JP2002266508A - 住 宅 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高齢者や介助者用の特定寝室を含む日常生活
空間の配置関係に配慮すると共に、日常生活空間内の各
種出入り口の幅員を十分に確保することで、居住性及び
安全性を格段に向上させること。 【解決手段】 玄関１と、高齢者や介助者用の特定寝室
１０と、浴室Ｂとが同一フロア内に備えられた住宅であ
り、前記特定寝室１０の出入り口１０ａ及び前記浴室Ｂ
の出入り口１５ａは、それぞれ幅員８００ｍｍ以上に設
定されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建物内部の日常生
活空間内の付帯設備や構造に配慮した住宅に関し、特に
高齢者や介助者を含む家族の居住に適した住宅に関す
る。

【０００２】

【背景技術】近年においては、高齢者や車椅子使用者等
に配慮したバリアフリー型住宅の建築が主流になりつつ
ある。このバリアフリー型住宅は、通常、床の段差を可
能な限り小さくすることを主体としており、例えば、引
き戸の敷居を床面と同一レベルに設計したり、洋室と和
室の段差をなくしたりすることで実現している。

【０００３】ところで、近年の住宅では、百年住宅のよ
うに耐久性の向上、高品質化、利便性等が進み、老後に
おいても同一住宅に居住することが現実化しつつある。
それに伴い、住宅の建築に際し、バリアフリーに配慮す
ると共に、親所帯、子所帯の２所帯住宅として最初から
建築される住宅も増加してきている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、居住空間内
がこのようにバリアフリーであっても、高齢者やその介
助者等にとっては不便な場合が多々ある。例えば、建物
内での日常生活空間内の通路や出入り口の問題である。
車椅子を使用する場合には、通路や出入り口の幅員を十
分に確保する必要がある。

【０００５】また、玄関領域部分の段差の問題もある。
既存の住宅における玄関領域は、沓ずりの段差や上框の
高さが大きく、躓き易かったり高すぎたりする問題があ
る。

【０００６】さらに、手摺りの問題もある。既存の住宅
では廊下や階段横に手摺りを設けているが、建物内での
日常生活空間、即ち移動空間はそれ以上に広く、手摺り
の設置個所が不足している。特に、浴室、脱衣室、洗面
所、トイレといった箇所は重要である。

【０００７】また、本質的な課題として、日常生活空間
を構成する、例えば、玄関、トイレ、浴室、脱衣室、洗
面所、及び食事室などと、高齢者用寝室との配置関係に
ついても十分に配慮する必要がある。

【０００８】よって、本発明の課題は、高齢者や介助者
用の特定寝室を含む日常生活空間の配置関係に配慮する
と共に、日常生活空間内の各種出入り口の幅員を十分に
確保することで、居住性及び安全性を格段に向上させた
住宅を提供することにある。

【０００９】さらに、本発明の課題は、玄関領域を含む
各部の高低差や段差を可能な限り小さくしたり、重要箇
所に手摺りを設けることで、居住性及び安全性をさらに
向上させた住宅を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明を、図面を参照し
て説明すると、玄関１と、高齢者や介助者用の特定寝室
１０と、浴室Ｂとが同一フロア内に備えられた住宅であ
り、前記特定寝室１０の出入り口１０ａ及び前記浴室Ｂ
の出入り口１５ａは、それぞれ幅員８００ｍｍ以上に設
定されていることを特徴としている。

【００１１】このような本発明によれば、高齢者や介助
者用の特定寝室１０を含む日常生活空間の配置関係に配
慮すると共に、日常生活空間内の各種出入り口である特
定寝室１０の出入り口１０ａ、浴室Ｂの出入り口１５ａ
の幅員を十分に確保することで、居住性及び安全性を格
段に向上させことができる。

【００１２】上記構成の住宅において、前記玄関１の沓
ずり１ｂと、玄関外側の段差が２０ｍｍ以下で、沓ずり
１ｂと玄関土間２の段差が５ｍｍ以下に設定されている
ことが望ましい。沓ずり１ｂと、玄関外側の段差が２０
ｍｍ以下の場合、車椅子での通過も比較的容易であり、
沓ずり１ｂと玄関土間２の段差が５ｍｍ以下の場合、例
えば玄関土間２から玄関外側へ出るときに躓くのを防止
することができる。

【００１３】また、前記玄関１の上框１ｃの段差は１８
０ｍｍ以下に設定されていることをが望ましい。このよ
うに上框１ｃの段差を１８０ｍｍ以下にすれば、玄関１
と玄関土間２との間の昇降を高齢者でも比較的容易に行
うことができる。

【００１４】その場合、前記玄関１の上框１ｃに隣接す
る壁部分に、前記上框１ｃの昇降及び履き物の着脱用に
利用する手摺りＴ７を設けることが望ましい。この手摺
りＴ７を利用することで、安全にかつ容易に上框１ｃを
昇降することができる。

【００１５】前記浴室Ｂとしては、浴槽１３のある洗い
場１４と脱衣室１５とを含み、洗い場１４には、浴室Ｂ
の出入り用、浴槽の出入り用、浴槽内での姿勢保持用、
浴槽内での立ち座り用、洗い場での立ち座り用に、それ
ぞれ手摺りＴ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４、Ｔ５が設けられて
いることが設けられていることが望ましい。日常生活空
間内の重要箇所である浴室Ｂに種々の手摺りＴ１〜Ｔ５
を設ければ、居住性及び安全性をさらに向上さることが
できる。

【００１６】また、脱衣室１５には、衣服の着替え用に
手摺りＴ６が設けられていることが望ましい。脱衣室１
５にも衣服の着替え用に手摺りＴ６を設けることによっ
て、衣服の着替えを容易にかつ安全に行うことが可能に
なる。

【００１７】浴室Ｂの隣りにトイレ１１が配置され、そ
のトイレ１１は内法で短辺１３００ｍｍ以上の幅員を有
し、かつ、トイレ１１内の便器１２横の壁に立ち座り用
の手摺りＴ７が設けられていることが望ましい。トイレ
１１を、内法で短辺１３００ｍｍ以上の幅員を有するよ
うにすれば、トイレ１１の内部において、車椅子の方向
転換が容易となり、介助者もトイレまで付き添うことが
可能になる。さらに、立ち座り用の手摺りＴ７を設ける
ことで、高齢者でも楽にトイレ１１を使用することがで
きる。

【００１８】前記特定寝室１０のあるフロアの日常生活
空間内の床は、その段差が５ｍｍ以内に納められている
ことが好ましい。日常生活空間内の床の段差を５ｍｍ以
内とすれば、高齢者がつまずくことはなく、車椅子の走
行も円滑になり、しかも床や敷居等の施工に高精度を要
求されず、施工性も良くなる。

【００１９】前記特定寝室１０のあるフロアの日常生活
空間内の通路及び出入り口は、通路の幅員が８５０ｍｍ
以上で、出入り口の幅員が８００ｍｍ以上に設定されて
いることが望ましい。これにより、通路及び出入り口の
幅員を十分に確保し、車椅子等の使用に支障をきたさな
いようにすることができる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、図１及び図２を参照し、本
発明を二階建て住宅に適用した実施の形態について説明
する。

【００２１】図１は１階部分の間取り図であり、図２は
２階部分の間取り図である。建物Ｔは南向きで、１階の
東北の角部分に東入りの玄関領域が設けられ、そこへ外
開きの玄関ドア１ａが設けられている。この玄関領域は
玄関ドア１ａから入ると、玄関土間２があり、その玄関
土間２の左側（南側）に玄関３が配置されている。

【００２２】玄関１の沓ずり１ｂと、玄関外側の段差は
２０ｍｍ以下となるように、好ましくは１０ｍｍ以下と
なるように設定されている。また、沓ずり１ｂと玄関土
間２の段差は５ｍｍ以下に設定されている。沓ずり１ｂ
と、玄関外側の段差が２０ｍｍ以下の場合、車椅子での
通過も比較的容易になるからである。勿論躓きにくくな
る。また、沓ずり１ｂと玄関土間２の段差が５ｍｍ以下
の場合、例えば玄関土間２から玄関外側へ出るときに躓
くのを防止することができるからである。

【００２３】また、この実施の形態では、玄関１の上框
１ｃの段差は１８０ｍｍ以下に設定されている。このよ
うに上框１ｃの段差を１８０ｍｍ以下にすることによっ
て、玄関１と玄関土間２との間の昇降を高齢者でも比較
的容易に行うことができるようにするためである。

【００２４】さらに、玄関１の上框１ｃに隣接する壁部
分には、上框１ｃの昇降及び履き物の着脱用に利用する
手摺りＴ７を設けられている。この手摺りＴ７を利用す
ることで、安全にかつ容易に上框１ｃを昇降することが
できる。

【００２５】玄関土間２は北側に沿って西側へ延びる土
間通路３を有し、北側開口の勝手口３ａに連続してい
る。土間通路３の南側には土間収納４が設けられてい
る。土間収納４の上には二階への階段Ｋが配置されてい
る。

【００２６】この階段Ｋは建物の間口方向（東西方向）
に真っ直ぐ延びる通常傾斜の階段である。階段Ｋの南側
になる隣りには、一階のほぼ中央部分に南面のリビング
７が配置されている。リビング７の東側には、南面のダ
イニング５及びキッチン６が配置されている。なお、こ
の階段Ｋの勾配として６／７以下の緩勾配とすると、よ
り、階段の上り下りが楽になるので好ましいが、本発明
は、その実施例に限定されるものではない。

【００２７】また、リビング７の隣には、南面の和室か
らなる特定寝室１０が配置されている。この特定寝室１
０は、内法で１２平方メートル以上となる八畳の和室で
あり、高齢者やその介助者の居室又は寝室として利用さ
れる。特定寝室１０、リビング７、ダイニング５は建物
の間口方向において隣接し、共に南面していて採光性に
も十分に配慮されている。特定寝室１０、リビング７、
ダイニング５の南側にはテラス８が設けられている。

【００２８】特定寝室１０の北側の隣にはトイレ１１が
配置され、トイレ１１の北側には浴室Ｂ、洗面所１６が
並べて配置されている。これらの水回り設備は、特定寝
室１０に連なるリビング７を通って使用できるように設
計されている。

【００２９】本実施の形態では、このように、玄関１
と、高齢者や介助者用の特定寝室１０と、浴室Ｂとが同
一フロア内（一階）に備えられている。そして、浴室Ｂ
は、図示のように浴槽１３のある洗い場１４と、脱衣室
１５とを含み、洗い場１４と脱衣室１５との間には、段
差を無くした敷居あるいは吊り戸式の折り戸による出入
り口１５ｂが設けられている。

【００３０】脱衣室１５を除く浴室部分（浴槽１３と洗
い場１４の部分）は、内法で短辺１４００ｍｍ以上、内
法面積で２．５平方メートル以上を確保している。脱衣
室１５の面積も同等以上に確保している。

【００３１】洗い場１４には、浴室Ｂの出入り用、浴槽
１３の出入り用、浴槽１３内での姿勢保持用、浴槽１３
内での立ち座り用、洗い場１４での立ち座り用に、それ
ぞれ手摺りＴ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４、Ｔ５が設けられて
いる。

【００３２】浴室出入り用の手摺りＴ１は、洗い場１４
に入った直ぐ右の壁（北側の壁）に縦長に設けられてい
る。浴槽出入り用の手摺りＴ２は、同じく右壁の浴槽１
３の近くに縦長に設けられている。浴槽１３内での姿勢
保持用の手摺りＴ３は、浴槽１３の直ぐ横の壁（西側の
壁）に横長に設けられている。浴槽１３内での立ち座り
用の手摺りＴ４は、浴槽１３の南側の壁に縦長に設けら
れている。さらに、洗い場１４での立ち座り用の手摺り
Ｔ５は、洗い場１４の南側の壁に横長に設けられてい
る。

【００３３】このように、日常生活空間内の重要箇所で
ある、浴室Ｂに種々の手摺りＴ１〜Ｔ５を設けてあるの
で、利便性は勿論のこと、安全性及び居住性を格段に向
上させることができる。しかも、日常生活空間である、
玄関１、トイレ１１、浴室Ｂ、脱衣室１５、洗面所１
６、ダイニング５、キッチン６等が高齢者や介助者用の
特定寝室１０の存する階にあるため、全体の使い勝手を
極めて良好にすることができる。

【００３４】実施の形態では、浴室Ｂの出入り口１５
ａ、１５ｂは、幅員８００ｍｍ以上に設定されている。
浴室Ｂの出入り口１５ａ、１５ｂの幅員を８００ｍｍ以
上に設定することによって、車椅子による浴室の使用を
極めて便利にするためである。

【００３５】脱衣室１５には、衣服の着替え用に手摺り
Ｔ６が縦長に設けられている。この手摺りＴ６は洗い場
１４への出入り口１５ｂの右に配置されている。脱衣室
１５にも衣服の着替え用に手摺りＴ６を設けることによ
って、衣服の着替えを容易にかつ安全に行えるようにす
るためである。

【００３６】浴室Ｂの隣りに配置されたトイレ１１は、
内法で短辺１３００ｍｍ以上の幅員を有し、かつ、トイ
レ１１内の便器１２横の壁には、立ち座り用の手摺りＴ
７が設けられている。トイレ１１を、内法で短辺１３０
０ｍｍ以上の幅員を有する設計とすることで、トイレ１
１の内部において、車椅子の方向転換が容易となり、介
助者もトイレまで付き添うことが可能になる。さらに、
立ち座り用の手摺りＴ７を設けることで、高齢者でも楽
にトイレ１１を使用することができる。

【００３７】特定寝室１０の面積は、内法で１２平方メ
ートル以上に設定されている。特定寝室１０は、高齢者
だけの居室に限らず、介助者も付き添いで使用すること
も多々ある。したがって、可能な限り大きい方が使い勝
手も良くなるからである。

【００３８】特定寝室１０のあるフロアの日常生活空間
内の床は、例えばリビング７の床自体、及びリビング７
の床とトイレの床、リビング７の床と脱衣室１５の床等
は、その段差が５ｍｍ以内に納められている。日常生活
空間内の床の段差を５ｍｍ以内とすれば、高齢者がつま
ずくことはなく、車椅子の走行も円滑になり、しかも床
や敷居等の施工に高精度を要求されず、施工性も良くな
る。

【００３９】特定寝室１０のあるフロアの日常生活空間
内の通路７ａ及び出入り口１０ａ、１１ａ等は、例えば
通路７ａの幅員が８５０ｍｍ以上で、出入り口１０ａ、
１１ａの幅員がそれぞれ８００ｍｍ以上に設定されてい
る。これにより、通路及び出入り口の幅員を十分に確保
し、車椅子等の使用に支障をきたさないようにすること
ができる。

【００４０】なお、脱衣室１５は洗面所１６を兼ねてお
り、脱衣室１５の床面積は、その床上で車椅子の方向転
換が容易に行える広さに設定されている。脱衣室１５の
床上で車椅子の方向転換を容易にすることで、脱衣室１
５と洗面所１６の双方を使用する際の使い勝手を良好に
することができる。

【００４１】階段Ｋを上ると、図２に示す二階の階段周
り通路２０を経由して各部屋に連絡されている。二階部
分は例えば子所帯用として設計されている。即ち、階段
Ｋの南側には南面のリビング２１が配置され、階段Ｋの
東側には子供部屋２２が配置され、その南側にも子供部
屋２３が配置されている。

【００４２】リビング２１の西側には南面の寝室２４が
配置され、その北側には、寝室２４に通じる小部屋２５
が配置されている。この小部屋２５は三畳程度の大きさ
であり、ウオークインクローゼットとして用いることも
できるが、ここでは介護室として構成されている。

【００４３】介護室２５の北側には、浴室２６、洗面所
兼用の脱衣室２７、トイレ２８が北側の壁に沿って順に
並べた形態で配置されている。なお、リビング２１、寝
室２４、子供部屋２３の南側にはバルコニー２９が設け
られている。

【００４４】

【発明の効果】以上のように、本発明に係る住宅におい
ては、高齢者や介助者用の特定寝室を含む日常生活空間
の配置関係に配慮すると共に、日常生活空間内の各種出
入り口の幅員を十分に確保することで、居住性及び安全
性を格段に向上させることができる。

【００４５】また、玄関領域を含む各部の高低差や段差
を可能な限り小さくしたり、重要箇所に手摺りを設ける
ことで、居住性及び安全性をさらに向上させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を示す一階部分の平面間取
り図である。

【図２】本発明の実施の形態を示す二階部分の平面間取
り図である。

【符号の説明】

１ 玄関 １ａ 玄関ドア １ｂ 沓ずり １ｃ 上框 ２ 玄関土間 ５ ダイニング ６ キッチン ７ リビング ７ａ 通路 １０ 特定寝室 １０ａ 出入り口 １１ トイレ １１ａ 出入り口 １２ 便器 １３ 浴槽 １４ 洗い場 １５ 脱衣室 １５ａ、１５ｂ 出入り口 １６ 洗面所 Ｋ 階段 Ｂ 浴室 Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３、Ｔ４、Ｔ５、Ｔ６、Ｔ７、Ｔ８ 手
摺り

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝口 康彦 東京都杉並区高井戸東２丁目４番５号 ミ サワホーム株式会社内 Ｆターム(参考） 2E025 AA03 AA13 AA14 AA22 2E101 FF01 HH12

Claims (9)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 玄関と、高齢者や介助者用の特定寝室
   と、浴室とが同一フロア内に備えられた住宅であって、 前記特定寝室の出入り口及び前記浴室の出入り口は、そ
   れぞれ幅員８００ｍｍ以上に設定されていることを特徴
   とする住宅。
2. 【請求項２】 請求項１記載の住宅において、前記玄関
   の沓ずりと玄関外側の段差が２０ｍｍ以下で、沓ずりと
   玄関土間の段差が５ｍｍ以下に設定されていることを特
   徴とする住宅。
3. 【請求項３】 請求項１記載の住宅において、前記玄関
   の上框の段差が１８０ｍｍ以下に設定されていることを
   特徴とする住宅。
4. 【請求項４】 請求項３記載の住宅において、前記玄関
   の上框に隣接する壁部分には、前記上框の昇降及び履き
   物の着脱用に手摺りが設けられていることを特徴とする
   住宅。
5. 【請求項５】 請求項１記載の住宅において、前記浴室
   は、浴槽のある洗い場と脱衣室とを含み、前記洗い場に
   は、前記浴室の出入り用、浴槽の出入り用、浴槽内での
   姿勢保持用、浴槽内での立ち座り用、洗い場での立ち座
   り用に、それぞれ手摺りが設けられていることを特徴と
   する住宅。
6. 【請求項６】 請求項５記載の住宅において、前記脱衣
   室には、衣服の着替え用に手摺りが設けられていること
   を特徴とする住宅。
7. 【請求項７】 請求項１記載の住宅において、前記浴室
   の隣りにトイレが配置され、そのトイレは内法で短辺１
   ３００ｍｍ以上の幅員を有し、かつ、トイレ内の便器横
   の壁に立ち座り用の手摺りが設けられていることを特徴
   とする住宅。
8. 【請求項８】 請求項１記載の住宅において、前記特定
   寝室のあるフロアの日常生活空間内の床は、その段差が
   ５ｍｍ以内に納められていることを特徴とする住宅。
9. 【請求項９】 請求項１記載の住宅において、前記特定
   寝室のあるフロアの日常生活空間内の通路及び出入り口
   は、通路の幅員が８５０ｍｍ以上で、出入り口の幅員が
   ８００ｍｍ以上に設定されていることを特徴とする住
   宅。