JP2002296790A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版

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JP2002296790A
JP2002296790A JP2001101213A JP2001101213A JP2002296790A JP 2002296790 A JP2002296790 A JP 2002296790A JP 2001101213 A JP2001101213 A JP 2001101213A JP 2001101213 A JP2001101213 A JP 2001101213A JP 2002296790 A JP2002296790 A JP 2002296790A
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infrared
layer
photosensitive layer
film
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Application number
JP2001101213A
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English (en)
Inventor
Tadafumi Tomita
忠文 冨田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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  • Materials For Photolithography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度で画像形成可能であり、画像形成の際
に残膜が発生し難く、また、記録層のアブレーション発
生も抑制された光熱変換記録型平版印刷版原版を提供す
る。 【解決手段】 基板上に、波長800nm〜1100n
mの赤外線反射率が75%以上の赤外線反射層と、赤外
線吸収剤を含有し、赤外線露光により記録可能であり、
且つ、波長800nm〜1100nmの赤外線を10%
以上透過しうる感光層とを、順次備えることを特徴とす
る。この赤外線反射層は、SnO2、InO2、錫ドープ
酸化インジウム及びこれらの混合物より選択させる1種
以上を主成分とし、平均厚みが、1μm〜8μmの範囲
にあることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は赤外線レーザで書き
込み可能な平版印刷版原版に関し、詳しくは、露光時の
アブレーションの発生がなく、画像形成性に優れた平版
印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、PS版では、アルミニウム基板に
陽極酸化処理による酸化皮膜を設け、その上に感光層を
設けるのが通例である。特開2000−267291号
公報には、アルミニウム(合金)板に少なくとも陽極酸
化処理を施して形成した平版印刷版用支持体の製造方法
において、陽極酸化処理により生じたマイクロポア内部
を選択的に着色処理し、特に、830nmの赤外活性光
線を熱に変換可能とし、830mにおける反射率を0〜
35%の範囲内とすることで、高感度、高解像度で画像
強度、現像性に優れ、かつ充分な印刷適性を有する光熱
変換記録型平版印刷版材料用の支持体を製造する技術が
公開されている。ここでは、陽極酸化皮膜層の存在によ
り、感光層で発生した熱が熱伝導性の高いアルミニウム
支持体に拡散することによる感度低下を防止することを
目的としているが、赤外線レーザの浸透深さは1μm程
度であるため、感光層の深部、即ち、陽極酸化皮膜の表
層100nm近傍における発熱が不十分となり、期待し
た程の効果が得られないのが現状である。
【0003】また、近年注目される赤外線レーザ光を熱
に変換して画像を形成する光熱変換記録型平版印刷版に
おいては、特開平9−5993号、同7−285275
号、同9−43845号等に示されるとおり、従来は親
水性の支持体上に光熱変換材料を含有する画像形成層を
設けることが一般的であった。しかし、この場合、レー
ザー光の入射する画像形成層の表面付近は、画像形成に
充分な熱を発生するが、親水性支持体との界面付近では
レーザー光が減衰し、さらには支持体への熱拡散が生
じ、画像形成に必要な熱の発生が充分行われない傾向に
ある。したがって、露光量が少ないと、ネガ型の画像形
成層では画像強度不足、ポジ型の画像形成層では、現像
不良による非画像部汚れが発生してしまうという問題が
あった。
【0004】画像形成に必要な熱を充分確保する目的
で、特開平7−92660号には平版印刷版用支持体に
染料下塗り層を設ける方法が提案されているが、これは
340〜450nmの波長域に吸収を有する染料を用
い、記録層材料にキノンジアジドを組み合わせた場合に
のみ効果が発現し、解像度こそ向上するものの、下塗層
を用いないものと比較して露光感度は向上せずにむしろ
低下してしまうという問題があり、他の波長域の活性光
線を用いて画像記録を行う画像形成材料では、画像部強
度と親水性維持の両立は困難であった。特開平11−2
54849号公報には、熱により高感度で画像を記録す
ることができ、現像処理することなく直接製版すること
が可能な、平版印刷版用原版として(イ)光熱変換物質
と、(ロ)熱により化学的あるいは物理的変化を起す物
質とを含有し、特に、(ロ)熱により自己発熱反応を開
始する物質として金属(化合物)粉体を用いる技術が公
開されている。この方法によれば、従来の砂目と呼ばれ
る粗面化され、陽極酸化されたアルミニウム支持体に比
較して、印刷時の安定性や耐久性等の印刷適性でやや劣
るという問題があった。
【0005】上記の各技術は、感光層と支持体界面の発
熱不足を、感光層と支持体との界面に光熱変換機能を有
する層を設けることで、解決しようとするものである。
また、画像形成層中の光熱変換材料を少なくし、支持体
表面からの反射光も利用するという方法によっても、こ
の感度の問題はある程度改善可能であるが、支持体から
の反射光は、レーザー照射部以外の画像形成層まで拡散
してしまうために、解像度が低下する事から、高解像度
を維持しながら高感度化することは困難と思われてい
た。また、赤外線反射率の高い代表的な材料である、ア
ルミニウムは、それ自体、熱伝導率が高い為に、熱を拡
散し易く、かえって実質的感度が低下するという根本的
な問題を有している。
【0006】一方、熱拡散を抑制するという観点から、
アルミニウムの支持体には、通常、陽極酸化処理が施さ
れるが、形成された陽極酸化皮膜は、Applied
Optics /Vol.32、No1/1 Janu
ary(1993)によれば、結晶性が低く、空隙を有
するため、結晶性の良いセラミックのアルミナに比べ、
1/20〜1/30の熱伝導率である事が知られてい
る。これに注目した本願出願人は、陽極酸化皮膜を厚く
することで断熱性を向上させ、感度の向上を図る技術を
先に、特願2000−112285号、特願2000−
133615号として提案した。このように陽極酸化皮
膜を厚くすると断熱性の面では改良されるものの、陽極
酸化被膜の赤外線反射率は40%〜60%であり、反射
光を十分に利用するという観点からは改良の余地がある
ものであった。
【0007】赤外線レーザ露光などにより画像形成を行
なう感熱型平版印刷版では、一般に、画像形成の際に感
光層の深部、具体的には、支持体と感光層の界面近傍に
おけるレーザー光量が不足し易く、発生する熱量が不十
分になるため、残膜が発生し易い傾向にある。また、残
膜を防止する目的で、照射レーザーの露光量を上げる
と、感光層表面がアブレーションが発生しやすくなり、
光学系を汚染する懸念がある等の問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高感度で画像形成可能であり、画像形成の際に残膜
が発生し難く、また、記録層のアブレーション発生も抑
制された光熱変換記録型平版印刷版原版を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
の結果、支持体上に、露光に用いる赤外線レーザの反射
率を特定の範囲に制御した層と、特定の光透過性を有す
る感光層を組合せることで、上記課題を解決し得ること
を見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の平版印刷
版原版は、基板上に、波長800nm〜1100nmの
赤外線反射率が75%以上の赤外線反射層と、赤外線吸
収剤を含有し、赤外線露光により記録可能であり、且
つ、波長800nm〜1100nmの赤外線を10%以
上透過しうる感光層とを、順次備えることを特徴とす
る。また、前記赤外線反射層は、SnO2、InO2、錫
ドープ酸化インジウム及びこれらの混合物より選択され
る1種以上を主成分とすることが好ましく、赤外線反射
層の平均厚みは、1μm〜8μmの範囲にあることが好
ましい態様である。なお、本発明において順次積層する
とは、支持体上に、上記2つの層がこの順で備えられる
ことを指し、必要に応じて設けられる他の層、即ち、下
塗り層、中間層、オーバーコート層などの存在を否定す
るものではない。
【0010】本発明においては、支持体上に赤外線反射
層を設けることで、レーザー光を感光層と支持体の界面
で積極的に反射させ、反射光をも効率よく画像形成に用
いることができ、特に、露光の到達し難い感光層と支持
体の界面での発熱量を増し、画像形成性を向上させるこ
とができる。また、反射光の利用により、感光層中の赤
外線吸収剤の量を減量することが可能になるが、これに
より、感光層の光透過性を露光に用いられる赤外線レー
ザを10%以上透過しうる感光層とすることができ、こ
のため、表面近傍における過大な発熱を防止し、感光層
の厚み方向でほぼ均一に発熱が起こるようになり、高い
感度を保持しながら、感光層表面でのアブレーションを
抑制し得ると共に、支持体近傍における残膜の発生も抑
制し得るものと考えられる。特に、ネガ型感光層に関し
ては、感光層が均一に加熱され、熱重合が感光層深部ま
で均一に進行することにより、その後の現像に耐えうる
強固な画像部が形成でき、一般に必要な後加熱処理を不
要とすることができるという利点をも有する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の平版印刷版原版は、基板上に、赤外線反射型層
と赤外線吸収剤を含有し、且つ、特定の光透過性を有す
る感光層を設けてなる。以下、これらの層構成について
順次説明する。
【0012】〔支持体基板〕本発明の平版印刷版に使用
する支持体基板としては、脱脂処理、機械的粗面化処
理、電気化学的粗面化処理、エッチング処理、陽極酸化
処理、封孔処理、親水化処理の内、いずれかを組み合わ
せておこなった0.1〜0.3mm程度の厚みのアルミ
ニウム(Al)板、アルミニウム合金板、鋼板等の金属
板や、0.1〜0.3mm程度の厚みのポリエチレンテ
レフタレート(PET)等の合成樹脂製の板材が好適で
ある。中でも特にAl(合金)板が好適で、陽極酸化処
理し、水洗の後、陽極酸化皮膜を軽度のエッチングや種
々の封孔処理方法により封孔した後、リン酸またはリン
酸塩処理やホスホン酸等のリン化合物による親水性処理
を行ったものを基材として用い、後述する本発明に係る
赤外線反射型断熱層を設けるのが望ましい。もちろんこ
れには限定されず、Al(合金)板の処理工程のうち、
脱脂処理、機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、
エッチング処理、陽極酸化処理、親水化処理の上記各処
理工程のいずれか、または全てを省略しても問題はない
し、各工程を1回以上、複数回処理することも可能であ
る。
【0013】断熱性の観点からはAl等の金属板上には
陽極酸化皮膜を設けることが好ましく、その厚みは0.
8μm〜5μmが望ましい。陽極酸化皮膜を設けた場合
には、陽極酸化皮膜は赤外線断熱層を形成する支持体の
断熱層として機能する。また、基板として樹脂を使用す
る場合には、基材自体が断熱性を有しているので、赤外
線反射層の断熱層と基板を兼ねて使用する事ができる。
【0014】〔赤外線反射型層〕支持体基板上に設けら
れる赤外線反射層は、波長800nm〜1100nmの
赤外線を75%以上反射する特性を有することを必要と
するが、この反射率の要件を満し、且つ、平版印刷版と
して必要な強度、可撓性などを備えていれば、素材や厚
みなどには特に制限はない。赤外線反射層としては、高
い反射率と入手容易性から、SnO2、InO2、錫ドー
プ酸化インジウム或いはこれらの混合物を主成分とする
膜を用いることが好ましい。
【0015】赤外反射層の膜厚(被覆量)は、平均厚み
が1μm〜8μmの範囲になるようにすることが必要で
ある。このような赤外線反射層は、露光に用いられる赤
外線レーザの反射機能と共に、断熱層としての機能をも
備えるものであり、8μmをこえる層を形成しても、断
熱性や反射率の向上はあまり見られず、かえって製造コ
ストのみが上昇する。1μmよりも薄いと断熱層として
の機能を充分果たせず、感度が低下する傾向がある。赤
外反射層の最適な被覆量は、感光層中に含まれる光熱変
換剤の量や分布、感光層の厚み、使用する露光装置のレ
ーザー走査速度、レーザー出力、露光ビーム形状等によ
って異なるが、1μm〜8μmの範囲で、最適被覆量を
実験的に決める事が可能である。被膜量(層の厚み)
や、皮膜が均一に封孔されているかどうかは、高倍率の
電子顕微鏡により観察することができる。
【0016】本発明に係る赤外線反射層の具体的な構成
について、以下に説明する。このような反射層は、
(a)赤外線反射率が高い粉末及び(b)被膜形成材料
により構成されることが好ましい。 [(a)赤外線反射率が高い粉末]赤外線反射率が高い
粉末(以下、適宜、赤外線反射粉末と称する)として
は、公知のものを適宜選択して使用することができる。
赤外部での反射性を向上させるには、膜の導電性を高く
することがDrudeの古典的分散理論に基づくプラズ
マ波長とキャリアー濃度の関係(自由電子による吸収が
最大になるプラズマ波長は、キャリアー濃度が増大、即
ち導電性が向上するに従い短波長側にシフトし、その波
長より長波長の光は反射する)により説明され、知られ
ている。従って、ITO微粉末のように導電性の高い粉
末を用い、該ITO微粉末自体の導電性を向上させるこ
とが赤外領域における反射率を高めることにつながる。
このような材料のなかでも、平均粒径0.02μm〜1
μmのInO2、SnO2、錫ドープ酸化インジウムの微
粉末が効果の観点から好ましく、これらは2種以上を混
合して用いることができる。
【0017】これらの微粉末は市販品(添川理化学
(株)等)を使用できるが、所定の処理条件を制御して
作成することでさらに反射効果を上げることも可能であ
る。赤外線反射層に用いるITO粉末の平均一次粒子径
は2μm以下であることが好ましく、1μm以下である
ことがさらに好ましいが、粒径が小さすぎるとハンドリ
ング性が低下するため、少なくとも粒径が0.02μm
以上であることが望ましい。ITO粉末は、一般にIn
と少量のSnの水溶塩を含む水溶液をアルカリと反応さ
せてInとSnの水酸化物を共沈させ、この共沈物を原
料として、これを大気中で加熱焼成して酸化物に変換さ
せることにより製造される。原料として、共沈物ではな
く、InとSnの水酸化物および/または酸化物の混合
物を使用することもできる。ITO粉末中のSnドープ
量は、Sn/(Sn+In)のモル比が0.01〜0.
15、特に0.04〜0.12となる範囲が好ましい。
【0018】本発明においては、このような従来の方法
で製造されたITO粉末、或いは導電性粉末として市販
されているITO粉末をそのまま利用することもでき
る。ただし、製造方法はこれに限られるものではなく、
最低反射波長が1100nm以下であれば、他の方法で
製造されたITO粉末も有用である。
【0019】一般的なITO粉末の製造方法について説
明する。ITO粉末の原料としては、Sn/(Sn+I
n)のモル比が好ましくは0.01〜0.15、特に
0.02〜0.12となる割合でInとSnの水溶性化
合物(例、塩化物、硝酸塩など)を用い、これを水に溶
解させた水溶液を、アルカリ水溶液(例、アルカリ金属
またはアンモニウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩な
どの水溶液)と反応させて、各水溶性化合物を加水分解
し、In−Sn共沈水酸化物を析出させる。この時点で
微細な沈殿が析出するように、一方の水溶液を他方の水
溶液に攪拌下に滴下しながら反応を進めることが好まし
い。
【0020】こうして得た含水状態のIn−Sn共沈混
合水酸化物をそのまま、或いはこれを加熱乾燥して水分
を除去した無水の混合水酸化物、または脱水をさらに進
めて、少なくとも部分的に酸化物とした混合酸化物(水
酸化物)を原料として用いる。この時の加熱温度は、乾
燥だけであれば200℃以下、特に150℃以下でよい
が、酸化物に変換するのであれば、より高温(例えば、
200〜900℃)で加熱することができる。
【0021】得られた原料を、酸素を遮断した加圧不活
性ガス雰囲気中で、完全に酸化物になるまで焼成する
と、ITO粉末が得られる。或いは、原料を従来と同様
に、例えば大気中で焼成してITO粉末を得た後、この
粉末を加圧不活性ガス雰囲気中で熱処理することによっ
ても、ITO粉末が得られる。この焼成または熱処理
(以下、これらを加熱処理と総称する)時の不活性ガス
雰囲気は、アルゴン、ヘリウムなどの希ガス、窒素ガ
ス、およびこれらの混合ガスのいずれでもよい。不活性
ガス雰囲気の圧力条件は、室温下における全圧で2kg
f/cm2以上、特に5〜60kgf/cm2の範囲内が
好ましい。不活性ガス雰囲気中の酸素分圧は0.2kg
f/cm2(150Torr)以下、特に0.02kg
f/cm2(15Torr)以下に制限することが好ま
しい。
【0022】加熱処理温度は、一般に350〜1000
℃の範囲内、好ましくは400〜800℃の範囲内が効
果的である。処理温度が350℃以下であると、微粒子
化の効果は高いが、赤外線反射効果の改善はほとんど得
られない。一方、1000℃以上では粒子径が著しく成
長してしまうため、微粒子の均一性が要求される本発明
のような分野に使用する場合には好ましくない。また、
加熱処理時間については、一般には1〜4時間の範囲内
である。昇温、降温速度は特に制限されない。
【0023】ITO微粉末の導電性を向上させる手段と
しては、不活性ガス雰囲気中あるいは還元性ガス雰囲気
中で加熱し、脱酸素処理することが知られている(特開
平1−100023号)。ITO微粉末を用いた赤外線
遮蔽材ということでは、種々の技術が提案されている
が、これらは何れも従来からの導電性塗料に用いるIT
O微粉末をその原料とし、その後に加圧不活性ガス雰囲
気中処理等の処理を施す方法であり、本発明においても
このような方法で得られたITO粉末を用いることもで
きる。
【0024】[(b)被膜形成材料]本発明において赤
外線反射層を形成するには、前記ITO粉末などの赤外
線反射率の高い粉末と結合剤とを水および/またはアル
コール中に分散ないし溶解させ、支持体上に塗布、乾燥
すればよい。 (b)被膜形成材料(以下、適宜、結合剤と称する)と
しては、媒質の水および/またはアルコールに可溶また
は分散性の任意の結合剤が使用できるが、好ましくは
(1)Si、Al、ZrもしくはTiのアルコキシド及
び/又はその部分加水分解物、(2)水および/または
アルコールに可溶性または分散性の有機樹脂、および
(3)これらの混合物から選択される。
【0025】(1)Si、Al、ZrもしくはTiのア
ルコキシド及び/又はその部分加水分解物 (1)に挙げたアルコキシドの例には、Si、Al、Z
rおよびTiから選ばれた金属のメトキシド、エトキシ
ド、プロポキシド、ブトキシド等、ならびにその異性体
(イソプロポキシド、sec−ブトキシド、t−ブトキ
シド等)が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を
使用できる。これらの金属アルコキシドは、これを水ま
たはアルコールに溶解させて塗布すると、乾燥過程で加
水分解により酸化物に変化して金属酸化物からなるなる
被膜を形成する。従って、本発明においてITO粒子を
含む反射層を形成する結合剤として使用することができ
る。適当な金属アルコキシドの具体例としては、シリコ
ンテトラエトキシド(エチルシリケート)、アルミニウ
ムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシ
ド、チタニウムテトライソプロポキシド等がある。金属
アルコキシドに少量の水および/または酸を添加して多
量体とした金属アルコキシドの部分加水分解物も、金属
アルコキシドに代えて、または金属アルコキシドと混合
して、使用することができる。また、金属アルコキシド
の他にも、メタノールシリカ(日産化学工業(株))な
どのオルガノシリカゾルや、アルミナゾル(日産化学工
業(株))等の金属コロイドや珪酸ソーダなどの水ガラ
スも乾燥後、金属アルコキシドと類似の酸化物被膜を形
成しうるため、同様に本発明に使用できる。
【0026】(2)水および/またはアルコールに可溶
性または分散性の有機樹脂 本発明において使用可能な別の結合剤は、水および/ま
たはアルコールに可溶性または分散性の皮膜を形成する
ことのできる有機樹脂である。この種の結合剤として
は、水系またはアルコール系塗料に使用されている有機
樹脂がある。水系の場合には、水溶性樹脂あるいは水分
散性エマルジョン樹脂を使用する。このような樹脂の例
には、水溶性アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール、
ポリブチルアルコール等、或いはアクリル、アクリル−
スチレン、酢酸ビニル等のエマルジョン型水分散性樹脂
である。アルコール系の場合には、ポリビニルブチラー
ルなどのポリビニルアセタールなどのアルコールに可溶
性もしくは分散性の樹脂も結合剤として使用できる。そ
の他、PAA(ポリアクリル酸)、EAA(エチレン/
アクリル酸樹脂)、EMAA(エチレン/メタアクリル
酸樹脂)、アイオノマー、LDPE(低密度ポリエチレ
ン)、LLDPE(超低密度ポリエチレン)、HDPE
(高密度ポリエチレン)、ポリスチレン(PSt)、ポ
リ−α−メチルスチレン、などのスチレン樹脂あるいは
スチレン共重合体樹脂、
【0027】ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニ
リデン(PVdC)、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リアクリル酸エステル類及びポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、エチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、酢酸セルロース、セルロースアセテー
トプロピオネート等のセルロース誘導体、ポリメタクリ
ル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル酸
樹脂またはメタクリル酸樹脂、ロジン、ロジン変性マレ
イン酸樹脂、重合ロジンなどのロジンエステル樹脂、ポ
リプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート
(PET)、ポリエチレン(PE)ポリテトラフルオロ
エテン(PTFE)などの各種樹脂が好適である。なか
でも、金属との接着性に優れるEAA(エチレン/アク
リル酸樹脂)、EMAA(エチレン/メタアクリル酸樹
脂)、アイオノマー、LDPE(低密度ポリエチレ
ン)、LLDPE(超低密度ポリエチレン)、HDPE
(高密度ポリエチレン)等が挙げられる。
【0028】これらの樹脂により反射層を形成するに
は、支持体の基材表面に単独で熱溶融接着、共押し出し
ラミネーター等の方法によって直接貼り合わせることで
形成しても良い。また、次に示すような各種接着剤を用
いて、樹脂フィルムを基材表面に接着して形成しても良
い。用いる各種接着剤の具体例として、芳香族ポリエー
テル系1液湿気硬化型接着剤(例えば、商品名:SF1
02RA(大日本インキ化学工業(株))など)、芳香族
ポリエーテル系2液硬化型接着剤(例えば、商品名:2
K−SF−302A/HA550B(大日本インキ化学
工業(株))など)、脂肪族ポリエステル系2液硬化型接
着剤(例えば、商品名:2K−SF−250A/HA2
80B(大日本インキ化学工業(株))など)、水性ドラ
イラミネート用接着剤(例えば、商品名:WS305A
/LB−60、WS201A/LB−60、WS325
A/LJ−55、WS350A/LA−100、WS−
320A(大日本インキ化学工業(株))など)、有機溶
剤型ドライラミネート用接着剤(例えば、LX−747
A/KX−75、LX−88H(T)/KW−75、L
X−732/KRX−90(大日本インキ化学工業
(株))など)、エポキシ系の1液型熱硬化型接着剤(例
えば、商品名;EP106、EP138、EP160、
EP170、EP171(セメダイン(株)製)な
ど)。
【0029】アクリル系オリゴマー(SGA)等の1液
型嫌気硬化型接着剤(例えば、商品名;Y−800シリ
ーズ、Y−805GH(セメダイン(株)製)など)、
特殊シリコーン変性ポリマー系1液型弾性接着剤(例え
ば、スーパーX(セメダイン(株)製)など)、フェノ
ール樹脂複合ポリマー系接着剤として、フェノール樹脂
とブタジエン、アクリロニトリルゴムとの混合体や、フ
ェノール樹脂とポリ酢酸ビニルやポリビニルアセタール
やポリビニルブチラールやポリビニルホルマールとの各
種混合体やフェノール樹脂とエポキシとの混合体。2液
型縮合反応型接着剤やエポキシ、イソシアネート等の2
液型付加反応型接着剤やアクリル系オリゴマー(SG
A)等の2液型ラジカル重合型接着剤、ポリイミド、ポ
リエステル、ポリオレフィン等の熱溶融型接着剤、ゴ
ム、ポリアクリル酸エステル等の感圧型接着剤、2−シ
アノアクリル酸エステルを主成分とする1液型の常温硬
化接着剤、2−シアノアクリル酸メチル系接着剤、2−
シアノアクリル酸エチル系接着剤(例えば、商品名;ア
ロンアルファ(東亜合成化学(株)製)など)、α−シ
アノアクリレート系接着剤(例えば、商品名;3000
DXシリーズ(セメダイン(株)製)など)が挙げられ
る。なかでも、金属との接着力に優れ、薄層(数μm)
で使用可能な接着剤が好適であり、代表例としては、シ
アノアクリルレート系の各種接着剤をPET等の樹脂と
組み合わせて断熱層として使用する方法が好適である。
【0030】また、本願出願人が先に提出した特開20
00−238455号公報の段落番号〔0047〕から
〔0055〕に(結合剤)として記載されているアルカ
リ水に可溶な樹脂を接着剤として用いることもできる。
例えば、この性質を有するものとしてはノボラック樹
脂、フェノール―アルデヒド樹脂、m−クレゾールホル
ムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹
脂などが挙げられる。
【0031】(3)(1)金属アルコキシド類と(2)
有機樹脂類との混合物 上記(1)金属アルコキシド系の化合物は親水性、皮膜
硬さなどの点に優れ、(2)有機樹脂は赤外線透過性、
皮膜形成性の点で優れた性質を有する。従って、(3)
両者を適当な比率で混合させることで、両者の優位な転
を有効に活用することが可能となる。金属アルコキシド
類を主体として乾燥後の固形分比として酸化物被膜の0
〜10重量%程度の樹脂を添加することで特に皮膜形成
性が向上する場合がある。これらの具体的な態様として
は、特に、オルガノシリカゾルや金属コロイド、珪酸ソ
ーダに、ポリアクリル酸やポリビニルアルコール等の親
水性樹脂を使用する態様が好ましく、このように混合物
として用いることで、親水性、密着性が向上し、より印
刷に適した表面が得られる。
【0032】この赤外線反射層を塗布法により形成する
際には、塗布性を良化するために界面活性剤、例えば、
特開昭62−170950号公報に記載されているよう
なフッ素系界面活性剤を添加することもできる。好まし
い添加量は、樹脂層塗布液の全固形分中、0.01〜1
重量%であり、さらに好ましくは、0.05〜0.5重
量%である。
【0033】[赤外線反射層の形成]結合剤として金属
アルコキシドを用いる場合、ITO粒子が金属酸化物マ
トリックス中に分散した完全無機質の膜を得ることがで
きる。この膜は、可視光に対する光透過率に特に優れ、
皮膜が硬質であり、耐熱性にも優れている。一方、結合
剤として有機樹脂を用いた場合、可撓性に優れた膜を得
ることができる。従って、赤外線反射機能を有する膜を
形成する基体の種類および用途に応じて結合剤の種類を
選択すればよい。例えば、基体がプラスチックフィルム
である場合には、基体の可撓性を損なわないように、結
合剤として有機樹脂を使用して赤外線反射機能を有する
膜にも可撓性を確保することが好ましい。一方、基体が
金属であり、膜硬度が要求される場合には、結合剤とし
て金属アルコキシドを使用することが好ましい。更に、
結合剤として上記有機樹脂と金属アルコキシドとを併用
することもできる。これにより結合剤が金属アルコキシ
ドの場合のに優れた赤外線反射機能を有する膜に可撓性
も付与することができる。
【0034】本発明において赤外線反射層を形成する材
料の組成は、(a)赤外線反射粉末100重量部に対し
て(b)結合剤(金属アルコキシドは酸化物としての
量、樹脂は固形分としての量)が1〜2000重量部、
好ましくは10〜400重量部、より好ましくは20〜
200重量部の範囲内である。分散媒の水および/また
はアルコールの量は、塗布、印刷、噴霧、浸漬などの適
用形態に適した粘性が得られるような量であればよい
が、通常はITO粉末100重量部に対して5〜500
0重量部、好ましくは10〜500重量部の範囲内であ
る。
【0035】結合剤が金属アルコキシドであり、分散媒
がアルコールである場合には、必要に応じてアルコキシ
ドの加水分解促進のため、金属アルコキシド100重量
部に対して1重量部以下の酸、または20重量部以下の
水を添加してもよい。また、結合剤が有機樹脂である場
合には、必要に応じて硬化剤、架橋剤などを少量配合す
ることもできる。本発明の赤外線反射機能を有する膜形
成材に含有される添加剤としては、pH調製剤、消泡
剤、湿潤剤などが掲げられる。
【0036】(a)赤外線反射粉末を分散させ、(b)
結合剤を溶解ないし分散させる媒質としては、環境に有
害な有機溶媒ではなく、水および/またはアルコールを
使用することが好ましい。媒質に適したアルコールの例
は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノ
ールなどであり、これらの1種もしくは2種以上が使用
できる。また、水とアルコールとの混合溶媒も使用でき
る。
【0037】本発明の赤外線反射層は、支持体基板に塗
布、印刷、噴霧、浸漬などの適当な膜形成手段で適用し
たあと、必要に応じて加熱下に分散媒を除去して乾燥さ
せると、赤外線反射機能を有する膜を形成することがで
きる。乾燥温度は、媒質や結合剤の種類に応じて選択す
ればよい。形成された赤外線反射膜は、金属酸化物また
は有機樹脂マトリックス中にITO粉末が均一に分散し
た粒子分散系の構造をもつ。この赤外線反射膜は、マト
リックス種やITO粉末の配合量などの他の条件が同じ
であれば、使用したITO粉末の特性に応じた赤外線反
射特性を示す。ITO粉末が同じであれば、マトリック
スに対するITO粉末の割合が多いほど、赤外線反射効
果が高くなる傾向がある。
【0038】〔波長800nm〜1100nmの赤外線
を10%以上透過しうる感光層〕前記赤外線反射層上に
形成される感光層は、赤外線吸収剤を含有し、赤外線露
光により記録可能であり、且つ、波長800nm〜11
00nmの赤外線を10%以上透過しうることを特徴と
する。本発明においては、感光層の光透過率は以下の測
定方法で測定した値を用いる。10cmの大きさの印刷
版を用意し、その感光層をメチルエチルケトン等のケト
ンアルコール系の低沸点溶剤、エチレンクロライド、メ
チル(エチル)セルソルブ、メチレングリコールモノフ
ェニルエーテル、およびそのアセテート等のエチレン系
グリコールエーテル類、プロピレングリコール系の中沸
点溶剤を適当に組み合わせた溶剤を用いて溶解する。溶
剤は、感光層を完全に溶解するように調製したものを用
いればよい。感光層を溶解した液を10cm2の透明基
板(溶剤により、PET基板或いはガラス基板を用い
る)に滴下、乾燥させた後、Varian社製 CAR
Y−5を用いて透過法で露光波長での吸光度を計測し、
吸光度=Log10(1/透過率)から、感光層の光透
過率を算出した。乾燥ムラが発生した場合には、平均的
な色合いの箇所を計測した。
【0039】上記測定用の感光層膜厚と実際の印刷版に
おける感光層膜厚との異同はSEMを使用して確認し
た。即ち、ガラス基板を用いた場合には、測定用感光層
を形成したガラス基板を折り曲げて、折り曲げた際に発
生したひび割れ部分の側面(通称破断面)を観察して膜
厚を測定し、PET基板を用いた場合には、樹脂に包埋
し、ミクロトームで破断面を露出させ、SEM観察して
膜圧を測定する。10箇所を無作為抽出して平均値を平
均膜厚とした。標準偏差誤差は±10%以下であった。
感光層膜厚が印刷版の感光層膜厚と異なっている場合に
は、下記式にて透過率補正をおこなった。 T1=T2×exp(d2/d1) 印刷版の感光層膜厚;d1[μm]、滴下乾燥後の感光
層膜厚;d2[μm] 印刷版のIR透過率;T1[%],滴下乾燥後のIR透
過率;T2[%]
【0040】本発明の平版印刷版原版に用いられる感光
層としては、赤外線領域の放射線で記録可能な公知の種
々の画像形成材料の成分を適宜選択して用いることがで
きる。まず、赤外線露光により、アルカリ水溶液に対す
る可溶性が変化する記録層について説明する。このよう
な記録層は、アルカリ現像性が赤外線の露光により低下
するネガ型と逆に現像性が向上するポジ型の2つに分け
られる。
【0041】ネガ型の記録層としては、公知のネガ型極
性変換材料系(親水性から疎水性へ変化)、ラジカル重
合系、酸触媒架橋系(カチオン重合も含む)記録層が挙
げられる。この中でも特に耐刷性の点でラジカル重合系
と酸触媒架橋系が好ましい。これらは、感光層中に赤外
線吸収剤と開始剤と重合性あるいは架橋性の化合物とを
含有し、露光により、赤外線吸収剤は発熱し、その熱に
より発生するラジカル或いは酸が開始剤や触媒となり、
感光層中に含まれる重合性或いは架橋性の化合物が重合
反応、架橋反応を起こし硬化して画像部を形成し、非画
像部が現像処理などにより除去されて画像形成するもの
である。
【0042】またポジ型の記録層としては、公知のポジ
型極性変換材料系(疎水性から親水性へ変化)、酸触媒
分解系、相互作用解除系(感熱ポジ)記録層が挙げられ
る。この中でも特にスルホン酸エステルを熱分解してな
るポジ型極性変換材料系と酸触媒分解系、相互作用解除
系が画質の点で好ましい。これらは基本的には、赤外線
吸収剤を含有し、光照射により赤外線吸収剤が発熱し、
その熱により発生する酸や熱エネルギーそのものによ
り、層を形成していた高分子化合物の結合が解除される
などの働きにより水やアルカリ水に可溶となり、現像に
より除去されて非画像部を形成し、未露光部が画像部と
なって画像形成するものである。いずれの画像形成層に
おいても、層構成成分、即ち、所謂バインダーとして、
水に不溶であり、且つ、アルカリ水溶液に可溶な高分子
化合物を含有することが好ましい。
【0043】本発明の感光層は露光に用いられる波長8
00nm〜1100nmの赤外線を10%以上透過しう
ることが必要である。感光層の光透過性は、先に詳述し
たように、積分球付分光光度計Cary−5G(Var
ian製)を用いて、拡散反射法により測定することが
できる。赤外線透過性は、感光層中に含まれる赤外線を
吸収しうる物質(代表的には赤外線吸収剤)の含有量、
及び、感光層の膜厚の双方の影響を受けるため、これら
を適宜調整して好ましい感光層を形成する必要がある。
感光層の乾燥後の塗布量は目的により異なるが、一般的
には0.5〜5.0g/m2 が好ましい。塗布量が少な
くなるにつれて、見かけの感度は大になるが、記録層の
皮膜特性は低下する。
【0044】本発明においては、前記支持体に、感光層
塗布液や、下塗り層、保護層等の所望の層の塗布液用成
分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することに
より平版印刷版原版を製造することができる。なお、赤
外線反射層の形成については、前記詳述したとおりであ
る。塗布、乾燥後に得られる各層の塗布量(固形分)
は、用途によって異なる。塗布する方法としては、種々
の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター
塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディッ
プ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布
等を挙げることができる。
【0045】上記のようにして作製された本発明の平版
印刷版原版は、通常、像露光、現像処理を施される。像
露光に用いられる活性光線の光源としては、波長720
〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー、半導
体レーザー等が挙げられる。本発明においては、近赤外
から赤外領域に発光波長を持つ光源が好ましく、固体レ
ーザ、半導体レーザが特に好ましい。
【0046】本発明の画像形成材料の現像液および補充
液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用
できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、
第3リン酸ナトリウム、第3リン酸カリウム、第3リン
酸アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カ
リウム、第2リン酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、
炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、ほう酸ナト
リウム、ほう酸カリウム、ほう酸アンモニウム、水酸化
ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムおよ
び水酸化リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。
また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチル
アミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチ
ルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルア
ミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノ
ールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロ
パノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、
ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0047】これらのアルカリ剤は単独もしくは2種以
上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ剤の中
で特に好ましい現像液は、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カ
リウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩
の成分である酸化珪素SiO2 とアルカリ金属酸化物
2 Oの比率と濃度によって現像性の調節が可能となる
ためであり、例えば、特開昭54−62004号公報、
特公昭57−7427号公報に記載されているようなア
ルカリ金属ケイ酸塩が有効に用いられる。
【0048】更に自動現像機を用いて現像する場合に
は、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)
を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の
現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できるこ
とが知られている。本発明においてもこの補充方式が好
ましく適用される。現像液および補充液には、現像性の
促進や抑制、現像カスの分散および印刷版画像部の親イ
ンキ性を高める目的で、必要に応じて種々の界面活性剤
や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤として
は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界
面活性剤が挙げられる。更に現像液および補充液には必
要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜
硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等
の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を
加えることもできる。上記現像液および補充液を用いて
現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有す
るリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化
液で後処理される。本発明の画像記録材料を印刷版とし
て使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々
組み合わせて用いることができる。
【0049】近年、製版・印刷業界では製版作業の合理
化および標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用
いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処
理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽およ
びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬
送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノ
ズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最
近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロール
などによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知
られている。このような自動処理においては、各処理液
に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処
理することができる。また、実質的に未使用の処理液で
処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
【0050】以上のようにして得られた平版印刷版は所
望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供す
ることができるが、より一層の高耐刷力の平版印刷版と
したい場合にはバーニング処理が施される。平版印刷版
をバーニング処理する場合には、該バーニング処理前
に、特公昭61−2518号、同55−28062号、
特開昭62−31859号、同61−159655号の
各公報に記載されているような整面液で処理することが
好ましい。その方法としては、該整面液を浸み込ませた
スポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整
面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方
法や、自動コーターによる塗布などが適用される。ま
た、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラ
ーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結
果を与える。整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8
g/m2 (乾燥重量)が適当である。整面液が塗布され
た平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニング
プロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販
売されているバーニングプロセッサー:「BP−130
0」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及
び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、
180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好まし
い。
【0051】バーニング処理された平版印刷版は、必要
に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行われて
いる処理を施こすことができるが、水溶性高分子化合物
等を含有する整面液が使用された場合には、ガム引きな
どのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。こ
の様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印
刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を、実施例に従って説明する
が、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。な
お、以下の実施例および比較例において、粉末の平均一
次粒子径は、比表面積(BET)の測定値から、次の粒
子径式に基づいて算出した。 a(μm)=6/(ρ×B) (粒子径式) [a:平均粒子径、ρ:真比重、B:比表面積(m2
g)] このようにして比表面積から求めた粒子径は走査型電子
顕微鏡(日立製作所製S−900)にて直接観察した粒
子径とほぼ一致した。BET法による比表面積は、カン
タソーブ(湯浅アイオニクス(株)製)を用いて測定し
た。粉末および膜の光透過スペクトルは、積分球付分光
光度計Cary−5G (Varian製)を用いて、
拡散反射法により測定した。
【0053】〔赤外線反射性粉末及び赤外線反射層塗布
液の製造〕 (製造例1) (1.赤外線反射性粉末の製造)InC13水溶液1.
8リットル(In金属600g含有)と60%SnC14
溶液23g(Sn金属6.3g含有)との混合水溶液
を、NH4HCO3 3100g/12リットルの水溶液中
に、70℃の加温下で攪拌しながら滴下し、最終pH
8.5にしてIn−Sn共沈水酸化物を析出させた。次
に、静置して沈殿を沈降させた後、上澄み液を除去し、
イオン交換水を加えて静置・沈降と上澄み液除去の操作
を6回(水の添加量は1回につき10リットル)繰り返すこ
とにより、沈殿を十分に水洗した後、吸引濾過により沈
殿を濾別して、含水水酸化物の沈殿を得た。この沈殿を
110℃で一晩乾燥させた。
【0054】この乾燥させた共沈水酸化物250gを長
さ250mmの半割石英ボートに入れ、内径70mm、
長さ700mmのインコロイ800製チューブからなる
密閉加圧管状炉を用いて加圧窒素ガス雰囲気下に焼成し
た。即ち、ボートを管状炉に入れた後、系内を真空に排
気し、窒素ガスで圧力15kgf/cm2に加圧し、密
閉下で温度600℃に昇温させ、この温度に3時間保持
して焼成を行い、ITO粉末を得た。得られたITO粉
末の平均一次粒子径は0.05μmであり、光透過スペ
クトルは、750nm以上では全面的に95%以上のす
ぐれた赤外線反射効果認められた。その最低反射波長は
700nmであった。
【0055】(2.赤外線反射層塗布液の調製)得られ
たITO粉末10gを、ペイントシェーカー(ガラスビ
ーズ25g)を使用してエチルアルコール20g中に6
0分間分散させた。次に、この粉末分散液に(b)結合
剤としてエチルシリケート10g、このアルコキシドの
加水分解促進にために1N塩酸0.4g、純水2gを加
え、さらに150分間振盪し、ビーズを除去して赤外線
反射層塗布液1を調製した。
【0056】(製造例2)塩化第2錫(SnCl4・5
2O)6g及び塩化インジウム(InCl3)76gを
水4000mlに溶解し、これに2%アンモニア水を5
8分かけて添加し、pHを最終的に7.9とすることに
より酸化錫及び酸化インジウムの水和物を共沈させた。
この間、液温は5℃を維持するようにした。次いで、該
共沈物を洗浄後乾燥、更に窒素ガスと水素ガスの混合ガ
ス(N2:H2=98.0:2.0)雰囲気下で400℃
にて3時間焼成することにより、一次粒子径約0.02
μmと微細でかつ粗大粒子を含まない均一粒度を有する
錫含有酸化インジウム(ITO)微粉末を得た。該IT
O微粉末40g、ポリエステル樹脂8g、(トルエン−
MEK−酢酸エチル)混合溶剤50g、及びノニオン系
界面活性剤1gをジルコニアビーズを分散メデイアとす
るペイントコンデイシヨナーにて8時間混合し、赤外線
反射層塗布液2を調製した。
【0057】(製造例3)製造例2と同様にして得られ
た酸化錫及び酸化インジウムの水和物の共沈物を洗浄後
乾燥、更に窒素ガスと水素ガスの混合ガス(N2:H2
99.8:0.2)雰囲気下で400℃にて3時間焼成
することにより、一次粒子径約0.02μmと微細でか
つ粗大粒子を含まない均一粒度を有するITO微粉末を
得た。該ITO微粉末40g、ポリアミド樹脂8g、
(トルエン−i−プロパノール)混合溶剤50g、及び
ノニオン系界面活性剤1gをジルコニアビーズを分散メ
デイアとするペイントコンデイシヨナーにて8時間混合
し、赤外線反射層塗布液3を調製した。
【0058】(製造例4)製造例2と同様にして得られ
た酸化錫及び酸化インジウムの水和物の共沈物を洗浄後
乾燥、更に窒素ガス雰囲気下で400℃にて3時間焼成
することにより、一次粒子径約0.02μmと微細でか
つ粗大粒子を含まない均一粒度を有するITO微粉末を
得た。該ITO微粉末40g、ポリアミド樹脂8g、
(トルエン−i−プロパノール)混合溶剤50g、及び
ノニオン系界面活性剤1gをジルコニアビーズを分散メ
デイアとするペイントコンデイシヨナーにて8時間混合
し、赤外線反射層塗布液4を調製した。
【0059】(製造例5)塩化第1錫(SnCl2・2
2O)4g及び硝酸インジウム〔In(NO33・3
2O〕122gを水4000mlに溶解し、これに2
%アンモニア水を80分かけて添加し、pHを最終的に
7.8とすることにより酸化錫及び酸化インジウムの水
和物を共沈させた。この間、液温は20℃を維持するよ
うにした。次いで該共沈物を洗浄後乾燥、更に窒素ガス
と水素ガスの混合ガス(N2:H2=98.0:2.0)
雰囲気下で700℃にて3時間焼成することにより、一
次粒子径約0.04μmと微細でかつ粗大粒子を含まな
い均一粒度を有するITO微粉末を得た。該ITO微粉
末40g、ウレタン樹脂8g、(キシレン−酢酸ブチ
ル)混合溶剤50g、及びノニオン系界面活性剤1gを
ジルコニアビーズを分散メデイアとするペイントコンデ
イシヨナーにて8時間混合し、赤外線反射層塗布液5を
調製した。
【0060】(製造例6)塩化第2錫(SnCl4・5
2O)6g及び塩化インジウム(InCl3)76gを
水4000mlに溶解し、これに4.5%NH4HCO3
水溶液を360分かけて添加し、pHを最終的に5.8
とすることにより酸化錫及び酸化インジウムの水和物を
共沈させた。この間、液温は25℃を維持するようにし
た。次いで該共沈物を洗浄後乾燥、更に窒素ガスと水素
ガスの混合ガス(N2:H2=98.0:2.0)雰囲気
下で900℃にて3時間焼成し、一次粒子径約0.05
μmと微細でかつ粗大粒子を含まない均一粒度を有する
ITO微粉末を得た。該ITO微粉末を用い製造例2と
同様にして赤外線反射層塗布液6を調製した。
【0061】(実施例1:サーマルポジ型感光層を有す
る平版印刷版原版) (1.支持体の作製)支持体基板として0.24mmの
厚みのアルカリ脱脂処理済みのアルミニウム(Al)板
を使用し以下の処理を順に処理した。 (1)機械的粗面化処理方法 回転数150rpmの0.9号ナイロンブラシにてスラ
リー状の研磨剤(平均粒径15μm程度のパミス、シラ
スまたは珪砂)を供給しながら、研磨をおこなった。 (2)化学的溶解処理方法(i) 苛性ソーダの濃度20wt%一定とし、温度40℃で処
理時間はRaが0.3μmになるように調整した。その
後、10秒流水にて水洗後、硫酸濃度120g/リット
ル、液温50℃、10秒間浸漬し、デスマット処理をお
こなった。Raの計測値は、0.3±0.05μm(標
準偏差)であった。
【0062】(3)電気化学的粗面化処理方法 特開平3−79799号の電源波形を使い、硝酸濃度1
2g/リットル、Al濃度を6g/リットルの濃度に設
定し、液温60℃として陽極側の電流密度をピット個数
が2.4〜180個/mm2の範囲になるように設定し
た。その後水洗した。ピット個数はSEM観察の結果1
40±20個/mm2であった。 (4)化学的溶解処理方法(ii) 苛性ソーダの濃度20wt%一定とし、温度40℃で処
理時間は1.3g/m 2になるように調整した。その
後、10秒流水にて水洗後、硫酸濃度120g/リット
ル、液温50℃、15秒間浸漬し、デスマット処理をお
こなった。(基板[A])
【0063】(5)陽極酸化処理方法 リン酸濃度0.5モル/リットル、液温25℃にて、特
開平8−264118号の図の4の装置を2台直列接続
した装置で、電流密度0.3A/dm2となるように定
電流の直流電源を用いて電気を供給し、所望の陽極酸化
皮膜量となるように時間を調整し、被膜を生成させ、水
洗した。陽極酸化槽の入り口での初期電圧は計測の結
果、4V、出口での再終電圧は計測の結果、40Vであ
った。Raの計測値は、0.3±0.05μm(平均±
標準偏差)であった。 (6)陽極酸化皮膜量の決定方法 サンプルを折り曲げ、折り曲げたひび割れ部分を基板と
水平方向から、超高分解能型SEM(日立S−900)
によって破断面を観察し、0.5〜5μmの膜厚になる
ように処理時間を決定した。(基板[B])
【0064】(7)赤外線反射層の形成方法 基板[B]および、厚み0.24mmのPET板基板
[C]にスパッタリング法によってSnO2単層膜、I
nO2単層膜を製膜した。 製膜条件:到達圧力5×10-4Pa、 スパッタ圧力6.7×10-1Pa、Ar流量20scc
m、基板未加熱、基板冷却有り、バイアス無し、スパッ
タ電源RC、スパッタ電力RF400W〜800W、ス
パッタ時間は適宜 基板[B]および、厚み0.24mmのPET板基板
[C]に製造例1〜6で得られたITO粉末を含む赤外
線反射層塗布液を用いて赤外線反射層を形成した。
【0065】(8)赤外線反射層の厚みの測定方法 親水化層の厚みの測定は超高分解能型SEM(日立S−
900)を使用した。12Vという比較的低加速電圧
で、導電性を付与する蒸着処理等を施す事無しに観察を
おこなった。基板を折り曲げて、折り曲げた際に発生し
たひび割れ部分の側面(通称破断面)を超高分解能型S
EM(日立S−900)を使用し、観察した。10箇所
を無作為抽出して平均値を平均膜厚とした。標準偏差誤
差は±10%以下であった。(膜厚の測定方法として
は、上記方法の他、スパッタリングの際に、マスキング
をおこなって、マスキング部分と非マスキング部分の境
界に形成された段差をAFMにて計測し膜厚とすること
も可能である。)
【0066】(9)赤外線反射率の計測方法 Varian社製 CARY−5を用いて、0.3mm
のPETフィルムに赤外線反射層を形成し、赤外線吸収
率を測定した。赤外線反射率としては、散乱反射率(P
raying Mantis)は100%反射標準板と
しては、PTFE粉末を圧縮プレスした校正済み標準試
料を用いた。吸収率0%の標準試料としては、 0.1
8mmのPETフィルムを使用した。 製膜条件:到達圧力5×10-4Pa、 スパッタ圧力6.7×10-1Pa、Ar流量20scc
m、基板未加熱、基板冷却有り、バイアス無し スパッタ電源RC、スパッタ電力RF400W〜800
W、スパッタ時間は適宜
【0067】(10)断熱性の評価方法 下記条件にてTi蒸着膜を真空蒸着装置にて製膜し、下
記露光条件にて露光後、線の太さで相対評価をおこなっ
て、赤外線反射層を形成した後の支持体の断熱性の評価
とした。以下の基準に従い、線が太いもの程断熱性が高
いものと判断した。 製膜条件:JEOL社製 JEE−4X 到達圧力5×10-3Pa、蒸着電流40A、基板未加
熱、蒸着材料;純度99.9%、0.5mmΦTi線 レーザー照射条件:YAGレーザー(波長1.064μ
m)、レーザー光出力0.724W、走査速度120c
m/s、1/e2ビーム直径35μm (ビームプロファイルは良好なガウス分布であったので
ガウス分布近似し、ピーク強度の1/e2光出力の位置
をビーム直径とした。) 伝熱ハンドブック(日本機会学会)によれば、セラミッ
クアルミナの熱伝導率は、36W/(m・K)であると
記載されている。基板Cにスパッタリング法にて、セラ
ミックアルミナを形成し、その値を真値と見なして、セ
ラミックアルミナより断熱性が高いかどうかを断熱性可
否の判断基準とした。断熱性評価の比較タイプとしてセ
ラミックアルミナを下記条件にて、膜厚1.5μm、5
μmにて製膜した。
【0068】製膜条件:到達圧力5×10-4Pa、スパ
ッタ圧力6.7×10-1Pa、Ar流量20sccm、
基板未加熱、基板冷却有り、バイアス無し、スパッタ電
源RC、スパッタ電力RF400W〜800W、スパッ
タ時間は適宜 断熱性 ◎:優れている(PETフィルム程度以上) ○:良好である(5μmの陽極酸化被膜以上) △:実用上の許容レベル(1.5μmの陽極酸化被膜と同等) ×:不充分(1.5μmの陽極酸化被膜未満)
【0069】(2.感光層の形成)前記赤外線反射層を
形成した支持体表面に、下記に示した下塗り層塗布液A
を塗布し、80℃で15秒間乾燥して下塗り層を形成し
た。乾燥後の被覆量は、15mg/m2であった。 〔下塗り層塗布液A〕 ・β−アラニン 0.1g ・メタノール 100g ・水 1g 次に、上記のごとく処理された下塗り済みの支持体上に
下記感光液を塗布することにより感光層を設けた。さら
に、真空密着時間を短縮させるため、特公昭61−28
986号記載の方法でマット層を形成させることによ
り、感光性平版印刷版原版を作成した。
【0070】(サーマルポジ型感光層の形成)サーマル
ポジ型感光層として、下記感光層塗布液(1−A)を適
当な塗布バーにて塗布し、100℃オーブンで2分間、
乾燥させた。塗布減の塗布前後の厚みをマイクロメータ
で10点計測し平均した結果、画像記録層(1−A)の
膜厚は1.2±0.8μmであった。塗布液の塗布前後
の重量変化から塗布量は、1.4g/m2であった。そ
の後、下記感光層塗布液(1−B)を塗布し、100℃
オーブンで2分間、乾燥させた。塗布後の厚みを同様に
測定したところ感光層(1−B)の膜厚は1.8±0.
8μmであった。塗布液の塗布前後の重量変化から塗布
量は、2g/m2であった。
【0071】 (感光層塗布液1−A) 共重合体1(後に詳述する) 0.75g Epolight VI−161(EPOLIN、INC製) 0.028g p−トルエンスルホン酸 0.002g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g ビクトリアピュアブルー(B0Hの対アニオンを 1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料) 0.015g フッ素系界面活性剤(メガファックF…177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.02g γ−ブチロラクトン 8g メチルエチルケトン 7g 1−メトキシ−2−プロパノール 7g
【0072】 (感光層塗布液1−B) m,p−クレゾールノボラック(m/p比=6/4、 重量平均分子量4000) 0.75g Epolight VI−161(EPOLIN、INC製) 0.035g ステアリン酸n―ドデシル 0.02g テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.05g メチルエチルケトン 7g l−メトキシ−2−プロパノール 7g
【0073】合成例1(共重合体1の合成方法) 攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備えた500ml三つ
口フラスコにメタクリル酸31.0g(0.36モ
ル)、クロロギ酸エチル39.lg(0.36モル)及
びアセトニトリル200mlを入れて、氷水浴で冷却し
ながら混合物を攪拌した。この混合物にトリエチルアミ
ン36.4g(0.36モル)を約1時間かけて滴下ロ
ー卜により滴下した。滴下終了後、氷水浴を取り去り、
室温下で80分間混合物を撹拌した。この反応混合物
に、p一アミノベンゼンスルホンアミド51.7g
(0.30モル)を加え、油浴にて70℃に温めながら
混合物を1時間攪拌した。反応終了後、この混合物を水
1リットルにこの水を攪拌しながら投入し、30分間得
られた混合物を攪拌した。この混合物をろ過して析出物
を取り出し、これを水500mlでスラリーにした後、
このスラリーをろ過し、得られた固体を乾燥することに
より、N−(p−アミノスルフェニル)メタクリルアミ
ドの白色固体が得られた。(収量46.9g)
【0074】次に攪拌機、冷却管及び滴下ロートを備え
た100ml三つ口フラスコに、N−(p−アミノスル
ホニルフェエル)メタクリルアミド5.04g(0.0
210モル)、メタクリル酸エチル2.05g(0.0
180モル)、アクリロニトリル1.11g(0.02
1モル)及び、N,N―ジメチルアセトアミド20gを
入れ、湯水浴により65℃に加熱しながら混合物を攪拌
した。この混合物に「V−65」(和光純薬(株)製)
0.15gの混合物を2時間かけて滴下ロートにより滴
下した。滴下終了後さらに65℃で12時間得られた混
合物を攪拌した。反応終了後メタノール40gを混合物
に加え、冷却し、得られた混合物を水2リットルにこの
水を攪拌しながら投入し、30分混合物を攪拌した後、
析出物を濾過により取り出し、乾燥することにより15
gの白色固体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーによりこの共重合体1の重量平均分子量(ポリ
スチレン標準)を測定したところ53,000であっ
た。 〔感光層の赤外線透過率の測定〕前記と同様の感光層を
PETフィルム(0.18mm厚み)に塗布乾燥し、分
光光度計にて波長1064nmの赤外線に対する光透過
率を計測した結果、35%であった。
【0075】〔3.画像形成〕露光機として、レーザー
ビームプロファイル形状はガウス形状と0.95以上の
相関係数を有する実験用試験器を使用して露光を行なっ
た。露光装置のスペックとしては、波長1064nm、
ビーム直径17μm(1/e2)、最大主走査速度10
m/s、最大光出力0.5W(530mJ/cm2)で
あり、主走査速度5m/sに設定し、光出力を変えて露
光し、各種評価を行った。レーザー光出力Pを下記式
(2)に代入し、照射エネルギーI(J/cm2)を算
出した。 書きこみ時間 T(秒)=D/(√2・V) 式(1) 〔D;1/e2ビーム直径(cm)、V;走査速度(m
/s)〕 照射エネルギーI(J/cm2)=4・P/(πD2)×T 式(2) 〔変化点に相当するレーザーの光出力値;P(W)、
D、Vは式(1)と同義〕
【0076】〔4.平版印刷版の評価〕 4−1.アブレーション評価 実施例1で得られた平版印刷版原版の版面にPETフィ
ルム(0.18mm厚)を重ねて露光し、露光後に剥離
してPETベースの汚れ具合を目視にて観察し、以下の
基準により評価した。 ○:PETフィルムがまったく汚れない(アブレーショ
ン無し) △:PETフィルム上に汚れが僅かに見られる ×:PETフィルム上に汚れが多く付着している
【0077】4−2.クリア感度評価 印刷版原版の版面にレーザーの照射出力を変えて全面露
光し、LH−DP現像液(1:7.8希釈)の新液で現
像した。現像後の印刷用原版をマクベス濃度計(設定;
青色)で濃度の変化を計測し、縦軸をマクベス濃度、横
軸をレーザーの出力とした場合の相関図の変化点(感光
層が完全に無くなって支持体の色になる点)をクリア感
度と見なし感度評価をおこなった。なお、後述する比較
例2(厚さ0.8μmの陽極酸化被膜を設けた基板
[B]を支持体として用いた平版印刷版原版)のクリア
感度が150mJ/cm2であり、これより数値が小さ
いものを感度が良好であると評価した。
【0078】4−3.残膜評価方法 平版印刷版用原版の版面にレーザーの出力を推奨設定露
光値にて全面露光し、標準現像液(標準希釈)の新液で
現像した。その後、非画像部に残存するバインダーの程
度をバインダー中のベンゼン環に着目し半定量的な相対
評価を行う方法で残膜評価を行った。具体的には、現像
後の平版印刷版用原版を分光光度計にて、バインダーの
ベンゼン環の吸収極大波長領域である250〜300n
mにあるピーク強度を計測し、相対評価を以下の基準に
より行なった。 ○:残膜がまったく無い △:残膜が僅かに見られる ×:残膜が多く見られる
【0079】4−4.印刷適性評価 前記のようにレーザー照射により画像形成した平版印刷
版を、現像などの後処理せずに印刷機にかけて印刷をお
こなった。印刷機としては、ハリス菊半単色機(ハリス
(株)製)を用い、インキとしてGeos墨(大日本イ
ンキ化学工業(株)製)、湿し水として、湿し水EU−
3(富士写真フィルム(株)製)を1:100に水で希
釈したもの90vol%とイソプロパノール10vol
%との混合物をそれぞれ用いて、上質紙上に印刷をおこ
なった。印刷機を一時停止させて、印刷機のブランケッ
ト部分のインキを日東電工製PETテープにて写し取
り、非画像部のインキによる汚れて具合を目視にて評価
した。その結果、実施例1では、レーザー照射部(非画
像部)には汚れが無く、また、非照射部(画像部)には
着肉した鮮明な印刷物を10000枚印刷することがで
きた。
【0080】(比較例1)前記実施例1の赤外線反射層
を、製造例2のものに代え、さらに、感光層塗布液1−
Aにおける赤外線吸収剤〔Epolight VI−16
1(EPOLIN、INC製)〕の含有量を0.028
gから0.04gとし、感光層塗布液1−Bにおける赤
外線吸収剤〔Epolight VI−161(EPOL
IN、INC製)〕の含有量を0.035gから0.0
5gとした感光層を形成して平版印刷版原版を得た。比
較例1の感光層の赤外線透過率を実施例1と同様にして
測定したところ、波長1064nmでの光透過率は5%
であった。また、実施例1と同様にその他の項目につい
ても評価した。結果を下記表1に記載する。
【0081】(実施例2〜16、比較例2〜4)実施例
1において用いた基板、赤外線反射層を下記表1のよう
に変えた支持体を用いたほかは、実施例1と同様にして
実施例2〜16の平版印刷版原版を作成し、実施例1と
同様に評価した。また、基板Bに厚さ0.8μmの陽極
酸化皮膜を形成して赤外線反射層とした。さらに、実施
例1と同様の感光層を形成し、比較例2の平版印刷版原
版とした。また、PETフィルム基板(基板C)に赤外
線反射層を形成しなかった他は、実施例16と同様にし
て、比較例3の平版印刷版原版を得た。さらに、基板A
にスパッタリングにより厚さ1μmの酸化アルミニウム
層を形成した他は、実施例1と同様にして比較例4の平
版印刷版原版を得た。この赤外線反射層の赤外線反射率
は60%であった。これらについても実施例1と同様に
評価した。これらの結果を下記表1に記載する。なお、
下記表中、「AD」とは「陽極酸化皮膜」を意味する。
【0082】
【表1】
【0083】表1より明らかなように、本発明に係る赤
外線反射層と感光層とを設けた本発明平版印刷版原版
は、高感度での記録が可能であり、汚れや画像欠陥のな
い高解像度の画像が形成され、アブレーションの発生も
抑制されていることがわかった。一方、Al基板に赤外
線反射率の低い赤外線反射層を設けた比較例2及び4は
感度に劣り、残膜の発生が見られた。また、赤外線反射
率の高い赤外線反射層を設けても光透過性の低い感光層
を設けた比較例1は高感度ではあるが、残膜やアブレー
ションの発生は抑制できず、断熱性に優れた支持体を用
い、赤外線反射層を設けなかった比較例3は、アブレー
ションが発生した。
【0084】(実施例17:サーマルネガ型感光層を有
する平版印刷版原版) 〔1.支持体の作成〕実施例1で用いたのと同様の赤外
線反射層を形成した支持体上に下記下塗り層塗布液Bを
塗布し、80℃で30秒間乾燥して、下塗り層を形成し
た。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。 〔下塗り層塗布液B〕 ・ β−アラニン 0.05g ・ アミノエチルホスホン酸 0.05g ・ フェニルホスホン酸 0.05g ・ メタノール 40g ・ 純水
【0085】〔2.サーマルネガ型感光層の形成〕次
に、下記の組成の感光層用塗布液を調整し、この塗布液
を下塗り後の支持体に塗布し、100℃で1分間乾燥し
た。乾燥後の重量は1.7g/m2であった。これを平
版印刷版原版とした。
【0086】 (感光層塗布液2) ・光または熱によって熱を発生する下記化合物 0.2g ・酸により架橋する下記架橋剤(フェノール誘導体) 0.7g ・バインダー(丸善石油化学(株)製のポリビニルフェノール 「マルカリンカーMS−4P」) 1.5g ・赤外線吸収剤NK−3508(商品名) (日本感光色素研究所(株)製) 0.105g ・その他添加剤 ビクトリアピュアブルーB0(C.I.44040) 0.05g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.06g ・溶剤 メチルエチルケトン 15g 1−メトキシ−2−プロパノール 5g メチルアルコール 7g
【0087】
【化1】
【0088】〔3.画像形成〕露光機として、レーザー
ビームプロファイル形状はガウス形状と0.95以上の
相関係数を有する実験用試験器を使用して露光を行なっ
た。露光装置のスペックとしては、波長1064nm、
ビーム直径35μm(1/e2)、最大主走査速度10
m/s、最大光出力0.724W(1550mJ/cm
2)であり、主走査速度1.2m/sに設定し、光出力
を変えて露光し、各種評価を行った。クリア感度の評価
方法は、前記実施例1におけるクリア感度の評価方法と
ほぼ同じである。即ち、レーザーの照射出力を変えて露
光を行い、下記の如き標準的な現像処理後の印刷用原版
を露光部文のマクベス濃度計(設定;青色)で濃度の変
化を計測し、縦軸をマクベス濃度、横軸をレーザーの出
力とした場合の相関図の変化点(感光層が完全に無くな
って支持体の色になる点)をクリア感度と見なし感度評
価をおこなった。なお、同様に前記式(1)、式(2)
を用いて照射エネルギーI(J/cm2)を算出した。
【0089】現像処理は、浸漬型現像槽を有する市販の
自動現像機PS−900NP(富士写真フイルム(株)
製)を用いて行った。このPS−900NPの現像処理
槽には、下記組成のアルカリ現像処理液1(pH約1
3)が20リットル仕込まれ、現像処理液1の温度は3
0℃に保温した。PS−900NPの第2浴目には、水
道水を8リットル、第3浴目には、FP2W(富士写真
フイルム(株)製):水=1:1で希釈したフィニッシ
ングガム液を8リットル仕込んだ。
【0090】 (アルカリ現像処理液1の組成) ・D―ソルビット 2.5重量% ・水酸化ナトリウム 0.85重量% ・ジエチレントリアミンペンタ・(メチレンホスホン酸) 0.05重量% 5Na塩 ・水 96.6量量%
【0091】〔感光層の赤外線透過率の測定〕前記と同
様の感光層をPETフィルム(0.18mm厚み)に塗
布乾燥し、分光光度計にて波長1064nmの赤外線に
対する光透過率を計測した結果、35%であった。
【0092】〔4.平版印刷版の評価〕 4−5.膜はがれ評価 ネガ型感光層においては、残膜評価に代えて、画像部
(露光部)の記録層の硬化性を判定する膜はがれ評価を
下記の条件で行なった。1インチあたり175線の細線
が縦横に千鳥格子状に配列したパターンを露光して、現
像後、パターン部分にセロテープ(ニチバン製)を貼り
付けた後剥がして、セロテープに転写した残量をマクベ
ス濃度計にて相対評価をおこなった。転写が多い物ほど
感光層の重合反応が十分に進行しておらず、画像部の強
度が弱いと判定する。評価は以下の基準により行なっ
た。 ○:膜はがれがまったく無い △:膜はがれが僅かに見られる ×:膜はがれが多く見られる
【0093】この様にしてレーザー照射により画像形成
した平版印刷版を後処理せずに印刷機にかけて印刷をお
こなった。印刷機としては、ハリス菊半単色機(ハリス
(株)製)を用い、インキとしてGeos墨(大日本イ
ンキ化学工業(株)製)、湿し水として、湿し水EU−
3(富士写真フィルム(株)製)を1:100に水で希
釈したものを使用した。
【0094】平版印刷版原版のその他の評価方法は、残
膜評価を行なわなかった他は、実施例1と同様にしてお
こなった。結果を以下の表2に示す。なお、感度につい
ては、比較例6(厚さ0.8μmの陽極酸化被膜を設け
た基板[B]を支持体として用いた平版印刷版原版)の
クリア感度が300mJ/cm2であり、これより数値
が小さいものを感度が良好であると評価した。
【0095】(比較例5)前記実施例17の感光層塗布
液2における赤外線吸収剤〔NK−3508(商品
名)、日本感光色素研究所(株)製〕の含有量を0.1
05gから0.15gとした他はまったく同様にして平
版印刷版原版を得た。比較例5の感光層の赤外線透過率
を実施例17と同様にして測定したところ、波長106
4nmでの光透過率は5%であった。また、実施例1と
同様にその他の項目についても評価した。結果を下記表
2に記載する。
【0096】(実施例18〜32、比較例6〜8)実施
例17において用いた基板、赤外線反射層を下記表2の
ように変えた支持体を用いたほかは、実施例17と同様
にして平版印刷版原版を作成し、実施例17と同様に評
価した。結果を下記表2に記載する。
【0097】
【表2】
【0098】表2より明らかなように、赤外線反射層と
光透過性の高い感光層とを設けた本発明の平版印刷版原
版は、ポジ型同様、ネガ型の感光層を設けた場合におい
ても、高感度での記録が可能であり、膜はがれや画像欠
陥のない高解像度の画像が形成され、アブレーションの
発生も抑制されていることがわかった。
【0099】(実施例33:アブレーションポジ型感光
層を有する平版印刷版原版)実施例1で用いたのと同様
の赤外線反射層を形成した支持体上に下記の感光層塗布
液を用いて感光層を形成し、平版印刷版原版を得た。 〔アブレーションポジ型感光層の形成〕前記支持体上
に、アブレーション型のインキ感脂性層を塗布乾燥させ
て感光層を形成し、平版印刷版原版とした。インキ感脂
性層(感光層塗布液3)を支持体上に適当な塗布バーに
て塗布し、120℃オーブンで1分間、乾燥させた。感
光層塗布液3の塗布前後の厚みをマイクロメータで10
点計測し平均した結果、インキ感脂性層膜厚は平均1μ
m、標準偏差0.8μmであった。インキ感脂性層の塗
膜形成前後の重量変化と比重から算出した厚みは、1μ
mであった。
【0100】 (感光層塗布液3) ベヘン酸 5mg ポリメチルメタクリレート(PMMA) 41mg (アルドリッチ社製、平均分子量996000(GPC)) 光熱変換剤 3.5mg (Epolight VI−148、EPOLIN社製) これらを13mlのクロロホルムに溶解し、感光層塗布
液3とした。Cを作成した。
【0101】〔感光層の赤外線透過率の測定〕前記と同
様の感光層をPETフィルム(0.18mm厚み)に塗
布乾燥し、分光光度計にて波長1064nmの赤外線に
対する光透過率を計測した結果、30%であった。 〔3.画像形成〕露光機として、レーザービームプロフ
ァイル形状はガウス形状と0.95以上の相関係数を有
する実験用試験器を使用して露光を行なった。露光装置
のスペックとしては、波長1064nm、ビーム直径1
7μm(1/e2)、最大主走査速度10m/s、最大
光出力0.5W(530mJ/cm2)であり、主走査
速度5m/sに設定し、光出力を変えて露光し、各種評
価を行った。クリア感度の評価方法は、前記実施例1に
おけるクリア感度の評価方法とほぼ同じである。即ち、
レーザーの照射出力を変えて露光を行い、標準的な現像
処理後の印刷用原版を露光部文のマクベス濃度計(設
定;青色)で濃度の変化を計測し、縦軸をマクベス濃
度、横軸をレーザーの出力とした場合の相関図の変化点
(感光層が完全にアブレーションして無くなって支持体
の色になる点)をクリア感度と見なし感度評価をおこな
った。なお、同様に前記式(1)、式(2)を用いて照
射エネルギーI(J/cm2)を算出した。
【0102】〔4.平版印刷版の評価〕平版印刷版の評
価方法は実施例1と同様にしておこなった。結果を以下
の表3に示す。なお、感度については、比較例10(厚
さ0.8μmの陽極酸化被膜を設けた基板[B]を支持
体として用いた平版印刷版原版)のクリア感度が450
mJ/cm2であり、これより数値が小さいものを感度
が良好であると評価した。
【0103】(比較例9)前記実施33の感光層塗布液
3における赤外線吸収剤〔Epolight VI−1
48(商品名)、EPOLIN社製〕の含有量を3.5
mgから5mgとした他はまったく同様にして平版印刷
版原版を得た。比較例9の感光層の赤外線透過率を実施
例33と同様にして測定したところ、波長1064nm
での光透過率は5%であった。また、実施例33と同様
にその他の項目についても評価した。結果を下記表3に
記載する。
【0104】(実施例34〜48、比較例10〜12)
実施例33において用いた基板、赤外線反射層を下記表
3のように変えた支持体を用いたほかは、実施例33と
同様にして平版印刷版原版を作成し、実施例34と同様
に評価した。結果を下記表3に記載する。
【0105】
【表3】
【0106】表3より明らかなように、赤外線反射層と
光透過性の高い感光層とを設けた本発明の支持体を用い
た平版印刷版原版は、サーマルポジ型同様、アブレーシ
ョンポジ型の感光層を設けた場合においても、高感度で
の記録が可能であり、汚れや画像欠陥のない高解像度の
画像が形成され、アブレーションの発生も抑制されてい
ることがわかった。
【0107】前記実施例及び比較例より、本発明の平版
印刷版は、感光層の内部が均一に加熱され、同等の汚れ
防止性或いは膜はがれ防止性とアブレーション抑制性を
維持しながら、感光層のクリア感度が向上しており、ま
た、この効果は、サーマルポジ型、サーマルネガ型、ア
ブレーションポジ型のいずれの感光層を用いた場合にも
発現されることがわかった。また、比較例との対比によ
り、単に支持体の断熱性を上げたり、赤外線反射層を形
成するのみでは、これら全ての効果を充分に得られない
ことわかった。
【0108】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、書込みに使
用されるレーザ光を効率よく画像形成必要な熱エネルギ
ーとして利用することができ、高感度で画像形成可能で
あり、画像形成の際に残膜や膜はがれが発生し難く、ま
た、記録層のアブレーション発生も抑制されるという効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AA02 AB03 AC08 AD01 AD03 CC20 DA40 FA03 FA17 2H096 AA00 AA07 AA08 BA16 CA07 EA04 GA08 LA16

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、波長800nm〜1100n
    mの赤外線反射率が75%以上の赤外線反射層と、赤外
    線吸収剤を含有し、赤外線露光により記録可能であり、
    且つ、波長800nm〜1100nmの赤外線を10%
    以上透過しうる感光層とを、順次備えることを特徴とす
    る平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 前記赤外線反射層が、SnO2、In
    2、錫ドープ酸化インジウム及びこれらの混合物より
    選択させる1種以上を主成分とすることを特徴とする請
    求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 前記赤外線反射層の平均厚みが、1μm
    〜8μmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の平版印刷版原版。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005309439A (ja) * 2004-04-21 2005-11-04 Agfa Gevaert Nv 感熱性のポジ作用性平版材料における小ドットの正確な露出方法
JP2009034678A (ja) * 2003-02-26 2009-02-19 Seiko Epson Corp 機能性材料定着方法及び機能性材料定着装置
JP2013016707A (ja) * 2011-07-05 2013-01-24 Hitachi Ltd 半導体装置の製造方法

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