JP2002280544A - ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ - Google Patents

ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ

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JP2002280544A JP2001081182A JP2001081182A JP2002280544A JP 2002280544 A JP2002280544 A JP 2002280544A JP 2001081182 A JP2001081182 A JP 2001081182A JP 2001081182 A JP2001081182 A JP 2001081182A JP 2002280544 A JP2002280544 A JP 2002280544A
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(57)【要約】 【課題】 ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタに関
し、ベース層の材料として、アクセプタが充分に機能で
きるGaAsSbを用い、しかも、余分なベース・エミ
ッタ間電圧Vbeを必要としないHBTを実現しようとす
る。 【解決手段】 InP基板11上に形成されたヘテロ接
合バイポーラ・トランジスタを構成する半導体層中にG
aAsNSbからなるベース層15が含まれてなること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低電圧動作が可能
なヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(hetero
junction bipolar transist
or:HBT)に関する。
【0002】現在、携帯電話が急速に普及しつつあり、
その一因は、携帯電話端末の低価格化と著しい小型化に
ある。
【0003】そのような携帯電話端末に於ける出力段の
トランジスタとしては、GaAs系FET(field
effect transistor)が用いられて
きたのであるが、近年、単一電源で動作し、高効率で、
低歪み特性をもつGaAs系HBTが多用されるように
なってきた。
【0004】携帯電話端末が小型化された理由を考える
と、多分に電池の高効率化と増幅段数の削減に負ってい
て、初期に用いられていた電池の出力電圧は7.2
〔V〕を必要としたが、その後、次第に低減され、現
在、3.6〔V〕になっている。
【0005】今後、電源電圧が更に低下した場合、低電
圧に於いて効率良く動作するトランジスタが必要であっ
て、HBTもその例に漏れないが、HBTに於いて、動
作電圧の下限を決定する最大の要素は、動作時に於ける
ベース・エミッタ間電圧Vbeである。
【0006】通常、npn型HBTに於けるベース・エ
ミッタ間電圧Vbeは、主として、ベース層の価電子帯に
於ける最大ポテンシャル・エネルギとエミッタ層の伝導
帯に於ける最小ポテンシャル・エネルギとの差に依って
決定される。
【0007】従って、ベース層にエネルギ・バンド・ギ
ャップが小さい材料を使用すれば、ベース・エミッタ間
電圧Vbeを小さくすることができ、例えばGaAs基板
上に作製されるHBTに於けるベース層はGaAs層で
あって、そのエネルギ・バンド・ギャップは1.4〔e
V〕である。
【0008】GaAs基板をInP基板に変えてHBT
を作製する場合、ベース層を構成する材料として、エネ
ルギ・バンド・ギャップが小さい、即ち、0.75〔e
V〕であるInGaAsやGaAsSbを用いることが
できるので、低電圧化を大きく進展させることができ
る。
【0009】一般に、InP系HBTに於いては、ベー
ス層の材料としてInGaAsが用いられ、また、ベー
ス層に於けるアクセプタとしては、BeやZnが用いら
れているのであるが、このようなHBTに通電を続けた
場合、アクセプタが結晶中を移動し、ある時間が経過し
た後、HBTが故障に至る旨の信頼性上の問題を抱えて
いる。
【0010】また、アクセプタとしてCを用いた場合、
通電中にアクセプタが移動することは少なくなるが、別
な問題として、結晶成長時にCが成長雰囲気ガスの水素
と結合し、電気的にアクセプタであるべきCが不活性化
してしまい、デバイス特性の向上を期待することができ
ない現象が起こる。
【0011】そこで、InGaAsの代わりにGaAs
Sbをベース層の材料として用いることが検討されてい
て、その場合には、アクセプタとしてのCは水素と結合
しても不活性化し難い性質がある。
【0012】ところで、ベース層材料にGaAsSbを
用いた場合、良いことばかりではなく、そのようなベー
ス層をもつHBTを動作させるには、ベース・エミッタ
間電圧Vbeを高くしなければならない。
【0013】図4はGaAsSbベース層をもつHBT
を表すエネルギ・バンド・ダイヤグラムであり、図に於
いて、EV は価電子帯の上端、EC は伝導帯の下端、1
はInPコレクタ層、2はGaAs0.5 Sb0.5 ベース
層、3はInPエミッタ層をそれぞれ示している。
【0014】図示したHBTのエネルギ・バンド・ダイ
ヤグラムに依れば、InPエミッタ層3に比較し、Ga
As0.5 Sb0.5 ベース層2に於ける伝導帯下端は0.
18〔eV〕高くなっていて、エミッタ層3から注入さ
れる電子に対する障壁として観測されるので、電子がこ
の障壁を乗り越える為には、ベース・エミッタ間電圧V
beを大きくしなければならない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、ベース層
の材料として、アクセプタが充分に機能できるGaAs
Sbを用い、しかも、余分なベース・エミッタ間電圧V
beを必要としないHBTを実現しようとする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明では、HBTのベ
ース層にInPに略格子整合するGaAsNSbを用い
ることが基本になっている。
【0017】InPに格子整合するGaAsSbにN原
子を添加して漸増させた場合には、伝導帯下端は低くな
ってくるのであるが、N原子を添加すると格子定数が小
さくなるので、これを補償する為、N原子の約3倍の量
のSb原子を加えると良い。
【0018】N原子の量を1〔%〕とすれば、InP及
びGaAsNSbの伝導帯下端のエネルギは殆ど一致
し、その結果、エミッタ層から注入される電子は、ベー
ス層に於いて障壁を感ずることはなくなり、従って、H
BTのベース・エミッタ間電圧Vbeを従来に比較して約
0.05〔V〕低下させることができる。
【0019】因みに、GaAs系基板を用いたHBTの
ベース層にGaAsNSbを使用した発明がなされてい
るが(要すれば、「特許2001−44212号公
報」、を参照)、用いる基板材料の違いに起因し、ベー
ス層のエネルギ・バンド・ギャップは広くせざるを得
ず、InP系基板を用いた場合のように低電圧動作させ
ることはできない。
【0020】尚、本発明では、HBTの低電圧化に着目
し、その利点について記述しているが、InP基板上に
作製したHBTは、GaAs基板上に作製したHBTに
比較し、より高い周波数帯で動作可能であることが知ら
れ、例えば携帯電話の周波数帯である1〔GHz〕〜2
〔GHz〕帯域よりも1桁高い周波数帯、即ち、ミリ波
帯で使用することができる出力トランジスタとして期待
されているので、この出力トランジスタのベース・エミ
ッタ間電圧Vbeを低減することで効率は大きく向上す
る。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態を説
明する為のHBTを表す要部切断側面図であり、図に於
いて、11はInP基板、12はi−InPバッファ
層、13はn−InGaAsコレクタ・コンタクト層、
14はi−InPコレクタ層、15はp−GaAsNS
bベース層、16はn−InPエミッタ層、17はn−
InGaAsエミッタ・コンタクト層、18はエミッタ
電極、19はベース電極、20はコレクタ電極をそれぞ
れ示している。
【0022】図2は図1について説明したHBTのエネ
ルギ・バンド・ダイヤグラムであって、図1に於いて用
いた記号と同記号は同部分を表すか或いは同じ意味を持
つものとする。
【0023】図に依れば、ベース層15の材料をGaA
sNSbにすることで、伝導帯の下端はInPエミッタ
層16に於ける伝導帯の下端と略一致していることが看
取され、InPエミッタ層16から注入される電子に対
して電位障壁にならないことが認識されよう。尚、図4
について説明したとおり、ベース層2がGaAs0.5
0.5 である場合には、InPエミッタ層3の伝導帯下
端に比較して0.18〔eV〕高くなっている。
【0024】図3はInPに略格子整合するGaAsN
Sbに於けるSbとNとの組成比を変化させた場合の価
電子帯上端と伝導帯下端のポテンシャル・エネルギ変化
を説明する為の線図であり、横軸にはSb及びNの割合
〔%〕を、また、縦軸にはInPの価電子帯上端からの
ポテンシャル・エネルギ〔eV〕をそれぞれ採ってあ
る。
【0025】通常、GaAsSbは、GaAs0.5 Sb
0.5 の組成であれば、InPと略格子整合するのである
が、Nを1〔%〕加えた場合には、格子不整合を補償す
る為にSbを3〔%〕加えなくてはならない為、結果と
してSbの組成は53〔%〕になる。
【0026】このようにすると、GaAsNSbの伝導
帯下端はInPの伝導帯下端と略一致し、このHBTに
於けるエネルギ・バンド・ダイヤグラムは図2に示した
とおりになり、その結果、従来例に於けるGaAs0.5
Sb0.5 からなるベース層2の場合はベース・エミッタ
間電圧Vbeが0.4〔V〕であったのに対して、本発明
に於けるGaAs0.5 0.01Sb0.53からなるベース層
15の場合はベース・エミッタ間電圧Vbeが0.35
〔V〕まで低下する。
【0027】
【発明の効果】本発明に依るヘテロ接合バイポーラ・ト
ランジスタに於いては、InP基板上に形成されたヘテ
ロ接合バイポーラ・トランジスタを構成する半導体層中
にGaAsNSbからなるベース層が含まれてなること
を基本としている。
【0028】前記構成を採ることに依り、ベース層の伝
導帯下端はエミッタ層の伝導帯下端と略一致し、その結
果、エミッタ層から注入される電子に対してベース層が
電位障壁として作用することは殆どなく、従って、この
ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタを動作させる場合
のベース・エミッタ間電圧Vbeは従来のヘテロ接合バイ
ポーラ・トランジスタに比較して充分に低くすることが
できるので、低電圧に於いて効率良く動作させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を説明する為のHBTを
表す要部切断側面図である。
【図2】図1について説明したHBTのエネルギ・バン
ド・ダイヤグラムである。
【図3】InPに略格子整合するGaAsNSbに於け
るSbとNとの組成比を変化させた場合の価電子帯上端
と伝導帯下端のポテンシャル・エネルギ変化を説明する
為の線図である。
【図4】GaAsSbベース層をもつHBTを表すエネ
ルギ・バンド・ダイヤグラムである。
【符号の説明】
11 InP基板 12 i−InPバッファ層 13 n−InGaAsコレクタ・コンタクト層 14 i−InPコレクタ層 15 p−GaAsNSbベース層 16 n−InPエミッタ層 17 n−InGaAsエミッタ・コンタクト層 18 エミッタ電極 19 ベース電極 20 コレクタ電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】InP基板上に形成されたヘテロ接合バイ
    ポーラ・トランジスタを構成する半導体層中にGaAs
    NSbからなるベース層が含まれてなることを特徴とす
    るヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  2. 【請求項2】ベース層を構成するGaAsNSbがIn
    Pに略格子整合する組成をもつことを特徴とする請求項
    1記載のヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
  3. 【請求項3】GaAsNSbからなるベース層にCがド
    ーピングされてなることを特徴とする請求項1或いは2
    記載のヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ。
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Citations (3)

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