JP2002281997A - 鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン−誘導体の酵素的製造方法 - Google Patents

鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン−誘導体の酵素的製造方法

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JP2002281997A JP2002022091A JP2002022091A JP2002281997A JP 2002281997 A JP2002281997 A JP 2002281997A JP 2002022091 A JP2002022091 A JP 2002022091A JP 2002022091 A JP2002022091 A JP 2002022091A JP 2002281997 A JP2002281997 A JP 2002281997A
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    • C12P41/00Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture
    • C12P41/001Processes using enzymes or microorganisms to separate optical isomers from a racemic mixture by metabolizing one of the enantiomers

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラン−
4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−
オン誘導体の製造方法。 【解決手段】 鏡像異性の1,3−ジオキソラン−4−
オン若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン−誘導
体を含有する混合物及び加水分解に有効な酵素を求核試
薬の存在で接触させ、かつ1つのエナンチオマーのジオ
キサロン/オキサチオラノン環を加水分解に有効な酵素
により開裂させ、かつ1つのエナンチオマーの開裂が行
われた後に1,3−ジオキソラン−4−オン−若しくは
1,3−オキサチオラン−5−オン−誘導体の開裂され
ないエナンチオマーを単離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鏡像異性的に純粋
な1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体及び1,3−
オキサチオラン−5−オン誘導体の酵素的製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】鏡像異性的に純粋な誘導体は、農薬及び
医薬品の合成の際の出発原料若しくは中間体として利用
される。これらの化合物の多くは、現在のところ、ラセ
ミ化合物又はジアステレオマー混合物として製造されか
つ市場に出される。しかし多くの場合に、所望の生理学
的効果は1つのエナンチオマー/ジアステレオマーのみ
によって生じる。他の異性体は、最も有利な場合に不活
性であるが、しかし所望の効果に対抗しうるか又はそれ
どころか毒性ですらありうる。従ってラセミ化合物の分
割方法は、高鏡像異性的に純粋な化合物の製造にとって
一層重要になる。
【0003】キラル化合物のラセミ化合物分割は酵素を
用いて実施されることができることは公知である。多数
の刊行物において、リパーゼ及びエステラーゼでのエス
テルの酵素反応速度論的ラセミ化合物分割が記載されて
いる。しかしこれまで、1,3−ジオキソラン−4−オ
ン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン誘
導体の簡単な分割を可能にする方法は得られていない。
鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラン−4−オン
は、抗ウイルス性に有効な化合物、例えば1,3−ジオ
キソラニル−ヌクレオシド“Dioxolane-T”(反応式2
中NB=チミン)及び類似の構造(Bioorg.Med.Chem.Let
t.1993、3(2)、S.169-174)の製造に大いに興味深い。
【0004】
【化2】
【0005】鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラニ
ル−ヌクレオシドの製造のためには、エナンチオマーへ
の分割はこれまで、著しくより高価なヌクレオシド工程
で実施される。まず最初に、この方法はL.J.Wilson他に
より記載されている(Bioorg.Med.Chem.Lett.1993、3
(2)、S.169-174)。1,3−ジオキソラニル−ヌクレオ
シドの第一ヒドロキシル基の酪酸エステルは、そこでブ
タ肝エステラーゼを用いて加水分解されて、双方の純粋
なエナンチオマーが良好な光学収量で得られる。WO00/2
2157(発明者:Yao, Y.他)には、不均質系中での分割に
よるこの方法の変法が記載されている。
【0006】同様に、鏡像異性的に純粋な1,3−オキ
サチオラン−5−オンは、抗ウイルス性に有効な化合
物、例えば1,3−オキサチオラニル−ヌクレオシドCo
viracil(R)(またEmtricitabine、元FTC、4−アミノ
−5−フルオロ−1−[(2R,5S)−2−(ヒドロ
キシメチル)−1,3−オキサチオラン−5−イル]−
2(1H)−ピリミジノン;反応式3)及び類似の構造
(J.Org.Chem.1992、57(21)、S.5563-5565、WO91/1118
6、WO92/14743、WO 00/22157)の製造に大いに興味深
い。
【0007】
【化3】
【0008】鏡像異性的に純粋な1,3−オキサチオラ
ニル−ヌクレオシドの製造のためには、エナンチオマー
への分割が異なる工程で行われてよい。従って、オキサ
チオラノン工程での酵素的ラセミ化合物分割が可能であ
る。これはLiotta他(WO91/11186)により記載されてい
る。その際、立体選択は、オキサチオラン環の2位での
置換基の酵素的エステル開裂により達成される(反応式
4)。
【0009】
【化4】
【0010】例として、ブタ肝エステラーゼ(PLE)
の存在で酪酸エステル(R=C )の加水分解が挙
げられる。
【0011】第二の可能性は、著しくより高価なヌクレ
オシド工程でのラセミ化合物分割に存在する。この方法
は、Liotta他(J.Org.Chem.1992、57(21)、S.5563-5565
及びWO92/14743) により記載されている。その際、ヌク
レオシドラセミ化合物の異なるエステルアシル基はリパ
ーゼ若しくはプロテアーゼの存在で立体選択的に開裂さ
れる(反応式5)。
【0012】
【化5】
【0013】その際、良好な収量(y(エステル)〜4
5%)で部分的に高いエナンチオマー過剰率(ee(エ
ステル)>98%)が達成される。WO92/14743からの方
法の改善は、WO00/22157(発明者:Yao, Y.他)中でオキ
サチオラニル−ヌクレオシドのラセミ化合物分割のため
の不均質な反応系の使用(水に非混和性の助溶剤の添
加)により見出される。
【0014】ラセミ化合物分割を極めて遅い工程で実施
するこの方法は、不必要な材料消費及び高い装置負荷時
間の重大な欠点を含んでおり、ラセミ化合物分割の最大
収量は50%である。
【0015】残りの50%(不適切なキラリティーを有
する化合物)は、通常の場合に切り捨てられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、費用
的に有利であり、かつ上記の欠点を回避する、鏡像異性
的に純粋な1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体及び
1,3−オキサチオラン−5−オン誘導体の製造方法を
提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】この課題は、鏡像異性の
1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体若しくは1,3
−オキサチオラン−5−オン誘導体及び加水分解に有効
な酵素を含有する混合物を求核試薬の存在で接触させる
方法により解決され、その際、1つのエナンチオマーの
ジオキソラノン環若しくはオキサチオラノン環は加水分
解に有効な酵素により開裂されかつ1つのエナンチオマ
ーの開裂が行われた後に1,3−ジオキソラン−4−オ
ン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン誘
導体の開裂されないエナンチオマーが単離される。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明による方法は、エナンチオ
マー混合物をジオキソラノン工程若しくはオキサチオラ
ノン工程で分離し、ひいては現在公知方法で鏡像異性的
に純粋な1,3−ジオキソラニル−ヌクレオシド又は
1,3−オキサチオラニル−ヌクレオシドの製造を可能
にする鏡像異性的に純粋な誘導体を提供する。
【0019】1,3−ジオキソラン−4−オン若しくは
1,3−オキサチオラン−5−オンは、環中に、酵素触
媒反応により開裂されうる加水分解的に不安定なエステ
ル結合を有する。意外なことに、高いエナンチオ選択性
並びに高いレジオ選択性を有するジオキソラノン環若し
くはオキサチオラノン環中のこのエステル結合は、化合
物中に存在する加水分解的に不安定な他の基に対して加
水分解に有効な酵素により開裂されうることが見出され
た。
【0020】従って、有利に本発明による方法は、鏡像
異性の1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体若しくは
1,3−オキサチオラン−5−オン誘導体を含有する混
合物を、エステル結合の開裂を可能にする酵素と、一般
式NuHの求核試薬の存在で接触させた結果、好ましい
エナンチオマーが分割されることにより特徴付けられ
る。
【0021】この開裂は、略示的に反応式1で表され
る:
【0022】
【化6】
【0023】[式中、Xは酸素又は硫黄であり、かつ基
及びRは、同じではなく、かつ互いに独立して
H、置換又は非置換のC 〜C18−アリール、C
18−ヘテロアリール、C〜C18−アルキル、C
〜C18−アルケニル、C〜C18−アルキニル、
〜C18−アリール−C〜C18−アルキル、C
〜C18−ヘテロアリール−C〜C −アルキ
ル、C〜C18−アリール−C〜C18−アルケニ
ル、C〜C 18−ヘテロアリール−C〜C18−ア
ルケニル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルキル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルケニル、C〜C18−アリールオキシ−C〜C
18−アルキル、C〜C18−アリールオキシ−C
〜C18−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、
〜C−シクロアルキル−C〜C18−アルキ
ル、C〜C−シクロアルキル−C〜C18−アル
ケニル、CR−O−(CO)−R10の群か
ら選択されており、かつ基R及びRは互いに独立し
て、置換又は非置換のC〜C18−アリール、C
18−ヘテロアリール、C〜C18−アルキル、C
〜C18−アルケニル、C〜C18−アルキニル、
〜C18−アリール−C〜C18−アルキル、C
〜C18−ヘテロアリール−C〜C18−アルキ
ル、C〜C 18−アリール−C〜C18−アルケニ
ル、C〜C18−ヘテロアリール−C〜C18−ア
ルケニル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルキル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルケニル、C〜C18−アリールオキシ−C〜C
18−アルキル、C〜C18−アリールオキシ−C
〜C18−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、
〜C−シクロアルキル−C〜C18−アルキ
ル、C〜C−シクロアルキル−C〜C18−アル
ケニルの群から選択されているか、又は基R及びR
はこれらが結合している炭素と一緒になって、非置換若
しくは置換の又はへテロ原子を含有するシクロアルキリ
デンを形成し、かつNuはOR、SR又はNR
を表し、その際基RはH、置換又は非置換のC
18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C
18−アルキニル、C〜C18−アリール−C
18−アルキル、C〜C18−ヘテロアリール−C
〜C18−アルキル、C〜C −アリール−C
〜C18−アルケニル、C〜C18−ヘテロアリール
−C 〜C18−アルケニルの群から選択されており、
かつ基R及びRは互いに独立して、H、置換又は非
置換のC〜C18−アルキル、C〜C18−アルケ
ニル、C〜C18−アルキニル、C〜C18−アリ
ール、C〜C18−ヘテロアリール、C〜C18
アリール−C〜C −アルキル、C〜C18−ヘ
テロアリール−C〜C18−アルキル、C〜C18
−アリール−C〜C18−アルケニル、C〜C18
−ヘテロアリール−C〜C18−アルケニルの群から
選択されており、かつ基R及びRは互いに独立し
て、置換又は非置換のC〜C18−アリール、C
18−ヘテロアリール、C〜C18−アルキル、C
〜C18−アルケニル、C〜C18−アルキニル、
〜C18−アリール−C〜C18−アルキル、C
〜C18−ヘテロアリール−C〜C18−アルキ
ル、C〜C 18−アリール−C〜C18−アルケニ
ル、C〜C18−ヘテロアリール−C〜C18−ア
ルケニル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルキル、C〜C18−アルコキシ−C〜C18
アルケニル、C〜C18−アリールオキシ−C〜C
18−アルキル、C〜C18−アリールオキシ−C
〜C18−アルケニル、C〜C−シクロアルキル、
〜C−シクロアルキル−C〜C18−アルキ
ル、C〜C−シクロアルキル−C〜C18−アル
ケニルの群から選択されているか、又は基R及びR
はこれらが結合している炭素と一緒になって、非置換若
しくは置換の又はへテロ原子を含有するシクロアルキリ
デンを形成し、かつm及びnは互いに独立して0又は1
を表し、かつ基R10には次のことが当てはまる:m=
0である場合には、基R10は置換又は非置換の、C
〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニル又はC
〜C18−アルキニル、置換又は非置換のC〜C
18−アリール、C〜C18−ヘテロアリール、置換
又は非置換のシラアルキル(Silaalkyl)又はシラアリー
ル(Silaaryl)の群から選択されており、かつm=1であ
る場合には、基R10は置換又は非置換のアリール、置
換又は非置換の、C〜C18−アルキル、C〜C
18−アルケニル又はC〜C18−アルキニルの群か
ら選択されている]。
【0024】基が置換された基であるとすれば、これら
は有利に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
アリール基、ヘテロアリール基、ヒドロキシ基、アルコ
キシ基、カルボキシレート基、アルコキシカルボニル
基、アミノ基、ニトロ基又はハロゲン基により置換され
ている。
【0025】上記の基がへテロ原子を含有するとすれ
ば、これらは有利にO、N又はSである。
【0026】好ましくは、一般式(I)
【0027】
【化7】
【0028】[式中、R、R、R及びRは既に
上記された意味を有し、かつR11は置換又は非置換
の、分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C18−アルキル、C
〜C −アルケニル又はC〜C18−アルキニ
ル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のシラ
アルキル又はシラアリールを表すか又はR11COR
10を表し、その際、R10は既に上記された意味を有
する]で示されるエナンチオマー混合物が使用される。
【0029】特に好ましくは、一般式(II)
【0030】
【化8】
【0031】[式中、R及びRは、既に上記された
意味を有し、かつR10は置換又は非置換のアリール、
置換又は非置換の、C〜C18−アルキル、C〜C
18−アルケニル又はC〜C18−アルキニルの群か
ら選択されている]で示されるエナンチオマー混合物が
使用される。
【0032】求核試薬NuHは、好ましくは酸素含有の
求核試薬ORである。
【0033】特に好ましくは、酸素含有の求核試薬は、
非分枝鎖の低級アルコール(例えばメタノール(R
CH)又はエタノール(R=CHCH))又は
水(R=H)である。
【0034】本発明による方法のためには、原則とし
て、エステル結合の開裂を可能にする全ての酵素が適し
ている。好ましくは、国際酵素命名法、国際生化学分子
生物学連合の委員会による分類3.1のリパーゼ又はエ
ステラーゼが当てはまる。これらの容易な入手可能性の
ためには、特に好ましくは、微生物由来のリパーゼ又は
エステラーゼ、ブタ膵リパーゼ、ウマ肝エステラーゼ又
はブタ肝エステラーゼが当てはまる。
【0035】微生物由来の酵素として、例えば、菌類、
酵母又は細菌、例えばAlcaligenessp.、Aspergillus ni
ger、Aspergillus oryzae、Bacillus sp.、Bacillus st
earothermophilus、Bacillus thermoglucosidasius、Ca
ndida antarctica、Candidalipolytica、Candida rugos
a、Chromobacterium viscosum、Geotrichium candium、
Mucor miehei、Penicillium camembertii、Penicillium
roquefortii、Pseudomonas cepacia、Pseudomonas flu
orescens、Pseudomonas sp.、Rhizomucor javanicus、R
hizopus arrhizus、Rhizopus niveus、Saccharomyces c
erevisae、Thermoanaerobium brockii、Thermomyces la
nuginosaからの酵素が挙げられうる。その際、特に好ま
しくは、Candida-種、例えばCandida antarctica Bから
のリパーゼ及びエステラーゼである。
【0036】酵素としてまさに特に好ましくは、Novozy
m(R) 435、525(Novo社、デンマークで購入入手可
能)、Chirazyme(R) L2、E1、E2及びL7(Boehringer M
annheim社、ドイツ連邦共和国で購入入手可能)である。
【0037】酵素は、反応中で直接にか又は最も多様な
担体に結合された固定化物(Immobilisat)として使用さ
れる。
【0038】固定化物は、公知方法で製造されることが
できる。これは、例えば、適したpHでの緩衝液中への
酵素の溶解、引き続き担体、例えばケイソウ土(Celite
(R )、活性炭、酸化アルミニウム、シリカゲル、キ
ーゼルグール(Kieselguhr)、単分散可溶性オルガノシロ
キサン粒子又は樹脂(例えばAmberlite(R)、Dowex
(R))への受動的吸収により可能である。選択的に、
酵素は、共有結合によっても担体に結合されてよい(例
えばポリスチレン又はエポキシ−樹脂、例えばEupergit
(R))。例えばこのように担体に結合した酵素は、凍
結乾燥により乾燥されてよい。
【0039】本発明による方法において使用すべき酵素
量は、エダクト、生成物の種類及び酵素調製物の活量に
依存する。反応に最適な酵素量は、簡単な予備実験によ
り算出されることができる。
【0040】酵素に応じて、酵素−基質比は、酵素及び
ジオキソラノン/オキサチオラノン誘導体の間のモル比
として計算して、通常1:1000及び1:50000
000又はそれ以上の間、好ましくは1:10000〜
1:5000000である。
【0041】本発明による方法は、加水分解に有効な酵
素の反応性に影響を及ぼさないか又は望ましくない副反
応をもたらさない限り、溶剤として純粋な求核試薬(N
uH)中で並びに非プロトン性又はプロトン放出性(pro
togen)溶剤又は溶剤混合物を有する求核試薬(NuH)
の混合物中で実施されてよい。
【0042】有利に、反応は、求核試薬及び適した溶剤
からの混合物中で実施される。適した溶剤は、例えば脂
肪族又は芳香族の炭化水素、例えばヘキサン、シクロヘ
キサン、石油エーテル又はトルエン、ハロゲン化炭化水
素、例えば塩化メチレン又はクロロホルム、エーテル、
例えばメチル−t−ブチルエーテル(MTBE)、ジエ
チルエーテル、ジイソプロピルエーテル、THF又はジ
オキサン、エステル、アセトニトリル又は場合により上
記の酵素的反応の範囲内で求核試薬ではないアルコー
ル、例えば第三アルコール、又は上記化合物の混合物で
ある。
【0043】その際、求核試薬/溶剤(v/v)の比
は、有利に1:10000〜1000:1の範囲内であ
る。
【0044】特に好ましくは、1:100〜100:1
の求核試薬/溶剤比(v/v)の求核試薬と、非プロト
ン性溶剤、例えばMTBE又はジイソプロピルエーテル
の混合物である。
【0045】求核試薬として水が使用される場合には
(Nu=OH)、所定のpH−値を維持するために、こ
れは緩衝液の添加により調節されることができる。好ま
しくは、このために7.0のpHを有するNaHPO
/NaHPO−緩衝液が使用される。同じ目的の
ために、水性アルカリ液、好ましくは、水中のアルカリ
金属水酸化物の溶液、特に好ましくはNaOH又はKO
Hの水溶液が計量供給されてもよい。
【0046】反応は、有利に0℃〜75℃、好ましくは
10℃〜60℃、特に好ましくは20℃〜50℃の温度
で実施される。
【0047】反応時間は、ジオキソラノンの置換モデ
ル、求核試薬及び溶剤の選択並びに酵素の種類及び量に
応じて、10分間ないし7日間である。好ましくは反応
時間は1〜48時間である。
【0048】反応経過は、常法で、例えばHPLCによ
り簡単に追跡されることができる。好ましくは、反応経
過の決定は、旋光計中で反応溶液の光学回転度の変化を
測定することにより行われてよい。特に好ましくは、反
応経過の決定はオンラインで、反応器の副循環中での光
学回転度の測定により行われる。反応は、所望の結果
(高い変換率、基質の高いエナンチオマー過剰率)に応
じて終了されてもよい。理想の場合に反応は、50%の
変換率で基質中の高いエナンチオマー純度で終了してい
る。
【0049】有利に反応は、例えば、基質若しくは生成
物を酵素から分離することにより、例えば水相の抽出又
はろ過により終了される。反応の停止は、酵素の失活に
より、例えば熱的又は化学的な変性によって行ってもよ
い。
【0050】反応が反応溶液の繰り返される連続ポンプ
輸送により、酵素で充填された容器により実施される場
合には(特に好ましい方法操作)、反応は有利に循環の
終了後に終了される。
【0051】分割されない純粋なエナンチオマーの単離
は、有利に反応の際に生じる副生物及び溶剤の分離によ
り行われる。
【0052】1,3−ジオキソラン−4−オン環又は
1,3−オキサチオラン−5−オン環の開裂の際に生じ
る遊離カルボニル化合物RCOR及び酸誘導体HX
CRCONuは、反応溶液から簡単な物理的操作
により分離されることができる。有利にこれは蒸留によ
り行われる。
【0053】更に、分子中の別の官能基の開裂の際に形
成される別の分解生成物は、簡単に分離されることがで
きる。有利にこれは蒸留により行われる。
【0054】好ましくは、まず最初に低沸点化合物が蒸
留により分離される。意外なことに、副生物としてエス
テルジオキソラノン(X=O;R=H、R=CH
−O−(CO)−R10)のラセミ化合物分割の際に生
じるアルコール(R=H、R=CHOH)が、好
ましくは水での簡単な抽出により分離されることが見出
された。
【0055】酵素的反応の際に生じるカルボニル化合物
は、ラセミ体の1,3−ジオキソラン−4−オン化合物
若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン化合物の合
成の際の重要で高価な前駆物質である。これらは、化学
薬品及び費用を節約するために、好ましくは1,3−ジ
オキソラン−4−オン類若しくは1,3−オキサチオラ
ン−5−オン類の合成において使用される(図式1参
照)。
【0056】
【化9】
【0057】図式1:略示的な1,3−ジオキソラン−
4−オン類のラセミ化合物分割の際に生じるカルボニル
化合物の返送以下の例は、本発明を更に説明するのに役
立つ。
【0058】
【実施例】例1:(+)−(R)−2−メチルプロパン
酸(4−オキソ−1,3−ジオキソラン−2−イル)メ
チルエステル(バッチ法) 1Lの四つ口フラスコ中に、ラセミ体の2−メチルプロ
パン酸(4−オキソ−1,3−ジオキソラン−2−イ
ル)メチルエステル50.0g(0.27mol)(X=
O;R=H;R=CH−O−(CO)−CH(C
;R、R=H)を、MTBE 185mL
及びメタノール185mL(Nu=OCH )からなる
混合物中に溶解させる。この溶液に、Novozym(R) 43
5 2.6gを添加し、かつ混合物を激しく撹拌する。
【0059】四つ口フラスコにはバイパス系を介して旋
光計が接続されており、これを用いて反応経過を溶液の
光学回転度の測定に基づき追跡する。所望のエナンチオ
マー純度(キラル−GCによる反応追跡)に到達した際
に、反応終了のために、反応混合物を溶解していない酵
素からろ別する。引き続き、反応混合物を真空下に濃縮
する。引き続き、残留物をMTBE 100mL中に取
り、かつ水各100mLで2回洗浄する。有機相をNa
SO上で乾燥させ、ついで真空下に溶剤を除去す
る。粗生成物の精製を蒸留により行う。
【0060】収量: 10.3g(0.05mol;20
%) 沸点: 55℃(0.02mbar) [α] 20=+19.8(ニート);ee>98% 例2:(+)−(R)−2−メチルプロパン酸(4−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルエステ
ル(カラム法) サーモスタットを備えた0.6Lのガラスフラスコ中
に、ラセミ体の2−メチルプロパン酸(4−オキソ−
1,3−ジオキソラン−2−イル)メチルエステル5
0.0g(0.27mol)(X=O;R=H;R
CH−O−(CO)−CH(CH;R、R
=H)を、MTBE 185mL及びメタノール185
mL(Nu=OCH)からなる混合物中に溶解させ
る。別個のガラスカラム中へNovozym(R) 435 1.3
gを充填し、かつチューブ系を介して基質−溶剤混合物
をガラスカラムにポンプ輸送する(流量600mL/
h)。
【0061】反応(〜25時間後)を停止するために、
再循環を終了し、粗生成物を例1に記載されたようにし
て精製する。
【0062】例3〜8:以下の例を、例1の手順に相応
して実施した。
【0063】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アルフレート ポップ ドイツ連邦共和国 ウンターハッヒング ビュルガーマイスター−プレン−シュトラ ーセ 8 (72)発明者 ユルゲン シュトーラー ドイツ連邦共和国 プラッハ ミヒル−ラ ング−ヴェーク 9 (72)発明者 ヘルマン ペーターゼン ドイツ連邦共和国 ブルクハウゼン カー ル−グロス−シュトラーセ 11 (72)発明者 アンドレア ギルヒ ドイツ連邦共和国 マウエルン ベルクシ ュトラーセ 11ベー (72)発明者 ヨドカ ロッキンガー−メヒレム ドイツ連邦共和国 ギルヒング メギンハ ルトシュトラーセ 52 Fターム(参考) 4B064 AE45 AE50 CA21 CB02 CD04 CD06 CE01 CE08 DA01 DA11 4D056 AB18 AB19 AC06 4D076 AA01 BB03

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキソラ
    ン−4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−
    5−オン誘導体を製造する方法において、鏡像異性の
    1,3−ジオキソラン−4−オン誘導体若しくは1,3
    −オキサチオラン−5−オン誘導体を含有する混合物及
    び加水分解に有効な酵素を、求核試薬の存在で接触さ
    せ、一方のエナンチオマーの1,3−ジオキソラン−4
    −オン環若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン環
    を、加水分解に有効な酵素により開裂させ、一方のエナ
    ンチオマーの開裂が行われた後に1,3−ジオキソラン
    −4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5
    −オン誘導体の開裂されないエナンチオマーを単離する
    ことを特徴とする、鏡像異性的に純粋な1,3−ジオキ
    ソラン−4−オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラ
    ン−5−オン誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 鏡像異性の1,3−ジオキソラン−4−
    オン誘導体若しくは1,3−オキサチオラン−5−オン
    誘導体を含有する混合物を、エステル結合の開裂を可能
    にする酵素を用いて、求核試薬(NuH)の存在で、以
    下の反応式 【化1】 [式中、Xは酸素又は硫黄であり、かつ基R及びR
    は同じではなく、かつ互いに独立してH、置換又は非置
    換のC〜C18−アリール、C〜C18−ヘテロア
    リール、C〜C18−アルキル、C〜C18−アル
    ケニル、C〜C18−アルキニル、C〜C18−ア
    リール−C〜C18−アルキル、C〜C18−ヘテ
    ロアリール−C〜C18−アルキル、C〜C18
    アリール−C〜C18−アルケニル、C〜C
    ヘテロアリール−C〜C18−アルケニル、C〜C
    18−アルコキシ−C〜C18−アルキル、C〜C
    18−アルコキシ−C〜C18−アルケニル、C
    18−アリールオキシ−C〜C18−アルキル、C
    〜C18−アリールオキシ−C〜C18−アルケニ
    ル、C〜C−シクロアルキル、C 〜C−シクロ
    アルキル−C〜C18−アルキル、C〜C−シク
    ロアルキル−C〜C18−アルケニル、CR
    −(CO)−R10の群から選択されており、か
    つ基R及びRは互いに独立して、置換又は非置換の
    〜C18−アリール、C〜C18−ヘテロアリー
    ル、C〜C18−アルキル、C〜C18−アルケニ
    ル、C〜C18−アルキニル、C〜C18−アリー
    ル−C〜C18−アルキル、C〜C18−ヘテロア
    リール−C〜C18−アルキル、C〜C 18−アリ
    ール−C〜C18−アルケニル、C〜C18−ヘテ
    ロアリール−C〜C18−アルケニル、C〜C18
    −アルコキシ−C〜C18−アルキル、C〜C18
    −アルコキシ−C〜C18−アルケニル、C〜C
    18−アリールオキシ−C〜C18−アルキル、C
    〜C18−アリールオキシ−C〜C18−アルケニ
    ル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−シクロ
    アルキル−C〜C18−アルキル、C〜C−シク
    ロアルキル−C〜C18−アルケニルの群から選択さ
    れているか、又は基R及びRは、これらが結合して
    いる炭素と一緒になって、非置換若しくは置換の又はへ
    テロ原子を有するシクロアルキリデンを形成し、かつN
    uはOR、SR又はNRを表し、その際、基
    はH、置換又は非置換のC〜C18−アルキル、
    〜C18−アルケニル、C〜C18−アルキニ
    ル、C〜C18−アリール−C〜C18−アルキ
    ル、C〜C18−ヘテロアリール−C〜C18−ア
    ルキル、C〜C −アリール−C〜C18−アル
    ケニル、C〜C18−ヘテロアリール−C 〜C18
    −アルケニルの群から選択されており、かつ基R及び
    は互いに独立して、H、置換又は非置換のC〜C
    18−アルキル、C〜C18−アルケニル、C〜C
    18−アルキニル、C〜C18−アリール、C〜C
    18−ヘテロアリール、C〜C18−アリール−C
    〜C −アルキル、C〜C18−ヘテロアリール−
    〜C18−アルキル、C〜C18−アリール−C
    〜C18−アルケニル、C〜C18−ヘテロアリー
    ル−C〜C18−アルケニルの群から選択されてお
    り、かつ基R及びRは互いに独立して、置換又は非
    置換のC〜C18−アリール、C〜C18−ヘテロ
    アリール、C〜C18−アルキル、C〜C18−ア
    ルケニル、C〜C18−アルキニル、C〜C18
    アリール−C〜C18−アルキル、C〜C18−ヘ
    テロアリール−C〜C18−アルキル、C〜C 18
    −アリール−C〜C18−アルケニル、C〜C18
    −ヘテロアリール−C〜C18−アルケニル、C
    18−アルコキシ−C〜C18−アルキル、C
    18−アルコキシ−C〜C18−アルケニル、C
    〜C18−アリールオキシ−C〜C18−アルキル、
    〜C18−アリールオキシ−C〜C18−アルケ
    ニル、C〜C−シクロアルキル、C〜C−シク
    ロアルキル−C〜C18−アルキル、C〜C−シ
    クロアルキル−C〜C18−アルケニルの群から選択
    されているか、又は基R及びRはこれらが結合して
    いる炭素と一緒になって、非置換若しくは置換の又はへ
    テロ原子を有するシクロアルキリデンを形成し、かつm
    及びnは互いに独立して0又は1を表し、かつ基R10
    は次のものが当てはまる:m=0である場合には、基R
    10は置換又は非置換の、C〜C18−アルキル、C
    〜C18−アルケニル又はC〜C18−アルキニ
    ル、置換又は非置換のC〜C18−アリール、C
    18−ヘテロアリール、置換又は非置換のシラアルキ
    ル又はシラアリールから選択されており、かつm=1で
    ある場合には、基R10は置換又は非置換のアリール、
    置換又は非置換の、C〜C18−アルキル、C〜C
    18−アルケニル又はC〜C18−アルキニルの群か
    ら選択されている]のように開裂させる、請求項1記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 加水分解に有効な酵素がリパーゼ又はエ
    ステラーゼである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 酵素を直接にか又は固定化物として使用
    する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 【請求項5】 酵素とジオキソラノン/オキサチオラノ
    ン−誘導体との比が、酵素とジオキソラノン/オキサチ
    オラノン−誘導体との間のモル比として計算して、1:
    1000〜1:50000000である、請求項1から
    4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 求核試薬が酸素含有の求核試薬である、
    請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 酸素含有の求核試薬が非分枝鎖の低級ア
    ルコール又は水である、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 非分枝鎖の低級アルコールがメタノール
    又はエタノールである、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 助溶剤の存在で実施する、請求項1から
    8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 助溶剤を、脂肪族炭化水素、芳香族炭
    化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、アルコール、
    エステル若しくはアセトニトリル又は上記化合物の混合
    物の群から選択する、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 反応を0〜75℃の温度で実施する、
    請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】 反応を10分間ないし7日間までで実
    施する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 開裂されないエナンチオマーの単離
    を、反応の際に生じる副生物及び溶剤の分離により行
    う、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 【請求項14】 副生物を抽出及び蒸留により分離す
    る、請求項13記載の方法。
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