JP2002294627A - 橋桁の落橋防止装置 - Google Patents

橋桁の落橋防止装置

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JP2002294627A
JP2002294627A JP2001105562A JP2001105562A JP2002294627A JP 2002294627 A JP2002294627 A JP 2002294627A JP 2001105562 A JP2001105562 A JP 2001105562A JP 2001105562 A JP2001105562 A JP 2001105562A JP 2002294627 A JP2002294627 A JP 2002294627A
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Kenji Hayashi
健治 林
Naoya Narita
直也 成田
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Topy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 落橋防止装置において、特にタイバー連結構
造になっているものについても地震エネルギーの吸収能
やフェールセーフ的機能を付与して、大地震でも橋桁の
落下を確実に防止できるようにする。 【解決手段】 第1、第2タイバー21,22を隣り合
う橋桁11間に架け渡し、それらの両端部を連結ピン2
3(軸部材)によって各橋桁11に連結する。これらタ
イバー21,22の片側の連結ピン23を通す孔は、長
孔21b,22bになっている。第1タイバー21(第
1連結部材)の長孔21bより第2タイバー22(第2
連結部材)の長孔22bの方が短い。第1タイバー21
は通常橋桁材料と同じ鋼種の普通鋼で形成され、第2タ
イバー22は極低降伏点鋼(極軟鋼)で形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地震の際に橋桁
が橋脚や橋台などの下部工から落下するのを防止する装
置に関するものであり、主にタイバー連結構造の落橋防
止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来から多用されているタイバ
ー連結構造の落橋防止装置1の一例を示したものであ
る。この装置1は、隣り合う橋桁4間に架け渡されたタ
イバー2と、このタイバー2の両端部を橋桁4に連結す
る2本の連結ピン3とを有している。これら連結ピン3
を通すタイバー2のピン孔のうち1つは、長孔2aにな
っている。この長孔2aによって、橋桁4が温度変化で
伸縮する際は橋桁4どうしの相対変位を許容しつつ連結
を維持でき、地震の際はタイバー2が変形することによ
り橋桁4が橋脚5から落下するのを防止することができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のタ
イバー連結構造では、大きな地震エネルギーを吸収する
ことができず、タイバーが破壊されて落橋するような不
測の事態に対処するのに求められるフェールセーフ的機
能も有していない。そのため、先年の兵庫県南部地震の
ように想定を超える大きな地震に対しては、機能的に十
分とは言えない。一方で、施工や維持管理が容易で低コ
ストであるなどの利点も多い。本発明は、上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的とするところは、落
橋防止装置において、特にタイバー連結構造になってい
るものについても地震エネルギーの吸収能を増加させフ
ェールセーフ的機能を付与して、大地震でも橋桁の落下
を確実に防止できるようにすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明の第1の特徴に係る落橋防止装置は、第
1、第2連結手段を有している。これら第1、第2連結
手段は、橋桁と橋桁、又は橋桁と下部工からなる連結対
象どうしを橋軸に沿う垂直平面上で相対変位可能に連結
している。上記第2連結手段は、上記第1連結手段と比
べて、降伏耐力(または降伏点)が小さく降伏後の伸び
が大きい部材を主要構成とし、しかも変位許容範囲が小
さい。
【0005】本発明の第2の特徴では、上記第1の特徴
において、上記第1連結手段が、上記連結対象間に架け
渡された第1連結部材を有し、上記第2連結手段が、上
記連結対象間に架け渡された第2連結部材を有してい
る。これら第1、第2連結部材の両端部のうちの1つ
が、対応する連結対象に橋軸と直交する水平軸周りに回
転可能に連結された回転端部になるとともに、他の1つ
が、対応する連結対象を橋軸方向へスライド可能に連結
するスライド端部になっている。上記第2連結部材が、
上記第1連結部材と比べて、降伏耐力(または降伏点)
が小さく降伏後の伸びが大きく、しかもスライド端部の
スライド許容距離が短く設定されている。
【0006】本発明の第3の特徴では、上記第2の特徴
において、上記第1、第2連結部材が、板状をなして上
記水平軸方向に重なるように並べられ、両端部が、上記
連結対象に取り付けた軸部材によって回転可能に連ねら
れるとともに、上記スライド端部における軸部材挿通用
の孔が長孔になっている。そして、上記第2連結部材の
長孔が、上記第1連結部材の長孔より短い。しかも第2
連結部材の長孔の長径が連結対象の通常の変位を許容す
る長さに設定されている。ここで、「通常の変位」と
は、温度変化や微小振動などの日常的な外因で生じる程
度の連結対象の変位を意味する。
【0007】上記第2、第3の特徴において、上記第1
連結部材が、普通鋼で形成され、上記第2連結部材が、
極低降伏点鋼で形成されていることが望ましい(本発明
の第4の特徴)。極低降伏点鋼は、極軟鋼と呼ばれるこ
ともある。
【0008】本発明の第5の特徴では、上記第1の特徴
において、上記第1、第2連結手段が、各々、一対のリ
ンク部材を橋軸と直交する水平軸周りに互いに回転可能
に連結し、一方のリンク部材を一方の連結対象に上記水
平軸周りに回転可能に連結し、他方のリンク部材を他方
の連結対象に上記水平軸周りに回転可能に連結してなる
リンク機構になっている。しかも上記第1連結手段のリ
ンク部材の何れか1つは、当該リンク部材の2つの連結
部間を結ぶ軸線方向にスライド可能にもなっている。上
記第2連結手段のリンク部材は、上記第1連結手段のリ
ンク部材と比べて、降伏耐力(または降伏点)が小さく
降伏後の伸びが大きい。
【0009】本発明の第6の特徴では、上記第5の特徴
において、上記リンク部材が各々板状をなし、同じ連結
手段のものどうしがV形状に組まれている。これによっ
て、第1、第2連結手段がそれぞれV形状になってい
る。このV形状になった第1、第2連結手段どうしが上
記水平軸方向に重なるように並べられている。そして、
両連結手段の上記一方のリンク部材どうしが上記一方の
連結対象に取り付けた軸部材によって回転可能に連ねら
れ、両連結手段の上記他方のリンク部材どうしが上記他
方の連結対象に取り付けた軸部材によって回転可能に連
ねられ、両連結手段の全てのリンク部材どうしが上記連
結対象間の中間部において中間軸部材によって回転可能
に連ねられている。上記スライド可能なリンク部材にお
ける軸部材挿通用の孔の1つが、長孔になっている。
【0010】上記第5、第6の特徴において、上記第1
連結手段のリンク部材が、普通鋼で形成され、上記第2
連結手段のリンク部材が、極低降伏点鋼(極軟鋼)で形
成されていることが望ましい(本発明の第7の特徴)。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面
を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態を
適用した橋梁10を示したものである。橋梁10には、
複数本の橋桁11が橋軸(左右方向)に沿って一列に架
設されている。隣り合う2本の橋桁11(連結対象)
は、間隙10aを介して対向している。これら隣り合う
橋桁11の互いに対向する端部は、共通の橋脚12に支
承13を介して支持されている。なお、図1において左
側の橋桁11の支承13は固定支承であり、右側の橋桁
11の支承13は可動支承であるが、勿論、左右逆であ
ってもよい。また、2つとも固定支承であったり2つと
も可動支承であったりする場合もある。
【0012】これら橋桁11の対向端部間に跨るように
して、落橋防止装置20が取り付けられている。落橋防
止装置20は、第1、第2タイバー21,22と、これ
らタイバー21,22を各橋桁11に連ねる連結ピン2
3(軸部材)とを備えている。第1タイバー21(第1
連結部材)と連結ピン23により、特許請求の範囲の
「第1連結手段」が構成され、第2タイバー22(第2
連結部材)と連結ピン23により、特許請求の範囲の
「第2連結手段」が構成されている。
【0013】図3に示すように、第1タイバー21は、
橋軸方向に長い長方形の板状をなしている。図4に示す
ように、第2タイバー22は、第1タイバー21と同一
寸法の長方形の板状をなしている。これら第1、第2タ
イバー21,22の材質などの違いに関しては、追って
詳述する。
【0014】図2に示すように、これら2つのタイバー
21,22が橋軸と直交する水平軸方向に重なるように
並べられ、左右両端部が左右の橋桁11のウエブ14に
あてがわれるようにして、橋桁11間に架け渡されてい
る。2つのタイバー21,22は、ウエブ14の片面側
だけでなく反対側にも対称的に配されている。各橋桁1
1の端部において、これら両側のタイバー21,22
と、その間に挟まされたウエブ14とが、それらを貫通
する連結ピン23により連ねられている。連結ピン23
は、タイバー21,22より高強度のボルトで構成され
ており、その先端の雄螺子にダブルナット24が螺合さ
れ、これによりタイバー21,22が抜落不能になって
いる。なお、下記する通り、地震などによりタイバーが
塑性変形した場合の取替えを一層容易にするため、連結
ピン23はその両端とも雄螺子としてダブルナット24
で螺合することもできる。
【0015】なお、ウエブ14の両面には、連結ピン2
3を通す貫通孔14aの周辺を補強するための補強板2
5が添えられ、溶接されている。勿論、この補強板25
にも連結ピン23を通す貫通孔25aが形成されてい
る。補強板25と第1タイバー21との間、及び第1、
第2タイバー21,22どうしの間には、それぞれスペ
ーサリング26が挟まれ、このスペーサリング26に連
結ピン23が通されている。
【0016】図3に示すように、第1タイバー21の左
右両端部には、それぞれ連結ピン23を通す孔21a,
21bが形成されている。左側の孔は、真円形状の軸孔
21aになっている。これによって、タイバー21の左
端部は、連結ピン23の周り(すなわち橋軸と直交する
水平軸周り)に回転可能な回転端部となっている。一
方、右側の孔は、タイバー21の長手方向に延びる長孔
21bになっている。これによって、タイバー21の右
端部は、連結ピン23がスライド可能なスライド端部に
なっている。
【0017】同様にして、図4に示すように、第2タイ
バー22の左端部は、軸孔22aが形成されることによ
り回転端部となり、右端部は、長孔22bが形成される
ことによりスライド端部となっている。これによって、
これら第1、第2タイバー21,22の回転端部とスラ
イド端部にそれぞれ連結ピン23を介して連結された2
つの橋桁11どうしは、上下、左右に(橋軸に沿う垂直
平面上で)相対変位可能になっている。
【0018】第1、第2タイバー21,22の相違点を
説明する。それは、長孔21b,22bの長さと材質の
2点である。すなわち、第1タイバー21の長孔21b
の長径をL1とし、第2タイバー22の長孔22bの長
径をL2とすると、L1>L2になっている。したがっ
て、第2タイバー22は、第1タイバー21と比べて、
スライド端部による橋桁11のスライド許容距離が短く
(変位許容範囲が小さく)設定されている。第2タイバ
ー22の長孔22bの長径は、橋桁11の温度変化や微
小振動による通常の変位を許容する長さに設定される。
【0019】もう1つの相違点である材質について述べ
る。第1タイバー21は、通常橋桁材料と同じ鋼種の普
通鋼、例えばSM490Yで形成されている。その規格
値は降伏点が355N/mm以上、引張り強さは49
0〜610N/mm、伸びは19%以上である。一
方、第2タイバー22は、極低降伏点鋼(極軟鋼)、例
えばLYP100で形成されている。その規格値は降伏
耐力が90〜130N/mm、引張り強さは200〜
300N/mm、伸びは50%以上である。すなわ
ち、第2タイバー22は、第1タイバー21より降伏耐
力ないし降伏点が大幅に小さく、降伏後の伸びが著しく
大きい。
【0020】上記のように構成された落橋防止装置20
の作用について説明する。小さな地震による振動が橋桁
11に伝わった時は、タイバー21,22が相対的に回
転及びスライドすることにより橋桁11の上下、左右方
向の変位を許容することができ、連結状態を維持するこ
とができる。なお、タイバー21,22は、気温の変化
が生じたときも橋桁11の伸縮を許容することができ
る。
【0021】一方、大きな地震が起き、隣り合う橋桁1
1どうしが橋軸に沿って大きく離間しようとした時は、
第2タイバー22の長孔22bの右端縁(軸孔22aと
は逆側の縁)に連結ピン23が突き当たる。これによっ
て、第2タイバー22に地震エネルギーが伝達され、引
張り応力が働く。大地震時におけるこの引張り応力は、
極低降伏点鋼(極軟鋼)からなる第2タイバー22の降
伏耐力(90〜130N/mm)を大きく上回る。し
たがって、第2タイバー22が降伏し、塑性伸び変形を
来たす。この伸び変形によって上記の地震エネルギーを
吸収することができる。しかも、極低降伏点鋼(極軟
鋼)からなる第2タイバー22は、伸び率が極めて大き
い(規格値50%以上、実績値60%強)。よって、地
震エネルギーをより一層十分に吸収することができる。
また、極低降伏点鋼(極軟鋼)は衝撃特性も普通鋼に比
べ良好であるので、地震の第一波の衝撃も吸収し、脆性
亀裂が発生する事もない。
【0022】やがて、上記連結ピン23が更に第1タイ
バー21の長孔21bの右端縁にも突き当たり、第1タ
イバー21にも引張り応力が働く。この時、地震エネル
ギーは大きく減衰させられているので、通常橋桁鋼材と
同等の普通鋼からなる第1タイバー21はその引張り応
力に対して、十分な強度を有している。この結果、橋桁
11どうしがそれ以上離間するのを阻止して元の連結状
態を維持できる。更に大きな地震に対しては、第2ダイ
バー22で地震エネルギーを吸収したうえで、第1タイ
バーが残る地震エネルギーにより破断に至らない変形を
することで、橋桁11が橋脚12から落下するのを防止
することができる。
【0023】このように、第2タイバー22を降伏変形
させることで落橋を防止できる。更に第1タイバー21
が降伏変形する能力を持つことにより、特大地震のよう
な不測の事態に対するフェールセーフ的機能を付与でき
る。第1タイバー21が塑性変形しない場合、連結ピン
23を外すことによって破損した第2タイバー22だけ
を簡単に取り替えることができる。第1タイバー21も
変形した場合は連結ピン23を外すことによって両タイ
バー21,22を簡単に取り替えることができる。これ
によって、新たな大地震に備えることができる。落橋防
止装置20は、外観構成上は従来のタイバー連結構造が
二重になっただけであるので、取付けや取替え施工が容
易であり、コストも比較的低い。
【0024】次に、本発明の他の実施形態を説明する。
以下の実施形態において既述の実施形態と重複する構成
に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。図
5は、本発明の第2実施形態を示したものである。この
実施形態に係る落橋防止装置20’は、橋梁10の最端
部の橋桁11と橋台15(下部工)とを連結対象として
いる。橋桁11の下フランジ16にはブラケット28が
設けられ、橋台15の側面にはブラケット27が設けら
れ、これらブラケット27,28間に第1、第2タイバ
ー21,22が斜めに架け渡されている。タイバー2
1,22においてブラケット27側すなわち橋台15側
の端部は軸孔21a,22aを有する固定端部となり、
ブラケット28側すなわち橋桁11側の端部は長孔21
b,22bを有するスライド端部となっている。勿論、
橋台15側をスライド端部とし、橋桁11側を固定端部
としてもよい。
【0025】図6〜図8は、本発明の第3実施形態を示
したものである。この第3実施形態に係る落橋防止装置
20”は、上記第1実施形態の第1、第2タイバー2
1,22に代えて、第1、第2リンク機構30,40を
備えている。これらリンク機構30,40は、V形状を
なし、左右に隣り合う橋桁11どうしの間で拡縮可能に
なっている。
【0026】すなわち、第1リンク機構30(第1連結
手段)は、V形状に組まれた左右一対の板状のリンク部
材(タイバー)31,32を有している(図7)。第2
リンク機構40(第1連結手段)は、V形状に組まれた
左右一対の板状のリンク部材(タイバー)41,42を
有している(図8)。これらV形状のリンク部材31,
32とリンク部材41,42とが、前後(橋軸と直交す
る水平軸方向)に重なるように並べられている。
【0027】そして、左側のリンク部材31,41の上
端部が連結ピン23によって左側の橋桁11に回転可能
に連ねられている。これらリンク部材31,41の上端
部には、連結ピン23を通す真円形状の軸孔31a,4
1aがそれぞれ形成されている。
【0028】また、右側のリンク部材32,42の上端
部が連結ピン23によって右側の橋桁11に回転可能に
連ねられている。これらリンク部材32,42の上端部
には、連結ピン23を通す真円形状の軸孔32a,42
aがそれぞれ形成されている。
【0029】さらに、全てのリンク部材31,32,4
1,42の下端部が、橋桁11間の間隙10aにおいて
重ねられ、中間連結ピン23C(中間軸部材)によって
回転可能に連ねられている。各橋桁11のウエブ14の
端縁には、中間連結ピン23Cとの干渉を避けるための
凹部14bが形成されている。
【0030】リンク部材31,32,41,42の下端
部には、連結ピン23Cを通す孔31b,32b,41
b,42bがそれぞれ形成されている。そのうち、第1
リンク機構30の左側リンク部材31と、第2リンク機
構40の両リンク部材41,42のものは、真円形状の
軸孔31b,41b,42bになっている。一方、第1
リンク機構30の右側のリンク部材32のものは、長孔
32bになっている。長孔32bは、当該リンク部材3
2の長手方向に延びている。なお、孔32bを長孔にす
るのに代えて、第1リンク機構30の他の孔31a,3
1b,32aの何れか1つを長孔にしてもよい。また、
リンク部材31の孔31a,31bの何れか1つとリン
ク部材32の孔32a,32bの何れか1つとの合計2
つの孔を長孔にしてもよい。
【0031】第1リンク機構30のリンク部材31,3
2は、通常橋桁材料と同鋼種の普通鋼で形成されてい
る。一方、第2リンク機構40のリンク部材41,42
は、極低降伏点鋼(極軟鋼)で形成されている。
【0032】この第3実施形態において、小さな地震の
際は、左側のリンク部材31,41と右側のリンク部材
32,42とのなす角が拡縮することによって、隣り合
う橋桁11どうしの相対変位を許容できるとともに連結
状態を維持することができる。
【0033】一方、大きな地震が起き、左右のリンク部
材31,41及び32,42が一直線になるまで、隣り
合う橋桁11どうしが離間した時は、先ず第2リンク機
構40のリンク部材41,42に地震エネルギーが伝達
され、これらリンク部材41,42に引張り応力が働
く。この引張り応力により、極低降伏点鋼(極軟鋼)か
らなるリンク部材41,42が降伏し、塑性変形を来た
す。これによって、地震エネルギーを十分に吸収し、減
衰させることができる。リンク部材41,42の塑性変
形に伴って、第1リンク機構30の長孔32bに沿って
中間連結ピン23Cがスライドし、リンク部材31,3
2どうしが互いに離れる方向にずれる。やがて、中間連
結ピン23Cが長孔32bの端縁に突き当たり、リンク
部材31,32にも引張り応力が働く。この時、地震エ
ネルギーは十分に減衰されているので、この引張り応力
に対して、上記普通鋼からなるリンク部材31,32は
十分な強度を有しているので、橋桁11の連結状態を維
持できる。更に大きな地震に対しては、第2ダイバー4
1,42で地震エネルギーを吸収したうえで、第1タイ
バー31,32が、残る地震エネルギーにより破断に至
らない変形をすることで、橋桁11が橋脚12から落下
するのを防止することができる。
【0034】本発明は、上記実施形態に限定されず、種
々の改変が可能である。例えば、第1、第2実施形態に
おいて、第2タイバー22のスライド端部が、第1タイ
バー21のスライド端部とは逆側(つまり第1タイバー
21の固定端部と同じ側)の連結対象に連結されていて
もよい。第1タイバー21と第2タイバー22とは、重
なるように並んでいなくてもよく、互いに離れた位置で
連結対象間に架け渡され、別々の軸部材によって連結対
象に連結されていてもよい。第2実施形態において、橋
台15に代えて橋脚12(下部工)を連結対象の1つに
してもよい。
【0035】第3実施形態において、第1リンク機構3
0と第2リンク機構40とは、重なるように並んでいな
くてもよく、3つの軸部材をそれぞれ別々に有して、互
いに離れた位置に配されていてもよい。第3実施形態に
おいても、連結対象の1つを橋脚や橋台などの下部工に
することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の特
徴によれば、大地震が起きたときは、第2連結手段によ
って地震エネルギーを吸収することができる。これによ
り、橋桁の連結状態を確実に維持できる。更に大きな地
震に対しては、第1連結手段が破断に至らない変形をし
て残る地震エネルギーを吸収し、橋桁が橋脚や橋台から
落下するのを防止することができる。このように、第1
連結手段を降伏変形させる代わりに落橋を防止できるの
で、特大地震のような不測の事態に対するフェールセー
フ的機能を付与できる。本発明の第2の特徴によれば、
第1、第2連結手段をタイバー連結構造によって簡単に
構成することができ、施工の容易性や維持管理の容易性
を確保でき、コストの低廉化を図ることができる。本発
明の第3の特徴によれば、第1連結部材と第2連結部材
とに共通の軸部材を用いることができ、構成をより一層
簡単にすることができ、施工の容易性や維持管理の容易
性をより一層確実に確保でき、コストを一層低廉化する
ことができる。本発明の第4の特徴によれば、地震エネ
ルギーを確実に吸収でき、橋桁の連結状態を一層確実に
維持でき、落橋を一層確実に防止することができる。
【0037】本発明の第5の特徴によれば、連結対象ど
うしの離間許容範囲を大きくすることができる。本発明
の第6の特徴によれば、第1連結手段と第2連結手段と
に共通の軸部材を用いることができ、構成を簡単にする
ことができ、施工の容易性や維持管理の容易性を確保で
き、コストの低廉化を図ることができる。本発明の第7
の特徴によれば、地震エネルギーを確実に吸収でき、橋
桁の連結状態を一層確実に維持でき、落橋を一層確実に
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る落橋防止装置を備
えた橋梁の正面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う平面断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う、上記落橋防止装置の
断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う、上記落橋防止装置の断
面図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示し、橋梁の端の部分
の正面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る落橋防止装置の平
面図である。
【図7】図6において第1リンク機構の一対のリンク部
材の表面に沿うVII−VII線階段断面図である。
【図8】図6において第2リンク機構の一対のリンク部
材の表面に沿うVIII−VIII線階段断面図である。
【図9】従来のタイバー連結構造の落橋防止装置の一例
を示す正面図である。
【符号の説明】
10 橋梁 11 橋桁(連結対象) 12 橋脚(下部工、連結対象) 15 橋台(連結対象、下部工) 20 落橋防止装置 21 第1タイバー(第1連結部材) 21b 長孔 22 第2タイバー(第2連結部材) 22b 長孔 23 連結ピン(軸部材) 23C 中間連結ピン(中間軸部材) 30 第1リンク機構(第1連結手段) 31,32 リンク部材 32b 長孔 40 第2リンク機構(第2連結手段) 41,42 リンク部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D059 AA05 GG05 GG29

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 橋桁と橋桁又は橋桁と下部工からなる連
    結対象どうしを橋軸に沿う垂直平面上で相対変位可能に
    連結する第1、第2連結手段を有し、上記第2連結手段
    が、上記第1連結手段と比べて、降伏耐力または降伏点
    が小さく降伏後の伸びが大きい部材を主要構成とし、し
    かも変位許容範囲が小さいことを特徴とする橋桁の落橋
    防止装置。
  2. 【請求項2】 上記第1連結手段が、上記連結対象間に
    架け渡された第1連結部材を有し、上記第2連結手段
    が、上記連結対象間に架け渡された第2連結部材を有
    し、これら第1、第2連結部材の両端部のうちの1つ
    が、対応する連結対象に橋軸と直交する水平軸周りに回
    転可能に連結された回転端部になるとともに、他の1つ
    が、対応する連結対象を橋軸方向へスライド可能に連結
    するスライド端部になっており、上記第2連結部材が、
    上記第1連結部材と比べて、降伏耐力または降伏点が小
    さく降伏後の伸びが大きく、しかもスライド端部のスラ
    イド許容距離が短く設定されていることを特徴とする請
    求項1に記載の橋桁の落橋防止装置。
  3. 【請求項3】 上記第1、第2連結部材は、板状をなし
    て上記水平軸方向に重なるように並べられ、両端部が、
    上記連結対象に取り付けた軸部材によって回転可能に連
    ねられるとともに、上記スライド端部における軸部材挿
    通用の孔が長孔になっており、上記第2連結部材の長孔
    が、上記第1連結部材の長孔より短く、しかも第2連結
    部材の長孔の長径が連結対象の通常の変位を許容する長
    さに設定されていることを特徴とする請求項2に記載の
    橋桁の落橋防止装置。
  4. 【請求項4】 上記第1連結部材が、普通鋼で形成さ
    れ、上記第2連結部材が、極低降伏点鋼(極軟鋼)で形
    成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の
    橋桁の落橋防止装置。
  5. 【請求項5】 上記第1、第2連結手段は、各々、一対
    のリンク部材を橋軸と直交する水平軸周りに互いに回転
    可能に連結し、一方のリンク部材を一方の連結対象に上
    記水平軸周りに回転可能に連結し、他方のリンク部材を
    他方の連結対象に上記水平軸周りに回転可能に連結して
    なるリンク機構であり、しかも上記第1連結手段のリン
    ク部材の何れか1つ、もしくは両方が、当該リンク部材
    の2つの連結部間を結ぶ軸線方向にスライド可能にもな
    っており、上記第2連結手段のリンク部材が、上記第1
    連結手段のリンク部材と比べて、降伏耐力または降伏点
    が小さく降伏後の伸びが大きいことを特徴とする請求項
    1に記載の橋桁の落橋防止装置。
  6. 【請求項6】 上記リンク部材が各々板状をなし、同じ
    連結手段のものどうしがV形状に組まれることにより、
    V形状になった第1、第2連結手段どうしが上記水平軸
    方向に重なるように並べられ、両連結手段の上記一方の
    リンク部材どうしが上記一方の連結対象に取り付けた軸
    部材によって回転可能に連ねられ、両連結手段の上記他
    方のリンク部材どうしが上記他方の連結対象に取り付け
    た軸部材によって回転可能に連ねられ、両連結手段の全
    てのリンク部材どうしが上記連結対象間の中間部におい
    て中間軸部材によって回転可能に連ねられており、上記
    スライド可能なリンク部材における軸部材挿通用の孔の
    1つが、長孔になっていることを特徴とする請求項5に
    記載の橋桁の落橋防止装置。
  7. 【請求項7】 上記第1連結手段のリンク部材が、普通
    鋼で形成され、上記第2連結手段のリンク部材が、極低
    降伏点鋼(極軟鋼)で形成されていることを特徴とする
    請求項5又は6に記載の橋桁の落橋防止装置。
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