JP2002263917A - 窒化珪素質切削工具 - Google Patents

窒化珪素質切削工具

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JP2002263917A
JP2002263917A JP2001069003A JP2001069003A JP2002263917A JP 2002263917 A JP2002263917 A JP 2002263917A JP 2001069003 A JP2001069003 A JP 2001069003A JP 2001069003 A JP2001069003 A JP 2001069003A JP 2002263917 A JP2002263917 A JP 2002263917A
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silicon nitride
cutting tool
oxide
mol
resistance
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Application number
JP2001069003A
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English (en)
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Yutaka Sekiguchi
豊 関口
Yoshihito Igai
良仁 猪飼
Yasuhiro Takagi
保宏 高木
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
Satoshi Iio
聡 飯尾
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性及び耐欠損性のいずれにも優れる窒
化珪素質切削工具を提供する。 【解決手段】 α及び/又はβの窒化珪素からなる主結
晶相と、焼結助剤成分を含む粒界相とを有し、該切削工
具の最表面から少なくとも500μmまでの焼結助剤成
分の組成が、(A)希土類元素(例えば、Er、Yb
等)、(B)Al元素、並びに(C)W元素及び/又は
V元素を含有し、該(A)、(B)及び(C)成分の総
含有量が、全て酸化物換算で0.7〜5.8mol%で
あり、且つ残部が窒化珪素とする。また、上記粒界相が
すべてガラス相であることが好ましい。更に、上記切削
工具の最表面から500μmまでの範囲において、上記
焼結助剤成分(A)、(B)及び(C)成分の酸化物換
算における総量が、この切削工具の最表面側に向かうに
したがって減少する傾斜組成であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化珪素質切削工
具に関し、更に詳しくは、耐摩耗性及び耐欠損性のいず
れにも優れる窒化珪素質切削工具に関する。本発明の切
削工具は、鋳鉄等の切削に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来より、窒化珪素質焼結体は、高強
度、高靭性であり、耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐欠損性に
優れているため、切削工具として使用されている。ま
た、窒化珪素質焼結体では、原材料である窒化珪素に自
己焼結性がないため焼結助剤が添加され焼結が行われ
る。この焼結助剤としては、一般に、希土類酸化物、ア
ルミニウム等の酸化物が用いられている。これらの酸化
物に対して、更にW化合物或いはV化合物を添加するこ
とにより、焼結性、強度、靭性が向上することが知られ
ている。
【0003】窒化珪素を主成分とする焼結体としては、
例えば、下記のものが開示されている。特公昭63−4
6029号公報では、窒化珪素に、酸化アルミニウム及
び酸化イットリウムの合量5〜30重量%(Al23
23=1/1〜5/1)に、更にタングステン化合物
を1.5〜15重量%添加することによって、焼結性、
強度、耐熱衝撃性に優れる焼結体が知られている。特開
平04−219374号公報では、希土類元素酸化物、
酸化アルミニウム及び酸化珪素の合量が6〜39.9m
ol%、第5a族元素酸化物0.1〜1.0mol%、
残部窒化珪素の混合物を焼結させ、珪素、酸素及び窒素
からなる結晶質の粒界相と、少なくとも希土類元素及び
アルミニウムを含む粒界相と、第5a族元素の酸窒化物
相を析出させることにより、優れた高温特性を有する焼
結体が知られている。特開2000−72553号公報
では、窒化珪素を主成分とし、添加成分として少なくと
も第3a族酸化物、酸化アルミニウムを含み、更にW5
Si3或いはW5Si3+WSi 2を含有させることによ
り、マイクロポアの集合体が発生しがたくなり、転がり
疲労特性が向上することが知られている。しかし、これ
らの窒化珪素質焼結体は切削工具を目的とするものでは
なく、耐摩耗性及び耐欠損性を十分に満たすものではな
い。
【0004】また、特公平05−2627号公報では、
タングステン等の珪化物を0.1〜10重量%及びSi
−Y−Al−O−Nからなる粒界相2〜20重量%で構
成される耐摩耗に優れた窒化珪素部材(特に用途は切削
工具)が知られている。しかし、希土類元素がイットリ
ウムに限定されてしまっていて、耐摩耗性が十分とは言
えるものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みてなされたものであり、耐摩耗性及び耐欠損性のい
ずれにも優れる窒化珪素質切削工具を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、耐摩耗性
及び耐欠損性のいずれにも優れる窒化珪素質切削工具に
ついて検討した結果、本発明を完成するに至った。即
ち、窒化珪素質切削工具の最表面から、深さ方向へ少な
くとも500μmまでの領域における、焼結助剤成分の
含有量の酸化物換算による総量を、特定の範囲とするこ
とにより、耐摩耗性及び耐欠損性の両方を向上させるこ
とを見いだしたものである。
【0007】本発明の窒化珪素質切削工具は、α及び/
又はβの窒化珪素からなる主結晶相と、焼結助剤成分を
含む粒界相と、を有する窒化珪素質切削工具であって、
該切削工具の最表面から、深さ方向へ少なくとも500
μmまでの領域における焼結助剤成分の組成が、(A)
希土類元素(RE)、(B)Al元素、並びに(C)W
元素及び/又はV元素を含有し、該(A)、(B)及び
(C)成分の含有量の酸化物換算における総量が0.7
〜5.8mol%であり、且つ残部が窒化珪素であるこ
とを特徴とする
【0008】上記(A)、(B)及び(C)成分の総含
有量は、いずれも酸化物換算で0.7〜5.8mol%
であり、好ましくは0.8〜5.5mol%、より好ま
しくは0.9〜4.5mol%である。この総含有量が
0.7mol%未満の場合、焼結性が低下し、緻密化が
困難となるため、耐欠損性が低下してしまい好ましくな
い。一方、この総含有量が5.8mol%を越える場
合、耐摩耗性が低下するため好ましくない。尚、本発明
における各焼結助剤成分の酸化物換算は、(A)成分は
RE23、(B)成分はAl23、並びに(C)成分は
WO3及び/又はV25によるものとする。上記の各成
分(A)、(B)及び(C)の総含有量は、窒化珪素質
切削工具の最表面から深さ方向へ少なくとも500μm
までの領域におけるものであり、その領域よりも内側に
おける各成分の総含有量は、特に限定されるものではな
い。その理由としては、切削工具の耐摩耗性及び耐欠損
性がこの領域(切削工具の最表面から深さ方向へ少なく
とも500μm)までの組成でほとんど決定してしまう
ためである。
【0009】また、本発明の窒化珪素質切削工具は、α
及び/又はβの窒化珪素からなる主結晶相と焼結助剤成
分を含む粒界相とを有するものであり、更に、分散粒子
からなる相を有していてもよい。この分散粒子として
は、W及び/又はVの化合物等(例えば、珪化物等)が
挙げられる。
【0010】上記「(A)希土類元素(RE)」の含有
量は、特に限定されないが、酸化物換算で0.4〜2.
2mol%であることが好ましく、より好ましくは0.
5〜2.0mol%、更に好ましくは0.7〜1.5m
ol%である。この含有量が0.5mol%未満の場
合、焼結性の低下を招き緻密化が困難となることがあ
る。一方、この含有量が2.2mol%を越える場合
は、耐摩耗性が低下することがある。また、この希土類
元素(RE)は、特に限定されるものではなく、Y、L
a等の希土類元素でもよいが、Er、Yb、Lu又はS
cであることが好ましい。これらの元素である場合、
Y、La等の希土類元素と比べて、イオン半径が小さい
ので、α及び/又はβのSi34粒子と粒界相との界面
強度が向上し、実際に切削する場合において、粒子脱落
が生じ難くなり、耐摩耗性が向上する。これらの希土類
元素は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用い
てもよい。尚、これらの希土類元素が好ましいのは、切
削工具の最表面から深さ方向へ少なくとも500μmま
での領域であり、それよりも内側では、イオン半径の大
きい希土類元素(例えば、Y、La、Ce又はPr等)
であってもよく、特に限定されるものではない。
【0011】上記「(B)Al元素」の含有量は、特に
限定されないが、酸化物換算で0.01〜2.3mol
%であることが好ましく、より好ましくは0.08〜
2.1mol%、更に好ましくは0.1〜1.4mol
%である。この含有量が0.01mol%未満の場合、
耐摩耗性の向上が得られないことがある。一方、この含
有量が2.3mol%を越える場合、破壊靭性及び熱伝
導率が低下し、耐摩耗性及び耐欠損性が低下することが
ある。
【0012】上記「(C)W元素及び/又はV元素」の
含有量(W元素及びV元素の両方を配合する場合は、総
含有量とする。)は、特に制限されないが、酸化物換算
で0.04〜1.8mol%であることが好ましく、よ
り好ましくは0.05〜1.6mol%、更に好ましく
は0.1〜1.4mol%である。この含有量が0.0
4mol%未満の場合、耐摩耗性及び耐欠損性の向上が
得られないことがある。一方、この含有量が1.8mo
l%を越える場合は、耐摩耗性が低下してしまい、且つ
均一に分散せずに凝集するため強度が低下し、耐欠損性
も低下することがある。W元素、V元素は、どちらか一
方を含有させればよいが、両方含有させた方が焼結性に
優れるため好ましい。
【0013】上記の各成分(A)、(B)及び(C)の
各々の含有量は、窒化珪素質切削工具の最表面から深さ
方向へ少なくとも500μmまでの領域におけるもので
あり、その領域よりも内側においては、各成分の含有量
は制限されない。また、組成の種類が異なっていても、
特に限定されるものではない。
【0014】また、本発明においては、上記粒界相にお
いては、すべてガラス相であることが好ましい。この粒
界相が、すべてガラス相である場合、耐摩耗性及び耐欠
損性を向上させることができる。一方、この粒界相が結
晶化してしまうと、破壊靭性が低下し、耐欠損性が低下
するとともに、耐摩耗性が低下することがある。ここ
で、粒界相がガラス相であることは、X線回折を用いた
場合に、Re−Si−Al−O−N系結晶相(Re−S
i−O−N、Si−Al−O−N、及びSi−O−Nを
含む)のピークが検出されないことを意味する。尚、粒
界相においてガラス相であることが好ましいのは、切削
工具の最表面から深さ方向へ少なくとも500μmまで
の領域であり、それよりも内側では、結晶化していても
かまわず、耐欠損性等には影響しない。
【0015】また、本発明では、上記切削工具の最表面
から深さ方向へ500μmまでの領域の上記焼結助剤成
分(A)、(B)及び(C)の含有量の総量(全て酸化
物換算)が、この領域内において、切削工具の最表面側
に向かうにしたがって減少する傾斜組成になっているこ
とが好ましい。耐摩耗性を向上させるためには、焼結助
剤成分元素の含有量は少なくした方が好ましい。一方、
耐欠損性を向上させるためには、この含有量はある程度
多くした方が好ましい。そのため、この領域内におい
て、切削工具の最表面側に向かうにしたがって、焼結助
剤成分の総量を減少させた傾斜組成にすることで耐摩耗
性及び耐欠損性を両方とも向上させることができる。
【0016】尚、上記焼結助剤成分の配合量の分析方法
は、例えば、蛍光X線分析法による半定量法を用いるこ
とができる。この場合、試料の形状にもよるが、測定径
は大きければ大きいほど、精度が向上するため好まし
い。
【0017】本発明の窒化珪素質切削工具は、下記実施
例に示す評価方法において、耐摩耗性が2.1mm以下
(より好ましくは1.9mm以下、更に好ましくは1.
5mm以下、特に好ましくは1.0mm以下)であるこ
とが好ましい。又は、下記実施例に示す評価方法におい
て、耐欠損性の指数となるワークの加工山数が4〜9個
(より好ましくは10〜19個、更に好ましくは20個
以上)であることが好ましい。更に、本発明の窒化珪素
質切削工具は、上記各特性の好ましい範囲を種々選択し
たものとすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を挙げてよ
り詳しく説明する。 実施例1 (1)窒化珪素質切削工具の製造(実験例1〜26)原
料粉末として、窒化珪素粉末(比表面積;10m2
g、平均粒径;0.5μm)と、焼結助剤成分粉末[酸
化エルビウム(比表面積;10m2/g)、酸化イッテ
リビウム(比表面積;10m2/g)、酸化ルテチウム
(比表面積;10m2/g)、酸化スカンジウム(比表
面積;10m2/g)、酸化ランタン(比表面積;10
2/g)、酸化イットリウム(比表面積;10m2
g)、酸化アルミニウム(比表面積;13m2/g)、
酸化タングステン(比表面積;7.4m2/g)及び酸
化バナジウム(比表面積;3.2m2/g)]とを、表
1の所定の量比となるように配合し、水を媒体とし、窒
化珪素製のボールと容器を用いて、回転数50rpm、
40時間湿式粉砕混合し、スプレードライヤーで造粒し
た。次に、金型一軸プレスにより成形し、CIPにより
高密化した(サイズ;縦17mm、横17mm、高さ7
mm)。これを、第1段階目の焼成を窒素圧力3〜9気
圧とし、温度1800〜1950℃で、2時間保持する
条件で行い、続いて、第2段階目の焼成を温度1600
〜1800℃、保持時間2時間、圧力は窒素1000気
圧で行った。また、実験例26の試料のみ、粒界相を結
晶化させるため、得られた焼結体を温度1200℃、保
持時間6時間、窒素圧力1気圧で熱処理を行った。その
後、各々の焼結体を所定の工具形状(形状;ISO S
NGN432、サイズ;縦12.7mm、横12.7m
m、高さ4.76mm)に加工した。
【0019】
【表1】
【0020】(2)切削工具の評価(実験例1〜26) 上記(1)で得られた、各々の切削工具のすくい面を蛍
光X線分析装置(理学電機工業社製、RIX300型、
X線源;Rh、出力;3kW)を用いて、測定表面(測
定径;直径10mm)の元素分析及び検出元素の定量分
析を行った。得られた検出元素の定量値を元に、構成す
る焼結助剤成分の化合物量に換算した。その元素分析測
定結果を表2に示す。尚、Siについては窒化物換算
し、希土類元素(RE)、Al、W及びVについては酸
化物換算して、mol%で示した。
【0021】また、各々の切削工具のすくい面をX線回
折装置(理学電機工業社製、RTP300型、X線;K
α、対陰極;Cu、X線出力;40kV、100mA)
を用いて、下記の条件により測定表面の結晶相を同定し
た。その結果を表2に併記した。 (測定条件)測定方法はFT法を用い、スキャンスピード
2°/min、ステップ0.02°とした。スリット
は、発散スリット0.5degree、散乱スリット
0.5degree、受光スリット0.15mmを用い
た。ピーク強度は、Kα1とKα2の分離後、Kα1の強
度を用いた。
【0022】更に、各々の切削工具の逃げ面にチャンフ
ァ0.085の面取り加工を施し、この逃げ面におけ
る、耐摩耗性及び耐欠損性について、以下の条件により
評価した。その結果を表2に併記した。 (耐摩耗性の評価条件)鋳鉄「FC200」を被削材と
し、乾式下、切削速度300mm/分、切り込み1.5
mm、送り速度0.34mm/分の条件にて、連続切削
を行った後、フランク最大摩耗量を測定し、これを逃げ
面の摩耗量V(単位;mm)とした。 (耐欠損性の評価条件)鋳鉄「FC200」を被削材と
し、乾式下、切削速度150mm/分、切り込み2.0
mm、送り速度1.0mm/分の条件にて、欠損が生ず
るまで切削を行った。欠損が生ずるまでのワークの加工
山数が、20個以上のものを「◎」、10〜19個のも
のを「○」、4〜9個のものを「△」、及び3個以下の
ものを「×」とした。尚、加工山数とは、ワークに多数
溝を設けて作った山をこの切削工具を用いて連続で切削
する際、切削工具が欠損せずに切削できた山の数をい
う。
【0023】
【表2】
【0024】(3)評価結果(実験例1〜26) 表1及び表2によれば、焼結助剤成分の総含有量が0.
6mol%と少ない実験例19では、耐摩耗量が1.9
mmであるが、耐欠損性が「×」と悪く、また、この総
含有量が6.0mol%と多い実験例20では、耐欠損
性は「△」であるが、耐摩耗量が2.2mmと悪く、こ
れらは十分な耐摩耗性及び耐欠損性を示すものではなか
った。焼結助剤成分としてAlの含有されていない実験
例6では、耐摩耗量が2.2mm、耐欠損性が「○」で
あり耐摩耗性が悪く、また、焼結助剤成分としてW又は
Vの含有されていない実験例11では、耐摩耗量が1.
8mmであるが、耐欠損性が「×」と悪く、これらも十
分な耐摩耗性及び耐欠損性を示すものではなかった。
【0025】一方、焼結助剤成分の総含有量が特定の範
囲内(0.7〜5.8mol%)である実験例1〜5、
7〜10、12〜18、21〜26では、それぞれ耐摩
耗量が0.5〜2.1mmであり、且つ耐欠損性が
「△」、「○」又は「◎」であり、耐摩耗性及び耐欠損
性のいずれにも優れていることを示した。また、焼結助
剤成分の総含有量が特定の範囲内であって、各焼結助剤
成分の各々の含有量が好ましい範囲内(希土類元素;
0.4〜2.2mol%、Al元素;0.01〜2.3
mol%、W元素及び/又はV元素;0.04〜1.8
mol%)である実験例2〜4、7〜9、12〜16及
び21〜23においても、それぞれ耐摩耗量が0.5〜
1.7mmであり、且つ耐欠損性が「△」、「○」又は
「◎」であり、耐摩耗性及び耐欠損性のいずれにもより
優れていることを示した。なかでも、実験例3、21、
22及び23では、耐摩耗量が0.5〜1.0mmであ
り、且つ耐欠損性が「◎」と、更に優れた耐摩耗性及び
耐欠損性を示した。
【0026】また、粒界相がすべてガラス相である実験
例4と、粒界相に結晶相がある実験例26とを比較する
と、配合組成は同一であるが、実験例4では耐摩耗量が
1.2mmであり、且つ耐欠損性が「◎」であるのに対
し、実験例26では耐摩耗量が1.7mmであり、且つ
耐欠損性が「△」であることから、粒界相がすべてガラ
ス相であると、耐摩耗性及び耐欠損性に優れることが分
かった。更に、希土類元素がイオン半径の小さい、E
r、Yb、Lu又はScを用いた実験例3、21〜23
と、これらよりもイオン半径の大きい希土類元素La又
はYを用いた実験例24、25とを比較すると、配合組
成は同一であるが、実験例3、21〜23では耐摩耗量
がそれぞれ0.5〜1.0mmであり、且つ耐欠損性が
「◎」であるのに対し、実験例24、25では耐摩耗量
がそれぞれ1.8mm及び1.7mmであり、且つ耐欠
損性がそれぞれ「◎」及び「○」であることから、イオ
ン半径の小さい希土類元素を用いると、耐摩耗性及び耐
欠損性に優れることが分かった。
【0027】実施例2 (1)窒化珪素質切削工具の製造(実験例27及び実験
例28) 配合する焼結助剤成分粉末を酸化エルビウム(2.0m
ol%)、酸化アルミニウム(1.0mol%)、酸化
タングステン(0.4mol%)、酸化バナジウム
(0.4mol%)とし、第1段階目の焼成条件を、温
度1850℃、窒素圧力2気圧、保持時間2時間(実験
例27)、又は温度1850℃、窒素圧力5気圧、保持
時間2時間(実験例28)とし、続いて、第2段階目の
焼成条件を、ともに温度1700℃、保持時間2時間、
窒素圧力1000気圧とした以外は、上記実施例1の
(1)と同様にして、これらの焼結体を所定の工具形状
(形状;ISO SNGN432、サイズ;縦12.7
mm、横12.7mm、高さ4.76mm)に加工し
た。尚、使用した焼結助剤成分粉末は、上記実施例1の
ものと同様である。
【0028】(2)切削工具の評価(実験例27及び実
験例28) 上記(1)で得られた、各々の切削工具のすくい面につ
いて、上記実施例1の(2)と同様にして、元素分析及
び検出元素の定量分析を行った。また、この切削工具の
最表面から500μm研磨を行い、その面についても同
様にして元素分析及び検出元素の定量分析を行った。こ
れらの結果を表3に示した。尚、Siについては窒化物
換算し、Er、Al、W及びVについては酸化物換算し
て、mol%で示した。また、各々の切削工具のすくい
面について、上記実施例1の(2)と同様にして、X線
回折を行い結晶相を同定した。その結果を表3に併記し
た。更に、各々の切削工具の逃げ面の耐摩耗性及び耐欠
損性について、上記実施例1の(2)と同様にして行い
同様に評価した。その結果を表3に併記した。
【0029】
【表3】
【0030】(3)評価結果(実験例27及び実験例2
8) 表3によれば、試料表面の焼結助剤成分の総含有量が内
部とほぼ同量の試料(実験例27)では、耐摩耗性1.
2mm、耐欠損性「◎」とともに優れていた。更に、試
料表面の焼結助剤成分の総含有量が、試料内部よりも少
ない試料(実験例28)では、耐摩耗性0.6mm、耐
欠損性「◎」と、耐摩耗性が特に優れていた。このこと
から、焼結助剤成分の総含有量の傾斜により、耐欠損性
を維持したまま、耐摩耗性を向上することができること
が分かった。実施例1及び実施例2の結果より、本発明
の範囲内である切削工具は、耐摩耗性及び耐欠損性のい
ずれにも優れた、性能バランスのよいものであることが
わかった。尚、本発明においては、上記実施例に示され
たものに限られず、目的、用途に応じて種々変更した実
施例とすることができる。
【0031】
【発明の効果】本発明の窒化珪素質切削工具は、切削工
具の最表面から、深さ方向へ少なくとも500μmまで
に含まれる焼結助剤成分の総含有量を、全て酸化物換算
で、特定の範囲で配合することで、耐摩耗性及び耐欠損
性のいずれにも優れる。また、本発明の窒化珪素質切削
工具は、各々の焼結助剤成分について、特定の範囲の含
有量とすることで、より優れた耐摩耗性及び耐欠損性を
示す。
フロントページの続き (72)発明者 高木 保宏 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 浦島 和浩 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 (72)発明者 飯尾 聡 名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊 陶業株式会社内 Fターム(参考) 3C046 FF33 FF55 4G001 BA03 BA08 BA09 BA10 BA12 BA32 BB03 BB08 BB09 BB10 BB12 BB32 BC23 BC42 BC54 BC57 BC71 BD12 BD18 BE15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 α及び/又はβの窒化珪素からなる主結
    晶相と、焼結助剤成分を含む粒界相と、を有する窒化珪
    素質切削工具であって、 該切削工具の最表面から、深さ方向へ少なくとも500
    μmまでの領域における焼結助剤成分の組成が、(A)
    希土類元素(RE)、(B)Al元素、並びに(C)W
    元素及び/又はV元素を含有し、該(A)、(B)及び
    (C)成分の含有量の酸化物換算における総量が0.7
    〜5.8mol%であり、且つ残部が窒化珪素であるこ
    とを特徴とする窒化珪素質切削工具。
  2. 【請求項2】 上記(A)成分の含有量が酸化物換算で
    0.4〜2.2mol%、上記(B)成分の含有量が酸
    化物換算で0.01〜2.3mol%、及び上記(C)
    成分の含有量が酸化物換算で0.04〜1.8mol%
    である請求項1記載の窒化珪素質切削工具。
  3. 【請求項3】 上記(A)希土類元素(RE)が、E
    r、Yb、Lu、及びScから選ばれる少なくとも1種
    である請求項1又は2に記載の窒化珪素質切削工具。
  4. 【請求項4】 上記粒界相がすべてガラス相である請求
    項1乃至3のいずれか1項に記載の窒化珪素質切削工
    具。
  5. 【請求項5】 上記切削工具の最表面から深さ方向へ5
    00μmまでの領域において、上記焼結助剤成分
    (A)、(B)及び(C)成分の含有量の酸化物換算に
    おける総量が、該切削工具の最表面側に向かうにしたが
    って減少する傾斜組成になっている請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載の窒化珪素質切削工具。
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