JP2002273599A - すみ肉溶接継手およびすみ肉溶接方法 - Google Patents

すみ肉溶接継手およびすみ肉溶接方法

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JP2002273599A JP2001079139A JP2001079139A JP2002273599A JP 2002273599 A JP2002273599 A JP 2002273599A JP 2001079139 A JP2001079139 A JP 2001079139A JP 2001079139 A JP2001079139 A JP 2001079139A JP 2002273599 A JP2002273599 A JP 2002273599A
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welding
fillet
weld metal
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Yasushi Morikage
康 森影
Takahiro Kubo
高宏 久保
Koichi Yasuda
功一 安田
Kenichi Amano
虔一 天野
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強さ590MPa以上の高張力鋼材を溶接して
得られるすみ肉溶接(特に、重ねすみ肉溶接)継手にお
ける疲労特性の改善技術を提案する。 【解決手段】 引張強さ590 MPa 以上の高張力鋼材を溶
接ワイヤを用いてすみ肉溶接するに当たり、溶接金属の
組成が下記 (1)〜 (3)式を満足するように、溶接ワイヤ
および溶接条件を定めて溶接する。 記 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S 、O
:各元素の含有量 (質量%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、590 MPa 以上の引
張強さを有する、高張力鋼材のすみ肉溶接技術に関わ
り、とくにすみ肉溶接継手の疲労特性改善技術に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自動車車体などの鋼製の構造物には、軽
量化を図るために、より高強度の鋼材が使用される傾向
にある。これら構造物が、例えば自動車などのように、
振動を伴う環境で使用される場合には、引張強度だけで
なく、十分な疲労強度も具備していることが必要とな
る。ところが、高張力鋼材の溶接継手においては、静的
な引張強度は鋼材の引張強度の増大とともに増すのに対
して、疲労強度は、鋼材の疲労強度の増大に対応して増
加しないという大きな問題が指摘されている。このよう
な問題は、特に自動車用鋼材としての利用価値の高い、
引張強さ590MPa級の高張力鋼板において、その解決が難
しく、溶接継手の疲労強度をより高める技術の出現が強
く望まれている。また、溶接継手の中でも特に利用価値
の高いすみ肉溶接継手について疲労強度を高める技術出
現が強く望まれている。
【0003】ところで、すみ肉溶接継手の疲労特性を向
上させるには、一般に、溶接止端部の曲率半径を大きく
して、止端部での応力集中を低減することが有効である
ことが知られている。このような観点から、特開平 8−
25080 号公報には、溶接ワイヤの化学組成および溶接電
圧を規定することにより、溶接ビード止端部の曲率半径
を大きくして、すみ肉溶接部の疲労特性を向上させる溶
接方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発明者
らが高張力鋼材の溶接に多く利用される溶接によるすみ
肉溶接継手について詳細に調査したところ、単に溶接ワ
イヤの化学組成や溶接電圧のみを規定しただけでは、す
み肉溶接継手の疲労特性を十分に確保できない場合があ
ることが分かった。そこで、本発明は、引張強さ590MPa
以上の高張力鋼材を溶接して得られるすみ肉溶接(特
に、重ねすみ肉溶接)継手における疲労特性の改善技術
を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記課題決
するために、溶接に用いた溶接ワイヤ、鋼材および溶接
金属それぞれの化学組成が、高張力鋼材のすみ肉溶接継
手の疲労強度に与える影響をさらに検討した。その結
果、前記疲労強度(疲労限)は、溶接金属の化学組成を
適正範囲に制御して初めて向上することを見いだした。
【0006】本発明は、このような知見に基づいて完成
したものであり、その構成は次のとおりである。 1) 引張強さ590 MPa 以上の高張力鋼材をすみ肉溶接
して得られた、下記 (1)〜 (3)式を満足する組成の溶接
金属を有することを特徴とするすみ肉溶接継手。 記 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S、O
: 各元素の含有量 (質量%)
【0007】2) 上記1)に記載の溶接金属の組成
が、C:0.20質量%以下を含有し、さらに、Cr:3.0 〜
13.0質量%、Ni:3.0 〜12.0質量%の1種または2種を
含有する溶接金属であることを特徴とするすみ肉溶接継
手。
【0008】3) 上記1)ないしは2)に記載の溶接
金属の組成が、さらに、Si:1.0 質量%以下、Mn:2.5
質量%以下、を含有する溶接金属であることを特徴とす
るすみ肉溶接継手。
【0009】4) 上記1)ないしは3)のいずれかに
記載の溶接金属の組成が、さらにMo:4.0 質量%以下、
Nb:1.0 質量%以下、REM:0.01〜0.30質量%のう
ち、1種または2種以上を含有する溶接金属であること
を特徴とするすみ肉溶接継手。
【0010】5) 引張強さ590 MPa 以上の高張力鋼材
を溶接ワイヤを用いてすみ肉溶接するに当たり、溶接金
属の組成が下記 (1)〜 (3)式を満足するように、溶接ワ
イヤおよび溶接条件を定めて溶接することを特徴とする
すみ肉溶接方法。 記 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S 、O
:各元素の含有量 (質量%)
【0011】6) 上記5)に記載の溶接金属が、C:
0.20質量%以下を含有し、さらに、Cr:3.0 〜13.0質量
%、Ni:3.0 〜12.0質量%の1種または2種を含有する
ように、溶接ワイヤおよび溶接条件を定めて溶接するこ
とを特徴とするすみ肉溶接方法。
【0012】7) 上記5)ないしは6)に記載の溶接
金属が、Si:1.0 質量%以下、Mn:2.5 質量%以下、を
含有するように、溶接ワイヤおよび溶接条件を定めて溶
接することを特徴とするすみ肉溶接方法。
【0013】8) 上記5)ないしは7)のいずれかに
記載の溶接金属が、さらにMo:4.0 質量%以下、Nb:1.
0 質量%以下、REM:0.01〜0.30質量%のうち、1種
または2種以上を含有することを特徴とするすみ肉溶接
方法。
【0014】
【発明の実施の形態】先ず、本発明のすみ肉溶接継手の
一部を構成する鋼材について説明する。本発明で対象と
する鋼材は、引張強さ590 MPa 以上の強度を有するもの
である。したがって、この引張強さに相当する高張力鋼
材は、その成分組成の如何にかかわらず適用しうるが、
本発明を適用するに好適な成分組成として、特に以下の
ものが挙げられる。なお、成分含有量の%は質量%を表
すものとする。C:0.04〜0.15%、Si:0.3 〜2.0 %、
Mn:1.0 〜3.0 %、P:0.05%以下、S:0.05%以下、
Al:0.005 〜0.10%を含有し、残部はFeおよび不可避的
不純物からなる鋼材。前記鋼材の組成に加えてNi:0.1
〜2.0 %、Cr:0.01〜1.0 %、Mo:0.01〜1.0 %、Cu:
0.01〜0.50%、Ti:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.10%、
B:0.0005〜0.0100%から選ばれる少なくとも1種また
は2種以上を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物か
らなる鋼材。
【0015】また、本発明のすみ肉溶接継手を構成する
溶接金属の化学組成(いずれの成分も質量%で表す)
は、次の(1),(2) および(3) 式を満足することが必要で
ある。 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S 、O
:各元素の含有量 (質量%)
【0016】以下に上記各式の限定理由を説明する。溶
接金属の含有成分が、上記(1) 式を満足すると、すみ肉
溶接後の冷却途上の170 ℃以上450 ℃以下の温度でマル
テンサイト変態が開始する。このとき、溶接止端部付近
で、圧縮の残留応力が導入され、結果的にすみ肉溶接継
手の疲労強度の向上に有利に作用する。(1) を満足しな
い組成であると、溶接止端部付近で引張方向の残留応力
が導入されることになり、すみ肉溶接継手の疲労強度は
向上しない。なお、(1) 式の、719 −795 C−35.55 Si
−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nbは、冷
却時における溶接金属のマルテンサイト変態開始温度を
単位℃で表すものであり、(1) 式はこの変態開始温度が
170 ℃以上450 ℃以下となる必要があることを表してい
る。すなわち、本発明においては、溶接金属のマルテン
サイト変態の開始温度を450 ℃以下170 ℃以上とするこ
とで、溶接金属のマルテンサイト変態による膨張量を大
きくすることができ、かつ、該膨張量の大きな状態が室
温付近となって、溶接金属の冷却過程終了時には、該溶
接金属がマルテンサイト変態開始時よりも膨張している
状態となる。このため、該膨張により溶接止端部近傍に
圧縮残留応力が導入されて、溶接金属の冷却過程で生じ
る引張残留応力が低減し、これによってすみ肉溶接継手
の疲労強度が向上するのである。
【0017】本発明では、溶接金属の成分組成が、さら
に次式: 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ----(2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ----(3) ここにC 、S 、O 、Si、Mn、Ti 、Al:各元素の含有量
(重量%) を満足している必要がある。 (C+4S+2O) の値
が、0.10質量%未満では、溶接中のアーク直下の溶鋼の
粘性が大きくなるため、溶接ビード止端部で鋼材と溶鋼
のなじみが悪くなり、止端部曲率半径が小さくなること
によりすみ肉溶接継手の疲労強度を劣化させる。一方、
この値が0.35質量%を超えると、溶鋼の表面張力の温度
勾配dγ/dTが負となるため、溶接中のアーク直下の
溶鋼表面流が放射流から求心流となり、溶接ビードは深
溶け込みの凸形ビードとなること、さらには、溶鋼の粘
性が小さくなり過ぎるため、アーク力により溶鋼が溶融
池後方に押しやられて凸形ビードとなること、の2点に
より、溶接ビード止端部での曲率半径は小さくなりすみ
肉溶接継手の疲労強度は劣化する。このため、 (C+4
S+2O) の値は(2) 式を満足する必要がある。
【0018】また、 (Si+Mn+4Ti+2Al) の値が1.4
質量%未満では、溶接アークの状態が不安定になり、溶
接作業性が悪くなるとともに、溶接ビード形状が不規則
となり、溶接止端部での曲率半径は小さくなりすみ肉溶
接継手の疲労強度は低下する。また、この値が3.9 質量
%を超えると、溶接金属の延性が低下するとともに、溶
接割れが生じやすくなる。このため、(Si +Mn+4Ti+
2Al) の値は(3) 式を満足する必要がある。
【0019】本発明のすみ肉溶接継手における溶接金属
の各成分元素の含有量は以下のように限定すると好まし
い。 C:0.20質量%以下 Cは、マルテンサイトの硬さを増し、低温割れを助長す
る元素であり、できるだけ低減するのが好ましい。溶接
割れの観点からは0.20質量%以下、好ましくは0.12質量
%以下とする。
【0020】Cr:3.0 〜13.0質量%、Ni:3.0 〜12.0質
量の1種または2種 CrおよびNiは溶接金属のマルテンサイト変態開始温
度を低下させ、溶接継手の疲労強度を向上させるために
添加した。実用的な溶接継手において、溶接金属のマル
テンサイト変態開始温度を450℃以下とするために
は、Cr:3.0 質量%以上かつNi:3.0 質量%以上である
ことが好ましい。Crを:3.0 質量%未満としても、Ni
の含有量を増加させることにより、溶接金属のマルテン
サイト変態開始温度を450℃以下とすることは出来
る。しかし、3.0 質量%未満のCr量で、マルテンサイト
変態開始温度を450 ℃以下にするには、高価なNiや、溶
接ワイヤの製造時の加工性を劣化させるその他の成分を
多量に含有させることが必要になるので、3.0 質量%以
上とした。また、上限を13.0質量%としたのは、溶接金
属の組織にフェライト組織が出現することを抑制して靱
性を確保するためである。
【0021】Niを:3.0 質量%未満としても、Ni以
外のマルテンサイト変態開始温度を低下させうる他の元
素の含有量を増加させることにより、溶接金属のマルテ
ンサイト変態開始温度を450℃以下とすることは出来
る。しかし、3.0 質量%未満のNi量で、マルテンサイト
変態開始温度を450 ℃以下とするには、溶接ワイヤの製
造時の加工性を劣化させるその他の成分を多量にさせる
ことが必要になるので、3.0 質量%以上とした。また、
12.0質量%を超えて含有させても効果が飽和し、経済的
に好ましくないので、Ni含有量の上限は12.0質量%とし
た。以上の理由から、CrおよびNiはCr:3.0 〜13.0
質量%、Ni:3.0 〜12.0質量%とする。
【0022】本発明のすみ肉溶接継手における溶接金属
の各成分元素の含有量は、前記に加えて、以下の限定を
するとさらに好ましい。 Si:1.0 質量%以下 Siは、脱酸剤として溶接材料(溶接ワイヤ、フラックス
等)から主として供給され、マルテンサイト変態開始温
度 (Ms点) を低下させる作用を有し、Ms点低下のために
は多く含有させるほうが好ましい。しかし、溶接金属に
Siを1.0 質量%を超えて含有させると、溶接ワイヤ製造
時の加工性を劣化させる。したがって、Siは1.0 質量%
以下とする。なお、脱酸剤としての効果を十分に得るた
めには、より好ましくは、0.05質量%以上とする。
【0023】Mn:2.5 質量%以下 Mnは、脱酸剤として溶接材料から主として供給される。
2.5 質量%を超えて含有させると、溶接ワイヤ製造時の
加工性を劣化させる。したがって、Mnは2.5 質量%以下
とする。なお、脱酸剤としての効果を十分に得るために
は、より好ましくは、0.05質量%以上とする。
【0024】Mo:4.0 質量%以下、Nb:1.0 質量%以
下、REM:0.01〜0.30重量%のうち、1種または2種 Moは、溶接金属の耐食性を向上させるために、添加する
ことができるが、4.0質量%を超えて含有させると、溶
接ワイヤ製造時の加工性を劣化させる。したがって、Mo
は4.0 質量%以下とする。なお、耐食性向上の効果を十
分に得るためには、より好ましくは、0.005 質量%以上
とする。Nbは、マルテンサイト変態開始温度 (Ms点) を
低下させる作用を有し、Ms点低下のためには多く含有さ
せることが好ましい。しかし、1.0 質量%を超えて含有
させると、溶接ワイヤの製造時の加工性を劣化させる。
したがって、Nbは1.0 質量%以下とする。
【0025】REM (希土類元素:Rare Earth Materia
l)は、シールドガスとして不活性ガスを用いてMIG溶
接を行う場合に、溶鋼表面にアーク放電における陰極点
を形成し、アークを安定させる効果を有する。REM含
有量が0.01質量%未満では、アークを安定させる効果が
得られない。一方、REM含有量が0.30質量%を超える
と、溶接金属中の介在物が増加し、溶接金属の靱性が劣
化する。従って、REMは0.01〜0.30質量%とする。な
お、アークの安定性と靱性を高いレベルで両立させる観
点から、好ましい含有範囲は0.03〜0.20質量%である。
また、REMとして使用する元素は、LaおよびCeが入手
しやすいので好ましい。ただし、La、Ceに限らず、Sc、
Yあるいは原子番号57(La)ないし71(Lu)の元素を用いて
もよい。 本発明においては、これらREMは1種の元
素を用いてもよいし、2種以上の元素を用いても良い。
REMとして1種の元素を用いる場合は、その元素を0.
01〜0.30質量%含有し、REMとして2種の元素を用い
る場合は、それらの元素の合計は0.01〜0.30質量%とす
る。
【0026】本発明における溶接金属では、上記した以
外の元素については、とくに限定する必要はないが、
V、Cuをそれぞれ0.5 質量%以下含有することは許され
る。なお、このほかの元素が、鋼材、溶接材料に不可避
に含有されてもなんら問題はない。
【0027】本発明のすみ肉溶接継手を製作するに当た
っては、溶接方法に制限されないが、フラックス入り溶
接ワイヤ使用を含めたガスシールドアーク溶接で製造で
きる。ただし、溶接金属の組成が所定組成になるような
溶接条件とする。また、ガスシールドアーク溶接の場合
には、溶接金属の組成を殆ど決定付ける鋼材の組成、溶
接材料の組成および溶け込み量を所望の溶接金属を得る
ように制御することはもちろん、必要な場合はシールド
ガス組成やフラックスの種類にも配慮する。
【0028】本発明の溶接方法は、すみ肉溶接継手に適
用した場合に、もっとも有利となるが、スロット溶接継
手の場合にも疲労特性の向上効果が期待できる。なお、
本発明のすみ肉溶接継手は、引張強さ590 MPa 以上の高
張力鋼材を溶接して製造する場合に、有利に疲労強度の
優れたすみ肉溶接継手を提供できる。また、ガスシール
ドアーク溶接する場合には、鋼材板厚を1.0 mm以上とす
れば好ましい。鋼材板厚が1.0 mm未満では、ガスシール
ドアーク溶接でのすみ肉溶接時に溶け落ちが生じやす
く、溶接ビード止端部形状の確保が難しい場合があるか
らである。
【0029】
【実施例】本発明を実施例にもとづいて説明する。鋼材
の化学組成を表1に、溶接ワイヤの化学組成を表2に示
す。鋼材の板厚は1.2 mmとした。これらの組み合わせに
より、ガスシールドアーク溶接により、すみ肉溶接継手
の一形態である重ねすみ肉溶接継手を作製した。ガスシ
ールドアーク溶接におけるシールドガスは、Ar80体積
%、CO20体積%の割合とした。溶接条件は電流 250
A、電圧30V、溶接速度 20 cm/minとし、予熱は行わな
かった。得られた重ねすみ肉溶接継手から、図1に示す
疲労試験片を採取し、油圧サーボ式疲労試験機を用いて
両振り曲げ疲労試験を行い、200 万回の疲労強度を導出
した。振幅周波数は3〜8Hzとした。試験結果を表3に
示す。(1),(2),(3) 式を満たす発明例の重ねすみ肉溶接
継手1,2,6〜11については、170 MPa 以上と優れ
た200 万回疲労強度が得られた。特に溶接継手1および
2は、200MPaを超える。さらに優れた200 万回疲労強度
が得られた。比較例の重ねすみ肉溶接継手3ないし5で
は、(1),(2),(3) 式のいずれかが満足していないために
200 万回疲労強度が発明例に比べて大幅に劣っていた。
なお、上記の実施例は一例であり、被溶接鋼材の種類、
各種溶接条件や継手形状は上記の実施例に限定されな
い。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
59MPa 以上の引張強さを有する高張力鋼材をすみ肉溶接
し、疲労特性に優れたすみ肉溶接継手を提供することが
可能になる。また、本発明は、板厚1.0 mm以上の高張力
鋼材を溶接して得られるすみ肉溶接継手において、特に
有利に疲労特性の向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】疲労試験に用いた試験片形状をを示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/58 C22C 38/58 (72)発明者 安田 功一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 天野 虔一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4E001 AA03 CA02 DA05 DC01 EA05 EA10 4E081 AA08 BA05 DA12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張強さ590MPa 以上の高張力鋼材
    をすみ肉溶接して得られた、下記 (1)〜 (3)式を満足す
    る組成の溶接金属を有することを特徴とするすみ肉溶接
    継手。 記 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S 、O
    :各元素の含有量 (質量%)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の溶接金属の組成が、
    C:0.20質量%以下を含有し、さらに、Cr:3.0 〜13.0
    質量%、Ni:3.0 〜12.0質量%の1種または2種を含有
    する溶接金属であることを特徴とするすみ肉溶接継手。
  3. 【請求項3】 請求項1ないし2に記載の溶接金属の組
    成が、さらに、Si:1.0 質量%以下、Mn:2.5 質量%以
    下、を含有する溶接金属であることを特徴とするすみ肉
    溶接継手。
  4. 【請求項4】 請求項1ないしは3のいずれかに記載の
    溶接金属の組成が、さらにMo:4.0 質量%以下、Nb:1.
    0 質量%以下、REM:0.01〜0.30質量%のうち、1種
    または2種以上を含有する溶接金属であることを特徴と
    するすみ肉溶接継手。
  5. 【請求項5】 引張強さ590 MPa 以上の高張力鋼材を溶
    接ワイヤを用いてすみ肉溶接するに当たり、溶接金属の
    組成が下記 (1)〜 (3)式を満足するように、溶接ワイヤ
    および溶接条件を定めて溶接することを特徴とするすみ
    肉溶接方法。 記 170 ≦ 719−795 C−35.55 Si−13.25 Mn−23.7Cr−26.5Ni−23.7Mo−11.85 Nb ≦450 ---- (1) 0.10≦C+4S+2O≦0.35 ---- (2) 1.4 ≦Si+Mn+4Ti+2Al≦3.9 ---- (3) ここに、C、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、Nb、Ti、Al、S 、O
    :各元素の含有量 (質量%)
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の溶接金属が、C:0.20
    質量%以下を含有し、さらに、Cr:3.0 〜13.0質量%、
    Ni:3.0 〜12.0質量%の1種または2種を含有するよう
    に、溶接ワイヤおよび溶接条件を定めて溶接することを
    特徴とするすみ肉溶接方法。
  7. 【請求項7】 請求項5ないしは6に記載の溶接金属
    が、さらに、Si:1.0質量%以下、Mn:2.5 質量%以
    下、を含有するように、溶接ワイヤおよび溶接条件を定
    めて溶接することを特徴とするすみ肉溶接方法。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれかに記載の溶
    接金属が、さらにMo:4.0 質量%以下、Nb:1.0 質量%
    以下、REM:0.01〜0.30質量%の1種または2種以上
    を含有することを特徴とするすみ肉溶接方法。
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