JP2002286094A - 捩り振動体の制振装置およびダンパプーリ - Google Patents

捩り振動体の制振装置およびダンパプーリ

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JP2002286094A JP2001387763A JP2001387763A JP2002286094A JP 2002286094 A JP2002286094 A JP 2002286094A JP 2001387763 A JP2001387763 A JP 2001387763A JP 2001387763 A JP2001387763 A JP 2001387763A JP 2002286094 A JP2002286094 A JP 2002286094A
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damper
permanent magnet
crankshaft
torsional
conductor
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Kazuo Shinoda
和夫 篠田
Hideo Takao
秀男 高尾
Junichi Nakajima
順一 中島
Taiji Horikawa
泰司 堀川
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Original Assignee
Maruyasu Industries Co Ltd
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    • F16F15/00Suppression of vibrations in systems; Means or arrangements for avoiding or reducing out-of-balance forces, e.g. due to motion
    • F16F15/10Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system
    • F16F15/18Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system using electric, magnetic or electromagnetic means
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H55/00Elements with teeth or friction surfaces for conveying motion; Worms, pulleys or sheaves for gearing mechanisms
    • F16H55/32Friction members
    • F16H55/36Pulleys
    • F16H2055/366Pulleys with means providing resilience or vibration damping

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンのクランクシャフトなどの捩り振動
体の振動を低減すること。 【解決手段】 捩り振動体の制振装置としてのダンパプ
ーリ120は、捩り振動しながら回転する捩り振動体と
してのクランクシャフト110に組み付けられたダンパ
本体121と、同本体121内部に回転可能に組み付け
られたダンパマス123とを備えている。そして、ダン
パマス123の対向面123b上には、永久磁石124
が周方向にて等間隔に固着されるとともに、本体121
の円盤部121cの対向面123bに対向する面上に
は、銅板125が固着されている。これにより、クラン
クシャフト110に捩り振動が発生した場合において、
永久磁石124と銅板125との間に生じた相対速度差
により、クランクシャフト110の捩り振動を減衰する
力(抑制力)が発生するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、捩り振動をしなが
ら回転する捩り振動体(例えば、自動車用エンジンのク
ランクシャフト)に組み付けられてなり、この捩り振動
を低減する捩り振動体の制振装置およびダンパプーリに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば実開平6−51608
号公報に示されているように、捩り振動体の制振装置の
一つとして、自動車用エンジンのクランクシャフトの前
端に組み付けられてウォーターポンプ等に駆動力を伝達
するダンパプーリはよく知られている。この種のダンパ
プーリは、例えば図24に示すように、クランクシャフ
ト10に円盤状のプーリ本体12がナット13により組
み付けられて、プーリ本体12はクランクシャフト10
と一体回転する。プーリ本体12の外周上面には、加硫
成形されたダンパゴム14を介してリング15が固着さ
れている。リング15の外周面上にはダンパマス16が
圧入固定されており、このダンパマス16はエンジンの
発電機、ウォーターポンプなどを駆動する滑車の機能を
兼ねている。
【0003】この場合、ダンパマス16にリング15を
加えた回転慣性モーメントとダンパゴム14の捩りばね
定数によって形成される捩り振動系の固有振動数が、ク
ランクシャフト10の捩り固有振動数に等しくなるよう
に設計される。このような設計によれば、クランクシャ
フト10の捩り振動が抑制される。この効果についてグ
ラフを用いて説明すると、図3の2点鎖線は6気筒エン
ジンでダンパ無しの状態におけるクランクシャフト10
の捩り振動の様子を示している。これによれば、エンジ
ン回転数の上昇と共に捩り振動の振幅は増大し、エンジ
ン回転数の6倍がクランクシャフト10の固有振動数に
一致したとき6次共振が発生することが解る。また、6
次の共振点を過ぎると捩り振動の振幅は一旦減少し、そ
の後、3次共振に向かって捩り振動は再び増加する。そ
の過程で、捩り振動がクランクシャフト10の捩り疲労
限界を超えて運転されると、クランクシャフト10が破
損する。図3の破線は、前記のようなダンパゴム14付
きのダンパプーリを用いた場合における6気筒エンジン
の捩り振動特性を示している。6次共振の点では、ダン
パプーリが共振して、クランクシャフト10の捩り振動
を抑制している様子が理解できる。ただし、前記共振点
の前後の周波数では、捩り振動の振幅が幾分か増加して
いる。
【0004】また、図25に示すような摩擦式ダンパプ
ーリも従来から知られている。この摩擦式ダンパプーリ
においても、プーリ本体22はクランクシャフト20に
ナット23により締め付け固定されている。プーリ本体
22の小径部外周面上には、円盤状の2枚のダンパマス
24,25が組み付けられており、ダンパマス24,2
5はスプリング26により互いに外側に付勢されてい
る。これらのダンパマス24,25の各外側面には摩擦
板27,28がそれぞれ固着されており、摩擦板27,
28は、プーリ本体22およびプーリ本体22に固定さ
れた環状プレート29に押し付けられて摩擦力を発生す
る。この摩擦力は回転数に関係なく一定の制振力を発生
するので、クランクシャフトシャフト20の捩り振動の
振幅は、図3の一点鎖線で示すように、全回転数域にわ
たって捩り振動の振幅を低減する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】エンジンのクランクシ
ャフトの捩り振動の最大の弊害は、クランクシャフトの
折損である。しかしながら、クランクシャフトの折損に
至らない振幅の捩り振動であっても、捩り振動は高速運
転時のエンジン騒音の一因となっている。その原因は、
クランクシャフトの先端付近に設けたカムシャフト駆動
歯車などが捩り振動を受けて騒音を発生するためであ
る。そして、高速運転時におけるエンジン騒音を減らす
ためには、従来のダンパでは捩り振動の抑制効果が不足
する。
【0006】また、エンジンの性能向上を図るため、最
高回転数を引き上げることがある。この場合、ゴムダン
パなどの従来のダンパでは、捩り振動が次の共振点に向
かって上昇し、クランクシャフトが折損する。その対策
として、2つのダンパマスを用いる場合もあるが、この
ダンパは構成が複雑になる。
【0007】また、このような現象は、6気筒エンジン
に特有のものではなく、4気筒エンジンでも同様であ
る。ただし、クランクシャフトの短い4気筒エンジンで
は、最高回転域内でクランクシャフトの折損を心配する
事例は少なく、高速走行時の騒音の問題だけが残る。
【0008】
【発明の概要】本発明は上記問題に対処するためになさ
れたもので、その目的は、渦電流を用いて、エンジンの
クランクシャフトなどの捩り振動体の振動を抑制する捩
り振動体の制振装置およびダンパプーリを提供しようと
するものである。
【0009】前記目的を達成するため、本発明の基本的
な特徴は、捩り振動をしながら回転する捩り振動体に一
体回転するように組み付けられた第1回転部材と、第1
回転部材に対向して配置された第2回転部材と、第2回
転部材を第1回転部材と同一軸線回りに回転可能に支持
する回転支持部材とを備えた捩り振動体の制振装置にお
いて、第1および第2回転部材のうちの一方の回転部材
を永久磁石で構成し、または同一方の回転部材に永久磁
石を固定し、かつ第1および第2回転部材のうちの他方
の回転部材を導電体で構成し、または同一方の回転部材
に導電体を永久磁石に対向させて固定し、捩り振動体の
捩り振動に伴って導電体に発生する渦電流により捩り振
動体の捩り振動を抑制するようにしたことにある。この
場合、前記捩り振動体は、例えば、エンジンのクランク
シャフトである。
【0010】また、前記回転支持部材は、前記第2回転
部材を前記第1回転部材に回転可能に支持するように構
成され得る。この場合、前記回転支持部材は前記第1回
転部材と一体回転するとともに流体(例えば、潤滑油と
してのシリコン油)の封入されたケースによって構成さ
れ、前記第2回転部材は前記ケース内に収容されるよう
に構成され得る。また、前記回転支持部材は、前記第2
回転部材を前記第1回転部材に連結する弾性部材(例え
ば、ゴム)によっても構成され得る。
【0011】また、前記回転支持部材は、前記第2回転
部材を前記捩り振動体に回転可能に支持するように構成
され得る。この場合、前記回転支持部材は、前記第2回
転部材を前記捩り振動体に連結する弾性部材(例えば、
板ばね、ゴム)によって構成されるようにするとよい。
【0012】なお、本明細書における導電体、導電板お
よび導電材料なる用語は、導電率の大きな(電気抵抗の
低い)金属を意味しており、銅、アルミニウム、銀など
の高導電率の金属が望ましい。しかし、構造的な側面か
ら、ある程度大きな導電率を有する金属材料(例えば、
鉄)なども、導電体、導電板および導電材料に含まれる
ものとする。この場合、鉄は高い透磁率も有していて永
久磁石による多くの磁束の通過を促すので、鉄を永久磁
石に対向する導電体、導電板および導電材料として用い
ることにより、銅、アルミニウム、銀などの透磁率の低
い金属を導電体、導電板および導電材料として用いた場
合における磁束を通過させるための高透磁率材料を省略
することができるというメリットがある。
【0013】前記特徴によれば、捩り振動体の回転に伴
って第1回転部材が回転すると、永久磁石と導電体との
相対速度差によって導電体に流れる渦電流の作用によ
り、第2回転部材は第1回転部材と連れ回りする。第1
回転部材が一定速度で回転していれば、第2回転部材も
同一定速度で回転する。しかし、捩り振動体に捩り振動
が発生して第1回転部材に回転変動が生じた場合、第2
回転部材は慣性力によって前記一定速度で回転を続けよ
うとする。その結果、第1回転部材と第2回転部材間に
は相対速度差が生じ、導電体には渦電流が流れ始めて、
この渦電流と永久磁石の作用により、第2回転部材は第
1回転部材の回転変動を抑制する。その結果、捩り振動
体に発生した捩り振動が渦電流によって抑制されること
になる。この場合、第1回転部材と第2回転部材との相
対速度差が大きいほど、渦電流は大きくなって同渦電流
による捩り振動の抑制力も大きい。
【0014】したがって、捩り振動体の高い周波数域に
おける捩り振動が良好に抑制され、この捩り振動体をエ
ンジンのクランクシャフトに適用すれば、高速運転時に
おけるエンジン騒音を下げることができる。逆に言え
ば、エンジン騒音を適度に抑えた状態で、エンジンの性
能向上のためにエンジンの最高回転速度を上げることが
できる。また、永久磁石および導電体による渦電流の作
用によって捩り振動体の捩り振動を抑制するようにした
ので、捩り振動の抑制装置を比較的簡単に構成できる。
また、第2回転部材を流体の封入されたケース内に収容
することにより、第2回転部材の回転がスムーズになる
とともに同回転に伴う異音の発生を防止でき、また第2
回転部材およびケースの耐久性も向上する。また、第2
回転部材を捩り振動体または第1回転部材に弾性部材を
介して連結させた場合、弾性部材による第1回転部材の
回転変動の抑制効果も利用できる。
【0015】また、前記本発明の基本的な特徴におい
て、導電体の永久磁石と対向する面と反対側面に磁性材
料からなる板部材を配置するように構成するとよい。こ
れによれば、永久磁石から発生する多くの磁束を導電体
に通過させることができ、大きな渦電流の発生により、
捩り振動体の捩り振動を大きな力で抑制できる。
【0016】また、前記本発明の基本的な特徴を、エン
ジンのクランクシャフトに一体回転するように組み付け
られた円盤状のダンパ本体を有するダンパプーリに適用
すると、その第1の特徴は、ダンパ本体に同ダンパ本体
と同一軸線回りに回転可能に組み付けられたダンパマス
と、ダンパ本体およびダンパマスのうちの一方に固定さ
れた永久磁石と、ダンパ本体およびダンパマスのうちの
他方に永久磁石に対向する位置にて固定された導電板と
を備え、永久磁石と導電板との相対速度差に伴って導電
板に発生する渦電流により前記クランクシャフトの捩り
振動を抑制するようにしたことにある。この場合、例え
ば、前記ダンパ本体に組み付けられて同ダンパ本体の一
部と共に密閉空間を形成するカバーを備え、密閉空間内
に、ダンパマス、永久磁石および導電板を収容するとと
もに、流体(例えば、潤滑油としてのシリコン油)を封
入するようにするとよい。
【0017】また、前記本発明の基本的な特徴を適用し
たダンパプーリの第2の特徴は、エンジンのクランクシ
ャフトに一体回転するように組み付けられた円盤状のダ
ンパ本体に同ダンパ本体と同一軸線回りに回転可能に組
み付けられたダンパマスと、ダンパ本体およびダンパマ
スのうちの一方に固定された永久磁石とを備え、ダンパ
本体およびダンパマスのうちの他方を導電性材料で構成
して、ダンパ本体およびダンパマスのうちの他方と永久
磁石との相対速度差に伴って、ダンパ本体およびダンパ
マスのうちの他方に発生する渦電流によりクランクシャ
フトの捩り振動を抑制するようにしたことにある。この
場合も、例えば、前記ダンパ本体に組み付けられて同ダ
ンパ本体の一部と共に密閉空間を形成するカバーを備
え、密閉空間内に、前記ダンパマスおよび永久磁石を収
容するとともに、流体(例えば、潤滑油としてのシリコ
ン油)を封入するように構成するとよい。
【0018】これらの第1および第2の特徴において
も、クランクシャフトに捩り振動が発生してダンパ本体
に回転変動が生じると、導電板または導電材料に渦電流
が流れ始めて、この渦電流と永久磁石との作用により、
ダンパマスはダンパ本体の回転変動を抑制する。その結
果、この場合も、クランクシャフトに発生した捩り振動
が渦電流によって抑制され、またこの抑制力はダンパ本
体とダンパマスとの相対速度差が大きいほど大きいの
で、高速運転時におけるエンジン騒音を下げることがで
きる。逆に言えば、エンジン騒音を適度に抑えた状態
で、エンジンの性能向上のためにエンジンの最高回転速
度を上げることができる。また、ダンパマスはダンパ本
体に組み付けられているので、ダンパプ−リを簡単かつ
コンパクトに構成できる。さらに、ダンパマスを流体の
封入された密閉空間内に収容すれば、ダンパマスの回転
がスムーズになるとともに同回転に伴う異音の発生を防
止でき、またダンパマスおよび密閉空間を形成するカバ
ーなどの耐久性も向上する。
【0019】また、前記本発明の基本的な特徴を適用し
たダンパプーリの第3の特徴は、エンジンのクランクシ
ャフトに一体回転するように組み付けられた円盤状のダ
ンパ本体に固定されて環状の空間を形成してなるケーシ
ングと、ケーシング内にダンパ本体と同一軸線回りに回
転可能に収容された環状の永久磁石とを備え、永久磁石
に対向したケーシングの少なくとも一部を導電性材料で
構成し、または永久磁石に対向したケーシングの少なく
とも一部に導電体を固定し、永久磁石とケーシングの少
なくとも一部または導電体との相対速度差に伴って、ケ
ーシングの少なくとも一部または導電体に発生する渦電
流によりクランクシャフトの捩り振動を抑制するように
したことにある。この場合、例えば、前記ケーシングに
よって形成される環状の空間を密閉するとともに、環状
の空間内に流体(例えば、潤滑油としてのシリコン油)
を封入するように構成するとよい。
【0020】また、前記本発明の基本的な特徴を適用し
たダンパプーリの第4の特徴は、エンジンのクランクシ
ャフトに一体回転するように組み付けられた円盤状のダ
ンパ本体に固定されて環状の空間を形成してなるケーシ
ングと、ケーシング内にダンパ本体と同一軸線回りに回
転可能に収容された環状の回転部材と、ケーシングおよ
び回転部材のうちの一方に固定された永久磁石とを備
え、ケーシングおよび回転部材のうちの他方であって永
久磁石に対向する少なくとも一部を導電性材料で構成
し、またはケーシングおよび回転部材のうちの他方であ
って永久磁石に対向する一部に導電体を固定し、永久磁
石と導電体または永久磁石に対向する少なくとも一部と
の相対速度差に伴って、導電体または永久磁石に対向す
る少なくとも一部に発生する渦電流によりクランクシャ
フトの捩り振動を抑制するようにしたことにある。この
場合も、例えば、前記ケーシングによって形成される環
状の空間を密閉するとともに、環状の空間内に流体(例
えば、潤滑油としてのシリコン油)を封入するように構
成するとよい。
【0021】この第3の特徴においては、クランクシャ
フトに捩り振動が発生してダンパ本体に回転変動が生じ
ると、ケース内に収容された永久磁石と、導電性材料か
らなるケースまたはケースに固定された導電体との相対
速度差が生じる。また、この第4の特徴においては、ク
ランクシャフトに捩り振動が発生してダンパ本体に回転
変動が生じると、永久磁石と、同永久磁石に対向した導
電性材料部分または導電体との相対速度差が生じる。そ
して、これらの相対速度差により、導電材料部分または
導電体に渦電流が流れ始めて、この渦電流と永久磁石の
作用により、ダンパ本体の回転変動が抑制される。
【0022】その結果、これらの第3および第4の特徴
によっても、クランクシャフトに発生した捩り振動が渦
電流によって抑制され、またこの抑制力は前記相対速度
差が大きいほど大きいので、高速運転時におけるエンジ
ン騒音を下げることができる。逆に言えば、エンジン騒
音を適度に抑えた状態で、エンジンの性能向上のために
エンジンの最高回転速度を上げることができる。また、
ケーシングはダンパ本体に組み付けられているので、ダ
ンパプ−リを簡単かつコンパクトに構成できる。さら
に、ケーシングによって形成された環状の密閉空間内に
流体を封入すれば、永久磁石または回転部材の回転がス
ムーズになるとともに同回転に伴う異音の発生を防止で
き、また永久磁石または回転部材と共にケーシングの耐
久性も向上する。
【0023】また、前記本発明の基本的な特徴を適用し
たダンパプーリの第5の特徴は、エンジンのクランクシ
ャフトに一体回転するように組み付けられた円盤状のダ
ンパ本体の外周面上に弾性部材(例えば、ゴム)を介し
て固定されたベルト取り付け部材を有するダンパプーリ
において、ダンパ本体およびベルト取り付け部材のうち
の一方に同一方と一体回転するように固定された永久磁
石を備え、ダンパ本体およびベルト取り付け部材のうち
の他方の永久磁石と対向する部分を導電性材料で構成
し、またはダンパ本体およびベルト取り付け部材のうち
の他方であって同他方の永久磁石と対向する部分に同他
方と一体回転するように導電体を固定し、永久磁石と導
電体または永久磁石に対向する少なくとも一部との相対
速度差に伴って、導電体または前記永久磁石に対向する
少なくとも一部に発生する渦電流によりクランクシャフ
トの捩り振動を抑制するようにしたことにある。
【0024】この第5の特徴においては、クランクシャ
フトに捩り振動が発生してダンパ本体に回転変動が生じ
ると、ダンパ本体とベルト取り付け部材との相対速度
差、すなわち永久磁石と、同永久磁石に対向した導電性
材料部分または導電体との相対速度差が生じる。そし
て、この相対速度差により、導電性材料部分または導電
体に渦電流が流れ始めて、この渦電流と永久磁石との作
用により、ダンパ本体の回転変動が抑制される。その結
果、クランクシャフトに発生した捩り振動が渦電流によ
って抑制され、またこの抑制力は前記相対速度差が大き
いほど大きいので、高速運転時におけるエンジン騒音を
下げることができる。逆に言えば、エンジン騒音を適度
に抑えた状態で、エンジンの性能向上のためにエンジン
の最高回転速度を上げることができる。また、永久磁石
はダンパ本体およびベルト取り付け部材に組み付けられ
ているので、ダンパプ−リを簡単かつコンパクトに構成
できる。また、ベルト取り付け部材とダンパ本体とは弾
性部材を介して連結されているので、弾性部材によるダ
ンパ本体の回転変動の抑制効果も利用できる。
【0025】また、前記本発明の基本的な特徴を適用し
たダンパプーリの第6の特徴は、捩り振動をしながら回
転する捩り振動体に対して金属製のバネを介して組み付
けられた慣性体と、捩り振動体に対して一体回転可能に
組み付けられて慣性体に対向配置された回転体と、慣性
体と回転体のいずれか一方の対向部位に設けられた磁石
と、慣性体と回転体のいずれか他方の対向部位に設けら
れた導体とを備えたことにある。
【0026】この場合、前記慣性体の外周にベルトが係
合する係合溝を形成してもよい。また、前記捩り振動体
は、例えばクランクシャフトである。
【0027】この第6の特徴においては、捩り振動体が
捩り振動をしながら回転すると、捩り振動体に対して回
転体が一体的に回転し、捩り振動体に対して慣性体がバ
ネの撓みに起因して相対変位をしながら回転する。この
ため、回転体と慣性体のいずれか一方の対向部位に設け
られた磁石と、回転体と慣性体のいずれか他方の対向部
位に設けられた導体との間に相対変位が生じ、この相対
変位によって導体に渦電流が流れる。導体に流れた渦電
流は、捩り振動体を減衰させるように作用して捩り振動
を低減する。
【0028】その結果、前記第6の特徴によれば、減衰
要素としてゴムを使用することなく、減衰要素として磁
石、導体および金属製のバネを使用しているため、捩り
振動体の捩り振動振幅が大きくても破損することがな
く、温度変化によって減衰特性が変化し難く、また、慣
性体が捩り振動体に対して無用に相対回転することがな
くて、減衰特性を安定して得ることができる。特に、こ
の渦電流による捩り振動体の抑制力は前記相対速度差が
大きいほど大きいので、高速運転時におけるエンジン騒
音を下げることができる。逆に言えば、エンジン騒音を
適度に抑えた状態で、エンジンの性能向上のためにエン
ジンの最高回転速度を上げることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】a.第1実施形態 以下に、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明す
る。図1は、同実施形態に係り、エンジンのクランクシ
ャフト(捩り振動体)110に組み付けられた制振装置
の一つであるダンパプーリ120を示している。
【0030】ダンパプーリ120は、クランクシャフト
110に組み付けられた円盤状のダンパ本体121を備
えている。ダンパ本体121は、クランクシャフト11
0にナット111により固定される円筒で小径のハブ部
121aと、エンジンの補機類(例えば、ウォーターポ
ンプなど)に駆動力を伝達するV字ベルトを支持する円
筒で大径のベルト支持部121bと、ハブ部121aと
ベルト支持部121bとを連結する円盤部121cとか
ら構成されている。そして、ハブ部121a、ベルト支
持部121bおよび円盤部121cにより、前方に開口
した環状の収容凹部121dが形成されている。
【0031】また、ダンパプーリ120は、ダンパ本体
121の収容凹部121d内部に組み込まれたプレーン
ベアリング122、ダンパマス123、永久磁石12
4、銅板125、および収容凹部121dを覆うカバー
126を備えている。ダンパマス123は、高透磁率か
つ比重の大きな磁性材料(例えば、鉄など)で形成さ
れ、ベルト支持部121bの内径に比してわずかに小さ
い外径の円盤状に形成されている。また、ダンパマス1
23の略中心部分には、図2に示すように、プレーンベ
アリング122を組み付けるための取付孔123aが形
成されており、同取付孔123aにプレーンベアリング
122が圧入されている。そして、ダンパマス123
は、プレーンベアリング122を介して、ハブ部121
aに回転可能に組み付けられている。このため、ダンパ
マス123はダンパ本体121に対して、自由に回転す
ることができる。また、ダンパマス123においては、
ダンパ本体121の円盤部121cに対向する対向面1
23b上に、周方向にて等間隔に扇形の永久磁石124
が固着されている。
【0032】永久磁石124は、例えば、希土類磁石
(例えば、ネオジウム磁石、サマリウム磁石など)であ
って、ダンパマス123の面123b上にて、隣接する
磁石の極性がそれぞれ異極となるように固着されてい
る。銅板125は、ベルト支持部121bの内径に比し
てわずかに小さい外径の円環状に形成されていて、ダン
パ本体121の収容凹部121d内部にて円盤部121
cに固着されている。したがって、永久磁石124と銅
板125とは、相対的変位可能に対向して収容凹部12
1d内に組み込まれている。なお、銅板125は、電気
抵抗の低い材料として用いられており、銅板125に代
えて、アルミニウム板または銀板など電気抵抗の低い材
料を採用してもよい。カバー126は、収容凹部121
dの開口部分全体を覆う環状に形成されており、プレー
ンベアリング122、ダンパマス123、永久磁石12
4および銅板125が収容された収容凹部121d内に
潤滑油(例えば、シリコン油など)が適量注入された
後、ダンパ本体121に形成された溝部121eに嵌め
られる。そして、ベルト支持部121bを外周方向から
かしめることにより、収容凹部121dがカバー126
によって密閉される。
【0033】上記のように構成した第1実施形態のダン
パプーリ120においては、クランクシャフト110が
回転すると、ダンパ本体121はクランクシャフト11
0と一体的に回転する。このため、円盤部121cに固
着された銅板125もクランクシャフト110と一体的
に回転する。一方、ダンパマス123は、クランクシャ
フト110の回転初期において、プレーンベアリング1
22により回転しない。
【0034】このため、ダンパマス123の対向面12
3b上に組み付けた永久磁石124と銅板125との間
に相対速度差が生じ、この相対速度差によって銅板12
5に渦電流が流れる。この銅板125に流れる渦電流
は、相対速度差に比例して大きくなり、永久磁石124
と銅板125との相対速度差を小さくするような力が作
用する。このため、クランクシャフト110の回転初期
においては、相対速度差が大きいため、ダンパマス12
3および永久磁石124は、ダンパ本体121に対して
連れ回りするようになる。これにより、ダンパマス12
3および永久磁石124の回転速度は、徐々に上昇し、
最終的にはダンパ本体121と同一の回転速度で回転す
るようになる。
【0035】このように、ダンパ本体121とダンパマ
ス123および永久磁石124とが同一の回転速度にて
回転している状態において、クランクシャフト110に
捩り振動がなく、一定の回転速度にて回転している場合
には、永久磁石124と銅板125との間に相対速度差
が生じないため、銅板125には渦電流が発生しない。
このため、ダンパ本体121とダンパマス123および
永久磁石124との間には、力が全く働くことなく、と
もに一定の回転速度にて回転を続ける。
【0036】一方、ダンパ本体121とダンパマス12
3および永久磁石124とが同一の回転速度にて回転し
ている状態において、クランクシャフト110に捩り振
動が発生した場合には、クランクシャフト110に対し
てダンパ本体121も捩り振動を伴って一体的に回転す
る。このとき、ダンパマス123および永久磁石124
は、プレーンベアリング122により一定速度で回転し
続けようとする。このため、永久磁石124と銅板12
5との間に相対速度差が生じ、銅板125に渦電流が発
生する。この銅板125に流れた渦電流により、永久磁
石124と銅板125との相対速度差を小さくするよう
な力すなわちクランクシャフト110およびダンパ本体
121の捩り振動を減衰する力(以下抑制力という)が
作用する。なお、前記抑制力は、永久磁石124と銅板
125との間の相対速度差に比例するため、捩り振動の
振幅が大きいほど大きな抑制力が発生し、捩り振動の周
波数が大きいほど大きな抑制力が発生する。
【0037】この抑制力の作用により、ダンパ本体12
1の捩り振動が減衰されて、クランクシャフト110の
捩り振動も減衰させることができる。これについて、図
3を用いて詳細に説明する。図3は、クランクシャフト
のエンジン回転数に対する捩り振動の振幅を示したもの
であって、クランクシャフトに、ダンパを組み付けた場
合(二点鎖線)と、減衰要素としてゴムまたは摩擦板を
使用している従来のダンパプーリを組み付けた場合(破
線または一点鎖線)と、本発明品のダンパプーリを組み
付けた場合(実線)とを比較して示したものである。図
3に示すように、本発明品のダンパプーリ120は従来
のダンパプーリに比べて、クランクシャフト110の捩
り振動を減衰していることが理解できる。
【0038】すなわち、従来のダンパプーリでは、エン
ジンの回転数が上昇するにつれて捩り振動の振幅が上昇
し、その振幅量は、疲労破壊振幅に近い振幅量で推移す
る。これに対して、本発明品のダンパプーリ120で
は、エンジンの回転数が上昇するにつれて捩り振動の振
幅が一様に大きくなる傾向にあるが、その振幅量は、疲
労破壊振幅に対して、非常に小さい振幅量で推移する。
【0039】以上のことから理解できるように、第1実
施形態のダンパプーリ120においては、減衰要素とし
て、永久磁石124と銅板125との間で発生する渦電
流に起因する抑制力を利用しているため、エンジンの高
速回転時において、振動の減衰効果が大きくなり、高速
運転時の騒音を大幅に低減することができる。逆に言え
ば、エンジン騒音を適度に抑えた状態で、エンジンの性
能向上のためにエンジンの最高回転速度を上げることが
できる。また、ダンパマス123はダンパ本体121に
組み付けられているので、ダンパプ−リ120を簡単か
つコンパクトに構成できる。さらに、プレーンベアリン
グ122、ダンパマス123および永久磁石124を流
体の封入された密閉空間内に収容したので、プレーンベ
アリング122、ダンパマス123および永久磁石12
4の回転がスムーズになるとともに同回転に伴う異音の
発生を防止でき、またプレーンベアリング122の耐久
性も向上する。
【0040】なお、前述した第1実施形態の実施にあた
っては、種々の変形が可能である。まず、第1実施形態
の第1変形例について説明すると、同第1変形例は、前
記第1実施形態の永久磁石124および銅板125の位
置を互いに入れ換えたものである。すなわち、この第1
変形例は、図4に示すように、複数の扇型の永久磁石1
24と同一構成の永久磁石124’をダンパ本体121
の収容凹部121d内部にて円盤部121cに周方向に
て等間隔に固着している。また、銅板125と同様な銅
板125’をダンパ本体121の円盤部121cに対向
する対向面123b上に固着している。また、この場合
も、銅板125’に代えて、アルミニウム板または銀板
など電気抵抗の低い材料を採用してもよい。
【0041】これによっても、ダンパマス123とダン
パ本体121との間に相対速度差が発生すると、永久磁
石124’による渦電流が銅板125’に流れて、ダン
パマス123はクランクシャフト110の捩り振動を前
述した第1実施形態と同様に抑制する。したがって、こ
の第1変形例においても、前記第1実施形態と同様な効
果が期待できる。
【0042】次に、第1実施形態の第2および第3変形
例について説明すると、第2変形例は、図5に示すよう
に、第1実施形態の銅板125を省略したものである。
また、第3変形例は、図6に示すように、第1実施形態
の第1変形例の銅板125’を省略したものである。こ
の第2変形例においては、永久磁石124による渦電流
は、ダンパ本体121の円盤部121cであって永久磁
石124と対向する表面層に流れる。また、第3変形例
においては、永久磁石124’による渦電流は、ダンパ
マス123であって永久磁石124’と対向する表面層
に流れる。
【0043】これらの場合、ダンパ本体121の円盤部
121cおよびダンパマス123は高透磁率の鉄により
構成されていて、前記省略した銅板125、125’よ
りも導電率が低い。しかしながら、これらの鉄によって
形成した円盤部121cおよびダンパマス123にも渦
電流が流れるので、前記第1実施形態およびその第1変
形例に比べれば、クランクシャフト110の捩り振動の
抑制効果は小さいものの充分な抑制効果が期待できる。
したがって、これらの第2及び第3変形例によっても、
前記第1実施形態と同様な効果が期待できる。また、銅
板125、125’を省略した分だけ、コストを低減で
きる。
【0044】b.第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態を図面を用いて説明する。
図7は、同実施形態に係り、エンジンのクランクシャフ
ト210(捩り振動体)に組み付けられた制振装置の一
つであるダンパプーリ220を示している。
【0045】ダンパプーリ220は、クランクシャフト
210に組み付けられたダンパ本体221を備えてい
る。ダンパ本体221は、クランクシャフト210にナ
ット211によって固定される円筒で小径のハブ部22
1aと、エンジンの補機類(例えば、ウォーターポンプ
など)に駆動力を伝達するV字ベルトを支持する円筒で
大径のベルト支持部221bと、ハブ部221aとベル
ト支持部221bとを連結する円盤部221cとから構
成されている。
【0046】また、ダンパプーリ220は、ダンパ本体
221の円盤部221cに組み付けられた永久磁石22
4、高透磁率材料である鉄製の環状板225およびカバ
ー226を備えている。永久磁石224は、図8に示す
ように、ベルト支持部221bの外径よりも大径の外径
と、同支持部221bの外径よりもわずかに小径の内径
とされ、軸線方向に所定の厚みを有した環状に形成され
ている。そして、この永久磁石224は、多数のN極、
S極が放射状になるように着磁されている。なお、永久
磁石224は、N極の裏面がS極になりかつS極の裏面
がN極になるように着磁されている。
【0047】環状板225は、ベルト支持部221bの
外径よりも大径の外径と、ハブ部221aの外径よりも
大径の内径を有する環状に形成されている。カバー22
6は、ベルト支持部221bよりも大径の外径と、ハブ
部221aよりもわずかに大径の内径を有する円環とさ
れており、円環の略中央部には、全周に渡って、軸線方
向の断面形状がコの字とされた凹部226aが形成され
ている。凹部226aは、永久磁石224を収容した際
に、永久磁石224が自由に回転可能な寸法とされてい
る。
【0048】これらの永久磁石224、環状板225お
よびカバー226は、一体的にダンパ本体121に組み
付けられる。すなわち、永久磁石224はカバー226
内に収容される。永久磁石224を収容したカバー22
6と環状板225とは、それぞれの一端部がかしめリン
グ227によりかしめられて、カバー226および環状
板225はケーシングを構成している。そして、永久磁
石224、環状板225およびカバー226がダンパ本
体221の円盤部221cに一体的に組み付けられた
後、同円盤部221c背面に、リベット228にて一体
的に組み付けられて、環状板225およびカバー226
によって構成されるケーシングは密閉される。なお、永
久磁石224がカバー226内に収容される際に、潤滑
油(例えば、シリコン油など)が適量注入されている。
【0049】上記のように構成した第2実施形態のダン
パプーリ220においては、クランクシャフト210が
回転すると、ダンパ本体221は、クランクシャフト2
10と一体的に回転する。このため、円盤部221cに
リベット228により組み付けられた環状板225とカ
バー226もクランクシャフト210と一体的に回転す
る。一方、永久磁石224は、カバー226内にて自由
回転可能であるため、クランクシャフト210の回転初
期において、回転しない。
【0050】このため、永久磁石224と環状板225
およびカバー226によって形成されるケーシングとの
間に相対速度差が生じ、この相対速度差によって環状板
225およびカバー226の表面に渦電流が流れる。こ
の環状板225およびカバー226の表面を流れる渦電
流は、永久磁石224と環状板225およびカバー22
6との相対速度差を小さくするような力を発生させ、こ
の発生した力は相対速度差に比例して大きくなる。この
ため、クランクシャフト210の回転初期においては、
相対速度差が大きいため、永久磁石224は、ダンパ本
体221に対して連れ回りするようになる。これによ
り、永久磁石224の回転速度は、徐々に上昇し、最終
的にはダンパ本体221と同一の回転速度で回転するよ
うになる。
【0051】このように、ダンパ本体221と永久磁石
224とが同一の回転速度にて回転している状態におい
て、クランクシャフト210に捩り振動が発生していな
い場合には、永久磁石224と環状板225およびカバ
ー226との間に相対速度差が生じないため、環状板2
25およびカバー226には渦電流が発生しない。この
ため、ダンパ本体221と永久磁石224との間には、
力がほとんど働くことなく、ともに一定の回転速度にて
回転を続ける。
【0052】しかしながら、ダンパ本体221と永久磁
石224とが同一の回転速度にて回転している状態にお
いて、クランクシャフト210に捩り振動が発生した場
合には、クランクシャフト210に対してダンパ本体2
21も捩り振動を伴って一体的に回転する。このとき、
永久磁石224は、自身の回転慣性モーメントの作用に
より、環状板225およびカバー226からなるケーシ
ング内を一定速度で回転し続けようとする。このため、
永久磁石224と環状板225およびカバー226との
間に相対速度差が生じ、環状板225およびカバー22
6の表面に渦電流が発生する。この環状板225および
カバー226の表面に流れた渦電流は、永久磁石224
と環状板225およびカバー226との相対速度差を小
さくするような力すなわちクランクシャフト210およ
びダンパ本体221の捩り振動を減衰する力(以下、抑
制力という)が作用する。なお、前記抑制力は、永久磁
石224と環状板225およびカバー226との間の相
対速度差に比例するため、捩り振動の振幅が大きいほど
大きな抑制力が発生し、捩り振動の周波数が大きいほど
大きな抑制力が発生する。この抑制力の作用により、ダ
ンパ本体221の捩り振動が減衰されて、クランクシャ
フト210の捩り振動も減衰させることができる。
【0053】以上のことから理解できるように、第2実
施形態のダンパプーリ220においても、減衰要素とし
て、永久磁石224と環状板225およびカバー226
との間で発生する渦電流に起因する抑制力を利用してい
るため、エンジンの高速回転時において、振動の減衰効
果が大きくなり、高速運転時の騒音を大幅に低減するこ
とができる。逆に言えば、エンジン騒音を適度に抑えた
状態で、エンジンの性能向上のためにエンジンの最高回
転速度を上げることができる。また、永久磁石224、
環状板225およびカバー226はダンパ本体221に
組み付けられているので、ダンパプ−リ220を簡単か
つコンパクトに構成できる。
【0054】さらに、ダンパマスとして作用する永久磁
石224は、プ−リ本体221の径方向外側位置に組み
付けられていて、大きなダンピング機能を作用を発揮す
るので、同永久磁石224を比較的小型かつ軽量に構成
できる。また、環状板225およびカバー226により
構成されて永久磁石224を収容するケーシング(密閉
空間)内に流体を封入するようにしたので、永久磁石2
24の回転がスムーズになるとともに同回転に伴う異音
の発生を防止でき、また永久磁石224、環状板225
およびカバー226などの耐久性も向上する。
【0055】なお、このように構成した第2実施形態の
実施にあたっても、種々の変形が可能である。まず、第
2実施形態の第1変形例について説明すると、同第1変
形例は、前記第2実施形態の永久磁石224を、図9に
示すように、高透磁率の環状鉄板231上に前記永久磁
石224と同様に構成した永久磁石224’を貼り合わ
せて一体回転するように構成したことにある。
【0056】これによっても、環状鉄板231および永
久磁石224’とダンパ本体221との間に相対速度差
が発生すると、永久磁石224’による渦電流がカバー
226に流れて、環状鉄板231および永久磁石22
4’はクランクシャフト210の捩り振動を前述した第
2実施形態と同様に抑制する。したがって、この第1変
形例においても、前記第2実施形態と同様な効果が期待
できる。
【0057】次に、第2実施形態の第2および第3変形
例について説明すると、第2変形例は、図10に示すよ
うに、第2実施形態(図7)の構成に加えて、カバー2
26における永久磁石224との対向面に、高導電率の
環状の銅板232を固着したものである。なお、この銅
板232に代えまたは加えて、環状板225における永
久磁石224の対向面に銅板を固着するようにしてもよ
い。また、第3変形例は、図11に示すように、第2実
施形態の第1変形例(図9)の構成に加えて、カバー2
26における永久磁石224’との対向面に、高導電率
の環状の銅板233を固着したものである。なお、この
銅板233に代えまたは加えて、環状板225における
永久磁石224の対向面に銅板を固着するようにしても
よい。
【0058】このような銅板231、232および環状
板225における永久磁石224の対向面に固着された
銅板は、鉄製の環状板225およびカバー226よりも
高い導電率を有するので、永久磁石224、224’に
よる渦電流は前記第2実施形態およびその第1変形例に
よるものよりも大きくなる。したがって、この第2およ
び第3変形例によれば、クランクシャフト210の捩り
振動の抑制効果が前記第2実施形態およびその第1変形
例よりも大きくなる。なお、この第2および第3変形例
においても、高導電率材料である銅板に代えて、アルミ
ニウム板または銀板など電気抵抗の低い材料を採用して
もよい。
【0059】次に、第2実施形態の第4変形例について
説明すると、同第4変形例は、図12に示すように、前
記第2実施形態の永久磁石224と同様に構成した永久
磁石234をカバー226における環状板225側の面
に固着させている。そして、環状板225およびカバー
226によって形成されるケーシング内に、環状板22
5と永久磁石234の間にて環状の回転部材235をケ
ーシングに対して回転可能に収容させている。この場
合、回転部材235としては、比較的電気抵抗が小さく
かつ比較的比重の大きな銅、鉄などの金属材料が用いら
れる。なお、永久磁石234を環状板225におけるカ
バー226側の面に固着させて、回転部材235を永久
磁石234とカバー226との間に配置するようにして
もよい。
【0060】これによっても、永久磁石234と回転部
材235との間に相対速度差が発生すると、永久磁石2
34による渦電流が回転部材235に流れて、回転部材
235はクランクシャフト210の捩り振動を前述した
第2実施形態と同様に抑制する。したがって、この第4
変形例においても、前記第2実施形態と同様な効果が期
待できる。
【0061】次に、第2実施形態の第5変形例について
説明すると、同第5変形例は、図13に示すように、前
記第2実施形態の第4変形例(図12)の回転部材23
5を、鉄などの大質量の環状回転板236上に、環状回
転板236よりも高導電率の銅、アルミニウム、銀など
の環状導電板237を貼り合わせて構成したものであ
る。これによれば、環状導電板237に流れる永久磁石
234による渦電流を前記第4変形例による場合よりも
大きくできて、クランクシャフト210の捩り振動の抑
制効果を高めることができる。
【0062】c.第3実施形態 次に、本発明の第3実施形態を図面を用いて説明する。
図14は、同実施形態に係り、エンジンのクランクシャ
フト310(捩り振動体)に組み付けられた捩り振動体
の制振装置の一つであるダンパプーリ320を示してい
る。
【0063】ダンパプーリ320は、クランクシャフト
310に組み付けられたハブ部材321、ダンパゴム3
22、ベルト支持部材323、永久磁石324および銅
板325とを備えている。
【0064】ハブ部材321は、クランクシャフト31
0の先端部を内包してナット311によって組み付けら
れる小径の円筒とされた取付部321aと、大径の円筒
とされた大径部321bと、取付部321aと大径部3
21bとを連結する円盤部321cとから構成されてい
る。ダンパゴム322は、ハブ部材321の大径部32
1bと、大径部321bの外径に比して大径の内径を有
するリング329との間に加硫成形される。ベルト支持
部材323は、リング329の外径にほぼ等しい内径を
有する円筒部323aと、同円筒部323aの一端部に
て接続する環状部323bとが一体的に成形されてい
る。そして、ベルト支持部材323は、リング329の
外側に圧入されて組み付けられ、エンジンの補機類(例
えば、ウォーターポンプなど)に駆動力を伝達するV字
ベルトを支持する。
【0065】永久磁石324は、複数の扇型の永久磁石
からなり、例えば、希土類磁石(例えば、ネオジウム磁
石、サマリウム磁石など)で構成されている。そして、
これらの永久磁石324は、図15に示すように、ハブ
部材321の円盤部321cの背面に、周方向にて略等
間隔に極性が交互にそれぞれ異極となるように固着され
ている。銅板325は、ベルト支持部材323の環状部
323bの永久磁石324に対向する面上に固着されて
いる。
【0066】上記のように構成した第3実施形態のダン
パプーリ320においては、クランクシャフト310が
回転すると、ハブ部材321は、クランクシャフト31
0と一体的に回転する。このため、ダンパゴム322お
よびリング329を介して組み付けられたベルト支持部
材323も一体的に回転する。
【0067】このように、クランクシャフト310、ハ
ブ部材321およびベルト支持部材323が一体的に回
転している状態において、クランクシャフト310に捩
り振動が発生すると、ハブ部材321は、クランクシャ
フト310と一体的に回転する。しかしながら、ベルト
支持部材323は、ダンパゴム322およびリング32
9を介して組み付けられているため、クランクシャフト
310の捩り振動に応答することなく一定速度で回転し
続けようとする。このため、ダンパゴム322がベルト
支持部材323の回転方向に変形することに起因して、
永久磁石324と銅板325との間に相対速度差が生じ
る。
【0068】この相対速度差により、銅板325に渦電
流が流れる。この銅板325に流れた渦電流は、永久磁
石324と銅板325との相対速度差を小さくするよう
な力すなわちクランクシャフト310およびハブ部材3
21の捩り振動を減衰する力(以下、抑制力という)が
作用する。なお、前記抑制力は、永久磁石324と銅板
325との間の相対速度差に比例するため、捩り振動の
振幅が大きいほど大きな抑制力が発生し、捩り振動の周
波数が大きいほど大きな抑制力が発生する。
【0069】この抑制力の作用により、ハブ部材321
の捩り振動が減衰されて、クランクシャフト310の捩
り振動も減衰させることができる。このため、この第3
実施形態においても、上記第1実施形態と同様の効果を
得ることができる。
【0070】以上のことから理解できるように、第3実
施形態のダンパプーリ320においても、減衰要素とし
て、永久磁石324と銅板325との間で発生する渦電
流に起因する抑制力を利用しているため、エンジンの高
速回転時において、振動の減衰効果が大きくなり、高速
運転時の騒音を大幅に低減することができる。逆に言え
ば、エンジン騒音を適度に抑えた状態で、エンジンの性
能向上のためにエンジンの最高回転速度を上げることが
できる。また、永久磁石324および銅板325はダン
パプ−リ320に一体的に組み付けられているので、ダ
ンパプ−リ320を簡単かつコンパクトに構成できる。
また、この第3実施形態によれば、ダンパゴム322
も、クランクシャフト310の捩り振動を抑制する機能
を有するので、弾性部材と渦電流の両者によってクラン
クシャフト310の捩り振動がより良好に抑制される。
【0071】なお、前述した第3実施形態の実施にあた
っても、種々の変形が可能である。まず、第3実施形態
の第1変形例について説明すると、同第1変形例は、前
記第3実施形態(図14)の永久磁石324および銅板
325の位置を互いに入れ換えたものである。すなわ
ち、この第1変形例においては、図16に示すように、
永久磁石324と同一構成の複数の永久磁石324’が
ベルト支持部材323の円盤部321bに周方向にて等
間隔に固着されている。また、銅板325と同様な銅板
325’がハブ部材321の円盤部321bに永久磁石
324’と対向させて固着されている。
【0072】これによっても、永久磁石324’と銅板
325’との間に相対速度差が発生すると、永久磁石3
24’による渦電流が銅板325’に流れて、この渦電
流により、クランクシャフト310の捩り振動は前述し
た第3実施形態の場合と同様に抑制される。したがっ
て、この第1変形例においても、前記第3実施形態と同
様な効果が期待できる。
【0073】また、前記第3実施形態およびその第1変
形例においては、導体として銅板325,325’を採
用して実施したが、電気抵抗の低いその他の材料(例え
ば、アルミニウム、銀など)を採用して実施することも
可能である。
【0074】次に、第3実施形態の第2および第3変形
例について説明すると、第2変形例は、図17に示すよ
うに、第3実施形態(図14)の銅板325を省略した
ものである。また、第3変形例は、図18に示すよう
に、第3実施形態の第1変形例(図16)の銅板32
5’を省略したものである。この第2変形例において
は、永久磁石324による渦電流は、ベルト支持部材3
23の環状部323bであって永久磁石324と対向す
る表面層に流れる。また、第3変形例においては、永久
磁石324’による渦電流は、ハブ部材321の円盤部
321bであって永久磁石324’と対向する表面層に
流れる。
【0075】これらの場合、前記円盤部321bおよび
環状部323bは高透磁率の鉄により構成されていて、
前記省略した銅板325、325’よりも導電率が低
い。しかしながら、これらの鉄によって形成した円盤部
321bおよび環状部323bにも渦電流が流れるの
で、前記第3実施形態およびその第1変形例に比べれ
ば、クランクシャフト310の捩り振動の抑制効果は小
さいものの充分な抑制効果が期待できる。したがって、
これらの第2及び第3変形例によっても、前記第3実施
形態と同様な効果が期待できる。また、銅板325、3
25’を省略した分だけ、コストを低減できる。
【0076】d.第4実施形態 以下に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明す
る。図19〜図22は、本発明による捩り振動体の制振
装置の一つであるダンパプーリを示していて、このダン
パプーリは、エンジンのクランクシャフト410に組み
付けられたプーリ420と、クランクシャフト410に
対して一体回転可能に組み付けられてプーリ420に対
向配置されたプレート430をと備えている。
【0077】プーリ420は、クランクシャフト410
に組み付けられた鉄製のボス421と、ボス421に鉄
製の板バネ422を介して組み付けられた環状で鉄製の
マス423と、マス423に組み付けられた永久磁石4
24を備えている。ボス421は、円筒形状をしていて
キー溝421aを有しており、同キー溝421aに嵌着
されるキー(図示省略)を介してクランクシャフト41
0に一体回転可能に組み付けられている。板バネ422
は、クランクシャフト410に対してマス423を相対
変位可能に支持するもので、溶接によってボス421と
マス423にそれぞれ組み付けられていて、図20に示
したように、周方向にて等間隔に6個配置されている。
この板バネ422は、例えば、当該ダンパプーリの共振
周波数を300Hz程度と想定すると、約3mm程度の
厚さを有する。なお、板バネ422は、鉄以外の金属製
のものであっても良い。
【0078】慣性体としてのマス423は、その外周に
V字ベルト(図示省略)が係合する係合溝423aを有
していて、このベルトによって例えばウォーターポンプ
等に駆動力が伝達されるようになっている。また、マス
423においては、プレート430に対向する面の内周
部位に、6個の取付凹所423bが周方向にて等間隔に
設けられている。永久磁石424は、例えば、希土類磁
石(例えば、ネオジム磁石、サマリウム磁石等)であっ
て、各取付凹所423bに樹脂425(ゴムでも可)を
介してそれぞれ組み付けられており、プレート430に
対向する端部はN極とされている。なお、ボス421と
マス423と永久磁石424におけるプレート430と
の対向面は同一面とされている。
【0079】回転体としてのプレート430は、円板状
で鉄製のプレート本体431と、同プレート本体431
に組み付けられた導体としての6個の銅板432を備え
ている。プレート本体431は、キー溝431aを有し
ていて、同キー溝431aに嵌着されるキー(図示省
略)を介してクランクシャフト410に一体回転可能に
組み付けられている。また、プレート本体431におい
ては、永久磁石424に対応する部位(図19及び図2
1に示したように最外周よりやや内側部位)に、6個の
取付孔431bが周方向にて略等間隔に設けられてい
る。なお、プレート本体431の内周部には環状のスペ
ーサ433が固着されていて、このスペーサ433によ
ってプレート430とプーリ420は非接触とされてい
る。各銅板432は、各取付孔431bにそれぞれ嵌合
によって組み付けられていて、少なくともプーリ420
に対向する面は、プレート本体431のプーリ420に
対向する面と同一面とされている。
【0080】上記のように構成した本実施形態のダンパ
プーリにおいては、クランクシャフト410が捩り振動
をしながら回転すると、クランクシャフト410に対し
てプレート430が一体的に回転し、クランクシャフト
410に対してマス423が板バネ422の撓みに起因
して相対変位をしながら回転する。このため、マス42
3におけるプレート430との対向面に組み付けられた
永久磁石424と、プレート430のプレート本体43
1におけるマス423との対向面に組み付けられた銅板
432との間に相対変位が生じ、この相対変位によって
銅板432に渦電流が流れる。銅板432に流れた渦電
流は、クランクシャフト410を減衰させるように作用
して捩り振動を低減する。
【0081】ところで、本実施形態のダンパプーリにお
いては、減衰要素としてゴムを使用することなく、減衰
要素として永久磁石424と銅板432と鉄製の板バネ
422を使用しているため、クランクシャフト410の
捩り振動振幅が大きくても破損することがなく、温度変
化によって減衰特性が変化し難く、また、マス423が
クランクシャフト410に対して無用に相対回転するこ
とがなくて、減衰特性を安定して得ることができる。
【0082】また、上記第4実施形態においては、マス
423の外周にV字ベルトが係合する係合溝423aを
設けて、V字ベルトを介してウォーターポンプ等に駆動
力を伝達するようにしたため、プーリ420を駆動力伝
達体としても利用することができ、当該装置とは別個に
プーリを設ける場合に比して、コンパクトに実施するこ
とができる。
【0083】上記第4実施形態においては、それぞれ別
部材であるボス421に板バネ422を介してマス42
3を組み付けることによってプーリ420を構成して実
施したが、図22に示したように、プーリ420を鋳鉄
にて一体的に構成して実施することも可能である。この
場合には、マス部423がクランクシャフトに対して相
対変位をしながら回転するように、ボス部421とマス
部423を連結するバネ部422の厚み等を調整する必
要がある。
【0084】また、上記第4実施形態においては、プレ
ート本体431に設けた取付孔431bに銅板432を
嵌合させるようにした。しかし、図23に示すように、
プレート本体431に取付孔431bを設けることな
く、プレート本体431上に永久磁石424に対向する
側における前記取付孔431b位置に、銅板432を固
着するようにしてもよい。これによれば、前記第4実施
形態よりも、永久磁石424による磁束の通過量を増加
させることができて、大きな抑制力を得ることができ
る。
【0085】また、上記第4実施形態においては、マス
423に永久磁石424を組み付けるとともにプレート
本体431に銅板432を組み付けて実施したが、マス
423に銅板を組み付けるとともにプレート本体431
に磁石を組み付けて実施することも可能である。
【0086】また、上記第4実施形態においては、導体
として銅板432を採用して実施したが、その他の導体
(例えば、アルミニウム、銀等)を採用して実施するこ
とも可能である。
【0087】また、上記第1ないし第4実施形態におい
ては、本発明をV字ベルト用のプーリに実施して、エン
ジンのクランクシャフト110,210,310,41
0の捩り振動を低減するようにしたが、本発明はその他
の駆動力伝達体にも同様に実施することができる。ま
た、プーリ等の駆動力伝達体が本発明による捩り振動体
の制振装置とは別個に設けられるものにも本発明は実施
することができる。また、上記第1ないし第4実施形態
においては、捩り振動体がクランクシャフトである場合
について説明したが、クランクシャフト以外の捩り振動
体についても上記実施形態と同様に実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る捩り振動体の制
振装置の一つであるダンパプーリの断面図である。
【図2】 図1に示したダンパプーリのダンパマスに固
着された永久磁石の配列を示す図である。
【図3】 従来のダンパプーリにおけるエンジン回転数
と捩り振動の振幅幅との関係および本発明によるダンパ
プーリにおけるエンジン回転数と捩り振動の振幅幅との
関係を示す特性線図である。
【図4】 本発明の第1実施形態に係るダンパプーリの
第1変形例を示す断面図である。
【図5】 本発明の第1実施形態に係るダンパプーリの
第2変形例を示す断面図である。
【図6】 本発明の第1実施形態に係るダンパプーリの
第3変形例を示す断面図である。
【図7】 本発明の第2実施形態に係る捩り振動体の制
振装置の一つであるダンパプーリの断面図である。
【図8】 図7に示したダンパプーリの永久磁石を示し
た図である。
【図9】 本発明の第2実施形態に係るダンパプーリの
第1変形例を示す断面図である。
【図10】 本発明の第2実施形態に係るダンパプーリ
の第2変形例を示す断面図である。
【図11】 本発明の第2実施形態に係るダンパプーリ
の第3変形例を示す断面図である。
【図12】 本発明の第2実施形態に係るダンパプーリ
の第4変形例を示す断面図である。
【図13】 本発明の第2実施形態に係るダンパプーリ
の第5変形例を示す断面図である。
【図14】 本発明の第3実施形態に係る捩り振動体の
制振装置の一つであるダンパプーリの断面図である。
【図15】 図14に示したハブ部材の円盤部に固着さ
れた永久磁石の配列を示す図である。
【図16】 本発明の第3実施形態に係るダンパプーリ
の第1変形例を示す断面図である。
【図17】 本発明の第3実施形態に係るダンパプーリ
の第2変形例を示す断面図である。
【図18】 本発明の第3実施形態に係るダンパプーリ
の第3変形例を示す断面図である。
【図19】 本発明の第4実施形態に係る捩り振動体の
制振装置の一つであるダンパプーリの一部破断図であ
る。
【図20】 図19に示したダンパプーリをプーリ側か
ら見た図である。
【図21】 図19に示したダンパプーリをプレート側
から見た図である。
【図22】 本発明の第4実施形態に係るダンパプーリ
の変形例を示す図である。
【図23】 本発明の第4実施形態に係るダンパプーリ
の変形例を示す図である。
【図24】 従来のダンパゴム付きダンパプーリを示す
断面図である。
【図25】 従来の摩擦式ダンパプーリを示す断面図で
ある。
【符号の説明】
110,210,310,410…クランクシャフト
(捩り振動体)、120,220,320,420…ダ
ンパプーリ、121,221,321…ダンパ本体、4
22…板バネ(金属製のバネ)、123,423…ダン
パマス(慣性体)、124,224,224’,32
4,424…永久磁石、125,125’,325…銅
板(導体)、225…環状板、430…プレート(回転
体)、232,432…銅板(導体)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中島 順一 名古屋市昭和区白金2丁目7番11号 マル ヤス工業株式会社内 (72)発明者 堀川 泰司 名古屋市昭和区白金2丁目7番11号 マル ヤス工業株式会社内 Fターム(参考) 3J031 AA02 AA03 AA04 BA03 BA04 BA09 BC02 CA03

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】捩り振動をしながら回転する捩り振動体に
    一体回転するように組み付けられた第1回転部材と、前
    記第1回転部材に対向して配置された第2回転部材と、
    前記第2回転部材を前記第1回転部材と同一軸線回りに
    回転可能に支持する回転支持部材とを備えた捩り振動体
    の制振装置において、 前記第1および第2回転部材のうちの一方の回転部材を
    永久磁石で構成し、または同一方の回転部材に永久磁石
    を固定し、かつ前記第1および第2回転部材のうちの他
    方の回転部材を導電体で構成し、または同一方の回転部
    材に導電体を前記永久磁石に対向させて固定し、 前記捩り振動体の捩り振動に伴って前記導電体に発生す
    る渦電流により前記捩り振動体の捩り振動を抑制するよ
    うにした捩り振動体の制振装置。
  2. 【請求項2】前記捩り振動体は、エンジンのクランクシ
    ャフトである前記請求項1に記載した捩り振動体の制振
    装置。
  3. 【請求項3】前記回転支持部材は、前記第2回転部材を
    前記第1回転部材に回転可能に支持する前記請求項1ま
    たは2に記載した捩り振動体の制振装置。
  4. 【請求項4】前記回転支持部材は前記第1回転部材と一
    体回転するとともに流体の封入されたケースによって構
    成され、前記第2回転部材は前記ケース内に収容されて
    いる前記請求項3に記載した捩り振動体の制振装置。
  5. 【請求項5】前記回転支持部材は、前記第2回転部材を
    前記第1回転部材に連結する弾性部材によって構成され
    た前記請求項3に記載した捩り振動体の制振装置。
  6. 【請求項6】前記回転支持部材は、前記第2回転部材を
    前記捩り振動体に回転可能に支持する前記請求項1また
    は2に記載した捩り振動体の制振装置。
  7. 【請求項7】前記回転支持部材は、前記第2回転部材を
    前記捩り振動体に連結する弾性部材によって構成された
    前記請求項6に記載した捩り振動体の制振装置。
  8. 【請求項8】前記導電体の前記永久磁石と対向する面と
    反対側面に磁性材料からなる板部材を配置した前記請求
    項1ないし7のうちのいずれか一つに記載した捩り振動
    体の制振装置。
  9. 【請求項9】エンジンのクランクシャフトに一体回転す
    るように組み付けられた円盤状のダンパ本体を有するダ
    ンパプーリにおいて、 前記ダンパ本体に同ダンパ本体と同一軸線回りに回転可
    能に組み付けられたダンパマスと、 前記ダンパ本体および前記ダンパマスのうちの一方に固
    定された永久磁石と、 前記ダンパ本体および前記ダンパマスのうちの他方に前
    記永久磁石に対向する位置にて固定された導電板とを備
    え、 前記永久磁石と前記導電板との相対速度差に伴って前記
    導電板に発生する渦電流により前記クランクシャフトの
    捩り振動を抑制するようにしたダンパプーリ。
  10. 【請求項10】前記請求項9に記載したダンパプーリに
    おいて、さらに前記ダンパ本体に組み付けられて同ダン
    パ本体の一部と共に密閉空間を形成するカバーを備え、 前記密閉空間内に、前記ダンパマス、永久磁石および導
    電板を収容するとともに、流体を封入するようにしたダ
    ンパプーリ。
  11. 【請求項11】エンジンのクランクシャフトに一体回転
    するように組み付けられた円盤状のダンパ本体を有する
    ダンパプーリにおいて、 前記ダンパ本体に同ダンパ本体と同一軸線回りに回転可
    能に組み付けられたダンパマスと、 前記ダンパ本体および前記ダンパマスのうちの一方に固
    定された永久磁石とを備え、 前記ダンパ本体および前記ダンパマスのうちの他方を導
    電性材料で構成し、 前記ダンパ本体および前記ダンパマスのうちの他方と前
    記永久磁石との相対速度差に伴って、同ダンパ本体およ
    び前記ダンパマスのうちの他方に発生する渦電流により
    前記クランクシャフトの捩り振動を抑制するようにした
    ダンパプーリ。
  12. 【請求項12】前記請求項11に記載したダンパプーリ
    において、さらに前記ダンパ本体に組み付けられて同ダ
    ンパ本体の一部と共に密閉空間を形成するカバーを備
    え、 前記密閉空間内に、前記ダンパマスおよび永久磁石を収
    容するとともに、流体を封入するようにしたダンパプー
    リ。
  13. 【請求項13】エンジンのクランクシャフトに一体回転
    するように組み付けられた円盤状のダンパ本体を有する
    ダンパプーリにおいて、 前記ダンパ本体に固定されて環状の空間を形成してなる
    ケーシングと、 前記ケーシング内に前記ダンパ本体と同一軸線回りに回
    転可能に収容された環状の永久磁石とを備え、 前記永久磁石に対向した前記ケーシングの少なくとも一
    部を導電性材料で構成し、または前記永久磁石に対向し
    た前記ケーシングの少なくとも一部に導電体を固定し、 前記永久磁石と前記ケーシングの少なくとも一部または
    前記導電体との相対速度差に伴って、前記ケーシングの
    少なくとも一部または前記導電体に発生する渦電流によ
    り前記クランクシャフトの捩り振動を抑制するようにし
    たダンパプーリ。
  14. 【請求項14】前記請求項13に記載したダンパプーリ
    において、 前記ケーシングによって形成される環状の空間を密閉す
    るとともに、前記環状の空間内に流体を封入するように
    したダンパプーリ。
  15. 【請求項15】エンジンのクランクシャフトに一体回転
    するように組み付けられた円盤状のダンパ本体を有する
    ダンパプーリにおいて、 前記ダンパ本体に固定されて環状の空間を形成してなる
    ケーシングと、 前記ケーシング内に前記ダンパ本体と同一軸線回りに回
    転可能に収容された環状の回転部材と、 前記ケーシングおよび前記回転部材のうちの一方に固定
    された永久磁石とを備え、 前記ケーシングおよび前記回転部材のうちの他方であっ
    て前記永久磁石に対向する少なくとも一部を導電性材料
    で構成し、または前記ケーシングおよび前記回転部材の
    うちの他方であって前記永久磁石に対向する一部に導電
    体を固定し、 前記永久磁石と前記導電体または前記永久磁石に対向す
    る少なくとも一部との相対速度差に伴って、前記導電体
    または前記永久磁石に対向する少なくとも一部に発生す
    る渦電流により前記クランクシャフトの捩り振動を抑制
    するようにしたダンパプーリ。
  16. 【請求項16】前記請求項15に記載したダンパプーリ
    において、 前記ケーシングによって形成される環状の空間を密閉す
    るとともに、前記環状の空間内に流体を封入するように
    したダンパプーリ。
  17. 【請求項17】エンジンのクランクシャフトに一体回転
    するように組み付けられた円盤状のダンパ本体と、前記
    ダンパ本体の外周面上に弾性部材を介して固定されたベ
    ルト取り付け部材とを有するダンパプーリにおいて、 前記ダンパ本体および前記ベルト取り付け部材のうちの
    一方に同一方と一体回転するように固定された永久磁石
    を備え、 前記ダンパ本体および前記ベルト取り付け部材のうちの
    他方の前記永久磁石と対向する部分を導電性材料で構成
    し、または前記ダンパ本体および前記ベルト取り付け部
    材のうちの他方であって同他方の前記永久磁石と対向す
    る部分に同他方と一体回転するように導電体を固定し、 前記永久磁石と前記導電体または前記永久磁石に対向す
    る少なくとも一部との相対速度差に伴って、前記導電体
    または前記永久磁石に対向する少なくとも一部に発生す
    る渦電流により前記クランクシャフトの捩り振動を抑制
    するようにしたダンパプーリ。
  18. 【請求項18】捩り振動をしながら回転する捩り振動体
    に対して金属製のバネを介して組み付けられた慣性体
    と、 前記捩り振動体に対して一体回転可能に組み付けられて
    前記慣性体に対向配置された回転体と、 前記慣性体と前記回転体のいずれか一方の対向部位に設
    けられた磁石と、 前記慣性体と前記回転体のいずれか他方の対向部位に設
    けられた導体とを備えたことを特徴とする捩り振動体の
    制振装置。
  19. 【請求項19】前記慣性体の外周にベルトが係合する係
    合溝を形成したことを特徴とする前記請求項18に記載
    した捩り振動体の制振装置。
  20. 【請求項20】前記捩り振動体は、エンジンのクランク
    シャフトである前記請求項18または19に記載した捩
    り振動体の制振装置。
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