JP2002291210A - 電動モータにおけるアーマチュア構造 - Google Patents

電動モータにおけるアーマチュア構造

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龍之 齋藤
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Kenji Sakata
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コイルを二層重ね巻きをするアーマチュアコ
アにおいて、そのスロット形状を異形にしてコイルの抜
け防止や巻線の巻装スペースを広く確保できるものであ
りながら、磁気的アンバランスの発生や振れ回りの発生
を防止する。 【解決手段】 スロットの形状については異形にしなが
ら、スロット深さDを一定になるよう統一し、これによ
って磁気的アンバランスの発生や振れ回りの発生を回避
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電装品等の電機機器に
用いられる電動モータにおけるアーマチュア構造に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】一般に、この種の電動モータに内装される
アーマチュアは、ボス部から放射状に突出する略T字形
のティースが複数形成されたアーマチュアコアに、巻線
を巻装することで構成され、そしてアーマチュアコアに
対する巻線の巻装方式としては、ティース間に形成され
る各スロットのうち予め決定される個数のスロットを飛
び越えた二つのスロット間に対して巻線群を巻装するこ
とを、コア軸の軸芯対称となる関係で両側に行い、かつ
これを順次隣接するスロット間にずらして行う所謂ダブ
ルフライヤ方式が広く採用されている。しかるに従来で
は、二層重ね巻きをダブルフライヤ方式で巻線する場
合、前半の巻装工程でスロットに巻装された巻線群は、
後半の巻装工程で巻装される巻線群が外周側に積層され
るが、後半の巻装工程で巻装される巻線群、特に最終の
巻装工程およびその一つ前の巻装工程で巻装される巻線
群にあっては、外周側に巻線群が積層されない許りでな
く、ティース先端の係止爪部間に形成される開口に極め
て近い位置に巻装されることもあってスロットから外れ
易いという不具合がある。さらに従来では、前記後半の
巻装工程で巻装される巻線群を、スロットにおける占積
率を高めるべく周方向に並べて巻装する場合に、後行し
て巻装される巻線群がスロット内に入りづらく、このた
め巻線の巻装工程が生産効率の低下を招いているのが実
状であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特許第305
9770号公報に示されるように、異形のコア形状と
し、これによって、ティース基部の強度は損なわない状
態で後行して巻き掛けられる少なくとも最終の巻装工程
およびその一つ前の巻装工程の巻線群が巻装される係止
爪部の周方向長が長く形成されるようにして、少なくと
も最終の巻装工程およびその一つ前の巻装工程で巻装さ
れる巻線群は、前記長く形成された係止爪部によって確
実に係止されるようにして、外周側に巻線群が積層され
ず、しかも外周側開口に極めて近い位置に巻装される巻
線群がスロットから外れるという従来の不具合を防止す
るようにしたものが提唱されている。そしてこのもの
は、巻線性の向上は計れるものの、スロット深さ(スロ
ット底径)にバラツキがあって均一でないため、鉄心幅
が変化し、この結果、磁気的アンバランスが発生しトル
クリップルが増加するだけでなく、回転バランスが損な
われて振れ回りが発生するという問題があり、ここに本
発明が解決せんとする課題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実
情に鑑みこれらの欠点を一掃することができるモータに
おけるアーマチュア構造を提供することを目的として創
作されたものであって、巻線が巻装されるアーマチュア
コアのスロットを、ボス部から放射状に突設される複数
のティース基部と、該ティース基部先端から周方向両側
に向けて突設され、かつ周方向に所定間隔を存して等ピ
ッチで配設される係止爪部とで略T字形に形成されるテ
ィース間に形成すると共に、これら各スロットのうち予
め決定される個数のスロットを飛び越えた二つのスロッ
ト間に対して巻線群を巻装することを、コア軸の軸芯対
称となる関係で両側に行い、かつこれを順次隣接するス
ロット間にずらして行うダブルフライヤ方式の二層重ね
巻きにして、前記各スロットに巻装される二束の巻線群
の各ティース基部に対する巻き掛け方向を異なるように
構成してなるモータにおいて、前記各スロットの形状は
異形のもので、かつスロット深さは一定に統一されてい
ることを特徴とする電動モータにおけるアーマチュア構
造である。そして本発明は、このようにすることによっ
て、巻線がスロットから外れてしまう不具合を防止し、
生産効率の向上を計ることができるよう異形スロットに
しながら、スロット深さを統一することで、トルクリッ
プルを低減し磁気的アンバランスを解消できると共に、
振れ回りを回避できるようにしたものである。
【0005】
【実施の形態】次に、本発明の一実施の形態を図面に基
づいて説明する。図面において、1は電動モータであっ
て、該モータ1のケース2内には、コア軸3に一体的に
設けられるアーマチュアコア4およびコンミテータ5、
該コンミテータ5に弾圧状に摺接するブラシ6、アーマ
チュアコア4の外周と所定間隔を存して対向する磁石7
等が内装されるが、これらの構成は何れも従来通りであ
る。
【0006】前記アーマチュアコア4は、ボス部4aか
ら放射状に突出する所定幅aのティース基部4bと、該
ティース基部4b先端から所定幅bを有するべく周方向
両側に向けて突設され、かつ周方向に所定間隔cを存し
て等ピッチで配設される係止爪部4cとで略T字形に形
成されるティースT1〜12が形成され、各ティースT
間にスロットS1〜12が形成されている。
【0007】Cはアーマチュアコア4に巻装される巻線
群であって、該巻線群Cは、前記各スロットSのうち、
4個のスロットSを飛び越えた二つのスロットS間に対
して巻装される工程を、コア軸3の軸芯対称となる関係
で両側に行うことで一回の巻装工程とし、該巻装工程を
順次隣接するスロットS間にずらして行うことによって
各スロットSに対して二束ずつ巻装されるが、これによ
って各スロットSに巻装される二束の巻線群Cは、各テ
ィース基部4bに対する巻き掛け方向が異なるようにな
っている。
【0008】前記巻線群Cは、実施の形態においては、
S1−S8間およびS2−S7間に巻装される第一巻装
工程、S2−S9間およびS3−S8間に巻装される第
二巻装工程、S3−S10間およびS4−S9間に巻装
される第三巻装工程、S4−S11間およびS5−S1
0間に巻装される第四巻装工程、S5−S12間および
S6−S11間に巻装される第五巻装工程、S6−S1
間およびS7−S12間に巻装される第六巻装工程を経
て内周側から外周側へ順次積層状に巻装されるが、前記
各ティースTのうち、スロットSの外周側開口近くに巻
装される巻線群C4〜6が巻き掛けられるティースT
1、2、4〜8、10〜12のティース基部4bは、係
止爪部4cの周方向中心に対して、先行して巻き掛けら
れる巻線群C1〜3が巻装されるスロットS側に左右幅
を維持した状態で偏倚している。即ち、後行して巻き掛
けられる巻線群C4〜6が巻装されるスロットSにおけ
る係止爪部4cの周方向長dを長くすると共に、スロッ
トSの外周側開口近くに二束の巻線群Cが周方向に並ぶ
よう巻装されるスロットS、特にスロットS6およびS
12においては開口側部の幅寸法eを広くするようにな
っている。またさらに、実施の形態においては、前記テ
ィースTの偏倚量を、最終巻装工程に近づく程大きくな
るよう設定すると共に、最終巻装工程である第六巻装工
程と、その一つ手前である第五巻装工程とで巻線群C6
およびC5が巻装されるスロットS6およびS12にあ
っては、スロット深さを浅くすることによりスロットS
における巻線群Cの占積率を高めるようになっている。
しかもこれら各スロットSは、そのスロット深さDが一
定となるよう寸法設定されている。
【0009】叙述の如く構成された本発明の実施の形態
において、アーマチュアコア4の各スロットSには、巻
線群Cがダブルフライヤ方式の二層重ね巻きによって内
周側から順次巻装されることになり、そして、後半の巻
装工程である第四〜第六巻装工程で巻装される巻線群C
4〜6は、スロットSの外周側開口近くに巻装されるこ
とになるが、巻線群C4〜6が巻き掛けられるティース
T1、2、4〜8、10〜12のティース基部4bを、
係止爪部4cの周方向中心に対して、先行して巻き掛け
られる巻線群C1〜3が巻装されるスロットS側に偏倚
せしめて、上記巻線群C4〜6が巻装されるスロットS
における係止爪部4cの周方向長dを長く形成している
ので、巻線群C4〜6は長く形成された係止爪部4cに
よって確実に係止されてスロットSから外れてしまうよ
うな不具合が無い。
【0010】しかも、所定ティースTのティース基部4
bを、幅aについては維持した状態で偏倚させたことに
よって、特にスロットS6およびS12における開口側
部の幅寸法eが他のものよりも広く形成されることにな
り、このため、スロットS6およびS12の外周側開口
近くに、最終とその一つ前工程で巻装される二束の巻線
群C5およびC6を共に一つのスロットS6およびS1
2に周方向に並ぶよう巻装する際に、後行して巻装され
る巻線群C6を容易にスロットS内に巻装することがで
き、この結果、巻線群Cの巻装工程における作業効率を
向上させて著しい生産性の向上を計ることができる。こ
のように、巻線CがスロットSから外れてしまう不具合
を防止し、生産効率の向上を計ることができるよう異形
スロットにしながら、スロット深さDを一定に統一する
ことで、トルクリップルを低減し磁気的アンバランスを
解消できると共に、振れ回りを回避できるようにしたも
のである。そして本発明が実施されたものが如何に優れ
ているかを、図4を用いてさらに具体的に説明する。図
4(A)(B)には、本実施の形態のアーマチュアコア
と従来例としてあげた前記特許第3059770号公報
に記載される異形のアーマチュアコアとについて、同じ
体格のモータを作成して実際にコギングトルクの波形を
測定した結果が図示されているが、この図から、本発明
の実施の形態のものは、略一定のコギングトルク状態と
なっているのに対し、従来の異形コアのものは、大きく
波打った状態となっており、これらから本発明を実施し
たものは明らかにトルクリップルが低減していることが
確認される。
【0011】さらにこのものでは、巻線群C6およびC
5が巻装されるスロットS6およびS12のスロット深
さを浅く、それ以外のスロットSのスロット深さを深く
設定しているので、スロットSにおける巻線群Cの占積
率を高めることができ、もってモータ性能も向上させる
ことができる。
【0012】また、偏倚されるティース基部4bは、切
欠かれたりすることなく、他のティース基部4bと同様
に所定幅aが確保されているため、磁路のアンバランス
に伴うモータ性能の低下が無いものとできる。
【0013】尚、本発明は、前記実施の形態のものに限
定されないものであることは勿論であって、例えば図
5、6に示す第二および第三の実施の形態のようにする
こともできる。図5に示す第二の実施の形態のものは、
90度毎に同じスロット形状となるよう配置したもので
あり、このようにすることにより、90度回転の積層に
も対応ができることになる。また図6に示す第三の実施
の形態のものは20スロットとしたもので、4極と極数
の多いものにも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータの断面図である。
【図2】アーマチュアコアの側面図である。
【図3】巻線を巻装した状態の同上側面図である。
【図4】(A)(B)は第一の実施の形態の異形コアと
従来の異形コアのコギングトルク波形の測定結果図であ
る。
【図5】第二実施の形態を示すアーマチュアコアの側面
図である。
【図6】第三実施の形態を示すアーマチュアコアの側面
図である。
【符号の説明】
1 モータ 4 アーマチュアコア 4a ボス部 4b ティース基部 4c 係止爪部 T ティース S スロット C 巻線群
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 義親 群馬県桐生市広沢町一丁目二六八一番地 株式会社ミツバ内 (72)発明者 齋藤 龍之 群馬県桐生市広沢町一丁目二六八一番地 株式会社ミツバ内 (72)発明者 荒井 啓司 群馬県桐生市広沢町一丁目二六八一番地 株式会社ミツバ内 (72)発明者 坂田 憲児 群馬県桐生市広沢町一丁目二六八一番地 株式会社ミツバ内 (72)発明者 光岡 圭介 群馬県桐生市広沢町一丁目二六八一番地 株式会社ミツバ内 Fターム(参考) 5H002 AA09 AB07 AE06 5H603 AA01 AA09 BB01 BB12 CA02 CA05 CB02 CC05 CC17 CD05 CD21 CE01 5H615 AA01 BB01 BB14 PP01 PP02 PP08 PP10 PP13 PP26 QQ02 QQ19 TT05 5H623 AA02 AA04 BB07 GG11 GG23 HH02 JJ01 LL13

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻線が巻装されるアーマチュアコアのス
    ロットを、ボス部から放射状に突設される複数のティー
    ス基部と、該ティース基部先端から周方向両側に向けて
    突設され、かつ周方向に所定間隔を存して等ピッチで配
    設される係止爪部とで略T字形に形成されるティース間
    に形成すると共に、これら各スロットのうち予め決定さ
    れる個数のスロットを飛び越えた二つのスロット間に対
    して巻線群を巻装することを、コア軸の軸芯対称となる
    関係で両側に行い、かつこれを順次隣接するスロット間
    にずらして行うダブルフライヤ方式の二層重ね巻きにし
    て、前記各スロットに巻装される二束の巻線群の各ティ
    ース基部に対する巻き掛け方向を異なるように構成して
    なるモータにおいて、前記各スロットの形状は異形のも
    ので、かつスロット深さは一定に統一されていることを
    特徴とする電動モータにおけるアーマチュア構造。
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