JP2002292891A - インクカートリッジ - Google Patents

インクカートリッジ

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JP2002292891A
JP2002292891A JP2001102424A JP2001102424A JP2002292891A JP 2002292891 A JP2002292891 A JP 2002292891A JP 2001102424 A JP2001102424 A JP 2001102424A JP 2001102424 A JP2001102424 A JP 2001102424A JP 2002292891 A JP2002292891 A JP 2002292891A
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JP
Japan
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ink
ink cartridge
supply port
storage chamber
cartridge
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Application number
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English (en)
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Masatoshi Yoshiyama
雅俊 霊山
Atsushi Murakami
厚 村神
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Brother Industries Ltd
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Brother Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドユニットにおける位置決め及び固定を
容易にすることができるインクカートリッジを提供する
こと。 【解決手段】 第1嵌合凹部55は、インク供給口50
と同じ平面(底壁46)に設けられているので、インク
供給口50をヘッドユニットのインク供給連通口と嵌合
させるのと同時に、第1嵌合凹部55とヘッドユニット
の嵌合凸部24とを嵌合さることができる。また、第1
嵌合凹部55はインク供給口50の反対側に凹設されて
いるので、底壁46の両端に配置されるインク供給口5
0と第1嵌合凹部55とにより、バランスよくヘッドユ
ニットに固定することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ、複写
機、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるインク
カートリッジに関し、特に、ヘッドユニットにおける位
置決め及び固定を容易にすることができるインクカート
リッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プリンタ等に用いられるインクカ
ートリッジについては、各種のインクカートリッジが提
案されており、カラー印字可能なカラーインクジェット
プリンタにおいては、例えば、4色(ブラック、マゼン
タ、イエロー、シアン)のインクをそれぞれ独立して充
填した4つのインクカートリッジがヘッドユニットに着
脱自在に装着されるのが一般的である。
【0003】ここで、この種のカラーインクジェットプ
リンタに使用され、インクカートリッジを装着するヘッ
ドユニットは、1枚の背後壁と、その背後壁の対向する
端部に連接された一対の側壁と、その側壁間に形成され
た底壁と、その底壁上には複数個の仕切り壁とが形成さ
れている。また、底壁の記録媒体の対向する面には記録
媒体にインクを吐出する印字ヘッドが搭載されており、
底壁にはインクカートリッジからのインクを印字ヘッド
に供給するためのインク供給連通口が穿設されている。
【0004】一方、インクカートリッジは略直方体形状
に形成されており、インクカートリッジの底壁にはイン
クを供給するためのインク供給口が穿設されている。そ
して、インクカートリッジのインク供給口とヘッドユニ
ットのインク供給連通口とが連通するように、ヘッドユ
ニットの各仕切り壁の間に装着される。ここに、インク
カートリッジとヘッドユニットとを搭載したキャリッジ
は、記録媒体の搬送方向と直交する方向に、加速度的に
往復運動を繰り返し記録媒体(記録用紙等)に対し印字
を行うのである。
【0005】しかし、インクカートリッジがヘッドユニ
ットに確実に固定されていない場合には、キャリッジの
往復運動に伴いインクカートリッジが振動し、その振動
によりインクカートリッジから印字ヘッドへのインクの
供給が円滑に行われず、印字品質に支障をきたす原因と
なっていた。
【0006】そこで、ヘッドユニットとインクカートリ
ッジとを固定すべくヘッドユニットの背後壁に凸部を凸
設し、そのヘッドユニットの背後壁と対向するインクカ
ートリッジの側壁に凹部を凹設したものがある。こうし
て、ヘッドユニットの凸部とインクカートリッジの凹部
とを嵌合させ、ヘッドユニットにインクカートリッジを
固定することができるのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
インクカートリッジでは、インクカートリッジの側壁に
凹設された凹部と、インクカートリッジの底壁に穿設さ
れたインク供給口とは、異なる平面に設けられているの
で、ヘッドユニットにインクカートリッジを搭載する場
合には、最初にヘッドユニットの凸部とインクカートリ
ッジの凹部とを嵌合させ、次に、ヘッドユニットのイン
ク供給連通口と、インクカートリッジのインク供給口と
を嵌合させる必要があり、インク供給連通口と、インク
供給口とを嵌合させるのが困難であるという問題点があ
った。
【0008】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ヘッドユニットにおける位置決
め及び固定を容易にすることができるインクカートリッ
ジを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に請求項1記載のインクカートリッジは、インクを貯留
可能なインク貯留室と、そのインク貯留室に貯留される
インクを外部へ供給可能なインク供給口とを備えてお
り、前記インクカートリッジを位置決めするために形成
された第1凹部と、一端側に前記インク供給口が形成さ
れ、他端側に前記第1凹部が形成された面とを備えてい
る。
【0010】この請求項1記載のインクカートリッジに
よれば、インク貯留室に貯留されるインクは、インク供
給口と連通されたヘッドユニットのインク供給連通孔を
介して、ヘッドユニットに搭載される印字ヘッドに供給
される。また、一端側にインク供給口が形成された面の
他端側には、インクカートリッジの位置決めのための第
1凹部が形成されており、その第1凹部はヘッドユニッ
トに設けられる凸部と嵌合される。
【0011】請求項2記載のインクカートリッジは、請
求項1に記載のインクカートリッジにおいて、前記イン
ク供給口及び第1凹部が形成された面に対向する対向面
を備え、その対向面における前記インク供給口と第1凹
部との略中央部に対応する位置に、第2凹部が形成され
ている。
【0012】この請求項2記載のインクカートリッジに
よれば、請求項1に記載のインクカートリッジと同様に
作用する上、インク供給口と第1凹部との略中央であっ
て、インク供給口及び第1凹部が形成された面に対向す
る対向面に形成された第2凹部は、インクカートリッジ
を押圧する押圧部材の凸部と嵌合される。
【0013】請求項3記載のインクカートリッジは、請
求項1に記載のインクカートリッジにおいて、前記イン
ク供給口及び第1凹部が形成された面に対向する対向面
を備え、その対向面における前記インク供給口と第1凹
部との略中央部に対応する位置に、第1突起が形成され
ている。
【0014】この請求項3記載のインクカートリッジに
よれば、請求項1に記載のインクカートリッジと同様に
作用する上、インク供給口と第1凹部との略中央であっ
て、インク供給口及び第1凹部が形成された面に対向す
る対向面に形成された第1突起がインクカートリッジを
押圧する押圧部材の凸部によって支持される。
【0015】請求項4記載のインクカートリッジは、請
求項2に記載のインクカートリッジにおいて、前記第2
凹部の両側には、前記対向面の長手方向に立設された一
対の側壁を備えている。
【0016】この請求項4記載のインクカートリッジに
よれば、請求項2に記載のインクカートリッジと同様に
作用する上、インクカートリッジを押圧する押圧部材の
凸部は、第2凹部の両側であって、前記対向面の長手方
向に立設された一対の側壁の間に嵌合される。
【0017】請求項5記載のインクカートリッジは、請
求項3に記載のインクカートリッジにおいて、前記第1
突起の両側には、前記対向面の長手方向に立設された一
対の側壁を備えている。
【0018】この請求項5記載のインクカートリッジに
よれば、請求項3に記載のインクカートリッジと同様に
作用する上、インクカートリッジを押圧する押圧部材の
凸部は、第1突起の両側であって、前記対向する面の長
手方向に立設された一対の側壁の間に嵌合される。
【0019】請求項6記載のインクカートリッジは、請
求項2から請求項5のいずれかに記載のインクカートリ
ッジにおいて、前記第2凹部または前記第1突起が形成
された面であって、前記第2凹部または前記第1突起の
両側で高さが異なるとともに、前記インク供給口側が高
い。
【0020】この請求項6記載のインクカートリッジに
よれば、請求項2から請求項5のいずれかに記載のイン
クカートリッジと同様に作用する上、前記第2凹部また
は前記第1突起が形成された面であって、高く形成され
たインク供給口側がインクカートリッジを押圧する押圧
部材によって押圧される。
【0021】請求項7記載のインクカートリッジは、請
求項6に記載のインクカートリッジにおいて、前記第2
凹部または前記第1突起が形成された面であって、高く
形成された前記インク供給口側の端部には、第2突起が
形成されている。
【0022】この請求項7記載のインクカートリッジに
よれば、請求項6に記載のインクカートリッジと同様に
作用する上、前記第2凹部または前記第1突起が形成さ
れた面であって、インク供給口側の端部に形成された第
2突起によってヘッドユニットから取り出される。
【0023】請求項8記載のインクカートリッジは、請
求項2又は請求項3に記載のインクカートリッジにおい
て、前記インク供給口及び第1凹部が形成された面と、
前記第2凹部が形成されている面とに連接され、前記イ
ンク供給口から遠い面に、一対のリブが形成されてい
る。
【0024】この請求項8記載のインクカートリッジに
よれば、請求項2又は請求項3に記載のインクカートリ
ッジと同様に作用する上、インク供給口及び第1凹部が
形成された面と、前記第2凹部が形成されている面とに
連接され、前記インク供給口から遠い面に形成された一
対のリブに、ヘッドユニットに形成された凸部が嵌合さ
れる。
【0025】請求項9記載のインクカートリッジは、請
求項1から請求項8のいずれかに記載のインクカートリ
ッジにおいて、外気と連通した外気連通孔を有する空気
室と、その空気室に連通され前記インクを含浸可能な多
孔質体を有する主貯留室と、その主貯留室に連通される
と共に、主貯留室のインクが排出された後に前記空気室
と連通される副貯留室とに区画されている。
【0026】この請求項9記載のインクカートリッジに
よれば、請求項1から請求項8のいずれかに記載のイン
クカートリッジと同様に作用する上、外気連通孔を介し
て空気室に充填される空気は、主貯留室が有する多孔質
体に含浸されたインクが排出された後に主貯留室を通過
して副貯留室に侵入し、副貯留室のインクは排出され
る。
【0027】請求項10記載のインクカートリッジは、
請求項9に記載のインクカートリッジにおいて、前記外
気連通孔は、前記インク供給口及び第1凹部が形成され
た面に設けられ、前記インク供給口と前記第1凹部との
間に配置されている。
【0028】この請求項10記載のインクカートリッジ
によれば、請求項9に記載のインクカートリッジと同様
に作用する上、外気は、インク供給口及び第1凹部が形
成された面であって、インク供給口と前記第1凹部との
間に設けられた外気連通孔により供給される。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施例につ
いて、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施例では画
像形成装置として、ブラック、シアン、マゼンタ、イエ
ローのインクをそれぞれ貯溜する4つのインクカートリ
ッジ2を備え、カラー印刷を実行可能なカラーインクジ
ェットプリンタを用いて説明する。
【0030】図1は、本発明の第1実施例におけるカラ
ーインクジェットプリンタ1の本体の概略構成を示す斜
視図である。第1実施例のカラーインクジェットプリン
タ1は、インクカートリッジ2の被照射面からのノイズ
信号(不要な反射光)を低減するべく、インクカートリ
ッジ2の被照射面に非垂直(傾斜角略10度)に光が照
射されるよう配設されたインクセンサ19を備え、その
インクセンサ19により検出される反射光量を第1しき
い値および第2しきい値と比較して、インクの有無とイ
ンクカートリッジ装着の有無を判断すると共に、インク
カートリッジ2の検出位置を補正して反射光量を正確に
検出することができるように構成されている。
【0031】このカラーインクジェットプリンタ1は、
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラー
インクがそれぞれ充填されるインクカートリッジ2と、
記録用紙等の記録媒体Pに印字するための印字ヘッド3
を備えるヘッドユニット4と、インクカートリッジ2お
よびヘッドユニット4が搭載されるキャリッジ5と、こ
のキャリッジ5を直線方向に往復移動させる駆動ユニッ
ト6と、キャリッジ5の往復移動方向に延び、印字ヘッ
ド3と対向して配置されるプラテンローラ7と、パージ
装置8と、インクセンサ19とを備えている。
【0032】ヘッドユニット4の載置部4a上には3つ
の仕切り板4c(図2参照)が立設されており、載置部
4aの両側に形成された一対のサイドカバー4bとの間
で、載置部4aは各仕切り板4cを介して4つのインク
カートリッジ2の装着部に区画されている。この装着部
に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、
ブラックインクが充填された4つのインクカートリッジ
2が装着される。なお、ブラックインクのカートリッジ
2aが、他の3色のインクが充填された各インクカート
リッジ2に対して大きな容積を有しているのは、ブラッ
クインクの使用頻度が他の色に比べて高いことを考慮し
たものである。
【0033】駆動ユニット6は、キャリッジ5の下端部
に配置されプラテンローラ7と平行に延びるキャリッジ
軸9と、キャリッジ5の上端部に配置されキャリッジ軸
9に平行に延びるガイド板10と、そのキャリッジ軸9
とガイド板10との間であって、キャリッジ軸9の両端
部に配置される2つのプーリ11および12と、これら
のプーリ11および12の間に掛け渡されるエンドレス
ベルト13とからなる。
【0034】そして、一方のプーリ11が、キャリッジ
モータ(CRモータ)101の駆動により正逆回転され
ると、そのプーリ11の正逆回転に伴って、エンドレス
ベルト13に接合されているキャリッジ5が、キャリッ
ジ軸9およびガイド板10に沿って、直線方向に往復移
動される。
【0035】記録媒体Pは、カラーインクジェットプリ
ンタ1の側方あるいは下方に設けられた給紙カセット
(図示せず)から給紙され、印字ヘッド3と、プラテン
ローラ7との間に導入されて、印字ヘッド3から吐出さ
れるインクにより所定の印字がなされ、その後、排紙さ
れる。なお、図1においては、記録媒体Pの給紙機構お
よび排紙機構の図示を省略している。
【0036】パージ装置8は、プラテンローラ7の側方
に設けられ、ヘッドユニット4がリセット位置にある時
に、印字ヘッド3に対向するように配置されている。こ
のパージ装置8は、印字ヘッド3の複数のノズル(図示
せず)を覆うように当該ノズルの開口面に対し当接する
パージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、
インク貯留部17とを備えており、ヘッドユニット4
が、リセット位置にある時に、印字ヘッド3のノズルを
パージキャップ14で覆い、印字ヘッド3の内部に溜ま
る気泡などを含んだ不良インクを、カム16の駆動によ
りポンプ15によって吸引することにより、印字ヘッド
3の回復を図るようにしている。なお、吸引された不良
インクは、インク貯留部17に貯められる。
【0037】パージ装置8におけるプラテンローラ7側
の位置には、パージ装置8に隣接してワイパ部材20が
配設されている。このワイパ部材20は、へら状に形成
されており、キャリッジ5の移動に伴って、印字ヘッド
3のノズル形成面を拭うものである。キャップ18は、
インクの乾燥を防止するため、印字が終了するとリセッ
ト位置に戻される印字ヘッド3の複数のノズルを覆うも
のである。
【0038】インクセンサ19は、インクカートリッジ
2の有無やインクカートリッジ2内のインクの有無を検
出するためのセンサである。駆動ユニット6の端部付近
(図1の左側)に設けられ、赤外光発光素子19a(図
5参照)と赤外光受光素子19b(図5参照)とを備え
ている。赤外光発光素子19aの光照射面と赤外光受光
素子19bの光受光面とは、インクカートリッジ2の略
20度で傾斜する傾斜部51a(図4参照)と同様な角
度で傾斜し、且つ、インクカートリッジ2の傾斜部に対
して、水平方向に略10度の角度で斜めに配置されてい
る(図5参照)。赤外光発光素子19aからインクカー
トリッジ2に対して照射された光は、反射光として赤外
光受光素子19bにより受光される。その受光した反射
光の多少により、インクカートリッジ2の有無やインク
カートリッジ2内のインクの有無が検出されるのであ
る。
【0039】次に、図2を参照して、ヘッドユニット4
に装着される各インクカートリッジ2の固定構造につい
て説明する。図2は、インクカートリッジ2がヘッドユ
ニット4に装着された状態を示す側面図であり、ヘッド
ユニット4とインクカートリッジ2の一部を断面視して
いる。なお、図中の2点鎖線は、固定アーム21が上方
へ跳ね上げられた状態を示している。
【0040】ヘッドユニット4は、上記したように、イ
ンクカートリッジ2を着脱自在に装着し印字ヘッド3へ
インクを供給するための部材であり、主に、載置部4a
と、固定アーム21とを備えている。載置部4aは、イ
ンクカートリッジ2が載置される部位であり、略平坦面
状に形成されている。この載置部4aは、3枚の仕切り
板4cによって4つの空間に仕切られており、各インク
カートリッジ2は、その各仕切板4c間に装着されてい
る。
【0041】載置部4aには、印字ヘッド3と連通する
インク供給通路22が貫通形成されており、このインク
供給通路22は、Oリング23によってシールされつつ
インクカートリッジ2のインク供給口50と連通されて
いる。かかる連通によって、インクカートリッジ2から
印字ヘッド3へインクが供給される。また、インク供給
通路22の側方(図2の左側)には、嵌合凸部24が載
置部4aに突設されている。この嵌合凸部24は、イン
クカートリッジ2の位置決めをするための部材であり、
詳細については後述する。
【0042】なお、ヘッドユニット4における嵌合凸部
24の後方(図2の左側)には、インクカートリッジ2
の上下方向(図2の上下方向)の移動を規制するための
突起4fが形成されている。
【0043】固定アーム21は、インクカートリッジ2
を図2の下方方向へ押圧し固定するための部材であり、
ヘッドユニット4の上方(図2の上側)に揺動可能に軸
支されている。固定アーム21は、一端側(図2の左
側)が揺動軸25により揺動自在に軸支されており、そ
の揺動軸25の外周には、補助ばね部材26が巻回され
ている。補助ばね部材26は、その一端がヘッドユニッ
ト4のばね係止部4dに係止されるとともに、固定アー
ム21へ付勢力を作用させた状態で、その他端が固定ア
ーム21に固定されている。そのため、固定アーム21
は、補助ばね部材26の付勢力によって上方(図2の上
側)へ跳ね上げられた状態に維持されるので(図におけ
る二点鎖線)、ヘッドユニット4のインクカートリッジ
2装着部を大きく開放することができ、インクカートリ
ッジ2の着脱作業時における操作者の作業性を向上させ
ることができる。
【0044】固定アーム21の端部(図2の左側)に
は、側面視三角形状に突設されるストッパ部27が形成
されている。このストッパ部27は、固定アーム21を
インクカートリッジ固定状態に維持するための部位であ
る。固定アーム21には揺動軸25が案内される長穴2
1aが形成されており、その長穴21aは、上部カバー
4eからストッパ部27がはずれるのに必要な長さを有
している。固定アーム21に形成された突起21bを押
すと、固定アーム21は長穴21aによって図2の下方
へ移動し、上部カバー4eとストッパ部27との係合が
解除されて開放される。また、インクカートリッジ2を
固定する際は、図2における2点鎖線の状態にある固定
アーム21の先端部21cを押し下げると、固定アーム
21が揺動軸25のまわりに下方に回動し始め、後述す
る押圧部28と、上壁56とが接した後は、固定アーム
21がその接点を中心として補助ばね部材26にさから
って回転する。ストッパ部27が上部カバー4eの下方
位置から上部カバー4eの端部4gよりも右側に移動す
ると、固定アーム21は、押圧部28と上壁56との接
点を中心として回転しているため、固定アーム21に形
成された長穴21aにより揺動軸25に対して図2の上
方へ移動して、上部カバー4eの端部4gにストッパ部
27が係止される。よって、後述する押圧部28および
係止爪29によりインクカートリッジ2が押圧された状
態を維持することができるのである。
【0045】固定アーム21の下面側(図2の下側)に
は、押圧部28が配設されている。この押圧部28は、
インクカートリッジ2を下方(図2の下側)へ押圧する
ための部材であり、押圧部28の内部には、弾性的に圧
縮された状態で圧縮ばね(図示せず)が配設されてい
る。押圧部28は、前進後退可能に形成されており、通
常は圧縮ばねにより前進した状態に保持されている。上
記したように、固定アーム21がインクカートリッジ2
側に揺動されると、押圧部28は、インクカートリッジ
2の上壁56と当接し後方へ後退する。よって、押圧部
28は、固定用のストッパ部27と圧縮ばねとにより付
勢力をインクカートリッジ2へ作用させることができ、
かかるインクカートリッジ2を下方(図2の下側)へ押
圧することができるのである。
【0046】また、押圧部28の側方(図2の左側)に
は、係止爪29が固定アーム21の下面側に固着されて
いる。この係止爪29は、インクカートリッジ2を位置
決めをするための部材であり、図2に示すように、後述
する第2嵌合凹部57の立設壁部と係止爪29とは当接
しているが、第2嵌合凹部57の底部と係止爪29とは
隙間を設けている。位置決めの詳細については後述す
る。
【0047】次に、図3を参照してインクカートリッジ
2の内部構造について説明する。図3(a)は、インク
カートリッジ2の側断面図であり、図3(b)は、図3
(a)のIIIb−IIIb線における部分断面図であ
り、図3(c)は、インクカートリッジ2の底部の斜視
図である。なお、図3(a)では、インクカートリッジ
2内にインクが貯留されていない状態を図示している。
【0048】インクカートリッジ2は、図3(a)に示
すように、略中空状の箱状体に形成されており、そのイ
ンクカートリッジ2の内部は、区画壁41,42によっ
て、大気導入室43、主インク貯留室44、副インク貯
留室45に区画されている。大気導入室43は、後述す
る主インク貯留室44内へ大気を導入するための空間で
あり、インクカートリッジ2の底壁46に貫通形成され
た大気連通口47を介して大気と連通されている。一
方、大気導入室43の上方(図3(a)の上側)は主イ
ンク貯留室44と連通されており、かかる連通部から主
インク貯留室44へ大気が導入される。
【0049】主インク貯留室44は、インクを貯留して
おくために実質的に密閉された空間であり、インクを含
浸可能なフォーム(多孔質体)48が収納されている。
主インク貯留室44の下方(図3(a)の下側)には、
インク連通口49が区画壁42に貫通形成されており、
主インク貯留室44は、かかるインク連通口49を介し
て後述する副インク貯留室45と連通されている。ま
た、フォーム48は、毛管現象を利用してその内部にイ
ンクを保持可能なスポンジ、繊維材料等から構成されて
おり、圧縮状態で主インク貯留室44内に収納されてい
る。よって、例えば、インクカートリッジ2が転倒した
際、主インク貯留室44から大気導入室43へインクが
流出し、その流出したインクが大気連通口47からイン
クカートリッジ2の外へ漏出してしまうことを防止する
ことができる。
【0050】副インク貯留室45は、インクを貯留して
おくとともに赤外光がインクセンサ19(図4参照)か
ら照射される部位であり、インクカートリッジ2の側端
部に実質的に密閉された空間として形成されている。副
インク貯留室45は、上記したインク連通口49を介し
て主インク貯留室44と連通されており、その主インク
貯留室44および副インク貯留室45に貯留されるイン
クは、インクカートリッジ2の底壁46に貫通形成され
たインク供給口50を介して印字ヘッド3(図2参照)
へ供給される。
【0051】副インク貯留室45の側壁51には、主イ
ンク貯留室44へ向かって下降傾斜する傾斜部51aが
形成されており、その傾斜部51aの内面側(主インク
貯留室44側、図3(a)の左側)には、プリズム52
が形成されている。
【0052】プリズム52は、インクカートリッジ2内
に貯留されるインクの有無の検出のために用いられる部
材であり、透明な光透過性材料を材質として成形される
側壁51の傾斜部51aに一体的に形成されている。な
お、光透過性材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポ
リプロピレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ
エチレン、ポリアミド、メタクリル、メチルペンテンポ
リマー、ガラス等を使用することができる。また、上記
した透明とは、光学的に完全な透明であるという意味で
はなく、いわゆる半透明をも含む意味である。
【0053】プリズム52は、図3(b)に示すよう
に、山と谷とを交互に配設することにより形成される複
数の反射面を備えている。この複数の反射面は、傾斜部
51aの縦方向一端側(図3(a)の上側)から他端側
(図3(a)の下側)に向けて下降傾斜しつつ、インク
カートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方
向)に列設されている。そのため、インクは、そのプリ
ズム52上を流下することができるので、プリズム52
上にインクが残留してしまい、かかるプリズム52から
所望の反射光が得られなくなることを防止することがで
きる。
【0054】このように、プリズム52を傾斜部51a
の内面側(インク界面側、図3(b)の左側)へ設ける
ことによって、傾斜部51aに対峙する方向から非垂直
(本実施例では、傾斜角略10度)に赤外光をインクセ
ンサ19から照射することができるようになる(図5
(c)参照)。その結果、傾斜面51aの外表面で反射
するインクの有無検出とは関係のない反射光を赤外光受
光素子19bが検出してしまうことを防止することがで
きるので、インクの有無検出に必要なプリズム52から
の反射光を主に受光することととなり、インクの有無検
出の精度が向上するのである。
【0055】また、インクセンサ19の赤外光発光素子
19aから傾斜部51aに向かって照射される赤外光
は、一般に、所定のビーム角(±10度前後)を有して
いる。そのため、赤外光は光束が広がってしまい、傾斜
部51aに照射される単位面積当たりの光量が低下して
しまう。そこで、傾斜部51aに複数の反射面を有する
プリズム52を傾斜部51aのほぼ全域にわたって配設
することにより、照射された赤外光を効率良く反射させ
ることができ、インクセンサ2の赤外光受光素子19b
へ充分な反射光を受光させることができるのである。な
お、本実施例におけるプリズム52では、図3(b)に
示すように、各反射面が交差する稜線部の交差角度は略
90度とされており、16面の反射面が形成されてい
る。
【0056】副インク貯留室45の上方には、上記した
プリズム52と所定間隔を隔てつつ対峙する反射部材5
3が形成されている。この反射部材53は、副インク貯
留室45内へ透過した赤外光の光路を変更するための部
材であり、プリズム52と所定角度を有しつつその内部
空間に空気層を有する袋状に形成されている。
【0057】このように構成されたインクカートリッジ
2によれば、印字ヘッド3によってインクが消費される
と、消費されたインク量に応じて大気導入室43から空
気が主インク貯留室44内へ導入され、主インク貯留室
44内のインク液面が低下する(図4(a)参照)。更
にインクが消費され、主インク貯留室44内のインクが
無くなった場合には、副インク貯留室45内のインクが
印字ヘッド3へ供給される。このとき、副インク貯留室
45内は減圧されるが、大気導入室43から主インク貯
留室44を経由した空気がインク連通口49を介して副
インク貯留室45内へ導入され、副インク貯留室45内
の減圧が緩和されるとともにインク液面が低下する(図
4(b)参照)。
【0058】よって、インクカートリッジ2は、まず、
主インク貯留室44内のインクが消費され、その主イン
ク貯留室44内のインクがすべて消費された後に、副イ
ンク貯留室45内のインクが消費されるように構成され
ている。従って、インクセンサ19により副インク貯留
室45内のインクの有無を検知することにより、インク
カートリッジ2全体としてのインクの有無を知ることが
できるのである。
【0059】また、インクカートリッジ2の底壁46に
は、第1嵌合凹部55が凹設されている。この第1嵌合
凹部55は、ヘッドユニット4の載置部4aに突設され
る嵌合凸部24(図2参照)と嵌合しインクカートリッ
ジ2を位置決めするための部材であり、底壁46のイン
ク供給口50と反対側(図3(a)の左側)の端部に凹
設されている。また、この第1嵌合凹部55は、図3
(c)に示すように、インクカートリッジ2の厚さ方向
(図3(a)の紙面垂直方向)略中央に配設されてい
る。ここで、インクカートリッジ2のインク供給口50
とヘッドユニット4のインク供給通路22とには、その
外周に円環状の溝が凹設されており、かかる円環状の溝
に配設されるOリング23を介して連結されている(図
2参照)。この連結だけでは、キャリッジ5が移動する
時に慣性によってインクカートリッジ2がインク供給口
50(Oリング23)を中心として回転してしまい正確
に位置決めすることができない。そこで、上記のよう
に、ヘッドユニット4の嵌合凸部24と嵌合可能な第1
嵌合凹部55を底壁46に設けることにより(図3
(c)参照)、インクカートリッジ2が回転してしまう
ことを防止しつつインクカートリッジ2の位置決めをす
ることができる。その結果、インクカートリッジ2をヘ
ッドユニット4へ正確に固定することができるのであ
る。
【0060】一方、インクカートリッジ2の上壁56に
は、第2嵌合凹部57が凹設されている。この第2嵌合
凹部57は、インクカートリッジ2をヘッドユニット4
へ固定する場合にヘッドユニット4の固定アーム21に
形成される係止爪29(図2参照)と嵌合する部位であ
る。第2嵌合凹部57は、インクカートリッジ2がその
幅方向(図3(a)の左右方向)へ横ズレすることを防
止するととともに、インクカートリッジ2の浮き上がり
を防止するためのものであり、インクカートリッジ2の
幅方向(図3(a)の左右方向)略中央、即ち、底壁4
6に形成されるインク供給口50と第1嵌合凹部55と
のインクカートリッジ2幅方向の略中央に相当する位置
に凹設されている。そのため、インクカートリッジ2
は、第2嵌合凹部57と、インク供給口50と、第1嵌
合凹部55との3点によりバランス良く支持されること
となる。よって、インクカートリッジ2が一方へ傾いた
状態で浮き上がり、がたついてしまうことを防止するこ
とができるので、インクカートリッジ2をヘッドユニッ
ト4へ安定した状態で強固に固定することができるので
ある。
【0061】また、第2嵌合凹部57の両側(図3
(a)の紙面手前および奥側)には、所定間隔を隔てつ
つ対向する一対の側壁板58,58が設けられている。
この側壁板58,58は、インクカートリッジ2の横ズ
レを防止するためのものであり、その対向面はインクカ
ートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の紙面垂直方向)
を向いて対向されている。また、その対向面間の間隔
は、第2嵌合凹部57に嵌合される固定アーム21の係
止爪29(図2参照)とほぼ同等の幅に形成されてい
る。よって、固定アーム21の係止爪29が第2嵌合凹
部57に嵌合されると、側壁板58,58によって、イ
ンクカートリッジ2はその厚さ方向(図3(a)の紙面
垂直方向)へ移動(横ズレ)することが防止される。
【0062】ここで、ヘッドユニット4は、上記したよ
うに、インクカートリッジ2の厚さ方向(図3(a)の
紙面垂直方向)に往復移動しつつ印字を行うが(図1参
照)、その印字中のヘッドユニット4は、印字速度を向
上させるために急激な加減速を繰り返しつつ往復移動す
る。そのため、インクカートリッジ2がヘッドユニット
4の移動方向に横ズレする場合には、その横ズレに起因
してヘッドユニット4自体に振動が発生し、印字品質に
悪影響を及ぼしてしまう。しかし、上記した側壁板5
8,58によって、インクカートリッジ2は、ヘッドユ
ニット4の移動方向への横ズレ(がたつき)が防止され
ているので、ヘッドユニット4は振動することなくスム
ーズに往復移動でき、その結果、良好な印字品質を得る
ことができるのである。
【0063】なお、インクカートリッジ2の側方(図2
の左側)には、一対のリブ61,61が設けられてお
り、このリブ61,61は、上記した側壁58,58と
同様に所定間隔を隔てつつ対向して形成されている。一
方、ヘッドユニット4には、そのリブ61,61と対応
する位置に係止凸部4h(図2参照)が突設されてお
り、インクカートリッジ2がヘッドユニット4に装着さ
れた場合には、リブ61,61の対向面間に係止凸部4
hが嵌合される(図2参照)。そのため、インクカート
リッジ2は、この一対のリブ61,61によっても印字
時の横ズレ(がたつき)が防止されるのである。
【0064】上壁56は、第2嵌合凹部57の一側(図
3(a)の左側)に配設される第1上壁56aと他側
(図3(a)の右側)に配設される第2上壁56bとを
備えており、第1上壁56aは、底壁46からの高さが
第2上壁56bよりも低く形成されている。一方、第2
上壁56bの反第1上壁56a側には、取手部59が配
設されている。取手部59は、インクカートリッジ2を
ヘッドユニット4へ装着する際に操作者が把持するため
の部位であり、把持し易いように上方(図3(a)の上
側)へ突設して形成されている。よって、インクカート
リッジ2の交換時等、インクカートリッジ2を一個だけ
ヘッドユニット4から取り外す場合には、取手部59を
把持することにより隣接する他のインクカートリッジ2
が邪魔になることなく取り外すことができる。一方、イ
ンクカートリッジ2を装着する場合には、取手部59を
把持してインクカートリッジ2を保持することにより狭
いスペースへ容易に装着することができる。
【0065】また、インクカートリッジ2をヘッドユニ
ット4へ装着する場合には、インクカートリッジ2は、
第1上壁56a側からヘッドユニット4の所定箇所へ装
入されるが、その第1上壁56aは、上記したように、
底壁46からの高さが低く形成されている。そのため、
第1上壁56aと上方へ跳ね上げられた固定アーム21
の軸支部近傍(反ストッパ部27側)とが干渉すること
を防止できるので、インクカートリッジ2をヘッドユニ
ット4へ引っ掛けることなく容易に装着することができ
るのである(図2参照)。
【0066】また、上壁56全体を薄くしないのは、押
圧部28の押圧に耐える剛性を維持するためである。
【0067】なお、第1上壁56aの側方(図3の右
側)には、第1凸部62が上方(図3の上側)へ突設さ
れており、上記した第2嵌合凹部57は、その第1凸部
62によって一方の側壁が形成されている。そのため、
固定アーム21の係止爪29が第2嵌合凹部57に嵌合
されると、第1凸部62によって、インクカートリッジ
2はその幅方向(図3(a)の右方向)へ移動(横ズ
レ)することが防止され、かつインクカートリッジ2の
浮き上がりも防止することができる。
【0068】次に、図4(a),(b)において、イン
ク有無検出の原理を説明する。図4(a),(b)は、
インクカートリッジ2とインクセンサ19との側面図で
あり、インクカートリッジ2の一部を断面視している。
なお、図4(a),(b)では、ヘッドユニット4、イ
ンクセンサ19の取り付け部材等を省略して模式的に図
示している。
【0069】インクカートリッジ2内にインク71が充
分ある場合には、図4(a)に示すように、インクセン
サ19の赤外光発光素子19aから照射された赤外光は
(光路X)、インクカートリッジ2の材質の屈折率とイ
ンク71の屈折率とが非常に近いため、インク71を透
過しつつインクカートリッジ2内を進行する。そして、
副インク貯留室45内に配設されている反射部材53へ
到達する。反射部材53に到達した赤外光は、反射部材
53の材質の屈折率と空気72の屈折率とが異なるた
め、反射部材53内面と空気72との界面で反射する
(光路Y)。
【0070】ここで、インクカートリッジ2の傾斜部5
1aは反射部材53に対して略20度で傾斜しているの
で、反射部材53に到達した赤外光の入射角度は傾斜部
51aへの入射角度とは異なるものである。従って、反
射部材53によって反射される反射光(光路Y)は、入
射光とは異なる角度で反射される。よって、反射光(赤
外光)はインクセンサ19の赤外光受光素子19bへは
向かわず、赤外光受光素子19bへ向かう反射光の光量
は小さいものとなる。
【0071】これに対して、インクカートリッジ2の副
インク貯留室45内にインク71が存在しない場合に
は、図4(b)に示すように、インクセンサ19の赤外
光発光素子19aから照射された赤外光は(光路X)、
インクカートリッジ2の材質の屈折率と空気の屈折率と
が異なるため、副インク貯留室45の外壁内面と空気と
の界面で反射する(光路Y)。そのため、インクカート
リッジ2内からインクセンサ19の赤外光受光素子19
bへ向かう反射光の光量は大きなものとなる。
【0072】このように、インクカートリッジ2内から
反射する反射光(光路Y)は、インク有無に応じてその
光量が変化するので、かかる光量の差をインクセンサ1
9の赤外光受光素子19bを用いて検出することによっ
て、インクカートリッジ2内に貯留されるインク有無を
検出することができるのである。
【0073】また、傾斜部51a及び反射部材53は、
副インク貯留室45の上方に配設されているので、副イ
ンク貯留室45の上方にインク71が存在しなくなった
時点、即ちインクカートリッジ2内にインク71が全て
存在しなくなる前に、予めインクが無いことを判断でき
るのである。
【0074】また、本実施例においては、傾斜部51a
の傾きを略20度としているが、かかる角度に限定され
るものではなく、略15度から略25度の範囲であれば
良い。即ち、略15度以上にすることにより、反射部材
53からの反射光が赤外光受光素子19bに戻るのを抑
制でき、略25度以下にすることにより、インクが傾斜
部51aへ常時貯留されるのを抑制できる。
【0075】次に、インクセンサ19を赤外光の被照射
面であるインクカートリッジ2の傾斜部51a(図3参
照)に対して、水平方向に略10度の角度で斜めに配置
した理由を図5を参照して説明する。図5は、インクカ
ートリッジ2とインクセンサ19とを表した上面図であ
る。尚、ヘッドユニット4に搭載された各インクカート
リッジ2a〜2dは、矢印W方向に往復搬送される。
【0076】まず、インクセンサ19を傾斜部51aに
対して垂直に配設した場合(図5(a)参照)には、赤
外光発光素子19aから照射される光(光路X)は、光
透過性部材によって構成される傾斜部51aを透過す
る。しかし、傾斜部51aの外側(反インク側)の表面
の細かな凹凸により、傾斜部51aを透過するはずの入
射光(光路X)が、傾斜部51aの外側の表面により反
射される場合がある。そして、その反射光(光路Y)が
赤外光受光素子19bにより受光されると、副インク貯
留室45内にインク71が存在するにも係わらず、あた
かもインク71が存在しないように判断される恐れがあ
り、本来のインクの有無の検出精度に悪影響を及ぼす原
因となっていた。
【0077】一方、インクセンサ19を傾斜部51aに
対して略10度より大きい角度で配設した場合(図5
(b)参照)には、例えば、インクカートリッジ2bが
存在しない場合であっても、赤外光発光素子19aから
照射された光(光路X)は、隣接するインクカートリッ
ジ2cにより反射される場合がある。そして、その反射
光(光路Y)が赤外光受光素子19bにより受光される
と、インクカートリッジ2bが存在しないにも係わら
ず、あたかもインクカートリッジ2bが存在するように
判断される恐れがあり、インクカートリッジ2bの有無
の検出ができない場合がある。
【0078】そこで、インクセンサ19を傾斜部51a
に対して略10度で配設した場合(図5(c)参照)に
は、赤外光受光素子19bが傾斜しているため、傾斜部
51aの外側(反インク側)の表面により反射される光
(図5(a)の光路Y参照)を受光するのを抑制でき
る。従って、インクが存在する場合には図4において説
明したように傾斜部51aを透過する光は受光されず、
一方、インクがない場合には、傾斜部51aの内側(副
インク貯留室45側)と空気との界面からの反射光(光
路Y)を赤外光受光素子19bにより受光する。よっ
て、その光量の差により正確にインクの有無を判断でき
るのである。また、インクカートリッジ2cがない場合
であっても、赤外光発光素子19aから照射される光
は、隣接するインクカートリッジ2dには照射されない
ため(光路X1参照)、正確にインクカートリッジ2c
の有無を判断することができるのである。
【0079】なお、本実施例においては傾きを略10度
に設定したが、これはインクカートリッジ2の大きさ、
各インクカートリッジ2間の隙間の間隔、インクカート
リッジ2とインクセンサ19との間隔等の諸要因により
定められる角度であるため、傾きを持っていれば良く、
かかる角度に限定されるものではない。
【0080】図6は、カラーインクジェットプリンタ1
の電気回路構成の概略を示すブロック図である。カラー
インクジェットプリンタ1を制御するための制御装置
は、本体側制御基板100と、キャリッジ基板120と
を備えており、本体側制御基板100には1チップ構成
のマイクロコンピュータ(CPU)91と、そのCPU
91により実行される各種の制御プログラムや固定値デ
ータを記憶したROM92と、各種のデータ等を一時的
に記憶するためのメモリであるRAM93と、書換え可
能な不揮発性のメモリであるEEPROM94、イメー
ジメモリ95、ゲートアレイ96等が搭載されている。
【0081】演算装置であるCPU91は、ROM92
に予め記憶された制御プログラムに従い、インク有無の
検出やインクカートリッジ装着の有無を検出するための
制御を実行するものである。また、印字タイミング信号
およびリセット信号を生成し、各信号を後述のゲートア
レイ96へ転送する。このCPU91には、ユーザが印
字の指示などを行うための操作パネル107、キャリッ
ジ5を動作させるキャリッジモータ(CRモータ)10
1を駆動するためのモータ駆動回路102、記録媒体P
を搬送する搬送モータ(LFモータ)103を動作させ
るためのモータ駆動回路104、記録媒体(印字用紙)
Pの先端を検出するペーパーセンサ105、キャリッジ
5の原点位置を検出する原点センサ106、インクセン
サ19などが接続されている。接続される各デバイスの
動作はこのCPU91により制御される。
【0082】ROM92には、制御プログラムの一部と
して、インクセンサ19とインクカートリッジ2の被照
射面との位置関係(相対位置)即ち、インクカートリッ
ジ2の検出位置を測定して、その理論値からのずれ(補
正値)をキャリブレーションデータとして入力するため
のキャリブレーションデータ入力処理(図7参照)、イ
ンクカートリッジ2のインクの有無を検出するためのイ
ンク検出処理(図8参照)、インクカートリッジ装着の
有無を検出するためのインクカートリッジ検出処理(図
10参照)のプログラムが記憶されている。各プログラ
ムの詳細については後述する。また、固定値データとし
て、検出した反射光レベルにおいてインク無しを検定す
るための第1しきい値や、検出した反射光レベルにおい
てインクカートリッジ未装着を検定するための第2しき
い値、インクレベル(インクカートリッジ2内のインク
残量)がニアエンプティからエンプティとなるまでのイ
ンク吐出回数であるエンプティしきい値等を記憶してい
る。
【0083】RAM93はメンテナンスモードフラグ9
3aを備えている。メンテナンスモードフラグ93a
は、カラーインクジェトプリンタ1の運転モードが、カ
ラーインクジェトプリンタ1の調整を行うためのメンテ
ナンスモードに設定されていることを示すフラグであ
る。メンテナンスモードの設定は操作パネル107に備
えられたモードスイッチ107aの操作により設定され
る。このメンテナンスモードの選択により、メンテナン
スモードフラグ93aはオンされる。オンされたメンテ
ナンスモードフラグ93aは、カラーインクジェットプ
リンタ1の調整終了を示すコマンドが入力されることに
よりオフされる。上記したキャリブレーションデータ入
力処理は、このメンテナンスモードフラグ93aがオン
されている場合に実行可能なプログラムとなっており、
該フラグ93aオンの状態でのみ補正値を記憶させるこ
とができる。
【0084】EEPROM94はキャリブレーションデ
ータメモリ94aと、第1〜第4カウンタ94b〜94
eと、第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94i
を備えている。キャリブレーションデータメモリ94a
は、キャリブレーションデータ入力処理により検出され
た補正値、即ち、インクカートリッジ2の本来の検出位
置からの位置ずれをキャリブレーションデータとして記
憶しておくためのメモリである。
【0085】上記したように、本実施例のカラーインク
ジェットプリンタ1は、インクカートリッジ2の被照射
面に対して、インクセンサ19が略10度の角度で傾斜
されて設置されている。しかし、センサ19の取り付け
時に生じる取り付け角度誤差により、その角度は略10
度とならないことが多い。かかる場合には、インクセン
サ19とインクカートリッジ2との相対位置が本来の位
置とは異なってしまう。つまり、インクカートリッジ2
の本来の検出位置から該インクカートリッジ2がずれて
しまい、インクセンサ19は本来の検出位置において正
確にインクカートリッジ2を検出できないのである。こ
のため、出荷前に実行されるキャリブレーションデータ
入力処理により、本来の検出位置と実施の検出位置との
ずれを検出し、そのずれ量が補正値として(出荷前に予
め)このキャリブレーションデータメモリ94aに書き
込まれる。
【0086】インクカートリッジ2の有無(インクカー
トリッジ未装着の検定)やインクの有無(インク無しの
検定)を検出する際には、このキャリブレーションデー
タメモリ94aに記憶される補正値が参照され、この補
正値に基づいて、反射光量を検出する検出位置(キャリ
ッジ5のポジション)が調節される。これにより、たと
えインクセンサ19とインクカートリッジ2の被照射面
との位置関係が本来の位置からずれていても、正確にイ
ンクカートリッジ2の有無やインクの有無を検出するこ
とができる。
【0087】第1〜第4カウンタ94b〜94eは、印
字ヘッド3からのインクの吐出(噴射)回数をカウント
アップするためのメモリであり、インクの吐出回数
「1」毎に「1」ずつ更新される。インクカートリッジ
2には所定量のインクが初期に注入されているが、その
インク量からおおよその最大吐出回数は決まっている。
このため、インクの吐出回数をカウントすることでイン
クのおおよその消費量を知ることができるのである。
【0088】カラーインクジェットプリンタ1には、ブ
ラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクを
それぞれ貯溜するために4つのインクカートリッジ2が
備えられているので、各インクカートリッジ2に対応す
る4つのカウンタ(第1〜第4カウンタ94b〜94
e)が設けられており、各インク毎にカウントされるイ
ンクの吐出回数が対応する第1〜第4カウンタ94b〜
94eに書き込まれる。そして、この第1〜第4カウン
タ94b〜94eに記憶されるカウント値は、インク検
出処理により参照され、該カウント値が所定の数となる
毎に、実際のインクレベル(インクカートリッジ2内の
インク残量)を調査するべく、インクセンサ19による
インク検出(インク検出処理、図8参照)が実行される
のである。
【0089】尚、印字時のみならず、インクカートリッ
ジ2内の気泡を吸い出すためのパージ処理や、ノズルの
目詰まりを解決するためのフラッシング処理においても
所定量のインクがインクカートリッジ2から吐出され
る。かかる処理で消費されるインクについては、印字時
の吐出回数の何カウントに相当するかがそれぞれ既知で
あるので、その相当するカウント数が、先に記憶されて
いるカウント値に加算され、対応する第1〜第4カウン
タ94b〜94eカウント値は更新される。
【0090】第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜
94iは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各
色のインクをそれぞれ貯溜するための4つのインクカー
トリッジ2に対応して各1づつ設けられ、該フラグ94
f〜94iのオンは、インクのニアエンプティを示すも
のである。ここでニアエンプティは、インクセンサ19
によるインクの検出限界を示すものであり、インクセン
サ19によりインク無しと検出された状態を示すもので
ある。
【0091】図3、図4で説明したように、初期状態で
充填されていたインクは主インク貯溜室44から消費さ
れ、主インク貯溜室44が空になると副インク貯溜室4
5のインクが消費される。副インク貯溜室45のインク
液面が反射部材53の下部を下回ると、インクセンサ1
9の赤外光発光素子19aから照射された光が、プリズ
ム52によりインクセンサ19の赤外光受光素子19b
方向(光路Y)へ反射されるようになる。これによりイ
ンクセンサ19の赤外光受光素子19bに検出される反
射光量が大きく変化(増大)する。検出された反射光量
は信号としてCPU91に入力されるので、かかる変化
がニアエンプティとしてCPU91に認識され、対応す
るニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされる。
【0092】尚、第1〜第4ニアエンプティフラグ94
f〜94iがオンされた(インクセンサ19によりイン
ク無しと検出された)時点において、インクカートリッ
ジ2内のインクは空(エンプティ)ではないので、更に
インクエンプティの状態(インク吐出回数がエンプティ
しきい値に達する)まで印字を続行することができる。
【0093】本実施例においてはインクエンプティを正
確に検出するために、第1〜第4ニアエンプティフラグ
94f〜94iがオンされると、対応する第1〜第4カ
ウンタ94b〜94eに記憶されているカウント値0は
クリアされ、0からエンプティしきい値までをカウント
アップし、インクエンプテイの検出精度を向上させてい
る。尚、オンされた第1〜第4ニアエンプティフラグ9
4f〜94iは、対応するインクカートリッジ2が、例
えば交換などにより、そのインクレベルがインク有りと
検出されることによりオフされる(図10参照)。
【0094】上記したCPU91と、ROM92、RA
M93、EEPROM94及びゲートアレイ96とは、
アドレスバス98およびデータバス99を介して接続さ
れている。
【0095】ゲートアレイ96は、CPU91から転送
される印字タイミング信号に従い、イメージメモリ95
に記憶されている画像データに基づいて、その画像デー
タを記録媒体に印字するための印字データ(駆動信号)
と、その印字データと同期する転送クロックCLKと、
ラッチ信号と、基本印字波形信号を生成するためのパラ
メータ信号と、一定周期で出力される噴射タイミング信
号JETとを出力し、それら各信号を、ヘッドドライバ
が実装されたキャリッジ基板120側へ転送する。ま
た、ゲートアレイ96は、コンピュータなどの外部機器
からセントロ・インターフェース97を介して転送され
てくる画像データを、イメージメモリ95に記憶させ
る。そして、ゲートアレイ96は、ホストコンピュータ
などからセントロ・インターフェース97を介して転送
されてくるセントロ・データに基づいてセントロ・デー
タ受信割込信号を生成し、その信号をCPU91へ転送
する。尚、ゲートアレイ96とキャリッジ基板120と
の間で通信される各信号は、両者を接続するハーネスケ
ーブルを介して転送される。
【0096】インクセンサ19は、赤外光発光素子19
aと赤外光受光素子19bとを備え、赤外光発光素子1
9aからインクカートリッジ2へ赤外光を照射し(図4
の光路X)、その反射光(図4の光路Y)をフォトセン
サである赤外光受光素子19bにより検出するものであ
る。赤外光受光素子19bにより受光された反射光は、
赤外光受光素子19bによって光電変換され、受光した
反射光量に応じた電気信号として検出される。検出され
る信号はアナログ信号であるので、赤外光受光素子19
bに接続されるA/Dコンバータ19cによりデジタル
信号へと変換された後、CPU91に入力される。この
インクセンサ19により検出された反射光量は、インク
検出処理またはインクカートリッジ検出処理において第
1または第2しきい値と比較される。これにより、イン
クカートリッジ2のインクの有無とインクカートリッジ
装着の有無を知ることができる。尚、A/Dコンバータ
19cは、アナログ信号を標本化、量子化、2進数化す
る等の段階を経てデジタル信号へと変換する。
【0097】キャリッジ基板120は実装されたヘッド
ドライバ(駆動回路)によって印字ヘッド3を駆動する
ための基板である。印字ヘッド3とヘッドドライバと
は、厚さ50〜150μmのポリイミドフィルムに銅箔
配線パターンを形成したフレキシブル配線板により接続
されている。このヘッドドライバは、本体側制御基板1
00に実装されたゲートアレイ96を介して制御され、
記録モードに合った波形の駆動パルスを各駆動素子に印
加するものである。これにより、インクが所定量吐出さ
れる。
【0098】次に、図7〜図10に示した各フローチャ
ートを参照して、上記のように構成されたカラーインク
ジェットプリンタ1で実行される各処理を説明する。
【0099】図7は、制御プログラムの1つであるキャ
リブレーションデータ入力処理のフローチャートを示し
た図である。このキャリブレーションデータ入力処理
は、出荷前に実行され、インクカートリッジ2の検出位
置の位置ずれを検出し、そのずれ量を補正値としてキャ
リブレーションデータメモリ94aに記憶するための処
理である。
【0100】かかるキャリブレーションデータ入力処理
は、カラーインクジェットプリンタ1の運転モードがそ
の調整を行うためのメンテナンスモードに設定されてい
る場合においてのみ実行可能であるので、このキャリブ
レーションデータ入力処理では、まず、メンテナンスモ
ードフラグ93aがオンされているか否かを確認し(S
1)、オンされていなければ(S1:No)、このキャ
リブレーションデータ入力処理を終了する。一方、メン
テナンスモードフラグ93aがオンされていると(S
1:Yes)、原点センサ106でキャリッジ5が原点
にあることを確認した後、CRモータ101を駆動して
キャリッジ5を原点から所定距離移動させることにより
キャリッジ5をホームポジションに移動する(S2)。
次に、赤外光発光素子19aを所定光量で点灯し(S
3)、キャリッジ5をインクセンサ19方向へ低速で移
動する(S4)。そして、所定の検出位置に達すると
(原点から所定距離だけキャリッジ5が移動すると)、
インクセンサ19による反射光量の検出を開始し、イン
クカートリッジ2によって反射される反射光レベル(反
射光量)を、赤外光受光素子19bで受光し、A/Dコ
ンバータ19cを介してCPU91に取り込む(S
5)。この反射光レベルの検出は、本来のインクカート
リッジ2の検出位置だけでなく、キャリッジ5の幅より
も広い範囲にわたって実行され、反射光レベルがアナロ
グデータで検出される(図11参照)。
【0101】次いで、取り込んだ反射光レベルについ
て、基準のインクカートリッジ2を示す検出信号のイン
クカートリッジ無しレベルからインクカートリッジ有り
レベルへと変化する変化位置を検出する(S6)。イン
クカートリッジ2の無い(未装着)位置においては、照
射した赤外光の反射は小さく、従って、検出されるイン
クカートリッジ無しレベルの反射光レベルは小さい。一
方、インクカートリッジ2がある(装着)位置において
は、照射した赤外光の反射は大きく、検出されるインク
カートリッジ有りレベルの反射光レベルも大きい。つま
り、インクカートリッジ無しレベルからインクカートリ
ッジ有りレベルへと反射光レベルが変化するこの変化位
置が、インクカートリッジ2の検出位置となるのである
(図11参照)。
【0102】そして、本来得られるべき理論上のインク
カートリッジ無しレベルからインクカートリッジ有りレ
ベルへの変化位置(理論値)と、S6の処理で検出され
たその変化位置(実際値)とのずれ(本来の検出位置と
実際の検出位置とのずれ)をキャリッジの移動距離αと
して算出し、そのずれを補正値としてキャリブレーショ
ンデータメモリ94aに記憶する(S7)。ここで、本
来の検出位置(理論値)は、キャリッジ5の原点からの
移動距離として記憶されている。よって、実際の検出位
置は、その理論値の移動距離±αであり、この±αの距
離が補正値となる。
【0103】このキャリブレーションデータ入力処理で
キャリブレーションデータメモリ94aに記憶された補
正値は、インク検出処理およびインクカートリッジ検出
処理の中で実行されるキャリブレーション処理(S1
5)において用いられる。これにより、インクカートリ
ッジ2からの反射光を検出する際の検出位置を補正し、
反射光レベルを正確に検出することができるのである。
【0104】尚、本実施例ではS6の処理で基準のイン
クカートリッジ2において、実際の検出位置と理論上の
検出位置とを比較したが、この基準のインクカートリッ
ジ2は、キャリッジ5に搭載された4つのインクカート
リッジ2の先頭インクカートリッジ2、即ち、最初に検
出される(検出位置に達する)インクカートリッジ2と
している。
【0105】図8は、インクの検出、即ち、インクカー
トリッジ2内のインク71の有無の検出を実行するイン
ク検出処理のフローチャートを示した図である。インク
検出処理は、印字ヘッド3の動作時にインクの消費量を
検出するべく所定のタイミングで繰り返して実行される
処理である。
【0106】このインク検出処理では、まず、カラーイ
ンクジェットプリンタ1で実行中の処理が何であるかを
チェックする(S11)。そして、実行中の処理が印字
であれば(S11:印字)、1パス分の印字を行う1パ
ス印字処理を実行する(S12)。この1パス印字処理
(S11)では消費したインクを算出するために、各イ
ンクカートリッジ2からのインクの吐出回数をそれぞれ
カウントし、そのカウントにより対応する第1〜第4カ
ウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値をカウン
トアップする。
【0107】次に、インクカートリッジ2の第1〜第4
ニアエンプティフラグ94f〜94iがオンされている
か否かを確認する(S13)。確認の結果、第1〜第4
ニアエンプティフラグ94f〜94iがオフであれば
(S13:No)、そのオフされている(フラグオフ
の)第1〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iに
対応するインクカートリッジ2のカウント値のうち、そ
のカウント値が所定数d(例えば100など)以上のも
のがあるか否かを確認する(S14)。このインク検出
処理は、インクの吐出回数が所定数dを経る毎にインク
センサ19によるインクの有無の検出を実行する。
【0108】ここで、そのカウント値が所定数d(例え
ば100など)以上であれば(S14;Yes)、イン
クセンサ19でインクの有無(インク無し)を検出する
べく、検出位置の補正と反射光レベル(反射光量)の取
り込みとを行うキャリブレーション処理を実行する(S
15)。このキャリブレーション処理(S15)の実行
後は、取り込んだ反射光レベルが第1しきい値以上であ
るか否かを判断する(S16)。この第1しきい値は、
インクの有りと無しとを識別するための反射光レベルで
ある。
【0109】そして、S16の処理で判断した結果、取
り込んだ反射光レベルが第1しきい値以上であれば(S
16:Yes)、副インク貯溜室45のインク液面が反
射部材53の下部を下回っており、インクレベル(イン
クカートリッジ2内のインク残量)がニアエンプティと
なっていることを示している(インク無しと検定され
る)。このため、該当するインクカートリッジ2の第1
〜第4ニアエンプティフラグ94f〜94iをオンし
(S17)、更に該当するカウント値(対応する第1〜
第4カウンタ94b〜94eに記憶されるカウント値)
を0にする(S18)。その後、他の各処理を実行して
(S19)、このインク検出処理を終了する。
【0110】また、S11の処理で確認した結果、実行
中の処理がパージまたはフラッシングであれば(S1
1:パージ、フラッシング)、パージ、フラッシング処
理を実行する(S22)。このパージ、フラッシング処
理(S22)は、インクカートリッジ2内の気泡を吸い
出すためにインクを排出するパージ処理、または、印字
ヘッド3の目詰まりを解消するためなどにインクを吐き
出すフラッシング処理を実行する処理である。このパー
ジ、フラッシング処理(S22)では、所定量のインク
が排出されることとなるが、かかるインク量は印字時の
吐出回数の何回分に相当するかが既知であり、かかる値
は予めROM92に固定値として記憶されている。この
ため、かかる吐出回数で消費されたインクをカウント
し、そのカウントにより対応する第1〜第4カウンタ9
4b〜94eに記憶されるカウント値をカウントアップ
する。このパージ、フラッシング処理(S22)の実行
後は、その処理をS13の処理に移行する。
【0111】一方、S13の処理で確認した結果、イン
クカートリッジ2の第1〜第4ニアエンプティフラグ9
4f〜94iがオンであれば(S13:Yes)、その
オンされている(フラグオンの)第1〜第4ニアエンプ
ティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリッ
ジ2のカウント値が、エンプティしきい値以上か否かを
確認する(S20)。フラグオンの第1〜第4ニアエン
プティフラグ94f〜94iに対応するインクカートリ
ッジ2のインクレベルは、インクセンサ19によるイン
クの検出限界を超えているので、ニアエンプティ以降の
インクの吐出回数をカウントしてすることによりインク
エンプティを検出するのである。
【0112】ここで、確認したカウント値がエンプティ
しきい値未満であれば(S20:No)、印字を実行で
きるインク残量が未だ残っているので、その処理をS1
9の処理に移行して各処理(S19)を実行後、このイ
ンク検出処理を終了する。また、S20の処理で確認し
た結果、オンされた第1〜第4ニアエンプティフラグ9
4f〜94iに対応するインクカートリッジ2のカウン
ト値が、エンプティしきい値以上であれば(S20:Y
es)、インクエンプティの表示などを行うインクエン
プテイ処理を実行する(S21)。S21の処理の実行
後はその処理をS19の処理へ移行して、印字できなか
ったデータを一時的に記憶するなどの各処理(S19)
を実行後、このインク検出処理を終了する。
【0113】また、S14の処理で確認した結果、カウ
ント値が所定数d(例えば100など)以上であるもの
がなければ(S14;No)、その処理をS19の処理
に移行して各処理(S19)を実行後、このインク検出
処理を終了する。
【0114】更に、S16の処理で確認した結果、取り
込んだ反射光レベルが第1しきい値未満であれば(S1
6:No)、インクレベルはニアエンプティではないの
で、S17の処理をスキップして、その処理をS18の
処理に移行する。
【0115】インクカートリッジ2の交換(脱着)が行
われた場合(インクカートリッジ検出処理)に、そのイ
ンクカートリッジ2に対応する第1〜第4カウンタ94
b〜94eのカウント値は0に設定され、インク吐出回
数のカウントアップが開始されるが、交換されたインク
カートリッジ2は、例えば使用済の品の装着や製造ばら
つきなどにより、そのインク充填量にはばらつきがあ
る。また、各カラーインクジェットプリンタ1の印字ヘ
ッド3からのインク吐出量のばらつきなどを考慮する
と、ニアエンプティに至るまでの、カウント値は必ずし
も同一とはならない。このため、初期状態から、インク
エンプティまでを連続してカウントアップしてしまう
と、あるしきい値(所定のカウント値)をもってインク
エンプティを判断することが困難となり、また、所定の
カウント値で検出されるインクエンプティが不正確にな
りがちである。しかし、ニアエンプティが検出された時
点では、インクカートリッジ2内のインク残量はほぼ同
じと考えられるので、このインク残量を消費するのに必
要なインクの吐出回数(カウント値)も同じとなると考
えられる。よって、かかる吐出回数付近の所定数をエン
プティしきい値とし、ニアエンプティ状態が検出(ニア
エンプティフラグオン)された時点を0カウントとし
て、エンプティしきい値までをカウントアップすれば、
正確にインクエンプティを検出することができる。
【0116】図9は、図8のインク検出処理の中で実行
されるキャリブレーション処理(S15)のフローチャ
ートを示した図である。このキャリブレーション処理
(S15)は、インクの有無を検出するべく、キャリブ
レーションデータメモリ94aに記憶されている補正値
に基づいてインクカートリッジ2の検出位置を補正し、
補正された検出位置において反射光レベル(反射光量)
の取り込みを行う処理である。
【0117】このキャリブレーション処理(S15)で
は、まず、キャリッジ5をホームポジションに移動する
(S31)。そして、このホームポジションからキャリ
ッジ5をインクセンサ19方向に移動し(S32)、キ
ャリッジ5が、1のインクカートリッジ2の本来の検出
位置に補正値が加味された位置へ達したか否かを確認す
る(S33)。そして、キャリッジ5がその補正値の加
味された検出位置に達していると(S33:Yes)、
赤外光発光素子19aを所定光量で点灯し、反射光レベ
ルを検出する(S34)。次に、4つの(全ての)イン
クカートリッジ2について反射光レベルが検出されたか
否かを確認し(S35)、かかる全ての反射光レベルが
検出されていると(S35:Yes)、このキャリブレ
ーション処理(S15)を終了する。
【0118】一方、S33の処理で確認した結果、キャ
リッジ5が補正値の加味された検出位置に達していなけ
れば(S33:No)、その処理をS32の処理に移行
し、キャリッジ5をインクセンサ19方向に移動する。
また、S35の処理で確認した結果、全てのインクカー
トリッジ2の反射光レベルが検出されていなければ(S
35:No)、その処理をS32の処理に移行し、全て
のインクカートリッジ2の反射光レベルが検出されるま
で、このキャリブレーション処理(S15)を実行す
る。
【0119】尚、キャリブレーション処理(S15)で
は、各インクカートリッジ2の所定位置(1ポイント)
から反射される反射光量(反射光レベル)をインクセン
サ19で検出するようになっている。即ち、反射光レベ
ルはピンポイントで検出されたピンポイントデータであ
る。このため、処理するべきデータ量を軽減し、データ
の処理を効率的に行うことができるのである。また、イ
ンクの有無の検出は印字動作中に行われるのでキャリッ
ジ5は高速で移動されているが、キャリブレーションデ
ータメモリ94aに記憶されている補正値に基づいて各
インクカートリッジ2は的確に検出位置へと搬送され
る。このため、正確に(ポイントデータであっても)反
射光レベルを検出することができる。
【0120】図10は、インクカートリッジ検出処理の
フローチャートを示した図である。このインクカートリ
ッジ検出処理は、インクカートリッジ装着の有無を検出
するための処理である。よって、インクカートリッジ2
が交換されたタイミングで行われるものであるが、カラ
ーインクジェットプリンタ1のカバーに設けられたセン
サが、カバーの開閉を認識することをインクカートリッ
ジ交換と認識して実行される。
【0121】このインクカートリッジ検出処理では、ま
ず、カバーが開けられた後、閉じられたか否かを確認す
る(S41)。そして、カバーが閉じられたことを検出
すると、上記したキャリブレーション処理(S15)が
実行され、所定の検出位置でインクカートリッジ2の反
射光の検出が実行される。その後、第1〜第4ニアエン
プティフラグ94f〜94iがオンされているインクカ
ートリッジ2の反射光レベルが、第1しきい値未満か否
か、即ち、インクが充填された状態であるか否かを確認
し(S43)、その結果、その反射光レベルが第1しき
い値未満であれば(S43:Yes)、インク残量の少
なかったインクカートリッジ2が交換されたということ
であり、該当するインクカートリッジ2のニアエンプテ
ィフラグ94f〜94iをオフし(S44)、更に該当
するインクカートリッジ2のカウンタ94b〜94eの
カウント値をクリアする(S45)。その後、第2しき
い値(インクカートリッジ未装着を検定するためのしき
い値)以上となる反射光レベルを4箇所検出したか否か
を確認し(S46)、その結果、第2しきい値以下とな
る反射光レベルが検出されると(S46:No)、イン
クカートリッジ未装着が検定されたこととなり、インク
カートリッジ未装着を報知などするインクカートリッジ
無しエラー処理を実行した後(S47)、このインクカ
ートリッジ検出処理を終了する。
【0122】また、S41の処理で確認した結果、カバ
ーが閉じられていなければ(S41:No)、このイン
クカートリッジ検出処理を終了する。更に、S43の処
理で確認した結果、その反射光レベルが第1しきい値以
上であれば(S43:No)、その処理をS46の処理
に移行する。一方、S46の処理で確認した結果、第2
しきい値を越える反射光レベルが4箇所検出されている
と(S46:Yes)、インクカートリッジ2は全て装
着されているということであり、このインクカートリッ
ジ検出処理を終了する。
【0123】図11は、インクカートリッジ2の反射光
レベルの変化を模式的に示した図である。縦軸には反射
光量が示されており、縦軸上を上に行くほどその反射光
量が大きくなるようになっている。また、インク無しを
検定する第1しきい値が破線で表示されており、かかる
第1しきい値以上はインク無し(ニアエンプティ)を示
す反射光レベルであり、第1しきい値未満はインク有り
を示す反射光レベルとなっている。また、この第1しき
い値の下方にはインクカートリッジ未装着を検定するた
めの第2しきい値が破線で示されている。
【0124】図11(a)は、本来の検出位置において
検出された理論上の反射光レベルを示した図である。図
に示したように、得られた反射光レベル(信号波形)を
第1しきい値で検定すれば、インクの有無を検出するこ
とができ、同じ反射光レベルを第1しきい値より小さな
第2しきい値で検定すれば、インクカートリッジ2の有
無を検出することできる。これは、インクの有りと無し
およびインクカートリッジ有りと無しとにおいて明確な
反射光量差が得られるためである。
【0125】また、図11(b)は、キャリブレーショ
ンデータ入力処理において検出された反射光レベルの信
号波形を示した図である。この図11(b)では、イン
クセンサ19の取り付け角度がインクカートリッジ2の
被照射面に対し垂直方向にずれた場合の反射光レベルの
信号波形が示されており、実際の検出位置が本来の検出
位置よりも手前となっていることが示されている。先頭
のブラックのインクが貯溜されるインクカートリッジ2
aは、キャリブレーションデータ入力処理において基準
となるインクカートリッジであり、このブラックのイン
クカートリッジ2aにおける本来の検出位置からのずれ
量αが補正値となっている。
【0126】次に、図12を参照して第2実施例につい
て説明する。第1実施例のインクカートリッジ2が反射
部材53によって赤外光の光路を変更するように構成さ
れていたのに対し、第2実施例のインクカートリッジ1
30は、赤外光を吸収する赤外光吸収部材131を備え
ている。なお、前記した第1実施例と同一の部分には同
一の符号を付して、その説明は省略する。
【0127】図12(a),(b)は、インクカートリ
ッジ130とインクセンサ19との側面図であり、イン
クカートリッジ130の一部を断面視している。なお、
図12(a),(b)では、ヘッドユニット4、インク
センサ19の取り付け部材等を省略して模式的に図示し
ている。
【0128】インクカートリッジ130は、第1実施例
と同様に、赤外光が照射される傾斜部51aの内面側
(インク界面側)には、プリズム52が形成されてお
り、インクカートリッジ130の内部は、フォーム48
が収納される主インク貯留室44と、後述する赤外光吸
収部材131が収納される副インク貯留室45とが区画
壁42により区画されて形成されている。赤外光吸収部
材131は、インクセンサ19の赤外光発光素子19a
から照射されインクカートリッジ130内へ透過した赤
外光を吸収するための部材であり、プリズム52と所定
間隔を隔てて対向した状態で副インク貯留室45内に配
設されている。
【0129】次に、赤外光吸収部材131が配設された
インクカートリッジ130内のインク71の有無を検出
する検出方法について説明する。インクセンサ19は、
第1実施例と同様に、赤外光発光素子19aからインク
カートリッジ130の傾斜部51aに向かって赤外光を
発光する。そして、反射光を赤外光受光素子19bが受
光し、かかる反射光の光量が一定値以下の場合には、イ
ンクカートリッジ130内にインクが有ると判断し(図
12(a)の場合)、その反射光の光量が一定値以上の
場合には、インクカートリッジ130内にインクが無い
と判断する(図12(b)の場合)のである。
【0130】詳細には、副インク貯留室45内がインク
71で満たされている場合には、図12(a)に示すよ
うに、赤外光発光素子19aから照射された赤外光は
(光路X)、傾斜部51a(プリズム52)の材質の屈
折率とインク71の屈折率とが非常に近いため、インク
71を透過しつつインクカートリッジ130内を進行す
る。そして、副インク貯留室45内に配設されている赤
外光吸収部材131へ到達し、その赤外光は、かかる赤
外光吸収部材131に吸収される。よって、インクセン
サ19の赤外光受光素子19bが受光する反射光の光量
は小さいもの(一定値以下)となる。
【0131】ここで、傾斜部51aは、第1実施例と同
様に、赤外光吸収部材131に対して略20度で傾斜し
ている。そのため、例えば、赤外光吸収部材131の赤
外光吸収特性が時間経過とともに劣化し赤外光を反射し
てしまうようになった場合でも、赤外光吸収部材131
に到達した赤外光は、傾斜部51a(即ち、光路X)と
はことなる方向へ反射することとなり、インクセンサ1
9の赤外光受光素子19bが検出するインクの有無検出
とは関係のない反射光の光量を抑制することができるの
である。
【0132】これに対して、副インク貯留室45内のイ
ンク71が消費された場合には、図12(b)に示すよ
うに、インクセンサ19の赤外光発光素子19aから照
射された赤外光は(光路X)、傾斜部51a(プリズム
52)の材質の屈折率と空気の屈折率とが異なるため、
プリズム52と空気との界面で反射する(光路Y)。よ
って、インクセンサ19の赤外光受光素子19bが受光
する反射光の光量は大きなもの(一定値以上)となる。
【0133】以上説明したように、第2実施例における
インクカートリッジ130によれば、赤外光吸収部材1
31によりインクの有無検出には関係のない赤外光を吸
収することができるので、インクカートリッジ130内
から反射する反射光は、インクの有無に応じてその光量
が大きく変化し、かかる光量の差をインクセンサ19の
赤外光受光素子19bを用いて検出することによって、
インクカートリッジ130内に貯留されるインクの有無
を正確に検出することができるのである。
【0134】また、傾斜部51a(プリズム52)及び
赤外光吸収部材131は、副インク貯留室45の上方に
配設されているので、インクカートリッジ130内のす
べてのインク71が消費されてしまう前に、余裕を持っ
てインクの有無を判断できるのである。
【0135】なお、上記した赤外線吸収部材としては、
一般に入手可能な公知の赤外線吸収部材を適宜選択して
使用することができる。例えば、ガラス材を母材として
V(バナジウム),Fe(鉄),Cu(銅),Co(コ
バルト),Ni(ニッケル)等を単独で、或いは、複数
種類を混入して形成したものでも良い。また、母材とし
ては固体、液体に限らないが、例えば、アセチルアセト
ンの金属キレート化合物、アントラキノン系化合物、ナ
フトキノン系化合物、ジアミンジスエチレンチオラトニ
ッケル誘導体、芳香族ジアンミン金属錯体、芳香族ジチ
オール金属錯体、脂肪族ジチオール金属錯体等の赤外線
吸収剤を母材に含有させたものでも良い。また、特定の
領域の光波長を吸収するフィルター特性を有したものを
使用しても良く、特に、光波長700nm〜900nm
の赤外光の吸収率が90%以上であるものが望ましい。
【0136】尚、第2実施例のカラーインクジェットプ
リンタ1の電気的構成は、図6に示した第1実施例のカ
ラーインクジェットプリンタ1の電気的構成に同じであ
り、また、第2実施例のカラーインクジェットプリンタ
1で実行される各処理についても、図7〜図10に示し
た第1実施例のカラーインクジェットプリンタ1で実行
される各処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0137】以上、上記各実施例において説明したよう
に、本発明の画像形成装置によれば、インクカートリッ
ジ2の被照射面に非垂直に光を照査し、その反射光量を
光学検出器により検出する。そして、検出した反射光量
をインク無しを検定するためのしきい値と、インクカー
トリッジ未装着を検定するためのしきい値と比較して、
インク無しとインクカートリッジ未装着とを検定するこ
とができる。よってインクカートリッジ2から反射され
た反射光に基づいて、インク71の有無とインクカート
リッジ装着の有無とを正確に検出することができる。
【0138】また、実際のインクカートリッジ2の検出
位置と、理論上の検出位置との誤差を算出し、その算出
した誤差に基づいて、インク無し又はインクカートリッ
ジ未装着を検定する際にキャリッジ5の位置を補正す
る。このため、インクセンサ19の取り付け誤差によっ
て、該インクセンサ19によるインクカートリッジ2の
検出位置が、本来の位置とずれたとしても、かかるずれ
を補正することができ、反射光量を正確に検出すること
ができる。
【0139】尚、本発明は、上記した実施例に限定され
るものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲におい
て適宜変形が可能である。例えば、上記第1実施例にお
いては、傾斜部51aと反射部材53との対向面が略2
0度傾斜するように、傾斜部51aが傾斜した状態で形
成されたが、本発明はそれに限定されるものではなく、
傾斜部51aを傾斜させる代わりに、反射部材53が傾
斜して形成されていても良い。かかる場合であっても、
本第1実施例と同様の効果を奏し得る。
【0140】また、第1実施例においては、反射部材5
3を袋状に形成し、その袋状の内部に空気72を充填す
ることにより、反射部材53に到達する光を反射させて
いるが、反射部材53に到達する光を反射できれば反射
プレートで構成しても良い。また、副インク貯留室45
内に反射部材53を別途設けたが、主インク貯留室44
と副インク貯留室45とを区画する区画壁42を反射部
材53として構成しても良い。
【0141】また、上記第2実施例においては、赤外光
が照射される傾斜部51aは、赤外光吸収部材131に
対して傾斜して構成されたが、これら傾斜部51aと赤
外光吸収部材131とが平行になるよう構成しても良
い。即ち、図13(a),(b)は、インクカートリッ
ジ140とインクセンサ19との側面図であるが、この
図13(a),(b)に示すように、側壁51を側面視
直線状に形成し、赤外光吸収部材141と側壁51(プ
リズム52)とが平行に配置されるようにインクカート
リッジ140を構成しても良いのである。インクの有無
検出の原理は、上記したものと同様であるので省略する
が、この場合においても、赤外光発光素子19aから照
射される赤外光の光路X上に赤外光吸収部材141を配
置することにより、インクの有無検出を精度良く行うこ
とができるのである。
【0142】また、第2実施例においては、区画壁42
或いはフォーム48を赤外光吸収部材として構成しても
良い。さらに、赤外光吸収部材131,141は、第1
実施例において示された袋状に形成された反射部材53
の内部に収納されていても良い。この場合には、赤外光
吸収部材131,141をインク71と区画した状態で
インクカートリッジ内に配設することができるので、例
えば、耐インク性に劣る材質、或いは、インクへ悪影響
を及ぼす材質からなる部材であっても光吸収部材として
使用することができるのである。また、その袋状に形成
された反射部材53の内部を利用して赤外光吸収部材を
密閉することもできるので、かかる赤外光吸収部材を液
体により構成することもできるのである。
【0143】また、上記各実施例においては、画像形成
装置としてカラーインクジェットプリンタ1を用いた
が、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば、
インクジェット方式の複写機やファクシミリ装置などに
も適用することができる。また、カラーインクジェット
プリンタ1には4つのインクカートリッジ2が装着され
たが、1以上の所定数のインクカートリッジ2を装着さ
れるように構成しても良い。
【0144】また、上記各実施例においては、キャリブ
レーションデータ入力処理で、本来の検出位置と実際の
検出位置とのずれの補正を行うための補正値を、基準と
なる1のインクカートリッジ2に基づいて算出し、キャ
リブレーション処理(S15)では、算出されたその1
の補正値により、インクカートリッジ2の位置補正を行
った。しかし、これに代えて、各インクカートリッジ2
について補正値を検出する、或いは、両端のインクカー
トリッジ2について補正値を検出し、検出された各補正
値に基づいて、インクカートリッジ2の位置補正を行っ
ても良い。これにより、更に正確に、インクカートリッ
ジ2からの反射光を的確な検出位置において検出するこ
とができる。
【0145】また、上記各実施例においては、1のイン
クカートリッジ2に対応させて1のカウンタ(第1〜第
4カウンタ94b〜94e)を設けた。そして、インク
検出処理において、該カウンタによりインク検出間隔の
カウントを行う一方、ニアエンプティフラグ94f〜9
4iがオンされると、オンされたニアエンプティフラグ
94f〜94iに対応する第1〜第4カウンタ94b〜
94eのカウント値を0クリアし、新たにインクの吐出
回数をエンプティしきい値までカウントするように構成
した。しかし、これに代えて、1のインクカートリッジ
に対応させて2のカウンタを設け、インク検出処理で
は、1のカウンタにおいて初回からインクエンプティと
なるまでのトータルのインクの吐出回数をカウントし、
もう一方のカウンタにおいて、インクの吐出回数により
検出間隔をカウントするようにしても良い。
【0146】
【発明の効果】請求項1に記載のインクカートリッジに
よれば、第1凹部はインク供給口と同一平面に設けられ
ているので、インク供給口をヘッドユニットのインク供
給連通口と嵌合させる場合に、同時に第1凹部とヘッド
ユニットの凸部とを嵌合させることができ、容易にヘッ
ドユニットにおける位置決めをすることができる。ま
た、第1凹部はインク供給口の反対側の端部に形成され
ているので、両端部に設けられたインク供給口と第1凹
部とによりバランスよくヘッドユニットに固定すること
ができるという効果がある。
【0147】請求項2に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項1に記載のインクカートリッジの奏する効
果に加え、インク供給口及び第1凹部が形成された面に
対向する対向面には第2凹部が設けられているので、そ
の第2凹部とインクカートリッジを押圧するアームの凸
部とを嵌合させ、ヘッドユニットに固定をすることがで
きる。また、第2凹部は対向面におけるインク供給口と
第1凹部との略中央に形成されているので、第2凹部と
インク供給口と第1凹部とは、第2凹部を頂点とするほ
ぼ2等辺三角形状を形成するように配置される。よっ
て、バランス良くヘッドユニットに固定することができ
るという効果がある。
【0148】請求項3に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項1に記載のインクカートリッジの奏する効
果に加え、インク供給口及び第1凹部が形成された面に
対向する対向面には第1突起が形成されているので、イ
ンクカートリッジを押圧するアームの凸部を係止するこ
とができ、前方にズレるのを防止することができるとい
う効果がある。
【0149】請求項4に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項2に記載のインクカートリッジの奏する効
果に加え、第2凹部の両側には、1対の側壁が立設され
ているので、インクカートリッジを押圧する押圧部材の
凸部が第2凹部に嵌合される場合には、その側壁により
凸部の上方まで固定することができ、横ズレを防止する
ことができるという効果がある。
【0150】請求項5に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項3に記載のインクカートリッジの奏する効
果に加え、第1突起の両側には、一対の側壁が立設され
ているので、インクカートリッジを押圧する押圧部材の
凸部が第2凹部に嵌合される場合には、その側壁により
凸部の上方まで固定することができ、横ズレを防止する
ことができるという効果がある。
【0151】請求項6に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項2から請求項5のいずれかに記載のインク
カートリッジの奏する効果に加え、第2凹部または第1
突起の両側のうち、インク供給口側は高く形成されてい
るので、インク供給口側に対する押圧部材による押圧力
を高めることができ、インク供給口をヘッドユニットに
確実に固定することができるという効果がある。
【0152】請求項7記載のインクカートリッジは、請
求項6に記載のインクカートリッジの奏する効果に加
え、第2凹部または前記第1突起が形成された面であっ
て、インク供給口側の端部には、第2突起が形成されて
いるので、その第2突起を掴むことにより容易にヘッド
ユニットへの取付または取り出しをすることができると
いう効果がある。
【0153】請求項8に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項2又は請求項3に記載のインクカートリッ
ジの奏する効果に加え、インク供給口及び第1凹部が形
成された面と、前記第2凹部が形成されている面とに連
接され、前記インク供給口から遠い面に形成された一対
のリブに、ヘッドユニットに形成された凸部が嵌合され
るので、横ズレを防止できるという効果がある。
【0154】請求項9に記載のインクカートリッジによ
れば、請求項1から請求項8のいずれかに記載のインク
カートリッジの奏する効果に加え、外気連通孔を介して
空気室に充填される空気は、主貯留室が有する多孔質体
に含浸されたインクが排出された後に主貯留室を通過し
て副貯留室に侵入し、副貯留室のインクは排出されるの
で、副貯留室のインクを最後に排出することができる。
従って、例えば、副貯留室を主貯留室よりも小さく区画
し、その小さく区画された副貯留室に貯留される僅かな
インク量の範囲で光センサ等によりインクの残量を検出
でき、高性能にインクの有無を検出することができると
いう効果がある。
【0155】請求項10に記載のインクカートリッジに
よれば、請求項9に記載のインクカートリッジの奏する
効果に加え、外気連通孔を、インク供給口と第1凹部と
が形成された面における、インク供給口と第1凹部との
間に配置したことにより、第1凹部は空気室側に設ける
ことができる。よって、第1凹部を形成してもインク貯
留室に貯留できるインクの容量が減少することを抑制す
ることができるという効果がある。また、第1凹部をイ
ンク供給口から最も遠くに配置できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例におけるインクカートリッ
ジが装着されるカラーインクジェットプリンタの斜視図
である。
【図2】インクカートリッジがヘッドユニットに装着さ
れた状態を示す側面図である。
【図3】(a)は、インクカートリッジ2の側断面図で
あり、(b)は、図3(a)のIIIb−IIIb線に
おける部分断面図であり、(c)は、インクカートリッ
ジ2の底部の斜視図である。
【図4】(a),(b)は、インクカートリッジとイン
クセンサとの側面図である。
【図5】インクカートリッジとインクセンサとの上面図
である。
【図6】カラーインクジェットプリンタ1の電気回路構
成の概略を示すブロック図である。
【図7】制御プログラムの1つであるキャリブレーショ
ンデータ入力処理のフローチャートを示した図である。
【図8】インクの検出を実行するインク検出処理のフロ
ーチャートを示した図である。
【図9】図8のインク検出処理の中で実行されるキャリ
ブレーション処理のフローチャートを示した図である。
【図10】インクカートリッジ検出処理のフローチャー
トを示した図である。
【図11】インクカートリッジの反射光レベルの変化を
模式的に示した図である。
【図12】(a),(b)は、第2実施例におけるイン
クカートリッジとインクセンサとの側面図である。
【図13】(a),(b)は、第2実施例におけるイン
クカートリッジとインクセンサとの側面図である。
【符号の説明】
2(2a〜2d) インクカートリッジ 41,42 区画壁 43 大気導入室(空気室) 44 主インク貯留室(主貯留室、インク
貯留室の一部) 45 副インク貯留室(副貯留室、インク
貯留室の一部) 46 底壁(インク供給口及び第1凹部形
成面) 47 大気連通口(外気連通孔) 48 フォーム(多孔質体) 50 インク供給口 55 第1嵌合凹部(第1凹部) 56 上壁(第2凹部または第1突起形成
面) 56a 第1上壁(インク供給口側の第2凹
部形成面) 56b 第2上壁 57 第2嵌合凹部(第2凹部) 58 側壁板(側壁) 59 取手部(第2突起) 61 リブ 62 第1凸部(第1突起) 71 インク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA22 EB20 EB44 EB52 FA10 KC01 KC04 KC09 KC11 KC13 KC16 KD06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを貯留可能なインク貯留室と、そ
    のインク貯留室に貯留されるインクを外部へ供給可能な
    インク供給口とを備えているインクカートリッジにおい
    て、 前記インクカートリッジを位置決めするために形成され
    た第1凹部と、 一端側に前記インク供給口が形成され、他端側に前記第
    1凹部が形成された面とを備えていることを特徴とする
    インクカートリッジ。
  2. 【請求項2】 前記インク供給口及び第1凹部が形成さ
    れた面に対向する対向面を備え、その対向面における前
    記インク供給口と第1凹部との略中央部に対応する位置
    に、第2凹部が形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載のインクカートリッジ。
  3. 【請求項3】 前記インク供給口及び第1凹部が形成さ
    れた面に対向する対向面を備え、その対向面における前
    記インク供給口と第1凹部との略中央部に対応する位置
    に、第1突起が形成されていることを特徴とする請求項
    1に記載のインクカートリッジ。
  4. 【請求項4】 前記第2凹部の両側には、前記対向面の
    長手方向に立設された一対の側壁を備えていることを特
    徴とする請求項2に記載のインクカートリッジ。
  5. 【請求項5】 前記第1突起の両側には、前記対向面の
    長手方向に立設された一対の側壁を備えていることを特
    徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
  6. 【請求項6】 前記第2凹部または前記第1突起が形成
    された面であって、前記第2凹部または前記第1突起の
    両側で高さが異なるとともに、前記インク供給口側が高
    いことを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに
    記載のインクカートリッジ。
  7. 【請求項7】 前記第2凹部または前記第1突起が形成
    された面であって、高く形成された前記インク供給口側
    の端部には、第2突起が形成されていることを特徴とす
    る請求項6に記載のインクカートリッジ。
  8. 【請求項8】 前記インク供給口及び第1凹部が形成さ
    れた面と、前記第2凹部が形成されている面とに連接さ
    れ、前記インク供給口から遠い面に、一対のリブが形成
    されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記
    載のインクカートリッジ。
  9. 【請求項9】 外気と連通した外気連通孔を有する空気
    室と、その空気室に連通され前記インクを含浸可能な多
    孔質体を有する主貯留室と、その主貯留室に連通される
    と共に、主貯留室のインクが排出された後に前記空気室
    と連通される副貯留室とに区画されていることを特徴と
    する請求項1から請求項8のいずれかに記載のインクカ
    ートリッジ。
  10. 【請求項10】 前記外気連通孔は、前記インク供給口
    及び第1凹部が形成された面に設けられ、前記インク供
    給口と前記第1凹部との間に配置されていることを特徴
    とする請求項9に記載のインクカートリッジ。
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JP2017071091A (ja) * 2015-10-06 2017-04-13 ブラザー工業株式会社 液体供給装置

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