JP2002285036A - 光触媒担持アルミニウム材およびその製造方法 - Google Patents

光触媒担持アルミニウム材およびその製造方法

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titanium dioxide
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titanium
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Seiichi Rengakuji
聖一 蓮覚寺
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Japan Carlit Co Ltd
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Asahi Glass Co Ltd
Shin Nikkei Co Ltd
Japan Carlit Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、高い光触媒活性を示し、表面平滑性
に優れた二酸化チタンを表面層として有する光触媒担持
アルミニウム材およびその製造方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】アルミニウム材表面に、加水分解性を有す
るチタン化合物と芳香族化合物溶媒とから調整された二
酸化チタン前駆体溶液を、塗布し、加熱処理して形成さ
れる二酸化チタン薄膜を有する光触媒担持アルミニウム
材およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒活性を有す
る光触媒担持アルミニウム材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、建築物等の屋外設置物や、 建築の
室内構造・設備等に、親水、抗菌、防汚コーティングの
研究が注目を集めている。抗菌、 防汚コーティングは、
建物の外観上の美感を長期に渡って保つことができるば
かりでなく、 病院内の院内感染を防いだり、 室内の清潔
な環境を保ったりするために切望されている。二酸化チ
タンはその光触媒機能が注目され、環境用材料としての
展開が期待されている新素材であり、さまざまな製造法
が提案されている。従来は焼成して光触媒能のあるアナ
ターゼ粒子とし、バインダーと混合して金属表面に塗布
する手法(竹内ら:光触媒の世界、 工業調査会(1999)
p.44)やCVDによる薄膜作成が報告されている。ま
た、金属アルコキシドをアルコール系等の適当な溶媒に
溶解し、この溶液を加水分解縮重合し、ポリマー状ゾル
(コロイド分散体) を調整し、基体上に塗布乾燥し熱処
理して結晶化するゾル(溶液) −ゲル(固体) 法が公知
である。この方法は、ゾル状態の分散液を一定の状態で
長期に保管するのが困難であり、またゾル状態の分散液
を溶液中でゲル化し基体上に析出させて成膜するので、
未反応物もゲルになってしまい一旦使用したゾル溶液は
再度使えないという問題もあった。ガラス表面に液相法
により直接コーティングして焼成した報告 (連覚寺ら:
電気化学会第67回春期講演要旨集、132頁)には、
TiO2 薄膜の光触媒活性として、導電性ガラスと導電
性がないガラスに、TiO2 をコーティングした場合の
光触媒作用を検討している。導電性ガラスは光触媒活性
が高まると予想したが、結果は予想とは異なり今後の研
究が必要であると記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高い光触媒
活性を示す二酸化チタンを表面層として有する光触媒担
持アルミニウム材およびその製造方法を提供することを
目的とする。また、本発明の他の目的は表面平滑性にも
優れた二酸化チタンを表面層として有する光触媒担持ア
ルミニウム材を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、アル
ミニウム材表面に、加水分解性を有するチタン化合物と
芳香族化合物溶媒とから調整された二酸化チタン前駆体
溶液を、塗布し、加熱処理して形成される二酸化チタン
薄膜を有する光触媒担持アルミニウム材を提供する。こ
こで、前記加熱処理が、アナターゼ構造を有する領域と
非晶質領域の境界領域形成温度±100℃未満の加熱で
あるのが好ましい。また、二酸化チタン薄膜の幾何学的
膜厚が、5ないし1000nmであるのが好ましい。本
発明は、アルミニウム材表面に、加水分解性を有するチ
タン化合物と芳香族化合物溶媒とから調整された二酸化
チタン前駆体溶液を、塗布し、加熱処理する光触媒担持
アルミニウム材の製造方法を提供する。ここで、前記加
熱処理が、300ないし500℃で、30分ないし5時
間加熱される製造方法が好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、二酸化チタン薄膜を有
する二酸化チタン光触媒担持アルミニウム材であり、加
水分解性を有するチタン化合物と芳香族化合物溶液とか
ら調整された二酸化チタン前駆体溶液を、基体に、塗布
し、加熱処理して形成される。
【0006】形成される二酸化チタン薄膜は光触媒活性
が高い。また、表面平滑性に優れた二酸化チタン薄膜を
形成することもできる。加水分解性を有するチタン化合
物と芳香族溶液とから調整される溶液は、従来法により
得られるゾル、すなわち微粒子状チタン水和酸化物を単
位とした凝集体ではなく、芳香族化合物溶媒の芳香環が
核となり、芳香環の面を基準にして水酸化チタンの脱水
縮合が進行した平面構造を有する高分子状二酸化チタン
前駆体溶液である。すなわちゾル溶液になる直前の溶液
状態を維持するように工夫されているので、溶液状態か
ら引き上げ法で得られる膜を加熱処理すると密着性の良
いコーティング膜が容易に作成できるという優れた特徴
を持つ、独特の手法である。この方法で製造した各種セ
ラミックス基板上での二酸化チタン膜の光触媒性は優れ
たものであることが報告されているが、セラミックス基
板の種類によって光触媒機能が非常に大きく支配され、
甚だしい場合には機能が発現しないことが見出される場
合もあった。
【0007】本発明に用いる二酸化チタン前駆体溶液の
調製方法の1例を以下に示す。本発明に用いられる溶液
は、例えば、芳香族化合物溶媒1Lに対してチタンアル
コキシドを0.03〜1.5モルとなる量で溶解させ、
ついで温度0〜6℃で、水1〜20wt%を含有する水
−アルコール混合溶液を、チタンアルコキシド1モルに
対して水が0.5〜2モルとなる量で添加させた後、温
度0〜60℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分
解、脱水縮合させることにより調製される。なお、好ま
しくはチタンイオンとして0.1〜1モル/Lの濃度に
濃縮させた溶液が用いられる。得られた溶液は、芳香族
化合物溶媒の芳香環が核となり、芳香環の面を基準にし
て水酸化チタンの脱水縮合が進行した平面構造を有する
高分子状二酸化チタン前駆体溶液である。
【0008】チタンアルコキシドのアルコキシ基は、炭
素数1〜8であり、好ましくは1〜5である。一例とし
て、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso −プロポキシ
基、n−ブトキシ基、iso −ブトキシ基、sec-ブトキシ
基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基等があげられ
る。
【0009】チタンアルコキシドを溶解させる溶媒は、
芳香族化合物溶媒であり、1種または2種以上が用いら
れる。一例として、ベンゼン、アニリン、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン等があげられる。特にベンゼン
を用いた場合、チタンアルコキシドの3量体が形成され
易く、反応生成物の構造を制御できる。
【0010】チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化
合物溶媒に添加される水−アルコール混合溶液中のアル
コールは、水の活量を調節する、すなわち加水分解を抑
制し、ゆっくり反応させるためのものである。このた
め、水−アルコール混合溶液の配合割合、添加速度、添
加時の温度も反応制御には重要であり、初期段階ではな
るべくゆっくりと反応させることが必要である。反応が
急激に進行すると、微粒子状二酸化チタンの凝集体が形
成されるため好ましくない。
【0011】本発明に用いられるアルコールは、炭素数
1〜10のアルコールであり、好ましくは炭素数1〜1
0の1価アルコールである。これらの1種または2種以
上が用いられる。一例として、エチルアルコール、n−
プロピルアルコール、iso −プロピルアルコール、n−
ブチルアルコール、iso −ブチルアルコール、sec −ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−アミル
アルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアル
コール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコ
ール、ノニルアルコール、n−デシルアルコール等があ
げられる。
【0012】本発明で用いられる水−アルコール混合溶
液中の水の含有量は、1〜20wt%であり、かつチタ
ンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒に添加さ
れる水−アルコール混合溶液は、チタンアルコキシド1
モルに対して水が0.5〜2モルとなる量である。
【0013】水−アルコール混合溶液中の水の含有量が
1wt%未満の場合、反応速度が遅すぎて実用的でな
い。また、20wt%を超える場合、加水分解反応が急
激に進行するため好ましくない。
【0014】チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化
合物溶媒に添加される水−アルコール混合溶液が、チタ
ンアルコキシド1モルに対して水が0.5モル未満の場
合、未反応物が多くなり好ましくない。また、2モルを
超える場合、反応が急激に進行するため好ましくない。
【0015】また、チタンアルコキシドを溶解させた芳
香族化合物溶媒に水−アルコール混合溶液を添加させる
時の温度は、反応制御の面から0〜6℃が好ましい。次
に、チタンアルコキシドを溶解させた芳香族化合物溶媒
に水−アルコール混合溶液を添加させた後、温度0〜6
0℃で、超音波下または撹拌放置下、加水分解、脱水縮
合させることにより、本発明に用いられる溶液が得られ
る。加水分解、脱水縮合させる時の温度が60℃を超え
る場合、反応が速すぎて、また0℃未満の場合、逆に反
応が遅くなりすぎて好ましくない。
【0016】本発明に用いられる溶液は、芳香族化合物
溶媒中の芳香環が核となり芳香環の面を基準にして水酸
化チタンの脱水縮合が進行した平面構造をもった高分子
状二酸化チタンを有し、従来のゾル−ゲル法により得ら
れる微粒子状チタン水和酸化物のコロイド溶液でない。
【0017】次いで、好ましくはチタンイオンとして
0.1〜1モル/Lの濃度に調製された溶液を、湿度の
低い雰囲気下でハケ塗り、スプレー塗布、浸漬、スピン
コート、フローコート等により塗布し、温度120〜2
50℃で乾燥させる。次いで、乾燥後、温度が300〜
500℃で、30分から5時間の熱処理をし、室温にな
るまで自然冷却させる。本発明者等は、アルミニウム材
上の二酸化チタン薄膜をどのような条件で加熱処理して
形成すると光触媒活性が高い光触媒担持アルミニウム材
が得られるかについて研究し、アナターゼ構造を有する
領域と非晶質領域の境界領域形成温度±100℃未満の
加熱条件とすることを見出した。後に実施例で詳述する
ように、良好な光触媒機能はX線チャートの見かけから
判断したアナターゼへの結晶化線±100℃以内にあ
り、それより低くても高くても光触媒活性が充分発現さ
れなくなる。
【0018】本発明における二酸化チタン薄膜の厚さ
は、幾何学的厚さが5〜1000nmであるのが好まし
い。この範囲未満であると光触媒効果が充分発揮できな
いし、この範囲を超えると経済的でない。より好ましい
範囲は担持体の目的、用途等に応じ自由に決定すること
ができる。特に10〜500、 さらには10〜100n
mである。
【0019】二酸化チタンの光触媒活性は、例えば、実
施例で記載した方法で評価することができ、本発明のア
ルミニウム材は、光触媒活性に優れている。
【0020】本発明において、薄膜が形成される基体
は、アルミニウム、アルミニウム合金であれば、材質、
表面形状、構造等について、特に限定されない。日本工
業規格品では、JIS A 1000番台、2000番
台、3000番台、4000番台、5000番台、60
00番台、7000番台が例示できる。
【0021】基体の表面形状は、板状物等の平面的なも
のに限られず、立体的なものであってもよい。本発明に
用いる溶液は、液体状で塗布するにもかかわらず凹凸を
有する形状でも凹部と凸部での膜厚の差が少ないという
段差被覆性に優れているので、複雑な表面形状を有する
アルミニウム材にも形状追随性に優れた薄膜を形成する
ことができる。
【0022】また、アルミニウム材と表面層との間に、
1層以上の機能性膜を有する多層膜とすることもでき
る。機能性薄膜としては、例えば、金属、合金、これら
の酸化物、窒化物、炭化物等の機能性薄膜が挙げられ
る。
【0023】本発明の光触媒担持アルミニウム材の用途
は、特に限定されないが、二酸化チタン膜の示す高い光
触媒活性に起因する抗菌性、防汚性や耐擦傷性を生かし
た用途として、例えば、高層建築用カーテンウオール
材、ビル用・住宅用サッシ、ベランダ・バルコニー等の
エクステリヤ製品、病院・医院のベット・手術台等の設
備、浴槽、台所のシンク、洗面台、トイレ用便器、橋・
橋梁・建築物の装飾用各種部品、屋外・屋内彫刻、屋外
・屋内装飾品、鏡枠等が挙げられる。
【0024】
【実施例】1.加熱条件と光触媒活性 用いたアルミニウム板材は純度99.99%で、鋳塊を
10mm厚に切断後、2mm厚に冷間圧延し、40×7
0×2mmの板に仕上げ、300℃で1時間の焼鈍を施
した。
【0025】<二酸化チタン前駆体溶液の製造>芳香族
化合物溶媒であるベンゼンに、金属塩であるチタン−n
−ブトキシドを0.5モル/L溶解させ、10時間還流
させた後、温度6℃で水5wt%の水−ブタノール溶液
を、チタン−n−ブトキシド1モルに対し水0.5モル
となるように滴下させ、ついで60℃で10時間加熱し
て、攪拌放置下で加水分解・脱水縮合反応させた溶液
を、エバポレーターでチタンイオンとして1モル/Lと
なるように濃縮させ、濃度調整した。調製された溶液
は、 冷暗所にて保存すれば1年経過しても安定であっ
た。
【0026】この二酸化チタン溶液を用い、ステッピン
グモーターを用いた引き上げ装置で二酸化チタン溶液の
中からアルミニウム板を一定速度で引き上げて塗布し
た。引き上げ速度は0.165mm/sを基準とし、最
大で0.408mm/sへと変化させた。二酸化チタン
溶液を塗布した試料は30分から1時間の間で加熱処理
時間を変化させて焼成・保持し、その後、炉冷を行う工
程を主体とした。
【0027】2. 光触媒活性の測定 焼成した試料は真空理工製の光触媒チェッカーPCC−
1を用いて光触媒機能があるかどうかを確認するため
に、メチレンブルーを表面に塗布後、波長650nmに
固定された光源を用いて紫外線を発生させ、試料に照射
して時間と共に変化する吸光度変化量を測定した。ま
た、二酸化チタンの結晶性を見るために、島津製XRD
−6000の薄膜X線測定装置を用いた。試料の表面形
態は、日立製の走査型電子顕微鏡(SEM)S−350
0Hを用いて観察した。結果を、横軸に紫外線照射時間
をとり、縦軸に用いたメチレンブルーが紫外線照射によ
る光触媒機能で分解する量(以後、吸光度変化量と称す
る)をとったグラフとして比較した。紫外線照射時間の
経過と共に吸光度変化量が大きくなり始めるのはメチレ
ンブルーが分解し始めたことを示しており、吸光度変化
量が大きいほどメチレンブルーが分解した量が多いこと
を意味する。また、照射初期の吸光度変化量が大きいほ
ど、光触媒概能が迅速に機能することを意味しているの
で、初期の変化が特に注目される。
【0028】3.実験結果および考察 <実験1>加熱処理温度を変化させたアルミニウム材の
光触媒機能を調べた結果を図1に示す。純アルミニウム
材に引き上げ速度0.165mm/sで二酸化チタン前
駆体溶液を塗布した後、各温度で 1時間の焼成を行った
結果を示している。加熱処理温度が250℃(523
K)と最も低い温度では照射初期にはほとんど吸光度変
化量は大きくなっていないが、時間の経過とともにわず
かに大きくなっていることがわかる。加熱処理温度が3
50℃(623K)と高くなると吸光度変化量はいずれ
の照射時間においても大きくなっており、さらに400
℃(673K)と高くなると非常に大きくなることが分
かる。ところが、加熱処理温度を50℃さらに高め、4
50℃(723K)とすると400℃における値よりも
吸光度変化量が小さくなり、光触媒機能が低下するとい
う傾向が見られた。さらに温度を高め、500℃(77
3K)とすると吸光度変化量はもっと小さくなり、5分
(0.3ks)までの照射時間では350℃のそれとほ
とんど同じ吸光度変化量となっており、15分(0.9
ks)以後の照射では時間が経過しても吸光度変化量は
ほとんど変わらなくなっている。
【0029】<実験2>二酸化チタン前駆体溶液からア
ルミニウム材をステップモータ−で引上げる速度を変え
て、二酸化チタン膜の塗布を行い、 400℃、 1時間で
加熱焼成して得られた光触媒担持アルミニウム材を薄膜
X線で測定した結果、0.165mm/sの引き上げ速
度ではX線のチャートにアナターゼ構造に由来する2
5.5度近辺のピークらしいものがわずかにみられる程
度である。引き上げ速度が速くなるにつれ、25.5度
近辺のピークは明瞭になり、0.408mm/sではか
なりはっきりしたピークが得られている。
【0030】<実験3>一般に二酸化チタンの光触媒性
はその結晶構造により支配され、アナターゼ構造を持つ
と機能が発揮される(K.Kato,et.al :J.Mater.Sci.29,
(1994)5911)といわれている。アルミニウム板を横に
し、その上に直接二酸化チタン溶液を垂らすことで厚く
塗布した後、加熱処理温度を250℃〜500℃の範囲
とし、加熱処理時間を1〜3時間として加熱焼成した試
料のX線測定を行って見かけ上ピークらしきものが見ら
れるかどうかでアナターゼに結晶化したかを判断した。
結果を図2に示し、また実線で、アナターゼ構造を有す
る領域と、 非晶質領域との境界(アナターゼへの結晶化
線)を示した。この結果では、アナターゼ構造のピーク
らしく見られる温度範囲は400℃と450℃の間であ
り、加熱処理時間が長くなると低温側からピークが観察
されるようになっている。図中には、加熱処理温度と時
間による光触媒機能の発現範囲を記載している。図中の
黒丸印は吸光度変化量が約0.005以下で装置の誤差
を考慮すると光触媒機能があるかないか分からない試料
であることを示しており、三角印は光触媒機能はあると
思われるが、吸光度変化量が約0.01以下である試料
を示している。白丸印は明確に光触媒機能が認められた
試料であり、本結果では400℃に最も良い加熱処理温
度条件があり、時間が1時間と短いと450℃と高くな
っても光触媒機能の良いときがあり、逆に350℃と温
度が低くなると3時間と加熱処理時間が長いところに光
触媒機能の発現するところがあるという結果になった。
この図2を見ると、良好な光触媒機能はX線チャートの
見かけから判断したアナターゼ構造を有する領域と非晶
質領域の境界領域形成温度(アナターゼへの結晶化線)
±100℃未満、 より好ましくは±50℃の範囲にあ
り、それより低くても高くても光触媒機能は低くなる。
アナターゼへの結晶化は薄膜X線回折で測定した。
【0031】次に、二酸化チタン膜の表面状態による光
触媒機能の変化を確認したのが図3、図4である。35
0℃、1時間(3.6ks)の加熱処理をした試料は光
触媒機能を有するが図3(a)に示すごとくその表面に
は二酸化チタン膜がはがれたような痕跡が随所に見られ
る。400℃、1時間加熱処理した試料は光触媒機能を
最もよく発現したもので、図3(b)に示すごとく非常
になめらかな表面となっている。また、図4(a)に示
す500℃、1時間加熱処理した試料は、光触媒機能が
ほとんど見られず、その表面にははがれたように見られ
る部分が試料全面に直線的に並んで確認された。このよ
うに良好な光触媒機能が発現した試料では、なめらかな
表面形態が観察される。
【0032】
【発明の効果】本発明の光触媒担持アルミニウム材は、
高い光触媒活性を示し、かつ、表面平滑性に優れてい
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加熱温度を変えて各時間加熱処理して純アル
ミニウム上に形成した二酸化チタン薄膜の光触媒活性の
測定結果である紫外線照射時間に対する吸光度の変化を
示すグラフである。
【図2】 加熱温度と加熱処理時間を変えて純アルミニ
ウム上に形成した二酸化チタン薄膜のX線ピークから判
断される結晶構造と光触媒活性との関係を示すグラフで
ある。
【図3】 (a) は、350℃、(b)は、400℃の
温度で、1時間で加熱処理して得られた純アルミニウム
板上の二酸化チタンの表面のSEM顕微鏡写真((a)
150倍、(b)50倍)を示す模式図である。
【図4】 (a) は、500℃の温度で、1時間加熱処
理して得られた純アルミニウム板上の二酸化チタンの表
面のSEM顕微鏡写真(50倍)を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 18/12 C23C 18/12 (71)出願人 000228349 日本カーリット株式会社 東京都千代田区神田和泉町1番地 (72)発明者 蓮覚寺 聖一 富山県富山市粟島町1丁目8番27−110号 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA04A BA04B BA17 BA48A BC50C BE06C EA11 EB15X EB15Y EC22X EC22Y EC26 FA04 FB23 FB24 FB30 FC02 FC07 FC10 4J038 AA011 HA216 JA04 JA05 JB06 KA04 KA06 KA12 NA02 NA05 NA06 NA17 PA19 PB05 PC02 4K022 AA02 AA41 BA15 BA22 BA33 DA06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム材表面に、加水分解性を有す
    るチタン化合物と芳香族化合物溶媒とから調整された二
    酸化チタン前駆体溶液を、塗布し、加熱処理して形成さ
    れる二酸化チタン薄膜を有する光触媒担持アルミニウム
    材。
  2. 【請求項2】前記加熱処理が、アナターゼ構造を有する
    領域と非晶質領域の境界領域形成温度±100℃未満の
    加熱である請求項1に記載の光触媒担持アルミニウム
    材。
  3. 【請求項3】二酸化チタン薄膜の幾何学的膜厚が、5な
    いし1000nmである請求項1または2に記載の光触
    媒担持アルミニウム材。
  4. 【請求項4】アルミニウム材表面に、加水分解性を有す
    るチタン化合物と芳香族化合物溶媒とから調整された二
    酸化チタン前駆体溶液を、塗布し、加熱処理する光触媒
    担持アルミニウム材の製造方法。
  5. 【請求項5】前記加熱処理が、300ないし500℃
    で、30分ないし5時間加熱される光触媒担持アルミニ
    ウム材の製造方法。
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