JP2006284264A - ケーブル状圧力センサの分極装置およびその分極方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】芯電極と外側電極間に高電圧を印加して分極を行うと微少な欠陥があった場合、可撓性感圧体の全てが分極できない。また分極電極の通路に可撓性感圧体を載置して分極した場合、特性ばらつきが生じる。
【解決手段】芯電極11に周設された可撓性感圧体12と、前記可撓性感圧体12の通路を有する分極電極13と、前記芯電極11と前記分極電極13に接続された電圧印加手段16と、前記可撓性感圧体12を前記通路で移動させる移動手段17と、前記分極電極を加熱する加熱手段13とを設け、前記可撓性感圧体12が前記通路内で移動中に回転させることによって、分極電極の可撓性感圧体との周縁との接触部または近接部が一部であっても、可撓性感圧体自身が回転することで全周囲的に分極電極を周設したことと同等の電圧印加が行え、全周囲から均一に満遍なく分極することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明はケーブル状圧力センサの分極装置および分極方法に関するものである。
従来、この種のケーブル状圧力センサは図7に示すようなものがある(例えば、特許文献1参照)。図7に示すように、芯電極1の周囲に可撓性感圧体2を配置し、その周囲に外側電極3と外皮4を順次被覆して構成されている。可撓性感圧体2としては合成ゴムや合成樹脂の中にチタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛のセラミック圧電体粉末を添加した複合体が用いられ、外側電極3は可撓性感圧体2の表面に銀系ゴム塗料などの導電塗料を塗着したものが用いられている。上記ケーブル状圧力センサの一部あるいは全面に圧力が印加されたとき、その部分の圧力センサが歪む結果、芯電極1と外側電極3の間に電圧が誘起され、この誘起電圧を利用して圧力を検出している。
分極方法は、芯電極1と外側電極3の間に高電圧を印加して、可撓性感圧体2を分極している(例えば、非特許文献1参照)。また図8に示すように、可撓性感圧体2をブロック状導電体5の通路に配設させ、ブロック状導電体5と芯電極1間に電圧を印加させることにより、ブロック状導電体5に配設された部分の可撓性感圧体2を分極している(例えば、特許文献2参照)。この分極により、セラミック粒子の自発分極の方向が電界方向に揃うので、可撓性感圧体2に圧電性が付与される。
特開昭62−230071号公報 特開2002−280633号公報 「圧電セラミック粉末と合成ゴムとから成る圧電複合材料」紛体と工業、22巻、1号、1990年p50・56
しかしながら、従来のケーブル状圧力センサの分極方法では、芯電極1と外側電極3の間に高電圧を印加したときに、可撓性感圧体2中に微小なクラックや空孔などの欠陥が存在すると、その欠陥部で微小放電が生じる。この微小放電により、可撓性感圧体2の構成材料が熱的に蒸発、飛散して芯電極1と外側電極3間が短絡し、芯電極1と外側電極3間に高電圧を印加できなくなるので可撓性感圧体2を分極できないという課題を有していた。
また、ブロック状導電体5に可撓性感圧体2を配設し、可撓性感圧体2を移動手段7によって移動させながら分極する場合においては、可撓性感圧体2はケーブル状をなしているので、ブロック状導電体5に接する部分と接さない部分が生じてしまい、分極の度合に差が生じ、特性ばらつきが発生するという課題があった。
さらに、ブロック状導電体5を加熱手段6によって加熱することによって、可撓性感圧体2を加熱する場合においても、可撓性感圧体2には加熱される部分とされない部分が存在し、温度分布が生じることによる、特性ばらつきが発生するという課題があった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、欠陥部が存在しても全体の可撓性感圧体が分極できなくなることを防ぐ。
さらに、通路内を移動中に可撓性感圧体を回転させる構成にすることで、均一に満遍なく分極し、特性ばらつきのない安定した特性を得ることを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、本発明のケーブル状圧力センサの分極装置は、芯電極に周設された可撓性感圧体と、前記可撓性感圧体の通路を有する分極電極と、前記芯電極と前記分極電極に接続された電圧印加手段と、前記可撓性感圧体を前記通路で移動させる移動手段と、前記分極電極を加熱する加熱手段とを設け、前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転させることによって、分極電極の可撓性感圧体との周縁との接触部または近接部が一部であっても、可撓性感圧体自身が回転することで全周囲的に分極電極を周設したことと同等の電圧印加が行え、全周囲から均一に満遍なく分極することが可能となる。このため、分極できていない部分がなく、特性ばらつきのない安定した特性を得ることができる。また、可撓性感圧体の全周囲を分極電極で密着するよりも、可撓性感圧体との接触抵抗を低減した状態で通路中の移動をさせることができ、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体の傷、熱がこもることによる変形、組成の変化を防ぐこともできる。
本発明のケーブル状圧力センサは、欠陥部が存在しても長尺状のケーブル全体の可撓性感圧体が分極できなくなることを防ぐことができる。さらに、通路内を移動中の可撓性感圧体を回転する構成にすることで、ケーブル全体を均一に満遍なく分極し、特性ばらつきのない安定した特性を得ることができる。また、可撓性感圧体の全周囲を分極電極で密着するよりも、可撓性感圧体との接触抵抗を低減した状態で通路中の移動をさせることができ、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体の傷、熱がこもることによる変形、組成の変化を防ぐこともできる。
第1の発明は、芯電極に周設された可撓性感圧体と、前記可撓性感圧体の通路を有する分極電極と、前記芯電極と前記分極電極に接続された電圧印加手段と、前記可撓性感圧体を前記通路で移動させる移動手段と、前記分極電極を加熱する加熱手段とを設け、前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転することによって、分極電極の可撓性感圧体との周縁との接触部または近接部が一部であっても、回転することで全周囲的に分極電極を周設したことと同等の電圧印加が行え、全周囲から均一に満遍なく分極することが可能となる。このため、分極できていない部分がなく、特性ばらつきのない安定した特性を得ることができる。また、可撓性感圧体の全周囲を分極電極で密着するよりも、可撓性感圧体との接触抵抗を低減した状態で通路中の移動をさせることができ、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体の傷、熱がこもることによる変形、組成の変化を防ぐこともできる。
第2の発明は、特に、第1の発明において、電圧印加手段による電圧印加中に可撓性感圧体が少なくとも1回転するように回転させることによって、満遍なく周囲から電圧を印加できることになり、分極の均一性が向上する。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、分極電極の可撓性感圧体の通路は少なくとも一方向が開放であることによって、可撓性感圧体の全周囲を分極電極で密着するよりも、通路の一部が開放であったとしても、可撓性感圧体との接触抵抗を低減した状態で通路中の移動をさせることができ、かつ、加熱手段による熱が通路内にこもることも防げるので、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体の傷、熱がこもることによる変形、組成の変化を防ぐこともできる。
第4の発明は、特に、第1または第2の発明において、分極電極はコイル状の形状とし、コイルの中心を可撓性感圧体の通路とすることによって、コイル直径と可撓性感圧体の直径のサイズを調整でき、コイルの内周面と可撓性感圧体周縁との接触抵抗を低減させることが容易である。また、コイルの巻き密度によっても、その接触抵抗を小さくすることも可能である。このように接触抵抗を小さくしても、可撓性感圧体の外周を必ず分極電極が覆う構成が可能であり、全周囲から分極することが可能となる。
そして、コイル形状にすることで少なくとも一部が接するように分極電極を周設しており、全周囲が密着するよりも、可撓性感圧体との接触抵抗を低減して状態で通路中の移動をさせることができ、かつ、全周囲から分極できる。よって、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体の傷なども低減できる。
第5の発明は、特に、第1〜4の発明において、複数の分極電極を空隙を介して設け、可撓性感圧体の通路が連続するように設ることによって、可撓性感圧体に欠陥部が存在すると、欠陥部を一部に含む一連の可撓性感圧体の分極はできなくなる。しかし、複数の分極電極を断続して設けることで、一定の長さで分極がし得なかった部分があったとしても、分極出来なかった部分を最小単位にとどめて、再度分極することが可能となる。よって、一連の可撓性感圧体の外側電極を形成する前に、微小な欠陥が一定長さ範囲内に存在することを検知することができ、これを加工して圧電ケーブルとして製造する際の歩留まりを向上することができる。
第6の発明は、特に、第1〜5の発明において、分極電極が、加熱手段を兼ねる構成にすることによって、回転しながら移動する可撓性感圧体の周囲から均一に電圧印加と加熱を同時に行うので、分極効率を向上させることができる。
例えば、分極電極は、発熱体を内蔵し、絶縁体を介して導電体を設けた構成として、導電体に直流電流印加手段を接続し、電圧を印加しながら発熱体により絶縁体と導電体を介して、可撓性感圧体を加熱するようにするものである。
第7の発明は、特に、第1〜6の発明において、可撓性感圧体の側面と接するローラーを設け、可撓性感圧体を分極電極の可撓性感圧体の通路で回転させる構成にすることによって、簡単な構成で可撓性感圧体を回転することが可能となる。さらにローラーはゆっくりと可撓性感圧体を回転させることができるので、可撓性感圧体を傷つけることなく分極することが可能となる。
第8の発明は、特に、第1〜6の発明において、分極電極内の可撓性感圧体の通路の一部に曲部を備え、可撓性感圧体を分極電極内の通路で回転させる構成にすることによって、新たに回転させる部品を設ける必要もなく簡単な構成で可撓性感圧体を回転することができるため、安定した特性を得ることができる。
第9の発明は、芯電極に可撓性感圧体を周設するステップと、前記可撓性感圧体を分極する分極電極に設けた通路を移動しながら、前記芯電極と前記分極電極に接続された電圧印加手段により電圧を印加するステップと、分極中に前記可撓性感圧体を加熱するステップとからなり、ケーブル状の前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転することを特徴とするケーブル状圧力センサの分極方法である。そしてこの分極方法により、電圧印加がケーブルの全周囲に印加されるので、均質な分極特性を有するケーブル状圧力センサを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるケーブル状圧力センサの分極装置の構成を示す外観斜視図である。
図1においてケーブル状圧力センサは芯電極11に周設された可撓性感圧体12が形成される。芯電極11として、コイル状金属線や金属細線を束ねた線などが用いられる。可撓性感圧体12として、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、クロロプレン樹脂、塩素化ポリエチレン、シリコン樹脂等の高分子母材に、チタン酸ジルコン酸鉛などの圧電材料を複合化した高分子材料が用いられる。この可撓性感圧体12はコイル状の分極電極13に配設される。分極電極13として、鉄、ステンレス、銅、黄銅、アルミニウム等を用いる。本実施の形態において、分極電極13はアルミニウムを使用し、分極電極13の可撓性感圧体の通路12には少なくとも一方向が開放であるものを使用した。通路は断面が、一辺3mmの四角形で上面を開放した凹形状の構成とした。なお、このときの可撓性感圧体12の径は1.6mmであった。さらに、分極電極13を加熱するために分極電極13の下部に加熱手段14を設けた。本構成にすることによって、可撓性感圧体12の全周囲を分極電極13で密着するよりも、可撓性感圧体12との接触抵抗を低減した状態で通路中の移動をさせることができ、かつ、可撓性感圧体12を加熱する加熱手段14による熱が通路内にこもることも防げるので、生産性が向上するとともに、接触抵抗によって生じる可撓性感圧体12の傷、熱がこもることによる変形、組成の変化を防ぐこともできる。
また、分極電極13はリード線15bによって電気的に接続される。リード線15aは電気的に電圧印加手段16の正極または負極に接続され、芯電極11はリード線15aを介して電気的に電圧印加手段16の他の極に接続される。このように接続して、電圧印加手段16により、芯電極11と分極電極13間に高電圧が印加されるので、可撓性感圧体12が分極される。本実施の形態において印加電圧は7kV/mmで分極を行った。可撓性感圧体12の中に微少な欠陥が含まれ、その部分が分極電極13に配設されているとき、欠陥部で生じる微少な放電により分極電極13と芯電極11間に高電流が流れ、短絡するために分極できなくなるが、欠陥部が分極電極13から脱離し、分極電極13に配設されている可撓性感圧体12中に欠陥がなければ、分極電極13と芯電極11間の絶縁性は再び回復するので、分極が可能となる。このように本発明の分極装置によれば、欠陥を含む部分が分極電極13に配設されているときのみ、分極はできないがそれ以外の場合は分極可能となる。従って、欠陥の存在により可撓性感圧体12が全体にわたって分極できなくなることはない。
また、本実施の形態1において、可撓性感圧体12の芯電極11をアース電位にして、芯電極11と分極電極13の間に直流電圧を印加した。このように接続することで、人体に危険な直流高電圧部分を分極電極13に限定でき、人体への安全を確保できる。
さらに、可撓性感圧体12を移動させる移動手段17として回転ドラムを使用した。この回転ドラム17によって可撓性感圧体12が巻き取られて、分極電極13の通路を移動させることになる。回転ドラムの回転スピードを変化させることによって、可撓性感圧体12が分極電極13内に配設される時間、言い換えれば分極時間を容易に調整することが可能となる。また、移動手段17を設けることによって、自動化することができるため、歩留まりを向上することができる。
さらに可撓性感圧体12を回転させるため、可撓性感圧体12の側面と接するローラー18を設けている。ローラー18の軸は、可撓性感圧対12の移動方向に対して所定の角度をもって傾けられており、このローラー18は可撓性感圧体12の側面と接触しながら回転することで可撓性感圧体12を進行方向に向かって同軸方向に回転させている。この同軸方向に回転させた可撓性感圧体12は均一に分極電極13に接することとなるので、電圧印加手段16によって分極することで均一に分極されることとなる。
また、ローラー18を用いることによって簡単な構成で可撓性感圧体12を回転することが可能となる。さらにローラー18はゆっくりと可撓性感圧体12を回転させることができるので、可撓性感圧体12を傷つけることなく分極することが可能である。さらにローラー18の径や、ローラー18の個数を調整することによって、可撓性感圧体12が分極電極13中で回転する回数を調整することも可能である。例えば、ローラー18の径が小さければ、可撓性感圧体12はより回転しやすくなる。また、同様にローラー18を設ける個数を増やすことによっても同様の効果は得られる。
図8に示す従来の分極装置では、ブロック状導電体5に接さない部分と接する部分の各々に振動を印加し、その時に発生する電圧を測定した結果、ブロック状導電体5に接さない部分と接する部分とでは出力電圧に約1.6倍もの差を生じた。
しかし、本発明の分極装置を使用し、電圧印加手段による電圧印加中に可撓性感圧体が分極電極の通路で0.3、0.5、1、3、5回転させ、各々の可撓性感圧体12の同軸方向に対して90°角度を変えた4方向で加振した結果、最も出力電圧が高かったものと小さかったものの比は少なくとも1回転以上、可撓性感圧体12が回転することによって1.05倍以下に抑えられた。よって、電圧印加手段16による電圧印加中に可撓性感圧体12が分極電極13の通路で少なくとも1回転することによって、満遍なく周囲から電圧を印加でき、分極の均一性が向上できることができる。
(実施の形態2)
図2aは、本発明の実施の形態2におけるケーブル状圧力センサの外観斜視図である。図a2において実施の形態1と異なるところは、分極電極13内の可撓性感圧体の通路の一部に曲部を備え、可撓性感圧体12を分極電極13内の通路で回転させる構成としている点である。また、図2bは図2aのa−a’断面図である。
本実施の形態において、分極電極13はパイプ形状のものを使用し、そのパイプ内部を可撓性感圧体12の通路としている。さらに電圧印加手段16による電圧印加中に可撓性感圧体12がパイプの通路で少なくとも1回転するようにパイプ自体が曲部を備えて、通路に曲部が備わった構成としている。本実施の形態において可撓性感圧体はφ1.6mmのものを使用し、パイプの内径は3mm、外径は5mmのものを使用した。本実施の形態ではパイプはスパイラル形状とし、3次元に局部を設けることによって、分極電極13であるパイプを通過するまでに可撓性感圧体12が進行方向に向かって移動中に少なくとも1回転し、可撓性感圧体12の外周が分極電極13に均一に接することとなる。このため、新たに可撓性感圧体を回転させる動力源などの部品を設ける必要もなく簡単な構成で可撓性感圧体を回転することができる。
本発明の分極装置を使用した可撓性感圧体12の同軸方向に対して90°角度を変えた4方向で加振した場合、最も出力電圧が高かったものと小さかったものの比は、約1.05しかなかった。この結果、本発明の分極装置を用いることによって、分極が均一に行われ、センサの特性ばらつきが少ない可撓性感圧体を実現できる分極装置とすることが可能である。
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3におけるケーブル状圧力センサの外観斜視図である。図3において実施の形態1と異なるところは、分極電極13をコイル形状にし、コイルの中心を可撓性感圧体12の通路としている点である。本実施の形態において、コイル径は3mm、コイルピッチ1mmのものを使用した。
分極電極13はコイル形状をなしているので、図1に示す断面形状が凹状の分極電極13を使用した場合と比較すると可撓性感圧体12との接触面積が少なくなり、接触抵抗を低減できる。特に、電圧印加手段16を作動させると、芯電極11と分極電極13間に高電圧が印加されるため、可撓性感圧体12は分極電極13の方向に引っ張られるため、分極電極13と可撓性感圧体12間の接触抵抗は増大することとなる。このため、移動手段17を用いて通路内の可撓性感圧体12を移動方向(図中右側方向へ)引っ張っても、接触抵抗が大きいので移動しにくく、無理に引っ張ると可撓性感圧体12表面に摩擦による傷が発生する恐れもある。しかし、分極電極13をコイル形状にすることによって、可撓性感圧体12と分極電極13の接触面積を低減できるので、無理なく移動手段17で可撓性感圧体12を移動することができると共に、摩擦による可撓性感圧体12表面の傷の発生も抑制することができる。よって、分極中に傷部分が生じると放電して分極できなくなるが、傷の発生が防止されると分極の歩留まりの低下を低減することができる。さらに、接触抵抗が抑制されるので移動手段17のスピード向上も可能になり生産効率を向上することができる。
また、コイル状の分極電極13なので可撓性感圧体12の外周縁に電極が配設されることになり、断面形状が凹状の分極電極13に比較し、可撓性感圧体12が分極電極の通路内を移動中に、その外周面がかならずいずれかの位置で電極と接することになる。また、図示はしないが、断面形状凹状の分極電極13と組み合わせることによって、コイル状の電極に接さない可撓性感圧体12も凹状分極電極13の壁面と対向するので、分極の効率は対向しない分極電極13を組みあわせない場合極13よりも向上する。
また、図4に示すように、分極電極13が加熱手段14を兼ねる加熱手段兼用分極電極13aという構成にした場合においては可撓性感圧体12を同軸方向から素早く加熱しながら分極するので、均一に可撓性感圧体12を加熱することが可能となる。この結果、可撓性感圧体12の温度分布を抑制でき、効率良く分極することができ、特性ばらつきも抑制することができる。
本構成のコイル状の分極電極13は図5に示すように、発熱体19の外周に設けられた絶縁体20と絶縁体20の外周に設けられた導電体21とで構成することによって、発熱体19の外周を同軸状に絶縁体20及び導電体21が覆っている構成とした。
本実施の形態の分極装置は、図8に示す従来の分極装置のように一方向のみの加熱ではないので、可撓性感圧体12の一部が加熱しすぎる、あるいは加熱が不十分ということがない。さらに、加熱手段14がコイル形状をなすことによって可撓性感圧体12の外周方向から均一に加熱することができるため、温度制御も容易になる。
本実施の形態において、発熱体19としてステンレス箔、絶縁体20として酸化マグネシウム、導電体21としてステンレスを使用したが、それに限るものではない。
通常、数百メートルの可撓性感圧体12を1ロットとして分極する1単位として扱うが、複数のロットを順に扱い分極していく必要のある生産ラインにおいて、本実施の形態の分極装置を用いれば、可撓性感圧体12を分極電極13内に一度配設してしまえば、次のロットを分極する際は芯電極11同士を結ぶだけでよく、改めて分極電極13内に配設する必要がない。このため簡単に可撓性感圧体12を配設することができる。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4におけるケーブル状圧力センサの外観斜視図である。図6において実施の形態1及び2と異なるところは、分極電極13を複数設け、芯電極11と分極電極13の各々に電圧印加手段16の出力を接続する構成としている点である。なお、第1の実施の形態と同一部材は同じ符号を付けている。
本実施の形態において電圧印加手段16の出力は、芯電極11と複数個設けた分極電極13の各々に電圧印加手段16の出力を接続し、分極電極13は並列接続している。こうすることで、各々の分極電極13に効率良く電圧印加手段16の出力が印加されることとなる。
例えば、分極電極13の長さを2mで構成した場合、可撓性感圧体12の欠陥箇所の前後2m(計4m)は分極時間が所定時間より短い、もしくは分極できていない不良箇所となる。しかし、0.5mの分極電極13を4個設けた場合では、欠陥箇所の前後0.5m(計1m)が不良箇所となり、不良箇所を1/4に低減できるため歩留まりを向上することができる。
また、分極電極13を複数設け、各々の分極電極13と芯電極間に印加される電圧あるいは電流値を測定することによって、どの分極電極13内に欠陥箇所があるかを検知することができ、可撓性感圧体12の欠陥箇所の判定にも寄与できる。
また、分極電極13の長さ、連続個数を、移動手段17による移動速度とともに調整して、分極時間の調節を行うことが可能であり、可撓性圧電体12の使用目的に合致する条件での分極条件を選択できるように構成することも可能である。
なお、本実施の形態1〜4では可撓性感圧体12を電圧印加手段16による電圧印加中に可撓性感圧体12が分極電極13の通路で少なくとも1回転するようにローラー18や分極電極13内の通路に部分的に曲部を設けて、可撓性感圧体が分極電極13を通過するまでに回転する構成を述べたが、上記の構成をとらなくても可撓性感圧体12が分極電極13の通路内で回転すればこれに限るものではない。
例えば、可撓性感圧体12を押出成形した場合に、押出成形機のスクリューの回転によって押し出した可撓性感圧体12自身にねじれが発生する場合や、押し出した可撓性感圧体を巻き取る際に可撓性感圧体12をねじって巻き取った場合などでは、ねじれが残ったまま可撓性感圧体12を分極電極13内の通路に通すこととなる。この場合、移動手段17で可撓性感圧体12を移動させると、移動中に可撓性感圧体のねじれが戻り、結果として分極電極13内の通路で進行方向に移動中に回転する場合がある。この場合も、可撓性感圧体12の回転が生じて分極電極13に均一に接するので、可撓性感圧体12が均一に分極可能なので特性ばらつきがなく、本実施の形態1〜4と同様の効果が得られる。
以上のように、本発明にかかるケーブル状圧力センサの分極装置およびその分極方法は、欠陥部が存在しても全体の可撓性感圧体が分極できなくなることを防ぐとともに、前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転することによって、全周囲から均一に満遍なく分極することが可能になる。このため、特性ばらつきのない安定した特性を得ることができるので、圧電体等の分極装置に利用できるものである。
本発明の実施の形態1における分極装置の構成を示す外観斜視図 (a)本発明の実施の形態2における分極装置の構成を示す外観斜視図(b)本発明の実施の形態2における分極装置の断面図 本発明の実施の形態3における分極装置の構成を示す外観斜視図 本発明の実施の形態3における他の分極装置の構成を示す外観斜視図 本発明の実施の形態3における他の分極電極の断面図 本発明の実施の形態4における他の分極電極の断面図 従来の圧電ケーブルセンサの構成を示す外観見取り図 従来の分極装置の構成を示す外観斜視図
符号の説明
11 芯電極
12 可撓性感圧体
13 分極電極
14 加熱手段
15 リード線
16 直流電圧発生手段
17 移動手段
18 ローラー
19 発熱体
20 絶縁体
21 導電体

Claims (9)

  1. 芯電極に周設された可撓性感圧体と、前記可撓性感圧体の通路を有する分極電極と、前記芯電極と前記分極電極に接続された電圧印加手段と、前記可撓性感圧体を前記通路で移動させる移動手段と、前記分極電極を加熱する加熱手段とを設け、前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転することを特徴とするケーブル状圧力センサの分極装置。
  2. 電圧印加手段による電圧印加中に可撓性感圧体が分極電極の通路で少なくとも1回転するように回転させることを特徴とした請求項1記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  3. 分極電極の可撓性感圧体の通路は少なくとも一部が開放されていることを特徴とする請求項1または2記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  4. 分極電極はコイル状の形状とし、コイルの中心を可撓性感圧体の通路とした請求項1または2記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  5. 複数の分極電極を空隙を介して設け、可撓性感圧体の通路が連続するように設けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  6. 分極電極が、加熱手段を兼ねる構成とした請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  7. 可撓性感圧体の側面と接するローラーを設け、可撓性感圧体を分極電極の可撓性感圧体の通路で回転させる構成とした請求項1から6のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  8. 分極電極内の可撓性感圧体の通路の一部に曲部を備え、可撓性感圧体を分極電極内の通路で回転させる構成とした請求項1から7のいずれか1項に記載のケーブル状圧力センサの分極装置。
  9. 芯電極に可撓性感圧体を周設するステップと、前記可撓性感圧体を分極する分極電極に設けた通路を移動しながら、前記芯電極と前記分極電極に接続された電圧印加手段により電圧を印加するステップと、分極中に前記可撓性感圧体を加熱するステップとからなり、ケーブル状の前記可撓性感圧体が前記通路内で移動中に回転することを特徴とするケーブル状圧力センサの分極方法。
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