JP2002294488A - 耐酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法および電子部品 - Google Patents
耐酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法および電子部品Info
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Abstract
び電子部品の提供。 【解決手段】 銅、KCN、および銅濃度の0.01%以上
の濃度の銀を含有する銅メッキ液を用いて、銅合金から
なるリードフレーム等の被メッキ材上に、電気メッキを
行うことにより耐酸化性に優れた銅皮膜を有するリード
フレーム等を得る。この銅皮膜は、大気雰囲気中におい
て350℃のホットプレート上に10分間放置してその
表面に酸化皮膜を生じさせた後、冷却し、カソード還元
法によりこの酸化皮膜の厚みを測定したとき、その酸化
皮膜の厚みが0.4μm以下となる、耐酸化性に優れた
銅皮膜である。
Description
レーム、プリント基板等)分野等において使用される耐
酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法およびその銅皮膜
を有する電子部品に関するものである。
小型化、軽量化等が進行するにつれて、使用時の発熱に
よってモールド樹脂の膨れ、クラック、剥がれ等の不良
が発生し、信頼性に関し問題が生じていた。この点に関
し銅皮膜の耐酸化性の向上が求められている。この対策
の一つとして、銅メッキ皮膜上にさらに独立した銀メッ
キ皮膜を形成させる方法の提案がある。
ば高価な銀を多く使用すること、工程数が増加するこ
と、マイグレーションが発生すること等の多くの問題が
生じる。さらに、他の対策として、銅メッキ皮膜の厚み
の増加、表面処理剤中における有機物の低減、下地ニッ
ケルメッキ処理等が提案されているが、銅皮膜自体の特
性の改善については未だ開発されるに至っていない。
決し、耐熱面における信頼性の向上を図るべく、銅皮膜
中の粒子自体に着目することにより耐酸化性に優れた銅
皮膜、その効率的な形成方法、さらにその銅皮膜を有す
る電子部品、を提供するものである。
銀含有量が0.005%以上であることを特徴とする耐
酸化性に優れた銅皮膜;第2に、大気雰囲気中における
350℃での10分間の加熱により表面に生じる酸化皮
膜のカソード還元法測定による厚みが0.4μm以下で
あることを特徴とする耐酸化性に優れた銅皮膜;第3
に、銅皮膜中の銀含有量が0.005%以上であり、大
気雰囲気中における350℃での10分間の加熱により
表面に生じる酸化皮膜のカソード還元法測定による厚み
が0.4μm以下であることを特徴とする耐酸化性に優
れた銅皮膜;第4に、前記銅皮膜が銅メッキ皮膜であ
る、第1〜3のいずれかに記載の銅皮膜;第5に、銅濃
度の0.01%以上の濃度の銀を含有する銅メッキ液を
用いて被メッキ材上に電気メッキを行うことを特徴とす
る、第1〜4のいずれかに記載の耐酸化性に優れた銅皮
膜を形成する方法;第6に、前記銅メッキ液中の銀濃度
が銅濃度の0.01%以上かつ1%未満である、第5記載
の方法;第7に、表面に第1〜4のいずれかに記載の銅
皮膜を有する電子部品;第8に、前記電子部品がリード
フレームまたはプリント基板である、第7記載の電子部
品、を提供するものである。
による銅メッキ皮膜が好ましいが、MOCVD、スパッ
タリング、蒸着等の他の化学的、物理的方法によっても
形成することができる。銅皮膜中の銀含有量(単に、銀
含有量ということがある)が0.005重量%(単に、
%で表す)以上の場合に、大気雰囲気中における350
℃での10分間の加熱により表面に生じる酸化皮膜のカ
ソード還元法測定による厚み(単に、酸化皮膜厚みとい
うことがある)が0.4μm以下という優れた耐酸化性
を得ることができる。一方、銀含有量が0.005%未
満の場合には酸化皮膜厚みが0.4μmを超えてしまい
優れた耐酸化性を得ることができない。銅メッキ皮膜を
形成するにあたって用いられる銅メッキ液については液
中の銀濃度(g/L)が銅濃度(g/L)の0.01%以上
の濃度(単に、銀濃度ということがある)であることが
必要であって、この場合に銅メッキ皮膜中の銀含有量を
0.005%以上とすることができ、耐酸化性に優れた
銅メッキ皮膜が得られる。一方、0.01%未満の銀濃
度では銀含有量が0.005%未満となり優れた耐酸化
性を得ることができない。ただし、銀濃度が1%以上に
なると、銀含有量を0.25%以上とすることができ耐
酸化性を得ることができるものの、銅メッキ液中の銀が
銅メッキ皮膜上に置換析出してくるので、コスト、操業
管理等の面から不利になり、銅メッキ皮膜の形成にあた
っては銅メッキ液中の銀濃度は銅濃度の0.01%以上
かつ1%未満の濃度範囲とすることが好ましい。
してリードフレーム、プリント基板等の電子部品があげ
られ、その場合の銅皮膜の形成方法としては電気メッキ
が好ましいが、電子部品を構成する材質の耐食性、耐熱
性、表面形状等の諸特性に応じて上記のMOCVD、ス
パッタリング、蒸着等の他の化学的、物理的方法を適宜
採用し耐酸化性に優れた銀含有量0.005%以上の銅
皮膜を形成することができる。
を高精度に容易に測定できる方法として従来から行われ
ているカソード還元法を採用するものであり、本発明に
おいて銅皮膜上に生じた酸化皮膜厚みを測定するために
使用した装置の断面図を図1に示す。この装置は、本発
明に係る電気メッキ法によって被メッキ材上に耐酸化性
に優れた銅皮膜を形成した後、これを大気雰囲気中にお
いて350℃で10分間加熱して酸化皮膜を形成させた
試料をカソードとし、純銅板をアノードとし、0.1N
KCN溶液を電解液としたセルでの各電極と、このセルと
塩橋で連通され、KCN飽和溶液を電解液としたセル内で
の参照極とに配線され、かつレコーダーを備えたガルバ
ノスタットである。この装置を用いて通電することによ
り、試料表面の酸化皮膜は還元され、その還元量を測定
することにより酸化皮膜の厚みを求めることができる。
実施例で得られた酸化皮膜を電流密度 0.6 A/dm
2、常温の条件で測定した結果、―600 mV(S.C.E)付
近にのみ変曲点が観察されたことにより、酸化皮膜をCu
Oとし、以下の計算式によって酸化皮膜の厚みを求め
た。 δ=J×ip×t×105/(F×D) ここで、δは酸化皮膜の厚み(Å)、Jは酸化物当量(Cu
O:39.8g)、ipは電流密度(mA/cm2)、tは電解
時間(sec)、Fはファラデー定数(96500C=965
00×103 mA・sec)、Dは酸化物密度(CuO:6.
4g/cm3)である。
が、本発明はこれに限定されるものではない。
5 g/L 、銀濃度 0.007 g/L(すなわち、銅濃
度の0.01%)となるように調整した銅メッキ液を用
いて、銅合金の被メッキ材上に、液温50℃、70℃の
それぞれの場合において、電流密度5A/dm2の条件下
で電気メッキを行い、約1μmの厚さの銅メッキ皮膜を
形成した試料を得た。この試料を大気雰囲気中において
350℃のホットプレート上に10分間放置した後、冷
却し、図1の装置を用いカソード還元法によって銅メッ
キ皮膜上の酸化皮膜の厚みを測定した。また、この電気
メッキに伴って銅メッキ液中に含有されている銀が置換
析出するかどうかを目視で確認した。これらの結果は、
図2のグラフ、表1に示されるとおりであり、50℃、
70℃のときの電気メッキで形成された銅メッキ皮膜上
の酸化皮膜の厚みはそれぞれ、0.37μm、0.32
μmであって、いずれの場合も0.4μm以下であり、
従来の銅メッキ皮膜の場合の酸化皮膜の半分以下の厚み
にすることができた。さらに、銅メッキ液中に含有され
る銀の置換析出も認められない、耐酸化性に優れた良好
な銅メッキ皮膜であった。また、50℃で形成された銅
メッキ皮膜中の銀含有量は0.0079%であった。
0.07 g/L(すなわち、銅濃度の0.1%)とした以
外は実施例1と同一条件で電気メッキを行った場合の結
果は、図2のグラフ、表1に示されるとおりであり、5
0℃、70℃のときの電気メッキで形成された銅メッキ
皮膜上の酸化皮膜の厚みはそれぞれ、0.30μm、
0.29μmであって、いずれの場合も0.4μm以下
であり、従来の銅メッキ皮膜の場合の酸化皮膜の半分以
下の厚みにすることができた。さらに、銅メッキ液中に
含有される銀の置換析出も認められない、耐酸化性に優
れた良好な銅メッキ皮膜であった。また、50℃で形成
された銅メッキ皮膜中の銀含有量は0.0399%であ
った。
0.7 g/L(すなわち、銅濃度の1%)とした以外は実
施例1と同一条件で電気メッキを行った場合の結果は、
図2のグラフ、表1に示されるとおりであり、50℃、
70℃のときの電気メッキで形成された銅メッキ皮膜上
の酸化皮膜の厚みはそれぞれ0.27μm、0.26μ
mであって、いずれの場合も0.4μm以下であり、従
来の銅メッキ皮膜の場合の酸化皮膜の半分以下の厚みで
あり、耐酸化性に優れた銅メッキ皮膜が得られた。ま
た、50℃で形成された銅メッキ皮膜中の銀含有量は
0.2886%であった。ただし、銅メッキ液中に含有
される銀の置換析出が認められた。
0.0007 g/L(すなわち、銅濃度の0.001
%)とした以外は実施例1と同一条件で電気メッキを行
った場合の結果は、図2のグラフ、表1に示されるとお
りであり、50℃、70℃のときの電気メッキで形成さ
れた銅メッキ皮膜上の酸化皮膜の厚みはそれぞれ、0.
85μm、0.79μmであり、いずれも本発明におけ
る銅メッキ皮膜の場合の酸化皮膜の2倍以上の厚みであ
り、耐酸化性に優れた銅メッキ皮膜を得ることができな
かった。また、50℃で形成された銅メッキ皮膜中の銀
含有量は0.0024%であった。
とした以外は実施例1と同一条件で電気メッキを行った
場合の結果は、図2のグラフ、表1に示されるとおりで
あり、50℃、70℃のときの電気メッキで形成された
銅メッキ皮膜上の酸化皮膜の厚みはそれぞれ0.85μ
m、0.81μmであり、いずれも本発明における銅メ
ッキ皮膜の場合の酸化皮膜の2倍以上の厚みであり、耐
酸化性に優れた銅メッキ皮膜を得ることができなかっ
た。
化性を有するものであって、独立した銀メッキ層で被覆
することを必要とせず、したがってマイグレーションも
発生せず、電子部品における信頼性を大いに向上させる
ものであり、特に、銅メッキ液中に低濃度の銀を含有さ
せて電気メッキすることにより効率的かつ低コストで耐
酸化性に優れた銅皮膜を形成することができる。また本
発明に係る銅皮膜を表面に有する電子部品は通電・使用
に伴う発熱によって従来発生していた銅皮膜のクラッ
ク、剥がれ、モールド樹脂の膨れ等の問題を解決でき、
薄型化、小型化、軽量化が進行する電子部品の耐酸化信
頼性を大幅に向上できる。
の酸化皮膜の厚みを測定するために使用する装置の断面
図である。
銅メッキ液中の銀濃度/銅濃度の比(%)と、この銅メ
ッキ液を用いた電気メッキによって得られた銅メッキ皮
膜を所定の温度、時間で酸化処理をしたときに生じる酸
化皮膜の厚み(μm)との関係を示すグラフである。
Claims (8)
- 【請求項1】 銅皮膜中の銀含有量が0.005%以上
であることを特徴とする耐酸化性に優れた銅皮膜。 - 【請求項2】 大気雰囲気中における350℃での10
分間の加熱により表面に生じる酸化皮膜のカソード還元
法測定による厚みが0.4μm以下であることを特徴と
する耐酸化性に優れた銅皮膜。 - 【請求項3】 銅皮膜中の銀含有量が0.005%以上
であり、大気雰囲気中における350℃での10分間の
加熱により表面に生じる酸化皮膜のカソード還元法測定
による厚みが0.4μm以下であることを特徴とする耐
酸化性に優れた銅皮膜。 - 【請求項4】 前記銅皮膜が銅メッキ皮膜である、請求
項1〜3のいずれかに記載の銅皮膜。 - 【請求項5】 銅濃度の0.01%以上の濃度の銀を含
有する銅メッキ液を用いて被メッキ材上に電気メッキを
行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載
の耐酸化性に優れた銅皮膜を形成する方法。 - 【請求項6】 前記銅メッキ液中の銀濃度が銅濃度の
0.01%以上かつ1%未満である、請求項5記載の方
法。 - 【請求項7】 表面に請求項1〜4のいずれかに記載の
銅皮膜を有する電子部品。 - 【請求項8】 前記電子部品がリードフレームまたはプ
リント基板である、請求項7記載の電子部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001094774A JP2002294488A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 耐酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法および電子部品 |
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JP2001094774A JP2002294488A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 耐酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法および電子部品 |
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---|---|
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ID=18948923
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JP2001094774A Pending JP2002294488A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 耐酸化性に優れた銅皮膜、その形成方法および電子部品 |
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Country | Link |
---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2001
- 2001-03-29 JP JP2001094774A patent/JP2002294488A/ja active Pending
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KR102579984B1 (ko) * | 2017-04-20 | 2023-09-18 | 우에무라 고교 가부시키가이샤 | 전기 구리 도금욕 및 전기 구리 도금 피막 |
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