JP2002268426A - 加熱定着ローラ、その製造方法及び製造装置 - Google Patents

加熱定着ローラ、その製造方法及び製造装置

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JP2002268426A
JP2002268426A JP2001063514A JP2001063514A JP2002268426A JP 2002268426 A JP2002268426 A JP 2002268426A JP 2001063514 A JP2001063514 A JP 2001063514A JP 2001063514 A JP2001063514 A JP 2001063514A JP 2002268426 A JP2002268426 A JP 2002268426A
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graphite
heat
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JP2001063514A
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Masaharu Tanaka
正治 田中
Tatsuya Sato
達哉 佐藤
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 硬質で、しかも低摩擦性に優れ、潤滑性と平
滑性を持つ非粘着性表面層を有する加熱ローラ、その製
造方法及び製造装置を提供すること。 【解決手段】 電子写真方式による画像形成装置の定着
装置に用いる加熱定着ローラであって、アルミニウム又
はアルミニウム合金材料を用いた芯金表面に、封孔処理
を施し、最表層に複合化潤滑性薄膜又は低摩擦性層間化
合物を形成したことを特徴とする加熱定着ローラ。アル
ミニウム又はアルミニウム合金材料を用いた芯金表面に
陽極酸化皮膜を形成した後に、逆スパッタリングのスパ
ッタリングのスパッタエッチングにより封孔処理を施し
て、最表層に複合化潤滑性薄膜又は低摩擦性層間化合物
をスパッタリングにより形成することを特徴とする上記
加熱定着ローラの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加熱定着ローラ、
その製造方法及び製造装置に関し、さらに詳しくは、電
子写真式複写機やプリンタ等のトナー現像に用いられる
硬質で、しかも低摩擦性に優れた加熱定着ローラ、その
製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複写機やレーザープリンタ等の電子写真
方式を用いる画像形成装置は、例えば、以下のようなプ
ロセスで画像を形成する。すなわち、回転する感光体ド
ラムを有し、この感光体ドラムの感光体層を、コロナチ
ャージャーと呼ばれる帯電器等の電荷発生器によって、
一様に帯電させた後に、レーザービーム走査ユニットか
らのレーザービームにより露光することによって静電潜
像を形成し、静電潜像をトナーによって現像しトナー画
像とし、このトナー画像を紙等の画像支持体上に転写さ
せた後、さらに、その画像支持体を熱定着装置に通過さ
せては、トナー画像を圧熱により加熱定着する。
【0003】上記の熱定着装置として回転ローラ式の定
着ローラが多用されている。定着ローラの表面は、トナ
ーの離型性や耐オフセット性に優れること、耐熱性や耐
摩耗性に優れていることが要求される。このような要求
に対して、近年、定着ローラ表面の材料として、耐熱性
や離型性に優れたPTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)樹脂やPFA(テトラフルオロエチレン−パーフル
オロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂、FEP
(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン
共重合体)樹脂等の含フッ素高分子樹脂の性質を使用し
た非粘着性表面層を設けることにより、トナーが粘着固
化して画像オフセット現象が発生することを防止するこ
とが提案されている(例えば、特開平6−274060
号公報)。
【0004】しかしながら、これら含フッ素樹脂を定着
ローラの非粘着性を実現する表面離型層として用いた場
合でも、トナー離型性や耐オフセット性が十分ではなか
った。画像支持体である紙やシートの種類、画像を形成
するトナーの種類や定着プロセスの種々の条件によって
は、離型性やオフセットの現象が異なったり、ローラの
機械的耐久性が影響されることが多いからである。その
理由の一つに、以下のことが挙げられる。すなわち、表
面離型層として用いられる含フッ素樹脂は、その材料単
体で使用されることは少ない。定着ローラ表面の含フッ
素樹脂単体の皮膜は、金属、合金の皮膜のように硬くは
なく、1017Ω以上という高い電気抵抗を示し、摩擦
帯電でマイナスに帯電しやすい性質を持つからである。
【0005】電子写真方式の画像形成装置(複写機、プ
リンタ等)の現像材料として用いるトナーは、プラス帯
電させて用いるタイプがあり、この場合には、定着ロー
ラ表面にトナーが静電気力で付着しやすくなるため、含
フッ素樹脂層に導電性カーボンなどの導電性物質を混入
させて導電性を付与して電気抵抗を減らし、帯電を防止
させたり、金属酸化物等の無機微粉体を混入させて、耐
摩耗性を向上する方法が採用されてきた。
【0006】しかしながら、含フッ素樹脂のような高分
子材料に無機微粉末を混入させると、樹脂の熱流動性が
低下し、平滑な表面が得られにくい。つまり、トナーの
付着や固着の根本的な原因は、定着ローラ表面の離型層
の表面性状に大きく依存することが明らかである。
【0007】電子写真方式の画像形成装置において、画
像形成プロセスの最終段階である定着プロセスでは、上
記のように、定着ローラへのトナー固着による画像オフ
セットの発生、画像支持体である転写紙の巻き付き等の
不具合が生じる。その原因として、プロセス条件、定着
ローラが設置される雰囲気等の環境条件、紙、現像材料
等の外的因子等、多種多様なことが考えられ、画像形成
装置の信頼性を確保し保証するためには、定着ローラの
材料構成、表面加工方法の抜本的な改善が必要となって
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、硬質で、しかも低摩擦性に優れ、潤滑性と
平滑性を持つ非粘着表面層を有する加熱ローラ、その製
造方法及び製造装置を提供することをその課題とするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、加熱定着ローラに形成する層に着目
して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到っ
た。
【0010】すなわち、本発明によれば、第1に、電子
写真方式による画像形成装置の定着装置に用いる加熱定
着ローラであって、アルミニウム又はアルミニウム合金
材料を用いた芯金表面に、封孔処理を施し、表面を活性
化、かつ平坦化した陽極酸化皮膜を有し、該陽極酸化皮
膜上に層状無機薄膜を有し、最表層に複合化潤滑性薄膜
又は低摩擦性層間化合物を形成したことを特徴とする加
熱定着ローラが提供される。
【0011】この第1の発明には、該陽極酸化皮膜の膜
厚が、10〜30μmである加熱定着ローラ、該層状無
機薄膜が、硫化物の層状薄膜であり、該複合化潤滑性薄
膜が、含フッ素高分子物質を含有するものである加熱定
着ローラ、該層状無機薄膜が、黒鉛の層状薄膜であり、
該低摩擦性層間化合物が、インターカーレーションによ
り形成され、フッ素又は金属化合物を含有するものであ
る加熱定着ローラ、該層状無機薄膜が、黒鉛の層状薄膜
であり、該低摩擦性層間化合物が、インターカーレーシ
ョンにより形成され、フッ化グラファイトである加熱定
着ローラ及び該フッ化グラファイトが、プラズマアシス
トスパッタリングにより形成されたものである加熱定着
ローラが含まれる。
【0012】本発明によれば、第2に、電子写真方式に
よる画像形成装置の定着装置に用いる加熱定着ローラの
製造方法であって、アルミニウム又はアルミニウム合金
材料を用いた芯金表面に陽極酸化皮膜を形成した後に、
逆スパッタリングのスパッタリングのスパッタエッチン
グにより封孔処理を施して、表面を活性化、かつ平坦化
し、次いで、該陽極酸化皮膜上に層状無機薄膜を形成
し、最表層に複合化潤滑性薄膜又は低摩擦性層間化合物
をスパッタリングにより形成することを特徴とする上記
加熱定着ローラの製造方法が提供される。
【0013】この第2の発明には、有磁場マイクロ波プ
ラズマ源を備え、不活性ガスとフッ化炭素の混合ガスプ
ラズマをアシスト源として、プラズマアシストスパッタ
リングにより、黒鉛の層状薄膜上にフッ化グラファイト
の層間化合物を形成するものである加熱定着ローラの製
造方法及びガス分圧検出手段を備え、不活性ガスとフッ
化炭素の混合ガスプラズマをアシスト源として、プラズ
マアシストスパッタリングにより、黒鉛の層状薄膜上に
フッ化グラファイトの層間化合物を形成する際、該混合
ガス組成をモニターしながら行うものである加熱定着ロ
ーラの製造方法が含まれる。
【0014】本発明によれば、第3に、電子写真方式に
よる画像形成装置の定着装置に用いる加熱定着ローラの
製造装置であって、アルミニウム又はアルミニウム合金
材料を用いた芯金表面に陽極酸化皮膜を形成する手段、
逆スパッタリングのスパッタエッチングにより封孔処理
を施して、表面を活性化、かつ平坦化する手段、該陽極
酸化皮膜上に層状無機薄膜を形成する手段及び最表層に
複合化潤滑性薄膜又は低摩擦性層間化合物をスパッタリ
ングにより形成する手段を備えたことを特徴とする上記
加熱定着ローラの製造装置が提供される。
【0015】この第3の発明には、有磁場マイクロ波プ
ラズマ源を備え、不活性ガスとフッ化炭素の混合ガスプ
ラズマをアシスト源として、プラズマアシストスパッタ
リングにより、黒鉛の層状薄膜上にフッ化グラファイト
の層間化合物を形成する手段を有するものである加熱定
着ローラの製造装置及びガス分圧検出手段を備え、不活
性ガスとフッ化炭素の混合ガスプラズマをアシスト源と
して、プラズマアシストスパッタリングにより、黒鉛の
層状薄膜上にフッ化グラファイトの層間化合物を形成す
る際、該混合ガス組成をモニターしながら行うものであ
る加熱定着ローラの製造装置が含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、トナーの固着状況
などを観察し、現状の課題を吟味した結果、定着ローラ
のトナー固着発生時の状況を、図1のように推測してい
る。この中では、定着ローラの表面性状のうち、特に摩
擦特性と摩擦による表面状態の変化に着目した。図1を
例にとると、導電性や機械的耐久性を付与するため、導
電性カーボンや無機硬質物質を混入したPFA(テトラ
フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテ
ル共重合体)樹脂は、離型層として代表的なものであ
る。
【0017】この材料は、定着ローラ芯金上に静電塗装
により粉体として塗工される。芯金と離型層の密着性を
増すため、中間にプライマー層を設ける場合もある。粉
体静電塗装された後には、焼成により、PFA塗膜とし
て固定化された後に、表面を研磨して平坦化する。さら
に離型性を確保するため、二次焼成によって、表面をさ
らに平坦化し、平滑な面とする。図1は、新品の定着ロ
ーラが、その機能を果たして行くうちに、熱圧や外来
物、環境のストレスに晒されて、トナーの固着に至るま
での変化を、模式的に表している。
【0018】定着ローラは離型層として、例えば、PF
A樹脂を粉体塗装して、約380℃で1時間弱焼成した
後、表面研磨され、面粗度を概ね、Rz2.0μmにな
るように加工して平坦化し、さらに表面を滑らかにする
ために二次焼成を行う。この初期状態から熱定着を繰り
返し使用すると、表面形態や表面性状が変化する。本発
明者らは、従来の加熱定着ローラにトナーが固着したも
のを多数解析した結果、図1に示されるような原因推定
に至った。図1のように、定着ローラへのトナーの固着
は、主に外来物質が繰り返しストレスの要因になってお
り、定着ローラ自体の表面の変化が起こる。特にトナー
固着の原因は、ローラ表面の摩擦摩耗による表面形状の
変化が大きな要因となっている。
【0019】加熱定着ローラの芯金は、アルミニウムや
アルミニウム合金が用いられ、例えば、表面硬度が硬い
A7075アルミニウム合金においても、ビッカース硬
度Hv150程度である。芯金に用いらるA5052等
は、さらに表面硬度が小さく、これらのアルミニウム合
金は、高温で熱処理すると表面硬度が低下する。本発明
者らの実験によれば、A7075を180℃、1時間の
条件で加熱しただけで、その表面硬度は30〜35%低
下した。トナーの固着を防止するためには、基体である
芯金の表面硬度を増し、ローラ表面に対して、当接物が
与える摩擦摩耗に耐えうる芯金の表面硬度が必要である
と共に、芯金の強固な土台の上に、低摩擦性、非粘着性
を有する機能性薄膜を形成するような機能分離が必要で
ある。特に本発明は、加熱定着ローラ表面にトナー離型
性等を向上するためのオイル塗布やオイル含浸を施すこ
となく、画像に影響する要素を排除するため、ドライな
状態で非粘着性、低摩擦性、高耐久性を簡便に実現する
課題に対応するものである。
【0020】また、ローラ芯金の表面硬度の低下をきた
すことなく高硬度、耐食性などを確保し、さらに、芯金
表面に低摩擦、高潤滑性を付与でき、密着性のよい強固
な機能性薄膜が形成された加熱定着ローラを製造する方
法が求められている。
【0021】アルミニウム又はアルミニウム合金からな
るローラ芯金の表面硬度を維持するに必要十分な厚さを
持った硬質皮膜上に、低摩擦、高潤滑性を持つ機能性薄
膜を形成し、かつガスや上記の薄膜材料物質による反応
や浸食に耐えるよう耐食性を有した陽極酸化皮膜を芯金
表面に形成する必要がある。
【0022】加熱定着ローラ表面が機械的ストレスに耐
えられるように、芯金基体表面が高硬度であると同時
に、低摩擦性を有する平滑な表面となることが必要であ
る。そのため、導電性かつ低摩擦を示す硬質薄膜を低温
で形成することが望まれる。
【0023】ローラ芯金表面上に形成された導電性かつ
低摩擦性硬質膜を低温で形成することが必要である。
【0024】また、耐熱性の低いアルミ合金のローラ芯
金表面上に形成された導電性かつ低摩擦性硬質薄膜を低
温で形成することが必要である。このため、インターカ
ーレートは気相において低温で行う必要があり、活性な
多価炭素種を用いて気相反応を行うことが必要である。
【0025】さらに、層間化合物の炭素とフッ素の組成
によって、低摩擦性、機械的耐久性が著しく左右される
ため、最適の条件で層間化合物の気相形成を行う必要が
ある。
【0026】図2には、加熱定着ローラの例を図示して
いる。ローラの芯金1は、管状で例えば、アルミニウム
合金A5052であり、外径は39.8mm、管の肉厚
は2.8mmとなっている。この管状の素管に、硬質陽
極酸化皮膜処理と封孔処理を行う。図3で、素管(芯
金)の基体2の表面に封孔処理された硬質陽極酸化皮膜
3は、ポリシング等の表面平坦化手段で平坦化された
後、洗浄される。
【0027】図4には、硬質陽極酸化皮膜の拡大図が示
される。図4において、素管の基体6上には、硬い陽極
酸化皮膜7が形成され、さらに封孔処理によって水酸化
アルミニウムの層、いわゆるベーマイト層8が形成さ
れ、陽極酸化皮膜7の微細な孔が埋め尽くされる。その
後、封孔された陽極酸化皮膜を持つ管は、ポリシング等
の表面平坦化手段で、表面粗さRaが0.15μm程度
になるよう平坦化されて、洗浄を行う。図5に示される
ように、洗浄された素管10は、真空容器9に設置され
たワークホルダー11に固定される。素管10は、真空
容器9において表面処理されている間は回転機構12に
よって回転ができるようになっている。真空容器9に
は、素管10の表面に、層状無機薄膜をスパッタリング
法によって形成するためのスパッタターゲット17とそ
の電源19が、最表層に層間化合物をスパッタリング法
によって形成するためのスパッタターゲット18とその
電源20が設置されている。
【0028】図5において、13はアシスト用プラズマ
源であり、本発明では、ECR(電子サイクロトロン共
鳴)プラズマ源を使用し、このプラズマ源は磁場を発生
させる電磁石14とマイクロ波を導入する導波管15及
びマイクロ波電源16を備えている。図5で、29はス
パッタリングや逆スパッタリングを行うための不活性ガ
ス(アルゴンガス)を導入するガス導入系を示す。真空
容器9は、主バルブ21を介して真空排気系22に接続
されている。クライオポンプを主排気ポンプとする真空
排気系は省略して図示している。
【0029】図5で、23及び24はプラズマ発生用不
活性ガス(アルゴン)とフッ素元素を供給するフッ化炭
素等のガスを導入するガス導入系である。26は、逆ス
パッタリングを行うための電源装置であり、25は素管
に電位を与えるための電源装置である。27は、気相中
のガス分子種を元素検出する分析系であり、例えば、質
量分析計が用いられる。28は27の分析制御系であ
る。
【0030】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定
されるものではない。
【0031】実施例1 図3に示されるように、図2の素管表面を、陽極酸化法
によって硬質陽極酸化皮膜処理がなされる。硬質陽極酸
化皮膜は、一般に封孔されたものはアルマイトと呼称さ
れており、本発明における硬質アルマイト処理条件は、
下記のとおりである。 電解浴 10%H2SO4 電流密度 3A/dm2,35V 処理温度 5±1℃ 処理時間 30分 封孔処理 沸騰水浸漬 30分
【0032】上記の処理によって、約18μmの封孔処
理された硬質陽極酸化皮膜を形成した。表面硬度は、ビ
ッカース硬度で340〜380となった。図3の3に示
される部分がこの部分である。封孔された陽極酸化皮膜
を存する素管は、ポリシング等の表面平坦化手段で、表
面粗さRaが0.15μm程度になるよう平坦化されて
洗浄を行い、真空容器9のワークホルダーに保持した。
ワークホルダーは図示されていないが、水冷機構を存し
ており、設置されたワークは冷却できるようになってい
る。真空容器9の中では、素管10の硬質陽極酸化皮膜
は、表面活性化とスパッタエッチングを行った上で、層
状無機薄膜を形成した。
【0033】層状無機薄膜は、図3の4に示され、その
膜厚は1.2〜2.0μmであった。層状無機薄膜とし
て、層状格子構造を有するMoS2、WS2、黒鉛(グ
ラファイト)などを用いた。この層状無機薄膜4の上に
は複合化された潤滑性薄膜又はインターカーレーション
によって層間化合物を形成し、その膜厚を0.5μm程
度とした。複合化された潤滑性薄膜としては、MoS2
とPTFE(四フッ化エチレン=ポリテトラフルオロエ
チレン)の複合スパッタ膜を、層間化合物としては、黒
鉛(グラファイト)にフッ素(F)をインターカーレー
トした層間化合物を形成した。
【0034】従来の加熱定着ローラと本発明の方法で作
製した加熱定着ローラの特性を相対比較した。結果を表
1に示す。 (A)素管にPFAを粉体塗装後に焼結したローラ。 (B)素管の硬質陽極酸化皮膜上にMoS2の層状無機
化合物上にPTFEとの複合薄膜を形成したローラ。 (C)素管の硬質陽極酸化皮膜上に黒鉛(グラファイ
ト)の層状無機化合物を形成し、その上に層間化合物薄
膜を形成したローラ。
【0035】
【表1】 ◎:特性が秀でる。 ○:良い特性。 △:やや良い。 ×:不十分。
【0036】実施例2 硬質陽極酸化皮膜を形成した素管表面は、真空容器9に
設置され回転機構12によって回転されながら、表面の
薄い皮膜や汚れをスパッタエッチングによって除去され
ると共に表面が平坦化される。真空容器9は10-5Pa
まで真空排気された後に、図5のガス導入系29からア
ルゴンガスを10-1Paの圧力になるまで導入し、スパ
ッタ電源26とバイアス用直流電源25を用いて逆スパ
ッタを行った。26は1356MHzの高周波電源で約
500Wの電力で放電した。放電中にセルフバイアスが
生じるが、アルゴンイオンのスパッタ効果を引き出すた
めに、25によってバイアスを−300V印加した。
【0037】この様な特徴を持つ装置を用いて、17の
スパッタターゲットにMoS2又はWS2の層状無機薄
膜をスパッタリングによって、1.2〜2.0μmの膜
厚で形成した。19はその電源であり、RF電源であ
る。ガス導入系29からアルゴンガスを10−1Paの
圧力になるまで導入して、放電電力600Wで層状薄膜
を形成した。その後、さらにフッ素系高分子であるPT
FEを18のターゲット材として、高周波スパッタによ
って550Wの放電を行い、上記MoS2又はWS2の
層状薄膜とフッ素系高分子スパッタの複合膜として同時
スパッタを行い、層状無機薄膜上に0.5μm程度の複
合膜を形成した。
【0038】一方、層状無機薄膜として、黒鉛(グラフ
ァイト)を用いる場合も同様にして、図5の17を用い
て、グラファイトのスパッタリングを行い、1.8μm
の膜厚まで成膜した後、次は同時に18に搭載されたフ
ッ素系高分子であるPTFEや塩化銀等の金属化合物の
ターゲット材を用いて、スパッタリングを行うことによ
りフッ素や金属化合物がインターカーレートされた層間
化合物を0.5μm程度形成した。
【0039】実施例3 上記のように、素管表面は、陽極酸化法によって硬質陽
極酸化皮膜処理がなされる。本発明での硬質アルマイト
処理条件は、下記のとおりである。 電解浴 10%H2SO4 電流密度 3A/dm2,35V 処理温度 5±1℃ 処理時間 30分 封孔処理 沸騰水浸漬 30分
【0040】上記の処理によって、約18μmの封孔処
理された硬質陽極酸化皮膜を形成した。表面硬度はビッ
カース硬度で340〜380となった。この場合、硬質
陽極酸化皮膜の膜厚が10μm以下では芯金(素管)の
材質がそれほど高硬度ではないため、この皮膜が薄い場
合は、加熱定着ローラに熱や押し圧がかかるため、硬質
陽極酸化膜の膜クラックや剥離が起こる頻度が多くなっ
た。また、この皮膜が薄いと表面に形成する層状無機薄
膜や層間化合物の元素成分が陽極酸化皮膜や基体に影響
することが懸念された。一方、30μm以上に膜厚を大
きくすると、皮膜形成に時間がかかり、大きなコスト要
因となる上、表面の平坦化処理にも時間がかかり、封孔
処理も完全にできないことが確認された。
【0041】実施例4 図5のスパッタターゲットに黒鉛(グラファイト)をス
パッタして層状薄膜を形成した。真空の条件、アルゴン
ガスの導入条件は実施例2と同様である。ただし、プラ
ズマアシストを行うため、スパッタ時の真空圧力は、通
常のスパッタ圧力よりも低い10−Paのオーダーを
維持した。スパッタ時の放電電力は600Wであり、膜
厚を2μmとして形成した。その後は、グラファイトの
スパッタリングを行うと同時に、プラズマを照射して気
相合成を行った。プラズマ源は、磁界強度875Gau
ssの磁場を電磁石14で生起し、マイクロ波周波数
2.45GHzのマイクロ波発生装置16とマイクロ波
導波管15を具備したECRプラズマ源を用いた。プラ
ズマ源13には、気相反応用のガス導入系があり、23
及び24には、それぞれ不活性ガスであるアルゴンガス
とフッ化炭素ガスを導入した。アルゴンガスは、電離に
より高密度で高い電子エネルギーを持った電子と正イオ
ンに分離される。この中に、フッ化炭素、例えば、CF
4を導入すると、多価炭素種であるCF2の分子密度が
高まり、活性な分子種となる。これがインターカーレー
トされてグラファイトの層状薄膜に取り込まれて層間化
合物を形成する。ECRプラズマの電力は200〜30
0Wが適当であった。
【0042】ECRプラズマは、マイクロ波電力300
W、圧力10−Paにおいて、この電子温度は、8e
V、電子密度は1011cm−のオーダーに達した。
この高密度プラズマガス中の活性な種であるCF2がグ
ラファイトの層状薄膜に取り込まれて、約0.5μmの
層間化合物を形成した結果、表面は下地の硬質酸化皮膜
及び層状薄膜にならい平滑を維持しており、さらに、フ
ッ素の効果により、低摩擦であり、かつ非粘着性の高い
表面が実現できた。その結果は、表1に示すとおりであ
る。
【0043】実施例5 図5に示されるように、分析手段27は、例えば、質量
分析計であり、小型で簡便な四重極型質量分析計を用い
ている。この質量分析計は、M/eが1〜400までの
測定質量範囲で十分である。28は、この分析計の制御
・解析装置である。27及び28によって、グラファイ
トの層状薄膜を形成中の炭素Cと、フッ化炭素を導入し
て、電離により活性種CF2をプラズマ中に生成したと
きのFの量を質量分析によって測定し、CとFの比率の
最適化を行っている。層間化合物の特性で最適のC/F
比を条件で出しておくと、真空系や放電系の若干の変動
にも関わらず、特性の最適化がどのような場合でも再現
可能であった。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、硬質で、しかも低摩擦
性に優れ、潤滑性と平滑性を持つ非粘着表面層を有する
加熱ローラ、その製造方法及び製造装置が提供され、電
子写真式複写機やプリンター等の分野に寄与するところ
はきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】加熱定着ローラのトナー固着発生時の状況を示
す図である。
【図2】加熱定着ローラの例を示す図である。
【図3】本発明の加熱定着ローラの例を示す図である。
【図4】硬質酸化皮膜の拡大図である。
【図5】本発明の加熱定着ローラの製造工程を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 芯金 2 基体 3 硬質陽極酸化皮膜 7 硬質陽極酸化皮膜 8 ベーマイト層 9 真空容器 10 素管 11 ワークホルダー 12 回転機構 13 アシスト用プラズマ源 14 磁石 15 導波管 16 マイクロ波電源 17 スパッタリングターゲット 19 電源 21 主バルブ 22 真空排気系 23 ガス導入系 25 素管に電位を与えるための電源装置 26 逆スパッタリングを行うための電源装置 27 元素検出分析系 28 分析制御系 29 不活性ガス導入系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H033 BB01 BB04 BB05 BB08 BB12 BB31 3J103 AA02 AA15 AA23 AA51 FA07 FA15 FA25 GA02 GA57 GA58 GA66 HA04 HA05 HA37

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子写真方式による画像形成装置の定着
    装置に用いる加熱定着ローラであって、アルミニウム又
    はアルミニウム合金材料を用いた芯金表面に、封孔処理
    を施し、表面を活性化、かつ平坦化した陽極酸化皮膜を
    有し、該陽極酸化皮膜上に層状無機薄膜を有し、最表層
    に複合化潤滑性薄膜又は低摩擦性層間化合物を形成した
    ことを特徴とする加熱定着ローラ。
  2. 【請求項2】 該陽極酸化皮膜の膜厚が、10〜30μ
    mである請求項1に記載の加熱定着ローラ。
  3. 【請求項3】 該層状無機薄膜が、硫化物の層状薄膜で
    あり、該複合化潤滑性薄膜が、含フッ素高分子物質を含
    有するものである請求項1又は2に記載の加熱定着ロー
    ラ。
  4. 【請求項4】 該層状無機薄膜が、黒鉛の層状薄膜であ
    り、該低摩擦性層間化号物が、インターカーレーション
    により形成され、フッ素又は金属化合物を含有するもの
    である請求項1〜3のいずれかに記載の加熱定着ロー
    ラ。
  5. 【請求項5】 該層状無機薄膜が、黒鉛の層状薄膜であ
    り、該低摩擦性層間化合物が、インターカーレーション
    により形成され、フッ化グラファイトである請求項1〜
    3のいずれかに記載の加熱定着ローラ。
  6. 【請求項6】 該フッ化グラファイトが、プラズマアシ
    ストスパッタリングにより形成されたものである請求項
    5に記載の加熱定着ローラ。
  7. 【請求項7】 電子写真方式による画像形成装置の定着
    装置に用いる加熱定着ローラの製造方法であって、アル
    ミニウム又はアルミニウム合金材料を用いた芯金表面に
    陽極酸化皮膜を形成した後に、逆スパッタリングのスパ
    ッタエッチングにより封孔処理を施して、表面を活性
    化、かつ平坦化し、次いで、該陽極酸化皮膜上に層状無
    機薄膜を形成し、最表層に複合化潤滑性薄膜又は低摩擦
    性層間化合物をスパッタリングにより形成することを特
    徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加熱定着ロー
    ラの製造方法。
  8. 【請求項8】 有磁場マイクロ波プラズマ源を備え、不
    活性ガスとフッ化炭素の混合ガスプラズマをアシスト源
    として、プラズマアシストスパッタリングにより、黒鉛
    の層状薄膜上にフッ化グラファイトの層間化合物を形成
    するものである請求項7に記載の加熱定着ローラの製造
    装置。
  9. 【請求項9】 ガス分圧検出手段を備え、不活性ガスと
    フッ化炭素の混合ガスプラズマをアシスト源として、プ
    ラズマアシストスパッタリングにより、黒鉛の層状薄膜
    上にフッ化グラファイトの層間化合物を形成する際、該
    混合ガス組成をモニターしながら行うものである請求項
    7又は8に記載の加熱定着ローラの製造装置。
  10. 【請求項10】 電子写真方式による画像形成装置の定
    着装置に用いる加熱定着ローラの製造装置であって、ア
    ルミニウム又はアルミニウム合金材料を用いた芯金表面
    に陽極酸化皮膜を形成する手段、逆スパッタリングのス
    パッタエッチングにより封孔処理を施して、表面を活性
    化、かつ平坦化する手段、該陽極酸化皮膜上に層状無機
    薄膜を形成する手段及び最表層に複合化潤滑性薄膜又は
    低摩擦性層間化合物をスパッタリングにより形成する手
    段を備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに
    記載の加熱定着ローラの製造装置。
  11. 【請求項11】 有磁場マイクロ波プラズマ源を備え、
    不活性ガスとフッ化炭素の混合ガスプラズマをアシスト
    源として、プラズマアシストスパッタリングにより、黒
    鉛の層状薄膜上にフッ化グラファイトの層間化合物を形
    成する手段を有するものである請求項10に記載の加熱
    定着ローラの製造装置。
  12. 【請求項12】 ガス分圧検出手段を備え、不活性ガス
    とフッ化炭素の混合ガスプラズマをアシスト源として、
    プラズマアシストスパッタリングにより、黒鉛の層状薄
    膜上にフッ化グラファイトの層間化合物を形成する際、
    該混合ガス組成をモニターしながら行うものである請求
    項10又は11に記載の加熱定着ローラの製造装置。
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