JP2002270084A - 冷陰極電子源 - Google Patents

冷陰極電子源

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JP2002270084A
JP2002270084A JP2001063561A JP2001063561A JP2002270084A JP 2002270084 A JP2002270084 A JP 2002270084A JP 2001063561 A JP2001063561 A JP 2001063561A JP 2001063561 A JP2001063561 A JP 2001063561A JP 2002270084 A JP2002270084 A JP 2002270084A
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Tatsuro Kawamura
達郎 河村
Taiji Shimomoto
泰治 下元
Hideyuki Suzuki
英之 鈴木
Haruhisa Kinoshita
治久 木下
Hitoshi Takemura
等 竹村
Hiroyuki Nakazawa
博之 中沢
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Jeol Ltd
Hamamatsu Photonics KK
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Jeol Ltd
Hamamatsu Photonics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出領域が広く高密度な大電流が得られ
る冷陰極電子源を提供すること。 【解決手段】 真空下で電子を放出する冷陰極電子源で
あって、板状の底部3aから垂直に突出する壁部3bを
有する電子放出部3と、壁部3bの端部上に形成される
絶縁部2と、絶縁部2上に形成される導電部1とを備え
て構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面陰極線管など
の電子ビーム源として用いられる冷陰極電子源に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、フラットパネルディスプレイと一
般に呼ばれる平面型ディスプレイの需要が増加してい
る。これに対応して、熱陰極を有した陰極線管(CR
T)の薄型化が図られる一方で、電子ビームの発生に加
熱を必要としない冷陰極からなる面電子源の研究も進め
られている。
【0003】現在、実用的な冷陰極電子源として、スピ
ント型と呼ばれるものが知られている。このスピント型
の冷陰極電子源は、電子放出材(エミッタ)の先端を尖
鋭なコーン形状とし、これに強い電界を印加しトンネル
効果によって真空中に電子を取り出すものである。ま
た、微細化によって単位面積当たりのエミッタ数を多く
し、電流密度を増加させるとともに、出力を平均化して
安定を図るために、アレイ状(Field Emitter Array)
とされ、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術をベ
ースに形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スピン
ト型の冷陰極電子源にあっては、高密度な大電流が安定
して得られないという問題点がある。すなわち、スピン
ト型の冷陰極電子源は、電界集中によりコーン形状のエ
ミッタの先端から電子を放出しやすくするため、曲率半
径を数nm〜10nmと尖鋭化しており、電子放出領域
が実効的に極めて小さくなっている。従って、高密度な
大電流を得ることが困難である。
【0005】一方、図17に示すように、フィルム状の
FEC(Field Emission Cathode)をSiで形成した電
子源が知られている(V.I.Makhov : Ballistic Field E
mission Devices, Vacuum Microelectronics 1989, I P
C S 99, 235-238, Institute of Physics(1990))。こ
れはエッチングでSiを厚さ40nmのフィルム状のF
EC201とし、アノード202に向けて形成したもの
である。
【0006】しかしながら、フィルム状のFEC201
は、エミッション実験用の一種のダイオードを構成する
ものであり、大気圧の下で動作するとの報告があるが、
現実の冷陰極電子源としては実用性に乏しい。
【0007】他方、特開平8−264109号公報及び
特開平8−96703号公報に記載されるように、カソ
ード電極上に絶縁層及びゲート電極を積層させ、その絶
縁層及びゲート電極に微小孔を形成し、その微小孔の底
部に露出するカソード電極表面を電子放出領域とする電
子源が知られている。しかしながら、これらの電子源に
あっては、電子放出面が平坦であることから、電界集中
が起こりにくく効率良く電子放出が行えない。また、孔
の内表面全体から電子を放出するものではなく、十分な
電子放出が行えるものとなっていない。
【0008】また、特開平9−259742号公報に記
載されるように、下部電極層、絶縁層、上部電極層を順
次積層させ、上部電極層及び絶縁層を貫通し下部電極層
まで到達する微小縦穴を形成し、その微小縦穴の壁面に
電子放出膜を形成した電子源が知られている。しかしな
がら、このような電子源は、製造工程において、微小縦
穴を形成する工程のほかに、別途電子放出膜を形成する
工程が必要であり、効率的な製造が行えない。
【0009】また、特開平4−264337号公報に記
載されるように、基板に複数の微細孔を形成し、その孔
壁に沿って電子放出素子を形成した電子源が知られてい
る。しかしながら、このような電子源は、製造工程にお
いて、微細孔を形成する工程のほかに、別途電子放出素
子を形成する工程が必要であり、効率的な製造が行えな
い。また、孔の内表面全体から電子を放出するものでは
なく、十分な電子放出が行えるものとなっていない。
【0010】更に、上述した公報に記載される電子源と
類するものとして、特開2000−100315号公
報、特開2000−90861号公報、特開平10−1
99398号公報、特開平10−149778号公報及
び特開平11−167886号公報に記載される電子源
が知られている。
【0011】本発明は、上述した技術的課題に鑑みてな
されたものであり、電子放出領域を広げ高密度な大電流
が得られる冷陰極電子源を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明に係る冷陰
極電子源は、真空下で電子を放出する冷陰極電子源にお
いて、板状の底部から垂直に突出する壁部を有する電子
放出部と、壁部の端部上に形成される絶縁部と、絶縁部
上に形成される導電部とを備えたことを特徴とする。
【0013】また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放
出部の壁部がストライプ状に形成されていることを特徴
とする。また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放出部
の壁部が多角形状に連続して形成されていることを特徴
とする。また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放出部
の壁部の開口形状が三角形状、四角形状又は六角形状で
あることを特徴とする。また本発明に係る冷陰極電子源
は、電子放出部が負の電子親和力を示す材料もしくは低
仕事関数材料を含むことを特徴とする。
【0014】また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放
出部がMo、Ni、Si、Ta、W、C、BaO、Mg
O、LaB6、GaN、ZnO、ダイアモンドライクカ
ーボン、ダイアモンドからなる群より選ばれる少なくと
も1の電子放出材料を含むことを特徴とする。
【0015】これらの発明によれば、電子放出部の壁部
から電子放出が可能であり、電子放出領域が広いため、
高密度な大電流を得ることができる。また、電子放出
部、絶縁部、導電部を順次積層させた後、電子放出部に
壁部をエッチングなどで形成することにより製造が可能
であり、効率良く製造が行える。更に、導電部が電子放
出部の近傍に配設されるため、導電部に所定の電圧を印
加することにより電子を容易に引き出すことができる。
このとき、印加電圧の低減も図れる。
【0016】また本発明に係る冷陰極電子源は、絶縁部
の壁厚が電子放出部の壁部の壁厚より薄く形成され、電
子放出部の壁部のエッジ部分が外部に露出していること
を特徴とする。
【0017】この発明によれば、電子放出部の壁部のエ
ッジ部分が外部に露出することにより、そのエッジ部分
に強く電界が集中し、電子放射を生じやすくなる。ま
た、電子放出部と導電部との間の絶縁距離が長くなり、
絶縁効果も向上する。
【0018】また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放
出部の壁部のエッジ部分が側方へ尖鋭に突出しているこ
とを特徴とする。
【0019】この発明によれば、電子放出部の壁部のエ
ッジ部分が尖鋭化して突出するため、そのエッジ部分に
強く電界が集中し、電子放出を生じやすくなる。
【0020】また本発明に係る冷陰極電子源は、導電部
上に第二絶縁部が設けられ、その第二絶縁部上に第二導
電部が設けられていることを特徴とする。
【0021】この発明によれば、第二導電部に電圧を印
加することにより、電子放出部から放出される電子に対
し第二導電部を加速電極又は集束電極として機能させる
ことができる。また、この場合、第二導電部を導電部の
近傍に配置できるため、電子の加速作用又は集束作用を
効果的に得ることができる。
【0022】また本発明に係る冷陰極電子源は、絶縁部
が、X≦2としたSiOXにより構成されていることを
特徴とする。
【0023】この発明によれば、SiOXのXを2以下
とすることにより、粘性が高く軟らかい膜質の絶縁部が
得られ、電子放出部に対し密着性が良好となる。このた
め、冷陰極電子源の製造時において、絶縁部の形成後に
おけるプロセスにて剥がれなどの不具合が生じにくくな
る。
【0024】また本発明に係る冷陰極電子源は、電子放
出部、絶縁部及び導電部は、同一の主材料であってそれ
ぞれ異なる電気抵抗特性を有するものにより形成されて
いることを特徴とする。
【0025】この発明によれば、同一の主材料により電
子放出部、絶縁部及び導電部を構成することにより、製
造が容易なものとなり、製造効率の向上が図れる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき、本発明
における実施の形態について説明する。尚、各図におい
て同一要素には同一符号を付して説明を省略する。ま
た、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致してい
ない。
【0027】(第一実施形態)図1に本実施形態に係る
冷陰極電子源の断面図を示す。
【0028】本図に示すように、本実施形態に係る冷陰
極電子源は、シリコン基板4上に電子放出部3が形成さ
れている。電子放出部3は、電子を放出するものであ
り、真空下で強い電界が印加されることにより電子を放
出する。電子放出部3は、シリコン基板4上に積層され
板状を呈する底部3aを有し、その底部3aから垂直に
突出する壁部3bを有している。なお、ここでいう「垂
直に突出する」とは、ほぼ垂直に突出する場合も含むも
のである。
【0029】電子放出部3は、電界放射により電子が取
り出しやすい材料により構成され、負の電子親和力を示
す材料もしくは低仕事関数材料により構成することが好
ましい。例えば、電子放出部3を構成する材料として、
モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、ケイ素(S
i)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、炭素
(C)などの単体元素、酸化バリウム(BaO)、酸化
マグネシウム(MgO)、ホウ化ランタン(LaB6
などの化合物、窒化ガリウム(GaN)、酸化亜鉛(Z
nO)、ダイアモンドライクカーボン(DLC)、ダイ
アモンドなどの電子放出材料、またはこれらの混合物が
用いられる。
【0030】電子放出部3の壁部3bの上端には、絶縁
部2が形成されている。絶縁部2は、電子放出部3と後
述する導電部1との間を絶縁するための部材である。絶
縁部2を構成する材料としては、例えば、X≦2とした
SiOXが用いられる。この場合、X≦2とすることに
より、粘性が高く軟らかい膜質のものが得られ、電子放
出部3をDLCなどで構成したときに極めて平坦な電子
放出部3の表面に対し密着性が良好となる。このため、
冷陰極電子源の製造時において、絶縁部2の形成後にお
けるプロセスにて剥がれなどの不具合が生じにくいなど
の利点がある。
【0031】絶縁部2上には、導電部1が形成されてい
る。導電部1は、電子引き出し用の電圧を印加するため
の電極として機能するものであり、導電性の高い材料に
より構成され、例えば、タングステンが用いられる。
【0032】図2に示すように、電子放出部3の壁部3
bは、例えばストライプ状に形成される。即ち、壁部3
bが複数形成され相互に平行とされストライプ状となっ
ている。
【0033】図3に示すように、電子放出部3の壁部3
bは、例えば多角形状に連続して形成されていてもよ
い。この場合、電子放出部3の壁部3bの開口形状とし
ては、図3のように四角形としてもよいし、図4に示す
ように六角形又は図5に示すように三角形としてもよ
い。
【0034】図6に示すように、絶縁部2の壁厚を電子
放出部3の壁部3bの壁厚より薄くして電子放出部3の
壁部3bのエッジ部分3cを外部に露出させることが好
ましい。この場合、壁部3bのエッジ部分3cにて電界
集中が強められ、電子放射を生じやすくなる。このよう
な絶縁部2及び導電部1は、電子放出部3、絶縁部2及
び導電部1を順次積層した後、絶縁部2及び導電部1を
電子放出部3とは別個にエッチングすることにより形成
することができる。
【0035】また、図6のように絶縁部2及び導電部1
の壁厚の双方が必ずしも電子放出部3の壁部3bの壁厚
より薄くなくてもよく、図7に示すように、電子放出部
3の壁部3bのエッジ部分3cが外部に露出していれ
ば、絶縁部2の壁厚のみを電子放出部3の壁部3bの壁
厚より薄くしてもよい。このような絶縁部2は、絶縁部
2と導電部1を別個にエッチングすることにより形成す
ることができる。
【0036】更に、図8に示すように、導電部1の壁厚
を電子放出部3の壁部3bの壁厚より薄くし、絶縁部2
の壁厚を電子放出部3の壁部3bの壁厚及び導電部1の
壁厚より薄くしてもよい。この場合であっても、壁部3
bのエッジ部分3cにて電界集中が強められ、電子放射
を生じやすくなる。また、電子放出部3と導電部1との
間の絶縁距離が長くなり、絶縁効果も向上する。
【0037】図9に示すように、電子放出部3の壁部3
bのエッジ部分3cは、側方へ尖鋭に突出させることが
望ましい。この場合、壁部3bのエッジ部分3cが尖鋭
に突出しているため、そのエッジ部分3cに電界集中が
強められ、電子放射を生じやすくなる。また、この場
合、従来のスピント型のエミッタと異なり、尖鋭部分が
壁部3bに沿って連続して存在するため、電子放出領域
が広いものとなり電子放出量の増大化が図れる。更に、
尖鋭部分が壁部3bに沿って連続して存在するため、尖
鋭部分の機械的強度が高く、作動時などの破損を防止で
きる。
【0038】図10に示すように、導電部1上に第二絶
縁部6を設け、その第二絶縁部6上に第二導電部5を設
けることが望ましい。この場合、第二導電部5に電圧を
印加することにより、電子放出部3から放出される電子
に対し第二導電部5を加速電極又は集束電極として機能
させることができる。このとき、第二導電部5を導電部
1の近傍に配置できるため、電子の加速作用又は集束作
用を効果的に得ることができる。
【0039】図10では導電部1の一部の上方に第二絶
縁部6及び第二導電部5を形成した場合について図示し
たが、導電部1の全部の上方に第二絶縁部6及び第二導
電部5を形成してもよい。
【0040】次に、本実施形態に係る冷陰極電子源の製
造例について説明する。
【0041】図11〜15は、冷陰極電子源の各製造工
程の説明図である。図11に示すように、シリコン基板
4上に電子放出部3、絶縁部2及び導電部1を順次積層
した後、導電部1上にレジスト7を塗布する。このと
き、電子放出部3としてDLC、絶縁部2としてSiO
X、導電部1として酸化しにくいWを用いる。
【0042】電子放出部3の形成には、望ましくは、ス
ーパーマグネトロンプラズマCVD法を用いられる。こ
のスーパーマグネトロンプラズマCVD法によれば、電
子放出部3を1〜1.5μmの厚さに堆積し、比抵抗
0.17Ωcmという極めて低抵抗の膜が得られる。
【0043】絶縁部2は、プラズマCVD法により、S
iOX膜を200〜300nmの厚さに形成する。その
際、蒸着中に流入させる酸素ガス(O2)量を少なくす
ることにより、X≦2としたSiOX膜を形成すること
ができる。
【0044】導電部1は、蒸着によりWを100〜15
0nmの厚さに形成する。導電部1は、電子引き出し用
電極として用いられる。
【0045】そして、この導電部1上にレジスト7を塗
布した後、電子線描画により冷陰極としての所定の寸法
に露光を行う。例えば、電子放出部3の壁部3bの壁厚
を200nmとし、壁部3bの開口形状を四角形として
格子状に壁部3bを形成する。その格子ピッチを1μm
とする。
【0046】そして、露光及び現像後、レジストパター
ンをマスクとして3層エッチングを行う。その際、さら
に電子放出部3をオーバーエッチして、その膜厚の50
%程度までエッチングする(図12)。
【0047】そして、マスクとしてのレジスト7を除去
すると、電子引き出し用電極である導電部1、絶縁部2
及び電子放出部3からなる格子状冷陰極壁構造体が得ら
れる(図13)。
【0048】この後、導電部1、絶縁部2の壁厚を小さ
くして、電子放出部3の壁部3bのエッジ部分を外部に
露出させるため、導電部1上にレジスト8を塗布し、電
子線露光および現像の工程を行い、壁厚100nmのレ
ジストパターンを形成する。このレジストパターンをマ
スクとして導電部1及び絶縁部2のエッチングを行う。
このとき、絶縁部2をサイドエッチする(図14)。そ
して、レジスト8を除去し、格子状の冷陰極電子源が得
られる(図15)。
【0049】次に、本実施形態に係る冷陰極電子源を蛍
光表示管に用いた適用例について説明する。
【0050】図16に本実施形態に係る冷陰極電子源を
用いた蛍光表示管を示す。本図に示すように、ガラス管
15内に本実施形態に係る冷陰極電子源17を電子放出
部が上面になるようにして設置し、これに電極リード1
8を接続する。冷陰極電子源17の上方にはメッシュ電
極16を設けて、電子ビーム加速用とする。
【0051】一方、ガラス板10にITO透明電極11
を蒸着しその上に更に蛍光面14を形成したものを、蛍
光面14が冷陰極電子源17に向かい合うようにガラス
管15の上端に設置する。ガラス板10の外周に蛍光面
用電極13を配置し、その蛍光面用電極13とガラス板
10の間にシール用インジウムリング12を介在させガ
ラス管15を真空封止している。
【0052】このような蛍光表示管によれば、冷陰極電
子源17から放射された電子流を正の直流電圧を印加し
たメッシュ電極16で加速し、蛍光面電極13に高い直
流電圧を印加することで蛍光面14に入射させ、高輝度
の発光を得ることができる。
【0053】以上のように、本実施形態に係る冷陰極電
子源によれば、板状の底部3aから垂直に突出する壁部
3bを有する電子放出部3と、壁部3bの端部上に形成
される絶縁部2と、その絶縁部上に形成される導電部1
とを備えることにより、電子放出部3の壁部3b及び底
部3aから電子放出が可能であり、電子放出領域が広い
ため高密度な大電流を得ることができる。また、電子放
出部3、絶縁部2、導電部1を順次積層させた後、電子
放出部3に壁部3bをエッチングなどで形成することに
より製造可能であり、効率良く製造することができる。
更に、導電部1が電子放出部3の近傍に配設されるた
め、導電部1に所定の電圧を印加することにより電子を
容易に引き出すことができる。このとき、印加電圧の低
減も図れる。
【0054】また、電子放出部3の壁部3bのエッジ部
分3cを外部に露出させることにより、エッジ部分3c
に強く電界が集中することとなり、電子放出を生じやす
くすることができる。また、電子放出部3と導電部1と
の間の絶縁距離が長くなり、絶縁効果の向上も図れる。
【0055】また、電子放出部3の壁部3bのエッジ部
分3cを側方へ尖鋭に突出させることにより、そのエッ
ジ部分3cに強く電界が集中することとなり、電子放出
を生じやすくすることができる。
【0056】また、導電部1上に第二絶縁部6を設け、
その第二絶縁部6上に第二導電部5を設けることによ
り、第二導電部5に所定の電圧を印加して電子放出部3
から放出される電子に対し第二導電部5を加速電極又は
集束電極として機能させることができる。また、この場
合、第二導電部5を導電部1の近傍に配置できるため、
電子の加速作用又は集束作用を効果的に得ることができ
る。
【0057】また、絶縁部2をX≦2としたSiOX
より構成することにより、絶縁部2として粘性が高く軟
らかい膜質のものが得られ、電子放出部3に対し密着性
が良好となる。このため、冷陰極電子源の製造時におい
て、絶縁部2の形成後におけるプロセスにて剥がれなど
の不具合が生じにくくなる。
【0058】(第二実施形態)次に、第二実施形態に係
る冷陰極電子源について説明する。
【0059】前述した第一実施形態では、電子放出部
3、絶縁部2及び導電部1が異なる主材料により構成さ
れる冷陰極電子源について説明したが、本実施形態に係
る冷陰極電子源は電子放出部3、絶縁部2及び導電部1
が同一の主材料であってそれぞれ異なる電気抵抗特性を
有するものにより構成されるものである。
【0060】例えば、電子放出部3、絶縁部2及び導電
部1の主材料としてDLCを用い、窒素のドープ量を変
えることにより電子放出部3、絶縁部2及び導電部1の
各電気抵抗特性を異なるものとすることができる。
【0061】本実施形態に係る冷陰極電子源の製造方法
の一例を説明する。
【0062】電子放出材料としてDLCを用い、その成
膜にプラズマCVD法を用いる。望ましくは、スーパー
マグネトロンプラズマCVD法を用いる。具体的には、
メタンガス(CH4)又はイソブタンガス(C410)と
窒素ガス(N2)の混合ガスをプラズマCVD装置内に
導入しながら成膜を行い、例えばガス圧を50mTor
r中70%を窒素ガスとすることにより低抵抗(比抵抗
0.17Ωcm)の電子放出部3としてDLC膜が得ら
れる。
【0063】そして、この状態で1.5μm堆積した
後、窒素ガスの導入をゼロとすると、抵抗値は約10桁
高くなり(kMΩcmオーダー)、絶縁性の高い絶縁部
2としてDLC膜が得られる。絶縁部2としては0.3
〜0.5μm程度堆積した後、再び窒素ガスを導入して
成膜し、0.2μm程度堆積させて導電部1とする。
【0064】そして、導電部1の堆積後、エッチングな
どにより電子放出部3の壁部3bを形成して冷陰極電子
源の製造が完了する。
【0065】以上のように、本実施形態に係る冷陰極電
子源によれば、同一の主材料により電子放出部3、絶縁
部2及び導電部1を構成することにより、製造が容易な
ものとなり、製造効率の向上が図れる。
【0066】なお、本実施形態では、製造工程にて窒素
ガスの導入量を変えることにより電子放出部3、絶縁部
2及び導電部1の電気抵抗特性を異ならせる場合につい
て説明したが、同一の主材料を用い電子放出部3、絶縁
部2及び導電部1の電気抵抗特性を異ならせる手法とし
ては、CVD装置の電極に加える高周波パワーを変化さ
せてもよい。この場合であっても、同一の主材料を用い
電子放出部3、絶縁部2及び導電部1の電気抵抗特性を
異ならせることが可能である。
【0067】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
電子放出領域が広く高密度な大電流が得られる冷陰極電
子源が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の断
面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の説
明図である。
【図10】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
説明図である。
【図11】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
製造工程の説明図である。
【図12】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
製造工程の説明図である。
【図13】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
製造工程の説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
製造工程の説明図である。
【図15】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
製造工程の説明図である。
【図16】本発明の第一実施形態に係る冷陰極電子源の
適用例を示す図である。
【図17】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
1…導電部、2…絶縁部、3…電子放出部、3a…底
部、3b…壁部、3c…エッジ部分。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 達郎 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 下元 泰治 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 鈴木 英之 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 木下 治久 静岡県浜松市広沢1−22−12 合同宿舎4 −51 (72)発明者 竹村 等 東京都昭島市武蔵野三丁目1番2号 日本 電子株式会社内 (72)発明者 中沢 博之 東京都昭島市武蔵野三丁目1番2号 日本 電子株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD17 5C036 EE01 EF01 EF06 EF09 EG02 EG31 EH01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空下で電子を放出する冷陰極電子源に
    おいて、 板状の底部から垂直に突出する壁部を有する電子放出部
    と、 前記壁部の端部上に形成される絶縁部と、 前記絶縁部上に形成される導電部と、を備えたことを特
    徴とする冷陰極電子源。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部の前記壁部がストライプ
    状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    冷陰極電子源。
  3. 【請求項3】 前記電子放出部の前記壁部が多角形状に
    連続して形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載の冷陰極電子源。
  4. 【請求項4】 前記電子放出部の前記壁部の開口形状が
    三角形状、四角形状又は六角形状であることを特徴とす
    る請求項3に記載の冷陰極電子源。
  5. 【請求項5】 前記電子放出部が負の電子親和力を示す
    材料もしくは低仕事関数材料を含むことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の冷陰極電子源。
  6. 【請求項6】 前記電子放出部がMo、Ni、Si、T
    a、W、C、BaO、MgO、LaB6、GaN、Zn
    O、ダイアモンドライクカーボン、ダイアモンドからな
    る群より選ばれる少なくとも1の電子放出材料を含むこ
    とを特徴とする請求項5に記載の冷陰極電子源。
  7. 【請求項7】 前記絶縁部の壁厚が前記電子放出部の前
    記壁部の壁厚より薄く形成され、前記電子放出部の前記
    壁部のエッジ部分が外部に露出していることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の冷陰極電子源。
  8. 【請求項8】 前記電子放出部の前記壁部のエッジ部分
    が側方へ尖鋭に突出していることを特徴とする請求項1
    〜7のいずれかに記載の冷陰極電子源。
  9. 【請求項9】 前記導電部上に第二絶縁部が設けられ、
    その第二絶縁部上に第二導電部が設けられていることを
    特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の冷陰極電子
    源。
  10. 【請求項10】 前記絶縁部が、X≦2としたSiOX
    により構成されていることを特徴とする請求項1〜9の
    いずれかに記載の冷陰極電子源。
  11. 【請求項11】 前記電子放出部、前記絶縁部及び前記
    導電部は、同一の主材料であってそれぞれ異なる電気抵
    抗特性を有するものにより形成されていることを特徴と
    する請求項1〜5、7のいずれかに記載の冷陰極電子
    源。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20040040499A (ko) * 2002-11-07 2004-05-13 엘지.필립스디스플레이(주) 전계방출형 표시소자의 기판/립 일체형 구조 및 제조방법
JP2005063969A (ja) * 2003-08-12 2005-03-10 Samsung Sdi Co Ltd カーボンナノチューブエミッタを具備する電界放出ディスプレイ及びその製造方法

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