JP2002264545A - 熱記録シート - Google Patents

熱記録シート

Info

Publication number
JP2002264545A
JP2002264545A JP2001070260A JP2001070260A JP2002264545A JP 2002264545 A JP2002264545 A JP 2002264545A JP 2001070260 A JP2001070260 A JP 2001070260A JP 2001070260 A JP2001070260 A JP 2001070260A JP 2002264545 A JP2002264545 A JP 2002264545A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating layer
layer
recording sheet
resin coating
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001070260A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadakazu Ishiwatari
忠和 石渡
Touko Nakamura
桐子 中村
Fumio Jinno
文夫 神野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP2001070260A priority Critical patent/JP2002264545A/ja
Publication of JP2002264545A publication Critical patent/JP2002264545A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Sensitive Colour Forming Recording (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】耐折り割れ性が良好で、熱記録時に表面樹脂被
覆層の成分がヘッドに付着したり、熱記録シートのヘッ
ドとのスティックの無い、表面樹脂被覆層を有する高品
質な熱記録シートを提供する。 【解決手段】 シート状支持体と、その少なくとも一面
上に形成され、かつ、ガラス転移点が−10℃以上80
℃以下である表面樹脂被覆層とを有する熱記録シートで
あり、走査型プローブ顕微鏡の探針を前記表面樹脂被覆
層の表面に、近接ないしは接触した状態で前記表面樹脂
被覆層の表面上を走査する際に、探針と表面樹脂被覆層
との間に生じ検出される電位差信号が、1.2V以下で
あることを特徴とする熱記録シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーマルヘッド等
の熱を用いて文字や画像を形成する熱記録シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、高度情報化社会の発展に伴い、感
熱記録方式、熱転写記録方式を採用する各種事務機器等
のプリンター、あるいはレコーダーが多用されている。
感熱記録方式では、感熱記録紙とサーマルヘッド(以
下、「ヘッド」とも言う)とを接触させ、ヘッドからパ
ルス信号を発して熱記録シートを加熱し、加熱された記
録層において発色が起こり記録像を形成する。感熱記録
方式は、システムが簡便でありプリンターの保守が容易
である上ランニングコストが比較的安価といった利点を
有する反面、フルカラーの記録に難点を有する。
【0003】一方、最近では、カラーハードコピーの多
色性が強く望まれている。そのようなカラーハードコピ
ーの手段として、色材に昇華性染料を用いた熱転写記録
方式、あるいは、色材に顔料を含み溶融性の樹脂を用い
た溶融転写型の記録方式などがある。このような熱転写
方式を用いて得られたハードコピーは、色彩の再現が容
易で美しいことに特色がある。熱転写方式のプリンター
原理は、画像を電気信号に変換し、さらにこの電気信号
をヘッドにより熱信号に変換して色材が塗布されたシー
ト(インクシート)を加熱し、色材をインクシートに密
着した熱転写記録シート上に転写・固定し、画像を再生
するものである。これら熱転写記録方式を採用した記録
材料においては、サーマルヘッドの高温が原因となっ
て、記録体の一部が軟化あるいは溶融し、溶融樹脂がサ
ーマルヘッドに固着して熱記録シートの搬送が不良とな
ったり、熱記録シートとインクシートとが付着してイン
クシートと熱記録シートが各々規定の速度で走行しなか
ったりなどし、文字あるいは画像が熱記録シート面上に
記録が困難となる、いわゆるスティッキング発生の問題
がある。
【0004】そこで、このような問題を解決するため
に、ヘッドが接触する面上にスティック防止層を設ける
ことが検討されている。熱記録体におけるスティック防
止層としては、従来、例えば、アルミニウム等の無機層
あるいはその無機紛体を用いた層、シリコーン樹脂層、
パラフィン層、熱硬化性樹脂層などを採用する方法、お
よび/または、それらの層を構成する材料を記録受像層
自身に含有させた熱記録シートが検討されているが、い
ずれも本発明者の検討ではスティック防止効果が不充分
であったり、作業性が不良であったり、支持体への密着
性が劣っていたり、成膜性が不良であったり、ヘッドの
腐食が生じるなどの問題を少なくとも1つ有しており、
実用上満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さらに、近年、より鮮
明かつ精密な画像をより短時間で得る事への要求が強ま
ってきている。これによりヘッドの印可電圧が益々高く
なっており、スティック防止のため、本発明者等は熱記
録シートのヘッド接触面には、より一層の耐熱化、高硬
度化、低摩擦化が必要と考えた。そのような、要求を満
たす事を目的として、熱記録のための昇華染料染着層、
あるいは、記録層を保護しスティックを防止するための
オーバーコート層などの樹脂被覆層において、熱可塑性
樹脂に替えて、放射線硬化性樹脂を利用する方法が提案
された。そのような技術を開示したものとして、例え
ば、特開昭58−212994号公報、特開昭62−2
3790号公報、特開昭63−74691号公報、特開
平5−185746号公報等が挙げられる。
【0006】本発明者等の検討によると、これら従来の
技術を用いて得られた樹脂被覆層は、高架橋度になり易
いと言う欠点を有していた(後述比較例3)。高架橋度
になると、高硬度化、高Tg化、高耐熱化が実現できる
反面、硬化皮膜がもろくなるという欠点を有する。硬化
皮膜がもろいと、折り割れしやすくなり画像形成面の美
観を著しく悪化させ、品質上問題を生じることを見出し
た。これに対し、架橋度、表面硬度が不足すると高温環
境下における紙間摩擦性が悪くなったり、スティック現
象が発生する。紙間摩擦性が悪化すると、プリント時に
数枚の熱記録シートが同時に紙送りされる、いわゆる重
送が生じ、好ましくないことを見出した。このように、
従来の表面樹脂被覆層におけるスティック防止技術にお
いては、表面樹脂の高硬度化、高耐熱化、低摩擦化と耐
折り割れ性とのバランスをとる事は非常に難しく、実用
性に乏しいものであった。本発明は、上記各問題を解消
し、耐折り割れ性が良好で、熱記録時に表面樹脂被覆層
の成分がヘッドに付着したりせず、熱記録シートのヘッ
ドとのスティック現象の無い、表面樹脂被覆層を有する
高品質な熱記録シートを提供するものである。本発明
は、プリンター走行性が良好な熱記録方式のプリンター
等に適する熱記録シート(感熱記録シート、昇華型熱転
写記録シート、溶融型熱転写記録シート)を提供する。
特に、熱転写記録方式において好適な熱記録シートを提
供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は下記の態様を含
む。 [1] シート状支持体と、その少なくとも一面上に形
成され、かつ、ガラス転移点が−10℃以上80℃以下
である表面樹脂被覆層とを有する熱記録シートであり、
走査型プローブ顕微鏡の探針(以下、「プローブ」とも
言う)を前記表面樹脂被覆層の表面に、近接ないしは接
触した状態で前記表面樹脂被覆層の表面上を走査する際
に、前記探針と前記表面樹脂被覆層との間に生じ検出さ
れる電位差信号(以下、「FFM信号差」とも言う)
が、1.2V以下であることを特徴とする熱記録シー
ト。 [2]前記表面樹脂被覆層が昇華染料染着性樹脂層であ
り、かつ、該昇華染料染着性樹脂層が放射線硬化性樹脂
を含有する塗料組成物を塗布し放射線硬化して得られた
硬化樹脂被覆層であることを特徴とする[1]記載の熱
記録シート。 [3] 前記表面樹脂被覆層と支持体間に昇華染料染着
性樹脂層を有し、この昇華染料染着性樹脂層が、放射線
硬化性樹脂を含有する塗料組成物を塗布し放射線硬化し
て得られた硬化樹脂被覆層であることを特徴とする
[1]または[2]記載の熱記録シート。 [4] 少なくとも一層の昇華染料染着性樹脂層(この
層が表面樹脂被覆層である場合もある)の塗料組成物
が、下記 一般式(1)で表現されるウレタン・不飽和
オルガノオリゴマーを放射線硬化性樹脂として含有し放
射線で硬化されたことを特徴とする[1]、[2]また
は[3]記載の熱記録シート。
【化2】 (式中、−ORO−は数平均分子量200〜2000の
ポリマージオールの脱水素残基、−R−は有機ジイソ
シアネート残基、−ORO− は、ジヒドロキシル化合物
のヒドロキシル基の脱水素残基を示し、CH=C(R
)COORO−は、二重結合を1つ以上含むヒドロ
キシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの脱水素残基
であり、Rは水素原子またはメチル基、Rは2価の
アルコール残基を各々示す。また、nは、1〜100の
整数を示す。)
【0008】[5]少なくとも一層の昇華染料染着性樹
脂層塗料組成物が固形分で昇華染料染着性樹脂層の10
重量%以上の前記ウレタン・不飽和オルガノオリゴマー
を含有する[4]記載の熱記録シート。 [6] 前記表面樹脂被覆層がSi原子を含有し、その
量が、X線光電子分光(以下XPSとも言う)法により
測定した値で、15原子数%以下であることを特徴とす
る[1]〜[5]のいずれかに記載の熱記録シート。 [7] 表面樹脂被覆層と支持体間にロイコ染料と顕色
剤を含有する感熱記録層を有する[1]または[6]記
載の熱記録シート。
【0009】[8]シート状支持体と、その少なくとも
一面上に形成され、かつ、ガラス転移点が25℃以上8
0℃以下である表面樹脂被覆層とを有する熱記録シート
において、セイコーインスツルメンツ社製走査型プロー
ブ顕微鏡(SPMとも言う)を用い、バネ定数0.2N
/mのカンチレバーに取りつけたプローブを前記表面樹
脂被覆層の表面に、近接ないしは接触した状態で前記表
面樹脂被覆層の表面上を走査周波数1.07Hzにて走
査する際に、前記プローブと前記表面樹脂被覆層との間
に生じ検出される電位差信号(以下、「FFM信号差」
とも言う)が、垂直荷重0.2μN以下の場合に1V以
下であることを特徴とする熱記録シートである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、昇華型熱転写記録シー
ト、溶融型熱転写記録シート、感熱記録シート等、熱に
より記録を行う各種熱記録シートに応用することができ
る。そして記録する表面樹脂被覆層を下記のような特性
をもたせることにより、各種熱記録プリンターでそれぞ
れ記録する際に、熱記録時に表面樹脂被覆層の成分がヘ
ッドに付着せず、熱記録シートのヘッドとのスティック
の無い、表面樹脂被覆層を有する高品質な熱記録シート
を提供するものである。このためには例えば記録ヘッ
ド、またはインクシートを介して記録ヘッドと接触す
る、熱記録シートの表面(表面樹脂被覆層)を特定のガ
ラス転移温度に調整し、また走査型プローブ顕微鏡によ
るFFM信号差を特定範囲に調整する。
【0011】近年、材料の極表面の物性を正確、かつ、
精密に捉える技術の開発が進められている。この種の手
段の一つとして、走査型プローブ顕微鏡(以下、「SP
M」とも言う)が挙げられる。SPMは、自由端に先鋭
化した探針(以下、「プローブ」とも言う)を持つカン
チレバーと、プローブと熱記録シートの記録面の表面と
を相対的に移動させるスキャナとを備えている。そし
て、プローブを表面樹脂被覆層に近接(原子間力、斥
力、引力、粘性、磁気力、吸着力などが働く距離に)な
いしは接触させると、プローブ先端と熱記録シートとの
間に働く相互作用(原子間力、斥力、引力、粘性、磁気
力、吸着力など)によって、カンチレバーの自由端が変
位する。この自由端に生じる変位量を電気的あるいは光
学的に検出しながら、プローブを試料表面にそって走査
する事によって、熱記録シートの表面情報(例えば、凹
凸など)を3次元的に測定できる。このようなSPMに
おいては、例えば、特開平6−241762号公報、特
開平9−15137号公報、特開平9−145723号
公報、特開2000−146806号公報などを参照す
ると、カンチレバーの長手軸に対して直交する方向にプ
ローブ及び試料を相対的に移動させて、プローブをシー
ト表面に沿って走査させた際に、カンチレバーの捩れ量
を検出する事によって、試料表面の摩擦力を測定する技
術があり、この技術を応用したSPMを特に摩擦力顕微
鏡と言う。
【0012】本発明に係る表面樹脂被覆層の表面上で検
出されるFFM信号差は、SPMによって測定される。
さらには、表面樹脂被覆層表面から受ける原子間力、摩
擦力、吸着力、水平力などを変位として検出し、それを
電位差信号として表現可能な手段を有するプローブ顕微
鏡である。この種のモードを測定手段として具備したプ
ローブ顕微鏡類の中でも、摩擦力顕微鏡が、その精度、
利便性より特に好ましい。FFM信号差の測定原理は、
表面樹脂被覆層の表面とプローブ間に働く力を、カンチ
レバーの微小な板バネで変位に変え、この変位を光学
的、あるいは、直接電気的に検出する。精度良く検出す
るためには、前記板バネの変位量が、一定になるように
ピエゾ素子をフィードバック制御すれば良く、この制御
信号が変位のFFM信号となる。
【0013】FFM信号差とカンチレバーの微小変位と
の間には下記一般式(2)の関係があることが知られて
いる。 FFM[mV] = SFFM[mV/nm] × ΔX[nm] (2) (式中、FFM[mV]はFFM信号差、ΔXは、カンチレバー
の微小変位、SFFMはねじれ感度を各々表す。) 一方、摩擦力は下記一般式(3)のように表現できる。 Ft[N] = Ct[N/m] × ΔX[nm] ×10-9 (3) (式中、Ft[N]は微小域の摩擦力、Ct[N/m]はねじれの
ばね定数を各々表す。) したがって、前記一般式(2)よりFFM信号差と微小
域摩擦力との関係は、下記一般式(4)の様に記述でき
る。 Ft[N] = Ct[N/m] /SFFM[mV/nm] × FFM[mV]×10-9 (4) ここで、ばね定数Ct[N/m]とねじれ感度SFFM[mV/nm]
は、カンチレバーおよび/または装置固有の定数である
ので、微小域摩擦力とFFM信号差とは比例関係が成立
していることは明確である。かくして、ばね定数、ねじ
れ感度を正確に見積もり、得られたFFM信号差を用い
ることにより、本発明に係る表面樹脂被覆層の極表面の
微小域摩擦力を推算することも可能となる。ばね定数、
ねじれ感度の正確な試算方法に関する技術は、既に幾つ
か報告されており、例えば、Appl. Phys. Lett. 、57
巻、2089頁(1990年)には、カンチレバーのば
ね定数の正確な計算方法が開示されている。
【0014】変位検出系としては、光学的に検出する方
法と直接電気的に検出する方法とが挙げられる。光学的
に検出する方法は、カンチレバーの変位を光路の変化と
して検出する光てこ方式や光波干渉を用いた方法とがあ
り、直接検出する方法としては自己検知方式が挙げら
れ、いづれを用いても良い。これら変位検出方法のう
ち、摩擦力顕微鏡においては、光てこ方式が特に有効で
ある。本発明では、光てこ方式を採用したセイコーイン
スツルメンツ社製の走査型プローブ顕微鏡、SPA40
0−SPI3800N型を用いた。
【0015】本発明の一つの態様では、カンチレバー、
プローブの材質としては、特にSi若しくはSi系の単
結晶ないしは多結晶チップが望ましく用いられる。ま
た、カンチレバーは、バネ定数 0.2N/mのものを
用いた。SPMを用いたFFM信号差の具体的な説明
を、図1の模式図に従い説明する。一定温度下、表面樹
脂被覆層を有する熱記録シートとプローブを限りな
く近接、もしくは接触させ、スキャナによって両者を相
対的に一定の速度で往復移動させて(走査周波数1〜2
Hz)、プローブの傾きを電位信号として検出する。
往復移動の往路及び復路の電位が各々、で表され、
この時のがFFM信号差として評価される。
【0016】本発明に係るFFM信号差測定の測定温度
は、25±5℃である。これより高くても、あるいは、
低くても実用上有意な測定値が得られず、好ましくな
い。また、FFM信号差の測定の際におけるプローブと
表面樹脂被覆層との間の相対移動速度、つまり、プロー
ブ走査周波数は、1Hz〜2Hzで測定される。さら
に、FFM信号差の測定の際におけるプローブを表面樹
脂被覆層に近接ないしは接触させる際にカンチレバーに
負荷する垂直荷重は、0〜0.2μNである。本発明に
おける25℃におけるプローブと表面樹脂被覆層とのF
FM信号差は、1.2V以下である。好ましくは1.0
V以下、より好ましくは0.8V以下であり、さらに好
ましくは、0.1V以上0.8V以下である。1.2V
以下であれば、熱記録シート表面の摩擦係数が小さく、
またはシート面の粘着性もないため、スティック(感熱
記録シートが記録ヘッドに付着する現象、或いは熱転写
記録シートの場合はインクシートと熱転写受像シートが
付着して両者がスムーズに走行、剥離しない現象)が生
じず、プリンター走行性不良もなくなる。
【0017】また、本発明に係る表面被覆樹脂のガラス
転移点は−10℃以上80℃以下であり、好ましくは1
0℃以上80℃以下、最も好ましくは25℃以上80℃
以下である。ガラス転移点が、低過ぎると、多くの場
合、25℃におけるFFM信号差が1.2Vを超えて大
きくなる場合が多く、かつ、スティック性が悪くなり、
実用に耐え得ず好ましくない。
【0018】本発明に用いられる表面樹脂被覆層は、ガ
ラス転移温度が−10℃以上80℃以下であり、かつ、
25±5℃におけるFFM信号差が1.2V以下である
ならば特に制限は無く、表面樹脂被覆層、また熱転写記
録樹脂層としても、下記の樹脂を用いることができる。
各種の樹脂の中から選ばれた1種類または複数種類の混
和物、または、それらの共重合体等が採用される。
【0019】例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセター
ル、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテ
レフタレート等のポリエステル類、ポリカプロラクタム
やポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド類、ポ
リメタクリル酸エステル類、ニトロセルロースやトリア
セチルセルロースなどの変性セルロース類などから選ば
れた1種類、または2種類以上の混和物、あるいはそれ
らの共重合体が例示できるが、これらに限定されるもの
ではない。本発明の一つの態様である熱転写型受像シー
トは、支持体上に表面樹脂被覆層を一層設けた態様、表
面樹脂被覆層と上記の熱転写記録樹脂層を支持体と表面
樹脂被覆層間に設けた被覆層を2層としたものでも良
く、更に3層以上の多層で構成することもできるが、表
面樹脂被覆層はいずれの場合でも前記のガラス転移点と
FFM信号差を満たすものである。
【0020】表面樹脂被覆層のガラス転移点、FFM信
号差の調整方法の一つの態様としては、架橋による方法
が挙げられる。架橋の進行度合い、架橋度、硬化性を制
御する事により、ガラス移転点やFFM信号値を調整す
ることが可能である。架橋方法としては、熱架橋による
方法と放射線硬化による方法等がある。熱架橋させる際
には、架橋剤として、イソシアネート化合物、あるい
は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが用いられ、これ
らを単独、あるいは複数種類混和して用いても良い。ま
た、これらと前記例示した表面樹脂被覆層の樹脂とを混
和、併用して用いても良い。
【0021】尚、架橋度合い、硬度の調整、架橋時間の
観点から、放射線を用いた方法が好ましい態様である。
放射線硬化の方法では、光、紫外線、γ線、電子線、X
線など公知の活性エネルギー線(好ましくは電子線、紫
外線)にて架橋、硬化が可能である各種の樹脂、有機化
合物が用いられる。これらを単独、あるいは複数種類混
和して用いても良く、また、これらと前記例示した表面
樹脂被覆層の樹脂とを混和、併用しても良い。放射線硬
化性樹脂・有機化合物としては、下記が例示でき、放射
線硬化性の表面樹脂被覆層、あるいは多層構成である場
合は内側(下層)の樹脂被覆層としても利用できる。放
射線硬化性の各種のモノマー、オリゴマー、ポリマーが
使用可能である。
【0022】これを具体的に例示すると、単官能化合物
として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ラ
ウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、N−ビ
ニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、2−エチル
ヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピル
メタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、
2−ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフ
ルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタク
リレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル
アクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘ
キシルメタクリレート、ジシクロヘキシルアクリレー
ト、イソボロニルアクリレート、イソボロニルメタクリ
レート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メト
キシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシプ
ロピレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチ
レングリコールアクリレート、フェノキシポリプロピレ
ングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチ
レングリコールアクリレート、エチレンオキシド変性フ
ェノキシアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレ
ングリコールアクリレート、N,N−ジメチルアミノエ
チルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレ
ート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレ
ート、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート、ア
クリル酸ダイマー、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプ
ロピルアクリレート、アクリル酸−9,10−エポキシ
化オレイル、メタクリル酸−9,10−エポキシ化オレ
イル、マレイン酸エチレングリコールモノアクリレー
ト、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタ
ニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチレン
アクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラ
ンのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル
−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラ
クトン付加物のアクリレート、ポリブタジエンアクリレ
ート、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸アクリ
レート等が挙げられる。
【0023】また、多官能化合物として、エタンジオー
ルジアクリレート、エタンジオールジメタクリレート、
1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プ
ロパンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオ
ールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタク
リレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−
ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオー
ルジメタクリレート、1,14−テトラデカンジオール
ジアクリレート、1,15−ペンタデカンジオールジア
クリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エ
チレングリコールジアクリレート、1,2−プロパンジ
オールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジア
クリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、1,5−ペンタンジオール
ジアクリレート、メチルペンタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9
−ノナンジオールジアクリレート、2−エチル,2−ブ
チル−プロパンジオールジアクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ
メタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレ
ート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、2−ブチル−2
−エチルプロパンジオールジアクリレート、エチレンオ
キシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチ
レンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、ポ
リエチレンオキシド変性水添ビスフェノールAジアクリ
レート、プロピルオキシド変性ビスフェノールAジアク
リレート、ポリプロピレンオキシド変性ビスフェノール
Aジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオ
ペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキ
シピバリン酸エステルネオペンチルグリコールエステル
のカプロラクトン付加物ジアクリレート、エチレンオキ
シド変性イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリス
リトールジアクリレートモノステアレート、1,6−ヘ
キサンジオールジグリシジルエーテルアクリル酸付加
物、ポリオキシエチレンエピクロロヒドリン変性ビスフ
ェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノ
ールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアク
リレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパ
ントリアクリレート、ポリエチレンオキシド変性トリメ
チロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシ
ド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリ
プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリア
クリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、
エチレンオキシド変性イソシアヌル酸トリアクリレー
ト、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレー
ト、ポリエチレンオキシド変性グリセロールトリアクリ
レート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアク
リレート、ポリプロピレンオキシド変性グリセロールト
リアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレ
ート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、
ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタ
エリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサアクリレート、カプロラクトン変性ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、およびポリカプ
ロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ート等が例示できる。ただし、これらに限定されるもの
ではない。
【0024】これら本発明に用いられる放射線硬化性有
機化合物のうち、放射線硬化性樹脂の一種である一般式
(1)で表されるウレタン・不飽和オルガノオリゴマー
は、特に、架橋度の調整が容易である上、耐折り割れ性
に優れ、実用上最も好ましい。さらにその上、本発明に
おける一般式(1)で表されるウレタン・不飽和オルガ
ノオリゴマーは、昇華性染料の染着性に優れ、染料熱転
写型記録シートの記録層として非常に有効である(後述
実施例)。一般式(1)で表される物質は、硬化樹脂被
覆層の重量に対して10重量%以上であることが好まし
く、20重量%以上であることがより好ましい。ここ
で、硬化樹脂層の重量は、水分・溶剤等を乾燥し、ま
た、硬化反応を終了し、揮発分を除去した後の重量を意
味する。
【0025】本発明に用いられる一般式(1)中の−OR
O−は数平均分子量200〜2000のポリマージオ
ールの脱水素残基、−R−は有機ジイソシアネート残
基、−ORO− は、ジヒドロキシル化合物のヒドロキシ
ル基の脱水素残基、CH=C(R)COORO−
は、二重結合を1つ以上含むヒドロキシル基含有(メ
タ)アクリル酸エステルの脱水素残基、nは、1〜10
0の整数を示している。
【0026】−ORO−の原料であるポリマージオール
には特に制限は無い。例えば、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチ
レングリコールなどから選ばれる少なくとも1種のポリ
エーテル系ジオール、多価アルコールと多塩基酸のエス
テルから選ばれる少なくとも1種類のポリエステル系ジ
オール、ヘキサメチレンカーボネートおよびペンタメチ
レンカーボネートから選ばれる少なくとも1種類のポリ
カーボネート系ジオール、ポリカプロラクトンジオール
およびポリブチロラクトンジオールから選ばれる少なく
とも1種類のポリラクトン系ジオールが好ましい。これ
らポリエーテル系ジオール、ポリエステル系ジオール、
ポリカーボネート系ジオールおよびポリラクトン系ジオ
ールの中から1種類を選択するか、または複数種類を組
み合わせることができる。
【0027】これらの中でも特に芳香環を導入したポリ
マージオールを用いると、高い染料染着性を付与するこ
とができ、効果的である。芳香環構造を有するポリマー
ジオールの一つとして、多価アルコールと多塩基酸のエ
ステルからなるポリエステル系ジオールを挙げることが
出来る。芳香環構造は、ポリエステル系ジオールの原料
となる多価アルコールと多塩基酸の少なくとも一方に導
入されていれば良く、両方導入されていても良い。特
に、多塩基酸に芳香環構造を導入した場合、一層効果的
であり、具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フトエ酸などが挙げられる。また、芳香環構造を有する
ポリマージオールのもう一つとして、ビスフェノールA
型のジオールも挙げられる。ポリマージオールの数平均
分子量は200〜2000であるが、さらに好ましく
は、300〜1500である。
【0028】−R−の原料である有機ジイソシアネー
ト化合物は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,
6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シク
ロヘキシルイソシアネート)、テトラメチレンジイソシ
アネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−
1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン
−1,4−ジメチレンジイソシアネート、ノルボルナン
ジイソシアネート、および1,5−ナフタレンジイソシ
アネート等から選ばれた1種類または、複数種類を組み
合わせることができる。
【0029】−ORO− の原料であるジヒドロキシル化
合物は、炭素数2〜10のグリコールから選ばれる少な
くとも1種類であることが好ましい。従って、一般式
(1)中の−R− は、炭素数2〜10の炭化水素を意
味する。さらに好ましくは炭素数2〜6で具体的には、
エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5
−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジ
オールが挙げられる。また、−ORO− の原料であるジ
ヒドロキシル化合物としては、カルボキシル基を少なく
とも1つを有し、両末端にアルコール性ヒドロキシル基
を有するものを用いる事も出来る。なかでもジメチロー
ルプロピオン酸、およびジメチロールブタン酸から選ば
れる少なくとも1種類の分岐または直鎖のジヒドロキシ
ルアルカノイックポリカルボン酸が好ましい。この場
合、−R−は、ジメチルプロピオン酸、またはジメチ
ロールブタン酸の脱ヒドロキシル残基を例示できる。
【0030】−(OROOCNHRNHCOOR
OCNHRNHCO)−の、かっこ内は、ウレタン
・不飽和オルガノオリゴマー中の繰り返し単位で、nは
1〜100の整数であり、好ましくは1〜20、さらに
好ましくは、1〜10である。
【0031】ウレタン・不飽和オルガノオリゴマーの両
末端を構成する二重結合を1つ以上含む(メタ)アクリ
ル酸エステル構造部 CH=C(R)COORO−
の原料は、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステ
ルであり、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレ
ート、前記各アクリレートのカプロラクトンまたは酸化
アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレー
ト、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメ
タクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロ
パンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)
アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレ
ン付加物−ジ(メタ)アクリレート等から選ばれる少な
くとも1種類が適用できる。R−はメチル基または水素
原子を意味する。
【0032】上記一般式(1)に示されるウレタン・不
飽和オルガノオリゴマーを得るには、まず、数平均分子
量200〜2000のポリマージオールと、ジヒドロキ
シル基化合物、および有機イソシアネート化合物とを重
付加反応させて、両末端にイソシアネート基を有するウ
レタンオリゴマーを得る。ついで、この末端のイソシア
ネート基にヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エス
テルを付加縮合させる事によって合成される。
【0033】上記態様で使用するウレタン・不飽和オル
ガノオリゴマーは、電子線、紫外線の中から選ばれる1
種類以上の放射線・活性エネルギー線を照射することに
よって、両末端を構成する二重結合を1つ以上含む(メ
タ)アクリル酸エステル構造部CH=C(R)CO
ORO− が重合して本態様の放射線硬化樹脂被覆層で
ある表面樹脂被覆層等を形成する。紫外線照射により硬
化重合させる場合は、光反応開始剤と呼ばれる光照射に
よりラジカル種、カチオン種、アニオン種等を発生する
化合物を併用することが好ましい。
【0034】本発明に係る前記表面樹脂被覆層は、熱記
録シートの最外側樹脂被覆層であれば良く、支持体に一
層のみ塗工する場合は、記録画像を受容する層を兼ね
る。例えば2層以上を支持体上に設ける態様では記録層
としての内側樹脂被覆層上に設ける層(オーバーコート
層とも言う)である。オーバーコート層はスティッキン
グを防止する機能を有する層であり、熱記録層としての
機能を兼ね備えていてもよい。
【0035】前記熱記録シートの表面樹脂被覆層におけ
る、ガラス転移温度やFFM信号差の調整方法の別の態
様は,樹脂が共重合体の場合には共重合比、混和物の場
合にはブレンド比による調整が挙げられる。また、各種
添加剤を用いても良く、例えば、可塑剤、相溶化剤、摩
擦係数低減剤、などがある。なかでもシリコーンオイル
等のような滑剤あるいは摩擦係数低減剤である有機ケイ
素化合物、および/または、シリコーン系樹脂の混和は
FFM信号差の調整に効果的に用いられる。
【0036】また別の態様では、有機ケイ素を表面樹脂
被覆層に含有させ、その表面存在比率を調整することに
よりFFM信号差を調整することができる。有機ケイ素
等はX線光電子分光法(XPS法とも言う)により有機
ケイ素を測定することができる。XPS法の測定原理
は、元素にX線を照射し、元素から放出された特有の自
由電子の運動エネルギーを定量的かつ定性的に検出する
ものである。測定原理の特性上、固体最表面〜10nm
程度の表面の構成元素を測定する方法であり、測定対象
の厚さ方向すべてを測定するものではない(表面分析図
鑑 日本表面科学会編、学会出版センター、124〜1
25頁、X線光電子分光分析法参照)。
【0037】適当なFFM信号差を得るためには、XP
S法により測定された前記表面樹脂被覆層の有機ケイ素
の表面存在比率が、15原子数%以下であることが好ま
しい。より好ましくは0.1〜15原子数%、更に好ま
しくは0.1〜10原子数%、最も好ましくは、0.2
〜10 原子数%である。有機ケイ素の表面存在比率が
少ない場合は、FFM信号差を十分に低減させる事が出
来ない恐れがある。また15原子数%を超えると、FF
M信号差の低減効果が飽和する一方、過剰な潤滑性が発
生し、プリンター中での適切な走行状態や搬送状態が得
られないおそれもある。また樹脂塗料を塗布する際にい
わゆるハジキが生じるおそれもある。有機ケイ素量の調
整は、前記要件を満たす範囲内である。本発明の効果を
損なわない範囲であれば、摩擦減効果がある各種のシリ
コーン樹脂、その他有機ケイ素化合物の添加塗被及び/
または転写等によって調整を行うことができる。中で
も、特に、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリ
コーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリエステル変
性シリコーンなどの変性シリコーンオイルが、塗料組成
物中の他の樹脂成分との混和性が良い上、FFM信号差
を効果的に調整できるため好ましい。
【0038】またさらに別の態様では、有機ケイ素化合
物、フッ素化合物、ワックス、その他のオイル類、摩擦
係数低減剤、濡れ性改良剤等を表面樹脂被覆層に含有さ
せ、その表面自由エネルギー(表面張力、濡れ性とも言
う)を調整することによってスティッキングを無くすこ
とが出来る。表面樹脂被覆層の表面自由エネルギーは、
表面張力が既知な複数種類の液体を樹脂被覆層表面に滴
下し、それらの接触角を各々測定し、その接触角値を用
いて推算されるが、この方法に限定されるものではな
い。推算方法については、例えば、I.E.C.,第56巻4
0頁(1964年)、日本接着協会誌,第8巻3号13
1頁(1972年)などで報告されているが、中でも、
Owens と Wendt によって報告されている J. Appl. P
olym. Sci.、13巻、1711頁(1969年)に示さ
れた推算方法は、簡便かつ有効であり好ましく用いられ
る。前記表面樹脂被覆層の表面自由エネルギー(表面張
力とも言う)は、10mN/m以上70mN/m以下で
あることが好ましい。より好ましくは、20〜60mN
/mであり、さらに好ましくは、20〜50mN/mで
ある。
【0039】次に、熱記録シートの表面脂被覆層、昇華
染料染着性樹脂を塗工する際の塗料組成物中における前
記その他の成分について説明する。塗料組成物中には、
染料受理性、摩擦性、白色度、塗料流動性、硬化速度等
を制御するため、本発明に係る効果を損なわない範囲に
おいて、他の成分を有しても良い。前記他の成分として
は、有機溶剤、顔料、さらに、酸化防止剤、帯電防止
剤、安定剤、さらには、耐光性改良剤などの各種の添加
剤を適宜加えることができる。塗料粘度を下げ、塗工を
容易にするために、2−ブタノン、アセトン、トルエン
などの有機溶剤を添加することもできる。
【0040】塗料組成物中に顔料を配合する場合、顔料
は乾燥後の全硬化樹脂被覆層重量に対して、80重量部
以下であることが好ましい。より好ましくは60重量部
以下である。80重量部を超えると、本発明に係る効果
が低減される恐れがあり、樹脂塗料粘度が過度に高くな
り、流動性が不良になって塗工に支障を生じてしまう恐
れもある。顔料としては、クレー、カオリン、タルク、
シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、重
質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン
(アナターゼ型およびルチル型)、亜鉛華、硫酸バリウ
ム等の無機顔料、およびプラスチックピグメントとして
知られているポリスチレンのような有機顔料を使用する
こともできる。これらの顔料は通常白色であり、表面無
処理のまま使用してもよいが、シロキサン、アルミナ、
アルコール、シランカップリング剤等で表面処理を施し
たものを使用してもよい。また顔料は、単一種からなる
ものでもよく、又は2種類以上を混合して使用してもよ
い。また、このような顔料が配合された樹脂被覆層(表
面樹脂被覆層、或いは多層の場合は下に設ける樹脂被覆
層も含める)には分散剤、離型剤、消泡剤、着色剤、染
料、防腐剤等の各種の助剤を必要に応じて配合すること
もできる。
【0041】白色顔料を前記樹脂被覆層塗液中に分散す
るには、3本ロールミル(スリーロールミル)、2本ロ
ールミル(ツーロールミル)、カウレスデゾルバー、ホ
モミキサー、サンドグラインダー、プラネタリーミキサ
ー、および超音波分散機等を使用することができる。本
発明に係る熱記録シートの製造方法としては、シート状
支持体の表面上に、樹脂被覆層塗液を塗布して塗布液層
を形成すれば良い。塗料液中に、トルエン、アセトン、
2−ブタノン等の有機溶剤を含む場合、乾燥工程を設け
ても良い。用いる乾燥装置としては、特に制限はなく、
放射熱を利用した電気あるいはガス式の赤外線ドライヤ
ーや、電磁誘導を利用したロールヒーター、油媒を利用
したオイルヒーターおよび、これらの熱風を利用した乾
燥装置などが挙げられる。前記塗液中に放射線硬化性化
合物を含む場合には、放射線を照射して硬化させれば良
い。
【0042】樹脂被覆層塗液を支持体に塗被する方法と
しては、例えばバーコート法、エアードクターコート
法、ブレードコート法、スクイズコート法、エアーナイ
フコート法、ロールコート法、グラビアコート法、トラ
ンスファーコート法、コンマコート法、スムージィング
コート法、マイクログラビアコート法、リバースロール
コート法、マルチロールコート法、ディップコート法、
ロッドコート法、キスコート法、ゲートロールコート
法、落下カーテンコート法、スライドコート法、ファウ
ンテンコート法、およびスリットダイコート法等を用い
ることができる。さらに、光沢を付与するためには、キ
ャスト法を使用し、成形基体を接触させてから塗布液表
面を乾燥/硬化して剥離させることも可能である。
【0043】特にキャスト法にて成形基体として金属製
円筒型回転体を使用する場合には、金属製円筒型回転体
の表面に傷を付けないために、塗布用ゴムロールを使用
するロールコート法あるいはオフセットグラビアコート
法を用いることが好ましく、さらには非接触タイプのフ
ァウンテンコーターやスリットダイコーター等が有利に
用いられる。キャスト法に用いられる成形基体としては
金属製円筒型回転体を使用することができるが、その材
質形状に限定はなく、例えばステンレススチール、銅、
クロム等から形成され、鏡面仕上げされた平滑な周面を
有しているものが用いられる。また硬化した樹脂被覆層
と基体表面との剥離を容易にするために、金属製円筒型
回転体の表面にシリコーンオイルやワックス等の剥離助
剤を供給することもできる。
【0044】成形基体として平滑なシートを用いたキャ
スト法では、成形基体として使用する成形用シートは、
平滑で柔軟性があればその材質に限定はない。具体的に
はポリエステルフィルムのようなプラスチックフィル
ム、金属シート、樹脂コート紙、金属蒸着フィルム、金
属蒸着紙等が好ましく、成形用シートの表面には、硬化
した樹脂被覆層の剥離を容易にするために、シリコーン
やワックス等の剥離助剤を供給してもよい。さらに成形
用シートの表面に予じめ適宜の処理、例えばシリコーン
処理のような処理を施して、硬化樹脂被覆層の剥離を容
易にしてもよい。成形基体として使用されるシート状材
料は、エンドレスベルト状に加工されていてもよい。成
形用シートは繰り返して使用することもできるが、度重
なる放射線照射にはシートを劣化させるため、この繰り
返し使用の回数には限度がある。
【0045】また、本発明の支持体の凹凸を平均化した
り、白色度、不透明度を向上させる等の目的で、プレコ
ート層(支持体と上記樹脂被覆層間の層)を設けてもよ
い。プレコート層を構成する物質として、クレー、タル
ク、カオリン、焼成カオリン(アンシレックス等)など
と樹脂を含有する無機コート層や、ポリエチレン(高密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチ
レン、線状低密度ポリエチレン)、ポリプロピレン、ポ
リブテン、ポリペンテン、等の熱可塑性樹脂ホモポリマ
ーまたはエチレン/プロピレン共重合体等の2種以上の
オレフィンからなる共重合体、(メタ)アクリル系樹
脂、ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂またはこれらの共重合体樹脂等
の有機素材を用いることができる。これらの樹脂を単独
であるいは混合して用いる事ができる。これらの樹脂の
中には白色度、不透明度を向上させるための白色顔料が
含まれていても良い。また、中空粒子を含有させてイン
クシートとの密着性向上、画像記録層の断熱性向上の効
果を得ることも出来る。これらの無機および/または有
機素材は溶剤系あるいは水性系媒体に溶解または分散し
て塗布する。また、プレコート層も放射線硬化型樹脂を
含有させても良い。即ち、放射線硬化樹脂層を2層以上
設けても良い。
【0046】この場合、塗料組成物の塗工方法は、単層
の場合と同様に出来る。例えば、内側樹脂被覆層を、顔
料が配合された放射線硬化性樹脂組成物の放射線照射に
よる硬化体から形成し、白色度と不透明度を向上させ、
表面樹脂被覆層を、顔料の配合されていない放射線硬化
性樹脂組成物の放射線照射による硬化体から形成し、本
発明に係る要件を満たす表面樹脂被覆層としての役割を
備えることができる。さらに、表面平滑性と光沢度を付
与するために、これらの形成にキャスト法を用いること
も可能である。
【0047】本発明の熱記録シートにおいて、樹脂被覆
層の塗被量(1層の場合はその塗被量、2層以上の場合
はその合計塗被量)は、乾燥後(放射線硬化型の場合は
硬化後)において1〜60g/m2であることが好まし
く、より好ましくは3〜40g/m2である。この塗被
量が1g/m2未満では、得られる塗被体の平滑性が不
十分になり、美粧性が得られない恐れがあり、光沢度が
低下することもある。また、それが60g/m2より多
くなると、効果が飽和しコスト高になることがあり、好
ましくない。
【0048】本発明に用いられるシート状支持体の種類
に関しては特に制限はなく、紙(例えば上質紙、塗工
紙、ラミネート紙)、ガラスペーパー、プラスチックフ
ィルム、プラスチックフィルムを擬紙化したいわゆる合
成紙、布、合成繊維、不織布、またはアルミニウム箔等
の比較的厚さの薄いものを用いることもできる。紙基体
としては、通常50〜300g/m2 の重量を有し、表
面の平滑な支持体が用いられる。本発明で用いられる紙
支持体の種類には、特に制限は無い。紙支持体を形成す
るパルプとしては、一般的には、樅、栂等から製造した
針葉樹パルプ、楓、ブナ、ポプラ等から製造した広葉樹
パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプ等の天然パルプを主成
分とするものが用いられ、クラフトパルプ、サルファイ
トパルプ、ソーダパルプ等の晒パルプを使用できる。ま
た合成繊維や合成パルプを含むパルプから製造した紙基
体も使用できる。前記紙基体には、通常の各種添加剤、
例えば乾燥紙力増強剤、サイズ剤、填料、湿潤紙力増強
剤、定着剤、pH調整剤等を1種類以上含むことができ
る。
【0049】また、本発明のシート状支持体は、例え
ば、上質紙のような紙基体の片面または両面にクレー、
タルク、カオリン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウ
ム、二酸化チタン、水酸化マグネシウム、プラスチック
ピグメント等の顔料および、アクリル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、酢酸ビニ
ル−エチレン共重合体樹脂、スチレン−ブタジエン共重
合体樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の合成樹脂を主成分と
する顔料塗被層を有するコート紙、キャストコート紙、
アート紙などの顔料塗被紙、ポリエチレンのようなポリ
オレフィン樹脂で片面あるいは両面にラミネートを施し
たラミネート紙であってもよく、また紙支持体を使用す
る場合は、樹脂塗料組成物の浸透を防止するため、別途
ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、
酸化澱粉等のバリヤー剤の層を設けてもよい。このよう
な層を有するシート状支持体を用いる場合には、プレコ
ート層を用いなくても良く、シート状支持体のバリヤー
剤層上に、直接表面樹脂被覆層を形成してもよい。
【0050】さらに本発明に用いられる支持体として、
プラスチックフィルムや、いわゆる合成紙のようなシー
ト状支持体を使用することもできる。例えば、ポリプロ
ピレン樹脂やポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系樹
脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融押し出し法で形成し
たフィルムをシート状支持体として使用することもでき
る。また、これらのフィルムを加工し擬紙化した合成紙
もシート状支持体として用いることができる。シート状
支持体として使用されるプラスチックフィルムや、合成
紙は、複数の異なる、および/または同種のフィルムを
貼りあわせたものであっても良く、さらに、クレー、タ
ルク、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸
化マグネシウム等の顔料、ステアリン酸亜鉛等の金属石
鹸や各種の界面活性剤等の分散剤、および有色顔料等の
1種類以上が含まれてもよい。また、本発明において、
支持体と樹脂被覆層の接着性と濡れ性を良くするために
支持体表面にコロナ処理やサブコート等の表面処理を行
なってもよい。
【0051】本発明の熱記録シートの裏面には、溶融押
し出し法によるポリオレフィン樹脂の塗工や、放射線硬
化性樹脂を塗工した後に放射線照射により被膜を形成す
る方法により樹脂被覆層を形成したり、カール防止、帯
電防止、筆記性付与のため、バックコート層を設けるこ
とが出来る。バックコート層には帯電防止剤、親水性バ
インダー、ラテックス、硬膜剤、顔料、界面活性剤等を
適宜組み合わせて含有することができる。
【0052】本発明に係る放射線硬化性樹脂塗料を硬化
させる放射線は、例えば、電子線、紫外線等の中から選
ばれる1種以上の高エネルギー線であれば良い。電子線
照射に用いられる電子線照射装置としては、特にその方
式に制限はないが、例えばハンデグラーフ型スキャニン
グ方式、ダブルスキャニング方式、ブロードビーム方
式、およびカーテンビーム方式等の電子線照射装置を用
いることができる。これらの中でも比較的安価で大出力
の得られるカーテンビーム方式が本発明に有効に用いら
れる。電子線照射の際の加速電圧は、透過力、硬化力の
面から100〜1000kVであることが好ましく、より
好ましくは100〜300kVの電子線加速器を用い、
ワンパスの吸収線量が0.1〜20Mradになるようにす
ることが好ましい。さらに、0.5〜10Mradが特に好
ましい。加速電圧、あるいは電子線照射量がこの範囲よ
り低いと電子線の透過力が低すぎて支持体の内部まで十
分な硬化が行なわれず、またこの範囲より大きすぎると
エネルギー効率が悪化するばかりでなく、支持体の強度
低下や樹脂、添加剤の分解など品質上好ましくない影響
が現われる恐れがある。
【0053】なお、電子線照射に際しては酸素濃度が高
いと電子線硬化樹脂の硬化が妨げられるため、窒素、ヘ
リウム、二酸化炭素等の不活性ガスによる置換を行い、
酸素濃度を1000ppm以下、好ましくは500pp
m 以下に抑制した雰囲気中で照射することが好まし
い。また、紫外線の場合には、紫外線照射装置として、
低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯等を用いることが
できる。また、オゾン発生の少ないオゾンレスタイプを
用いても良い。照射する際のエネルギーとしては、80
W/cm以上のランプを用いることが望ましい。また、
放射線硬化樹脂塗料中に光反応開始剤を混合して用いる
ことが出来る。光反応開始剤としては、ジおよびトリク
ロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、ベンゾ
フェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベ
ンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケター
ル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサ
ントン類、アゾ化合物等がある。
【0054】次に本発明を感熱記録体に応用する態様に
つき説明する。感熱記録体は支持体に感熱記録層(例え
ばロイコ染料と顕色剤を含む)を設け、更に必要により
オーバーコート層を設けて構成されるものであり、更に
支持体と感熱記録層との間に吸油性顔料を含有するプレ
コート層を設けてもよい。
【0055】そして表面樹脂被覆層であるオーバーコー
ト層が前記の要件を満たす場合、即ちガラス転移温度が
−10℃以上80℃以下であり、FFM信号差が1.2
V以下である場合にはスティッキング等の改善効果を得
ることができる。表面樹脂被覆層は前記と同様の放射線
硬化性樹脂組成物でもよいし、下記の組成のものでも良
い。ガラス転移点はより好ましくは10℃〜80℃、更
に好ましくは25℃〜80℃である。FFM信号差は、
好ましくは1.0V以下、より好ましくは0.8V以
下、更に好ましくは0.1V〜0.8Vである。
【0056】オーバーコート層の樹脂成分としては、例
えばデンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチル
セルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、
カゼイン、アラビアガム、ポリビニルアルコール、カル
ボキシ変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変
性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコ
ール、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、ス
チレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリ
ル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、尿
素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、ポリエステルウレ
タン樹脂などの少なくとも一種がオーバーコート層の全
固形量に対して好ましくは15〜80重量%の範囲で使
用される。
【0057】なかでも、アセトアセチル基変性ポリビニ
ルアルコールが、耐薬品性、およびオーバーコート層の
耐水性を容易に高めることができるため好ましい。アセ
トアセチル基変性ポリビニルアルコールは、ポリビニル
アルコールをアセト酢酸エステル化したものを主成分と
するものである。ポリビニルアルコールのアセト酢酸エ
ステル化は、ポリビニルアルコール系樹脂にジケテンを
付加するか、アセト酢酸エステルをエステル交換する方
法によって製造される。この重合体の重合度は、200
〜2000の範囲のものが望ましい。
【0058】オーバーコート層には、印刷適性やスティ
ッキングを改善するために、必要に応じて顔料を添加す
ることができる。顔料の具体例としては、炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸
化珪素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、
カオリン、クレー、焼成カオリン、コロイダルシリカな
どの無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイロンパウ
ダー、ポリエチレンパウダー、尿素・ホルマリン樹脂フ
ィラー、生デンプン粒子などの有機顔料などが挙げられ
る。
【0059】更に、オーバーコート層(表面樹脂被覆
層)中には、必要に応じてステアリン酸亜鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロ
ウ、パラフィンワックス、エステルワックスなどの滑
剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの界面活
性剤(分散剤、湿潤剤)、消泡剤、カリミョウバンや酢
酸アルミニウムなどの水溶性多価金属塩などの各種助剤
を適宜添加することもできる。また、耐水性を一層向上
させるためにグリオキザール、ホウ酸、ジアルデヒドデ
ンプン、エポキシ系化合物などの硬化剤を使用すること
もでき、必要に応じてマイクロカプセル化した紫外線吸
収剤などを併用することもできる。
【0060】オーバーコート層用塗液の調製方法につい
ては特に限定するものではなく、一般に水を分散媒体と
し、樹脂の他に、必要に応じて添加される顔料、滑剤な
どを混合攪拌して調製される。
【0061】オーバーコート層(表面樹脂被覆層)とし
て用いる場合の塗被量は、0.1〜10g/m2である
ことが好ましい。より好ましくは、0.2〜5g/
2、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。0.
1g/m2より少ない場合には、本態様に係る効果が充
分得ることが出来ない恐れがあり、また、10g/m2
より多いと、効果が飽和するばかりではなく、層の熱伝
導性を悪化させ充分な記録濃度を得ることが出来なくな
る恐れがある。
【0062】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は、これらにより限定されるもので
はない。実施例1 下記の操作により一般式(1)で表現されるウレタン・
不飽和オルガノオリゴマー(UF502LE,共栄社化
学製、R=ポリカプロラクトンジオール残基、R
イソホロンジイソシアネート残基、R=CH
,R=CHCH,R=H,n=2)を用い
てなる放射線硬化樹脂被覆層が単一層から構成される熱
記録シートを作製し、評価した。組成物(1) 成 分 配合量 ウレタン・不飽和オルガノオリゴマー(共栄社化学社製:UF502LE) 35重量部、 ネオペンチルジアクリレートモノマー(共栄社化学社製:NP−A) 13重量部、 トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製:TMP−TA) 2重量部、 2−ブタノン 50重量部。熱転写記録シートの作製 前記組成物(1)を、基材シートとして合成紙(ユポF
PG,王子油化合成紙社製、厚さ110μm)を用い、
この一方の面に塗工液を#10のワイヤーバーに乾燥・
硬化後の塗被量が5g/m2になるように塗被し、10
0℃で1分間乾燥させた。この重層体に加速電圧175
kV、吸収線量6Mrad、酸素濃度500ppm 以下
の条件で電子線を照射し、組成物(1)を硬化させ、放
射線硬化樹脂被覆層を有する本発明の熱記録シートを得
た。
【0063】試験並びに評価方法 (1)ガラス転移点の評価 セイコーインスツルメンツ社製、示差走査熱量計DSC
22CおよびTAステーションSSC5100を使用し
て、熱記録シートから剥がした表面樹脂被覆層のガラス
転移点を測定した。試料量は4〜6mgとし、窒素流
下、昇温速度を20℃/minに制御して、−50℃か
ら250℃の範囲で測定した。得られたDSC曲線か
ら、SSC−5100内蔵ソフトウエアによりベースラ
インを決定するとともに、ガラス転移点を算出した。評
価結果を表1に示す。
【0064】(2)FFM信号差の測定 FFM信号差の測定は、セイコーインスツルメンツ社
製、光てこ方式の走査型プローブ顕微鏡SPA400ユ
ニットにより測定し、プローブステーションSPI38
00Nを用い、内臓ソフトウエアにて解析を実施した。
Si単結晶チップからなるプローブを有したバネ定数
0.2N/mのカンチレバーを用い、走査周波数1.0
7Hz、垂直荷重0.16μN、にて10μm角内をF
FMモードにて走査し、カンチレバーのねじれ変位量測
定した。その変位を同一試料内において5回測定し、そ
の平均値をFFM信号差とした。なお、測定温度は、2
5℃±5℃であった。評価結果を表1に示す。
【0065】(3)XPS装置による表面Si存在量の
評価 熱記録シート表面の有機ケイ素の存在比率をVGサイエ
ンティフィック社製、ESCALAB250によって測
定評価した。使用X線源はマグネシウム、X線源の加速
電圧15kV、エミッション電流20mAの条件で、測
定範囲10〜1100eVに結合エネルギーをもつ全て
の元素について定性・定量を行ない、それらの元素に対
する有機ケイ素の割合を、原子数%にて求めた。測定深
さは約10nm、測定範囲はおおよそ8mmφであっ
た。評価結果を表1に示す。 (4)スティックおよびプリンター走行性の評価 熱記録シートを市販の昇華型熱転写記録カラープリンタ
ー(SONY製:UP−5500)でブラックを濃度ス
テップ印画し、印画時のシート走行状態、スティックの
発生の有無、およびプリント後のインクシートの状態を
調査した。評価は、走行状態が良好でスティックも発生
せず、実用上支障が無いものを「◎」、印画時に若干音
(スティック音)がするが実用に耐え得るものを
「○」、スティックおよび皺が発生し、実用に耐え得な
いものを「×」とした。評価結果を表1に示す。
【0066】(5)耐折り割れ性の評価 耐折り割れ性
の評価は、JIS−K5400.6.15に従い、直径
2mmの心棒を用い、樹脂被履層を外側にして試験片を
約1秒かけて約180度折り曲げた。屈曲部の樹脂被履
層のわれ、はがれの状況を3段階にて官能評価した。評
価が、「◎」は折り割れが全く生じない場合、「〇」
は、亀裂が若干認められるが、耐折り割れ性が良好で、
実用上全く支障がないと判定する。「×」は、明確な亀
裂が見られるか、割れてしまう状態を示し、実用に耐え
得ない場合を示す。評価結果を表1に示す。
【0067】(6)染料転写性の評価 染料転写性は市販の昇華型熱転写カラープリンター(S
ONY製:UP−5500)でブラックを濃度ステップ
印字し、その濃度、および画像の鮮明性を官能評価し
た。「◎」は濃度が濃く染料染着性に優れている。
「〇」は、若干鮮明性に劣るが濃度が良好である場合。
「×」は、濃度が薄過ぎ実用に耐え得ない場合を示す。
評価結果を表1に示す。
【0068】実施例2 組成物(1)の代わりに、一般式(1)で表現されるウ
レタン・不飽和オルガノオリゴマー(UF504LN,
共栄社化学製、R=ポリカプロラクトンジオール残
基、R=イソホロンジイソシアネート残基、R=ネ
オペンチルグリコール残基,R=CHCH,R
=H,n=4)を用いて、下記の組成物(2)を調整
し、実施例1と同様の操作にて放射線硬化樹脂被覆層が
単一層から構成される熱記録シートを作製し、評価し
た。組成物(2) 成 分 配合量 ウレタン・不飽和オルガノオリゴマー(共栄社化学社製:UF504LN) 35重量部、 ネオペンチルジアクリレートモノマー(共栄社化学社製:NP−A) 15重量部、 2−ブタノン 50重量部、 シリコーンオイル(信越化学工業社製) 0.3重量部。 評価結果を表1に示す。
【0069】実施例3 実施例1と同様にして下記の操作により放射線硬化樹脂
被覆層が単一層からなる熱記録シートを作製した。但
し、組成物(1)の代わりに下記の組成物(3)を調製
し使用した。組成物(3) 成 分 配合量 オリゴウレタンアクリレート(荒川化学社製:OA130B)20重量部、 イミド変性アクリレートモノマー(東亞合成化学工業社製:TO1429) 80重量部。熱転写記録シートの作製 前記組成物(3)を、基材シートとして合成紙(王子油
化合成紙社製、厚さ110μm)を用い、この一方の面
に塗工液を#10のワイヤーバーに硬化後の塗被量が1
0g/m2になるように塗被した。その上から成形基体
として用いられる75μmのシリコーン塗被ポリエステ
ルフィルム(商標:SP−PET−O5−75B、東セ
ロ社製)を重ね合わせた後、この重層体に、シリコーン
塗被ポリエステルフィルムの背面から加速電圧175k
V、吸収線量4Mrad、酸素濃度500ppm 以下の
条件で電子線を照射し、組成物(3)を硬化させた。そ
の後、樹脂被覆層よりポリエステルフィルムを剥離し、
放射線硬化樹脂被覆層を有する本発明の熱記録シートを
得た。実施例1と同様にして熱記録シートを評価した。
評価結果を表1に示す。
【0070】実施例4 下記の操作により、オーバーコート層としての最外側樹
脂被覆層(表面樹脂被覆層)と記録層(昇華性染料染着
層)としての内側樹脂被覆層の2層からなる熱記録シー
トを作製した。組成物(4)(最外側樹脂被覆層形成用塗液、即ち表面樹脂被覆層) 成 分 配合量 オリゴウレタンアクリレート(荒川化学社製:OA130B) 20重量部、 イミド変性アクリレートモノマー(東亞合成化学工業社製:TO1429) 80重量部。組成物(5)(内側樹脂被覆層形成用塗液) 成 分 配合量 一般式(1)で表現されるウレタン・不飽和オルガノオリゴマー(共栄社化学社 製:UF502LE) 35重量部、 2−ブタノン 35重量部、 二酸化チタン(堺化学社製:R−23) 30重量部。
【0071】熱転写記録シートの作製 前記組成物(5)を、基材シートである合成紙(王子油
化合成紙:厚さ110μm)の一方の面に#10のワイ
ヤーバーにて硬化後の塗被量が5g/m2になるように
塗被し、100℃で1分間乾燥させ、塗布面から加速電
圧175kV、吸収線量6Mrad、酸素濃度500ppm 以下
の条件で電子線を照射し、組成物(5)を硬化させ内側
樹脂被覆層を形成した。次に、前記組成物(4)を、形
成された内側樹脂被覆層上に#10のワイヤーバーにて
硬化後の塗被量が1g/m2になるように塗被し、その
上から成形基体として用いられる75μmのシリコーン
塗被ポリエステルフィルムを重ね合わせた後、この重層
体に、シリコーン塗被ポリエステルフィルムの背面から
加速電圧175kV、吸収線量4Mrad、酸素濃度50
0ppm 以下の条件で電子線を照射し、組成物(4)
を硬化させ、内側樹脂被覆層、最外側樹脂被覆層(表面
樹脂被覆層)および支持体を一体に接着させた。その
後、樹脂被覆層よりシリコーン塗被ポリエステルフィル
ムを剥離し、放射線硬化樹脂被覆層を有する熱記録シー
トを得た。実施例1と同様にして熱記録シートを評価し
た。評価結果を表1に示す。
【0072】実施例5 下記の操作により、オーバーコート層としての最外側樹
脂被覆層(表面樹脂被覆層)と感熱記録層としての内側
樹脂被覆層からなる感熱記録シートを作製した。 (1) 顔料下塗り紙の調整(プレコート層形成) 焼成クレイ(商品名アンシレックス)85重量部を水3
20重量部に分散して得られた分散物にスチレン−ブタ
ジエン共重合物エマルジョン(固形分50%)を40重
量部、10%酸化でんぷん水溶液を50重量部混合して
得られた塗液を48g/mの原紙の上に乾燥後の塗工
量が7g/mになるように塗工、乾燥して顔料下塗り
紙を得た。 (2)分散液Aの調整 成 分 配合量 ロイコ染料 20重量部、 ポリビニルアルコール 10% 10重量部、 水 70重量部。 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。 (3) 分散液Bの調整 成 分 配合量 ビスフェノールA型顕色剤 20重量部、 ポリビニルアルコール 10% 10重量部、 水 70重量部。 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。 (4) 分散液Cの調整 成 分 配合量 増感剤 20重量部、 ポリビニルアルコール 10% 10重量部、 水 70重量部。 上記組成物をサンドグラインダーを用い、平均粒径が1
μm以下になるまで粉砕した。
【0073】(5) 感熱記録層の形成 上記A液60重量部、B液120重量部、C液120重
量部、HGクレー(Huber社製、カオリナイト顔
料)23重量部、25%ステアリン酸亜鉛分散液20重
量部、30%パラフィン分散液15重量部、および10
%ポリビニルアルコール水溶液120重量部を混合攪拌
し、塗工液とした。この塗工液を顔料下塗り紙の片面上
に、乾燥後の塗工量が5g/mになるように塗工、乾
燥して感熱記録発色層を形成し、感熱記録シートを得
た。 (6) 本発明に係るオーバーコート層の形成組成物(6)(オーバーコート層形成用塗液、即ち表面樹脂被覆層) 成 分 配合量 一般式(1)で表現されるウレタン・不飽和オルガノオリゴマー(共栄社化学社 製:UF502LE) 35重量部、 ネオペンチルジアクリレートモノマー(共栄社化学社製:NP−A) 15重量部、 2−ブタノン 50重量部、 シリコーンオイル(信越化学工業社製) 0.3重量部。
【0074】感熱記録シートの作製 前記組成物(6)の塗工液を、前記感熱記録シートの一
方の面に#10のワイヤーバーに硬化後の塗被量が10
g/m2になるように塗被した後、100℃、1分間乾
燥させ、この面から加速電圧175kV、吸収線量6Mr
ad、酸素濃度500ppm 以下の条件で電子線を照
射し、組成物(6)を硬化させ、オーバーコート層を有
した感熱記録シートを得た。実施例1と同様にして評価
した。ただし、スティックの評価、および、染料転写性
の評価の代わりに、以下の評価方法を用いた。 (7) スティックおよび感熱発色性試験 得られた感熱記録シートについて、大倉電機社製、動的
感熱発色シミュレーターTHPMD(印字電圧21.7
V)を用い、印加パルス幅1.0msの印字条件にて市
松模様状に発色させた。その印字の際のシート走行状
態、スティック発生の有無の状態を調査した。評価は、
走行状態が良好でスティックも発生しないものを
「◎」、印字時に若干音(剥離音)がするが概ね良好な
ものを「○」、スティックが発生し、実用に耐え得ない
ものを「×」とした。また、発色濃度、および画像の鮮
明性を官能評価した。「◎」は、濃度が濃く優れたもの
を示す。「〇」は、若干鮮明性に欠ける場合であるが実
用上全く問題がないもの、「×」は、濃度が薄過ぎ実用
に耐え得ない場合を示す。評価結果を表1に示す。
【0075】比較例1 組成物(1)の代わりに下記の組成物(7)を調製し、
下記の操作により熱記録シートを作製した。組成物(7) 成 分 配合量 オリゴウレタンアクリレート(荒川化学社製:OA130B) 20重量部、 イミド変性アクリレートモノマー(東亞合成化学工業社製:TO1429) 80重量部。熱転写記録シートの作製 前記組成物(7)を、基材シートとして合成紙(王子油
化合成紙社製、厚さ110μm)を用い、この一方の面
に塗工液を#10のワイヤーバーに硬化後の塗被量が1
0g/m2になるように塗被した後、この面から加速電
圧175kV、吸収線量4Mrad、酸素濃度500pp
m 以下の条件で電子線を照射し、組成物(7)を硬化
させ、熱記録シートを得た。実施例1と同様にして評価
した。評価結果を表1に示す。
【0076】比較例2 組成物(1)の代わりに下記の組成物(8)を調製した
以外、実施例1と同様の操作を行った。組成物(8) 成 分 配合量 ポリプロピレングリコールジオール(分子量4000)のオリゴウレタンアクリ レート(荒川化学社製) 50重量部、 シリコーンオイル(信越化学工業社製) 0.3重量部、 2−ブタノン 50重量部。 評価結果を表1に示す。
【0077】比較例3 特開昭62−23790号公報記載の実施例を参考にし
て、組成物(1)の代わりに下記の組成物(9)を調製
し、実施例1と同様の操作を行った。組成物(9) 成 分 配合量 ポリカプロラクトンジオール(分子量500)のオリゴウレタンアクリレート (荒川化学社製) 32重量部、 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学社製)3.8重量部、 ベンゾイルオキシエチルアクリレート 3.2重量部、 シリコーンオイル(信越化学工業社製) 0.2重量部、 酢酸エチル 100重量部。 評価結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】表1が明らかに示しているように、本発明
に係る熱記録シートは、折り割れが生じず柔軟でありな
がらスティッキングが発生せず、しかも昇華性染料受理
性に優れており(実施例1〜4)、かつ、感熱記録発色
シートのオーバーコート層としても実用的なものであっ
た(実施例5)。さらに、本発明の要件を満たしていれ
ば、シリコーンオイルのような添加剤が含まれない場合
でも、優れた熱記録シートが得られる事を見出した(実
施例1)。また、一般式(1)で表現される本態様の放
射線硬化性樹脂を用いると、スティッキングが発生せ
ず、耐折り割れ性に優れる上、昇華性染料染着性にも優
れ、熱溶融転写記録層にもなり、優れた効果が得られた
(実施例1〜2)。さらにその上、本発明の要件を満た
していれば、一般式(1)以外の放射線硬化性樹脂を用
いても優れた効果が得られた。また、キャスト法を用い
表面の処理を施すと、平滑で光沢に優れた熱記録シート
が得られた。また本発明の効果も得られた(実施例
3)。層構成を二層にした場合でも、本発明に係る熱記
録シートは、その効果に変わりはなく、優れた効果が得
られた(実施例4)。
【0080】また、感熱記録発色層の上に、本発明に係
る最外側樹脂被覆層(表面樹脂被覆層)をオーバーコー
ト層として用いた場合にも、感熱発色濃度を低減させる
ことなく、スティッキングを発生させず、かつ、耐折割
れ性にも優れていた。(実施例5)。しかし、被覆樹脂
層のガラス転移温度が25℃以上であってもFFM信号
差が大きい場合、スティッキングが極めて不良であった
(比較例1)。また、FFM信号差が比較的大きくなく
ても、ガラス転移点が極めて低い樹脂被覆層を有する熱
記録シートの場合には、比較例2のように、耐折り割れ
性が良好ではあるものの、プリンター走行性が極めて悪
く実用に耐え得るものではなかった。さらに、放射線硬
化樹脂を用いた被覆層を有する熱記録シートの場合でも
Tgが80℃より大きいと、折り割れが発生し、美粧性
に劣り実用的ではなかった。熱転写記録特性も特に優れ
たものではなかった(比較例3)。
【0081】
【発明の効果】本発明は、シート状支持体上に1層以上
の樹脂被覆層を設け、その最外側の表面層の樹脂が、−
10℃以上80℃以下のガラス転移点を有し、かつ、S
PMによって調査したプローブと樹脂層表面との間でカ
ンチレバーの捩じれに由来する電圧差を生じ、検出され
るFFM信号差が1.2V以下である表面樹脂被覆層に
よって形成することにより、スティッキングが生じず、
プリンター走行性が良好で、耐折り割れ性に優れた高品
質な熱記録シートを提供するものであり、実用上極めて
有効である。特に、前記樹脂被覆層を放射線硬化性のウ
レタン・不飽和オルガノオリゴマーから硬化・形成する
ことにより、前記効果の他、優れた染料染着性が得ら
れ、熱転写記録層としても優れていた。
【0082】また、表面樹脂被覆層をオーバーコート層
として、また、その下の内側樹脂被覆層を熱記録層とし
て構成しても良い。この場合、オーバーコート層である
表面樹脂被覆層を本発明のガラス転移点とFFM信号差
に調整する。熱転写記録シートの場合、内側樹脂被覆層
にも一般式(1)の樹脂被覆層を用いても良い。さら
に、両層またはどちらか一方の層が放射線硬化型であっ
ても良く、両層とも放射線硬化型でなくとも構わない。
【0083】本発明では表面樹脂被覆層をスティッキン
グ防止等の目的で、形成するものであり、感熱記録体、
昇華型熱転写記録体、溶融熱転写型記録体など各種の熱
記録シートに応用することができる。また、昇華型熱転
写記録体、溶融熱転写型記録体の場合、前記表面樹脂被
覆層が、そのまま記録層であっても良い。一般式(1)
の放射線硬化型化合物を用いると、特に熱転写記録に有
効である。本発明は熱転写記録体に応用すると効果が優
れ、特に昇華型熱転写記録受像体に適している。
【0084】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は走査型プローブ顕微鏡の探針が熱記録シ
ートの表面樹脂被覆層に接触し、走査されていること、
及びその際の電位の変化を示す概念図である。
【符号の説明】 表面樹脂被覆層を有する熱記録シート プローブ プローブの往路の電位 プローブの復路の電位 プローブの往路と復路の電位差(FFM信号
差)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H026 AA07 AA28 BB02 BB30 FF01 2H111 AA15 AA27 AA33 CA02 CA03 CA13 CA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート状支持体と、その少なくとも一面
    上に形成され、かつ、ガラス転移点が−10℃以上80
    ℃以下である表面樹脂被覆層とを有する熱記録シートで
    あり、走査型プローブ顕微鏡の探針を前記表面樹脂被覆
    層の表面に、近接ないしは接触した状態で前記表面樹脂
    被覆層の表面上を走査する際に、前記探針と前記表面樹
    脂被覆層との間に生じ検出される電位差信号が、1.2
    V以下であることを特徴とする熱記録シート。
  2. 【請求項2】 前記表面樹脂被覆層が昇華染料染着性樹
    脂層であり、かつ、該昇華染料染着性樹脂層が放射線硬
    化性樹脂を含有する塗料組成物を塗布し放射線硬化して
    得られた硬化樹脂被覆層であることを特徴とする請求項
    1記載の熱記録シート。
  3. 【請求項3】 前記表面樹脂被覆層と支持体間に昇華染
    料染着性樹脂層を有し、この昇華染料染着性樹脂層が、
    放射線硬化性樹脂を含有する塗料組成物を塗布し放射線
    硬化して得られた硬化樹脂被覆層であることを特徴とす
    る請求項1または2記載の熱記録シート。
  4. 【請求項4】 少なくとも一層の昇華染料染着性樹脂層
    の塗料組成物が、下記 一般式(1)で表現されるウレ
    タン・不飽和オルガノオリゴマーを放射線硬化性樹脂と
    して含有し放射線で硬化されたことを特徴とする請求項
    2または3に記載の熱記録シート。 【化1】 (式中、−ORO−は数平均分子量200〜2000の
    ポリマージオールの脱水素残基、−R−は有機ジイソ
    シアネート残基、−ORO− は、ジヒドロキシル化合物
    のヒドロキシル基の脱水素残基を示し、CH=C(R
    )COORO−は、二重結合を1つ以上含むヒドロ
    キシル基含有(メタ)アクリル酸エステルの脱水素残基
    であり、Rは水素原子またはメチル基、Rは2価の
    アルコール残基を各々示す。また、nは、1〜100の
    整数を示す。)
  5. 【請求項5】少なくとも一層の昇華染料染着性樹脂層塗
    料組成物が固形分で昇華染料染着性樹脂層の10重量%
    以上の前記ウレタン・不飽和オルガノオリゴマーを含有
    する請求項4記載の熱記録シート。
  6. 【請求項6】 前記表面樹脂被覆層がSi原子を含有
    し、その量が、X線光電子分光法により測定した値で、
    15原子数%以下であることを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の熱記録シート。
  7. 【請求項7】 表面樹脂被覆層と支持体間にロイコ染料
    と顕色剤を含有する感熱記録層を有する請求項1または
    6記載の熱記録シート。
JP2001070260A 2001-03-13 2001-03-13 熱記録シート Pending JP2002264545A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001070260A JP2002264545A (ja) 2001-03-13 2001-03-13 熱記録シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001070260A JP2002264545A (ja) 2001-03-13 2001-03-13 熱記録シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002264545A true JP2002264545A (ja) 2002-09-18

Family

ID=18928164

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001070260A Pending JP2002264545A (ja) 2001-03-13 2001-03-13 熱記録シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002264545A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2009048016A1 (ja) * 2007-10-10 2011-02-17 三井化学株式会社 感熱記録材料
JP2018052080A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート
JP2019111680A (ja) * 2017-12-21 2019-07-11 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2009048016A1 (ja) * 2007-10-10 2011-02-17 三井化学株式会社 感熱記録材料
JP5180968B2 (ja) * 2007-10-10 2013-04-10 三井化学株式会社 感熱記録材料
JP2018052080A (ja) * 2016-09-30 2018-04-05 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート
JP2019111680A (ja) * 2017-12-21 2019-07-11 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート
JP6996279B2 (ja) 2017-12-21 2022-01-17 大日本印刷株式会社 熱転写受像シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008274465A (ja) 剥離紙用基材およびそれを使用した粘着シート
JP2591952B2 (ja) 被熱転写シート
JP2002264545A (ja) 熱記録シート
JP2006095852A (ja) 感熱記録体
JP2003260878A (ja) 染料熱転写画像受容シート
JP2000297218A (ja) 電子線硬化性樹脂組成物およびそれを用いたシート状複合材料
JP3136662B2 (ja) 染料熱転写受像シート
JP2000335119A (ja) 熱転写記録用受容シートの製造方法及び受容シート
JP2001058470A (ja) 熱転写記録シート
JP2000326642A (ja) 熱転写記録用シート
JP2002120464A (ja) 熱転写記録シート
JP2003094839A (ja) 熱転写受像シート
JPH0421489A (ja) 染料熱転写プリンター用受像シート
JP3274884B2 (ja) 熱転写受像シート
JP2003063151A (ja) 熱転写記録シート
JPH0643676B2 (ja) 印刷用の塗工紙
JPH11321116A (ja) 熱転写記録媒体
JP2003063154A (ja) 熱転写記録シート
JP2823205B2 (ja) 昇華染料転写画像受容シート
JPH09195198A (ja) 強光沢印刷用シート
JP2002127617A (ja) 熱転写記録シート
JPH11107192A (ja) 強光沢印刷用シート
JP2009269324A (ja) 熱転写用支持体および熱転写用受容シート
JPH10158996A (ja) 強光沢印刷用シート
JP2001183982A (ja) 記録用粘着シート