JP2002280632A - 同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分極装置と分極方法 - Google Patents

同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分極装置と分極方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同軸状可撓性圧電体に欠陥が含まれる場合、
同軸状可撓性圧電体を全体的に分極できなくなる。 【解決手段】 ブロック状導電体6の通路に圧電体チュ
ーブ3を配設し、ブロック状導電体6と圧電体チューブ
3の芯電極1に高電圧を印加し、さらに、ブロック状導
電体6を加熱し、ブロック状導電体6に配設された圧電
体チュ−ブ3に熱を加えるヒータ7を設けた構成の分極
装置を提供する。これによって、圧電体チューブ3の温
度を制御できるので、必要な温度で同軸状可撓性圧電体
2を分極できる。さらに、欠陥が含まれる部分の同軸状
可撓性圧電体2を除いて分極できると共に、外側電極を
形成する前に、欠陥が一定長さの圧電体チューブ3に存
在することも検出できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は同軸状可撓性圧電ケ
−ブルの分極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】同軸状可撓性圧電ケ−ブルは、図4に示
すように、芯電極1の周囲に同軸状可撓性圧電体2を形
成した圧電体チュ−ブ3の外表面に外側電極4を形成
し、更に、その周囲に保護被覆層5を形成して構成され
る。
【0003】従来、可撓性圧電体ケ−ブルは以下のよう
にして分極されていた。
【0004】文献1(“圧電セラミック粉末と合成ゴム
とから成る圧電複合材料”、粉体と工業、22巻、1
号、50−56頁、1990)では、芯電極1と外側電
極4の間に高電圧を印加して、同軸状可撓性圧電体2を
分極することが示されている。このことは、USP4,
568,851にも明示されている。分極により、セラ
ミック粒子の自発分極の方向が電界方向に揃うので、同
軸状可撓性圧電体2に圧電性が付与される。この点で、
分極は重要な役割を担っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,前記従
来の方法では、次のような課題があった。芯電極1と外
側電極4の間に高電圧を印加したとき、同軸状可撓性圧
電体2中に微少なクラックや空隙などの欠陥が存在する
場合、その欠陥部で微少放電が生じる。この微少放電に
より、可撓性圧電体2の構成材料が熱的に蒸発、飛散し
て、芯電極1と外側電極4間が短絡する。その結果、芯
電極1と外側電極4間に高電圧を印加できなくなるの
で、同軸状可撓性圧電体2(通常、数百m以上の長さ)
を分極できなくなる。
【0006】また、芯電極1と外側電極4の間に高電圧
を印加するまで、言い換えると、分極することを除い
て、同軸状可撓性圧電ケ−ブルとして完成するまで欠陥
の存在を検出できないので、製造が不安定になり、歩留
まりが低下する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、芯電極周囲に同軸状可撓性圧電体を形成
した圧電体チュ−ブの通路を有するブロック状導電体
と、前記ブロック状導電体の後ろに配置され、前記圧電
体チュ−ブを移動させる移動手段と、前記ブロック状導
電体と前記芯電極に接続された直流電圧発生手段とから
成る分極装置を提供する。
【0008】上記発明によれば、同軸状可撓性圧電体が
ブロック状導電体に接触しているので、ブロック状導電
体は外側電極4として作用する。従って、前記ブロック
状導電体と芯電極間に直流電圧手段により直流電圧を印
加することにより、ブロック状導電体に配設された部分
の同軸状可撓性圧電体を分極できる。
【0009】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の分極装置は、圧
電体チューブをブロック状導電体の通路に配設すること
により、ブロック状導電体は外側電極として作用する。
従って、ブロック状導電体と芯電極の間に高電圧を印加
することにより、ブロック状導電体の通路とブロック状
導電体の溝に配設された部分の同軸状可撓性圧電体(以
下、被分極同軸状可撓性圧電体と言う)だけを分極でき
る。
【0010】微少な欠陥を含む部分の同軸状可撓性圧電
体が被分極同軸状可撓性圧電体になったとき、欠陥部で
の放電による芯電極と外側電極間の短絡により、導通手
段と芯電極間に高電圧を印加できなくなる。しかし、こ
の短絡部がブロック状導電体とブロック状導電体から離
脱した後の被分極同軸状可撓性圧電体は、再び正常に分
極できる。従って、欠陥部が存在しても、全体の同軸状
可撓性圧電体が分極できなくなることは無い。また、こ
のことは、微少な欠陥が、一定長さの被分極同軸状可撓
性圧電体の部分に存在することを示すので、外側電極を
形成する前に、微少な欠陥が一定長さ範囲内に存在する
ことを検出できる。
【0011】請求項2に記載の分極装置は、請求項1に
記載の構成に加えて、ヒータを配設した加熱ブロックに
よりブロック状導電体を加熱し、ブロック状導電体に配
設された圧電体チュ−ブに熱を加える加熱手段を設けた
構成である。そのため、圧電体チューブの温度を制御で
きるので、必要な温度で同軸状可撓性圧電体を分極でき
る。
【0012】請求項3に記載の分極装置は、請求項1に
記載の圧電体チューブの通路がブロック状導電体面上で
ある構成である。ブロック状導電体に圧電体チューブ通
路の加工を施す必要がないため、ブロック状導電体加工
が容易になる。また、圧電体チューブをブロック状導電
体の溝、孔に配設する必要がないため、圧電体チューブ
をより簡単に配設できる。
【0013】請求項4に記載の分極装置は、請求項1〜
3のいずれか1項に記載の構成に加えて、圧電体チュー
ブと直列に抵抗を設けた構成である。微少な欠陥を含む
部分の同軸状可撓性圧電体が被分極同軸状可撓性圧電体
になったとき、同軸状可撓性圧電体は印可される電圧が
下がり分極出来なくなる。しかし、適切な抵抗により電
流をを制御できるため直流電圧発生手段に損傷を与える
ことが無い。また、同軸状可撓性圧電体の欠陥部がブロ
ック状導電体から離脱した後の被分極同軸状可撓性圧電
体は、再び正常に分極できる。従って、欠陥部が存在し
ても、全体の同軸状可撓性圧電体が分極できなくなるこ
とは無い。また、このことは、微少な欠陥が、一定長さ
の被分極同軸状可撓性圧電体の部分に存在することを示
すので、外側電極を形成する前に、微少な欠陥が一定長
さ範囲内に存在することを検出できる。
【0014】請求項5に記載の発明は、圧電体チュ−ブ
が最初にブロック状導電体の通路に配設し、その後、前
記圧電体チュ−ブが停止、又は、移動手段により移動さ
れているとき、圧電体チュ−ブの芯線とブロック状導電
体間に直流電圧を印加する分極方法である。従って、ブ
ロック状導電体は外側電極として作用するので、ブロッ
ク状導電体と芯電極の間に高電圧を印加することによ
り、ブロック状導電体の溝とブロック状導電体の通路に
配設された部分の同軸状可撓性圧電体だけを分極でき
る。
【0015】圧電体チュ−ブの停止と移動時間、又は、
移動速度を制御することにより必要な時間で同軸状可撓
性圧電体を分極できる。
【0016】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の分極方法において、ヒータを配設した加熱ブロックに
よりブロック状導電体を加熱し、ブロック状導電体に配
設された圧電体チュ−ブに熱を加えながら、圧電体チュ
−ブの芯線とブロック状導電体間に直流電圧を印加する
分極方法である。圧電体チューブの温度を制御できるの
で、必要な温度で同軸状可撓性圧電体を分極できる。
【0017】請求項7にに記載の分極方法は、請求項5
または6に記載の分極方法において、圧電体チュ−ブの
芯線をア−ス電位にして、芯線とブロック状導電体の間
に直流電圧を印加する分極方法である。ブロック状導電
体と芯電極の間に直流高電圧を印加したとき、人体に危
険な直流高電圧部分をブロック状導電体に限定できるの
で、仕切り壁などにより人体への安全を容易に確保でき
る。
【0018】
【実施例】以下、本本発明の実施例について図1〜4を
用いて説明する。
【0019】(実施例1)図1は本発明の第1の実施例
における同軸状可撓性圧電体分極装置の構成を示す外観
見取図である。芯電極1に対して同軸状可撓性圧電体2
が形成される(以下では、この成形体を圧電体チューブ
3と言う)。芯電極1として、コイル状金属線や金属細
線を束ねた線などが用いられる。可撓性圧電体2とし
て、エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,クロロプレン樹脂,
塩素化ポリエチレン樹脂などの高分子母材に,チタン酸
ジルコン酸鉛などのセラミック圧電体粉末を添加した複
合圧電体やPVDFなどの高分子圧電体が用いられる。
【0020】圧電体チューブ3は、ブロック状導電体6
の面上に配設された後、移動手段(図示していない)に
より移動される。ブロック状導電体6として、鉄、ステ
ンレス、銅、黄銅、アルミニウムなどの導電体を用い
る。ブロック状導電体6の加工は切削、研削、押出、プ
レス加工などでおこなう。本実施例ではブロック状導電
体6の材料として、容易に入手でき、加工の容易なアル
ミニウムを用た。具体的には、外径2ミリメートルの圧
電体チューブ3に対して、幅30ミリメートル、高さ2
0ミリメートル、長さ500ミリメートルとしている。
移動手段(図示していない)としては、巻き取りドラム
に圧電体チューブ3を巻き付け、巻き取りドラムを回転
させて圧電体チューブ3を移動させる。なお、図1で
は、ブロック状導電体6に配設された圧電体チューブ3
の移動方向を矢印で示している。
【0021】同軸状可撓性圧電体2を分極するときの温
度は、一般的に、それが使用される温度以上である。こ
のため、分極時同軸状可撓性圧電体2の温度を適切に保
持するために、加熱手段を設けている。加熱手段とし
て、ヒータ7を配設した加熱ブロック71を用い絶縁シ
ート72を介してブロック状導電体6を任意の温度に加
熱している。本実施例において、絶縁シート72として
厚さ0.5ミリメートルのマイカを使用したが、ポリイ
ミド、ポリ‐テトラ‐フルオロ‐エチレン、ポリエチレ
ンテレフタラート(PETと略称される)、シリコーン
ゴムなどを用いてもよい。圧電体チューブ3はブロック
状導電体6の面上に配設されることにより圧電体チュー
ブ3の下側から間接的に加熱される。そして、ヒータ7
の出力を制御する事により圧電体チューブ3の温度を任
意に保つことができるので、必要な温度で同軸状可撓性
圧電体2を分極できる。
【0022】ブロック状導電体6は、リード線8bによ
り電気的に接続される。リード線8aは電気的に直流電
圧発生手段9の正極または負極に接続され、また、芯電
極1はリード線8aを介して電気的に直流電圧発生手段
9の他の極に接続される。
【0023】このように接続して、圧電体チューブ3を
静止、または移動させながら、直流電圧発生手段9によ
り芯電極1とブロック状導電体6間に高電圧が印加され
るので、同軸状可撓性圧電体2が分極される。分極時に
は、芯電極1とブロック状導電体6に5〜10kV/mmの
高電圧が印加される。具体的には、圧電体チューブ3の
温度は120℃、印加電圧は8kV/mm で分極を行っ
た。
【0024】同軸状可撓性圧電体2の中に微少な欠陥が
含まれ、その部分がブロック状導電体6に配設されてい
るとき、欠陥部で生じる微少な放電により、ブロック状
導電体6と芯電極1間が短絡する。この結果、分極でき
なくなる。しかし、この欠陥部がブロック状導電体6か
ら離脱し、そのときブロック状導電体6に配設されてい
る同軸状可撓性圧電体2中に欠陥がなければ、ブロック
状導電体6と芯電極1間の絶縁性は再び回復するので、
分極が可能になる。このように、本発明の分極装置によ
れば、欠陥を含む部分がブロック状導電体6の面上に配
設されているときのみ、分極ができないが、それ以外の
場合は分極可能である。従って、欠陥部の存在により、
圧電体チューブ3が全体にわたり分極できなくなること
は無い。また、放電が生じた時点の同軸状可撓性圧電体
2に欠陥が存在することは、明らかである。従って、外
側電極4が形成される前に、欠陥が一定長さの圧電体チ
ューブ3に存在することが検出できるので、圧電ケ−ブ
ルとして完成した後、その欠陥部を容易に除去できる。
これにより、製造を安定化できると共に、歩留まりも向
上できる。
【0025】(実施例2)図2は本発明の第2の実施例
における同軸状可撓性圧電体分極装置の構成を示す外観
見取図である。実施例1と異なる点は、覆い10を設け
たことである。覆い10は圧電体チューブ3が移動でき
るように空間が設けられており、凹状の形をしている。
圧電体チューブ3はブロック状導電体6の上面に配設さ
れることにより圧電体チューブ3の下側から間接的に加
熱される。さらに、圧電体チューブ3は覆い10により
覆われているので圧電体チューブ3の温度をより均一に
保つことが出来、必要な温度で同軸状可撓性圧電体2を
分極できる。覆い10として、一般的な断熱材(グラス
ウール、セラミックファイバー等)、耐熱樹脂、金属
(鉄、ステンレス、銅、黄銅、アルミニウム等)などが
用いられる。本実施例では覆い10として、アルミニウ
ムの押出材を用いた。
【0026】(実施例3)図3は本発明の第3の実施例
における同軸状可撓性圧電体分極装置の構成を示す外観
見取図である。本実施例では、実施例1または実施例2
の構成に加えて、圧電体チューブ3と直列に抵抗11を
設けた構成としている。微少な欠陥を含む部分の同軸状
可撓性圧電体2が被分極同軸状可撓性圧電体2になった
とき、同軸状可撓性圧電体2に印可される電圧が下がり
分極出来なくなる。しかし、抵抗11により電流を制御
できるため直流電圧発生手段に損傷を与えることが無
く、また、同軸状可撓性圧電体2の欠陥部がブロック状
導電体から離脱した後の被分極同軸状可撓性圧電体2
は、再び正常に分極できる。従って、欠陥部が存在して
も、全体の同軸状可撓性圧電体2が分極できなくなるこ
とは無い。また、このことは、微少な欠陥が、一定長さ
の被分極同軸状可撓性圧電体2の部分に存在することを
示すので、外側電極4を形成する前に、微少な欠陥が一
定長さ範囲内に存在することを検出できる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1〜
3に記載の発明によれば、ブロック状導電体に配設され
た可撓性圧電体の部分に微少な欠陥が含まれる場合、欠
陥を含む一定長さの被分極可撓性圧電体は分極できない
が、残りの圧電体チューブは分極できる。また、外側電
極4を形成する前に、欠陥がその一定長さの被分極可撓
性圧電体に存在することも検出できる。
【0028】また、本発明の請求項5に記載の発明によ
れば、圧電体チューブを連続的に分極できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における分極装置の構成を示
す外観見取図
【図2】本発明の実施例2における分極装置の構成を示
す外観見取図
【図3】本発明の実施例3における分極装置の構成を示
す外観見取図
【図4】従来の同軸状可撓性圧電素子の構成を示す外観
斜視図
【符号の説明】
1 芯電極 2 同軸状可撓性圧電体 3 圧電体チューブ 4 外側電極 6 導電体ブロック 7 ヒータ 71 加熱ブロック 10 覆い 11 抵抗

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芯電極周囲に同軸状可撓性圧電体を形成
    した圧電体チュ−ブの通路を有するブロック状導電体
    と、前記ブロック状導電体の後ろに配置され、前記圧電
    体チュ−ブを移動させる移動手段と、前記ブロック状導
    電体と前記芯電極に接続された直流電圧発生手段とから
    成る同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分極装置。
  2. 【請求項2】 ブロック状導電体を加熱する加熱手段を
    設けた請求項1に記載の同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分
    極装置。
  3. 【請求項3】 ブロック状導電体に設けられた圧電体チ
    ュ−ブの通路が、前記ブロック状導電体面上である請求
    項1または2に記載の同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分極
    装置。
  4. 【請求項4】 圧電体チューブと直列に抵抗を設けた請
    求項1〜3のいずれか1項に記載の同軸状可撓性圧電ケ
    −ブルの分極装置。
  5. 【請求項5】 圧電体チュ−ブが、ブロック状導電体に
    設けられた通路に配設され、その後、前記圧電体チュ−
    ブが静止、または移動手段により移動されているとき、
    前記圧電体チュ−ブの芯線と前記ブロック状導電体の間
    に直流電圧を印加する同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分極
    方法。
  6. 【請求項6】 ブロック状導電体を加熱する加熱手段を
    設けた請求項5に記載の同軸状可撓性圧電ケ−ブルの分
    極方法。
  7. 【請求項7】 圧電体チュ−ブの芯線をア−ス電位にし
    て、前記芯線と前記ブロック状導電体の間に直流電圧を
    印加する請求項5または6に記載の同軸状可撓性圧電ケ
    −ブルの分極方法。
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