JP2002264014A - Cmpコンディショナ - Google Patents

Cmpコンディショナ

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JP2002264014A
JP2002264014A JP2001070209A JP2001070209A JP2002264014A JP 2002264014 A JP2002264014 A JP 2002264014A JP 2001070209 A JP2001070209 A JP 2001070209A JP 2001070209 A JP2001070209 A JP 2001070209A JP 2002264014 A JP2002264014 A JP 2002264014A
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plating
conditioner
metal
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JP2001070209A
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Akira Nakabayashi
明 中林
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Mitsubishi Materials Corp
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  • Grinding-Machine Dressing And Accessory Apparatuses (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐酸性や耐食性を向上させる。 【解決手段】 複数の砥粒23をめっきによる金属結合
相22で固着する。金属結合相22は砥粒を位置決め固
定する下地層24の上にNiまたはNi基合金の砥粒保
持層25を設け、更に最外層に、残部のNi−5〜15
wt%のW−5〜15wt%のPからなる三元合金層2
6を設けて構成する。三元合金層26は無電解めっきで
形成する。好ましくはコンディショナ20を300〜6
00℃で熱処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体ウエ
ーハ等の被研磨材の表面をCMP装置によって研磨する
際に用いられる研磨用のパッドをコンディショニングす
るためのCMPコンディショナに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンインゴットから切り出し
た半導体ウエーハ(以下、単にウエーハという)の表面
を化学的且つ機械的に研磨するCMP装置(ケミカルメ
カニカルポリッシングマシン)の一例として、図3に示
すような装置がある。このCMP装置1は、図3に示す
ように中心軸2に取り付けられた円板状の回転テーブル
3上に例えば硬質ウレタンからなるポリッシング用のパ
ッド4が設けられ、このパッド4に対向して且つパッド
4の中心軸2から偏心した位置に自転可能なウエーハキ
ャリア5が配設されている。このウエーハキャリア5は
パッド4よりも小径の円板形状とされてウエーハ6を保
持するものであり、このウエーハ6がウエーハキャリア
5とパッド4間に配置されてパッド4側の表面の研磨に
供され鏡面仕上げされる。
【0003】CMPによる研磨のメカニズムは、微粒子
シリカ等によるメカニカルな要素(遊離砥粒)と酸性液
やアルカリ液等によるエッチング要素とを複合したメカ
ノ・ケミカル研磨法に基づいている。研磨に際して、遊
離砥粒と酸性液等が混合された液状のスラリsがパッド
4上に供給されているため、このスラリsがウエーハキ
ャリア5に保持されたウエーハ6とパッド4との間に流
動して、パッド4でウエーハ6の一面が研磨される。ウ
エーハ6の研磨を行う硬質ウレタン製などのパッド4上
にはスラリsを保持する微細な発泡層が多数設けられて
おり、これらの発泡層内に保持されたスラリsでウエー
ハ6の研磨が行われる。ところが、ウエーハ6の研磨を
繰り返すことでパッド4の研磨面の平坦度が低下したり
目詰まりするためにウエーハ6の研磨精度と研磨効率が
低下するという問題が生じる。
【0004】そのため、従来からCMP装置1には図3
に示すようにパッドコンディショナ8が設けられ、パッ
ド4の表面を定期的に再研磨または再研削(コンディシ
ョニング)するようになっている。このパッドコンディ
ショナ8は、回転テーブル3の外部に設けられた回転軸
9にアーム10を介してコンディショナ11として電着
ホイールが設けられている。そしてウエーハキャリア5
でウエーハ6を研磨しながら或いはウエーハ6の研磨を
停止した状態で、コンディショナ11でパッド4を研磨
してパッド4の平坦度を回復または維持し、パッドの発
泡層の目詰まりを解消するようになっている。このコン
ディショナ11は、通常、ダイヤモンド等の超砥粒をN
iまたはNi基合金等で電気めっきによって固着した砥
粒層を台金に形成した構成になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、コンデ
ィショナ11がこのような構成であるため、スラリ中の
酸がNiまたはNi基合金からなる金属結合相に接触し
てNiまたはNi基合金が溶解してしまい、パッド4上
に砥粒が脱落して発泡層内に残存するために、ウエーハ
6の研磨時に脱落した砥粒でスクラッチを生じたり溶解
した金属がウエーハを汚染するという問題があった。他
方、ウエーハ6はデバイスの微細化に伴って高精度かつ
無欠陥表面となるように鏡面研磨することが要求されて
いるために、このようなスクラッチの発生は許容されず
不良品となるために歩留まりを低下させるという問題が
ある。またコンディショナ11の金属結合相がスラリ中
の酸に接触するのを防止するために金属結合相表面に耐
酸性を有する樹脂被膜を塗装等で形成する技術も提案さ
れているが、この樹脂被膜はめっき形成された金属結合
相との密着性が十分でない上に、ピンホールが発生し易
くピンホールを通してその下層の金属結合相がスラリの
酸で溶解されるという問題があった。本発明は、このよ
うな課題に鑑みて、酸等に対する耐食性を向上させるよ
うにしたCMPコンディショナを提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るCMPコン
ディショナは、複数の砥粒がめっきによる金属結合相で
固着された砥粒層を有するCMPコンディショナにおい
て、金属結合相が、5〜15wt%のWまたはMo、5
〜15wt%のP、残部Niからなる三元合金で構成さ
れていることを特徴とする。砥粒を保持する金属結合相
を三元合金で構成する(三元合金層)ことで、耐酸性等
の耐食性や耐摩耗性を向上でき、コンディショニング時
にスラリに含まれる酸等に金属結合相が接触したとして
も金属結合相の溶解や砥粒の脱落を抑制して、ウエーハ
等の被研磨材にスクラッチを生じさせたり、溶解した金
属結合相成分でウエーハ等の被研磨材を汚染することを
防止できる。
【0007】また本発明によるCMPコンディショナ
は、複数の砥粒がめっきによる金属結合相で固着された
砥粒層を有するCMPコンディショナにおいて、金属結
合相の最外層が、5〜15wt%のWまたはMo、5〜
15wt%のP、残部Niからなる三元合金で構成され
ていることを特徴とする。最外層より内側の、砥粒を保
持する金属結合相部分に酸等に溶解し易いNiやNi基
合金等の金属成分を用いたとしても三元合金を最外層
(三元合金層)に用いることによって酸等との接触を確
実に遮断できる。
【0008】また砥粒層は300℃〜600℃の温度範
囲で熱処理してもよい。この温度範囲の熱処理を行うこ
とによって、砥粒の強度等を低下させることなく金属結
合相の硬度を高くすることができる。特に三元合金を無
電解めっきで製作した場合、CMPコンディショナを上
記温度範囲で熱処理することによって非晶質の金属から
共晶組織を析出できて硬度を向上させることができる。
即ち、無電解めっきで三元合金を製作するとNiとPが
非晶質になるが、熱処理によってNi3Pの共晶組織を
析出できて金属結合相の硬度を高くすることができる。
尚、熱処理温度が600℃を越えると砥粒の強度等の特
性に悪影響を与え、300℃に満たないと熱処理の効果
が生じない。また熱処理前の砥粒層の金属結合相を構成
する三元合金が非晶質とされ、熱処理後にもNiとNi
及びP以外は結晶を析出しないようにしてもよい。Ni
とNi及びP以外、即ちWまたはMo、Ni及びWまた
はNi及びMo、W及びPまたはMo及びP、Ni及び
P及びWまたはNi及びP及びMoは非晶質の状態を維
持することになり、NiとNi及びPとが熱処理で結晶
質を析出することで硬度が上昇し、WまたはMoが非晶
質を維持することでWまたはMoの非晶質部の固溶濃度
が相対的に上昇するため、耐食性が向上する。
【0009】また三元合金の表面に耐酸性の樹脂被覆層
を被覆してもよい。耐酸性の樹脂被覆層を金属結合相に
被覆形成することによって金属結合相と酸等との接触を
より一層防止できる。しかも樹脂被覆層には塗装時にピ
ンホールが発生し易いが、この場合にピンホールを通し
て酸等を含むスラリが金属結合相の三元合金の層に接触
しても三元合金は耐酸性と耐食性が高いために、その下
側の金属結合相部分との接触と溶解を防止できる。しか
も三元合金は引っ張り応力が強いために析出状態でマイ
クロクラックが生じており、樹脂被覆層をコーティング
することで樹脂被覆層がマイクロクラックに入り込んで
アンカー効果を生じさせるので、樹脂被覆層と三元合金
層との密着性が高くなる。通常、NiやNi基合金等の
めっきによる金属結合相は表面の面粗さが小さいため
に、その上に被覆される樹脂被覆層は金属結合相に対す
る密着性が小さく剥がれやすいという欠点を有するが、
本発明ではNi−WまたはMo−P三元合金の引っ張り
応力の強さに起因して表面に多数発生するマイクロクラ
ックに着目して、これを樹脂被覆層の下側の層として形
成することで、この三元合金層のマイクロクラックに樹
脂被覆層が入り込んで互いの密着性を高めるという効果
を奏するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面により説明するが、上述の従来技術と同一の部分に
は同一の符号を用いて説明する。図1は実施の形態によ
るコンディショナの部分縦断面図である。図1に示す第
一の実施の形態によるCMP用のコンディショナ20
は、電着砥石(電着ホイール)で構成されており、例え
ばステンレス等からなる円板形の台金21の略円形をな
す一面21a上に、金属結合相22によって例えばダイ
ヤモンド超砥粒等の多数の砥粒23…が固着されて砥粒
層を形成している。尚、砥粒23はダイヤモンドやCB
N等の超砥粒に限らず、アルミナAl23、炭化珪素S
iO2などの一般砥粒であってもよい。コンディショナ
20は砥粒23が一層のみ形成されて金属結合相22に
よって固着された単層砥石である。
【0011】金属結合相22は、台金21上に砥粒23
の下部を位置決めして保持するための最下層24が例え
ばNiめっき等によって形成され、その上に砥粒23…
を保持する砥粒保持層25が例えばNiめっきやNi−
Pめっき等で形成されている。これら最下層24や砥粒
保持層25は例えば電気めっき等で形成される。砥粒保
持層25の上面には金属結合相22の最外層としてNi
−W−Pからなる三元合金層26が例えば5〜10μm
程度の薄層で形成されている。このNi−W−P三元合
金層26は、W:5〜15wt%、P:5〜15wt
%、Ni:残部からなる三元合金で構成され、耐食性、
耐酸性、耐摩耗性を向上でき、特にWを添加することに
よって耐摩耗性を向上できる。また、Wが5wt%より
小さいと耐摩耗性向上効果がなく、15wt%を越えて
含有させることは難しい。またPは5wt%より小さい
と硬度が低下し、15wt%を越えて含有させることは
難しい。尚、三元合金層26は無電解めっきによって形
成されているが、電気めっきで形成されていてもよい。
このように金属結合相22は最下層24と砥粒保持層2
5と三元合金層26とが順次めっきで積層され、三元合
金層26がコンディショナ20の最外層を構成する。そ
して砥粒23の上部が三元合金層26から突出して固着
されている。
【0012】このようにして得られたコンディショナ2
0を更に300℃〜600℃の範囲で0.5〜2時間、
熱処理してもよい。熱処理前の金属結合相22に設けら
れた三元合金層26は非晶質であり、熱処理後にNiと
Ni及びPは結晶質になるが、それ以外、即ちWまたは
Mo、Ni及びWまたはNi及びMo、W及びPまたは
Mo及びP、Ni及びP及びWまたはNi及びP及びM
oは非晶質の状態を維持することになる。NiとNi及
びPとが熱処理で結晶質を析出することで硬度が上昇
し、WまたはMoが非晶質を維持することでWまたはM
oの非晶質部の固溶濃度が相対的に上昇するため、耐食
性が向上する。尚、無電解めっきによって三元合金層2
6を形成するとNiとPは非晶質であるが、これを熱処
理することによってNi3P結晶という共晶組織を析出
するために硬度が向上する。硬度の向上によって砥粒2
3の保持力も向上する。また、熱処理温度が300℃よ
り低いと熱処理による硬度の向上効果が得られず、60
0℃を越えると砥粒23の強度低下等その特性に悪影響
を与えるという欠点がある。
【0013】本実施の形態によるコンディショナ20は
上述の構成を備えているから、このコンディショナ20
を用いてCMP装置のパッド4をコンディショニングす
る際、コンディショナ20がパッド4の中心からずれた
位置でパッド4の回転方向に自転することで、砥粒23
によってパッド4の表面を研磨して平坦度を回復させ
る。これと同時にパッド4の発泡層が砥粒23で削られ
て目詰まりを解消できる。この時、パッド4の発泡層内
に保持されている酸等を含むスラリがコンディショナ2
0に接触したとしても、その表面は耐酸性と耐摩耗性の
高い三元合金層26で被覆されているからNiやNi−
P等からなる砥粒保持層25にスラリが接触してNi金
属等が溶解するのを防止できる。
【0014】上述のように本実施の形態によれば、金属
結合相22の最外層に三元合金層26を設けたから、耐
酸性、耐食性が高くスラリの酸等に接触しても金属成分
の溶解や砥粒23の脱落を防止できる。しかも三元合金
層26によって耐摩耗性を向上させることができる。ま
たこのコンディショナ20を熱処理すれば三元合金層2
6の硬度を向上させることができる。
【0015】次に本発明の第二の実施の形態を図2によ
り説明するが、第一の実施の形態と同一または同様の部
分、部材には同一の符号を用いて説明する。図2に示す
コンディショナ30では、第一の実施の形態によるコン
ディショナ20と同一の構成を備えており、その構成に
加えて、金属結合相22の最外層である三元金属層26
の表面に耐酸性と耐食性の高い樹脂被覆層27が塗装等
で形成されている。樹脂被覆層27としては例えばエポ
キシ樹脂等が用いられる。ここで樹脂被覆層27のコー
ティングに先立つ三元合金層26の無電解めっき等によ
る析出形成時において、Ni−W−P三元合金層26は
引っ張り応力が強いために合金析出状態でマイクロクラ
ックが表面に多数形成されている。そのためにその表面
に樹脂被覆層27を塗装等で全体にコーティングするこ
とで、固化前の樹脂液相成分が三元合金層26のマイク
ロクラックに入り込み、その後に固化することで樹脂被
覆層27として三元合金層26と強固に結合し、アンカ
ー効果を発揮して高い密着性を呈することになる。
【0016】上述のように本実施の形態によれば、三元
合金層26のマイクロクラックが樹脂被覆層27とのア
ンカー効果を生じさせて両者の密着性が高くなる。その
点、従来の樹脂被覆したコンディショナでは下層の金属
めっき相はNiまたはNi基合金等で製作されているた
めに面粗度が小さく鏡面に近いので、樹脂被覆層との密
着性が小さかった。しかも耐食性と耐酸性の高い樹脂被
覆層27と三元合金層26とを二層積層した構成にな
り、耐酸性及び耐摩耗性効果を高く維持できる。一般に
樹脂被覆層27を金属結合相の表面に塗装するとピンホ
ールができ易いが、このような場合にもその下面に三元
合金層26が密着して設けられているから、Niまたは
Ni基合金等からなる砥粒保持層25等と酸等との接触
及び溶解を確実に防止できる。
【0017】尚、上述の各実施の形態において、三元合
金層26の厚さを10μmとしたが、この厚さに限定さ
れることなく金属結合相22の最上層を形成する構成で
あればその厚みは任意である。また各実施の形態では金
属結合相22を、下地層24、砥粒保持層25、三元合
金層26の三層で構成したが、これに限定されることな
く最上層に三元合金層26を含んでいれば四層以上でも
よいし、二層以下でもよい。或いは三元合金層の一層だ
けで金属結合相22を構成してもよい。また各実施の形
態では、三元合金はNi:残部−W:5〜15wt%−
P:5〜15wt%からなる組成としたが、W(タング
ステン)に代えてMo(モリブデン)を用いてもよく、
しかもMoの含有比率はWと同程度であればよい。この
場合でもWを用いた場合と同様の作用効果を得られる。
【0018】次に本発明のコンディショナ20の実施例
について行った試験例を説明する。 (試験1)実施例1によるコンディショナ20として、
砥粒23は平均粒径173μmのダイヤモンド超砥粒と
し、これら複数の砥粒をφ100mm×厚さ6mmのS
USU台金、及び縦20mm×横50mm×厚さ2mm
のSUS304試験片上に公知のめっき方法で固定して
砥粒23の埋め込みを行いコンディショナと試験片を得
た。公知のめっき方法とは、例えばめっき浴槽中にめっ
き液を満たし台金21に陰極を接続し、対向する位置に
陽極板を配設して通電して台金上に金属結合相をめっき
析出する方法であるが、他の公知の方法を用いても良
い。金属結合相22の製作は、SUS304の台金上
に、ストライクNiめっきを厚さ1μm、下地層24と
して電気Niめっきを厚さ5μm、砥粒保持層25とし
て電気Niめっきによる砥粒固定めっきを厚さ10μm
及びその上層の無電解Ni−Pめっきによる埋め込みめ
っきを厚さ120μm、そしてNi−W−P三元合金層
26としての無電解Ni−W−Pめっきを厚さ10μm
行って、積層構成を得た。次に試験片のNi−W−P三
元合金層(めっき被膜)26を王水で溶解し、希釈水溶
液をIPC発光分光装置により分析した結果、三元合金
層26はNi:81.2wt%、W:9.7wt%、
P:9.1wt%の組成であった。このコンディショナ
20を大気中で、400℃で2時間熱処理を行った。
【0019】実施例2によるコンディショナ20とし
て、実施例1と同一構成で同一形状のコンディショナを
同一手順で製作した。但し、最後のNi−W−P三元合
金層26を実施例1と相違して、電気めっきで厚さ10
μmとしたコンディショナと試験片を得た。次に実施例
1と同様の方法でNi−W−P三元合金層(めっき被
膜)26を分析した結果、三元合金層26はNi:7
4.7wt%、W:11.6wt%、P:13.7wt
%の組成であった。このコンディショナ20を大気中
で、400℃で2時間熱処理を行った。
【0020】比較例1によるコンディショナとして、実
施例1と同一の砥粒と台金を用いて、めっきで固定と埋
め込みを行った。金属結合相として最外層にNi−W−
P三元合金層を設けず、連続して無電解めっきを行って
コンディショナと試験片を得た。金属結合相の積層構成
は、SUS304の台金上に、ストライクNiめっきを
厚さ1μm、下地層として電気Niめっきを厚さ5μ
m、砥粒保持層として電気Niめっきによる砥粒固定め
っきを厚さ10μm及びその上層の無電解Ni−Pめっ
きによる埋め込みめっきを厚さ130μmとした。次に
砥粒保持層中の最上層の埋め込みめっきの層を実施例1
と同様に分析した結果、埋め込みめっきの層はNi:9
1.7wt%、P:8.3wt%の組成であった。尚、
熱処理は行わない。
【0021】比較例2によるコンディショナとして、実
施例1と同一の砥粒と台金を用いて、めっきで固定と埋
め込みを行った。金属結合相として最外層にNi−W−
P三元合金層を設けず、また比較例1の無電解Ni−P
めっきを行わず連続して電気Niめっきを行ってコンデ
ィショナと試験片を得た。金属結合相の積層構成は、S
US304の台金上に、ストライクNiめっきを厚さ1
μm、下地層として電気Niめっきを厚さ5μm、砥粒
保持層として電気Niめっきによる砥粒固定めっきを厚
さ10μm及びその上層の電気Niめっきによる埋め込
みめっきを厚さ130μmである。次に最上層の埋め込
みめっきの層を実施例1と同様に分析した結果、埋め込
みめっきの層はNi:99.9wt%の組成であった。
尚、熱処理は行わない。
【0022】尚、上述の実施例1,2、比較例1,2に
おける各めっき液の組成は以下の通りであった。 (1)ストライクNiめっき 塩化ニッケル…240g/L 塩酸…125ml/L 温度…室温、 電流密度…6A/dm2 (2)電気Niめっき スルファミン酸ニッケル…450g/L 塩化ニッケル…10g/L ほう酸…30g/L ph…4.0 温度…50℃ 電流密度…2A/dm2
【0023】 (3)無電解Ni−Pめっき 硫酸ニッケル…30g/L 次亜リン酸ナトリウム…30g/L クエン酸ナトリウム…15g/L 鉛イオン…0.5mg/L ph…4.8 温度…90℃ (4)無電解Ni−W−Pめっき 硫酸ニッケル…30g/L タングステン酸ナトリウム…15g/L 次亜リン酸ナトリウム…30g/L クエン酸ナトリウム…30g/L エチレンジアミン…10g/L ph…9.0 温度…90℃ (5)電気Ni−W−Pめっき 硫酸ニッケル…80g/L タングステン酸ナトリウム…30g/L 次亜リン酸ナトリウム…30g/L クエン酸ナトリウム…30g/L エチレンジアミン…20g/L ph…9.0 温度…50℃ 電流密度…1A/dm2
【0024】試験1として、上述の実施例1、実施例
2、比較例1、比較例2によって得られた各試験片の硬
度、動摩擦係数を調べた。その結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】そしてこれらの試験片を、CMP装置のス
ラリの成分として用いられるH22、Fe(NO32
KIO3それぞれを純水に5%溶解し、硝酸でph2に
調整した水溶液100ml中に24時間浸漬し、Niイ
オンの溶出をICP発光分析装置により分析した。その
結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】表1によれば、実施例1と2は比較例1と
2よりも硬度が2倍以上高く、動摩擦係数は約1/2〜
1/3程度であった。そのために本発明は耐摩耗性が高
くパッドの研磨時に砥粒が脱落し難いことを確認でき
た。また表2によれば、実施例1及び2は比較例1及び
2よりもH22、Fe(NO32、KIO3水溶液に対
する溶解度が著しく小さいことを確認できた。
【0029】(試験2)試験2として、実施例1と2、
比較例1と2で得た各コンディショナの研削試験を行っ
た。これらのコンディショナは上述したようにφ100
mm、厚さ6mmの台金に電着したもので、特に実施例
1と2は大気中で400℃で2時間の熱処理を行ったも
のである。そして試験1と同様に硝酸でph2に調整し
た水溶液100ml中に24時間浸漬する浸漬テストを
行った後、パッドの研削試験を行った。その結果、実施
例1と2は10時間経過後もパッド研削レートに変化は
なく、目視で確認できる大きなキズは見られなかった。
これに対して、比較例1と2は、2時間経過後からパッ
ド研削レートに低下が見られたので、調べると砥粒が脱
落してパッドにも目視で確認できるキズが多く見られ
た。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係るCMP
コンディショナは、金属結合相が5〜15wt%のWま
たはMo、5〜15wt%のP、残部Niからなる三元
合金で構成されているため、耐酸性や耐食性や耐摩耗性
を向上でき、コンディショニング時にスラリに含まれる
酸等に金属結合相が接触したとしても金属結合相の溶解
や砥粒の脱落を防止できる。
【0031】また本発明によるCMPコンディショナ
は、金属結合相の最外層が5〜15wt%のWまたはM
o、5〜15wt%のP、残部Niからなる三元合金で
構成されているから、最外層より内側の砥粒を保持する
金属結合相部分に酸等に溶解し易い金属成分を用いたと
しても三元合金を最外層に用いることによって酸等との
接触を確実に抑制できる等、上述した本発明と同一の効
果を奏する。
【0032】また砥粒層の製作後に300℃〜600℃
の温度範囲で熱処理を行うようにしたから、砥粒の強度
等を低下させることなく金属結合相の硬度を高くするこ
とができる。熱処理温度が600℃を越えると砥粒の強
度等の特性に悪影響を与え、300℃に満たないと熱処
理の効果が生じない。また熱処理前の砥粒層の金属結合
相を構成する三元合金が非晶質とされ、熱処理後にもN
iとNi及びP以外は結晶を析出しないようにしたか
ら、NiとNi及びPとが熱処理で結晶質を析出するこ
とで硬度が上昇し、WまたはMoが非晶質を維持するこ
とでWまたはMoの非晶質部の固溶濃度が相対的に上昇
するため、耐食性が向上する。
【0033】また三元合金の表面に耐酸性の樹脂被覆層
を被覆したから、樹脂被覆層と三元合金の二層構造でそ
の下層の金属結合相部分と酸等との接触をより確実に防
止できる。しかも樹脂被覆層にはピンホールが発生し易
いが、この場合にピンホールを通して酸等を含むスラリ
が金属結合相の三元合金の層に接触しても三元合金は耐
酸性や耐食性が高いために金属結合相の溶解を抑制でき
る。また三元合金には析出状態でマイクロクラックが生
じているため、樹脂被覆層がマイクロクラックに入り込
んでアンカー効果を生じさせるので、樹脂被覆層と三元
合金層との密着性が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態によるコンディシ
ョナの部分縦断面図である。
【図2】 本発明の第二の実施の形態によるコンディシ
ョナの部分縦断面図である。
【図3】 従来のCMP装置の要部斜視図である。
【符号の説明】
20,30 コンディショナ(CMPコンディショナ) 21 台金 22 金属結合相 23 砥粒 26 三元合金層 27 樹脂被覆層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の砥粒がめっきによる金属結合相で
    固着された砥粒層を有するCMPコンディショナにおい
    て、前記金属結合相が、5〜15wt%のWまたはM
    o、5〜15wt%のP、残部Niからなる三元合金で
    構成されていることを特徴とするCMPコンディショ
    ナ。
  2. 【請求項2】 複数の砥粒がめっきによる金属結合相で
    固着された砥粒層を有するCMPコンディショナにおい
    て、前記金属結合相の最外層が、5〜15wt%のWま
    たはMo、5〜15wt%のP、残部Niからなる三元
    合金で構成されていることを特徴とするCMPコンディ
    ショナ。
  3. 【請求項3】 前記砥粒層は300℃〜600℃の温度
    範囲で熱処理したことを特徴とする請求項1または2に
    記載のCMPコンディショナ。
  4. 【請求項4】 熱処理前の前記砥粒層の金属結合相を構
    成する三元合金が非晶質とされ、熱処理後にもNiとN
    i及びP以外は結晶を析出しないことを特徴とする請求
    項3に記載のCMPコンディショナ。
  5. 【請求項5】 前記三元合金の表面に耐酸性の樹脂被覆
    層を被覆したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    かに記載のCMPコンディショナ。
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