JP2002260913A - 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品 - Google Patents
磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品Info
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Abstract
極めて磁気特性が良好であり、かつY型六方晶フェライ
ト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、
900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体および
これを用いた高周波回路部品を提供する。 【解決手段】 Y型六方晶フェライトで80%以上占有
されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸化物焼
結体は、主成分として酸化コバルトをCoO換算で3〜
15モル%、酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸
化鉄をFe2O3換算で57〜61モル%、MOを0〜1
5wt%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくと
も1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO
(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)とし
て含み、副成分として酸化ビスマス(Bi2O3)を0.
5〜7wt%を含有してなるように構成する。
Description
に使用される磁性酸化物焼結体およびそれを用いた高周
波回路部品に関する。
い、高周波帯域において高いインダクタンス、インピー
ダンスを持つ電子部品の需要が高まっている。小型で高
いインダクタンス、インピーダンスを得るためには、い
わゆる印刷工法やシート工法によって磁性体中に導電体
を内蔵した積層構造のコイルを作製することが望まし
い。
することができ、構造も閉磁路となるため高いインダク
タンス、インピーダンスが得られる。
電気抵抗率、融点、コストの点を考慮して一般に銀(A
g)が多く用いられている。銀の融点は1000℃以下
であるため、積層構造用の磁性体材料としては、従来よ
り一般に、900℃の焼成でも高い焼結密度が得られる
NiZn系フェライトが用いられてきた。
気異方性が低いために数百MHzの周波数で自然共鳴を
起こしてしまい、GHzの周波数帯域で使用することが
できなかった。
コイルが用いられることもあるが、非磁性体を用いると
高いインダクタンスやインピーダンスを得ることが困難
になる。
結晶の面内方向とこの面に垂直な方向とでは磁気的異方
性が異なっているため、自然共鳴を起こしにくく、GH
zの周波数帯域まで高い透磁率を持つという特徴をもっ
ている。しかしながら、このものは、所望の焼結密度や
磁気特性を得るためには焼成温度を高くする必要があ
る。
において、低融点酸化物を用いることでAgの融点以下
で焼成するという低温焼結化の試みもなされているが、
軟磁性相の生成率が低く、六方晶フェライトの磁気特性
を十分に発揮することは困難であった。
者らはすでに、特願2001−56152号として、数
百MHz〜GHzといった高周波帯域まで磁気特性が良
好で使用可能であり、かつY型六方晶フェライト以外の
異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、900℃
付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用
いた高周波回路部品を提案している。
に係る技術分野においては、上記提案に満足することな
くさらなる磁気特性等の改善が望まれており、本発明で
は特に高周波帯域におけるさらなる透磁率の向上を図る
ことを主目的としている。
せることにより、例えば、(i)インダクタンス部品と
して用いた場合に、より高いインダクタンスを得ること
ができる、また(ii)ノイズフィルタ部品として用い
た場合に、高いインピーダンス特性を得ることができ
る。
たものであり、その目的は、上記の課題を解決し、数百
MHz〜GHzといった高周波帯域まで透磁率特性が極
めて良好で、かつY型六方晶フェライト以外の異相をで
きるだけ含まず1000℃以下特に、900℃付近で焼
成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周
波回路部品を提供することにある。
るために、本発明は、Y型六方晶フェライトで80%以
上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸
化物焼結体は、主成分として酸化コバルトをCoO換算
で3〜15モル%、酸化銅をCuO換算で5〜17モル
%、酸化鉄をFe2O3換算で57〜61モル%、MOを
0〜15wt%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少
なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部を
AO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)
として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi2O3)を
0.5〜7wt%を含有してなるように構成される。
電体が埋設された構造を備える高周波回路部品であっ
て、前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで
80%以上占有され、かつ、該磁性酸化物焼結体は、主
成分として酸化コバルトをCoO換算で3〜15モル
%、酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をF
e 2O3換算で57〜61モル%、MOを0〜15wt%
(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種で
あり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、
BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副
成分として酸化ビスマス(Bi2O3)を0.5〜7wt
%を含有してなるように構成される。
磁性酸化物焼結体の製造における仮焼温度は850℃〜
1000℃の範囲に設定される。
態様として、前記導電体は、銀(Ag)を主成分として
なるように構成される。
について詳細に説明する。本発明の磁性酸化物焼結体は
セラミック焼結体であるために通常のセラミック作製プ
ロセスで製造することができる。
て酸化コバルトをCoO換算で3〜15モル%(好まし
くは、3〜5モル%)、酸化銅をCuO換算で5〜17
モル%(好ましくは、5.5〜10モル%)、酸化鉄を
Fe2O3換算で57〜61モル%(好ましくは、59〜
60モル%)、MOを0〜15wt%、好ましくは1〜
15wt%、特に好ましくは5〜15wt%(MOは、
NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MO
の含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまた
はSrOの少なくとも1種)として含んでいる。MOの
形態は、NiO,ZnO,あるいはMgOの単独形態、
または少なくとも2種以上の混在形態である。2種以上
を混合して用いる場合には、混合した総計モル%が上記
の範囲に入るようにすればよい。AOの形態は、BaO
あるいはSrOの単独形態、またはBaOとSrOの混
在形態である。
分として酸化ビスマスBi2O3を0.5〜7wt%(好
ましくは0.6〜5wt%)、含有している。
する実施例からもわかるように添加時に当該酸化物の形
態で混入され、焼結後も一般に当該酸化物の形態で残存
する。
3モル%未満となると、例えば2GHzにおける透磁率
が低下する(例えば2.0未満)という不都合が生じる
傾向にあり、CoOが15モル%を超えると、例えば5
00MHzにおける透磁率が低下する(例えば2.0未
満)という不都合が生じる傾向にある。
焼き温度が1000℃を超えるという不都合が生じる傾
向にあり、CuOが17モル%を超えると、透磁率が低
下する(例えば2.0未満)という不都合が生じる傾向
にある。
り、Fe2O3が61モル%を超えたりすると透磁率が低
下するという不都合が生じる傾向にある。
i2O3の含有量が0.5wt%未満となると、1000
℃以下の焼成で理論密度の90%以上が得られなくなる
という不都合が生じる傾向にあり、上記Bi2O3の含有
量が7wt%を超えると、透磁率が低下するという不都
合が生じる傾向にある。このようなBi2O3副成分の添
加は、特に、上記のCuO量の含有と相俟って低温焼結
を顕著に実現させることができる。磁気特性向上の相乗
効果もある。焼成温度が低くなると、安価で電気抵抗の
低いAgのような低融点の電極材料を内蔵した形で同時
焼成し、電極一体型の閉磁路構成の素子を容易に製造で
きる。
ば、小型でかつ高いQ値を持つインダクタ、あるいは小
型で高周波帯の特に特定周波数でのインピーダンスが大
きいノイズフィルター等の高周波素子(高周波回路部
品)として利用される。
〜15wt%(含有率0は除く)含有させた場合には、
透磁率を各段と向上させることができ、高周波回路部品
を作製したときの高インピーダンス化(高いインピーダ
ンスを得ること)およびインピーダンスの広帯域化に特
に好ましい効果を発揮する。また、MOとしてNiOや
MgOを用いて、0〜15wt%(含有率0は除く)含
有させた場合には、透磁率を向上させることはもとよ
り、共鳴周波数を高くする効果がある。従って、高周波
回路部品として、高いインピーダンスとインピーダンス
の帯域を制御するのに特に好ましい効果を発揮する。
は、その80%以上、特に好ましくは、90%以上がY
型六方晶フェライトで形成されている。ここに言う
「%」は、エックス線回折強度のメインピーク比から算
出したものである。
未満となると、高周波において高い透磁率を得ることが
できくなるという不都合が生じる。これにより、高いイ
ンダクタンスやインピーダンスを持つ高周波回路部品を
得ることが困難となる。
焼成する場合、本焼成温度が低くなるため、焼結後のY
型六方晶フェライトを80%以上とするためには、仮焼
時にY型六方晶フェライトを80%以上生成しておく必
要がある。組成によって異なるが、850℃付近からB
aFe12O19およびBaFe2O4の分解が始まり、Y型
六方晶フェライトの生成が始まる。
Fe2O4の分解が十分に進まなければY型六方晶フェラ
イトの生成が進まない。従って、Y型六方晶フェライト
を80%以上とするために、仮焼温度を850℃以上、
特に、850〜1000℃とする必要がある。さらに、
CuO量を、好ましくは5.5〜17モル%含有させる
ことが必要となる。仮焼温度が850℃未満となった
り、CuO量が上記の範囲を外れると、80%を超える
Y型六方晶フェライトの生成が困難となる。また、仮焼
き温度が1000℃を超えて高くなり過ぎると、細かい
粉砕粉が得られなくなってしまう。細かい粉砕粉の作製
は、低温焼成には極めて重要な技術である。
度を850〜1000℃において、Y型六方晶フェライ
トの生成率を高くするためには、主成分としての前記C
uO量を、好ましくは5.5〜17モル%含有させるこ
とが必要となる。
は、磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備
える高周波回路部品、例えば、インピーダ、インダクタ
として用いられる。
詳細に説明する。
の組成が下記表1に示すような組成となるように各原料
を秤量し、鋼鉄製ボールミルで15時間湿式混合した。
次に、この混合粉を大気中、表1に記載された温度で2
時間仮焼きした。次いで、表1に示されるごとく副成分
としてBi2O3を所定量添加した後、鉄鋼製ボールミル
で15時間粉砕した。
粉を造粒して、100MPaの圧力で所望の形状に成形
した。
で2時間焼結した。六方晶フェライト焼結体の組成は下
記表1に示すとおりであり、これらの各サンプルについ
て、25℃における周波数500MHzおよび2GHz
の透磁率をそれぞれ測定して表1に示した。透磁率は周
波数500MHzの周波数において2.5以上、および
2GHzの周波数において、2.0以上の値を目標とし
ている。
は、焼結体の粉砕粉を用いて、X線回折ピークの強度比
より算出した。
インダクタンス素子を作製した。すなわち、焼結後の組
成が上記表1の実施例11サンプルに示されるような組
成となるように各原料を秤量し、鋼鉄製ボールミルで1
5時間湿式混合した。次に、この混合粉を大気中、95
0℃で2時間仮焼きした。次いで、副成分としてBi2
O3を5wt%添加した後、鉄鋼製ボールミルで15時
間粉砕した。
し、ドクターブレード法により均一なグリーンシートを
形成した。
ライト粉末(NiO=45モル%、CuO=5モル%、
ZnO=1.5モル%、Fe2O3=48モル%、CoO
=0.5モル%)を用いて作製したグリーンシートも準
備した。
ストを用意し、先のグリーンシート上にコイルをスパイ
ラル状となるように積層した。厚み方向に圧力を加えて
圧着し、磁性体に電極がサンドイッチされたグリーンシ
ート積層体を作製した。これを930℃で2時間焼成し
た。得られた焼結体の側面の内部導電体の位置に銀ペー
ストを塗布し、外部電極を焼き付け、図1に概略的に示
されるインピーダンス素子(高周波回路部品)とした。
なお、図1は素子内部構造の理解を容易にするためにモ
デル図として描かれている。図1において、符号11は
インナーコンダクタ(Agコイル)であり、符号10は
ターミナルコンダクタであり、符号20はフェライトを
示している。
ンスおよび透磁率を2GHzで測定したところ、本発明
のものではインピーダンスが236Ω(透磁率は4.
2)という極めて優れた特性が得られた。これに対して
従来のNiCuZnフェライトのインピーダンスは13
5Ω(透磁率1.2)であった。
ある。すなわち、本発明は、Y型六方晶フェライトで8
0%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該
磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化コバルトをCo
O換算で3〜15モル%、酸化銅をCuO換算で5〜1
7モル%、酸化鉄をFe2O3換算で57〜61モル%、
MOを0〜15wt%(MOは、NiO,ZnO,Mg
Oの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、
残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも
1種)として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi2
O3)を0.5〜7wt%を含有してなるように構成さ
れているので、数百MHz〜GHzといった高周波帯域
まで極めて磁気特性が良好であり、かつY型六方晶フェ
ライト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特
に、900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体お
よびこれを用いた高周波回路部品を提供することができ
る。
路部品)の概略図面である。
Claims (5)
- 【請求項1】 Y型六方晶フェライトで80%以上占有
されてなる磁性酸化物焼結体であって、 該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化コバルトをC
oO換算で3〜15モル%、酸化銅をCuO換算で5〜
17モル%、酸化鉄をFe2O3換算で57〜61モル
%、MOを0〜15wt%(MOは、NiO,ZnO,
MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除
く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少な
くとも1種)として含み、 副成分として酸化ビスマス(Bi2O3)を0.5〜7w
t%を含有してなることを特徴とする磁性酸化物焼結
体。 - 【請求項2】 前記磁性酸化物焼結体の製造における仮
焼温度が850℃〜1000℃である請求項1に記載の
磁性酸化物焼結体。 - 【請求項3】 磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設され
た構造を備える高周波回路部品であって、 前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで80
%以上占有され、かつ、 該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化コバルトをC
oO換算で3〜15モル%、酸化銅をCuO換算で5〜
17モル%、酸化鉄をFe2O3換算で57〜61モル
%、MOを0〜15wt%(MOは、NiO,ZnO,
MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除
く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少な
くとも1種)として含み、 副成分として酸化ビスマス(Bi2O3)を0.5〜7w
t%を含有してなることを特徴とする高周波回路部品。 - 【請求項4】 前記磁性酸化物焼結体の製造における仮
焼温度が850℃〜1000℃である請求項3に記載の
高周波回路部品。 - 【請求項5】 前記導電体が銀(Ag)を主成分とする
請求項3または請求項4に記載の高周波回路部品。
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