JP2002294414A - 加工性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
製造方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、Si:4%以下、Mn:
2%以下、sol.Al:0.1〜2 %、S:0.0
3%以下、P:0.2%以下、N:0.01%以下、ま
たはさらに、SnおよびSbの1種または2種をSb+
Sn/2として0.002〜0.15%含み、Tiおよ
びNbをこれらの含有量の総和で0.0005〜0.0
1%含み、かつC含有量[%C]とTiとNbの含有量の
総和[%Ti+%Nb]および結晶粒径d(μm)が下式
を満たし、残部実質的にFeからなり、降伏伸びYPE
Lが2%以下である加工性に優れた無方向性電磁鋼板。
Description
鉄心材料等に使用される電磁鋼板に関する。
るいは自動車電装品の小型・高効率化の動きを受けて、
これまで冷延鋼板(以下、SPCCと称す)が使用され
てきた小型モータや小型発電機(オルタネータ)等の用
途に、電磁鋼板の適用が検討されつつある。このような
用途には、例えば、クロー型PMステッピングモータの
ようにヨーク部をプレス加工するものや、オルタネータ
のようにステータ部を板面方向に曲げ加工(ヘリカル積
層)するものがあり、電磁鋼板を適用するにあたって
は、磁気特性だけでなく、SPCCと同等の優れた加工
性も要求されている。
工法も開発されつつあり、例えばサーボモータでは、ポ
キポキコアとも呼ばれる、ステータの一部を曲げ加工し
てコア形状に成形するものもある。
用品種の拡大、あるいは新たな組立工法の導入に伴い、
打ち抜き加工が主流であった電磁鋼板において曲げ加工
性、プレス成形性といった新たな鋼板性能が要求されつ
つある。これに対し、特開平09−256119号公報
では、成分と製造条件の適正化により曲げ加工時の腰折
れの原因となる降伏伸び(以下、YPELと称す)を低
減する工夫がなされており、具体的には、Nを固定する
ためにAlを0.15〜0.50%含有した電磁鋼板に
スキンパス圧延を施す方法が開示されている。
は、良好な磁気特性とプレス成形性を付与するために、
脱酸形態と析出物の種類を適正化して、面内異方性、降
伏強度(以下、YSと称す)、YPELを低減する技術
が開示されている。
09−256119号公報では、加工性を向上させる手
段として0.8%以上の伸長率のスキンパス圧延を必要
とするので、磁気特性の大幅な劣化を招く。さらに、C
は固溶した状態で存在するため、時効によりYPELが
再発現して加工性の劣化が生じる問題を有している。
は、時効性の低減は十分とはいえず、さらなる加工性の
向上が望まれている。
のであり、加工性に優れた無方向性電磁鋼板およびその
製造方法を提供することを目的とする。
と加工性に優れた無方向性電磁鋼板を得るために、磁気
特性の劣化を極力抑えながら加工性の劣化原因となるY
PELの低減手法について鋭意研究を重ねた。その結
果、以下に示す3つの知見を得た。 (1)電磁鋼板で通常3〜6%存在するYPELは、固
溶Cの大幅な低減と結晶粒の十分な粗大化を同時に図る
ことにより格段に低減される。そして、固溶Cの低減に
は、C含有量の低減に加えて、Ti、Nb等の炭窒化物
形成元素を微量含有させることが有効である。 (2)脱炭焼鈍によりCの低減を行う場合は、微量のS
b及び/又はSnを添加することで磁気特性が改善され
る。 (3)0.4%以上の伸長率でスキンパス圧延を施すこ
とによりYPELは一層低減される。
で、以下のような構成を有する。
n:2%以下、sol.Al:0.1〜2 %、S:
0.03%以下、P:0.2%以下、N:0.01%以
下、TiおよびNbをこれらの含有量の総和で0.00
05〜0.01%含み、かつC含有量[%C]とTiとN
bの含有量の総和[%Ti+%Nb]および結晶粒径d
(μm)が下式を満たし、残部実質的にFeからなり、
降伏伸びYPELが2%以下であることを特徴とする加
工性に優れた無方向性電磁鋼板。 ([%C]−0.15×[%Ti+%Nb])/d2/3≦
1.3×10-4
s%で、SnおよびSbの1種または2種をSb+Sn
/2として0.002〜0.15%含むことを特徴とす
る加工性に優れた無方向性電磁鋼板。
板を製造するに際し、連続焼鈍温度:700〜950℃
で連続焼鈍時間:30sec以上の連続焼鈍を施す、又
は、バッチ焼鈍温度:600〜1000℃でバッチ焼鈍
後冷却速度:1℃/sec以下で冷却することを特徴と
する加工性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
率:0.4%以上のスキンパス圧延を施すことを特徴と
する加工性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
にFe」とは、本発明の作用効果を無くさない限り不可
避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発
明の範囲に含まれ得ることを意味する。また、本明細書
において鋼の成分を示す%はすべてmass%である。
由とともに説明する。電磁鋼板では通常3〜6%のYP
ELが存在しており、このYPELの存在は曲げ加工時
の腰折れやプレス加工時のしわ模様を発生させる原因と
なる。また、腰折れが発生した部分では局部的に大きな
塑性変形が加わるのでコア材の一部に破断を引き起こす
場合もある。
素の存在により発生するが、通常、電磁鋼板では0.0
015〜0.0050%のCを含有するのでYPELを
低減するのは容易ではなかった。例えば、0.0015
〜0.0050%のCをセメンタイト系のカーバイトと
して析出させることは難しく、またスキンパス圧延を実
施したとしても固溶Cは存在したままなので、時効によ
り加工性の劣化が生じる。
かつ加工性を向上させる手段として、固溶Cの低減と結
晶粒径の適正化に着目してYPEL低減の検討を行っ
た。固溶Cの低減手段として、製鋼脱ガス処理、あるい
は脱炭焼鈍によるC含有量の低減に加えて、炭窒化物形
成元素であるTi、Nbの析出を利用することも試み
た。
有量を極力低減するとともに、 Ti、Nbを鋼板の粒
成長性があまり劣化しない範囲、すなわちTi、Nbの
総量で5〜100ppmの範囲で含有させ、さらに結晶
粒径を所定範囲まで粗大化して歪の伝播性を高めること
により、YPELは従来の電磁鋼板より格段に低減され
ることを見いだした。詳細を以下に記す。
含有量、Nb含有量、結晶粒径の影響を調査した。
n:0.35%、P:0.1%、S:0.003%、s
ol.Al:0.25%、N:0.0025%とし、T
i:0〜0.01%、Nb:0〜0.01%と変化させ
た鋼を溶解し、熱間圧延を施して、板厚2mmの熱延板
を得た。この時のスラブの加熱温度は1200℃とし、
仕上げ圧延温度は810℃、巻取温度は670℃とし
た。なお、Nを粗大な窒化物として固定しYPELに及
ぼす固溶Nの影響をなくすために、Alを0.25%含
有する鋼を選定した。
た後に、5%H2−95%N2、露点:−40〜20℃の
雰囲気中で710〜940℃×40〜70secの焼鈍
を施し、C含有量を0〜0.0040%の範囲に調整
し、結晶粒径が11〜88μmの範囲の供試材を得た。
ち、Tiが0.0005%、Nbが0.0002%含有
しており結晶粒径が18μmの供試材、ならびにTiを
0.0030%、Nbを0.0010%含有しており結
晶粒径が18μmの供試材のC含有量とYPELの関係
を示す。ここで、YPELの測定はJIS5号引張試験
片にて行った。
供試材、Tiを0.0030%含有する供試材ともに、
C含有量低減に伴いYPELは低減することがわかる。
そして、Tiを0.0005%含有する供試材では、C
含有量が0.0015%以下の領域で特にYPELの減
少幅が大きくなり、C含有量が0.0010%以下の領
域ではYPELは2%以下にまで低減されることがわか
る。また、Tiを0.0030%含有する供試材では、
C含有量が0.0015%以下の領域でYPELが2%
以下に低減されている。
抽出残渣を利用して上記で得られた供試材について析出
物の調査を行ったところ、Ti、Nbを含有する供試材
では、焼鈍時にTi−Nb系の炭化物が析出してCを固
定していることが判明した。そこで、鋼板組成、結晶粒
径及び機械特性との関係を明らかにするために、種々の
C、Ti、Nb含有量、結晶粒径を有する供試材につい
て、焼鈍後の化学成分、結晶粒径とYPELの関係を整
理した。ここで、供試材はC、Ti、Nb含有量を変え
た以外は図1と同様である。図2に結晶粒径、焼鈍後の
化学成分及びYPELとの関係を示す。なお、良好な曲
げ加工性を確保するためには、YPELを2%以下にす
る必要があるので、図2において、YPEL≦2%の鋼
板を○で、YPEL>2%の鋼板を●として示した。
粒径が([%C]−0.15×[%Ti+%Nb]/d2/3
≦1.3×10-4を満たすときにYPELは2%以下に
低減されることがわかる。
に、上記で得られた供試材のうち、C含有量が0.00
10%でTi含有量が0.0030%、Nb含有量が
0.0010%であり、なおかつ結晶粒径が18μmの
供試材とC含有量が0.0025%でTi含有量が0.
0030%、Nb含有量が0.0010%であり、なお
かつ結晶粒径が18μmの供試材について、磁気特性、
機械特性の時効挙動を調査した。さらに、C含有量が
0.0025%の供試材については仕上焼鈍後に伸長率
1%のスキンパス圧延を実施し、スキンパス圧延材の時
効挙動も調査した。得られた結果を表1に示す。ここ
で、時効処理は、25℃の恒温槽で最大90日保持する
ことにより行った。また、磁気特性の測定は25cmエ
プスタイン法により行った。
試材では、鉄損、YPEL、YSともに低く、時効によ
るYPEL、YSの増加も生じない。また、磁気特性も
良好である。一方、C含有量が0.0025%の供試材
では、YPEL、YSはともに高い。スキンパス圧延を
施した供試材では、磁気特性が劣化するうえに、時効に
よりYPELが増加している 以上の理由により、C含有量が0.0010%でTi含
有量が0.0030%、Nb含有量が0.0010%で
あり、なおかつ結晶粒径が18μmの供試材の鋼板、す
なわち、C、Ti、Nb含有量と結晶粒径が([%C]−
0.15×[%Ti+%Nb]/d2/3≦1.3×10-4
の範囲にある鋼板では、YPELが低く、なおかつ磁気
特性と耐時効性にも優れていることがわかる。
有量が0.0016〜0.0018%の供試材につい
て、Ti、Nb含有量と機械特性、磁気特性の関係を調
査した。得られた結果を表2に示す。
0.0005〜0.01%の範囲内にあるときはYPE
L、磁気特性とも良好であるが、0.01%を超えるも
のでは磁気特性が極端に劣化することがわかる。その原
因を光学顕微鏡、TEMにて調査したところ、Ti、N
bの含有量が多すぎると、TiC、NbC、TiS、T
iN等の析出物が増加して熱延板および焼鈍板の粒成長
性が著しく劣化していることが判明した。
[%C]、TiとNbの含有量の総和[%Ti+%Nb]と
結晶粒径d(μm)は、[%C]−0.15×[%Ti+
%Nb]/d2/3≦1.3×10-4を満たすものとする
(ただし、C含有量は0%の場合を含む)。また、Ti
とNbの含有量はこれらの総和で0.0005〜0.0
1%とする。
場合には、鋼板の表層10〜20μmに酸化や窒化の生
じた領域が観察された。この酸化や窒化は、磁気特性の
劣化の原因となり、これらを防止すれば磁気特性がさら
に向上すると考えられる。
して、本発明者らは微量のSn、Sb添加に着目し、図
2で得られた供試材にSbを添加し、酸化および窒化の
防止について検討を行った。得られた結果を表3に示
す。
性が向上することがわかる。そこで、Sn、Sbの効果
についてさらに詳細な調査を行ったところ、SnはSb
と同じように酸化および窒化の防止効果はあること、そ
の効果はSbより弱く、Sbと同等の効果を得るために
はSbの2倍の含有量を必要とすることが判明した。さ
らに、Sb+Sn/2で0.002未満の添加では酸化
および窒化の防止効果は小さく、一方、Sb+Sn/2
で0.15%超えの添加では材料の脆化、磁気特性の劣
化を招くことが判明した。したがって、以上の理由によ
り、本発明では、SnおよびSbの1種または2種をS
b+Sn/2として0.002〜0.15%の範囲で含
有させることが望ましい。
PELを2%以下に低減するための製造条件について検
討を行うため、C含有量が0.0010%でTi含有量
が0.0030%、Nb含有量が0.0010%の鋼板
について仕上げ焼鈍(連続焼鈍)条件とYPELの関係
について調査を行った。なお、ここで、得られた結果を
表4に示す。なお、ここで、C、Ti、Nb以外の成分
及び仕上げ焼鈍(連続焼鈍)条件以外は図1と同様であ
る。仕上げ焼鈍時間を調整することにより結晶粒径を1
7〜18μmに調整した。また、連続焼鈍での生産性を
考慮して、焼鈍後の冷却は、650℃までの冷却速度を
10℃/sec、650℃から室温までの温度域の冷却
速度を20℃/secとした。
では、700〜950℃の範囲で30sec以上の仕上
げ焼鈍を行えば、YPELが2%以下に低減出来ること
がわかる。700℃以下では、再結晶させるための焼鈍
時間が長くなり、また、950℃を超えるとTiC、N
bCの一部が固溶するので十分YPELが低減されず、
十分な効果を得るには冷却速度をさらに遅くする等の対
策が必要となる。
ない範囲で、仕上げ焼鈍に連続焼鈍を適用する場合は、
連続焼鈍温度を700〜950℃の範囲で連続焼鈍時間
を30sec以上とすることが望ましい。
TiC、NbC等の析出物が固溶したとしても、冷却中
に析出させることは可能である。そこで、上記を考慮し
た上で、バッチ焼鈍を用いた場合のYPELを低減する
製造条件について検討を行うため、C含有量が0.00
14%でTi含有量が0.0040%、Nb含有量が
0.0020%の鋼板についてバッチ焼鈍条件とYPE
Lの関係について調査を行った。得られた結果を表5に
示す。なお、ここで、C、Ti、Nb以外の成分及びバ
ッチ焼鈍(連続焼鈍)条件以外は図1と同様である。ま
た、バッチ焼鈍における昇温速度は0.2℃/secと
し、均熱時間は30〜60minとした。また、バッチ
焼鈍後の冷却は、通常、冷却速度1℃/sec以下で行
われるので、冷却速度1℃/sec以下の範囲で冷却を
行った。
ッチ焼鈍した後に1℃/sec以下の冷却を行えば、十
分TiC、NbC等は析出されYPELは低減されるこ
とがわかる。
鈍を適用する場合は、焼鈍温度を600〜1000℃の
範囲とし、その後の冷却を冷却速度を1℃/sec以下
で行うことが望ましい。
めて高い曲げ成形性が要求される用途では、ユーザでの
加工性、生産性向上の観点から、磁気特性をある程度犠
牲にしてもYPELのさらなる低減が望まれる。そこ
で、YPELのさらなる低減を目的として、スキンパス
圧延の実施による一層のYPELの低減を検討した。
n:0.35%、P:0.1%、S:0.003%、s
ol.Al:0.25%、N:0.0025%、Ti:
0.0030%、Nb:0.0010%とした鋼を溶解
し、熱間圧延、冷間圧延を施して0.5mmの冷延板と
した。引き続き、5%H2−95%N2、露点:−40、
15℃の雰囲気中で770℃×60secの焼鈍を施
し、結晶粒径を18μm、C含有量が0.0025%と
0.0010%の鋼板を得た。その後、スキンパス圧延
率を0〜2%の範囲で行い、さらに25℃の高温槽の中
に最大で90日保持し、時効性と磁気特性を調査した。
得られた結果を表6に示す。
板、すなわち本発明範囲内の鋼板では、0.4%のわず
かな伸長率でも十分YPELを低減することができ、さ
らに25℃×90日の時効試験後にもYPELの再発現
がほとんど見られないことがわかる。
すなわち本発明範囲外の鋼板では、YPELをほぼ完全
に消失させるには0.8%以上の伸長率が必要であり、
磁気特性は劣化している。さらに、25℃×90日の時
効試験後にはYPELが再発現することがわかる。以上
の理由により、本発明鋼板に、伸長率0.4%以上でス
キンパス圧延を施することによりYPELがさらに低減
することがわかる。よって、一層のYPELの低減を行
う場合は、伸長率0.4%以上でスキンパス圧延を行う
ことが望ましい。
する。
するのに有効な元素である。しかし、4%超えで添加し
ても鉄損の低減効果は小さく、YSの上昇やELの低下
による加工性の劣化を招く。以上の理由により、Siの
含有量は4%以下(但し、0%の場合を含む)とする。
成長性向上の目的で添加される。しかし、2%を超えて
添加すると、磁気特性が劣化し、YSの上昇やELの低
下により加工性も劣化する。以上の理由により、Mnの
含有量は2%以下(但し、0%の場合を含む)とする。
成長性も確保する必要がある。よって、sol.Alの
含有量は0.1%以上とする。ただし、2%を超えで添
加しても鉄損の低減効果は小さく、いたずらに強度上昇
を招くので、上限は2%以下とする。
および延性の低下を招くため0.03%以下(但し、0
%の場合を含む)とする。
鉄損を低減する元素である。ただし、0.2%を超えて
添加するとYSの上昇、ELの低下による加工性の著し
い劣化を招くため、Pの含有量は0.2%以下(但し、
0%の場合を含む)とする。Nは0.01%超えの添加
ではAlNの析出量が多くなり、磁気特性の劣化や加工
性の劣化を招く。そのためNの含有量は0.01%以下
とする。次に本発明の加工性に優れた無方向性電磁鋼板
の製造方法について説明する。
る成分、結晶粒径が本発明の範囲内とし、例えば、転炉
で吹練した溶鋼を脱ガス処理し所定の成分に調整し、引
き続き鋳造、熱間圧延を行う。ここで、熱間圧延条件
は、特に規定しないが、仕上圧延温度は780〜850
℃、巻取り温度は600〜720℃の範囲とするのが好
ましい。また、熱間圧延後の熱延板焼鈍は行っても良い
が必須ではない。
をはさむ2回以上の冷間圧延により所定の板厚とした後
に、仕上げ焼鈍を行う。仕上げ焼鈍を連続焼鈍とする場
合には700〜950℃の範囲で30sec以上実施す
ることが望ましい。これは、950℃を超えるとTi
C、NbCが一部固溶するのでCを固定する効果が低下
すること、700℃以下の温度では再結晶に要する焼鈍
時間が増大することによる。また、この温度域で完全に
再結晶させるためには、少なくとも30sec以上の焼
鈍が必要であるので、焼鈍時間は30sec以上とする
ことが望ましい。一方、仕上げ焼鈍をバッチ焼鈍とする
場合には600〜1000℃の範囲で焼鈍した後に1℃
/sec以下の冷却速度で冷却することが望ましい。こ
の範囲の焼鈍条件、冷却条件であれば十分な再結晶、析
出が行われるので、良好な特性が得られる。
伸長率0.4%以上のスキンパス圧延を施すことが望ま
しい。
脱ガス、熱延板や冷延板への脱炭焼鈍の適用等により、
本発明の範囲とすることができる。
方向に切断した面内に存在する結晶粒の平均径であり、
例えば、最終焼鈍における焼鈍温度、焼鈍時間を調整す
ることにより本発明で規定する範囲とすることができ
る。
き性や絶縁性を向上する目的で、有機/無機混合被膜が
塗布される場合がある。しかし、本発明の効果は被膜の
塗布に拘わりなく得られるものであり、被膜を塗布した
場合にも同様の効果が得られる。
性電磁鋼板が得られる。
成分に鋳造後、1200℃×1hrのスラブ加熱を行っ
た後、板厚2.0mmまで熱間圧延を行い、酸洗を行っ
た。引き続き、板厚0.5mmまで冷間圧延を行った後
に、10%H2−90%N2、露点:−40〜20℃の雰
囲気で700℃〜1000℃×30sec〜60min
の仕上焼鈍を行った。また、得られた鋼板の時効性を調
査するために、一部鋼板については仕上げ焼鈍後にスキ
ンパス圧延を実施した。
晶粒径を表7に、仕上げ焼鈍温度、仕上げ焼鈍時間、冷
却速度、スキンパス圧延の伸長率、仕上げ焼鈍後の鋼板
の機械特性、磁気特性を表8に示す。
IS5号引張試験片にて行い、スキンパス圧延を実施し
たものについてはスキンパス圧延直後のYPELと25
℃の恒温槽にて90日保持した後のYPELを測定し
た。また、磁気測定は25cmエプスタイン試験片を用
いて行った。
囲内に制御した本発明例においては、YPELが低く磁
気特性に優れていることがわかる。また、25℃×90
日の時効後のYPELも焼鈍後もしくはスキンパス圧延
後のYPELとほば変わらず、時効によるYPELの劣
化も生じないことがわかる。さらに、スキンパス圧延を
行った本発明例では、YPELがより低減されているこ
とがわかる。一方、No.8の比較例は、成分と結晶粒
径の関係が本発明の範囲外なのでYPELが高い。N
o.9の比較例は、Ti+Nbの含有量が本発明の範囲
外なので、磁気特性に劣る。また、No.10の比較例
は、焼鈍温度が本発明の範囲外なのでYPELが高い。
1の比較例は、スキンパス圧延直後のYPELに比べ時
効後のYPELが高くなっており、時効後のYPELの
劣化が認められる。また、鉄損も劣る。
工性および磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を得るこ
とができる。さらに、本発明鋼板を用いることによって
加工性向上し、その結果としてユーザーでの生産性、作
業性の向上、ならびに鉄損低減によるモータや発電器の
効率の向上に寄与することができ、モータや発電機の鉄
心材料等に使用される材料として最適である。
0.15×[%Ti+%Nb])及びYPELとの関係を
示すグラフ。
Claims (4)
- 【請求項1】 mass%で、Si:4%以下、Mn:
2%以下、sol.Al:0.1〜2 %、S:0.0
3%以下、P:0.2%以下、N:0.01%以下、T
iおよびNbをこれらの含有量の総和で0.0005〜
0.01%含み、かつC含有量[%C]とTiとNbの含
有量の総和[%Ti+%Nb]および結晶粒径d(μm)
が下式を満たし、残部実質的にFeからなり、降伏伸び
YPELが2%以下であることを特徴とする加工性に優
れた無方向性電磁鋼板。 ([%C]−0.15×[%Ti+%Nb])/d2/3≦
1.3×10-4 - 【請求項2】 さらに、mass%で、SnおよびSb
の1種または2種をSb+Sn/2として0.002〜
0.15%含むことを特徴とする請求項1に記載の加工
性に優れた無方向性電磁鋼板。 - 【請求項3】 請求項1および2に記載の電磁鋼板を製
造するに際し、連続焼鈍温度:700〜950℃で連続
焼鈍時間:30sec以上の連続焼鈍を施す、又は、バ
ッチ焼鈍温度:600〜1000℃でバッチ焼鈍後冷却
速度:1℃/sec以下で冷却することを特徴とする加
工性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 さらに、伸長率:0.4%以上のスキン
パス圧延を施すことを特徴とする請求項3に記載の加工
性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法。
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JP2001095840A JP2002294414A (ja) | 2001-03-29 | 2001-03-29 | 加工性に優れた無方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
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- 2001-03-29 JP JP2001095840A patent/JP2002294414A/ja active Pending
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