JP2002294150A - 導電性被膜用塗料およびそれを用いた導電性被膜、陰極線管 - Google Patents

導電性被膜用塗料およびそれを用いた導電性被膜、陰極線管

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JP2002294150A
JP2002294150A JP2001097443A JP2001097443A JP2002294150A JP 2002294150 A JP2002294150 A JP 2002294150A JP 2001097443 A JP2001097443 A JP 2001097443A JP 2001097443 A JP2001097443 A JP 2001097443A JP 2002294150 A JP2002294150 A JP 2002294150A
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JP2001097443A
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Shin Yamamura
伸 山村
Masaru Uehara
賢 上原
Kenji Takahashi
賢次 高橋
Mitsumasa Saito
光正 斉藤
Atsumi Wakabayashi
淳美 若林
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管内面との良好な密着性を有し、導電
性被膜の欠陥の発生、抵抗値分布を抑制し、塗料の塗布
環境や製造工程での不具合を解決するための導電性被膜
用塗料を提供する。 【解決手段】 本発明の導電性被膜用塗料は、炭素系導
電性被膜用塗料であり、分散媒体であるアルコール可溶
性樹脂中に粒径が10nm以上、50μm以下の炭素粒
子が分散した溶液と一般式Si(OR1)nR2m(ただ
し、n+m=4、n=1〜4、m=0〜3、R1,R2
はアルキル基またはアリール基)で示される化合物ある
いはその加水分解物とを含有してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性被膜用塗料
およびそれを用いた導電性被膜、陰極線管に関し、特に
炭素系の導電性被膜用塗料とこの塗料から得られる炭素
系導電性被膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素粉末を媒体とした塗料が様々な分野
において使用されている。例えば、電子材料分野等では
電池材事業におけるリチウムイオン2次電池用負極材、
リチウム電池やアルカリ・マンガン電池の正極材料用新
炭素材料等に使用されている。また、ディスプレイ分野
においては電子放出素子、電界放出素子を備えた表示装
置やブラウン管の内面導電性膜およびブラックマトリッ
クスとして多く使用されている。更に建材分野において
は電磁波シールド用壁材や一般的な外装用塗装に使用さ
れている。これらの一般的な塗料としては炭素系導電性
被膜用の塗料があり、この塗料から炭素系導電性被膜が
得られる。
【0003】炭素系導電性被膜用の塗料を塗布して得ら
れる炭素系導電性被膜が効果的に用いられるブラウン管
の内面導電性膜では、特にブラウン管のファンネルガラ
スの内壁面およびネック管にこの導電性被膜が施されて
いる。この被膜は、高電圧を印加して電子ビームを加速
する機能や、シャドーマスク、磁気シールド材、蛍光面
等から発生する二次電子を捕集する機能を付加したもの
である。
【0004】成膜方法として、スプレー、刷毛塗りまた
はフローコートでファンネル部内面に塗料を塗布し、乾
燥後、450℃の空気中焼成により被膜を形成する。ブ
ラウン管はこの導電性被膜を形成したファンネル部と別
体の蛍光スクリーンを施したパネル部とを低融点ガラス
により約440℃で融着して製造するが、形成した被膜
は雰囲気中から水分や炭酸ガス及びその他のガスを吸着
する為、ブラウン管の封止工程直前に管を加熱処理し、
排気減圧により吸着ガスを被膜から除去する操作を行っ
ている。それでも、少量のガスがブラウン管動作中に徐
々に発生し、ついには電子放射が行われなくなることが
ある。このため、被膜から放出されるガスの量を減少さ
せ、ブラウン管の作動寿命を延ばすことが要望されてい
る。
【0005】また、カラーブラウン管のファンネル部の
内壁面には高い電圧を印加して電子ビームを加速し、ま
たシャドーマスク等の電極から発生する2次電子を捕集
して色純度の劣化を防止するなどの目的をもって導電性
被膜を形成している。この種の導電性被膜は、結合剤と
しての珪酸塩(水ガラス)および懸濁状態を保つための
分散剤としてのカルボンメチルセルロースや界面活性剤
などの水性液中に、平均粒子径が1〜30μm程度の黒
鉛粉末を懸濁させた塗料を塗布し、更に熱処理を行って
形成する。
【0006】ブラウン管の製造工程で仮に導電性被膜が
ファンネル部の内面から剥離すると、ブラウン管の作動
中に電子銃のアーク放電や電気的漏洩が生じる。このア
ーク放電や電気的漏洩は管の高電圧安定性を損なうた
め、振動や衝撃を受けても被膜が剥離しないように強固
に付着させる必要があり、更に、スパーク電流を減少さ
せるために被膜の電気抵抗値を所定の範囲に調整する必
要がある。この為、塗料は容易に被着でき、ひび割れや
しわを生じることなく、均一な被膜を形成し得ることが
必要である。更に滴りを殆ど生成しないものでなければ
ならない。
【0007】このような導電性被膜の例が特開昭52−
52362号公報、特開昭63−45428公報、およ
び特開平6−240182号公報等に開示されている。
これらの公報に記載されたブラウン管内装用塗料は、接
着剤としての珪酸カリウム等と分散剤とを含有する水中
に導電材料及び黒鉛粉末を分散させ、また必要に応じ
て、任意の抵抗値に調整するために酸化鉄、酸化チタン
及び炭化珪素に代表される金属酸化物及び金属炭化物粒
子などを分散させたものである。この場合、スパーク電
流を制御するため、通常は黒鉛粒子と金属酸化物粒子を
併用する。黒鉛は導電性を付与して被膜の抵抗値を下げ
る一方、金属酸化物は充填剤の作用と被膜の抵抗値を上
げることができる。すなわち、これらの成分の配合比率
によって、被膜の抵抗値及び接着力を調整できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの炭
素系塗料は水性塗料である為、処理物が有機物等で汚染
されていた場合、被処理物を劇物で強固に洗浄しなくて
はならない。従って、環境問題として取り上げられるフ
ッ酸等を用いた強力な洗浄をしなければ、汚れ部分で塗
料をはじきやすいためにムラになり易く、生産において
良品率が低い等の問題が発生する。
【0009】また、炭素系導電性被膜用塗料から得られ
る黒鉛系導電性被膜が効果的に用いられる前記のブラウ
ン管内装用塗料は、フィラーと低温では不安定な珪酸塩
等の2成分系であり、低温乾燥時に膜強度が発現しない
為、ハンドリング等で膜の剥がれを起こす。このような
問題は、分業生産が進んでいる生産工場内での組み立て
工程までの保管・搬送中、あるいは別の組み立て工場ま
での輸送中に塗膜が剥離を起こし、生産において良品率
が低いなどの問題を引き起こす。
【0010】更に、前記のブラウン管内装用塗料は高温
でないとガラス質にならない珪酸塩等のバインダーを含
有している為、ブラウン管作製工程中の例えば450℃
程度の熱処理ではファンネルガラスに対しての付着性が
弱く、ハンドリング等で脱離が起こる可能性がある。
【0011】また、前記のブラウン管内装用塗料は塗料
としての分散性が悪い為、フローコートや刷毛塗り等の
簡易な塗布法では不均一な被膜しかできない。従って、
前記ブラウン管内装用塗料の場合、塗装した導電性被膜
は膜強度のバラツキ、塗膜の欠陥、抵抗値分布のバラツ
キ等が多く、高電圧を印加して電子ビームを加速する機
能、シャドーマスク、磁気シールド材、蛍光面等から発
生する二次電子を捕集する機能が十分に得られないとい
う不都合が生じる。
【0012】本発明は前記事情を鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、陰極線管内面との良好な
密着性を有し、これにより導電性被膜の欠陥の発生、抵
抗値分布を抑制し、更に塗料の塗布環境や製造工程での
不具合を解決するための塗料と、この塗料から得られる
導電性被膜、およびこの導電性被膜を備えた陰極線管を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の導電性被膜用塗料は、有機溶媒中にアル
コール可溶性樹脂と粒径が0.01μm以上、50μm
以下の炭素粒子が分散した溶液と、一般式Si(OR
1)nR2m(ただし、n+m=4、n=1〜4、m=0
〜3、R1,R2はアルキル基またはアリール基)で示
される有機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリ
ゴマー、その有機ケイ素化合物の部分加水分解物のうち
の1つ、あるいは2つ以上の混合物とを混合してなるこ
とを特徴とする。
【0014】また、本発明の導電性被膜は、上記本発明
の導電性被膜用塗料が塗布されて形成されたものである
ことを特徴とする。
【0015】また、本発明の陰極線管は、上記本発明の
導電性被膜を備えたことを特徴とする。
【0016】上記本発明の導電性被膜用塗料によれば、
この塗料が例えば陰極線管においてその内面の側壁部や
ネック部上に塗布され、乾燥されると、Si(OR1)
nR2mで示される有機ケイ素化合物、その有機ケイ素化
合物のオリゴマー、その有機ケイ素化合物の部分加水分
解物のうちの1つ、あるいは2つ以上の混合物が例えば
SiO2となって結着剤(バインダー)として機能する
ようになり、その結果、黒鉛粒子、カーボンブラック等
の炭素粒子が陰極線管の内面の側壁部やネック部と強固
に結着するようになる。なお、本明細書で言うところの
「有機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリゴマ
ー、その有機ケイ素化合物の部分加水分解物のうちの1
つ、あるいは2つ以上の混合物」とは、有機ケイ素化合
物、その有機ケイ素化合物を出発物質として生成された
オリゴマー、その有機ケイ素化合物を出発物質として生
成された部分加水分解物がそれぞれ単独で存在している
状態、もしくはこれら有機ケイ素化合物、有機ケイ素化
合物のオリゴマー、有機ケイ素化合物の部分加水分解物
が2つ以上混在した状態の化合物全体を意味するものと
する。
【0017】本発明の導電性被膜用塗料は基本的にアル
コール系塗料である為、被処理物に対して濡れ性が良好
である。したがって、被処理物が有機物等で汚染されて
いた場合でも劇物等を用いた強固な洗浄を必要とせず、
例えば、環境問題として取り上げられるフッ酸等の強力
な洗浄をしなくても容易に塗布することができる。ま
た、汚れ部分で塗料がはじいたりムラになりにくいの
で、生産において良品率を向上させることができる。
【0018】また、本発明の導電性被膜用塗料は、低温
乾燥時にフィラーと低温では不安定な珪酸塩等の2成分
系でなく、常温乾燥で硬化する樹脂の効果で低温におい
ても膜強度が発現する。従って、ハンドリング等で膜の
剥がれを起こさず、分業生産が進んでいる生産工場内で
の組み立て工程までの保管・搬送や別の組み立て工場ま
での輸送において塗膜が強固である為、生産において良
品率が向上する。特に本発明の導電性被膜用塗料はSi
(OR1)nR2mの部分加水分解物である場合、ブラウ
ン管作製工程中の熱処理(450℃程度)でファンネル
ガラスに対しての付着性が強く、ハンドリング等で脱離
を起こしにくい為、生産において良品率が向上する。
【0019】特に、Si(OR1)nR2mで表される化
合物において、n=4かつm=0、あるいはn=3かつ
m=1の有機ケイ素化合物が好ましい。n=4の4官能
シリケートを用いた場合、ガラス基材との反応性も良
く、シリケート同士の反応性も良いため、膜強度が向上
するだけでなく、ガラス基材との密着性も良好となり、
膜剥がれを防止することができる。一方、n=3の3官
能シリケートを用いた場合、炭化水素基の伸縮性を有す
るものとなり、導電性被膜に伸縮性を発現させることが
できるようになるため、クラックや熱膨張による剥がれ
を防止することができる。
【0020】本発明の導電性被膜用塗料は前記の塗膜性
より、膜強度のバラツキおよび塗膜の欠陥がなく、バラ
ツキの少ない抵抗値分布となり、高電圧を印加して電子
ビームを加速する機能、シャドーマスク、磁気シールド
材、蛍光面等から発生する二次電子を捕集する機能が十
分発揮できる。また、被処理物との結着性が良好になる
ことにより、膜厚差や品質にバラツキが少なくなり、高
い信頼性を得ることができる。
【0021】通常、陰極線管の製造工程では、温度が3
50℃以上、500℃以下程度の熱処理工程があるた
め、この導電性被膜用塗料から得られる導電性被膜につ
いては前記熱処理工程の前後においてカーボンの酸化が
進まないものが要求される。従って、本発明で用いる炭
素粒子は、例えば、難黒鉛炭素、メソカーボンマイクロ
ビーズ、メソカーボンファイバー、キャッシュファイバ
ー、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラックのいずれで
もよいが、好ましくは、炭素粒子が黒鉛材料であるこ
と、また、カーボンブラックであれば粒子の表層を黒鉛
化したものがよい。
【0022】また、このような炭素粒子の粒径としては
0.01μm以上、50μm以下で、好ましくは0.0
2μm以上、20μm以下のものがよい。粒径が50μ
mを超えると、十分な付着力が得られない。これは塗料
中で分散安定性が悪く、十分な塗膜が得られないためで
あり、またこれにより導電性も不充分となる。粒径が
0.01μm未満では導電性と膜強度を両立させること
ができないといった問題と、凝集性が高く、分散性が不
充分なため、高濃度の塗料を作成できないといった問題
がある。また、さらに好ましくは、前記の粒径範囲で平
均粒径が0.1〜1μmがよい。これらは単一の粒子を
用いても良く、また2種類以上の炭素粒子を混合しても
よい。平均粒径を0.1〜1μmとすることにより、均
質な導電性被膜が得られる。
【0023】また、本発明で用いる樹脂としては、ブチ
ラール樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、アイオ
ノマー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン
等から選択される1つ、あるいは2つ以上の混合物が用
いられる。これらの樹脂は、低温での成膜時に膜強度の
発現および炭素粒子を分散させる働きをする。また、こ
れらの樹脂は、炭素粒子100重量部に対して5〜50
重量部程度用いられる。更にブラウン管作製工程の低温
乾燥時に塗膜強度を持たせるためには、炭素材料100
重量部に対して10〜30重量部程度にすることが好ま
しい。過剰の樹脂の添加で導電性被膜への残留が懸念さ
れるが、ブラウン管作製工程中の熱処理(例えば450
℃程度)で分解されるので問題がない。そして、これら
の炭素粒子と樹脂を混合し、アルコール系、グリコール
誘導体系、ケトン系、エステル系、エーテル系等の有機
溶剤中で、ホモジナイザー、サンドミル、ボールミル、
超音波等を用いた公知の分散方法で分散させることによ
り炭素材料の分散液が得られる。
【0024】本発明において、一般式Si(OR1)n
R2m(ただし、n+m=4、n=1〜4、m=0〜
3、R1,R2はアルキル基またはアリール基)で示さ
れる有機ケイ素化合物は結着剤(バインダー)として働
き、特に限定されるものではないが、n=4かつm=
0、あるいはn=3かつm=1のものを用いるのが望ま
しい。一般式Si(OR1)nR2mで示され、n=4か
つm=0、あるいはn=3かつm=1のものとしては、
例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フ
ェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ
る。
【0025】これらのSi(OR1)nR2mについて
は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用し
てもよい。また、n=4かつm=0の場合、つまりSi
(OR1)nR2mが4官能シリコーンの場合は、R1が
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好まし
く、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシ
シラン、またはそのオリゴマーであるMS−51,シリ
ケート40が好ましい。また、n=3かつm=1の3官
能シリコーンの場合は、R1がメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基のいずれかからなり、R2がメチル
基、エチル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシ基、γ−メタクリロキシプロピ
ル基のいずれかからなるものが好ましく、具体的には、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等を用
いるのが好ましい。
【0026】このSi(OR1)nR2mの加水分解に
は、触媒として、塩酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機
酸、蟻酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸、プロピオン
酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸等の有機
酸、アンモニア、トリメチルアンモニウム等のアルカリ
が用いられ、特に硝酸が好適に用いられる。また、Si
(OR1)nR2mの加水分解に用いられる水の量につい
ては、Si(OR1)nR2m1モルに対して1〜20モ
ルの範囲とすることが好ましい。
【0027】また、このようなSi(OR1)nR2mの
部分加水分解物、および前記黒鉛粒子やカーボンブラッ
クなどの炭素粒子を分散してなる分散液を共に分散さ
せ、あるいは溶解させる溶媒としては、アルコール類、
グリコール誘導体、エステル類、ケトン類、エーテル類
などが用いられる。これらについても1種類を単独で用
いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0028】ここで、前記アルコール類としては、メタ
ノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソブ
チルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、イ
ソブタノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等
が用いられる。
【0029】前記グリコール誘導体としては、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコ
ール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピ
レングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコー
ルモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチ
ルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテ
ル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、エ
チレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレング
リコール−n−ブチルエーテル等が用いられる。
【0030】前記エステル類としては、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸
エチル等が用いられる。ケトン類としては、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチ
ルアセトン等が用いられる。エーテル類としては、エチ
ルエーテル、ブチルエーテル、メチルセルソルブ、エチ
ルセルソルブ、ジオキサン等が用いられる。
【0031】前記Si(OR1)nR2mの部分加水分解
物、および前記黒鉛粒子あるいはカーボンブラックなど
の炭素粒子を分散してなる分散液、溶媒を混合すること
により、本発明の導電性被膜用塗料が得られる。
【0032】このような構成からなる導電性被膜用塗料
において、塗料全体におけるSi(OR1)nR2mで示
される有機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリ
ゴマー、その有機ケイ素化合物の部分加水分解物のうち
の1つ、あるいは2つ以上の混合物は炭素粒子100重
量部に対してSiO2換算で30〜270重量部、特に
好ましくは50〜180重量部とする。なお、上記の3
0〜270重量部、または50〜180重量部とは、有
機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリゴマー、
その有機ケイ素化合物の部分加水分解物が単独の場合に
はその重量部、有機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合
物のオリゴマー、その有機ケイ素化合物の部分加水分解
物の2つ以上の混合物である場合には混合物全体の重量
部を意味するものとする。また、アルコール可溶性樹脂
は炭素粒子100重量部に対して5〜50重量部、特に
好ましくは10〜30重量部から構成される。このよう
な組成とすることで密着性、膜強度、導電性、成膜性を
バランスよく発揮させることができる。
【0033】なお、この導電性被膜用塗料に炭素粒子を
所定量以上添加すると、膜強度、密着性が低下し、信頼
性が著しく低下するおそれがあり、逆に、炭素粒子が所
定量より少ないと、導電性能を十分発揮できなくなる。
【0034】導電性被膜用塗料の塗布方法としては、フ
ローコート法、スプレー法、ディップ法、刷毛塗り等が
採用される。なお、陰極線管内面の側壁部およびネック
部に塗布する場合、得られる膜の厚さを均一にするため
にはフローコート法が好適とされる。このような導電性
被膜用塗料から得られる導電性被膜、すなわち本発明の
導電性被膜としては、その厚さを0.02〜50μm、
好ましくは0.5〜20μmにするのがよい。さらに、
広範囲での膜厚で塗布することで任意に抵抗値を制御で
きるという利点を持つ。塗膜が0.02μm未満では、
導電性と密着性・信頼性とをバランスよく発揮すること
が難しく、また膜厚が50μmを超えると、陰極線管内
面の側壁部およびネック部との密着が著しく低下するお
それがあるからである。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳し
く説明する。 [陰極線管の構成]本実施の形態の導電性被膜は、例え
ば図1に示すような陰極線管内面の側壁部およびネック
部に形成されて用いられる。まず、この陰極線管の構成
について説明する。
【0036】本実施の形態の陰極線管1は、図1に示す
ように、全体として略フラスコ状を呈すると共に内部を
真空状態としたとしたバルブ2内に、電子銃3と、複数
列のストライプ状のスリットを有した色選別電極4とを
備えて構成されたものである。なお、この例では、色選
別電極4としてアパーチャグリル方式のものを採用して
いる。バルブ2は、電子銃3が配設されているネック部
5から張り出して形成されるファンネル部6と、主にス
クリーン面を形成するフェース部8の周囲から立ち上が
って形成されるスカート部9からなるパネル部10とな
っている。
【0037】前記色選別電極4はパネル部10の内部に
配設されたものとなっている。そして、このように色選
別電極4がパネル部10内に配設された後に、パネル部
10とファンネル部6が溶着接合され、シール部7が形
成されることにより、バルブ2が組み立てられるように
なっている。また、このファンネル部6およびネック部
5には、前述した本発明の導電性被膜用塗料からなる導
電性被膜が形成されている。
【0038】このような構成の陰極線管1にあっては、
その導電性被膜が前述した本発明の導電性被膜用塗料か
らなることにより、350℃以上、500℃以下の温度
範囲で耐熱性を有するものとなる。従って、その組立工
程前にファンネル部6およびネック部5に形成しても、
その後の組立工程における熱処理工程で所望の機能を十
分に発揮するものとなる。
【0039】また、Si(OR1)nR2mで表される化
合物において、n=4、m=0あるいはn=3、m=1
のものを用いると、n=4ではガラス基材との反応性が
良く、シラン同士の反応性も良いため、導電性被膜の膜
強度の向上とともに、ガラス基材との密着性も改善さ
れ、ファンネル部6およびネック部5の膜剥がれを防止
することができる。一方、n=3、m=1のものでは、
炭化水素部分に伸縮性を有するため、導電性被膜の伸縮
性を発現するものとなり、n=4のものと同様にファン
ネル部6およびネック部5の膜浮きを防止することがで
きる。また、陰極線管1にあっては、その製造工程にお
いてファンネル部6およびネック部5に設けられた導電
性被膜中の有機成分が熱処理工程で気化した際に、Si
(OR1)nR2mがn=4、m=0である場合、ガラス
基材との反応性が良好なため、導電性被膜はファンネル
部6およびネック部5からの剥がれを防止されたものと
なる。一方、n=3、m=1である場合、炭化水素部分
が蒸発孔として機能するため、導電性被膜はクラックや
ファンネル部6およびネック部5からの剥離が防止され
たものとなる。
【0040】また、導電性被膜用塗料のSi(OR1)
nR2mで表される化合物において、n=4、m=0の4
官能シリケート、n=3、m=1の3官能シリケートを
用いれば、より結着性を有する導電性被膜となり、従っ
てこの導電性被膜はファンネル部6およびネック部5か
ら炭素粒子が脱落することがなく、ファンネル部6およ
びネック部5に十分に密着した良好な膜となる。
【0041】
【実施例】[導電性被膜用塗料の作製]まず、本発明の
導電性被膜用塗料の一例を以下のようにして作製した。
30gの黒鉛粒子(粒径25μm)と30gの黒鉛化カ
ーボンブラック微粒子(粒径0.02μm)の混合粉末
と、450gのガラスビーズと12gのエチルセルロー
ス樹脂と228gのNPA(n−プロパノール)とを混
合し、続いてこの混合物をサンドミルで2500回転、
5時間分散させ、その後、ガラスビーズを分離して黒鉛
粒子および黒鉛化カーボンブラック微粒子の混合物の均
一な分散液(a−1)を得た。また、これとは別に、8
8.24gのテトラメトキシシランオリゴマー(品名:
多摩化学製MS−51)と、46.16gのメチルアル
コールと2.1gの1N硝酸と13.5gの純水を混合
し、さらにこの混合物を60℃で1時間熟成し、均一な
溶液(b−1)を得た。前記分散液(a−1)を10.
0g、前記溶液(b−1)を5.6g、メチルアルコー
ルを4.4g混合し、黒鉛粒子と黒鉛化カーボンブラッ
ク微粒子を含有する導電性被膜用塗料(A−1)を得
た。
【0042】[導電性被膜の形成] (実施例1)次に、前記の導電性被膜用塗料(A−1)
を基に、以下のようにして実施例1となる導電性被膜を
形成した。導電性被膜用塗料(A−1)を陰極線管内面
のファンネル部7およびネック部6にフローコート法に
よって塗布を行い、次に温度60℃で30秒間の温風を
吹き付け、厚さ1.5μmの導電性被膜を形成した。こ
の段階で得られた被膜について、膜の密着性を評価し
た。さらに、これを温度450℃で30分間加熱処理
し、強固な導電性被膜とした。得られた導電性被膜につ
いて表面抵抗値、塗膜性能として膜厚、密着性、耐候
性、耐水性、クラック、浮きについて評価した。その結
果を以下の表1に示す。
【0043】評価の方法は以下の通りである。 表面抵抗値 三菱化学社製ロレスタIP MCP−T250を用いて
測定を行った。 膜厚 日本真空技術社製「Dektak 3ST」を用いて測定を行っ
た。 密着性(60℃、30秒間乾燥後、450℃、30
分間加熱後の2回) 布(ガーゼ)カバーを取り付けた直径10mmの金属製
板を10回往復させ、目視で導電性被膜の剥がれを観察
し、評価した。条件を以下に示す。 加重500g、往復距離10mm、フィード速度300
0mm/分 表1における「○」、「×」の評価の基準は、導電性被
膜を目視観察し、試験前後の変化がないものを「○」、
剥がれ、クラック等の形状変化があったものを「×」と
した。 耐候性 トロピカルテストにより評価した。条件を以下に示す。 20℃50%RH:4hr→75℃80%RH:4hr
→75℃50%RH:16hr→4hr 表1における「○」、「×」の評価の基準は、密着性の
評価基準と同じである。 耐水性 塗布後のガラスを1日放置した後、超音波純水中に10
秒浸漬し、導電性被膜の剥がれを観察し、評価した。表
1における「○」、「×」の評価の基準は、密着性の評
価基準と同じである。 クラック、浮き 加熱処理後の導電性被膜を目視観察し、評価した。表1
における「○」、「×」の評価の基準は、密着性の評価
基準と同じである。
【0044】(実施例2)実施例1と同等な操作を行
い、実施例2となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記の導電性被膜用塗料(A−1)に代えて、前記分散液
(a−1)を14g、前記溶液(b−1)を4.8g、
n−プロピルアルコールを1.2g配合し、これらを混
合して形成した導電性被膜用塗料を用いた。得られた導
電性被膜について実施例1と同様にして評価した。その
結果を以下の表1に示す。
【0045】(実施例3)実施例1と同等な操作を行
い、実施例3となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記の導電性被膜用塗料(A−1)に代えて、前記分散液
(a−1)を7g、前記溶液(b−1)を12.6g、
n−プロピルアルコールを0.4g配合し、これらを混
合して形成した導電性被膜用塗料を用いた。得られた導
電性被膜について実施例1と同様にして評価した。その
結果を以下の表1に示す。
【0046】(実施例4)実施例1と同等な操作を行
い、実施例4となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、エチルセルロース樹脂を
3gに、NPA(n−プロパノール)を237gに変更
して、分散液(a−2)を得た。前記の導電性被膜用塗
料(A−1)において、分散液(a−1)の代わりに分
散液(a−2)を使用して導電性被膜用塗料(A−2)
を作製し、これを用いて導電性被膜を形成した。得られ
た導電性被膜について実施例1と同様にして評価した。
その結果を以下の表1に示す。
【0047】(実施例5)実施例1と同等な操作を行
い、実施例5となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、エチルセルロース樹脂を
30gに、NPA(n−プロパノール)を210gに変
更して、分散液(a−3)を得た。前記の導電性被膜用
塗料(A−1)において、分散液(a−1)の代わりに
分散液(a−3)を使用して導電性被膜用塗料(A−
3)を作製し、これを用いて導電性被膜を形成した。得
られた導電性被膜について実施例1と同様にして評価し
た。その結果を以下の表1に示す。
【0048】(実施例6)実施例1と同等な操作を行
い、実施例6となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、黒鉛化カーボンブラック
微粒子を40gに、エチルセルロース樹脂を12gに、
NPA(n−プロパノール)を218gに変更して、分
散液(a−4)を得た。前記の導電性被膜用塗料(A−
1)において、分散液(a−1)の代わりに分散液(a
−4)を使用して導電性被膜用塗料(A−4)を作製
し、これを用いて導電性被膜を形成した。得られた導電
性被膜について実施例1と同様にして評価した。その結
果を以下の表1に示す。
【0049】(実施例7)実施例1と同等な操作を行
い、実施例7となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、黒鉛粒子を40gに、黒
鉛化カーボンブラック微粒子を40gに、エチルセルロ
ース樹脂を12gに、NPA(n−プロパノール)を2
08gに変更して、分散液(a−5)を得た。前記の導
電性被膜用塗料(A−1)において、分散液(a−1)
の代わりに分散液(a−5)を使用して導電性被膜用塗
料(A−5)を作製し、これを用いて導電性被膜を形成
した。得られた導電性被膜について実施例1と同様にし
て評価した。その結果を以下の表1に示す。
【0050】(実施例8)実施例1と同等な操作を行
い、実施例8となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、エチルセルロース樹脂を
ブチラール樹脂に変更して、分散液(a−6)を得た。
前記の導電性被膜用塗料(A−1)において、分散液
(a−1)の代わりに分散液(a−6)を使用して導電
性被膜用塗料(A−6)を作製し、これを用いて導電性
被膜を形成した。得られた導電性被膜について実施例1
と同様にして評価した。その結果を以下の表1に示す。
【0051】(実施例9)実施例1と同等な操作を行
い、実施例8となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記溶液(b−1)において、テトラメトキシシランオリ
ゴマーをテトラエトキシシランオリゴマーに変更して、
溶液(b−2)を得た。前記の導電性被膜用塗料(A−
1)において、溶液(b−1)の代わりに溶液(b−
2)を使用して導電性被膜用塗料(A−7)を作製し、
これを用いて導電性被膜を形成した。得られた導電性被
膜について実施例1と同様にして評価した。その結果を
以下の表1に示す。
【0052】(実施例10)実施例1と同等な操作を行
い、実施例10となる導電性被膜を形成した。ただし、
前記溶液(b−1)において、テトラメトキシシランオ
リゴマーをテトラメトキシシランに変更して、溶液(b
−3)を得た。前記の導電性被膜用塗料(A−1)にお
いて、溶液(b−1)の代わりに溶液(b−3)を使用
して導電性被膜用塗料(A−8)を作製し、これを用い
て導電性被膜を形成した。得られた導電性被膜について
実施例1と同様にして評価した。その結果を以下の表1
に示す。
【0053】(実施例11)実施例1と同等な操作を行
い、実施例11となる導電性被膜を形成した。ただし、
前記溶液(b−1)において、テトラメトキシシランオ
リゴマーの代わりにテトラメトキシシラン50gとメチ
ルトリメトキシシラン33.24gを使用して、溶液
(b−4)を得た。前記の導電性被膜用塗料(A−1)
において、溶液(b−1)の代わりに溶液(b−4)を
使用して導電性被膜用塗料(A−9)を作製し、これを
用いて導電性被膜を形成した。得られた導電性被膜につ
いて実施例1と同様にして評価した。その結果を以下の
表1に示す。
【0054】(比較例1)実施例1と同等な操作を行
い、比較例1となる導電性被膜を形成した。ただし、導
電性被膜用塗料として、分散液(a−1)を14g、前
記溶液(b−1)を2.4g、n−プロピルアルコール
を3.6g混合して得られた塗料を用いた。得られた導
電性被膜について実施例1と同様にして評価した。その
結果を以下の表1に示す。
【0055】(比較例2)実施例1と同等な操作を行
い、比較例2となる導電性被膜を形成した。ただし、導
電性被膜用塗料として、分散液(a−1)を5g、前記
溶液(b−1)を10g、n−プロピルアルコールを5
g混合して得られた塗料を用いた。得られた導電性被膜
について実施例1と同様にして評価した。その結果を以
下の表1に示す。
【0056】(比較例3)実施例1と同等な操作を行
い、比較例3となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、エチルセルロース樹脂を
1gに、NPA(n−プロパノール)を239gに変更
して、分散液(a−7)を得た。前記の導電性被膜用塗
料(A−1)において、分散液(a−1)の代わりに分
散液(a−7)を使用して導電性被膜用塗料(A−1
0)を作製し、これを用いて導電性被膜を形成した。得
られた導電性被膜について実施例1と同様にして評価し
た。その結果を以下の表1に示す。
【0057】(比較例4)実施例1と同等な操作を行
い、比較例4となる導電性被膜を形成した。ただし、前
記分散液(a−1)において、エチルセルロース樹脂を
40gに、NPA(n−プロパノール)を200gに変
更して、分散液(a−8)を得た。前記の導電性被膜用
塗料(A−1)において、分散液(a−1)の代わりに
分散液(a−8)を使用して導電性被膜用塗料(A−1
1)を作製し、これを用いて導電性被膜を形成した。得
られた導電性被膜について実施例1と同様にして評価し
た。その結果を以下の表1に示す。
【0058】(比較例5)人造黒鉛粒子と珪酸塩と水か
らなる市販の導電性被膜用塗料を実施例1と同等な操作
を行い、比較例5となる導電性被膜を形成した。得られ
た導電性被膜について実施例1と同様にして評価した。
その結果を以下の表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1に示したように、実施例1〜11で
は、表面抵抗値が120〜300Ωと優れた導電性を示
すとともに、乾燥時の密着性、加熱処理後の密着性、耐
候性、耐水性、クラック、浮きのいずれの特性について
も優れた結果が得られた。一方、比較例1〜5はいずれ
も乾燥時の密着性に劣っていた。また、比較例2,4に
おいては、抵抗値が高く、必要とされる導電性が得られ
なかった。また、比較例1,3においては、必要とする
導電性は得られたが、加熱処理しても必要な密着性が得
られず、さらに耐水性も劣っていた。比較例5において
は、必要とする導電性は得られたが、膜厚が厚く、膜厚
を薄くすると成膜できなかった。また、加熱処理しても
必要な密着性が得られず、さらに耐水性も劣っていた。
一方、本発明の実施例1〜11は、1〜2μmといった
薄い膜厚で優れた導電性、密着性、膜強度を得ることが
できた。
【0061】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
導電性被膜用塗料によれば、被処理物が有機物等で汚染
されていた場合でも劇物等で強固な洗浄を必要とせず、
従って、環境問題として取り上げられるフッ酸等の強力
な洗浄をしなくても容易に塗布することができる。ま
た、汚れ部分で塗料がはじいたりムラになりにくいの
で、生産において良品率を向上させることができる。ま
た、本発明の導電性被膜は、ハンドリング等で膜剥がれ
を起こさず、分業生産が進んでいる生産工場内での組み
立て工程までの保管・搬送や別の組み立て工場までの輸
送で塗膜が強固である為、生産において良品率が向上す
る。さらに、導電性被膜が伸縮性を発現する場合、特に
クラックや導電性被膜からの浮きを防止することができ
る。そして、膜強度のバラツキおよび塗膜の欠陥がな
く、信頼性が向上するとともに、バラツキの少ない抵抗
値分布となるため、特に陰極線管に適用した際に高電圧
を印加して電子ビームを加速する機能、シャドーマス
ク、磁気シールド材、蛍光面等から発生する二次電子を
捕集する機能が十分発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態である陰極線管の斜視
図である。
【符号の説明】
1 陰極線管 2 バルブ 3 電子銃 4 色選別電極 5 ネック部 6 ファンネル部 7 シール部 8 フェース部 9 スカート部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 H01J 29/88 H01J 29/88 (72)発明者 高橋 賢次 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内 (72)発明者 斉藤 光正 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内 (72)発明者 若林 淳美 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪セ メント株式会社新材料事業部内 Fターム(参考) 4D075 CA02 CA13 CA22 CA25 CA32 CA38 CA47 DA23 DB11 DB31 DC21 DC24 EA07 EA19 EB07 EB13 EB19 EB56 EC01 EC07 EC53 EC54 4J038 BA021 BA022 CB061 CB062 CB131 CB132 CE021 CE022 CE051 CE052 CF021 CF022 CG061 CG062 CJ011 CJ012 CK031 CK032 CL011 CL012 DL021 DL022 DL031 DL032 DL051 DL052 DL081 DL082 DL091 DL092 DL111 DL112 DL121 DL122 HA026 HA036 JA17 JA20 JA25 JA33 JA55 KA06 KA08 NA11 NA12 NA20 NA24 NA27 PA19 PB09 PB11 PC03 5C032 AA02 DD07 DD08 DE01 DG09

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒中にアルコール可溶性樹脂と粒
    径が0.01μm以上、50μm以下の炭素粒子が分散
    した溶液と、一般式Si(OR1)nR2m(ただし、n
    +m=4、n=1〜4、m=0〜3、R1,R2はアル
    キル基またはアリール基)で示される有機ケイ素化合
    物、その有機ケイ素化合物のオリゴマー、その有機ケイ
    素化合物の部分加水分解物のうちの1つ、あるいは2つ
    以上の混合物とを混合してなることを特徴とする導電性
    被膜用塗料。
  2. 【請求項2】 前記アルコール可溶性樹脂が、ブチラー
    ル樹脂、セルロース樹脂、酢酸ビニル樹脂、アイオノマ
    ー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂、ポ
    リビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドンから選
    択される1つ、あるいは2つ以上の混合物であり、前記
    炭素粒子100重量部に対して5〜50重量部含有され
    たことを特徴とする請求項1に記載の導電性被膜用塗
    料。
  3. 【請求項3】 前記炭素粒子が、難黒鉛炭素、メソカー
    ボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー、キャッ
    シュファイバー、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラッ
    クから選択される1つ、あるいは2つ以上の混合物であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性被
    膜用塗料。
  4. 【請求項4】 前記カーボンブラックが表層を黒鉛化し
    てなるものであることを特徴とする請求項3記載の導電
    性被膜用塗料。
  5. 【請求項5】 前記Si(OR1)nR2mで示される有
    機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリゴマー、
    その有機ケイ素化合物の部分加水分解物のうちの1つ、
    あるいは2つ以上の混合物が、n=4かつm=0であ
    り、前記炭素粒子100重量部に対してSiO2換算で
    30〜270重量部含有されたことを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか一項に記載の導電性被膜用塗料。
  6. 【請求項6】 前記Si(OR1)nR2mで示される有
    機ケイ素化合物において、R1がメチル基、エチル基、
    プロピル基、ブチル基のいずれかからなることを特徴と
    する請求項5に記載の導電性被膜用塗料。
  7. 【請求項7】 前記Si(OR1)nR2mで示される有
    機ケイ素化合物、その有機ケイ素化合物のオリゴマー、
    その有機ケイ素化合物の部分加水分解物のうちの1つ、
    あるいは2つ以上の混合物が、n=3かつm=1であ
    り、前記炭素粒子100重量部に対してSiO2換算で
    30〜270重量部含有されたことを特徴とする請求項
    1ないし4のいずれか一項に記載の導電性被膜用塗料。
  8. 【請求項8】 前記Si(OR1)nR2mで示される有
    機ケイ素化合物において、R1がメチル基、エチル基、
    プロピル基、ブチル基のいずれかからなり、R2がメチ
    ル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、γ−グリシド
    キシプロピルトリメトキシ基、γ−メタクリロキシプロ
    ピル基のいずれかからなることを特徴とする請求項7に
    記載の導電性被膜用塗料。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか一項に記載
    の導電性被膜用塗料が塗布されて形成されたものである
    ことを特徴とする導電性被膜。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の導電性被膜を備えた
    ことを特徴とする陰極線管。
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