JP2002274945A - 高速回転体用円盤およびその製造方法 - Google Patents

高速回転体用円盤およびその製造方法

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JP2002274945A
JP2002274945A JP2001080089A JP2001080089A JP2002274945A JP 2002274945 A JP2002274945 A JP 2002274945A JP 2001080089 A JP2001080089 A JP 2001080089A JP 2001080089 A JP2001080089 A JP 2001080089A JP 2002274945 A JP2002274945 A JP 2002274945A
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JP2001080089A
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Shigeru Hanzawa
茂 半澤
Naoki Hashimoto
直樹 橋本
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続高速回転させ続けても、特定の箇所に割
れが生じない高速回転体用円盤を提供することを目的と
する。特に、耐酸化性の付与された連続高速回転させ続
けても、特定の箇所に割れが生じない高速回転体用円盤
の提供。 【解決手段】 炭素繊維製クロスが所望とする枚数編み
目同士を結ぶ対角線が相互に所望の角度をもって積層さ
れることにより得られる高速回転体用円盤、特に、表面
全面に炭化珪素層が形成されているか或いは所望とする
密度で炭化珪素が島状にその表面に形成されている高速
回転体用円盤により達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、軽量で、耐摩耗
性、耐酸化性等に優れた新規な複合材料である高速回転
体用円盤に関する。特に、大型自動車等や航空機などの
大型輸送機械の停止または速度制御の際に使用する速度
制御装置に連動して装着されているブレーキディスク用
の摩擦材や高速回転する各種研磨用の研磨定盤としても
使用可能な高速回転体用円盤およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】 軽量で、耐摩耗性、耐酸化性等に優れ
た複合材料は、省エネルギー、環境保全等の観点からそ
の出現が待望されている。例えば、大型自動車等や航空
機などの大型輸送機械において装着されている制動装置
で使用される摩擦材としては、現在は高温下での摩擦係
数が極めて高く、軽量であり、熱変形を生じない材料で
あるカーボンファイバーインコンポジット(以下C/C
コンポジットと称することもある)が広く使用されてい
る。
【0003】 このような大型輸送機械においては、緊
急停止のための過大荷重下でのブレーキ制動、長時間に
わたるブレーキ制動、高頻度でのブレーキ制動等を繰り
返す必要に迫られることがあり、C/Cコンポジットを
摩擦材として使用した制動装置の場合には、摩擦材が空
気中で高温下に長時間曝されることとなる。従って、摩
擦材は基本的には高温で燃焼しやすい炭素繊維をその主
成分とするものであるために、このような条件下では、
酸素と反応して、著しく摩耗するだけでなく、発煙して
大事故寸前に至るケースもあると報告されている。しか
しながら、高温下における摩擦力の高さ、ディスクブレ
ーキに装着の際に要求される柔軟性などの性能の点か
ら、それに代わる原料を見い出せていないのが現状であ
る。
【0004】 そこで、本発明者らは、複合炭素繊維で
あるC/Cコンポジットが有する優れた耐衝撃性、軽量
等の優れた点を保持しながら、高温が発生することを余
儀なくされる大型輸送機械のブレーキ用摩擦材として使
用しても、酸素存在下でもその摩耗を著しく軽減でき、
結果として、頻繁に交換作業することを必要としないブ
レーキ用摩擦材として、少なくとも炭素繊維の束と炭素
繊維以外の炭素成分とを含有するヤーンが層方向に配向
しつつ三次元的に組み合わされ、互いに分離しないよう
に一体化されているヤーン集合体と、このヤーン集合体
中で隣り合う前記ヤーンの間に充填されている、Si−
SiC系材料からマトリックスとを備えている繊維複合
材料からなることを特徴とするブレーキ用部材を特開2
000−81062公報において提案している。
【0005】 上記の公開公報に開示のブレーキ用摩擦
材は、C/Cコンポジットからなる母材にSi−SiC
材料からなる層を配したセラミックス・金属・炭素から
なる複合材料を用いて構成される。このSi−SiC材
料は、繊維複合材料のマトリックス層として形成されて
いるので、繊維の積層方向での強度が増し、剥離を防止
でき、ひいてはブレーキ用部材に耐久性を付与すること
ができる。しかし、このSi−SiC材料からなるマト
リックスを形成させるに際しては、金属珪素をC/Cコ
ンポジットである母材に含浸させ、次いで、所望の条件
下で含浸物を焼成することを要する。上述のような構成
からなる積層体であるC/Cコンポジットに金属珪素を
含浸させるには、温度・圧力・雰囲気を微妙に制御する
特殊な設備や、かなりの熟練と時間を要することから、
さらに改良が望まれている。また、母材そのものも、上
述のような特別な構造体であることから必ずしも、安価
とはいえないことから、より安価に入手可能な母材を利
用し、用途、使用態様等に応じてより広い製品群から所
望とする性能を発揮できる製品を選択できる様にするた
めの品揃えのために、用途、使用態様等に応じた設計性
能を有する複合材料の出現が望まれているのが現状であ
る。
【0006】 本発明者らは平成12年12月8日出願
にかかる特願2000−374972明細書において、
複合炭素繊維であるC/Cコンポジットまたはその用途
に応じて所望の形状にC/Cコンポジットを成形して製
造した成形体の表面に、耐摩耗性および耐酸化性に優れ
た、少なくとも炭化珪素と、所望により含有されていて
もよい金属珪素とからなる複数の突起部を含む複合材部
を任意または特定の形状に配置させて形成することによ
り製造される複合材料、および、同複合材料の突起部を
略海面と同じ水準にまで切削加工して得られる少なくと
も複合材部が形成されている表面が実質的に平坦化され
た複合材料について提案している。このものは、より安
価で製造でき、かつ、得られる複合材料そのものも軽量
で、層間剥離も起こさないことからブレーキ用部材や、
耐摩耗性に加え、耐酸化性も要求される各種工作機械な
どの部材、例えば円盤砥石の部材等の用途に適した新規
な複合材料として優れている。
【0007】 しかしながら、特開2000−8106
2公報に開示のブレーキ用部材や上記の平成12年12
月8日出願にかかる特願2000−374972明細書
において、提案した複合材料を連続高速回転させ続ける
と、特定の箇所に割れが生ずることがあることが見いだ
された。割れの状況を詳しく検査したところ、複合材料
を構成するC/Cコンポジットが編み目同士を結ぶ対角
線に沿って割れを起こしていることが確認された。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記のよ
うな現状に鑑みてなされたもので、連続高速回転させ続
けても、特定の箇所に割れが生じない高速回転体用円盤
を提供することを目的とする。特に、耐酸化性の付与さ
れた連続高速回転させ続けても、特定の箇所に割れが生
じない高速回転体用円盤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは上記の目
的を達成するために種々検討した結果、炭素繊維製クロ
スが所望とする枚数編み目同士を結ぶ対角線が相互に所
望の角度をもって積層させることにより得られる高速回
転体用円盤が上記の目的を達成できることを見出して本
発明を完成させたものである。本発明によれば、さら
に、表面全面に炭化珪素層が形成されているか或いは所
望とする密度で炭化珪素が島状にその表面に形成されて
いてもよい高速回転体用円盤が提供される。この様に、
炭化珪素層または島状に炭化珪素が形成されているもの
は、耐摩耗性が向上するので、特に耐摩耗性が要求され
る分野での使用に好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】 本発明は、炭素繊維製クロスを
所望とする枚数を編み目同士を結ぶ対角線が所望の角度
をもって積層された高速回転体用円盤、およびその製造
方法に関する。また、所望の角度が最大で60°である
ことを特徴とする高速回転体用円盤、さらに、表面全面
に炭化珪素層が形成されているか或いは所望とする密度
で炭化珪素が島状にその表面に形成されていることを特
徴とする高速回転体用円盤に関する。また、本発明は、
0.1mm〜5mm程度の厚さのクロスを、6〜50層
を1積層単位とする各クロスの編み目同士を結ぶ各対角
線がそれぞれ所望とする角度となるように積層し、得ら
れた積層体を仮焼することよりなることを特徴とする高
速回転体用円盤の製造方法、さらに、少なくとも一巡目
の積層が終了するまでは、交互に積層される各クロスの
編み目同士を結ぶ各対角線が相互に重ならない様に積層
することを特徴とする高速回転体用円盤の製造方法、お
よび表面全面に炭化珪素層を形成するかまたは所望とす
る密度で島状の炭化珪素をその表面に形成することを特
徴とする高速回転体用円盤の製造方法に関する。
【0011】 先ず、高速回転体用円盤を構成する原料
について説明することとする。本発明における高速回転
体用円盤は、織布状に織られた炭素繊維製の材料、即
ち、炭素繊維製クロスを所望とする枚数を所望と角度を
もって積層することにより得られるものをいう。なお、
クロスと称される織布状に織られた炭素繊維製の材料
は、例えば、以下のようにして調製される。炭素繊維の
束のマトリックスとして作用する粉末状のバインダーで
あって、焼成後には炭素繊維の束に対して遊離炭素とな
るピッチ、コークス類を包含させ、さらに必要に応じて
フェノール樹脂粉末等を含有させることによって、炭素
繊維束を調製し、この炭素繊維束の周囲に、熱可塑性樹
脂等のプラスチックからなる柔軟な被膜を形成し、柔軟
性中間材としてのプレフォームドヤーンを得る。このプ
レフォームドヤーンを、特開平2−80639号公報に
記載されている方法により織布状に織ることにより得ら
れる。なお、参考のために特開平2−80639号公報
の記載内容を本明細書に引用する。
【0012】 使用する炭素繊維の太さは、目的とする
高速回転体用円盤の大きさ、厚さ、用途などにより、ま
た、積層枚数により、適宜選択されるが、所望とする直
径を有する炭素繊維を、通常、数百本〜数万本束ねて繊
維束(ヤーン)を形成し、この繊維束を熱可塑性樹脂で
被覆して調製したプレフォームドヤーンと称される柔軟
性糸状中間材を得、これを特開平2−80639号公報
に記載されている方法により、織物状に織り、クロスと
する。
【0013】 高速回転体用円盤を構成するクロス1枚
の厚さは、通常0.1mm〜5mm程度である。0.1
mm未満だと通常使用する繊維の太さが細すぎ、その積
層に工数が掛かりすぎるため工業的生産に向いて居ら
ず、また、5mmを超えると高速回転体用円盤として使
用したときに、十分な強度を発揮することが出来ないこ
とがあるので、好ましくない。1層の厚さが0.1mm
の場合には、1K〜3Kと称されるヤーンを、0.5m
mの場合には、12Kと称されるヤーンを使用すればよ
い。1Kとは、1本のヤーン当たり1000本の炭素繊
維が使用されていることをいい、また、12Kとは1本
のヤーン当たり12000本の炭素繊維が使用されてい
ることをいう。なお、使用する繊維の太さは、任意に選
択できるが、通常は、その直径が約10μm程度のもの
を使用する。具体的には、かかるクロスの市販品として
は、例えば、東レ社製の炭素繊維T300、同T70
0、同T900等が例示される。クロスは、1D、2D
の何れでもよい。
【0014】 1積層単位としては、高速回転体用円盤
の用途などにもよるが、通常3〜50層、好ましくは、
4層〜8層である。3層未満だと、積層による強度増強
効果が不十分であり、また、50層を超えて積層して
も、コスト高となるだけで、それ以上の積層による強度
増強効果は期待できないからである。なお、ここで1積
層単位は、積層体を構成する最小単位をいう。積層方法
については特に制限はないが、通常は、積層する各クロ
スの編み目同士を結ぶ各対角線が所望とする枚数の積層
を終了するまで重ならないように積層することが好まし
い。例えば、積層するクロス同士の編み目同士を結ぶ対
角線がそれぞれ所望とする角度となるように積層する。
即ち、仮に6層を1単位として積層する場合、各クロス
同士の編み目同士を結ぶ対角線が60°の角度を持って
交差するように積層すればよい。勿論、例えば、10層
を超えて積層する場合などには、一巡目の積層が終了し
て、2巡目の積層に入る時点で、第1巡目のクロスと同
位置に位置する第2巡目のクロスの編み目同士を結ぶ対
角線が、第1巡目のクロスの編み目同士を結ぶ対角線と
重なり合うこととなっても差し支えなし、また、若干ず
らして積層してもよい。
【0015】 積層に際しては、ノボラック型フェノー
ル樹指やレゾール型フェノール樹脂を使用してクロス同
士を貼り付けてもよく、また、無機系のピッチなどの接
着剤を使用してもよく、場合によっては、両者を併用し
てもよい。これらのものの使用量は、高速回転体用円盤
として使用しても層間剥離が生じない程度にクロス同士
を接合できればよく、通常は、クロスの質量100に対
して、数%〜20%程度である。かくして積層したもの
を、所定の形状に外周加工し、通常200℃前後で仮焼
し、所望によりグラファイト化するか、或いは、同温度
で積層したままの状態で仮焼し、所望によりグラファイ
ト化した後外周加工して、成形体を得る。必要に応じ
て、成形体の表面全体に炭化珪素層を形成させるか、或
いは、特定の比率で、島状に炭化珪素を形成させてもよ
い。
【0016】 なお、成形体の表面全体に炭化珪素層を
形成させるに際しては、平成11年4月22日付の国際
出願公開にかかる国際公開公報WO99/19273号
に開示された方法によればよい。従って、国際公開公報
WO99/19273号の内容をここに引用する。な
お、この炭化珪素層は、Si−SiC系材料の名称で呼
ばれることもあるものであって、このSi−SiC系材
料とは、未反応の状態で残存する珪素からなる珪素相か
らほぼ純粋な炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異な
る相を含む、典型的には珪素相と炭化珪素相からなる
が、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変化して
いるSiC共存相を含みうるものをいう。従って、Si
−SiC系材料とは、このようにSi−SiC系列にお
いて、炭素の濃度として、0mol%〜50mol%ま
での範囲以内で含まれている材料の総称である。
【0017】 また、この炭化珪素層は、好ましくは、
成形体の表面から離れるに従って珪素の含有比率が上昇
する傾斜組成を有することが好ましい。また、炭化珪素
層は、炭化珪素の少なくとも50%はβ型で、5%以下
の気孔率と二山型の平均気孔径の分布を有するものであ
ってもよい。この様な炭化珪素層は、平成11年2月9
日付の出願にかかる特願平11−31979号明細書に
開示された方法により形成することができる。従って、
特願平11−31979号明細書の内容をここに引用す
る。島状の炭化珪素を形成させるには、平成12年12
月8日付の出願にかかる特願2000−374972明
細書に開示された方法によればよい。従って、特願20
00−374972明細書の内容をここに引用する。
【0018】 炭化珪素層、または、所望とする密度で
形成される島状の炭化珪素を形成させるに際しては、成
形体と金属珪素を、1100〜1400℃の温度、0.
1〜10hPaの圧力に1時間以上保持し、かつその
際、C/Cコンポジットまたは成形体と金属珪素の合計
質量1kg当たり不活性ガスを0.1NL以上、好まし
くは1NL以上、さらに好ましくは10NL以上流すよ
うに制御することが望ましい。このような、焼成時(即
ち、Siの溶融、含浸前の段階)不活性ガス雰囲気にす
ることにより、無機ポリマーないし無機物のセラミック
ス化への変化に伴うCO等の発生ガスを焼成雰囲気より
除去し、また大気中のO2等による外部からの焼成雰囲
気の汚染を防止することにより所望とする量の金属珪素
を微細な空隙中に溶融、含浸してことができる。また、
C/Cコンポジットまたは成形体へ金属珪素を溶融、含
浸する際には、雰囲気温度を1450〜2500℃、好
ましくは1700〜1800℃に昇温する。この場合、
焼成炉内圧は0.1〜10hPaの範囲が好ましい。
【0019】 かくして得られる本発明にかかる高速回
転体用円盤は、常温での動摩擦係数が0.05〜0.6
と大きく、特に、表面に炭化珪素層または所望とする密
度で形成された島状の炭化珪素が形成されたものは耐酸
化性、耐クリープ性、耐スポーリング性を有する炭化珪
素がその表面の少なくとも一部を覆っていることからC
/Cコンポジットの有する低耐酸化性を克服することが
でき、酸素存在下において高温下に余儀なく曝される、
例えば、ブレーキ用摩擦材としても使用が可能である。
かかる条件下での摩耗量は、500℃で1.0%/時間
以下、より好ましくは0.6%/時間以下である。ま
た、優れた耐摩耗性をも併せ持つ。炭素繊維製クロスを
所望とする枚数を編み目同士を結ぶ対角線が所望と角度
をもって積層することにより得られるので、高速度回
転、例えば、10000rpmで数百時間回転させても
特定箇所に割れを生じないという優れた機械的強度を有
する。
【0020】 また、C/Cコンポジットを母材として
いることから、軽量であり、大型輸送機械に実装しても
燃料消費に実質的に影響せず、エネルギーの消費上問題
を生ずることがなく、省エネルギーの要請にもかなう材
料であるといえる。さらに、母材がC/Cコンポジット
であるため、靱性に富み、優れた耐衝撃性、高硬度性を
有する。従って、従来使用されているC/Cコンポジッ
トが有している特性を保持したまま、同C/Cコンポジ
ットが有する耐高温耐摩耗性が低いという欠点を克服す
ることができる。
【0021】 母材表面に炭化珪素層または所望とする
密度で形成された島状の炭化珪素が形成されているもの
の場合には、高温下で酸素に曝されても、表面に存在す
るSi−SiC材料またはSiC材料が溶融してガラス
となり母材それ自体を酸素から保護する速度の方が、酸
素が母材であるC/Cコンポジットの内部に拡散する速
度よりも大きいため、母材を酸化から保護することがで
きる。即ち、本発明にかかる複合材料の場合には、自己
修復性を示し、より長期間にわたる使用が可能となる。
この効果は、金属珪素が窒化ホウ素、銅、ビスマス等の
物質または元素を含有しても影響は受けない。
【0022】 さらに、SiC材料は熱膨張係数がC/
Cコンポジットより大きいため、この材料をブレーキ用
部材として、長期間のブレーキ制動により発生する高温
下で使用しても、SiC材料からなる層が剥離するおそ
れがあるのに対し、本発明にかかる複合材料の場合に
は、表面に形成されている炭化珪素と所望により含有さ
れていてもよい金属珪素とからなる突起部または海の表
面と略同一水準まで該突起部を切削加工することで得ら
れる表面が実質的に平坦化された複合材部の熱膨張係数
はC/Cコンポジットと同程度であるため、熱膨張係数
の差に起因する剥離を防ぐことができ、ブレーキ用部材
として使用した場合にも優れた特質を有するものである
とすることができる。
【0023】 このような本発明にかかる高速回転用円
盤は、C/Cコンポジットの耐衝撃性、高硬度性および
軽量性と、Si−SiC材料またはSiC材料の、耐酸
化性、耐スポーリング性、自己潤滑性、耐摩耗性等を併
せ持ち、さらに、自己修復性をも有するため、高温酸化
条件下での使用に長期間耐えることができ、具体的に
は、大型輸送機械の分野におけるブレーキ用部材として
も、好適に用いることができる。また、個々のクロスの
編み目を結ぶ対角線上に沿って割れを生じないという優
れた機械的強度を有する。
【0024】 本発明にかかる高速回転体用円盤は、予
め所望とする形に成形して、このものに金属珪素を作用
させて製造する場合には、焼成後に、表面研磨すること
によりそのまま、所望とする部材として使用可能である
が、炭素繊維からなるクロスの積層体のまま焼成するに
は、平面研削盤等により適宜な寸法に切断加工し、平面
研削仕上げすることにより製造される。
【0025】
【実施例】 次に、本発明を実施例および比較例により
詳しく説明することとするが、本発明はこの実施例によ
り何ら限定されるものではない。なお、各例によって得
られた複合材料は、以下に示す方法よりその特性を評価
した。
【0026】(引張破壊試験の評価方法)ブレーキディ
スクの切り欠き形状に近似の切り欠き部を設けた試料の
切り欠き部内面に荷重を加えて、破壊させ、破壊したと
きの荷重で評価した。
【0027】(曲げ強度の評価方法)3点曲げで、テス
トピースに荷重をかけて、下式により算出した。 曲げ強度=3PL/2bh2 (式中、Pは最大荷重(N)、Lは支点間距離(m
m)、bはテストピースの幅、hはテストピースの厚さ
を表す。)
【0028】(引張強さの評価方法)テストピースに引
張荷重を加え、下記の式により算出した。 引張強さ=P’/A (式中、P’は最大荷重時の荷重、Aはテストピースの
最小断面積を表す。)
【0029】(圧縮強さの評価方法)テストピースに圧
縮荷重を加え、下記の式により算出した。 引張強さ=P/A (式中、Pは最大荷重時の荷重、Aはテストピースの最
小断面積を表す。)
【0030】(IZOD衝撃強さの評価方法)JISK
7110により評価。
【0031】(せん断強さの評価方法)テストピースに
圧縮荷重をかけてせん断強さを測定し、下式により算出
した。 せん断強さ=P/2bh (式中、Pは最大荷重(N)、bはテストピースの幅、
hはテストピースの厚さを表す。)
【0032】(熱膨張係数の測定方法)熱分析装置によ
り1000℃まで加熱し、変位量を測定。
【0033】(比熱の測定方法および熱伝導率の測定方
法)共に、レーザーフラッシュ法により測定。
【0034】(高温酸化条件下における質量減少率)所
望量のテストピースを0.1容量%の酸素を含む雰囲気
下で、800℃、1時間保持した後、質量を測定し、試
験開始前の質量から試験終了後の質量を引き算し、減少
質量を求め、これを試験開始前の質量に対する減少率と
して算出した。
【0035】(実施例)縦横各60cmの12Kの炭素
繊維クロスをそれぞれの対角線が45°となるように順
次4枚を1積層単位としてクロスの質量の約10%量の
ピッチで接着させながら積層成形して、20mmの厚さ
を有する積層体を得た。このものを約200℃で仮焼
し、その後2000℃で加熱しグラファイト化させ、い
わゆるC/Cコンポジットを得た。このものに、純度9
9.9%、平均粒径1mmのSi粉末を添加し、このも
のを炉内温度1300℃、炉内圧1hPaの焼成炉内に
入れ、炉内に毎分アルゴンガスを20NLの割合で流し
ながら、4時間保持した。次いで、炉内圧はそのままと
し、炉内温度を1600℃に昇温させて、Siを含浸さ
せた。かくして、Si、Si−C、炭素繊維からなる高
速回転体用円盤を得た。
【0036】 この高速回転体用円盤を平面研削盤によ
り縦60mm、横60mm、厚さ5mmの大きさに切断
加工した後、800#砥石で平面研削仕上げし、ブレー
キ用部材とした。得られたブレーキ用部材の研削面にお
ける表面粗さはRa=1μmであり、平面度は真直度で
2μmであった。得られたブレーキ用部材の一部を切り
出してテストピースを作成した。このテストピースを用
いて、上記の測定方法により、曲げ強度、引張強さ、引
張弾性、圧縮強さ、IZOD衝撃強さ、せん断強さ、熱
膨張係数、比熱、熱伝導率、耐酸化性等の測定し、その
結果を表1に示す。また、これとは別に実施した、引張
破壊試験の結果は、図2に示す。
【0037】 上記とは別にいわゆるC/Cコンポジッ
トを平面研削盤により縦60mm、横60mm、厚さ5
mmの大きさに切断加工した後、800#砥石で平面研
削仕上げし、ブレーキ用部材とした。得られたブレーキ
用部材の一部を切り出してテストピースを作成した。こ
のテストピースについても、上記の測定方法により、曲
げ強度、引張強さ、引張弾性、圧縮強さ、IZOD衝撃
強さ、せん断強さ、熱膨張係数、比熱、熱伝導率、耐酸
化性等の測定し、その結果も表1に示す。また、これと
は別に実施した、引張破壊試験の結果は、図2に示す。
【0038】(比較例)縦横各60cmの12Kの炭素
繊維クロスをそれぞれの対角線が90°となるように順
次2枚を1積層単位として、クロスの質量の約10%量
のピッチで接着させながら積層成形して、20mmの厚
さを有する積層体を得た。このものを約200℃で仮焼
し、その後2000℃で加熱しグラファイト化させ、い
わゆるC/Cコンポジットを得た。このものに、純度9
9.9%、平均粒径1mmのSi粉末を添加し、このも
のを炉内温度1300℃、炉内圧1hPaの焼成炉内に
入れ、炉内に毎分アルゴンガスを20NLの割合で流し
ながら、4時間保持した。次いで、炉内圧はそのままと
し、炉内温度を1600℃に昇温させて、Siを含浸さ
せた。かくして、Si、Si−C、炭素繊維からなる高
速回転体用円盤を得た。
【0039】 この高速回転体用円盤を平面研削盤によ
り縦60mm、横60mm、厚さ5mmの大きさに切断
加工した後、800#砥石で平面研削仕上げし、ブレー
キ用部材とした。得られたブレーキ用部材の研削面にお
ける表面粗さはRa=1μmであり、平面度は真直度で
2μmであった。得られたブレーキ用部材の一部を切り
出してテストピースを作成した。このテストピースを用
いて、上記の測定方法により、曲げ強度、引張強さ、引
張弾性、圧縮強さ、IZOD衝撃強さ、せん断強さ、熱
膨張係数、比熱、熱伝導率、耐酸化性等の測定し、その
結果も表1に示す。また、これとは別に実施した、引張
破壊試験の結果は、図2に示す。
【0040】 上記とは別にいわゆるC/Cコンポジッ
トを平面研削盤により縦60mm、横60mm、厚さ5
mmの大きさに切断加工した後、800#砥石で平面研
削仕上げし、ブレーキ用部材とした。得られたブレーキ
用部材の一部を切り出してテストピースを作成した。こ
のテストピースについても、上記の測定方法により、曲
げ強度、引張強さ、引張弾性、圧縮強さ、IZOD衝撃
強さ、せん断強さ、熱膨張係数、比熱、熱伝導率、耐酸
化性等の測定し、その結果も表1に示す。また、これと
は別に実施した、引張破壊試験の結果は、図2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】 表1より、本発明にかかる高速回転体用
円盤は、炭化珪素層の形成の有無にかかわりなく、比較
例の円盤と比較して、曲げ強度、引張強さ等の各機械的
特性に関する測定項目において改善されており、その他
の測定項目においても比較例のものに比較して、遜色な
いことがわかる。耐酸化性についても、本発明にかかる
高速回転体用円盤は優れた値を示した。また、引張破壊
試験においては、炭化珪素層を形成させてないものの方
が、優れた数値を示したが、炭化珪素層が形成させてい
るものの方も、比較例と比較して、約5倍以上の強度を
示した。なお、上記で得られて各円盤を高速回転試験に
供したが、本発明にかかる円盤を高速回転試験に供した
が、炭化珪素層の形成の有無にかかわりなく、1000
0rpmで数百時間回転させても割れを生じなかった。
一方、比較例のものは、10000rpmで0.1時間
回転させた時点で特定箇所に割れを生じた。
【0043】
【発明の効果】 本発明にかかる高速回転体用円盤は酸
素の存在下での高温条件での耐摩耗性においても優れて
おり、特に、耐酸化性、耐クリープ性、耐スポーリング
性を有する炭化珪素層または島状の炭化珪素が所望とす
る割合で表面に形成されているものは、C/Cコンポジ
ットの有する低耐酸化性を克服することができ、高温で
かつ酸素存在下においても、使用が可能である。また、
優れた耐摩耗性をも併せ持つ。また、炭素繊維製クロス
を所望とする枚数を編み目同士を結ぶ対角線が所望とす
る角度、例えば図1に模式的に示したように45°の角
度をもって積層することにより得られるので、1000
0rpmで数百時間回転させても特定箇所に割れを生じ
ないという優れた機械的強度を有する。また、C/Cコ
ンポジットを母材としていることから、軽量であり、エ
ネルギーの損失が少なく、省エネルギーの要請にも沿
う。さらに、母材がC/Cコンポジットであるため、靱
性に富み、優れた耐衝撃性、高硬度性を有する。従っ
て、本発明にかかる高速回転体用円盤は、例えば、高温
でかつ酸素の存在下で使用されることとなる大型輸送機
械の制動装置におけるブレーキ用部材や各種工作機械の
部材として極めて有望な素材であることは明らかであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる高速回転体用円盤における編
み目が交差する状態を模式的に示す概念図である。
【図2】 引張破壊試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1…円盤、2…編み目。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09K 3/14 520 F16D 69/00 R C04B 35/54 D F16D 65/12 35/56 101L 69/00 35/80 B K Fターム(参考) 3J058 AA43 BA41 BA46 CA42 EA28 GA29 GA73 4G001 BA60 BA62 BA86 BB22 BB60 BB62 BB86 BC33 BC54 BC72 BD03 BD05 BD11 BD13 BD14 4G032 AA04 AA33 AA42 AA52 BA02 GA12 GA20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維製クロスが所望とする枚数編み
    目同士を結ぶ対角線が相互に所望の角度をもって積層さ
    れていることを特徴とする高速回転体用円盤。
  2. 【請求項2】 1積層単位が3〜50層であることを特
    徴とする請求項1に記載の高速回転体用円盤。
  3. 【請求項3】 1積層単位が4〜8層であることを特徴
    とする請求項1に記載の高速回転体用円盤。
  4. 【請求項4】 所望の角度が最大で60°であることを
    特徴とする請求項1または2に記載の高速回転体用円
    盤。
  5. 【請求項5】 さらに、表面全面に炭化珪素層が形成さ
    れているか或いは所望とする密度で炭化珪素が島状にそ
    の表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4
    の何れか一項に記載の高速回転体用円盤。
  6. 【請求項6】 0.1mm〜5mm程度の厚さのクロス
    を、6〜50層を1積層単位とする各クロスの編み目同
    士を結ぶ各対角線がそれぞれ所望とする角度となるよう
    に積層し、得られた積層体を仮焼することよりなること
    を特徴とする高速回転体用円盤の製造方法。
  7. 【請求項7】 少なくとも一巡目の積層が終了するまで
    は、交互に積層される各クロスの編み目同士を結ぶ各対
    角線が相互に重ならない様に積層することを特徴とする
    請求項6に記載の高速回転体用円盤の製造方法。
  8. 【請求項8】 さらに、表面全面に炭化珪素層が形成さ
    れているか或いは所望とする密度で炭化珪素が島状にそ
    の表面に形成することを特徴とする請求項6または7に
    記載の高速回転体用円盤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007136962A1 (en) * 2006-05-18 2007-11-29 Sulzer Euroflamm Us Inc. A friction material and system and method for making the friction material
KR102134644B1 (ko) 2019-02-14 2020-07-16 엘지전자 주식회사 전원공급조절장치 및 이를 구비하는 휴대용 기기
KR20200099502A (ko) 2019-02-14 2020-08-24 엘지전자 주식회사 전원공급조절장치 및 이를 구비하는 휴대용 기기

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WO2007136962A1 (en) * 2006-05-18 2007-11-29 Sulzer Euroflamm Us Inc. A friction material and system and method for making the friction material
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