JP2002285300A - フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents

フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法

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JP2002285300A JP2002009744A JP2002009744A JP2002285300A JP 2002285300 A JP2002285300 A JP 2002285300A JP 2002009744 A JP2002009744 A JP 2002009744A JP 2002009744 A JP2002009744 A JP 2002009744A JP 2002285300 A JP2002285300 A JP 2002285300A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高r値を有するとともに、加工後の耐肌荒れ
性や有機酸に対する耐食性に優れ、自動車用の燃料タン
クや燃料パイプなどへの適用が可能なフェライト系ステ
ンレス鋼板を提案する。 【解決手段】 C:0.01mass%以下、Cr:11〜23mass
%、Ni:2.0mass%以下、N:0.04mass%以下を含み、
かつNb:0.8mass%以下、Ti:1.0mass%以下の1種また
は2種を下記(1)式の関係を満足して含有する鋼スラブ
を、1000〜1200℃に加熱し、熱間粗圧延の少なくとも1
パスを圧延温度850〜1100℃、圧下率35%以上とし、熱
間仕上圧延の少なくとも1パスを圧延温度650〜900℃、
圧下率20〜40%とし、800〜1100℃で熱延板焼鈍した
後、750〜1000℃の中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延
を、全圧下率75%以上かつ(1回目冷延の圧下率)/
(最終冷延の圧下率)で表わされる圧下比を0.7〜1.3と
して行い、850〜1050℃で仕上焼鈍する。 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ……(1) 但し、C,N,Nb,Tiは各元素の含有量(mass%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用部材や家
電製品、厨房機器、建材などの分野で用いられる、加工
性などの特性に優れるフェライト系ステンレス鋼板およ
びその製造方法に関し、とくに、深絞りや拡管などの強
加工特性に優れるとともに有機燃料(自動車用ガソリ
ン、メタノール等)に対する耐食性にも優れる、自動車
用燃料タンクや燃料パイプ部材に用いて好適なフェライ
ト系ステンレス鋼板とその製造方法についての提案であ
る。
【0002】
【従来の技術】自動車用燃料タンクには、従来、軟鋼板
の表面に鉛を含むめっき処理を施したターンシートが広
く用いられてきた。しかし、近年の環境問題への関心の
高まりにより、鉛を含む材料の使用が厳しく規制される
方向にある。このため、ターンシートに代わる材料の開
発が求められている。しかし、これらの材料は、それぞ
れ次のような問題を抱えている。例えば、無鉛めっき材
として、Al−Si系のめっき材料が開発されているが、こ
の材料は、溶接性や長期の耐食性に不安があり、広範囲
に適用されるには至っていない。また、樹脂材料を燃料
タンクに使用する試みもなされているが、この材料は、
本質的に、燃料が材料を透過し揮散するのを防止するこ
とができず、燃料の蒸散規制の動きもあって、工業的に
使用するには限界がある。さらに、リサイクル性の面で
も問題がある。
【0003】また、表面処理等を施さずに使用できる鋼
として、オーステナイト系ステンレス鋼を使用する試み
もなされている。オーステナイト系ステンレス鋼板は、
フェライト系ステンレス鋼に比べ、加工性や耐食性に優
れるという特性を有するものの、燃料タンクに用いるに
は、高価であることのほか、応力腐食割れ(SCC)の懸
念も抱えているため、実用化には至っていない。
【0004】このような背景から、フェライト系ステン
レス鋼板を、ターンシートの代替材料として使用する試
みもある。このフェライト系ステンレス鋼板は、オース
テナイト系ステンレス鋼板に比べ、多量のNiを含有しな
いため、コスト的に有利であるだけでなく、応力腐食割
れ(SCC)が発生しないという利点があるため、種々の
産業分野で利用されている。しかし、従来のフェライト
系ステンレス鋼板は、例えばSUS304に代表される
オーステナイト系ステンレス鋼に比べて、伸び値が低く
て加工性に劣り、プレス加工や深絞り加工などの強加工
を施す用途には、十分な加工性を有しているとは言い難
かった。このような成形性の制約から、フェライト系ス
テンレス鋼板は、自動車、建材、家電等種々の分野での
用途拡大が妨げられていた。
【0005】ところで、ターンシートのr値は、2.0程
度である。従って、フェライト系ステンレス鋼板をター
ンシートの代替として用いるには、少なくともターンシ
ートと同等以上のr値、すなわち、r値2.0以上の特性
であることが求められる。この目標をクリアするため
に、これまで、フェライト系ステンレス鋼板の加工性を
高める研究が数多くなされ、その成果が幾つか報告され
ている。例えば、特開平3-264652号公報には、Nbおよび
Tiを複合添加したフェライト系ステンレス鋼板の製造条
件を適正化することにより、集合組織を制御し、X線強
度比(222)/(200)を5以上として、加工性を改善
する技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術では、フェライト系ステンレス鋼板のr値は、高
々1.8程度までしか得られず、深絞り加工により複雑な
成形が施される燃料タンクや拡管と曲げ加工が施される
燃料パイプに適用するには、不十分であった。
【0007】また、従来の技術では、高度な深絞りを行
ったときには、成形後の鋼板表面に、肌荒れが生じると
いう大きな問題もあった。この肌荒れとは、冷間加工を
受けた際に、圧延方向(L方向)に平行に現れる板幅方向
に凹凸を有する波状の表面欠陥(リジング)および粗大結
晶粒に起因して生じる凹凸(オレンジピール)を指す。さ
らに、フェライト系ステンレス鋼板は、これを自動車用
燃料タンク、パイプなどの燃料系の部材に適用するに
は、実用環境中でガソリン中に生成する蟻酸、酢酸等の
有機酸を含む劣化ガソリンに対する耐食性に優れること
も必要な条件である。なお、より厳しい形状の成型加工
をする場合には、さらに潤滑性を高めることが必要であ
り、また、環境問題等から、プレス加工等での潤滑油や
潤滑ビニルの使用を極力避けたいという要請もあり、材
料自体が潤滑性能を有することが望まれる。
【0008】本発明の目的は、自動車用の燃料タンクや
燃料パイプなどへの適用を可能にするために、優れた深
絞り性を有するとともに、耐肌荒れ性、耐食性にも優れ
る、フェライト系ステンレス鋼板とその製造方法を提案
することにある。また、本発明の他の目的は、潤滑油や
潤滑ビニル等を省略することができる潤滑性に優れるフ
ェライト系ステンレス鋼板とその製造方法を提案するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題を
達成するために、フェライト系ステンレス鋼板の深絞り
性、加工後の耐肌荒れ性および劣化ガソリン中での耐食
性に及ぼす製造条件の影響について調査した。その結
果、加工性(深絞り性)および耐肌荒れ性は、中間焼鈍を
挟む2回以上の冷間圧延を含む製造工程を取り入れ、冷
延工程途中における結晶粒径等を規制するなどの製造条
件の適正化により改善されること、また、劣化ガソリン
に対する耐食性は、0.5mass%以上のMoを添加して、孔
食指数で定義されるCr+3.3Moの値を18mass%以上と
し、さらに加工後の肌荒れを抑制することにより改善さ
れることを知見した。さらに、鋼板自体に潤滑性を持た
せ、より加工性を高めるためには、アクリル樹脂を主成
分とした潤滑剤を鋼板表面に規定範囲内で塗布し、被成
形材であるフェライト系ステンレス鋼板とプレス金型と
の動摩擦係数を低減させることが有効であることもわか
った。
【0010】本発明は、上記知見に基づいて開発したも
のである。すなわち、本発明は、C:0.01mass%以下、
Si:1.0mass%以下、Mn:1.5mass%以下、P:0.06mass
%以下、S:0.03mass%以下、Cr:11〜23mass%、Ni:
2.0mass%以下、Mo:0.5〜3.0mass%、Al:1.0mass%以
下、N:0.04mass%以下を含み、かつNb:0.8mass%以
下、Ti:1.0mass%以下の1種または2種を下記(1)式の
関係を満足して含有し、残部はFe及び不可避的不純物か
らなる組成を有し、フェライト結晶粒の粒度番号が6.0
以上であり、かつ、平均r値が2.0以上であることを特
徴とするフェライト系ステンレス鋼板である。 記 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ……(1) 但し、C,N,Nb,Tiは各元素の含有量(mass%)
【0011】なお、本発明に係る鋼板は、上記CrとMo
は、下記(2)式の関係を満足して含有することが好まし
い。 記 Cr+3.3Mo≧18 ……(2) 但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%)
【0012】また、本発明に係る鋼板は、板面に平行な
面における(222)と(200)のX線積分強度比(22
2)/(200)が15以上であることが好ましく、そし
て、その片面または両面に、ステアリン酸カルシウムと
ポリエチレンワックスを含むアクリル樹脂系潤滑剤の塗
布層を有することが好ましい。
【0013】また、本発明は、C:0.01mass%以下、S
i:1.0mass%以下、Mn:1.5mass%以下、P:0.06mass
%以下、S:0.03mass%以下、Cr:11〜23mass%、Ni:
2.0mass%以下、Mo:0.5〜3.0mass%、Al:1.0mass%以
下、N:0.04mass%以下を含み、かつNb:0.8mass%以
下、Ti:1.0mass%以下の1種または2種を下記(1)式の
関係を満足して含有し、残部はFe及び不可避的不純物か
らなる組成を有する鋼スラブを、1000〜1200℃に加熱
し、熱間粗圧延の少なくとも1パスを圧延温度850〜110
0℃、圧下率35%以上とし、続く熱間仕上圧延の少なく
とも1パスを圧延温度650〜900℃、圧下率20〜40%とす
る熱間圧延を行って熱延板とし、次いでこの熱延板を80
0〜1100℃で熱延板焼鈍した後、750〜1000℃の中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延を、全圧下率75%以上かつ
(1回目冷延の圧下率)/(最終冷延の圧下率)で表わ
される圧下比を0.7〜1.3として行い、さらに850〜1050
℃で仕上焼鈍することを特徴とするフェライト系ステン
レス鋼板の製造方法を提案する。 記 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ……(1) 但し、C,N,Nb,Tiは各元素の含有量(mass%)
【0014】なお、本発明方法においては、上記鋼スラ
ブ中のCrとMoは、下記(2)式の関係を満足して含有する
ことが好ましい。 記 Cr+3.3Mo≧18 ……(2) 但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%)
【0015】また、本発明方法においては、上記最終冷
延前の鋼板のフェライト結晶粒度番号を6.5以上とし、
さらに、上記冷間圧延は、いずれもロール径が300mmφ
以上のワークロールを備えたタンデム圧延機により行う
ことが好ましく、そして、仕上焼鈍後の鋼板の片面また
は両面に、ステアリン酸カルシウムおよびポリエチレン
ワックスを含むアクリル樹脂系潤滑剤を塗布することが
好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明において、成分組成
が上記範囲に限定される理由について説明する。 C:0.01mass%以下 Cは、固溶または析出して鋼の加工性を低下させる。ま
た、炭化物を形成して主に粒界に析出するため、耐二次
加工脆性や粒界の耐食性を低下させる。Cが0.01mass%
を超えて含有すると、加工性、耐食性への悪影響が顕著
となる。よって、C量は0.01mass%以下に限定する。な
お、過度のCの低減は、精錬コストの上昇を招くので、
0.002mass%超え0.008mass%以下の含有量とするのが望
ましい。
【0017】Si:1.0mass%以下 Siは、耐酸化性、耐食性の向上に有効な元素であり、燃
料タンク内外面環境での耐食性を向上させる。その効果
を発揮させるためには、0.2mass%以上の添加が好まし
い。しかしながら、1.0mass%を超えて含有すると鋼を
脆化させ、溶接部の耐二次加工脆性を劣化させるので、
1.0mass%を上限とする。好ましくは、0.75mass%以下
とする。
【0018】Mn:1.5mass%以下 Mnは、耐酸化性を改善させるのに有効な元素であるが、
過剰に含有すると、鋼の靱性を劣化させ、溶接部の耐二
次加工脆性を劣化させる。このため、1.5mass%以下と
する。好ましくは、1.3mass%以下にするのが望まし
い。
【0019】P:0.06mass%以下 Pは、粒界に偏析しやすく、Bを含有した場合、その粒
界強化作用を低減させる。よって、溶接部の耐二次加工
脆性の観点から、できる限り低い方が望ましい。しか
し、過度の低下は精錬コストの上昇を招くため、0.06ma
ss%以下とする。好ましくは、0.03mass%以下である。
【0020】S:0.03mass%以下 Sは、ステンレス鋼の耐食性を低下させるので、極力少
なくすることが望ましいが、精錬時の脱Sコストを考慮
して、その含有量は0.03mass%以下とする。好適には、
MnやTiで固定できる0.01mass%以下にするのが望まし
い。
【0021】Cr:11〜23mass% Crは、耐酸化性および耐食性の向上に有効な元素であ
り、十分な耐酸化性と耐食性を得るためには、11mass%
以上含有していることが必要である。また、溶接部の耐
食性の観点からは、14mass%以上の含有が好ましい。一
方、Crは、鋼の加工性を低下させる元素であり、特に、
23mass%を超えて含有すると、その影響が顕著となる。
よって、Crは、11〜23mass%の範囲とするが、好ましく
は、14〜18mass%である。
【0022】Ni:2.0mass%以下 Niは、ステンレス鋼の耐食性を向上させるので、2.0mas
s%以下の範囲で含有させることができる。しかし、2.0
mass%を超えて多量に含有すると、鋼が硬質化し、ま
た、オーステナイト相の生成により、応力腐食割れの懸
念が生ずる。したがって、その含有量は2.0mass%を上
限とする。好ましくは、0.2〜0.8mass%である。
【0023】Mo:0.5〜3.0mass% Moは、劣化ガソリン中における耐食性の向上に特に有効
な元素である。劣化ガソリンに対する耐食性の向上を図
るには、0.5mass%以上のMo量が必要である。しかし、
3.0mass%を超えて含有すると、熱処理時に析出物を生
じて加工性の劣化を招く。よって、Mo含有量は0.5〜3.0
mass%の範囲とする。好適には、0.7〜1.6mass%にする
のが望ましい。
【0024】Cr+3.3Mo:18以上 Cr+3.3Mo(但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%))
は、孔食指数(Pitting Index)として、ステンレス鋼
の耐食性を表す指標として一般に用いられている。発明
者らの調査では、劣化ガソリン中における耐食性、耐外
面腐食性、溶接部の耐隙間腐食性等を総合的に勘案する
と、劣化ガソリン環境で使用するフェライト系ステンレ
ス鋼板が具えるべき条件として、上記Mo含有量ととも
に、Cr+3.3Moを18以上とすることが好ましいことがわ
かった。ただし、このCr+3.3Moが30を超えると、鋼板
が硬質化して加工性を損なうので、30以下、より好まし
くは、20〜25の範囲とするのが望ましい。なお、耐食性
は、後述するように、成形加工後の表面粗さとも密接に
関係しているので、耐食性改善にためには、CrとMoの成
分調整に加え、仕上焼鈍後の鋼板の結晶粒度番号を6.0
以上とすることも必要である。
【0025】ここで、CrとMoの関係を、上記のように限
定する理由について説明する。図1は、Cr+3.3Moの量
および仕上焼鈍板の結晶粒度番号が異なるフェライト系
ステンレス鋼板について、蟻酸800mass ppmを含有した
劣化ガソリン中での耐食性試験を行った結果を示す。こ
の耐食性試験は、試験片として、0.75mmの仕上焼鈍板を
80mmφ×45mm高さの円筒に絞った加工品を用い、この中
に劣化ガソリンを入れて、50℃で25時間恒温保持後、蒸
発した劣化ガソリンを補充する試験を1サイクルとし、
これを200サイクル(合計5000時間)繰り返した後、外観
の変化を観察し評価する方法である。合否の判定は赤錆
発生の有無で行った。図1から、Cr+3.3Moが18以上
で、かつ仕上焼鈍板の粒度番号(JIS G 0552 の切断法
による)6.0以上であれば、劣化ガソリン中での耐食性
が十分確保できることがわかる。
【0026】Al:1.0mass%以下 Alは、製鋼における脱酸剤として必要であるが、過度の
添加は、介在物生成のために、表面外観および耐食性を
劣化させるので1.0mass%以下とする。好ましくは、0.5
0mass%以下にするのが望ましい。
【0027】N:0.04mass%以下 Nは、粒界を強化し靱性を向上させる効果を有するが、
0.04mass%を超えて含有すると、窒化物となって粒界に
析出し、耐食性に悪影響を及ぼすようになるので、上限
を0.04mass%とする。好ましくは、0.020mass%以下と
するのがよい。
【0028】Nb:0.8mass%以下、Ti:1.0mass%以下、 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 Nb,Tiは、固溶C,Nを炭窒化物として固定することに
より、加工性(r値)を向上し、耐食性を改善する効果を
有しており、単独、もしくは複合で添加することが必要
である。それぞれ0.01mass%未満の添加では、有効な効
果が得られないため、0.01mass%以上を含有させること
が望ましい。一方、Nb含有量が0.8mass%を超えると靱
性の低下を、また、Ti含有量が1.0mass%を超えると外
観および靱性の低化を招くため、上記の値をそれぞれ上
限とする。これらの成分は、Nb:0.05〜0.40mass%、T
i:0.04〜0.40mass%の範囲で添加することが好まし
い。また、鋼中のC,Nを炭窒化物として固定し、一層
優れた加工性を確保するには、下記条件を満たすことが
必要である。 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ここで、C,N,Nb,Tiは、各元素の含有量(mass%) Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)の値が18未満では、鋼中
のC,Nを炭窒化物として十分に固定できず、耐食性、
加工性が劣るためであり、一方、60を超えると固溶Nb,
Tiの効果で加工性の劣化が著しいからである。さらに、
20〜40の範囲であれば、より好ましい。
【0029】なお、本発明鋼においては、以上の各成分
の他は、Feおよび不可避的不純物である。ただし、Co,
Bについては、粒界脆性を改善するために、それぞれ0.
3mass%以下、0.01mass%以下の範囲で含有してもよ
い。また、Zr:0.5mass%以下、Ca:0.1mass%以下、T
a:0.3mass%以下、W:0.3mass%以下、Cu:1mass%
以下、Sn:0.3mass%以下を含有していても、本発明の
効果を損なうものではない。
【0030】次に、本発明に係る鋼板の具備すべき特性
について説明する。 平均r値:2.0以上 本発明の鋼板は、従来の燃料タンク用材料として用いら
れてきたターンシートに匹敵する深絞り性を備え、かつ
大量生産に十分に応えられる製造性を有するためには、
鋼板の平均r値が2.0以上である必要がある。従って、
本発明では、鋼板の平均r値を2.0以上に限定する。さ
らに望ましくは、2.2以上とする。ここで、平均r値
は、JIS Z 2554に定義された平均塑性歪比であり、次
式; 平均r値=(r0+2r45+r90)/4 ここで、r 0:圧延方向に対し平行方向に採取した試験
片で測定した塑性歪比 r45:圧延方向に対し45°方向に採取した試験片で測定
した塑性歪比 r90:圧延方向に対し90°方向に採取した試験片で測定
した塑性歪比 で定義されたものとする。
【0031】(222)/(200):15以上 平均r値2.0以上を達成するためには、仕上焼鈍後の鋼
板表面に平行な面における(222)と(200)のX線積
分強度比(222)/(200)が15以上であることが必要
である。このX線積分強度比(222)/(200)は、鋼
板のr値と密接に関係し、この値が高いほど高r値が得
られるからである。なお、本発明でいうX線積分強度比
(222)/(200)とは、板厚の1/4位置において、理
科学電機(株)製RINT1500のX線回折装置を用いて、Coκ
α線を使用し、θ−2θ法により電圧46kV、電流150mA
の条件で測定した(222)のピークと(200)のピーク
との積分強度比(222)/(200)のことを言う。本発
明の成分系にて、X線積分強度比(222)/(200)が
15以上になる鋼板を得るための製造方法については後述
する。
【0032】仕上焼鈍板のフェライト結晶粒度番号:6.
0以上仕上焼鈍後の鋼板(以後、仕上焼鈍板という)の
フェライト結晶粒の大きさは、成形加工後の肌荒れに大
きな影響を及ぼす。図2は、仕上焼鈍板のフェライト結
晶粒度番号と鋼板を加工した後の肌荒れとの関係を示し
たものである。これらのデータはすべて、最終冷延前の
鋼板の結晶粒度番号を6.7に揃えて得たものである。こ
こで、本発明で言う粒度番号とは、すべてJIS G 0552
に定める方法で測定したもので、圧延方向(L方向)断面
の板厚1/2,1/4,1/6位置において各4点の測定値の平
均値(n数12)である。また、本発明で言う肌荒れと
は、鋼板の圧延方向(L方向)からJIS5号試験片を切り
出し、25%の引張歪を加えた後、表面に発生した肌荒れ
を、触針法による表面粗度測定で圧延方向と直角方向の
最大高さ(Ry)を測定し、この値を「うねり高さ」とし
て定量評価しものである。
【0033】図2によれば、結晶粒が大きくなって、粒
度番号が6.0未満になると、加工後の製品表面に肌荒れ
が生じている。この肌荒れは、オレンジピールと呼ば
れ、外観を損ねるだけでなく、肌荒れに起因して著しい
耐食性の劣化を招く。一方、仕上焼鈍板の結晶粒度番号
が6.0を超えると、うねり高さが10μm以下となり、肌荒
れが顕著に抑制されている。従って、仕上焼鈍板の粒度
番号は6.0以上、好ましくは7.0以上とする必要がある。
なお、(222)/(200)の強度比を高め、平均r値2.
0以上を得るだけであれば、仕上焼鈍温度を高温にする
ことで達成できるが、かかる焼鈍温度を高める方法で
は、結晶粒が粗大化し、肌荒れを引き起こすことにな
る。本発明では、このような相反する特性を両立させる
ために、中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行うこと
により、この問題を解決したのである。
【0034】次に、本発明に係る鋼板を製造する方法に
ついて説明する。本発明の鋼板は、製鋼、熱間圧延(粗
圧延、仕上圧延)、熱延板焼鈍、酸洗、冷間圧延、仕上
焼鈍の各工程を経て最終冷延鋼板とされる。したがっ
て、本発明の鋼板のX線積分強度比およびフェライト結
晶粒の粒度番号を上述した範囲に管理することは、熱延
におけるスラブ加熱温度、粗圧延条件、仕上圧延条件の
ほか、熱延板焼鈍条件、冷間圧延条件、中間焼鈍温度な
らびに仕上焼鈍条件を調整することによりはじめて可能
となる。
【0035】スラブ加熱温度 スラブ加熱は、加熱温度が低すぎると、粗圧延で所定の
条件で熱間圧延することが困難となり、一方、加熱温度
が高すぎると、Ti添加鋼の場合、スラブ中のTi 422
が溶解して固溶炭素が増大するとともに、熱延板の板厚
方向の集合組織が不均一になる。このためスラブ加熱温
度は、1000℃〜1200℃の範囲に制限する。なお、好まし
い温度範囲は1100〜1200℃である。
【0036】熱間粗圧延 熱間粗圧延(以下、単に粗圧延と呼ぶ)は、少なくとも1
パスを、圧延温度850〜1100℃、圧下率35%以上で行う
必要がある。粗圧延の圧延温度が850℃未満では、再結
晶が進みにくく、仕上焼鈍板の加工性(r値)が劣化し、
面内異方性が大きくなりするほか、圧延ロールへの負荷
が大きくなり、ロール寿命が短くなる。一方、1100℃を
超えると、フェライト結晶粒が圧延方向に伸びた組織に
なり、異方性が大きくなる。したがって、粗圧延の圧延
温度は850〜1100℃にする必要がある。なお、好ましい
温度範囲は900〜1050℃である。
【0037】また、粗圧延の圧下率が35%/パス未満で
は、板厚方向の中心部に、バンド状の未再結晶組織が大
量に残存するため、仕上焼鈍板の加工性(r値)が劣下す
る。一方、粗圧延の圧下率が60%/パスを超えると、圧
延時にロールへの焼き付きや、噛み込み不良を生じる危
険がある。よって、圧下率は40〜60%/パスの範囲が好
ましい。上述した圧延温度と圧下率の条件を満たす粗圧
延は、少なくとも1パス行うことにより、深絞り性が改
善される。この1パスは、粗圧延のどのパスで行っても
よいが、圧延機の能力を考えると、最終パスで行うのが
最も好ましい。なお、鋼の高温強度が高い材料では、粗
圧延時に、鋼板表面に強い剪断歪みが生じ、板厚中心部
に未再結晶組織が残ったり、粗圧延時に焼き付きを生じ
ることもある。このような場合には必要に応じて、摩擦
係数が0.3以下になるような潤滑を施してもよい。
【0038】熱間仕上圧延 粗圧延に続く熱間仕上圧延(以下、単に仕上圧延と呼ぶ)
では、少なくとも1パスを圧延温度650〜900℃、圧下率
20〜40%で行う必要がある。仕上圧延温度が650℃未満
では変形抵抗が大きく、20%/パス以上の圧下率を確保
することが難しくなるとともに、ロール負荷が大きくな
る。一方、仕上圧延温度が900℃を超えると圧延歪みの
蓄積が小さくなり、次工程以降における加工性の改善効
果が小さくなる。このため、仕上圧延温度は650〜900
℃、好ましくは700〜800℃の範囲で行うものとする。
【0039】また、仕上圧延時に650〜900℃における圧
下率が20%未満では、r値の低下やリジングの原因にな
る{100}//ND、{110}//NDコロニーが大きく残
存してしまう。一方、40%を超えると噛み込み不良や形
状不良を引き起こし、鋼の表面性状の劣化を招く。よっ
て、仕上圧延においては、圧下率20〜40%の圧延を、少
なくとも1パス以上行う必要がある。なお、好ましい圧
下率範囲は25〜35%である。上述した圧延温度と圧下率
の条件を満たす仕上圧延は、少なくとも1パス行えば深
絞り性が改善される。その1パスは、どのパスで行って
もよいが、圧延機の能力から、最終パスで行うのが最も
好ましい。
【0040】熱延板焼鈍 熱延板の焼鈍温度は、800℃より低い場合には、再結晶
が不十分となり、仕上焼鈍板のr値が大きく低下すると
ともに、未再結晶のバンド状組織に起因して、仕上焼鈍
板のリジング発生が著しくなる。また、1100℃を超える
と、結晶組織が粗大化するとともに、炭化物の再固溶に
より、鋼中の固溶Cが増大し、好ましい集合組織の形成
を阻害する。また、仕上焼鈍板の結晶粒も粗大化し、加
工に伴って肌荒れが生じ、成形加工限界の低下、耐食性
の低下を引き起こす。したがって、熱延板焼鈍温度は、
未再結晶組織がなくかつ極力微細な組織を得る条件と固
溶Cすなわち炭化物の析出挙動との兼ね合いから、800
〜1100℃、好ましくは850〜1050℃の温度範囲とするの
がよい。
【0041】冷間圧延 冷間圧延は、750〜1000℃の中間焼鈍を挟んで2回以上
行うものとし、全圧下率を75%以上かつ(1回目冷延の
圧下率)/(最終冷延の圧下率)で表される圧下比を0.7〜
1.3で行う。そして、最終冷延直前におけるフェライト
結晶粒度番号を6.5以上とすることが必要である。全圧
下率は、仕上焼鈍板の{111}集合組織の発達に大きく
関与する。すなわち、圧下率をあげることはr値向上に
有効に作用し、仕上焼鈍板の平均r値を2.0以上とする
ためには、全圧下率を75%以上とする必要がある。な
お、r値のピークは、圧下率85%の当たりに存在するた
め、冷延圧下率を80〜90%とするのがより好ましい。
【0042】また、上記圧下比は、最終冷延前鋼板(中
間焼鈍後鋼板)中の粒径や{111}集合組織の発達、ひ
いては仕上焼鈍板の{111}集合組織の発達と密接な関
係がある。高r値化を達成するには、この圧下比を0.7
〜1.3、好ましくは0.8〜1.1の範囲として冷間圧延する
必要がある。なお、2回以上の冷間圧延を行う場合、各
回の冷延圧下率はいずれも50%以上とし、かつ1回目と
最終回の圧下率の差は30%以下とするのが望ましい。こ
れは、圧下率が50%未満でも、圧下率差が30%超えで
も、(222)/(200)の値が低くなり、r値が低下す
るためである。
【0043】さらに、本発明における冷間圧延は、タン
デム圧延機を採用し、かつ、2回以上の冷間圧延のいず
れをも、ロール径300mmφ以上のワークロールにより1
方向に圧延するのが好ましい。この理由は、被圧延材の
剪断変形を低減し、(222)/(200)を高めてr値の
向上させるためには、ロール径と圧延方向の影響が大き
いためである。一般に、ステンレス鋼の最終冷間圧延
は、表面光沢を得るため、ロール径が例えば200mmφ以
下のワークロールを用いたリバース圧延機で行われる。
しかし、本発明では、特にr値の向上を目的とするの
で、最終冷間圧延においては、ロール径が300mmφ以上
の大径ロールを使用することが好ましい。すなわち、ロ
ール径100〜200mmφのリバース圧延に比べ、ロール径30
0mmφ以上の1方向圧延であるタンデム圧延を行う方
が、表面の剪断変形が低減し、r値を高めるのに効果的
である。
【0044】図3は、X線積分強度比(222)/(20
0)に及ぼす冷間圧延ロール径と圧延方法(方向)の影響
を示す図である。図3から、圧延ワークロールを大径ロ
ールとし、しかも一方向圧延(タンデム圧延)とすること
により、(222)/(200)が増大することが認められ
る。なお、より高r値を安定して得るために、線圧(圧
延荷重/板幅)を増大させ、板厚方向に均一に歪みを与
えることも有効である。このため、熱延温度の低下、高
合金化、熱延速度の増加等を任意に組み合わせることが
好ましい。
【0045】中間焼鈍 中間焼鈍は、750〜1000℃の温度範囲で行う必要があ
る。中間焼鈍温度が750℃に満たない場合、再結晶が不
十分となり、r値が低下するとともに、未再結晶のバン
ド状組織に起因して、最終冷延板のリジングの発生が著
しくなる。一方、1000℃を超えると、組織が粗大化する
とともに、炭化物が再固溶して鋼中の固溶Cが増大し、
深絞り性に好適な{111}に代表される集合組織の形成
を阻害する。また、最終冷延板の肌荒れ(オレンジピー
ル)も顕著になる。なお、仕上焼鈍板の結晶粒を微細化
し、かつ高r値化するためには、最終冷延前の固溶Cの
低減と、後述するように、中間焼鈍を終えた最終冷延前
のフェライト結晶粒の微細化が重要なポイントとなる。
このため、中間焼鈍温度は、最終冷延前の結晶を余り大
きくしないで、かつ未再結晶組織が残存しない温度範囲
内で、低温ほどよい。これらのことから、中間焼鈍の温
度範囲は750〜1000℃とし、好ましくは800〜950℃とす
るのがよい。
【0046】最終冷延前の結晶粒度番号:6.5以上 最終冷延前(計2回の冷間圧延を行う場合には2回目冷
延前)のフェライト結晶粒の大きさは、仕上焼鈍板の(2
22)/(200)、r値と密接な関係があるだけでな
く、仕上焼鈍板の粒径にも影響を与え、加工後の肌荒れ
とも関係するので、とくに重要な要件である。発明者ら
は、最終冷延前の結晶粒度番号を6.5以上にすることに
より、仕上焼鈍板の結晶粒度番号を6.0以上かつ(22
2)/(200)を15.0以上とすることを可能とした。こ
れにより、r値2.0以上の良好な深絞り性を有するとと
もに加工後に肌荒れのないフェライト系ステンレス鋼板
を製造し得るようになった。なお、最終冷延前の結晶粒
度番号が大きい(結晶粒が小さい)ほど仕上焼鈍板の{1
11}//NDの発達が高くなり、仕上焼鈍板の結晶粒径
が同じであったとしても、高r値を得ることができる。
これは、熱延板焼鈍および中間焼鈍を高温で行った時に
は、結晶粒が粗大化すると同時に、TiCやNbC等の炭化
物が溶解、再固溶して固溶C量が増加し、集合組織の発
達を阻害すること、さらに、最終冷延前の結晶粒径が大
きくなるにしたがい、仕上焼鈍板の再結晶の核生成サイ
トが少なくなり、(222)/(200)の値が低下し、高
r値を得ることができなくなるからである。
【0047】図4に、最終冷延前の結晶粒度番号が仕上
焼鈍板のr値に及ぼす影響を示す。このデータは、仕上
焼鈍板の結晶粒度番号を、仕上焼鈍温度を変更すること
により、全て6.5に揃えたものである。図4から、仕上
焼鈍板のr値は、最終冷延前の結晶粒径が小さいほど高
いことがわかる。なお、最終冷延前の結晶粒度番号が同
じ場合、熱延焼鈍板の粒径を小さくすることで、仕上焼
鈍板のr値は、さらに向上する。
【0048】仕上焼鈍(最終冷延板焼鈍) 仕上焼鈍は、高温で焼鈍するほど、{111}粒の優先成
長が促進されて、{111}集積度が向上し、高r値が達
成される。これは、{111}結晶粒が、他の結晶方位の
粒を蚕食し粒成長するからである。しかし、高温焼鈍に
より、結晶粒が大きくなり過ぎると、加工後の肌荒れ
(オレンジピール)が生じて、成形性の低下と耐食性の劣
化をもたらす。このため、仕上焼鈍温度は、結晶粒度6.
0以上を確保できる温度範囲とする必要がある。ただ
し、二次加工脆性が問題となる用途では、結晶粒のさら
に微細化し、例えば7.0以上とすることが好ましい。一
方、仕上焼鈍温度が800℃未満では、r値の向上に有効
な{111}結晶方位の優先成長せず、平均r値2.0以上
を達成できないばかりか、鋼板板厚中央部に未再結晶の
バンド状組織が残存し、リジングの発生が著しくなり、
深絞り性、加工性を著しく阻害する。そこで、本発明で
は、仕上焼鈍は、800〜1050℃の温度範囲で仕上焼鈍を
行う。なお、好ましくは、850〜1000℃の温度範囲が望
ましい。
【0049】仕上焼鈍後の鋼板は、必要に応じて、調質
圧延(スキンパス圧延)を施されて製品とされる。しか
し、加工の厳しい複雑な形状の用途に適用する場合、あ
るいはプレス加工等で潤滑油や潤滑ビニルの使用を省略
する場合には、上記特性の鋼板表面の片面または両面
に、潤滑剤を塗布した鋼板を用いることが有効である。
ここで、上記潤滑剤とは、ベース樹脂にアクリル系樹脂
を用い、これにステアリン酸カルシウムを3〜20volmas
s%、ポリエチレンワックスを3〜20volmass%添加した
樹脂コートを指す。この潤滑剤の塗布により摺動性が改
善され、複雑な形状への深絞り加工が容易になる。な
お、潤滑剤は、アルカリで容易に脱膜が可能な脱膜型潤
滑剤にするのがより好ましい。それは、加工後、スポッ
ト溶接やシーム溶接を行う場合、潤滑剤の成分であるC
が鋼中に固溶して粒界に炭化物を形成し、溶接部の鋭敏
化を生じて著しい耐食性劣化を引き起こす傾向があるた
めである。
【0050】この潤滑剤の塗布量は、塗布面(片面)当た
り0.5〜4.0g/m2とするのが有効である。プレス成形試験
の結果、摺動性の改善には少なくとも0.5g/m2以上の潤
滑剤の塗布が必要である。ただし、4.0g/m2を超える
と、その効果が飽和するとともに、脱膜せずに、シーム
溶接やスポット溶接した場合、通電不良のため溶接不良
が発生し、溶接部の強度不足が起こる。また潤滑剤に起
因して、溶接部で鋭敏化が生じる傾向が大きくなるから
である。さらに、溶接性と加工性とを好ましい特性で兼
備するには、1.0〜2.5g/m2好適塗布量である。なお、潤
滑剤は、鋼板の片面あるいは両面に塗布するが、両面に
塗布する方が、加工性改善にはより効果的である。な
お、本発明鋼板を用いて、溶接により燃料パイプに組立
てる場合には、TIG、MIG、ERWを始めとするア
ーク溶接、電縫溶接、レーザー溶接など、通常の溶接方
法であれば、すべて適用可能である。
【0051】
【実施例】(実施例1)表1に示す成分組成の鋼スラブ
を、表2に示す条件で熱間圧延した後、熱延板焼鈍を施
し、次いで、表3に示す条件で冷間圧延、中間焼鈍およ
び仕上焼鈍を行った。得られた仕上焼鈍板の板厚1/4位
置における板面に平行な面で、X線積分強度比(222)
/(200)を測定するとともに、鋼板の圧延方向(L方
向)断面における板厚の1/2、1/4および1/6位置のフェラ
イトの結晶粒度番号をJIS G 0552(切断法)に準拠して求
めた。また、上述したJIS Z 2254に準拠し、JIS 13号B
試験片を用い、15%の単軸引張予歪を与えて、平均r値
を測定した。
【0052】さらに、耐肌荒れ性および耐食性につい
て、以下の方法で評価した。 <耐肌荒れ性>耐肌荒れ性は、鋼板の圧延方向からJIS
5号試験片を切り出し、25%の引張歪みを加えた後、鋼
板表面に発生した凹凸を、触針式粗度計で最大高さ(R
y)を測定し、この値を“うねり高さ”とした。Ryの測
定は、試験片長手方向中央部で5mm間隔に、引張方向に
垂直方向に1cm長さで5点測定し、その平均を求めた。
なお、耐肌荒れ性は、最大高さ(うねり高さ)が10μm以
下であれば、良好であると評価できる。 <耐食性>耐食性試験は、0.75mm厚の仕上焼鈍板を絞り
加工して80mmφ、高さ45mmの円筒形状の試験体とし、こ
の中に蟻酸800mass ppmを含有する劣化ガソリンを入
れ、50℃の恒温槽中に25時間放置する試験を1サイクル
とし、1サイクル終了毎に蒸発した劣化ガソリンを補充
して、合計200サイクル(5000時間)の試験を行い、試験
後の赤錆発生状況を目視で観察し、赤変の有無で評価を
行った。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】上記の試験結果を、整理して示したのが表
4である。表4のNo.1〜6は、本発明に適合した成分
組成を有する表1の鋼No.1の鋼スラブを、最終板厚0.7
5mmの冷延材とした後、仕上焼鈍温度を890〜1100℃に変
えて、結晶粒径を変化させた結果である。特に、No.1
〜4は、仕上焼鈍後の鋼板の結晶粒度番号が6.0以上
で、かつ平均r値が2.0を大きく超える高い値を示して
いる。一方、No.5,6は、仕上焼鈍温度が高過ぎたた
め、平均r値は2.0を超えているものの、結晶粒度番号
が6.0未満であり、うねり高さが10μmを超えている。こ
の結果、腐食試験では赤錆が発生している。No.7〜10
は、上記と同様に鋼No.1を用い、表3に示すように中
間焼鈍温度を種々変化させた結果である。No.8,9
は、2回目の冷延前鋼板の結晶粒度番号が6.5未満とな
った場合であり、仕上焼鈍後の鋼板は、(222)/(2
00)の値が低く、2.0超のr値が得られているものの、
結晶粒が粒度番号6.0未満まで粗大化し、その結果、う
ねり高さが10μmを超えた例である。一方、No.10は、焼
鈍温度が低過ぎて、未再結晶のバンド状組織が残存した
場合であり、(222)/(200)が10未満で、r値も低
く、かつ著しい波状のリジングが発生し、うねり高さが
70μmを超えている。No.11,12は、1回目/2回目の冷
延圧下率の配分を、それぞれ50%/72%(圧下比0.69)、
71%/53%(圧下比1.34)と変化させたものである。No.
3の発明例(圧下比0.91)と比較すると、冷延の圧下配分
は、仕上焼鈍後の結晶粒径やr値に影響を与え、その配
分が1.0に近い方が、細粒で高r値の冷延焼鈍板が得ら
れることがわかる。No.13,14は、熱延板焼鈍温度が、
組織や材質に及ぼす影響を示したものである。特に、N
o.13は、790℃の低温焼鈍した場合であり、表には記載
しないが、焼鈍後鋼板には未再結晶のバンド状組織が残
存し、(222)/(200)は10と低く、r値は1.7程
度、しかもうねり高さが33μmと肌荒れが顕著である。
一方、No.14は、焼鈍温度が1120℃と高過ぎた場合であ
り、焼鈍後の粒径が粗大化し、No.13同様、r値が低
く、しかも肌荒れが顕著である。No.15〜19は、2回目
の冷延条件(ロール径、圧延方向)の影響を示した例であ
る。ロール径を大きくすることに加え、リバース圧延
を、タンデム圧延(1方向圧延)にすることでr値が向上
し、うねり高さが低減している。No.20〜24は、冷延1
回法(冷延圧下率87%)の場合における、仕上焼鈍温度と
r値の関係を調べた結果である。1回法では、焼鈍温度
を上げても、r値の改善率は小さく、仕上焼鈍後の粒度
番号を6.0以上としたNo.20〜22では、到達r値は高々1.
7程度で、うねり高さも20μm以上と大きい。No.25〜33
は、鋼の成分を種々変化させた例である。No.27は、Cr
+3.3Moが16.5と低い鋼4を用いた例であり、表面のう
ねり高さは要求特性を満たしているが、劣化ガソリン腐
食試験で赤錆が発生している。No.29は、Cr量が24mass
%と高い鋼6を用いた例であり、(222)/(200)が
低く、平均r値も2.0未満である。No.30は、鋼7を用い
た例であるが、Moが0.4mass%、Cr+3.3Moが17.3と低い
ため、劣化ガソリン腐食試験で赤錆が発生している。N
o.32は、Mo含有量が3.2mass%と高い鋼9を用いた例で
あり、2.0を超えるr値は得られていない。
【0057】
【表4】
【0058】(実施例2)実施例1の表1に示した鋼N
o.1を用いて、表2および表3に示したNo.2の工程条
件で冷延鋼板(板厚0.75mm)とした。この鋼板を、アルカ
リ洗浄した後、ステアリン酸カルシウム(5vol%)、ポ
リエチレンワックス(5vol%)を添加したアクリル樹脂
系の潤滑剤を塗布し、80±5℃×15秒の焼付処理を行っ
た。この際の潤滑剤の塗膜量は、両面に塗布面当たり0
〜5.0g/m2に変化させた。得られた鋼板を用いて、以下
に示す方法で、摺動性試験および溶接性試験を行った。 <摺動性試験>潤滑剤を塗布した鋼板を、300mm長さ×1
0mm幅のサイズに切断して試験片とし、この試験片を、
平面金型(サンプルとの接触面積200mm2)で上下から挟
み、面圧78MPaを負荷し、引き抜いた時の力(F)から、
動摩擦係数(μ)を求め、摺動性を評価した。 <溶接性試験>溶接性は、クロム銅合金のRタイプ電極
(16mmφ、R=40mm)を用い、加圧力2kN、電流5kA
で、0.75mm厚さの試験片を2枚合わせてスポット溶接
し、得られたナゲット径を測定し、ナゲット径が3√t
(ただし、t:板厚)以下は溶接不良(×)、3√t超は溶
接性良好(○)として評価した。上記試験の結果を表5に
示す。この結果、動摩擦係数μを0.1以下にするために
は、少なくとも0.5g/m2以上の塗布量が必要である。し
かし、塗布量が4.0g/m2を超えると、摺動性の改善効果
が飽和するとともに、スポット溶接時に通電不良が発生
し、溶接性が阻害されることがわかった。
【0059】
【表5】
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
r値2.0以上という深絞り性と耐肌荒れ性に優れたフェ
ライト系ステンレス鋼板を提供できる。従って、本発明
鋼板は、従来、オーステナイト系ステンレス鋼板しか適
用できなかった、高深絞り性が必要な、自動車用部材や
家電、厨房、建材等の用途に適用可能となる。とくに、
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、上記特性に加
えて、有機酸を含む有機燃料環境でも優れた耐食性を有
し、また潤滑性に優れているので、自動車用ガソリン、
メタノール等の自動車燃料用のタンクや燃料パイプ部材
に用いて好適な材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 劣化ガソリン中における耐食性に及ぼすCr+
3.3Moおよび仕上焼鈍板の結晶粒度番号の影響を示した
図である。
【図2】 仕上焼鈍板の結晶粒度番号と加工後の肌荒れ
(うねり高さ)との関係を示した図である。
【図3】 X線積分強度比(222)/(200)に及ぼす
冷間圧延ロール径及び圧延方法の影響を示した図であ
る。
【図4】 仕上焼鈍板のr値に及ぼす最終冷延前の結晶
粒度番号の影響を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村木 峰男 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 馬場 幸裕 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 尾崎 芳宏 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 福田 國夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA04 EA12 EA15 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA31 EB03 EB08 FA02 FB06 FB07 FF03 FG03 FJ06 FJ07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C:0.01mass%以下、Si:1.0mass%以
    下、Mn:1.5mass%以下、P:0.06mass%以下、S:0.0
    3mass%以下、Cr:11〜23mass%、Ni:2.0mass%以下、
    Mo:0.5〜3.0mass%、Al:1.0mass%以下、N:0.04mas
    s%以下を含み、かつNb:0.8mass%以下、Ti:1.0mass
    %以下の1種または2種を下記(1)式の関係を満足して
    含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる組成を有
    し、フェライト結晶粒の粒度番号が6.0以上であり、か
    つ、平均r値が2.0以上であることを特徴とするフェラ
    イト系ステンレス鋼板。 記 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ……(1) 但し、C,N,Nb,Tiは各元素の含有量(mass%)
  2. 【請求項2】上記CrとMoは、下記(2)式の関係を満足し
    て含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライ
    ト系ステンレス鋼板。 記 Cr+3.3Mo≧18 ……(2) 但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%)
  3. 【請求項3】板面に平行な面における(222)と(20
    0)のX線積分強度比(222)/(200)が15以上であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のフェライ
    ト系ステンレス鋼板。
  4. 【請求項4】上記鋼板は、その片面または両面に、ステ
    アリン酸カルシウムとポリエチレンワックスを含むアク
    リル樹脂系潤滑剤の塗布層を有することを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項に記載のフェライト系ステン
    レス鋼板。
  5. 【請求項5】C:0.01mass%以下、Si:1.0mass%以
    下、Mn:1.5mass%以下、P:0.06mass%以下、S:0.0
    3mass%以下、Cr:11〜23mass%、Ni:2.0mass%以下、
    Mo:0.5〜3.0mass%、Al:1.0mass%以下、N:0.04mas
    s%以下を含み、かつNb:0.8mass%以下、Ti:1.0mass
    %以下の1種または2種を下記(1)式の関係を満足して
    含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる組成を有
    する鋼スラブを、1000〜1200℃に加熱し、熱間粗圧延の
    少なくとも1パスを圧延温度850〜1100℃、圧下率35%
    以上とし、続く熱間仕上圧延の少なくとも1パスを圧延
    温度650〜900℃、圧下率20〜40%とする熱間圧延を行っ
    て熱延板とし、次いでこの熱延板を800〜1100℃で熱延
    板焼鈍した後、750〜1000℃の中間焼鈍を挟む2回以上
    の冷間圧延を、全圧下率75%以上かつ(1回目冷延の圧
    下率)/(最終冷延の圧下率)で表わされる圧下比を0.7〜
    1.3として行い、さらに850〜1050℃で仕上焼鈍すること
    を特徴とするフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 記 18≦Nb/(C+N)+2Ti/(C+N)≦60 ……(1) 但し、C,N,Nb,Tiは各元素の含有量(mass%)
  6. 【請求項6】上記鋼スラブ中のCrとMoが、下記(2)式の
    関係を満足して含有されていることを特徴とする請求項
    5に記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。 記 Cr+3.3Mo≧18 ……(2) 但し、Cr,Moは各元素の含有量(mass%)
  7. 【請求項7】上記最終冷延前の鋼板のフェライト結晶粒
    度番号を6.5以上としたことを特徴とする請求項5また
    は6に記載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  8. 【請求項8】上記冷間圧延は、いずれもロール径が300m
    mφ以上のワークロールを備えたタンデム圧延機により
    行うことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記
    載のフェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  9. 【請求項9】仕上焼鈍後の鋼板の片面または両面に、ス
    テアリン酸カルシウムおよびポリエチレンワックスを含
    むアクリル樹脂系潤滑剤を塗布することを特徴とする請
    求項5〜8のいずれか1項に記載のフェライト系ステン
    レス鋼板の製造方法。
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