練温度 に設定していることを特徴としている。更に、請求項3
の発明は、前記混練機のロール温度(ロール内の媒体の
設定温度)が、原料供給側と混練物排出側とについて、
異なる温度設定が可能であることを特徴としている。
【0016】更に、請求項4の発明は、前記混練機の前
ロール(高回転側ロール)の原料投入側の設定温度TRf
と混練物排出側の設定温度TRe(ともにロール内の媒体
の設定温度)の関係が、 TRf > TRe であることを特徴としている。更に、請求項5の発明
は、前記第2混練工程にて添加する離型剤が、融点10
0℃以下のワックスであることを特徴としている。
【0017】
【作用】このように構成された本発明のトナーの製造方
法においては、第1混練工程において連続式2本ロール
型混練機により少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し
た原料混合物が混練されて第1混練物であるマスターバ
ッチが得られるとともに、このマスターバッチに、希釈
用の結着樹脂、ワックス等の離型剤、電荷制御剤、およ
びその他の適宜の添加剤とが加えられて希釈混合され、
この希釈混合物が第2混練工程において連続式2本ロー
ル型混練機により希釈混練されるので、すべての添加剤
がより効果的にかつより十分に、しかもより均一に分散
される。また、第2混練工程でマスターバッチも連続式
2本ロール型混練機によって一緒に混練されるが、マス
ターバッチ内の着色剤は第1混練工程で連続式2本ロー
ル型混練機により一度溶融混練されて分散されているの
で、更に効果的かつ十分に分散されるようになる。
【0018】こうして、本発明のトナーの製造方法にお
いては、結着樹脂中に、着色剤、ワックスや電荷制御剤
等の添加剤が効果的にかつ十分に、しかも均一に分散で
きるので、トナーの性能に関する要素である、前述の着
色力、透過性、および帯電性がいずれも効果的に向上し
たトナーが製造されるようになる。
【0019】更に、第1、第2混練工程とも、オープン
ロール型連続式混練機が用いられることにより、混練機
が開放系となって混練物が空冷されるので、各混練物の
温度上昇が抑制され、混練物の粘度低下を極力抑えるこ
とが可能になる。これにより、特に、第2混練工程で加
えられた希釈用樹脂と添加剤とに、それらの低温を維持
しながら混練することで効果的にせん断力がかけられる
ので、低融点ワックス等の低融点の添加剤が用いられて
もその低融点添加剤の熱的ダメージが防止され、その物
性値の変化が抑制されるようになる。
【0020】したがって、所望の物性値のトナーの設計
が容易になるとともに、低温定着やオイルレス定着に確
実にかつ十分に対応可能となる。こうして、着色剤のみ
ならず、離型剤や電荷制御剤等の添加剤の分散が優れた
トナーが製造されるようになる。
【0021】そして、このように添加剤の分散性がより
高くなることによって、透明性、現像機内等での耐久性
(耐フィルミング性等)を飛躍的に向上させることが可
能となる。特に、低融点ワックス等の低融点の添加剤の
配合量が増加されても、この添加剤の分散がより十分に
かつより均一に行われるので、製造時での粉砕性が向上
するとともに、感光体やトナー規制ブレード等における
フィルミングの発生が抑制されるようになる。
【0022】また、オープンロール型連続式混練機は、
原料の投入口および取出口で最もせん断力がかかるた
め、混練を第1、第2混練工程の2段階にすることによ
って、一括混練より更なる高分散化が可能になる。
【0023】特に、請求項2の発明においては、第2混
練工程時の第2混練温度が第1混練工程時の第1混練温
度より高く設定されるので、第1混練工程では原料混合
物の温度があまり上昇しなく、原料混合物の粘度が高く
設定されて大きなせん断力が付与される。これにより、
着色剤の分散が高いマスターバッチが作製される。ま
た、第2混練工程では、希釈混合物の温度が比較的高温
に上昇するので、第1混練工程時よりも混練物の移送性
が高くなって生産性が向上しつつ、着色剤の再凝集が防
止されて、添加した離型剤や電荷制御剤等の分散性も高
めることが可能となる。
【0024】また、請求項3の発明においては、原料供
給側のロール温度(ロール内の媒体の設定温度)が混練
物排出側のロール温度(ロール内の媒体の設定温度)と
異なる温度に設定可能となる。これにより、せん断力が
原料供給側と混練物排出側とで異なるように設定される
ことで、着色剤や離型剤等の添加剤の分散向上がより効
果的に達成されるようになる。
【0025】特に、請求項4の発明においては、前ロー
ルの混練物排出側の設定温度TReが原料供給側の設定温
度TRfより低く設定される、これにより、混練物排出側
で高いせん断力が混練物にかけられるようになり、着色
剤や離型剤等の添加剤の分散向上がより効果的に達成さ
れるとともに、結着樹脂の分子量の低分子量側への拡大
や、強混練による混練応力の蓄積およびフィラー効果等
による粘度の調整によって、定着特性の向上(より広い
非オフセット域の確保)を可能にする。
【0026】更に、請求項5の発明においては、第2混
練工程にて融点100℃以下のワックスが離型剤として
添加されるようになる。これにより、添加剤の分散向上
により耐久性が確保された上で、定着特性(低温定着お
よびオイルレス定着)の向上、グロス設計の両立が可能
となる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いて、本発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明に係るトナ
ーの製造方法の実施の形態の一例を示すフローを示す図
である。この例のトナーの製造方法では、後述するよう
に第1、第2混練工程でそれぞれ連続式2本ロール型混
練機を用いているが、各製造工程で使用される他の設備
はいずれも従来のトナー製造方法で使用されている公知
の設備を用いることができる。以下、この例のトナーの
製造方法について具体的に説明する。
【0028】図1に示すように、この例のトナーの製造
方法では、ステップS1で原料混合工程が行われる。こ
の原料混合工程では、後述する混練機に投入する投入材
料のための原料混合物が作製される。投入材料として
は、結着樹脂、着色剤、およびその他の材料が用いら
れる。
【0029】原料混合物の結着樹脂、着色剤、および
他の原料は、例えば、前述の各特許公報および各公開公
報に記載されているものを始め、従来のトナー製造方法
に用いられている公知の結着樹脂、着色剤、および他の
原料と同じものを用いることができる。その場合、結着
樹脂は単一の樹脂でもよいし、あるいは複数の樹脂の
組合でもよい。そして、結着樹脂と着色剤とは所定の
割合(例えば、結着樹脂:着色剤=7:3)に設定さ
れている。
【0030】次に、ステップS2で連続式2本ロール型
混練機を用いて混練工程(第1混練工程)が行われる。
この第1混練工程では、少なくとも結着樹脂および着
色剤を含む原料を混合した原料混合物を溶融混練するこ
とにより、第1混練物(マスターバッチ)が作製され
る。図2(a)および(b)に示すように、連続式2本
ロール型混練機1は、互いに所定のギャップ間距離を置
いて配置された前ロール2と後ロール3とを備え、両ロ
ール2,3が外部に露出したオープンロールに形成され
る。そして、両ロール2,3の図において左端部に、図
示しないフィーダーによって原料混合物が投入される原
料混合物投入部1aが設けられているとともに、前ロー
ル2の右端部に第1混練物(マスターバッチ)排出部1
bが設けられている。
【0031】前ロール2は、その内部が中空状になって
いるとともに、この内部がその軸方向中央で原料混合物
投入部1a側の左側内部室2aと第1混練物排出部1b
側の右側内部室2bとに区画されている。そして、左側
内部室2a内に加熱された油、温水などの熱媒体が循環
しながら導入されることで、この左側内部室2aに対応
する前ロール2の表面に付着した原料混合物をこの熱媒
体によって設定温度で加熱できるようになっている。ま
た、右側内部室2b内に温度調節した油、水などの媒体
が循環しながら導入されることで、この右側内部室2b
に対応する前ロール2の表面に付着した混練物はこの媒
体によって温度調節され固化するようになっている。
【0032】一方、後ロール3も、その内部が中空状に
なっているとともに、この内部がその軸方向中央で原料
混合物投入部1a側(供給側)の左側内部室3aと第1
混練物排出部1b側(排出側)の右側内部室3bとに区
画されている。そして、左、右側内部室3a,3b内に
それぞれチラー水等の温度調節用冷媒体が循環しながら
導入されることで、混練時の混練物の混練温度が調節さ
れるようになっている。すなわち、ロール温度設定は
前、後ロール2,3のそれぞれの供給側と排出側とでそ
れぞれ2分割で行われ、結局、4ヶ所のロール温度が設
定可能となっている。なお、後ロール3は2つの室に区
画されずに単一の室に形成して、この室にチラー水等の
温度調節用媒体を循環しながら導入するようにすること
もできる。
【0033】また、この例の連続式2本ロール型混練機
1では、図示しないが、両ロール2,3のうち、少なく
とも後ロール3の表面に混練物を第1混練物排出部1b
の方へ移送するための螺旋溝等の移送用溝が形成されて
いる。もちろん、場合によってはこの移送用溝は両ロー
ル2,3のいずれにも設けることもできるし、また必ず
しも設ける必要もない。
【0034】このように構成された連続式2本ロール型
混練機1においては、前、後ロール2,3を図2(b)
に矢印で示す方向に回転させる。その場合、前ロール2
の回転数が後ロール3の回転数より大きく設定されてい
る。また、前ロール2の左、右側内部室2a,2b内に
それぞれ熱媒体を循環導入するとともに、後ロール3の
左、右側内部室3a,3b内に温度調節用媒体を循環導
入することで、前、後ロール2,3の各原料投入(供
給)側(各左側内部室2a,3a部分)の温度および
前、後ロール2,3の各第1混練物排出側(各右側内部
室2b,3b側部分)の温度をそれぞれの設定温度に設
定する。
【0035】その場合、前ロール2の前ロール2の第1
混練物排出側の設定温度TReが原料投入(供給)側の設
定温度TRfより低くなるように設定されている(TRf
Re;ともにロール内の媒体の設定温度)。また、前ロ
ール2の両側の設定温度がいずれも後ロール3の両側の
設定温度より高くなるように設定される。この状態で、
原料混合物投入部1aから前述の原料混合物を投入す
る。
【0036】すると、この原料混合物は、後ロール3の
原料供給側の設定温度で温度調節つつ前ロール2の原料
供給側の設定温度で加熱されながら、両ロール2,3の
回転に伴って混練されるとともにこの混練物が両ロール
2,3間の間隙部で圧縮力およびせん断力が与えられて
発熱することで溶融して前ロール2のロール表面に付着
する。特に、原料混合物投入部1a付近では、この原料
混合物投入部1aから投入された原料混合物が比較的低
温であるため、この原料混合物に比較的大きなせん断力
が付与される。そして、原料混合物はロール表面に付着
した状態でロール間隙部において繰り返し圧縮、せん断
を受けて溶融混練されながら前ロール2の他端側の第1
混練物排出部1bの方へ移送される。このとき、溶融混
練されながら移送される溶融混練物は空冷されるので、
高温になることはない。
【0037】前ロール2のロール表面に付着した溶融混
練物が前ロール2の右側内部室2bに対応するロール表
面に来ると、この溶融混練物は、後ロール3の第1混練
物排出側の設定温度で温度調節つつ前ロール2の第1混
練物排出側の設定温度で調節されて固化する。このと
き、第1混練物排出部1b付近でも、溶融混練物が比較
的低温であるため、この溶融混練物に比較的大きなせん
断力が付与される。前ロール2のロール表面に固化した
溶融混練物は第1混練物排出部1bの位置に来ると、従
来と同様に図示しないカッターでカットされて、第1混
練物(マスターバッチ)として第1混練物排出部1bか
ら排出される。
【0038】次に、ステップS3で粗粉砕工程が行われ
る。この粗粉砕工程では、第1混練物排出部1bから排
出された第1混練物(マスターバッチ)を粗粉砕して、
第1混練物(マスターバッチ)粗砕物を作る。この粗粉
砕工程は必要に応じて実行され、場合によっては省略さ
れる。次いで、ステップS4で希釈混合(調合)工程が
行われる。この希釈混合工程では、後述する混練機に投
入する投入材料のための希釈混合物が作製される。投入
材料としては、希釈用の結着樹脂、第1混練物(粗砕
物)、離型剤、電荷制御剤(CCA)等の添加剤が用い
られる。
【0039】希釈混合物の結着樹脂、離型剤、電荷制
御剤等の添加剤は、例えば、前述の各特許公報および各
公開公報に記載されているものを始め、従来のトナー製
造方法に用いられている公知の結着樹脂、離型剤、電荷
制御剤等の添加剤と同じものを用いることができる。こ
のとき、結着樹脂は前述の結着樹脂と同種または異
種のいずれの結着樹脂でもよく、また単一の樹脂でもよ
いし、あるいは複数の樹脂の組合でもよい。更に、離型
剤は、単一の離型剤の材料でもよいし、あるいは複数の
離型剤の材料の組合でもよいが、特に低融点ワックスが
好ましく、なかでも融点100℃以下のワックスが最適
である。更に、電荷制御剤も単一の電荷制御剤の材料で
もよいし、あるいは複数の電荷制御剤の材料の組合でも
よい
【0040】次に、ステップS5で連続式2本ロール型
混練機を用いて希釈混練(第2混練)工程が行われる。
この第2混練工程では、結着樹脂、第1混練物、ワッ
クス等の離型剤および電荷制御剤等の添加剤を混合した
希釈混合物を溶融混練することにより、第2混練物(希
釈混練物)が作製される。図3(a)および(b)に示
すように、連続式2本ロール型混練機1′は、互いに所
定のギャップ間距離を置いて配置された前ロール2′と
後ロール3′とを備え、両ロール2′,3′が外部に露
出したオープンロールに形成される。そして、両ロール
2′,3′の図において左端部に第1混練物の希釈混合
物投入(供給)部1′aが設けられているとともに、前
ロール2′の右端部に第2混練物(希釈混練物)排出部
1′bが設けられている。第1混練物の希釈混合物投入
部1′aからは、図示しないフィーダーによって前述の
第1混練物の希釈混合物、すなわち、第1混練物、結着
樹脂、離型剤、電荷制御剤(CCA)、およびその他
適宜の添加剤が投入されるようになっている。その場
合、第1混練物と結着樹脂とは所定の割合(例えば、
第1混練物:結着樹脂=2:10)に設定されてい
る。
【0041】この前ロール2′も、その内部が中空状に
なっているとともに、この内部がその軸方向中央で第1
混練物の希釈混合物投入部1′a側の左側内部室2′a
と第2混練物排出部1′b側の右側内部室2′bとに区
画されている。そして、左側内部室2′a内に加熱され
た油、温水などの熱媒体が循環しながら導入されること
で、この左側内部室2′aに対応する前ロール2′の表
面に付着した希釈混合物をこの熱媒体によって設定温度
で加熱できるようになっている。また、右側内部室2′
b内に温度調節した油、水などの媒体が循環しながら導
入されることで、この右側内部室2′bに対応する前ロ
ール2′の表面に付着した混練物はこの媒体によって温
度調節され固化するようになっている。
【0042】一方、後ロール3′も、その内部が中空状
になっているとともに、この内部がその軸方向中央で第
1混練物の希釈混合物投入部1′a側の左側内部室3′
aと第2混練物排出部1′b側の右側内部室3′bとに
区画されている。そして、左、右側内部室3′a,3′
b内にそれぞれチラー水等の温度調節用冷媒体が循環し
ながら導入されることで、混練時の混練物の混練温度が
調節されるようになっている。
【0043】なお、後ロール3′は2つの室に区画され
ずに単一の室に形成して、この室にチラー水等の温度調
節用媒体を循環しながら導入するようにすることもでき
る。また、この例の連続式2本ロール型混練機1′で
は、図示しないが、両ロール2′,3′のうち、少なく
とも後ロール3′の表面に混練物を希釈混練物排出部
1′bの方へ移送するための螺旋溝等の移送用溝が形成
されている。もちろん、場合によってはこの移送用溝は
両ロール2′,3′のいずれにも設けることができる
し、またいずれにも必ずしも設ける必要はない。
【0044】このように構成された連続式2本ロール型
混練機1′においては、前、後ロール2′,3′を図3
(b)に矢印で示す方向に回転させる。その場合、前ロ
ール2′の回転数が後ロール3′の回転数より大きく設
定されている。また、前ロール2′の左、右側内部室
2′a,2′b内にそれぞれ熱媒体を循環導入するとと
もに、後ロール3′の左、右側内部室3′a,3′b内
に温度調節用媒体を循環導入することで、前、後ロール
2′,3′の各希釈混合物投入(供給)側(各左側内部
室2′a,3′a側部分)の温度および前、後ロール
2′,3′の各第2混練物排出側(各右側内部室2′b,
3′b側部分)の温度をそれぞれの設定温度に設定す
る。その場合、前ロール2′の第2混練物排出側の設定
温度T′Reが前ロール2′の希釈混合物投入(供給)側
の設定温度T′Rfより低くなるように設定されている
(T′Rf>T′Re)。しかも、前ロール2′の第2混練
物排出側の設定温度T′Reが、前述の第1混練工程にお
ける前ロール2の第1混練物排出側の設定温度TReより
高く設定されている。
【0045】また、前ロール2′の両側の設定温度がい
ずれも後ロール3′の両側の設定温度より高くなるよう
に設定されている。
【0046】したがって、第2混練工程における第2混
練温度が第1混練工程における第1混練温度より高く設
定されている(第1混練温度<第2混練温度)。これら
の第1、第2混練温度は、それぞれ、前ロール2,2′
の排出側の設定温度(実際には、ロール内の媒体の設定
温度)であり、特に、前ロール2,2′の排出側の温度
をこのように設定することが、後述する本発明の効果を
得るために支配的になる。
【0047】この状態で、第1混練物の希釈混合物投入
部1′aから前述の第1混練物の希釈混合物を投入す
る。すると、この希釈混合物は、後ロール3′の希釈混
合物供給側の設定温度で温度調節つつ前ロール2′の希
釈混合物供給側の設定温度で加熱されながら、両ロール
2′,3′の回転に伴って混練されるとともにこの混練
物が両ロール2′,3′間の間隙部で圧縮力およびせん
断力が与えられて発熱することで溶融して前ロール2′
のロール表面に付着する。特に、希釈混合物投入部1′
a付近では、この希釈混合物投入部1′aから投入され
た希釈混合物が比較的低温であるため、この希釈混合物
に比較的大きなせん断力が付与される。そして、希釈混
合物はロール表面に付着した状態でロール間隙部におい
て繰り返し圧縮、せん断を受けて溶融混練されながら前
ロール2′の他端側の第2混練物排出部1′bの方へ移
送される。このとき、溶融混練されながら移送される溶
融混練物は空冷されるので、高温になることはない。
【0048】前ロール2′のロール表面に付着した溶融
混練物が前ロール2′の右側内部室2′bに対応するロ
ール表面に来ると、この溶融混練物は、後ロール3′の
混練物排出側の設定温度で温度調節つつ前ロール2′の
混練物排出側の設定温度で調節されて固化する。このと
き、第2混練物排出部1′b付近でも、溶融混練物が比
較的低温であるため、この溶融混練物に比較的大きなせ
ん断力が付与される。前ロール2′のロール表面に固化
した溶融混練物は第2混練物排出部1′bの位置に来る
と、従来と同様に図示しないカッターでカットされて、
第2混練物排出部1′bから排出される。
【0049】これ以降は、従来の粉砕法によるトナー製
造方法と同様に、ステップS6で粉砕装置によって適当
な粒径に粉砕(微粉砕)し、この微粉砕された微粉砕物
が、更にステップS7で分級機によって分級されてトナ
ーがその性能を十分発揮できるように粒子径をそろえら
れた後、ステップS8でシリカ、酸化チタン等の適宜の
外添剤がトナー粒子に添加される。その後、必要に応じ
て「篩い」を実施して、ステップS9でトナーが製品と
して製造される。
【0050】この例のトナーの製造方法によれば、第1
混練工程での連続式2本ロール型混練機1および第2混
練工程での連続式2本ロール型混練機1′により2段で
混練しているので、すべての添加剤を効果的にかつ十分
に、しかも均一に分散できる。特に、着色剤は第1混練
工程で連続式2本ロール型混練機1により一度溶融混練
されて分散されているので、更に効果的かつ十分に分散
できるようになる。
【0051】こうして、着色剤、ワックス等の離型剤や
電荷制御剤等の添加剤を効果的にかつ十分に、しかも均
一に分散できるので、トナーの性能に関する要素であ
る、前述の着色力、透過性、および帯電性がいずれも効
果的に向上したトナーを製造できるようになる。
【0052】更に、第1、第2混練工程とも、オープン
ロール型連続式混練機1,1′を用いて混練物を空冷す
ることにより、各混練物の温度上昇を抑制でき、混練物
の粘度低下を極力抑えることが可能になる。特に、第2
混練工程で加えられた希釈用樹脂と添加剤とに、それら
の低温を維持しながら混練することで効果的にせん断力
をかけるようにしているので、低融点ワックス等の低融
点の添加剤を用いてもその低融点添加剤の熱的ダメージ
を防止でき、その物性値の変化を抑制できる。したがっ
て、所望の物性値のトナーの設計が容易になるととも
に、低温定着やオイルレス定着に確実にかつ十分に対応
可能となる。こうして、着色剤のみならず、離型剤や電
荷制御剤等の添加剤の分散が優れたトナーを製造できる
ようになる。
【0053】そして、このように添加剤の分散性をより
高くできることによって、透明性、現像機内等での耐久
性(耐フィルミング性等)を飛躍的に向上させることが
可能となる。特に、低融点ワックス等の低融点の添加剤
の配合量を増加しても、この添加剤の分散をより十分に
かつより均一に行うことができるので、製造時での粉砕
性を向上できるとともに、感光体やトナー規制ブレード
等におけるフィルミングの発生を抑制できるようにな
る。
【0054】また、オープンロール型連続式混練機1,
1′は、原料の投入口および取出口で最もせん断力がか
かるため、混練を第1、第2混練工程の2段階にするこ
とによって、一括混練より更なる高分散化が可能にな
る。
【0055】更に、第2混練工程時の第2混練温度を第
1混練工程時の第1混練温度より高く設定しているの
で、第1混練工程では原料混合物の温度をあまり上昇さ
せないで原料混合物の粘度を高く設定でき、原料混合物
に大きなせん断力を付与できる。これにより、第1混練
工程では、着色剤の分散が高いマスターバッチを作製で
きる。また、第2混練工程では、希釈混合物の温度を比
較的高温に上昇させているので、第1混練工程時よりも
混練物の移送性が高くなって生産性を向上できるように
しつつ、着色剤の再凝集を防止して、添加した離型剤や
電荷制御剤等の分散性も高めることが可能となる。
【0056】更に、前ロール2,2′の混練物排出側の
設定温度TRe,T′Reを原料供給側の設定温度TRf,T′
Rfより低く設定しているので、混練物排出側で高いせん
断力を混練物にかけることができ、着色剤や離型剤等の
添加剤の分散向上をより効果的に達成できるとともに、
結着樹脂の分子量の低分子量側への拡大や、強混練によ
る混練応力の蓄積およびフィラー効果等による粘度の調
整によって、定着特性の向上(より広い非オフセット域
の確保)が可能になる。
【0057】更に、第2混練工程にて特に融点100℃
以下のワックスを離型剤として添加することにより、添
加剤の分散向上により耐久性を確保した上で、定着特性
(低温定着およびオイルレス定着)の向上、グロス設計
の両立を図ることが可能となる。
【0058】次に、実際に本発明に属する実施例1およ
び2と本発明に属さない比較例1および2とをそれぞれ
作製し、それらの評価試験を行った。まず、実施例1
は、第1混練工程に用いた投入材料が、結着樹脂とし
てビスフェノール/フタル酸系ポリエステル樹脂60重
量部、着色剤としてキナクリドン顔料40重量部であ
る。また、第2混練工程に用いた投入材料が、結着樹脂
としてビスフェノール/フタル酸系ポリエステル樹脂
100重量部、第1混練物(マスターバッチ)15重量
部、荷電制御剤としてサリチル酸金属錯体2重量部、離
型剤としてカルナバワックス6重量部である。更に、実
施例1を作製する際に設定した第1および第2混練工程
における連続式2本ロール型混練機1,1′のそれぞれ
の設定条件を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に示すように、実施例1では、第1混
練工程における連続式2本ロール型混練機1の前ロール
2の原料供給側の温度を35℃、前ロール2の第1混練
物排出側の温度を25℃、後ロール3の原料供給側の温
度を15℃、後ロール3の第1混練物排出側の温度を1
5℃、前ロール2の回転数を75rpm、後ロール2の
回転数を60rpm、およびロール間ギャップを0.3
mm、第2混練工程における連続式2本ロール型混練機
1′の前ロール2′の原料供給側の温度を45℃、前ロ
ール2′の第2混練物排出側の温度を35℃、後ロール
3′の原料供給側の温度を20℃、後ロール3′の第2
混練物排出側の温度を20℃、前ロール2′の回転数を
75rpm、後ロール2′の回転数を60rpm、およ
びロール間ギャップを0.3mmにそれぞれ設定した。
【0061】また、実施例2は、第1混練工程に用いた
投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フタル
酸系ポリエステル樹脂70重量部、着色剤としてキナク
リドン顔料30重量部である。また、第2混練工程に用
いた投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フ
タル酸系ポリエステル樹脂100重量部、第1混練物
(マスターバッチ)20重量部、荷電制御剤としてサリ
チル酸金属錯体2重量部、離型剤としてポリオレフィン
ワックス(融点約120℃)5重量部である。更に、実
施例2を作製する際に設定した第1および第2混練工程
における連続式2本ロール型混練機1,1′のそれぞれ
の設定条件を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】表2に示すように、実施例2では、第1混
練工程における連続式2本ロール型混練機1の前ロール
2の原料供給側の温度を35℃、前ロール2の第1混練
物排出側の温度を25℃、後ロール3の原料供給側の温
度を15℃、後ロール3の第1混練物排出側の温度を1
0℃、前ロール2の回転数を75rpm、後ロール2の
回転数を60rpm、およびロール間ギャップを0.3
mm、第2混練工程における連続式2本ロール型混練機
1′の前ロール2′の原料供給側の温度を45℃、前ロ
ール2′の第2混練物排出側の温度を35℃、後ロール
3′の原料供給側の温度を20℃、後ロール3′の第2
混練物排出側の温度を15℃、前ロール2′の回転数を
75rpm、後ロール2′の回転数を60rpm、およ
びロール間ギャップを0.3mmにそれぞれ設定した。
【0064】更に、比較例1は、第1混練工程に用いた
投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フタル
酸系ポリエステル樹脂70重量部、着色剤としてキナク
リドン顔料30重量部である。また、第2混練工程に用
いた投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フ
タル酸系ポリエステル樹脂100重量部、第1混練物
(マスターバッチ)20重量部、荷電制御剤としてサリ
チル酸金属錯体2重量部、離型剤としてカルナバワック
ス6重量部である。更に、比較例1を作製する際に設定
した第1および第2混練工程における連続式2本ロール
型混練機1,1′のそれぞれの設定条件を表3に示す。
【0065】
【表3】
【0066】表3に示すように、比較例1では、第1混
練工程における連続式2本ロール型混練機1の前ロール
2の原料供給側の温度を60℃、前ロール2の第1混練
物排出側の温度を50℃、後ロール3の原料供給側の温
度を20℃、後ロール3の第1混練物排出側の温度を1
5℃、前ロール2の回転数を75rpm、後ロール2の
回転数を60rpm、およびロール間ギャップを0.3
mm、第2混練工程における連続式2本ロール型混練機
1′の前ロール2′の原料供給側の温度を45℃、前ロ
ール2′の第2混練物排出側の温度を35℃、後ロール
3′の原料供給側の温度を20℃、後ロール3′の第2
混練物排出側の温度を20℃、前ロール2′の回転数を
75rpm、後ロール2′の回転数を60rpm、およ
びロール間ギャップを0.3mmにそれぞれ設定した。
【0067】更に、比較例2は、第1混練工程に用いた
投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フタル
酸系ポリエステル樹脂60重量部、着色剤としてキナク
リドン顔料40重量部である。また、第2混練工程に用
いる投入材料が、結着樹脂としてビスフェノール/フ
タル酸系ポリエステル樹脂100重量部、第1混練物
(マスターバッチ)15重量部、荷電制御剤としてサリ
チル酸金属錯体2重量部、離型剤としてカルナバワック
ス6重量部である。更に、比較例2を作製する際に設定
した第1および第2混練工程における連続式2本ロール
型混練機1,1′のそれぞれの設定条件を表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】表4に示すように、比較例2では、第1混
練工程における連続式2本ロール型混練機1の前ロール
2の原料供給側の温度を35℃、前ロール2の第1混練
物排出側の温度を25℃、後ロール3の原料供給側の温
度を15℃、後ロール3の第1混練物排出側の温度を1
0℃、前ロール2の回転数を75rpm、後ロール2の
回転数を60rpm、およびロール間ギャップを0.3
mm、第2混練工程における連続式2本ロール型混練機
1′の前ロール2′の原料供給側の温度を25℃、前ロ
ール2′の第2混練物排出側の温度を20℃、後ロール
3′の原料供給側の温度を15℃、後ロール3′の第2
混練物排出側の温度を15℃、前ロール2′の回転数を
75rpm、後ロール2′の回転数を60rpm、およ
びロール間ギャップを0.3mmにそれぞれ設定した。
【0070】そして、前述のそれぞれの材料を用いて前
述の設定条件下にそれぞれ設定された連続式2本ロール
型混練機1,1′により、図1に示すトナー製造方法の
フローにしたがって作製した実施例1および2、比較例
1および2の各トナーについて評価試験を行った。この
とき、連続式2本ロール型混練機1,1′のいずれのロ
ール2,3;2′,3′も、外径が0.14mであり、有効
ロール長が0.8mである。この評価試験の結果を表5
に示す。
【0071】
【表5】
【0072】第1、第2混練工程での各連続式2本ロー
ル型混練機1,1′の生産性、つまり時間当たりの各混
練処理量(kg/h)は、計測の結果、表5に示すよう
に実施例1では第1混練工程で約5kg/h、第2混練
工程で約16kg/hであり、また実施例2では第1混
練工程で約6kg/h、第2混練工程で約15kg/h
であり、更に比較例1では第1混練工程で約8kg/
h、第2混練工程で約16kg/hであり、更に比較例
2では第1混練工程で約5kg/h、第2混練工程で約
5kg/hであった。
【0073】また、非オフセット域(温度域)は、次の
ようにして試験を行って確認した。すなわち、一成分系
現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4
019)を用いて、未定着の画像サンプルを採取し、コ
ニカ製レーザープリンタ(KL2010)の定着器(背
面加熱方式で、定着ローラはPFAチューブ採用、ニッ
プ通過時間60msec、オイルレス)にて、定着ロー
ラの表面温度を変化(ローラ温度設定値:Max. 20
0℃)させながら、未定着の画像サンプルを通紙し、定
着後のサンプルを観察し、オフセット発生の有無を判断
し、発生していない領域(非オフセット域)を確認し
た。その場合、採取するサンプルのベタは付着量を0.
40〜0.50mg/cm2に調整した。非オフセット域
は、図5に示すように実施例1では130〜200℃、
実施例2では140〜200℃、比較例1では160〜
180℃、比較例2では120〜180℃であると確認
した。
【0074】更に、透明性は、HAZE値を測定するこ
とで確認した。このHAZE値は、HAZE値=拡散透
過率/全透過率で与えられ、各添加剤の分散がよいほど
拡散透過率が小さくなるので、HAZE値も小さくな
る。HAZE値の測定試験は、次のようにして行った。
すなわち、トナー微量を2枚のスライドガラス間に挟み
込み、ホットプレート上で溶融し徐冷後、HAZEメー
ター(日本電色工業株式会社製 MODEL1001D
P)でHAZE値を測定した。このとき、サンプルの厚
みは2枚のスライドガラスの厚み分を込みで、40±2
μmに設定した。透明性(HAZE値)は、図5に示す
ように実施例1では46.6、実施例2では50.3、比
較例1では58.9、比較例2では42.3と確認した。
【0075】更に、現像耐久性は、次のようにして試験
を行って確認した。すなわち、現像器にトナーを100
gセットした後、無補給でエージングを行い、部材への
フィルミングが発生するまでの時間を測定した、その場
合、エージング時間をMax.4hrに設定し、この時
間をクリアすれば、つまりこの時間までフィルミングが
発生しなければ良好であると評価した。
【0076】現像耐久性は、図5に示すように実施例1
では4hr経過してもフィルミングが発生しなく、ま
た、実施例2でも4hr経過してもフィルミングが発生
しなく、更に、比較例1では2hr経過までにフィルミ
ングが発生し、更に、比較例2も3hr経過までにフィ
ルミングが発生した。
【0077】以上の評価試験結果から、総合評価とし
て、本発明に属する実施例1は最良であるとともに本発
明に属する実施例2は良好であると判断したが、本発明
に属さない比較例1および2はいずれも不良であると判
断した。このように、本発明によるトナー製造方法で作
製したトナーは、前述の作用効果を得るとともに所期の
目的を達成することが確認できた。なお、本発明のトナ
ー製造方法によって製造されるトナーは、モノクロトナ
ーおよびカラートナーのいずれにも適用できるものであ
る。
【0078】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のトナーの製造方法によれば、第1混練工程での連続式
2本ロール型混練機および第2混練工程での連続式2本
ロール型混練機により2段で混練しているので、すべて
の添加剤を効果的にかつ十分に、しかも均一に分散でき
る。特に、着色剤は第1混練工程で連続式2本ロール型
混練機により一度溶融混練されて分散されているので、
更に効果的かつ十分に分散できるようになる。
【0079】こうして、本発明のトナーの製造方法によ
れば、着色剤、ワックスや電荷制御剤等の添加剤を効果
的にかつ十分に、しかも均一に分散できるので、トナー
の性能に関する要素である、前述の着色力、透過性、お
よび帯電性がいずれも効果的に向上したトナーを製造で
きるようになる。
【0080】更に、第1、第2混練工程とも、オープン
ロール型連続式混練機を用いて混練物を空冷することに
より、各混練物の温度上昇を抑制でき、混練物の粘度低
下を極力抑えることが可能になる。これにより、特に、
第2混練工程で加えられた希釈用樹脂と添加剤とに、そ
れらの低温を維持しながら混練することで効果的にせん
断力をかけるようにしているので、低融点ワックス等の
低融点の添加剤を用いてもその低融点添加剤の熱的ダメ
ージを防止でき、その物性値の変化を抑制できる。
【0081】したがって、所望の物性値のトナーの設計
が容易になるとともに、低温定着やオイルレス定着に確
実にかつ十分に対応可能となる。こうして、着色剤のみ
ならず、離型剤や電荷制御剤等の添加剤の分散が優れた
トナーを製造できるようになる。
【0082】そして、このように添加剤の分散性をより
高くできることによって、透明性、現像機内等での耐久
性(耐フィルミング性等)を飛躍的に向上させることが
可能となる。特に、低融点ワックス等の低融点の添加剤
の配合量を増加しても、この添加剤の分散をより十分に
かつより均一に行うことができるので、製造時での粉砕
性を向上できるとともに、感光体やトナー規制ブレード
等におけるフィルミングの発生を抑制できるようにな
る。
【0083】また、オープンロール型連続式混練機は、
原料の投入口および取出口で最もせん断力がかかるた
め、混練を第1、第2混練工程の2段階にすることによ
って、一括混練より更なる高分散化が可能になる。
【0084】特に、請求項2の発明によれば、第2混練
工程時の第2混練温度を第1混練工程時の第1混練温度
より高く設定しているので、第1混練工程では原料混合
物の温度をあまり上昇させないで原料混合物の粘度を高
く設定でき、原料混合物に大きなせん断力を付与でき
る。これにより、第1混練工程では、着色剤の分散が高
いマスターバッチを作製でき、また、第2混練工程で
は、希釈混合物の温度を比較的高温に上昇するので、第
1混練工程時よりも混練物の移送性を高くして生産性を
向上できるようにしつつ、着色剤の再凝集を防止して、
添加した離型剤や電荷制御剤等の分散性も高めることが
可能となる。
【0085】また、請求項3の発明によれば、原料供給
側のロール温度(ロール内の媒体の設定温度)を混練物
排出側のロール温度(ロール内の媒体の設定温度)と異
なる温度に設定可能にしているので、混練物に加えるせ
ん断力を原料供給側と混練物排出側とで異なるように設
定することができる。これにより、着色剤や離型剤等の
添加剤の分散向上をより効果的に達成できるようにな
る。
【0086】特に、請求項4の発明によれば、前ロール
の混練物排出側の設定温度TReを原料供給側の設定温度
Rfより低く設定しているので、混練物排出側で高いせ
ん断力を混練物にかけることができ、着色剤や離型剤等
の添加剤の分散向上をより効果的に達成できるととも
に、結着樹脂の分子量の低分子量側への拡大や、強混練
による混練応力の蓄積およびフィラー効果等による粘度
の調整によって、定着特性の向上(より広い非オフセッ
ト域の確保)が可能になる。
【0087】更に、請求項5の発明によれば、第2混練
工程にて融点100℃以下のワックスを離型剤として添
加しているので、添加剤の分散向上により耐久性を確保
した上で、定着特性(低温定着およびオイルレス定着)
の向上、グロス設計の両立を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るトナーの製造方法の実施の形態
の一例を示すフローを示す図である。
【図2】 図1に示す本発明にトナーの製造方法の第1
混練工程に使用される連続式2本ロール型混練機の一例
を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図3】 図1に示す本発明にトナーの製造方法の第2
混練工程に使用される連続式2本ロール型混練機の一例
を模式的にかつ部分的に示す図である。
【符号の説明】
1,1′…連続式2本ロール型混練機、1a…原料混合
物投入部、1′a…第1混練物の希釈混合物投入部、1
b…第1混練物排出部、1′b…第2混練物(希釈混練
物)排出部、2,2′…前ロール、2a,2′a…左側内
部室、2b,2′b…右側内部室、3,3′…後ロール、
3a,3′a…左側内部室、3b,3′b…右側内部室

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し
    た原料混合物を溶融混練する第1混練工程と、該第1混
    練工程で得られた混練物と、少なくとも前記結着樹脂と
    同種または異種の結着樹脂と、離型剤や電荷制御剤等の
    添加剤とを加えて希釈混合し、該希釈混合物を溶融混練
    する第2混練工程とを有するトナーの製造方法におい
    て、 前記第1、第2混練工程ともに連続式2本ロール型混練
    機を用いていることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第1、第2混練工程時の前記第1、
    第2混練温度の関係は、 第1混練温度<第2混練温度 に設定していることを特徴とする請求項1記載のトナー
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記混練機のロール温度(ロール内の媒
    体の設定温度)が、原料供給側と混練物排出側とについ
    て、異なる温度設定が可能であることを特徴とする請求
    項1または2記載のトナーの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記混練機の前ロール(高回転側ロー
    ル)の原料投入側の設定温度TRfと混練物排出側の設定
    温度TRe(ともにロール内の媒体の設定温度)の関係
    が、 TRf > TRe であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1
    記載のトナーの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2混練工程にて添加する離型剤
    が、融点100℃以下のワックスであることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか1記載のトナーの製造方
    法。
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