JP2002292718A - 熱可塑性樹脂発泡板の製造方法及び製造用成形装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡板の製造方法及び製造用成形装置

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JP2002292718A
JP2002292718A JP2001096983A JP2001096983A JP2002292718A JP 2002292718 A JP2002292718 A JP 2002292718A JP 2001096983 A JP2001096983 A JP 2001096983A JP 2001096983 A JP2001096983 A JP 2001096983A JP 2002292718 A JP2002292718 A JP 2002292718A
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fluid
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producing
foam
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JP2001096983A
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Inventor
Isao Tsujimura
勇夫 辻村
Takuya Yamashita
卓也 山下
Masaki Nishimura
正樹 西村
Mamoru Ishida
守 石田
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発泡剤を含む熱可塑性樹脂をオリフィスを備え
た口金を通して成形金型内へ押出す際に、多孔質材で形
成された成形金型内壁面から流体を流出させて押出物の
成形金型への接触抵抗を軽減させる熱可塑性樹脂発泡体
の製造方法が知られているが、従来の方法では発泡体の
断面の直角性や幅方向の物性の均一性などに問題がある
ことが多かった。 【解決手段】成形金型の周面に沿つて複数の流体流入口
を設け、成形金型内壁面から流出される流体の性状を発
泡体が所望の特性を持つように各領域で変化させること
で断面の直角性や幅方向の物性の均一性が良好で厚みの
大きな板状の熱可塑性樹脂発泡体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂発泡体
の製造方法に関するものであり、とくに押出発泡によっ
て所望の断面を持った板状の熱可塑性樹脂発泡体を製造
する方法に関するものである。また、本発明はその製造
に使用する成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂発泡体は、断熱性、緩衝性
に優れた工業製品として多く使われている。その製造方
法としては、発泡剤を含ませた熱可塑性樹脂を押出機か
ら押し出して発泡体とする押出発泡法が広く利用されて
いる。
【0003】さらに、押出発泡によって厚みの大きい板
のような発泡体を所望の形状通りに作るために、押出機
の先端の口金の先に成形金型を取り付け、押出物を成形
金型に通してこの中で発泡させて所望の形状になるよう
に押出すことが行われた。例えば、特公昭36−187
79号公報には、成形金型の内壁に多数の小孔を開け
て、この小孔から吸引しながら発泡体を押出して所望の
形状にする方法が記載されている。しかし、この方法で
は、押出物が金型壁面に接触した状態で吸引しつつ押出
が行われるので、発泡体の表面性が悪くなったり、押出
物が金型内に詰ったりするという欠点がある。
【0004】この欠点を解消するために、特公昭60−
53689号公報は、多孔質セラミックスなどで構成し
たダイス面および成形金型の内壁面からガスを噴出させ
て押出物の周囲にガスクッションを形成させることで、
押出物がダイス面および成形金型内面に接触することを
防いで押出物表面の損傷を防ぎ、さらに押出物に制止力
を与えて成形金型内に充満させることで、所望形状の発
泡体を得る方法を提案している。
【0005】ところが特公昭60−53689号公報の
教える方法によって発泡体の幅が厚みに対して大きい板
状発泡体を得ようとすると発泡体の側部が薄くなって断
面の直角性が低下してしまうという欠点や側部の密度が
大きくなって発泡体の幅方向の密度分布を均一化できな
いという欠点を有することが判明した。
【0006】また特開平10−44220号公報および
特開平10−67043号公報は、成形金型の壁面を多
孔質材で構成し、そこから水あるいは空気を流出させて
押出物が型内を移動するときの潤滑剤として利用して表
面性の良好な板状の発泡体を得る方法を提案している。
しかしこの方法においても発泡体の幅が厚みに対して大
きい板状発泡体を得ようとすると発泡体の側部が薄くな
ったり密度が大きくなり、幅方向の厚み分布や密度分布
を均一化できないという欠点は解消されないままであっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な欠点を改良することを目的とするものである。すなわ
ち、ダイス(口金)および成形金型の一部を多孔質材で
構成して、そこから流体を流出して成形金型の内面に潤
滑層を形成して厚みの大きな発泡板を押出す方法が知ら
れているが、従来の方法では発泡体の断面の直角性や幅
方向の物性の均一性などに問題があることが多かった。
それらに対して本方法は多孔質材から流体を適切に流出
させることにより発泡体の特性である断面の直角性や幅
方向の物性の均一性を良好に制御できる厚みの大きな板
状の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供するものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述した欠点
を解消する方法について鋭意検討した結果、流出させる
流体の種類、温度、圧力などを変えることで得られる発
泡体の密度、断面形状、セル形態などが変わることがわ
かり、さらに発泡体が所望の特性を持つように多孔質材
から流出させる流体の性状を各領域で変化させれば断面
の直角性や幅方向の物性の均一性が良好で厚みの大きな
板状の熱可塑性樹脂発泡体が得られることを見出した。
【0009】すなわち本発明は、(1)発泡剤を含む熱
可塑性樹脂をオリフィスを備えた口金を通して成形金型
内へ押出す際に、口金に連結させた多孔質材からなる成
形金型の内壁面から流体を流出させながら熱可塑性樹脂
を押出す熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、成形
金型の周面に沿つて複数の流体流入口を設け、成形金型
内壁面から流出させる流体の性状を該流体流入口で変化
させることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体の製造方法
を提供するものである。
【0010】また本発明は、(2)発泡体の幅が厚みに
対して3〜500倍の板状発泡体であることを特徴とす
る(1)に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供
するものである。
【0011】また本発明は、(3)変化させる流体の性
状が流体の種類であることを特徴とする(1)または
(2)に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供す
るものである。
【0012】また本発明は、(4)変化させる流体の性
状が流体の温度であることを特徴とする(1)〜(3)
のいずれか1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を
提供するものである。
【0013】また本発明は、(5)変化させる流体の性
状が流体の圧力であることを特徴とする(1)〜(4)
のいずれか1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を
提供するものである。
【0014】また本発明は、(6)変化させる流体の性
状が流体の流量であることを特徴とする(1)〜(5)
のいずれか1に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を
提供するものである。
【0015】また本発明は、(7)該多孔質材が冷間静
水圧加圧法(CIP法)あるいは熱間静水圧加圧法(H
IP法)で製造された多孔質金属であることを特徴とす
る(1)〜(6)のいずれか1に記載の熱可塑性樹脂発
泡体の製造方法を提供するものである。
【0016】また本発明は、(8)口金に連結させた成
形金型で形成される、オリフィス直後の樹脂通路の内、
少なくとも、発泡体の断面厚みが増加する領域を構成す
る成形金型の厚み方向全体が該多孔質金属で構成されて
いることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1に記
載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法を提供するものであ
る。
【0017】また本発明は、(9)発泡剤を含む熱可塑
性樹脂をオリフィスを備えた口金を通して成形金型内へ
押出す際に口金に連結させた多孔質材からなる成形金型
の内壁面から流体を流出させながら熱可塑性樹脂を押出
す熱可塑性樹脂発泡体の製造方法であって、成形金型の
周面に沿つて複数の流体流入口を設け、成形金型内壁面
から流出される流体の性状を該流体流入口で変化させる
ことを特徴とする熱可塑性樹脂発泡体製造用成形装置を
提供するものである。
【0018】また本発明は、(10)成形金型の内面の
少なくとも一部がポリテトラフルオロエチレンで被覆さ
れていることを特徴とする(8)に記載の熱可塑性樹脂
発泡体製造用成形装置を提供するものである。
【0019】また本発明は、(11)該多孔質材が冷間
静水圧加圧法(CIP法)あるいは熱間静水圧加圧法
(HIP法)で製造された多孔質金属であることを特徴
とする(9)〜(10)に記載の熱可塑性樹脂発泡体製
造用成形装置を提供するものである。
【0020】また本発明は、(12)口金に連結させた
成形金型で形成される、オリフィス直後の樹脂通路の
内、少なくとも、発泡体の断面厚みが増加する領域を構
成する成形金型の厚み方向全体が該多孔質金属で構成さ
れていることを特徴とする(9)〜(11)のいずれか
1に記載の熱可塑性樹脂発泡体製造用成形装置を提供す
るものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に本発明における実施の形態
を示すが、いずれの方法に関しても、以下に示すものに
限定されるものではない。
【0022】本発明の方法の代表的な一例について図面
を参照しながら説明する。添付図面の図1は本発明に係
わる縦断面図であり、図2は図1中のA−A’線の断面
図、図3は図1中のB−B’線の断面図である。口金1
は押出機11の先端に連結されており、その中にオリフ
ィス12を備えている。その先の樹脂通路の断面厚みが
増加する領域に多孔質材からなる成形金型2、さらにそ
の先に通常の材質の成形金型3が連結されている。樹脂
通路13はオリフィス12からつながっており、上下面
および側面ともに多孔質材からなる成形金型2で構成さ
れている。成形金型2の周面には流体を流入させる配管
15を複数個設けている。図3には成形金型2の断面図
を示しており、流体を流入させる配管には熱交換器16
および減圧弁17を設けており、流入させる流体の温
度、圧力、流量あるいは流体の種類を各配管で独立して
変えられるようにしている。樹脂通路14は樹脂通路1
3からつながっており、成形金型3の樹脂通路13と接
する面はポリテトラフルオロエチレン被覆部21として
いる。
【0023】加熱可塑化された発泡剤を含む熱可塑性樹
脂は押出機11から口金1へ供給され、オリフィス12
を通って発泡しながら成形金型2の壁面で構成される樹
脂通路13内へ押出され、樹脂通路14を通って成形体
となる。樹脂通路13内では配管15から流入した流体
を成形金型2の内壁面から流出させて押出物と成形金型
間に流体層を形成させることで押出物の成形金型への接
触抵抗を軽減させている。従来は、成形金型の内壁面か
ら断面が略矩形の樹脂通路内へ同じ性状の流体を流入す
ると発泡体の断面は丸みを帯びやすく発泡体と樹脂通路
断面の角部分の隙間に流体が集まるためか側部の厚みが
薄くなったり、また側部の冷却が促進されるためか側部
の密度が大きくなってしまう傾向があった。これを解決
すべく鋭意検討した結果、以下の解決策を得るに至っ
た。
【0024】すなわち、上下面と側面から流入させる流
体の種類を変えたり、上下面と側面から流入させる流体
の温度を変えたり、上下面の中央部と他の部分から流入
させる流体の圧力を変えたりすることにより成形金型内
の軟化状態にある発泡体の発泡挙動やセル変形挙動を制
御でき、発泡体の断面の直角性を向上させたり、発泡体
の幅方向の物性の均一性を向上させることが出来ること
が判明した。
【0025】また、発泡体表面が軟化状態にある成形金
型内で壁面への接触抵抗を軽減できるために表面性が良
好になる。また樹脂通路13内では内壁面から流出され
る流体の性状を周面の各領域で変化させることにより発
泡体断面も略矩形に制御され、それに続く樹脂通路14
内では成形金型3との間にポリテトラフルオロエチレン
被覆による滑りが生じるために表面性が良好でかつ断面
の直角性の良好な厚みの大きな板状の熱可塑性樹脂発泡
体を得ることができる。
【0026】本発明に用いられる樹脂としては、ポリエ
チレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂や
ポリスチレンなどのスチレン系樹脂やポリエチレンテレ
フタレートなどのポリエステル系樹脂やポリ塩化ビニル
などのポリハロゲン化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂
が単独で、あるいは2種以上の混合物として採用され得
る。
【0027】本発明に用いられる発泡剤としては、物理
発泡剤としてはプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタ
ンなどの炭化水素類、HFC134a、HFC152a
などの代替フロン類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩
化炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール
などの低級アルコール類、エチルエーテル、ジメチルエ
ーテルなどのエーテル類、窒素、二酸化炭素、空気、ア
ルゴン、水などの無機ガス類などが、また化学発泡剤と
しては重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ジニ
トロソペンタメチレンテトラミンなどが、単独で、ある
いはそれらの混合ガスとして採用され得る。これらの発
泡剤は熱可塑性樹脂を基準として0.01〜50重量%
の量で混合される。
【0028】本発明の製造方法により発泡体を製造する
際に、前記樹脂および発泡剤の他に、気泡形成核剤、難
燃剤、安定剤、滑剤、可塑剤、顔料、染料、帯電防止剤
などの添加剤などを適宜用いてもよい。
【0029】本発明によって製造される板状発泡体の寸
法はたとえば幅が約1000mmに対して厚みが5mm
から100mmのものなど様々な寸法のものがあり、板
状発泡体の幅の厚みに対する倍率は3〜500倍の範囲
内である。
【0030】多孔質材としては、多孔質セラミック、多
孔質ガラス、多孔質金属などが使用され、特に多孔質金
属が好適に使用される。
【0031】これらの多孔質材は成形金型の内壁面のみ
を構成させてもよいし、加工が可能であれば成形金型の
厚み方向全体を構成させてもよい。内壁面のみを構成さ
せる場合は、内壁面を多孔質材で構成して、その外側に
多孔質材から流体を均一に流出させるための空洞状の加
圧室を組立加工などにより結合させることができる。
【0032】また通常の機械加工が可能であれば成形金
型の厚み方向全体を多孔質材で構成して、流体を流入お
よび流出させる部位を、流体の流通を可能とする状態に
放電加工、電解加工あるいは研磨加工などにより加工し
て成形金型を作成することができる。
【0033】成形金型の厚み方向全体を構成する多孔質
材としては機械加工の可能な冷間静水圧加圧法(CIP
法)、熱間静水圧加圧法(HIP法)、あるいは熱間加
圧法(HP法)で製造された多孔質金属が使用できる。
特に冷間静水圧加圧法または熱間静水圧加圧法で製造さ
れた多孔質金属は金属粒子が強固に結合されて強度を高
くできるために好適に用いられる。
【0034】多孔質金属の素材としては、鉄、ステンレ
ス鋼、アルミニウム合金、チタン合金などの金属が成形
に使用される。そして、これらの方法では金属粉末粒子
を高圧下で処理するために組織が非常に微細で均一にな
り、形状も比較的複雑なものが成形できる。得られる多
孔質金属は平均空孔率10%以上、平均空孔径50μm
以下の非常に微細な連結空孔が均一に分布していなが
ら、高い強度と高いじん性を有している。そのために曲
面加工を含めた通常の機械加工を行うことができ、成形
金型全体を多孔質金属で構成させることができる。
【0035】また冷間静水圧加圧法(CIP法)、熱間
静水圧加圧法(HIP法)、あるいは熱間加圧法(HP
法)で製造された多孔質金属に切削加工や研削加工を行
うと機械刃による金属粒子の塑性化でバリが生じて多孔
質の目が詰ってしまうので流体の流通性を無くすことが
可能になる。これに対して、放電加工、電解加工、研磨
加工などでは多孔質の目が詰まらない状態で加工できる
ため、領域毎に機械加工の方法を変えることで選択的に
流体の流通を可能とする状態すなわち通気性を持たせる
ことが可能になる。
【0036】また流体を流出させる領域について検討し
た結果、経済性の面からも、また多孔質の目詰りによる
表面性悪化の面からも流体を流出させる領域は必要最小
限にするのが好ましい。従って、押出機等の口金に連結
させた成形金型で形成されるオリフィス直後の樹脂通路
の内、発泡体の断面厚みが増加する領域の全面、あるい
は、断面厚みが増加する領域の所定の高さまでの全面の
厚み方向全体を多孔質金属で構成して、流体の流通を可
能とするように加工して流体を流出させることによっ
て、押出物の表面が軟化状態にある領域での成形金型へ
の接触抵抗を軽減できるために得られる発泡体の表面性
が良好になる。
【0037】制御する発泡体の特性としては、発泡体の
厚み分布、断面の直角度、密度分布、強度分布、セル構
造分布などがある。
【0038】これらの特性を制御するには成形金型内壁
面の各領域から流出される流体の性状を適切に変化させ
ればよい。たとえば発泡体の幅方向端部の密度が高く、
中央部の密度が低い場合は成形金型内壁面の幅方向端部
から高温の流体、中央部から低温の流体を流出させれ
ば、端部の密度は低くなり、中央部の密度は高くなるの
で密度分布を均一化することができる。
【0039】多孔質材からなる成形金型の周面には複数
の配管を設けており、各配管から流入する流体の性状を
変化させれば成形金型内壁面の対応する領域から流出さ
れる流体の性状を変化させることができる。
【0040】変化させる流体の性状としては流体の種類
があり、気体としては空気、乾燥空気、窒素、水蒸気な
どを、液体としては、水、ポリエチレングリコール、パ
ラフィン類、オイル類などを使用することができる。流
体の種類を変化させれば軟化状態にある発泡体表面と流
体間の伝熱挙動などが変わり、発泡体の表面特性を制御
できると考えられる。
【0041】その他に変化させる流体の性状としては流
体の温度、圧力、流量などがある。
【0042】成形金型の周面に配置した各配管には熱交
換器などの流体の温度を調節できる機構や、減圧弁や流
量制御弁などの圧力や流量を調節できる機構を設けてお
り、各配管から流入する流体の温度、圧力、流量をこれ
らの機構によって独立して調節することで成形金型内壁
面の対応する領域から流出される流体の温度、圧力、流
量を変化させることができる。
【0043】本発明に使用される押出機としては、熱可
塑性樹脂の押出機として使用される公知のものが使用可
能であるが、樹脂と発泡剤を混合して発泡に適した温度
まで冷却できることが必要であり、単軸押出機、2軸押
出機、冷却混合機、スタティックミキサなどの混練冷却
装置またはそれらを複数段つなげたものなどの高分子材
料を適宜の温度に加熱でき、加圧下で適宜のせん断応力
を与えながら混練しうる装置があげられるが、これらに
限定されるものではない。
【0044】
【実施例】以下に実施例を述べて本発明の内容を具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0045】(実施例1)熱可塑性樹脂として低密度ポ
リエチレンを用い、低密度ポリエチレン100重量部
に、核剤としてタルク1重量部とを混合し、これを口径
65mmと口径90mmの押出機からなるタンデム押出
機に供給した。発泡剤としてイソブタン12重量部を押
出機に圧入して混合溶融した後、厚み1mm、幅100
mmのオリフィスから1時間当たりの押出量が60kg
になるようにして押出した。
【0046】成形金型としては第1図、第2図および第
3図に示したものを用いた。多孔質金属としてはCIP
法で製造された、気孔率25%、気孔径7μmのステン
レス鋼製のものを用いた。成形金型2をこの多孔質金属
で製作し、流体の出入り口を放電加工によって加工し
た。成形金型3は通常の材質で製作し、樹脂通路壁面2
1はポリテトラフルオロエチレン被覆を行った。成形金
型2には上下各5本および側部各1本の配管を設けた。
【0047】成形金型2の上下面の中央部の各3本の配
管からは20℃に温調された空気を0.5MPaの圧力
で、上下面の端部および側面の計6本の配管からは蒸気
を0.2MPaの圧力で供給した。
【0048】得られた発泡体は幅が302mm、厚みが
平均12.1mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が0.4mmであり、断
面が略矩形で表面には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面に
も亀裂のない表面性の良好な板状発泡体が得られた。発
泡体の幅方向中央部の密度は28.3kg/m3、側部
の密度は29.2kg/m3であり、幅方向の密度分布
はほぼ均一であった。
【0049】(実施例2)実施例1において、中央部の
各3本の配管からは20℃に温調された空気を0.5M
Paの圧力で、上下面の端部および側面の計6本の配管
からは85℃に温調された空気を0.5MPaの圧力で
供給する以外は実施例1と全く同様にして実施した。
【0050】得られた発泡体は幅が295mm、厚みが
平均11.5mmで発泡体の両側10mmずつを除いた
領域の厚みの最大と最小の差が0.6mmであり、断面
が略矩形で表面には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面にも
亀裂のない表面性の良好な板状発泡体が得られた。発泡
体の幅方向中央部の密度は30.4kg/m3、側部の
密度は31.2kg/m3であり、幅方向の密度分布は
ほぼ均一であった。
【0051】(実施例3)実施例1において、中央部の
各3本の配管からは20℃に温調された空気を0.5M
Paの圧力で、上下面の端部および側面の計6本の配管
からは20℃に温調された空気を0.2MPaの圧力で
供給する以外は実施例1と全く同様にして実施した。
【0052】得られた発泡体は幅が289mm、厚みが
平均11.5mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が0.7mmであり、断
面が略矩形で表面には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面に
も亀裂のない表面性の良好な板状発泡体が得られた。発
泡体の幅方向中央部の密度は30.6kg/m3、側部
の密度は31.8kg/m3であり、幅方向の密度分布
はほぼ均一であった。
【0053】(実施例4)実施例1において、中央部の
各3本の配管からは20℃に温調された水を0.5MP
aの圧力で、上下面の端部および側面の計6本の配管か
らは85℃に温調された水を0.5MPaの圧力で供給
する以外は実施例1と全く同様にして実施した。
【0054】得られた発泡体は幅が280mm、厚みが
平均10.7mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が0.9mmであり、断
面が略矩形で表面には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面に
も亀裂のない表面性の良好な板状発泡体が得られた。発
泡体の幅方向中央部の密度は32.3kg/m3、側部
の密度は33.6kg/m3であり、幅方向の密度分布
はほぼ均一であった。
【0055】(実施例5)熱可塑性樹脂としてポリスチ
レンを用い、タルク0.5重量部、発泡剤としてイソブ
タン4重量部とジメチルエーテル2重量部を圧入して厚
み2mm、幅60mmのオリフィスから1時間当たりの
押出量が50kgになるように実施例1と同様にして押
出した。
【0056】中央部の各3本の配管からは20℃に温調
された空気を0.5MPaの圧力で、上下面の端部およ
び側面の計6本の配管からは85℃に温調された空気を
0.5MPaの圧力で供給する以外は実施例1と全く同
様にして実施した。
【0057】得られた発泡体は幅が174mm、厚みが
平均18.5mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が0.2mmであり、断
面が略矩形で表面には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面に
も亀裂のない表面性の良好な板状発泡体が得られた。発
泡体の幅方向中央部の密度は38.3kg/m3、側部
の密度は38.9kg/m3であり、幅方向の密度分布
はほぼ均一であった。
【0058】(比較例1)実施例1において、すべての
配管から室温の空気を0.5MPaで供給する以外は実
施例1と全く同様にして実施した。
【0059】得られた発泡体は幅が272mm、厚みが
平均10.8mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が2.1mmと大きかっ
た。発泡体の表面性は良好であったが、発泡体は側部の
厚みが薄くなっていた。発泡体の幅方向中央部の密度は
27.9kg/m3であったが側部の密度が34.5k
g/m3であり、幅方向の密度差が大きくなっていた。
【0060】(比較例2)実施例5において、すべての
配管から85℃に温調された空気を0.5MPaで供給
する以外は実施例1と全く同様にして実施した。
【0061】得られた発泡体は幅が188mm、厚みが
平均19.4mmで発泡体の両側部10mmずつを除い
た領域の厚みの最大と最小の差が1.5と大きかった。
発泡体の表面性は良好であったが、断面が略矩形で表面
には亀裂、あばた、鮫肌がなく側面にも亀裂のない表面
性の良好な板状発泡体が得られた。発泡体の幅方向中央
部の密度は36.1kg/m3、側部の密度は40.3
kg/m3であり、幅方向の密度分布が大きくなってい
た。
【0062】
【発明の効果】発泡剤を含む熱可塑性樹脂をオリフィス
を備えた口金を通して成形金型内へ押出す際に成形金型
の周面に沿つて複数の流体流入口を設け、成形金型内壁
面から流出される流体の性状を各領域で適切に変化させ
ることにより断面の直角性や幅方向の物性の均一性が良
好で厚みの大きな板状の熱可塑性樹脂発泡体が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いる装置の縦断面図である。
【図2】図1のA−A’線断面図である。
【図3】図1のB−B’線断面図である。
【符号の説明】
1 口金 2 通気性を持たせた多孔質製の成形金型 3 通常の材質の成形金型 11 押出機 12 オリフィス 13、14 樹脂通路 15 配管 16 熱交換器 17 減圧弁あるいは流量制御弁 21 ポリテトラフルオロエチレン被覆部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F207 AA04 AA07 AA11 AA13 AA15 AA24 AB02 AB16 AG02 AG20 AJ02 AJ06 AJ09 AJ10 AR02 AR06 AR14 KA01 KA11 KF03 KF04 KL52 KL63 KL74 KL84 KL86 KM15

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡剤を含む熱可塑性樹脂をオリフィスを
    備えた口金を通して成形金型内へ押出す際に、口金に連
    結させた多孔質材からなる成形金型の内壁面から流体を
    流出させながら熱可塑性樹脂を押出す熱可塑性樹脂発泡
    体の製造方法であって、成形金型の周面に沿つて複数の
    流体流入口を設け、成形金型内壁面から流出させる流体
    の性状を該流体流入口で変化させることを特徴とする熱
    可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】発泡体の幅が厚みに対して3〜500倍の
    板状発泡体であることを特徴とする請求項1に記載の熱
    可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】変化させる流体の性状が流体の種類である
    ことを特徴とする請求項1〜2に記載の熱可塑性樹脂発
    泡体の製造方法。
  4. 【請求項4】変化させる流体の性状が流体の温度である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  5. 【請求項5】変化させる流体の性状が流体の圧力である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  6. 【請求項6】変化させる流体の性状が流体の流量である
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  7. 【請求項7】該多孔質材が冷間静水圧加圧法(CIP
    法)あるいは熱間静水圧加圧法(HIP法)で製造され
    た多孔質金属であることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体の製造方法。
  8. 【請求項8】口金に連結させた成形金型で形成される、
    オリフィス直後の樹脂通路の内、少なくとも、発泡体の
    断面厚みが増加する領域を構成する成形金型の厚み方向
    全体が該多孔質金属で構成されていることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】発泡剤を含む熱可塑性樹脂をオリフィスを
    備えた口金を通して成形金型内へ押出す際に口金に連結
    させた多孔質材からなる成形金型の内壁面から流体を流
    出させながら熱可塑性樹脂を押出す熱可塑性樹脂発泡体
    の製造方法であって、成形金型の周面に沿つて複数の流
    体流入口を設け、成形金型内壁面から流出させる流体の
    性状を該流体流入口で変化させることを特徴とする熱可
    塑性樹脂発泡体製造用成形装置。
  10. 【請求項10】成形金型の内面の少なくとも一部がポリ
    テトラフルオロエチレンで被覆されている、請求項9に
    記載の熱可塑性樹脂発泡体製造用成形装置。
  11. 【請求項11】該多孔質材が冷間静水圧加圧法(CIP
    法)あるいは熱間静水圧加圧法(HIP法)で製造され
    た多孔質金属であることを特徴とする請求項9〜10に
    記載の熱可塑性樹脂発泡体製造用成形装置。
  12. 【請求項12】口金に連結させた成形金型で形成され
    る、オリフィス直後の樹脂通路の内、少なくとも、発泡
    体の断面厚みが増加する領域を構成する成形金型の厚み
    方向全体が該多孔質金属で構成されていることを特徴と
    する請求項9〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性樹
    脂発泡体製造用成形装置。
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