JP2002270923A - 光半導体素子、及びその製造方法 - Google Patents

光半導体素子、及びその製造方法

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JP2002270923A
JP2002270923A JP2001071972A JP2001071972A JP2002270923A JP 2002270923 A JP2002270923 A JP 2002270923A JP 2001071972 A JP2001071972 A JP 2001071972A JP 2001071972 A JP2001071972 A JP 2001071972A JP 2002270923 A JP2002270923 A JP 2002270923A
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optical semiconductor
electrode layer
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assembled film
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JP2001071972A
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Hideki Etori
秀樹 餌取
Shiyoushin Boku
鐘震 朴
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Kawamura Institute of Chemical Research
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Kawamura Institute of Chemical Research
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 感度の減少を抑え、光電流/暗電流比を向上
させた光半導体素子、及びその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 電極層(a)、分子性光導電材料蒸着膜
からなる光導電層(b)、自己組織化膜からなる絶縁層
(c)、及び電極層(d)が、この順で積層された光半
導体素子であって、暗電流が、絶縁層(c)を有さな
い、(a)(b)(d)のみからなる光半導体素子の暗
電流の2分の1以下であることを特徴とする光半導体素
子、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光半導体素子及びそ
の製造方法に関し、更に詳しくは、自己組織化膜からな
る絶縁層が形成された電極層を有する、光電流/暗電流
比が改善された、イメージセンサー等に有用な光半導体
素子、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、イメージセンサー等の光導電性物
質としては、種種の無機系及び有機系の光導電物質が用
いられてきた(「モレキュラーセミコンダクター(Mo
lecular Semiconductor)」(シ
ュプリンガー−ブアーラグ(Springer−Ver
lag)社、1985年)。
【0003】これらの光導電物質を用いた光半導体素子
は、一般に光導電物質を二つの電極の間に挟持して素子
を形成したものである。これらの光半導体素子におい
て、光電流(光照射下の電流と暗電流の差)を暗電流
(光を照射しなかった場合の電流)で除した商(光電流
/暗電流比)を向上させることは、イメージセンサー等
に応用するにあたって重要である。
【0004】「Japan Hardcopy’92
論文集」には、光導電層と電極層の間にポリアミド樹脂
よりなる絶縁層を2〜20μm設けて暗電流を減少させ
ることにより、光電流/暗電流比を1から2.9まで向
上させられることが報告されている。しかしながら、こ
の方法では、絶縁層の膜厚が2〜20μmとかなり厚く
なり、暗電流が約0.002倍に、光電流も0.005
7倍に減少するため、感度の観点から、好ましいとは言
えない。
【0005】これらの状況から、本発明者らは、超薄膜
を形成できる有機化合物(絶縁体)膜に注目した。中で
も、より簡便に作製できる有機化合物(絶縁体)からな
る超薄膜として、特定の化合物(以下、自己組織化膜形
成用化合物と呼ぶ)の溶液に電極層を有する基板を浸漬
すると、自己組織化膜形成用化合物が、まず基板電極層
表面に吸着し、次いで化学結合あるいは化学結合に匹敵
するエネルギーで電極層表面に化学吸着を起こし、自ら
組織化しながら基板電極表面に分子膜を形成し最終的に
は基板電極表面に緻密な分子膜層を形成する「自己組織
化膜」
【0006】[「シン ソリッド フィルムズ(Thi
n Solid Films)」第99巻235頁、1
983年;「ラングミュアー(Langmuir)」第
11巻813頁、1995年;「ジャーナル オブ ケ
ミカル フィジックス(J.Chem.Phys.)」
第95巻、2854頁、1991年;「東芝シリコーン
プロダクツ インフォメーション(Products
Information)」(S‐0002)等]に注
目した。
【0007】光半導体素子の作製に自己組織化膜からな
る超薄膜を利用することは、素子面に平坦性を与えるこ
と等から行われているが、これらの自己組織化膜からな
る超薄膜は、光半導体素子作製段階、即ち、光導電層を
形成する過程において、その一部が極めて脱落し易く、
その結果、僅かな脱落箇所があっても、該箇所が導電パ
スとなり、従来の自己組織化膜を有する光半導体素子の
自己組織化膜は、実質的に絶縁層として機能していなか
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、感度の減少を抑え、光電流/暗電流比を向
上させた光半導体素子、及びその製造方法を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、自己組織化膜
形成用化合物を適切に選択し、且つ、分子性光導電材料
蒸着膜よりなる光導電層を形成する過程において、自己
組織化膜を形成した基板電極温度を定められた温度以下
に保持することで、自己組織化膜の脱落が抑えられ、自
己組織化膜が絶縁層として機能し、その結果、感度の減
少が極力抑えられて光電流/暗電流比が向上した、電極
層(a)/光導電層(b)/絶縁層(c)/電極層
(d)という積層構造からなる光半導体素子が得られる
ことを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、電極層(a)、分子性光
導電材料蒸着膜からなる光導電層(b)、自己組織化膜
からなる絶縁層(c)、及び電極層(d)が、この順で
積層された光半導体素子であって、暗電流が、絶縁層
(c)を有さない、(a)(b)(d)のみからなる光
半導体素子の暗電流の2分の1以下であることを特徴と
する光半導体素子である。
【0011】詳しくは、電極層(d)が、その表面に酸
化物層を有するスズ、インジウム、アルミニウム、銅、
クロム、チタニウム、鉄又はニッケルからなる電極層、
あるいは酸化スズ又はインジウムスズオキサイドからな
る電極層であり、且つ、自己組織化膜からなる絶縁層
(c)を構成する分子が、電極層(d)の表面に存在す
る酸化物を構成する分子と化学結合しているか、又は電
極層(d)が、その表面に酸化物層を有していない銅、
銀、金又は白金からなる電極層であり、且つ、自己組織
化膜からなる絶縁層(c)を構成する分子が、電極層
(d)を構成する分子又は原子と化学結合している光半
導体素子である。
【0012】また、本発明の光半導体素子は、絶縁層
(c)が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、カルボ
キシル基及びヒドロキサム基からなる群から選ばれる、
電極層(d)と反応性の官能基を有する自己組織化膜形
成用化合物から形成されている光半導体素子、又は絶縁
層(c)が、炭素原子16個以上の直鎖アルキル骨格を
有する自己組織化膜形成用化合物から形成されている光
半導体素子である。
【0013】また、本発明の光半導体素子は、絶縁層
(c)が、アルコキシシリル基、ハロシリル基、カルボ
キシル基及びヒドロキサム基からなる群から選ばれる電
極層(d)と反応性の官能基を側鎖中に有する高分子化
合物からなる自己組織化膜形成用化合物から形成され光
半導体素子である。
【0014】更にまた、本発明の光半導体素子は、絶縁
層(c)が、電極層(d)と反応性の官能基として、メ
ルカプト基を有する自己組織化膜形成用化合物から形成
されている光半導体素子や、絶縁層(c)が反応性のメ
ルカプト基を側鎖中に有する高分子化合物からなる自己
組織化膜形成用化合物から形成されている光半導体素
子、更に、絶縁層(c)が、2つ以上の自己組織化膜の
層からなる多層からなる光半導体素子を含む。また本発
明の光半導体素子は、その光導電層(b)が、特に、フ
タロシアニン類、又はフラーレン類である分子性光導電
材料の蒸着膜で形成されている光半導体素子である。
【0015】更に本発明は、70℃以下に保持した、絶
縁層(c)を有する電極層(d)上に、分子性光導電材
料を蒸着することにより、光導電層(b)を形成するこ
とを特徴とする、本発明の光半導体素子の製造方法を含
むものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の光半導体素子の構成は、
光半導体素子の平面図(図1)、及び図1の(m)−
(m)線における断面図(図2)に示すように、電極層
(a)と分子性光導電材料蒸着膜からなる光導電層
(b)と自己組織化膜からなる絶縁層(c)と電極層
(d)からなり、基板(e)に設置した電極層(d)上
に、自己組織化膜を形成させて絶縁層(c)とし、次い
で、この上に分子性光導電材料を蒸着して光導電層
(b)を形成し、更にこの上に電極層(a)を形成して
製造される。
【0017】これらの図1及び2における電極の構成は
一例であって、本発明はこれらに制限されるものではな
く、図1の構成において、電極層(d)は電極層(a)
に直交する短冊状であっても良く、絶縁性無機材料の蒸
着膜で被覆してもよい。本発明の光半導体素子の電極層
(a)及び(d)は、電気の良導体であれば良く、その
ような電極層としては、例えば、
【0018】(イ)アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレ
ンス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、イ
ンジウム、金、銀、白金などの金属、又はこれら金属の
一種以上を含む合金で形成された金属板;
【0019】(ロ)ポリマーフィルム、ガラスなどの透
明基板板上に形成された金属の蒸着膜、スパッタリング
膜、金属コロイドの塗布・加熱処理などの手法により形
成された上記金属の一種以上を含む金属からなる電極
層;
【0020】(ハ)ポリマーフィルム、ガラスなどの透
明基板上に、塗布、蒸着、スパッタリングなどの手法に
より形成された酸化スズ(NESA)、酸化インジウム
(ITO)、酸化亜鉛、酸化チタン等を含んでいる電極
層などが挙げられる。
【0021】これら電極層の中でも、アルミニウム薄
膜、銅薄膜、ポリマーフィルム、ガラスなどの透明基板
の表面上に、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリ
ングなどの手法により形成されたアルミニウム、金、
銅、白金、酸化スズ(NESA)又は酸化インジウム
(ITO)からなる電極が好ましい。分子性光導電材料
を電極で挟持したサンドイッチ素子の場合、光が照射さ
れる面は、半透明又は透明の電極(金属半透明膜、NE
SA膜、ITO膜等)であることが好ましい。
【0022】また、電極層として、酸化スズ(NES
A)あるいは酸化インジウム(ITO)からなる電極層
を電極層(d)として用いる場合、自己組織化膜を確実
に形成するために、蒸着、イオンプレーティング、スパ
ッタリングなどの手法により形成した電極層をアルカリ
溶液処理、オゾン処理、酸素存在下での紫外光又は真空
紫外光の照射、プラズマによる親水化などの親水化処理
を施すことが好ましい。
【0023】アルカリ溶液処理は、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム、水酸化カリウムなどの水溶液、アルコ
ール溶液、水とアルコールとの混合溶液などに浸漬すれ
ばよい。この時、アルカリ濃度は、0.001ミリモル
/リットル〜5モル/リットルの範囲が好ましく、0.
01ミリモル/リットル〜1モル/リットル範囲が特に
好ましい。アルカリ溶液処理の時間には、特に制限はな
いが、室温下で処理する場合、0.5〜5時間の範囲が
好ましい。
【0024】酸素存在下での紫外光や真空紫外光の照射
は、酸素含有気体中で、波長150〜380nmの光を
短時間、例えば、1分〜1時間程度照射すればよい。ま
た、プラズマによる親水化処理は、専用のプラズマ装置
やスパッタリング用装置を用いて酸素存在下で処理すれ
ばよい。
【0025】電極層が形成される基板(図1、e)は、
絶縁性であればいずれの材料でも使用できる。基材とし
て用いられる素材としては、例えば、ガラス、石英、プ
ラスチックフィルム、プラスチック絶縁層を形成した金
属板、SiO2が形成されたシリコン等が挙げられる。
基板から光を照射する場合には、透明性の基板を用いる
ことが好ましい。
【0026】自己組織化膜からなる絶縁層(c)を形成
するために用いる特定の化合物(以下、自己組織化膜形
成用化合物と言う)としては、例えば、有機アルコキシ
シラン類、有機ハロシラン類、有機ジンラザン類、カル
ボン酸類、ヒドロキサム類、ホスホン酸類、チオール
類、及びスルフィド類などが挙げられる。
【0027】自己組織化膜形成用化合物として用いる有
機アルコキシシラン類、有機ハロシラン類、有機ジンラ
ザン類、カルボン酸類、ヒドロキサム類、ホスホン酸
類、チオール類、又はスルフィド類としては、例えば、
下記の一般式(1)〜(8)で示される化合物が挙げら
れる。
【0028】R123SiX (1) R123SiNHSiR123 (2) R1COOH (3) R1(C=O)NHOH (4) R1(P=O)(OH)2 (5) R1SH (6) R1SR4 (7) R1SR4 (8)
【0029】(これらの式中、R1及びR4はそれぞれ独
立的に、ニトリル基、メルカプト基、アミノ基、アクリ
レート基、グリシド基、ハロゲン原子及び置換基を有し
ていても良いアリール基からなる群から選ばれる置換基
を有していても良い16以上の炭素原子が直鎖に連なっ
たアルキル基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、
低級アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表
し、Xはアルコキシ基又はハロゲン原子を表す)
【0030】これらの中でも、有機トリアルコキシシラ
ン類、有機トリハロシラン類、カルボン酸類、ヒドロキ
サム酸類及びチオール類が好ましく、特に上記の一般式
中のR1がニトリル基、メルカプト基、アミノ基、アク
リレート基、グリシド基、又はハロゲン原子及び置換基
を有していても良いアリール基からなる群から選ばれる
置換基を有していても良い16以上の炭素原子が直鎖に
連なったアルキル基である化合物が好ましい。
【0031】表面に酸化物を有する電極層を用いた場合
は、有機アルコキシシラン類、有機ハロシラン類、有機
ジンラザン類、カルボン酸類、ヒドロキサム類、又はホ
スホン酸類などの自己組織化膜形成用化合物が表面の酸
化物と反応して、また、酸化物を有していない電極層を
用いた場合は、チオール類、スルフィド類などの自己組
織化膜形成用化合物が表面と化学結合に匹敵する吸着を
して、自ら結合を形成し、それぞれの電極層の表面に組
織化された緻密な超薄膜、則ち、自己組織化膜を形成す
る。
【0032】図3には、有機アルコキシシラン類、有機
ハロシラン類、又はカルボン酸類を自己組織化膜形成用
化合物に用いた場合の自己組織化膜からなる絶縁層形成
の様子を、図4にはチオール類、スルフィド類などを自
己組織化膜形成用化合物に用いた場合の自己組織化膜か
らなる絶縁層形成の様子を模式的に示した。
【0033】電極層(d)として表面に酸化物を有する
電極層を用いる場合は、自己組織化膜形成用化合物とし
て、有機アルコキシシラン類、有機トリハロシラン類、
カルボン酸類又はヒドロキサム酸類を用いることが好ま
しく、電極層(d)として表面に酸化物を有さない電極
層を用いる場合は、自己組織化膜形成用化合物としてチ
オール類を用いることが好ましい。
【0034】表面に酸化物を有する電極層としては、酸
化スズ(NESA)、酸化インジウム(ITO)の如き
酸化物導電体からなる電極層のほか、アルミニウム、
銅、クロム、チタニウム、鉄、又はニッケルの如き金属
の表面に発生した自然酸化膜を有する導電体からなる電
極層などが挙げられる。
【0035】「IEEE Trans.Electro
n Devices、第40巻、75頁、1993年;
Thin Solid Films、第99巻、235
頁、1983年;及びLangmuir、第11巻、8
13頁、1995年」などには、アルミニウム、銅、ク
ロム、ニッケル、チタニウム、鉄及びニッケルは、それ
らの表面にこれらの金属の自然酸化物膜が形成されるこ
とが記載されている。
【0036】更に、これら自然酸化物膜を電気化学的に
陽極酸化等を行って、その酸化物層を厚くして用いるこ
ともできる。一方、表面に酸化物を有さない電極層とし
ては、例えば、金、白金、銀、銅の如き導体からなる電
極層が挙げられる。
【0037】本発明の光半導体素子に用いる自己組織化
膜からなる絶縁層(c)は、図5に模式的に示したよう
に、末端に反応性官能基Aを有する自己組織化膜形成用
化合物を用いて、末端に反応性官能基Aを有する1層目
の自己組織化膜(2)を電極層上に形成し、更に、その
反応性官能基Aと反応する反応性官能基A′を有する自
己組織化膜形成用化合物を反応させて形成した積層構造
を有する多層自己組織化膜を形成したものであっても良
い。
【0038】また、自己組織化膜からなる絶縁層(c)
は、図6に模式的に示したように、アルコキシシリル
基、ハロシリル基、ジシラザン基、カルボキシル基、ヒ
ドロキサム基、ホスホン酸基、チオール基、又はスルフ
ィド基などの電極層表面と化学結合を形成することがで
きる反応性基Eを側鎖として有する高分子化合物を用い
て自己組織化膜を形成したものであっても良い。
【0039】更に、自己組織化膜からなる絶縁層(c)
は、図7に示したように、高分子化合物(1)の側鎖中
の反応性官能基A′と反応性を有する官能基Aを側鎖中
に有する、別の高分子化合物(2)を用いて、高分子自
己組織化膜上に他の高分子膜を形成したものであっても
良い。
【0040】自己組織化膜形成用化合物として用いる有
機アルコキシシラン、有機ハロシラン及び有機ジシラザ
ンとしては、特に制限は無いが、通常シランカップリン
グ剤として市販されている有機アルコキシシランや有機
ハロシラン(例えば、信越化学工業株式会社製の硅素化
合物や東芝シリコーン株式会社製の有機ケイ素化合物な
ど)が挙げられ、更に、これらシランカップリング剤に
新たな官能基を付与して用いることもできる。これらの
中でも、有機トリアルコキシシランや有機トリハロシラ
ンが好ましい。
【0041】有機トリアルコキシシラン及び有機トリハ
ロシランとしては、例えば、メチルトリクロロシラン、
エチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペ
ンチルトリクロロシラン、ブチルトリメトキシシラン、
オクチルトリエトキシシラン、オクチルメチルジクロロ
シラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリクロロ
シラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルト
リクロロシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オ
クタデシルトリクロロシラン、
【0042】エイコシルトリクロロシラン、ドコシルト
リクロロシラン、トリアコンタシルトリクロロシラン、
エチルオクタデシルジメトキシシラン、3,3,3−ト
リフルオロプロピルトリクロロシラン、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシルトリク
ロロシラン、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノ
ナフルオロヘキシルトリエトキシシラン、3,3,4,
4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフ
ルオロオクチルトリクロロシラン、
【0043】3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,8−トリデカフルオロオクチルトリメトキ
シシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメ
チルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリクロロ
シラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3−シ
アノプロピルトリクロロシラン、5−シアノペンチルト
リメトキシシラン、メルカプトペンチルトリメトキシシ
ラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2
−シアノエチルトリメトキシシラン、
【0044】5−シアノペンチルトリメトキシシラン、
10−シアノデシルトリメトキシシラン、11−シアノ
ウンデシルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルト
リメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシ
ラン、10−ブロモデシルトリメトキシシラン、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、5−メルカプト
ペンチルトリエトキシシラン、10−メルカプトデシル
トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、10−アミノデシルトリメトキシシラン、3−
(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−グリシドキシプロピル、3−アニリノプロピル
トリメトキシシラン、
【0045】フェニルトリメトキシシラン、4−クロロ
フェニルトリメトキシシラン、5−[5’−(2’−メ
チル−2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘキ
シル]トリメクロロシラン、3−モルフェリノプロピル
トリメトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメト
キシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(ト
リメチルシリル)ウレア、N−トリエチルシリルアセト
アミド、ジエチルトリメチルシリルアミン、トリメチル
シリルイミダゾール等が挙げられる。
【0046】自己組織化膜形成用化合物として用いられ
るカルボン酸類としては、例えば、プロピオン酸、酪
酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、
ヘキサデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、トリアコ
ンタン酸、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナ
フルオロヘキサン酸、12,12,13,13,14,
14,15,15,16,16,17,17,18,1
8,19,19−ヘプタデカフルオロノナデカン酸、9
−(1’−ピレニル)ノナン酸、トリメチルシリル酢
酸、3−メルカプトプロピオン酸、10−メルカプトデ
カン酸、3−シアノプロピオン酸、16−シアノヘキサ
デカン酸、4−シアノ安息香酸、2−カルボキシシチオ
フェン等が挙げられる。
【0047】自己組織化膜形成用化合物として用いられ
るヒドロキサム酸類としては、例えば、N−ヒドロキシ
ペンタアミド、N−ヒドロキシヘキサンアミド、N−ヒ
ドロキシデカンアミド、10,N−ジヒドロキシデカン
アミド、N−ヒドロキシテトラデカンアミド、N−ヒド
ロキシオクタデカンアミド、N−ジヒドロキシヘキサデ
カンアミド、N−ヒドロキシエイコサンアミド、N−ヒ
ドロキシ−3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナ
フルオロヘキサンアミド、
【0048】N−ヒドロキシ−12,12,13,1
3,14,14,15,15,16,16,17,1
7,18,18,19,19−ヘプタデカフルオロノナ
デカンアミド、N−ヒドロキシ−10−メルカプトデカ
ンアミド、N−ヒドロキシ−10−シアノデカンアミ
ド、N−ヒドロキシ−10−アミノデカンアミド、N−
ヒドロキシ−10−クロロデカンアミド、N−ヒドロキ
シ−10−フェニルデカンアミド等が挙げられる。
【0049】自己組織化膜形成用化合物として用いられ
るホスホン酸類としては、例えば、プロパンホスホン
酸、オクタンホスホン酸、デカンホスホン酸、ヘキサン
デカンホスホン酸、ドコサンホスホン酸、3,3,4,
4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキサンホスホ
ン酸、12,12,13,13,14,14,15,1
5,16,16,17,17,18,18,19,19
−ヘプタデカフルオロノナデカンホスホン酸、3−メル
カプトプロピオンホスホン酸、10−メルカプトデカン
ホスホン酸、3−シアノプロピオンホスホン酸等が挙げ
られる。
【0050】自己組織化膜形成用化合物として用いられ
るチオール類としては、例えば、ブタンチオール、ヘキ
サンチオール、ノナンチオール、ヘキサデカンチオー
ル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオ
ロヘキサンチオール、12,12,13,13,14,
14,15,15,16,16,17,17,18,1
8,19,19−ヘプタデカフルオロノナデカンチオー
ル、1−シアノ−6−メルカプトヘキサンチオール等が
挙げられる。また、チオール類としては、ハロゲン化ア
ルキルと硫化水素ナトリウム又はチオ尿素の反応により
得た脂肪族チオールや、アリールグリニアール試薬を硫
黄の反応により得た芳香族チオールを用いることもでき
る。
【0051】自己組織化膜形成用化合物として用いられ
るスルフィド類としては、例えば、ジエチルスルフィ
ド、ジペンチルスルフィド、ジデシルスルフィド、ジオ
クタデシルスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジプロ
ピルジスルフィド、ジデシルジスルフィド、ジオクタデ
シルジスルフィド等が挙げられる。
【0052】図5に模式的に示すように、本発明では、
必要に応じて末端に反応性官能基を有する自己組織化膜
を電極層上に形成し、その上に、有機シラン系、カルボ
ン酸系、ヒドロキサム酸系、又はチオール系等の自己組
織化膜を積層した、2つ以上の自己組織化膜の層からな
る、多層膜を形成することもできる。この方法は、自己
組織化膜の膜厚を容易に制御でき、絶縁性を確保できる
と共に、末端の官能基の種類を制御しやすい方法とし
て、本発明の利点を最も発揮しうる方法である。
【0053】この場合、第1層目の自己組織化膜形成に
用いる自己組織化膜形成用化合物は、その末端に第2層
目の自己組織化膜形成用化合物と反応する反応性官能基
を有するものであれば特に制限はなく、そのような化合
物としては、例えば反応性官能基として、水酸基、アミ
ノ基、カルボキシル基、カルボニル基、アルデヒド基、
メルカプト基、リン酸基、又はハロゲン原子等を有する
自己組織化膜形成用化合物が好ましく、特に水酸基を有
する自己組織化膜形成用化合物が推奨される。
【0054】反応性官能基と有機シラン系、カルボン酸
系、ヒドロキサム酸系、チオール系などの自己組織化膜
形成部位とが反応する場合には、積層数の制御が困難と
なるので、これらの反応性官能基を予め保護した自己組
織化膜形成用化合物を用いて第1層目を形成した後、保
護基を脱離して、末端に水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基、アルデヒド基、又はメルカプト基等を生成させた
後、第2層目を形成する方法が好ましい。なお、第2層
目を形成した後、上記と同様にして、第3層目以降を形
成することも可能である。
【0055】また、反応性官能基の保護及び脱離には、
有機反応で既知な保護及び脱離の方法、例えば、「Pr
otective Groups in Organi
cChemistry、Plenum Press社、
1973年版」に記載の方法等を用いることができる。
【0056】より具体的には、水酸基に対してはエーテ
ル化、エステル化、アセタール化、又はケタール化等の
保護及び脱離手法を、アミノ基に対しては、キレート
化、アミド化、又はアゾメチン化等の保護及びその脱離
手法を、カルボキシル基に対しては、エステル化、塩形
成等の保護及び脱離手法を、カルボニル及びアルデヒド
基に対しては、ケタール化、アセタール化、又はアゾメ
チン化等の保護及びその脱離手法を、メルカプト基に対
しては、チオエーテル化、チオアセタール化、又はチオ
エステル化等の公知慣用の保護及び脱離手法を各々用い
ることができる。
【0057】更に、第2層目以降の膜の形成には、上記
の反応性官能基の保護手法を利用して反応性官能基を有
する自己組織化膜上に膜を形成することもできる。第1
層目に用いられる自己組織化膜形成用化合物は、末端
に、アミノ基、ハロゲン原子、エステル基、カルボキシ
ル基、メルカプト基、エーテル基、又はシアノ基を有す
る材料が好ましい。
【0058】そのような自己組織化膜形成用化合物とし
ては、例えば、クロロメチルトリメトキシシラン、クロ
ロメチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリク
ロロシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、3
−シアノプロピルトリクロロシラン、5−シアノペンチ
ルトリメトキシシラン、メルカプトペンチルトリメトキ
シシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、5−シアノ
ペンチルトリメトキシシラン、10−シアノデシルトリ
メトキシシラン、11−シアノウンデシルトリエトキシ
シラン、
【0059】3−クロロプロピルトリメトキシシラン、
3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、10−ブロモ
デシルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルト
リメトキシシラン、5−メルカプトペンチルトリエトキ
シシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシラ
ン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、10−ア
ミノデシルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン、5−[5’−(2’
−メチル−2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロ
ヘキシル]トリメクロロシラン、3−モルフェリノプロ
ピルトリメトキシシラン、
【0060】3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
3−メルカプトプロピオン酸、10−メルカプトデカン
酸、3−シアノプロピオン酸、16−シアノヘキサデカ
ン酸、4−シアノ安息香酸、2−カルボキシシチオフェ
ン、N−ヒドロキシ−10−シアノデカンアミド、N−
ヒドロキシ−10−アミノデカンアミド、N−ヒドロキ
シ−10−クロロデカンアミド、N−ヒドロキシ−10
−フェニルデカンアミド、3−メルカプトプロピオンホ
スホン酸、10−メルカプトデカンホスホン酸、3−シ
アノプロピオンホスホン酸等が挙げられる。
【0061】これらの中でも、、5−[5’−(2’−
メチル−2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘ
キシル]トリメクロロシラン、3−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン等の保護された水酸基を有する化
合物が望ましい。保護された水酸基は、加水分解や還元
して水酸基とした後、また、同様に保護された反応性官
能基は脱保護されて、第2層目用、次いでそれ以降の層
用の自己組織化膜形成用化合物として用いることもでき
る。
【0062】第2層目以降の膜形成には、上記の第1層
目に用いた自己組織化膜形成用化合物を同様に用いるこ
とができる。最外層の膜形成に用いる化合物は特に制限
はなく、上記の第1層目の反応性官能基と反応する任意
の化合物を使用することができ、上記の自己組織化膜形
成用化合物のみに限られるものではない。
【0063】自己組織化膜が高分子化合物で構成される
場合の高分子化合物は、アルコキシシリル基、ハロシリ
ル基、ジシラザン基、カルボキシル基、ヒドロキサム
基、ホスホン酸基、チオール基、又はスルフィド基など
を側鎖として有する高分子化合物である。
【0064】自己組織化膜に用いられる高分子化合物と
しては、例えば、アルコキシシリル基の如き硅素含有基
を側鎖に有するポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレ
ン、又はポリビニル系ポリマー、(メタ)アクリレート
とアクリル酸の共重合体、マレイン酸モノアルキルエス
テル/アルキルビニルエーテル交互コポリマーの如き側
鎖にカルボキシル基を有するポリマー、ヒドロキサム酸
基、ホスホン酸基、チオール基、スルフィド基などを側
鎖に有するポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、
又はポリビニル系ポリマーなどが挙げられる。これらの
中でも、エステルのアルコール部分としてアルコキシシ
リルアルキレンオキシ基を有するポリ(メタ)アクリル
酸エステルが特に好ましい。
【0065】そのようなアルコキシシリルアルキレンオ
キシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルとして
は、例えば(メタ)アクリル酸−11−トリメトキシシ
リルプロピル、(メタ)アクリル酸−11−トリエトキ
シシリルウンデシルの如きアルコキシシリルアルキレン
オキシ基を有するポリ(メタ)アクリル酸エステルの単
独重合体、これらのアルコキシシリルアルキレンオキシ
基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アク
リル酸エステルとの共重合体等が挙げられる。
【0066】また、上記の低分子自己組織化膜を形成し
た上に、高分子自己組織化膜を形成することもできる。
そのような積層型の場合、低分子自己組織化膜の金属電
極と反応する反応性基の他端の高分子自己組織化膜の反
応性基と反応する反応性基としては、水酸基やアミノ基
が好ましい。これらの水酸基やアミノ基は必要に応じ、
上記の手法で保護された上、金属電極上に形成され、次
いで、必要に応じて脱保護を行い、反応性基を有するポ
リマーと反応させる。
【0067】末端にアミノ基を有する低分子自己組織化
膜形成用化合物としては、例えば、3−アミノプロピル
トリクロロシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、、6−
アミノプロピルトリクロロシラン、6−アミノヘキシル
トリメトキシシラン、6−アミノヘキシルトリエトキシ
シラン、11−アミノウンデシルトリメトキシシラン、
11−アミノウンデシルトリエトキシシランなどが挙げ
られる。
【0068】また、これらの末端にアミノ基を有する自
己組織化膜形成用化合物と反応する高分子化合物として
は、例えば、マレイン酸モノアルキルエステル/アルキ
ルビニルエーテル交互コポリマーなどが挙げられる。こ
の場合、アンモニウム塩を形成したポリマー膜が形成さ
れるが、これを熱処理することにより、アンモニウム塩
をイミド結合に変換することができる。
【0069】末端に水酸基又は保護された水酸基を有す
る低分子自己組織化膜形成用化合物としては、例えば、
3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシランの如きアル
コール類、3−トリメチルシロキシプロピルトリメトキ
シシランの如きシリル化化合物、5−[5’−(2’−
メチル−2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘ
キシル]ペンチルトリクロロシランの如きボロン酸エス
テル類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ンの如きエステル類、3−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシランの如きエーテル類等が挙げられるが、シリ
ル化、ボロン酸エステル化、エステル化、又はエーテル
化等の手法で保護された化合物が好ましい。
【0070】これらの保護された低分子自己組織化膜形
成用化合物は、自己組織化膜された後、脱保護され、末
端が水酸基とされる。末端に水酸基を有する低分子自己
組織化膜形成用化合物と反応する高分子化合物として
は、例えば、側鎖にカルボキシル基を有するポリ(メ
タ)アクリル酸誘導体、エステルのアルコール部分とし
てアルコキシシリルアルキレンオキシ基を有するポリ
(メタ)アクリル酸エステルポリマーなどが挙げられ
る。
【0071】電極層上に自己組織化膜を形成する方法と
しては、例えば、自己組織化膜形成用化合物を溶媒に溶
解させ、その溶液に電極層を接触させて自己組織化膜形
成用化合物を電極と反応させた後、この電極層を該溶液
から分離し、次いで自己組織化膜形成用化合物が溶解し
ている溶液で洗浄して、未反応の自己組織化膜形成用化
合物を除去する方法が挙げられる。なお、この反応は、
自己組織化膜形成用化合物と電極層表面との間で起こる
化学結合、あるいは化学結合に匹敵するエネルギーで表
面に吸着することを指す。
【0072】自己組織化膜形成用化合物のうち、有機ハ
ロシラン類、有機ジシラザン類を溶解させる溶媒として
は、例えば、ヘキサン、デカン、ヘキサンデカンの如き
脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンの如き
芳香族炭化水素、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチ
レン、1,1,2−トリクロロエタンの如きハロゲン化
炭素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、1,2−ジメトキシエタンの如きエーテル系化合
物などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるも
のではなく、有機ハロシラン類や有機ジシラザン類が有
する反応性基と反応する水酸基やカルボニル基を有しな
い溶媒であれば良い。これらの溶媒は、単独で、又は2
種類以上を併用して用いることができる。
【0073】自己組織化膜形成用化合物のうち、有機ア
ルコキシシラン類を溶解させる溶媒としては、例えば、
水;メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロ
パノールの如きアルコール類;アセトン、2−ブタノン
の如きケトン類、上記の有機ハロシラン類や有機ジシラ
ザン類に用いることができる溶媒などが挙げられる。こ
れらの溶媒は、単独で、又は2種類以上を併用して用い
ることができる。
【0074】自己組織化膜形成用化合物のうち、カルボ
ン酸類、ヒドロキサム類、ホスホン酸類、チオール類又
はスルフィド類を溶解させる溶媒としては、これら自己
組織化膜形成用化合物を溶解し、これらと反応しない溶
媒であれば、特に制限なく使用することができる。この
ような溶媒としては、例えば、上記した有機アルコキシ
シラン類を溶解する溶媒として例示した溶媒などが挙げ
られる。
【0075】自己組織化膜形成用化合物及び溶媒からな
る溶液の濃度に特に制限はないが、薄すぎると反応の進
行に時間を要し、また濃すぎると超薄膜を形成しづらく
なる傾向にあるので、溶液の濃度は、0.001ミリモ
ル/リットル〜5モル/リットル(ポリマーの場合はポ
リマーを形成する単位ユニット当たりの濃度)の範囲が
好ましい。
【0076】なお、自己組織化膜形成用化合物として有
機ハロシランを用いる場合は、副生する塩化水素を補足
する目的で、有機ハロシラン類及び溶媒からなる溶液
に、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリンの
如きアミン類を共存させても良い。また、自己組織化膜
形成用化合物として有機アルコキシシラン類を用いる場
合は、有機アルコキシシラン類及び溶媒からなる溶液自
己組織化膜形成用化合物に、ギ酸、酢酸の如きカルボン
酸を触媒として添加することもできる。
【0077】自己組織化膜形成用化合物及び溶媒からな
る溶液と電極層を接触させ、自己組織化膜を形成する際
の処理温度に特に限定はないが、超薄膜を形成するため
には、−10〜100℃の範囲が好ましく、0〜60℃
の範囲が特に好ましい。また自己組織化膜形成用化合物
及び溶媒からなる溶液と電極層を接触させ、自己組織化
膜を形成する際の処理時間は、2〜24時間の範囲が好
ましく、2〜4時間の範囲が特に好ましい。
【0078】また、自己組織化膜形成用化合物として、
有機アルコキシシラン類、有機ハロシラン類や有機ジシ
ラザン類を用いる場合、1時間程度の短時間の溶液と電
極層との接触処理を2回以上、好ましくは2〜3回繰り
返す方法は、緻密な超薄膜を形成することができるの
で、特に好ましい。この場合、処理後の電極層を熱処理
することによって、自己組織化膜の形成をならしめるこ
とができるので、より好ましい。この熱処理温度は、特
に制限はないが、50〜200℃の範囲が好ましく、5
0〜150℃の範囲が特に好ましい。
【0079】末端にアミノ基を有する自己組織化膜を形
成し、この上にアンモニウム塩を形成した場合、これを
熱処理によってイミド結合に変換することができる。こ
の場合の熱処理の温度は、100〜200℃の範囲が好
ましく、熱処理時間は2〜24時間の範囲が好ましい。
【0080】自己組織化膜形成にとって重要なことは、
電極層を含む基板を所定濃度の自己組織化膜形成用化合
物及び溶媒からなる溶液と所定時間、接触させた後、基
板を溶液から分離し、溶媒で洗浄することによって、未
反応の自己組織化膜形成用化合物を除去することにあ
り、必要により、更に熱処理を施すこともある。洗浄に
用いる溶媒としては、前記した自己組織化膜形成用化合
物の溶解に用いる溶媒を挙げることができ、洗浄には、
超音波洗浄器などを用いることも有効である。
【0081】このようにして得られる自己組織化膜の膜
厚は、自己組織化膜形成用化合物のアルキル鎖長による
が、通常、0.1nm〜20nmの膜厚を示す。しか
し、光半導体素子の光電流/暗電流比を向上させる目的
には、自己組織化膜の膜厚は、3nm以上の範囲が特に
好ましい。
【0082】分子性光導電材料蒸着膜からなる光導電層
(b)に用いられる分子性光導電材料としては、例え
ば、アゾ系顔料、キノン系顔料、ペリレン系顔料、イン
ジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ビスベンゾイミダゾ
ール系顔料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン
系顔料、キナクリドン系顔料、キノリン系顔料、アント
ラキノン系顔料、オキサジン系顔料、トリフェニルメタ
ン系顔料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染
料、ピリリウム系染料、シアニン系染料、ピロロピロー
ル系顔料、C60,C70などのフラーレン系化合物等
が挙げられる。
【0083】これらの分子性光導電材料は、単独で用い
ることもでき、2種類以上の材料を混合して用いること
もできる。又、これらの中でも、フタロシアニン系顔料
及びフラーレン系化合物が好ましく、オキソチタニウム
フタロシアニン(OTiPc)及びC60が特に好まし
い。
【0084】分子性光導電材料からなる光導電層は、真
空蒸着、スパッタリング、CVDなどの蒸着手法で分子
性光導電材料を製膜化することができるが、真空蒸着法
によって形成された分子性光導電材料の膜であることが
特に好ましい。真空蒸着法には、一般に使用される真空
蒸着装置、超高真空蒸着装置又は分子線蒸着装置などを
用いることができる。蒸着時の真空度は、10-2〜10
-10Paの範囲が好ましく、経済性の面から10-2〜10
-6Paの範囲が特に好ましい。
【0085】蒸着速度に特に制限は無いが、分子性光導
電材料としてフタロシアニン類を用いる場合、特にオキ
ソチタニウムフタロシアニン(OTiPc)を用いる場
合は、蒸着速度が蒸着膜の分子配向に影響を与えるの
で、これらの観点から毎秒0.07nm以下の速度で蒸
着することが特に推奨される。
【0086】本発明では、自己組織化膜が電極層(d)
上に強固に坦持され、絶縁層(c)として機能する必要
があることから、分子性光導電材料蒸着膜からなる光導
電層(b)を、自己組織化膜からなる絶縁層(c)上に
蒸着する際は、過熱による自己組織化膜の欠落を防ぐた
め、自己組織化膜からなる絶縁層(c)と電極層(d)
を形成した基板の温度を適切に制御することが重要であ
り、より具体的には70℃以下に制御することが好まし
い。
【0087】自己組織化膜が、炭素原子16個以上から
なる直鎖アルキル鎖骨格を有する自己組織化膜形成用化
合物から形成される場合は、基板の温度は30℃以下で
あることが好ましく、室温付近(25℃)の温度範囲が
特に好ましい。一方、自己組織化膜が、高分子化合物か
らなる自己組織化膜形成用化合物から形成される場合や
多層の膜構造からなる場合は、炭素原子16個以上から
なる直鎖アルキル鎖骨格に有する自己組織化膜形成用化
合物から形成される場合に比較して、自己組織化膜から
なる絶縁層(c)がより強固に電極層(d)に坦持され
ているため、基板の温度は70℃以下であればよく、6
0℃以下であることが特に好ましい。
【0088】基板温度が所定温度より上昇した場合は、
基板を冷却するか、光導電材料の蒸着速度を下げればよ
い。分子性光導電材料蒸着膜からなる光導電層半導体素
子において、分子性光導電材料蒸着の際の基板電極層
(d)温度を、比較的高い温度に保持することによっ
て、光導電層を形成する光導電材料の分子配向を制御
し、必要とされる物性を引き出すことがある。
【0089】この場合には、本発明においては、絶縁層
の剥離を防ぐ上から、30℃以上に基板電極層(d)を
保持する必要がある場合は、該絶縁層を形成するにあた
って、高分子化合物からなる自己組織化膜形成化合物か
ら形成される自己組織化膜からなる絶縁層か、あるいは
2つ以上の自己組織化膜の多層からなる絶縁層を用いる
ことが好ましく、30℃以下でよい場合には、絶縁層を
形成するにあたって、上記記載のいずれの自己組織化膜
をも用いることができる。
【0090】本発明の光半導体素子においては、光導電
層(b)上に、更に電荷輸送層を形成させてもよい。そ
の場合、電荷輸送層に用いる電荷輸送材料は、一般に電
子を輸送する物質と、正孔を輸送する物質に分類される
が、本発明の半導体素子には何れに分類される物質でも
使用できる。
【0091】そのような電荷輸送材料としては、例え
ば、クロラニル系化合物、テトラシアノキノジメタン系
化合物、トリニトロフルオレノン系化合物、ジフェノキ
ノン系化合物、縮合多環芳香族系化合物、ヒドラゾン系
化合物、トリフェニルアミン系化合物、ポリビニルカル
バゾール系化合物、ポリシラン系化合物等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これらの電荷輸
送材料は、単独で用いることも、2種類以上を併用して
用いることもできる。
【0092】電荷輸送層は、電荷輸送材料を結着物質中
に分散したもの、あるいは電荷輸送材料を真空蒸着など
の手法で製膜したものであっても良いが、電荷輸送材料
からなる真空蒸着膜が特に好ましい。
【0093】電荷輸送材料を結着物質中に分散して用い
る場合の結着樹脂は、製膜性を有するものであれば特に
制限はなく、例えば、ポリビニル系樹脂、ポリカーボネ
ート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹
脂、ポリメタクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重
合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩
化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリ
コン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニル
ブチラール、ポリスルフォン、ポリウレタン、などが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。結着樹
脂は、単独で用いることも、2種類以上を併用して用い
ることもできる。
【0094】また、これらの結着樹脂とともに、添加
剤、例えば可塑剤、増感剤、表面改質剤などを添加する
こともできる。電荷輸送材料からなる電荷輸送層を塗布
により形成する場合は、上記の電荷輸送材料を結着樹脂
の溶媒溶液に分散又は溶解した塗料を用いる。この場
合、溶媒に特に制限はなく、結着樹脂を分散又は溶解で
きるものであれば良い。一般には、分子性光導電材料か
らなる光導電層の上に電荷輸送層を形成するので、電荷
輸送層用塗料溶液を作製する際は、分子性光導電材料あ
るいは感光層を溶解しない溶媒を用いることが好まし
い。
【0095】結着樹脂の溶媒溶液に用いる溶媒として
は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、
ペンタノールのごときアルコール類;アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキ
サノンのごときケトン類;ジクロロメタン、クロロホル
ム、四塩化炭素、1,1,2−トリクロロエタンのごと
き脂肪族ハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメト
キシエタン、ジグライムのごときエーテル類;酢酸エチ
ル、酢酸プロピルのごときエステル類;
【0096】ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベ
ンゼン、1,2−ジクロロベンゼンのごとき芳香族炭化
水素;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、N−メチル
ピロリドンのごとき非極性プロトン溶媒などが挙げられ
るが、実際の使用に際しては、これらの溶媒の中から、
上述した条件に合致する溶媒を適宜選択のうえ、使用す
れば良い。また、これらの溶媒は単独で、あるいは2種
類以上を混合して用いることもできる。
【0097】電荷輸送材料を結着樹脂中に分散させる方
法としては、例えば、ボールミール、ペイントコンディ
ショナー、サンドミル、ニーダー、アトライター、三本
ロール、ジェットミル、などを用いる手法が挙げられ
る。また、電荷輸送材料からなる電荷輸送層の塗工方法
としては、例えば、ディップコーティング、スプレーコ
ート、リングコート、ブレードコート法、などによる塗
工方法が挙げられる。
【0098】本発明の光半導体素子の絶縁層が機能して
いるか否かの確認は、電極層(a)と分子性光導電材料
蒸着膜からなる光導電層(b)と自己組織化膜からなる
絶縁層(c)と電極層(d)とからなる、本発明の光半
導体素子の暗電流が、自己組織化膜からなる絶縁層
(c)を形成しなかった、電極層(a)と分子性光導電
材料蒸着膜からなる光導電層(b)と電極層(d)とか
らなる光半導体素子の暗電流の2分の1以下であるかで
判断することができる。
【0099】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明を更に具体的
に説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例の
範囲に限定されるものではない。なお、以下の例中で用
いられた「%」及び「部」は、特に断わりのない限り、
「重量%」及び「重量部」を表す。
【0100】(実施例1)縦及び横の長さが20mm、
厚さが1mmのパイレックス(登録商標)ガラス上に、
Ptをスパッタリングにより膜厚20nm堆積させ、半
透明白金電極を作製した。電極層を形成した基板を濃度
が1mM(ミリモル)のオクタデシルメルカプタンのエ
タノール溶液に室温で1時間浸漬し引き上げた後、エタ
ノールで十分洗浄した。次いで窒素ガス気流で噴射する
ことによって乾燥させて処理電極基板を得た。
【0101】エリプソメータによる測定から、4nmの
薄膜がPt電極層上に形成されていることを確認するこ
とができた。またエスカ(ESCA、electron
spectroscopy for chemica
l analysis:島津製作所製、ESCA−85
0)による表面分析結果も併せて、Pt電極層上にオク
タデシルメルカプタンの単分子膜、即ち自己組織化膜が
形成されていることを確認した。
【0102】油回転ポンプ及び油拡散ポンプで構築した
真空系を有する蒸着装置を用い、昇華精製したオキソチ
タニウムフタロシアニン(OTiPc)をアルミナるつ
ぼに仕込み、るつぼ上20cmの距離に上記電極基板を
3枚設置し、3×10-4Paの真空下で蒸着を行った。
蒸着中、電極基板は室温(25℃前後)に維持し、蒸着
速度は、水晶振動子を用いた膜厚モニターで観察しなが
ら、アルミナるつぼを400〜450℃に加熱すること
により、0.05nm/秒に制御した。このようにし
て、膜厚250nmのOTiPc蒸着膜を3枚の基板に
形成した。
【0103】一旦、常圧に戻した後、3×10-3Paの
真空下で活性領域が2×2mmである金電極を20nm
の厚さに4素子づつ蒸着し、パイレックスガラス/Pt
(20nm)/オクタデシルメルカプタン自己組織化膜
/OTiPc(250nm)/Au(20nm)の構成
からなる光半導体素子を作製した。
【0104】このようにして得た光半導体素子のX線回
折図では、ブラッグ角(2θ)が6.8度にのみ回折ピ
ークが観測された。これはOTiPc分子平面が基板表
面に対して垂直方向に配向され、蒸着膜を形成する分子
の方位が揃っていることを示している。
【0105】光半導体素子の暗電流及び光電流の測定
は、図8に示した測定系で行った。暗箱中に光半導体素
子をおき、リード線(BNCケーブル)でソースメジャ
ーユニットに接続した。照射光はキセノンランプを光源
とし、モノクロメータを介して取り出した単色光を素子
の活性領域に照射した。モノクロメータ及びソースメジ
ャーユニットをパーソナルコンピュータで制御しなが
ら、光源をオン−オフし、光電流及び暗電流を測定し、
パーソナルコンピュータに取り込んだ。
【0106】電極(d)に−5Vを印加し、光をオン−
オフさせながら、1Vづつ掃引して5V印加までの範囲
で暗電流、光電流−電圧特性を測定した。この時、電極
透過光強度0.5μW/cm2の波長720nmの単色
光を用いた。代表的な電流−電圧特性を図9に示した。
図中の縦軸は電流(mAcm-2)、及び光電流/暗電流
比を、横軸は電圧(V)を表す。3枚×4素子(合計1
2素子)間の再現性は良好であった。暗電流、光電流は
(−)V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を示し
た。光電流/暗電流比は印加電圧に関係なく10程度で
あった。
【0107】(比較例1)実施例1においてPt電極層
上にオクタデシルメルカプタンからなる自己組織化膜
(絶縁層)を形成しなかったこと以外は、実施例1と同
様にして、パイレックスガラス/Pt(20nm)/O
TiPc(250nm)/Au(20nm)で構成され
る光半導体素子を得た。実施例1と同様の条件で、比較
例1の光半導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測定
を行った。代表的な電流−電圧特性を図10に示した。
図中の縦軸は電流(mAcm-2)、及び光電流/暗電流
比を、横軸は電圧(V)を表す。暗電流、光電流は
(−)V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を示し
た。光電流/暗電流比は印加電圧によってばらつきはあ
るが1.5を超えることはなかった。
【0108】実施例1の光半導体素子の光電流/暗電流
比は、比較例1の自己組織化膜(絶縁層)を形成しなか
った光半導体素子の光電流/暗電流比の7〜11倍にな
っており、且つ、実施例1の光半導体素子の暗電流の大
きさは、比較例1の自己組織化膜を形成しなかった光半
導体素子の暗電流の10分の1であった。これらの結果
から、自己組織化膜の効果は明らかである。
【0109】(実施例2)縦及び横の長さが20mm、
厚さが1mmのパイレックスガラス上に3×10 -3Pa
の真空下でCuを膜厚20nmとなるように蒸着し、半
透明電極を得た。Cu電極層を形成した基板を濃度が1
mM(ミリモル)のオクタデシルメルカプタンのエタノ
ール溶液に室温で1時間浸漬し、引き上げた後、エタノ
ールで十分洗浄した。次いで窒素ガス気流で噴射するこ
とにより、乾燥させて処理電極基板を得た。
【0110】エリプソメータによる測定から、4nmの
絶縁層の薄膜が電極層上に形成されていることを確認す
ることができた。またエスカ(ESCA)による表面分
析結果も併せて、Cu電極層上にオクタデシルメルカプ
タンの単分子膜、即ち自己組織化膜が形成されているこ
とが判った。油回転ポンプ及びターボモレキュラーポン
プで構築した真空系を有する蒸着装置を用い、昇華精製
したオキソチタニウムフタロシアニン(OTiPc)を
石英製クヌーセンセルに仕込み、クヌーンセル上20c
mの距離に、上記電極基板を1枚設置し、2×10-5
aの真空下で蒸着を行った。
【0111】蒸着中、電極基板の温度は30℃以下に維
持し、蒸着速度は水晶振動子を用いた膜厚モニターで観
察しながら、クヌーンセルを230〜270℃に加熱す
ることにより、0.05nm/秒に制御した。このよう
にして、膜厚200nmのOTiPc蒸着膜を形成し
た。基板温度を室温にした後、同様の条件で4,4’−
(フェニル、2−メチルフェニルアミノ)ビフェニルを
50nmの厚さに蒸着した。
【0112】一旦、常圧に戻した後、3×10-3Paの
真空下で活性領域が2×2mmである金電極を20nm
の厚さに4素子づつ蒸着し、パイレックスガラス/Cu
(20nm)/オクタデシルメルカプタン自己組織化膜
/OTiPc(200nm)/4,4’−(フェニル、
2−メチルフェニルアミノ)ビフェニル(50nm)/
Au(20nm)の構成からなる光半導体素子を作製し
た。
【0113】このようにして得た光半導体素子のX線回
折図では、ブラッグ角(2θ)が6.8度にのみ回折ピ
ークが観測された。これはOTiPc分子平面が基板表
面に対して垂直方向に配向され、蒸着膜を形成する分子
の方位が揃っていることを示している。実験例1と同様
にして、光半導体素子の暗電流及び光電流の測定を行っ
た。この時、電極透過光強度0.5μW/cm2の波長
720nmの単色光を用いた。暗電流、光電流は(−)
V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を示した。光電
流/暗電流比は印加電圧に関係なく10程度であった。
【0114】(比較例2)実施例2においてCu電極層
上にオクタデシルメルカプタンからなる自己組織化膜を
形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にして、パ
イレックスガラス/Cu(20nm)/OTiPc(2
00nm)/4,4’−(フェニル、2−メチルフェニ
ルアミノ)ビフェニル(50nm)/Au(20nm)
の構成からなる光半導体素子を作製した。
【0115】実施例1と同様の条件で、比較例2の光半
導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測定を行った。
暗電流、光電流は(−)V印加時と(+)V印加時でほ
ぼ同じ値を示した。光電流/暗電流比は印加電圧によっ
てばらつきはあるが1.2を超えることはなかった。ま
た、実施例2の光半導体素子の暗電流の大きさは、比較
例2の自己組織化膜を形成しなかった光半導体素子の暗
電流の8分の1であった。
【0116】(実施例3)実施例2において4,4’−
(フェニル、2−メチルフェニルアミノ)ビフェニルの
蒸着を行わなかったこと、及びOTiPc蒸着膜の膜厚
を250nmにしたこと以外は、実施例2と同様にし
て、パイレックスガラス/Cu(20nm)/オクタデ
シルメルカプタン自己組織化膜/OTiPc(250n
m)/Au(20nm)の構成からなる光半導体素子を
作製した。実施例1と同様にして、光半導体素子の暗電
流及び光電流の測定を行った。暗電流、光電流は(−)
V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を示した。光電
流/暗電流比は印加電圧に関係なく12程度であった。
【0117】(比較例3)実施例3においてCu電極層
上にオクタデシルメルカプタンからなる自己組織化膜を
形成しなかったこと以外は、実施例3と同様にして、パ
イレックスガラス/Cu(20nm)/OTiPc(2
50nm)/Au(20nm)の構成からなる光半導体
素子を作製した。実施例1と同様の条件で、比較例3の
光半導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測定を行っ
た。暗電流、光電流は(−)V印加時と(+)V印加時
でほぼ同じ値を示した。光電流/暗電流比は印加電圧に
よってばらつきはあるが1.5を超えることはなかっ
た。また、実施例3の光半導体素子の暗電流の大きさ
は、比較例3の自己組織化膜を形成しなかった光半導体
素子の暗電流の11分の1であった。
【0118】(実施例4)実施例1と同様にして、パイ
レックスガラス/Pt(20nm)/オクタデシルメル
カプタン自己組織化膜からなる電極層を作製した。実施
例1と同じ蒸着装置を用い、同一の条件で、C60蒸着
膜を膜厚400nmの厚さに形成した。一旦、常圧に戻
した後、3×10-3Paの真空下で活性領域が2×2m
mである金電極を20nmの厚さに4素子づつ蒸着し、
パイレックスガラス/Pt(20nm)/C60(40
0nm)/Au(20nm)の構成からなる光半導体素
子を作製した。
【0119】実施例1と同様にして、光半導体素子の暗
電流及び光電流の測定を行った。暗電流、光電流は
(−)V印加時と(+)V印加時で、ほぼ同じ値を示し
た。光電流/暗電流比は印加電圧に関係なく13程度で
あった。
【0120】(比較例4)実施例4においてPt電極層
上にオクタデシルメルカプタンからなる自己組織化膜を
形成しなかったこと以外は、実施例4と同様にして、パ
イレックスガラス/Pt(20nm)/C60(400
nm)/Au(20nm)の構成からなる光半導体素子
を作製した。実施例1と同様の条件で、比較例4の光半
導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測定を行った。
【0121】暗電流、光電流は(−)V印加時と(+)
V印加時でほぼ同じ値を示した。光電流/暗電流比は印
加電圧によってばらつきはあるが、2を超えることはな
かった。また、実施例4の光半導体素子の暗電流の大き
さは、比較例4の自己組織化膜を形成しなかった光半導
体素子の暗電流の10分の1であった。
【0122】(実施例5)実施例1と同様にして作製し
た20nmの膜厚を有するPt電極層が形成された基板
を、濃度が1mM(ミリモル)の4−メルカプトフェノ
ールのエタノール溶液に室温で1時間浸漬し、引き上げ
た後、エタノールで十分洗浄した。次いで窒素ガス気流
で噴射することによって乾燥させて処理電極基板を得
た。エリプソメータによる測定から、3nmの薄膜がP
t電極層上に形成されていることを確認することができ
た。またエスカ(ESCA)による表面分析結果も併せ
て、Pt電極層上に4−メルカプトフェノールの単分子
膜からなる自己組織化膜が形成されていることを確認し
た。
【0123】次いで、このように処理した基板を、3当
量のトリエチルアミンを含有する3mM(ミリモル)濃
度の1−オクタデシルトリクロロシラン/トルエン溶液
に1時間浸漬した後、溶液から引き上げ、トルエンで十
分洗浄した。ESCA分析より、Pt基板上には、4−
メルカプトフェノールの単分子膜からなる自己組織化膜
上に2層目の1−オクタデシルシロキシ基からなる自己
組織化膜が形成されていることを確認した。エリプソメ
ータを用いた測定により総膜厚は4.5nmであった。
【0124】このようにして得た2層の自己組織化膜を
有するPt基板を用いた以外は、実施例1と同様に、O
TiPc蒸着膜及び金電極を形成して、パイレックスガ
ラス/Pt(20nm)/自己組織化膜/OTiPc
(250nm)/Au(20nm)の構成からなる光半
導体素子を作製した。実施例1と同様にして、光半導体
素子の暗電流及び光電流の測定を行った。暗電流、光電
流は(−)V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を示
した。光電流/暗電流比は印加電圧に関係なく15程度
であった。
【0125】(比較例5)実施例5において自己組織化
膜を形成しなかったこと以外は、実施例5と同様にし
て、パイレックスガラス/Pt(20nm)/OTiP
c(250nm)/Au(20nm)の構成からなる光
半導体素子を作製した。実施例1と同様の条件で、比較
例5の光半導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測定
を行った。暗電流、光電流は(−)V印加時と(+)V
印加時でほぼ同じ値を示した。光電流/暗電流比は印加
電圧によってばらつきはあるが1.5を超えることはな
かった。また、実施例5の光半導体素子の暗電流の大き
さは、比較例5の自己組織化膜を形成しなかった光半導
体素子の暗電流の18分の1であった。
【0126】(実施例6)スパッタリングで形成された
厚さ40nmのインジウムチンオキシド電極層を有する
厚さ1mmのパイレックスガラス基板(以下、ITOと
略する)を、3当量のトリエチルアミンを含有する3m
M(ミリモル)濃度の5−[5’−(2’−メチル−
2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘキシル]
ペンチルトリクロロシラン/トルエン溶液に1時間浸漬
した後、溶液から引き上げ、トルエンで十分洗浄した。
次いで120℃のオーブン中で1時間加熱して、5−
[5’−(2’−メチル−2’−ボラ−1’,3’−ジ
オキサ)シクロヘキシル]ペンチルシロキシ基の単分子
膜からなる自己組織化膜が表面上に形成されたITO基
板を得た。
【0127】このITOからなる電極層上には、厚さ
1.5nmの、5−[5’−(2’−メチル−2’−ボ
ラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘキシル]ペンチル
シロキシ基の単分子膜からなる自己組織化膜が形成され
ていることを、エリプソメータを用いた測定とESCA
分析より確認した。
【0128】次いで、このように処理した基板を水/エ
タノールの容量比が3/7の混合溶液に室温で1時間浸
漬して、自己組織化膜のメタンホウ酸エステル部分を加
水分解した後、混合液から引き上げ、エタノールで十分
洗浄した後、減圧下60℃で乾燥させた。ESCA分析
より、ITO基板上の5−[5’−(2’−メチル−
2’−ボラ−1’,3’−ジオキサ)シクロヘキシル]
ペンチルシロキシ基の単分子膜上のメタンホウ酸エステ
ル部分は加水分解され、6−ヒドロキシメチル−7−ヒ
ドロキシへプチルシロキシ基の単分子膜に変化している
ことを確認した。
【0129】上記のようにして得た6−ヒドロキシメチ
ル−7−ヒドロキシへプチルシロキシ基の単分子膜から
なる自己組織化膜が表面上に形成されたITO基板を用
いて、再度、上記と同様に処理し2層の自己組織化膜を
形成したITO基板を得た。
【0130】このITOからなる電極層上には、6−ヒ
ドロキシメチル−7−ヒドロキシへプチルシロキシ基の
単分子膜からなる自己組織化膜上に2層目のの5−
[5’−(2’−メチル−2’−ボラ−1’,3’−ジ
オキサ)シクロヘキシル]ペンチルシロキシ基からなる
自己組織化膜が形成されていることを、エリプソメータ
を用いた測定とESCA分析より確認した。エリプソメ
ータを用いた測定により総膜厚は4.8nmであった。
【0131】このようにして得た2層の自己組織化膜を
有するITO基板を用いた以外は、実施例1と同様に、
OTiPc蒸着膜及び金電極を形成して、パイレックス
ガラス/ITO(40nm)/自己組織化膜/OTiP
c(250nm)/Au(20nm)の構成からなる光
半導体素子を作製した。実施例1と同様にして、光半導
体素子の暗電流及び光電流の測定を行った。暗電流、光
電流は(−)V印加時と(+)V印加時でほぼ同じ値を
示した。光電流/暗電流比は印加電圧に関係なく15程
度であった。
【0132】(比較例6)実施例6において自己組織化
膜を形成しなかったこと以外は、実施例6と同様にし
て、パイレックスガラス/ITO(40nm)/OTi
Pc(250nm)/Au(20nm)の構成からなる
光半導体素子を作製した。実施例1と同様の条件で、比
較例6の光半導体素子の暗電流、光電流−電圧特性の測
定を行った。
【0133】暗電流、光電流は(−)V印加時と(+)
V印加時でほぼ同じ値を示した。光電流/暗電流比は印
加電圧によってばらつきはあるが1.5を超えることは
なかった。また、実施例6の光半導体素子の暗電流の大
きさは、比較例6の自己組織化膜を形成しなかった光半
導体素子の暗電流の9分の1であった。
【0134】(比較例7)実施例1において、オキソチ
タニウムフタロシアニン(OTiPc)を蒸着する際の
基板温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にし
て、光半導体素子を作製した。実施例1と同様の条件
で、作製した光半導体素子の暗電流、光電流−電圧特性
の測定を行った。その結果、この光半導体素子の暗電流
は実施例1の自己組織化膜を形成した光半導体素子の1
0倍であり、比較例1の自己組織化膜を形成しなかった
光半導体素子とほぼ同じ値であった。また、光電流/暗
電流比も1.5程度であり、比較例1の自己組織化膜を
形成しなかった光半導体素子と同程度の値であった。こ
れらの結果から、光導電層を蒸着によって形成する際の
温度制御の効果は明らかである。
【0135】
【発明の効果】本発明は、感度の減少を抑え、光電流/
暗電流比を向上させた光半導体素子、及びその製造方法
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光半導体素子の一形式を示す平面図
である。
【図2】 図1に示す光半導体素子の平面図における、
(m)−(m)線に沿う断面図である。
【図3】 表面に酸化物を有する電極層を有する基板を
用いた場合に、自己組織化膜が形成される様子を示す模
式図である。
【図4】 表面に酸化物を有しない電極層を用いた場合
の自己組織化膜が形成される様子を示す模式図である。
【図5】 2つ以上の自己組織化膜の層からなる多層絶
縁層が形成される様子を示す模式図である。
【図6】 高分子化合物からなる自己組織化膜形成用化
合物が絶縁層を形成する様子を示す模式図である。
【図7】 2つ以上の高分子化合物からなる自己組織化
膜から多層膜が形成される様子を示す模式図である。
【図8】 光半導体素子の暗電流及び光電流を測定する
測定系の模式図である。
【図9】 実施例1で得られた光半導体素子の印加電圧
と、暗電流、光電流及び光電流/暗電流比との関係を示
す図である。
【図10】 比較例1で示した光半導体素子の印加電圧
と、暗電流、光電流及び光電流/暗電流比との関係を示
す図である。
【符合の説明】
a:電極層 b:分子性光導電材料からなる光導電層 c:自己組織化膜からなる絶縁層 d:電極層 e:基板 f:ソースメジャーユニット g:モノクロメータ h:キセノンランプ i:パーソナルコンピュータ j:素子に照射される単色光 k:リード線 l:GPIBケーブル M:電極層表面の金属原子 X:ハロゲン原子又はアルコキシ基 1:置換基を有していてもよいアルキル鎖 2:電極層上に形成された1層目の自己組織化膜 3:電極層表面の原子と反応する反応性官能基を側鎖に
有する高分子 A:反応性官能基 A′:反応性官能基Aと反応する反応性官能基 Y:AとA′の反応によって生じた反応残基 E: 電極層表面の原子と反応する反応性官能基 G:Eと電極層表面の原子の反応によって生じた反応残
基 □:光電流 ■:暗電流 ▲:光電流/暗電流比

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極層(a)、分子性光導電材料蒸着膜
    からなる光導電層(b)、自己組織化膜からなる絶縁層
    (c)、及び電極層(d)が、この順で積層された光半
    導体素子であって、暗電流が、絶縁層(c)を有さな
    い、(a)(b)(d)のみからなる光半導体素子の暗
    電流の2分の1以下であることを特徴とする光半導体素
    子。
  2. 【請求項2】 電極層(d)が、その表面に酸化物層を
    有するスズ、インジウム、アルミニウム、銅、クロム、
    チタニウム、鉄又はニッケルからなる電極層、あるいは
    酸化スズ又はインジウムスズオキサイドからなる電極層
    であり、且つ、自己組織化膜からなる絶縁層(c)を構
    成する分子が電極層(d)の表面に存在する酸化物を構
    成する分子と化学結合している請求項1に記載の光半導
    体素子。
  3. 【請求項3】 電極層(d)が、その表面に酸化物層を
    有していない銅、銀、金又は白金からなる電極層であ
    り、且つ、自己組織化膜からなる絶縁層(c)を構成す
    る分子が、電極層(d)を構成する分子又は原子と化学
    結合している請求項1に記載の光半導体素子。
  4. 【請求項4】 絶縁層(c)が、アルコキシシリル基、
    ハロシリル基、カルボキシル基及びヒドロキサム基から
    なる群から選ばれる電極層(d)と反応性の官能基を有
    する自己組織化膜形成用化合物から形成されている、請
    求項1又は2に記載の光半導体素子。
  5. 【請求項5】 絶縁層(c)が、炭素原子16個以上の
    直鎖アルキル骨格を有する自己組織化膜形成用化合物か
    ら形成されている、請求項2又は4に記載の光半導体素
    子。
  6. 【請求項6】 絶縁層(c)が、アルコキシシリル基、
    ハロシリル基、カルボキシル基及びヒドロキサム基から
    なる群から選ばれる電極層(d)と反応性の官能基を側
    鎖中に有する高分子化合物からなる自己組織化膜形成用
    化合物から形成されている、請求項1、2、4又は5に
    記載の光半導体素子。
  7. 【請求項7】 絶縁層(c)が、電極層(d)と反応性
    の官能基として、メルカプト基を有する自己組織化膜形
    成用化合物から形成されている、請求項1又は3に記載
    の光半導体素子。
  8. 【請求項8】 絶縁層(c)が、炭素原子16個以上か
    らなる直鎖アルキル骨格を有する自己組織化膜形成用化
    合物から形成されている、請求項3又は7に記載の光半
    導体素子。
  9. 【請求項9】 絶縁層(c)が電極層(d)と反応性の
    メルカプト基を側鎖中に有する高分子化合物からなる自
    己組織化膜形成用化合物から形成されている、請求項
    1、3又は8に記載の光半導体素子。
  10. 【請求項10】 絶縁層(c)が、2つ以上の自己組織
    化膜の層からなることを特徴とする、請求項1〜9のい
    ずれか一つに記載の光半導体素子。
  11. 【請求項11】 光導電層(b)が、フタロシアニン
    類、又はフラーレン類である分子性光導電材料の蒸着膜
    で形成されている、請求項1〜10のいずれか一つに記
    載の光半導体素子。
  12. 【請求項12】 70℃以下に保持した、絶縁層(c)
    を有する電極層(d)上に分子性光導電材料を蒸着する
    ことにより、光導電層(b)を形成することを特徴とす
    る、請求項1〜11のいずれか一つに記載の光半導体素
    子の製造方法。
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