JP2004262683A - 磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】数百MHz〜GHzといった高周波帯域まで極めて磁気特性が良好であり、かつY型六方晶フェライト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品を提供する。
【解決手段】Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi)、硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを含有してなるように構成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波回路部品用に使用される磁性酸化物焼結体およびそれを用いた高周波回路部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2002−260913号公報
【特許文献2】特開2002−260914号公報
【特許文献3】特開平9−129433号公報
【0003】
近年、電子機器の小型化や高周波化に伴い、高周波帯域において高いインダクタンス、インピーダンスを持つ電子部品の需要が高まっている。小型で高いインダクタンス、インピーダンスを得るためには、いわゆる印刷工法やシート工法によって磁性体中に導電体を内蔵した積層構造のコイルを作製することが望ましい。
【0004】
積層構造とすることでコイルの巻数を多くすることができ、構造も閉磁路となるため高いインダクタンス、インピーダンスが得られる。
【0005】
焼結体に内蔵される導電体材料としては、電気抵抗率、融点、コストの点を考慮して一般に銀(Ag)が多く用いられている。銀の融点は1000℃以下であるため、積層構造用の磁性体材料としては、従来より一般に、900℃の焼成でも高い焼結密度が得られるNiZn系フェライトが用いられてきた。
【0006】
しかしながら、NiZn系フェライトは磁気異方性が低いために数百MHzの周波数で自然共鳴を起こしてしまい、GHzの周波数帯域で使用することができなかった。
【0007】
高周波仕様として、非磁性体を用いた空心コイルが用いられることもあるが、非磁性体を用いると高いインダクタンスやインピーダンスを得ることが困難になる。
【0008】
この一方で六方晶フェライトは、六角板状結晶の面内方向とこの面に垂直な方向とでは磁気的異方性が異なっているため、自然共鳴を起こしにくく、GHzの周波数帯域まで高い透磁率を持つという特徴をもっている。しかしながら、このものは、所望の焼結密度や磁気特性を得るためには焼成温度を高くする必要がある。
【0009】
これまで生成温度の高い六方晶フェライトにおいて、低融点酸化物を用いることでAgの融点以下で焼成するという低温焼結化の試みもなされているが、軟磁性相の生成率が低く、六方晶フェライトの磁気特性を十分に発揮することは困難であった。
【0010】
このような実状のもと、本出願にかかる発明者らはすでに、特開2002−260913号公報(特許文献1)、特開2002−260914号公報(特許文献2)として、数百MHz〜GHzといった高周波帯域まで磁気特性が良好で使用可能であり、かつY型六方晶フェライト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品を提案している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本出願に係る技術分野においては、上記提案に満足することなくさらなる磁気特性等の改善が望まれており、本発明では低温焼成可能であることはもとより、高周波帯域におけるさらなる透磁率の向上を図ることを主目的としている。
【0012】
高周波帯域における透磁率をさらに向上させることにより、例えば、(i)インダクタンス部品として用いた場合に、より高いインダクタンスを得ることができる、また(ii)ノイズフィルタ部品として用いた場合に、高いインピーダンス特性を得ることができる。
【0013】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであり、その目的は、上記の課題を解決し、数百MHz〜GHzといった高周波帯域まで透磁率特性が極めて良好で、かつY型六方晶フェライト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明者らが、上記従来提案していた主組成の構成についてさらに継続的に鋭意研究を進めたところ、さらに透磁率の向上を図ることが出来る好適な組成範囲を見出し、本発明に想到したものである。
【0015】
すなわち、本発明は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi)を0.5〜7wt%を含有してなるように構成される。
【0016】
また、本発明は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを0.5〜7wt%含有してなるように構成される。
【0017】
本発明の好ましい態様として、前記磁性酸化物焼結体の製造における仮焼温度は850℃〜1000℃とされる。
【0018】
また、本発明は、磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備える高周波回路部品であって、前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有され、かつ、該磁性酸化物焼結体は、主成分として、酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi)を0.5〜7wt%を含有してなるように構成される。
【0019】
また、本発明は、磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備える高周波回路部品であって、前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有され、かつ、該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを0.5〜7wt%含有してなるように構成される。
【0020】
本発明の好ましい態様として、前記磁性酸化物焼結体の製造における仮焼温度は850℃〜1000℃とされる。
【0021】
本発明の好ましい態様として、前記導電体が銀(Ag)を主成分として構成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の磁性酸化物焼結体について詳細に説明する。
本発明の磁性酸化物焼結体はセラミック焼結体であるために通常のセラミック作製プロセスで製造することができる。
【0023】
本発明の磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%(好ましくは、5.5〜12モル%)、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%(好ましくは、59〜61モル%)、MOを0〜15モル%、好ましくは1〜15モル%、特に好ましくは5〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含んでいる。
【0024】
MOの形態は、NiO,ZnO,あるいはMgOの単独形態、または少なくとも2種以上の混在形態である。2種以上を混合して用いる場合には、混合した総計モル%が上記の範囲に入るようにすればよい。
【0025】
AOの形態は、BaOあるいはSrOの単独形態、またはBaOとSrOの混在形態である。
【0026】
また、本発明の磁性酸化物焼結体は、副成分として酸化ビスマスBiを0.5〜7wt%(好ましくは0.6〜5wt%)、含有している。
【0027】
このような酸化ビスマスBiは、後述する実施例からもわかるように添加時に当該酸化物の形態で混入され、焼結後も一般に当該酸化物の形態で残存する。
【0028】
上記主成分の含有割合において、CuOが5モル%未満となると、仮焼き温度が1000℃を超えるという不都合が生じる傾向にあり、CuOが17モル%を超えると、透磁率が低下するという不都合が生じる傾向にある。
【0029】
また、Feが57モル%未満となったり、Feが61モル%を超えたりすると透磁率が低下するという不都合が生じる傾向にある。
【0030】
上記の副成分の含有割合において、上記Biの含有量が0.5wt%未満となると、1000℃以下の焼成で理論密度の90%以上が得られなくなるという不都合が生じる傾向にあり、上記Biの含有量が7wt%を超えると、透磁率が低下するという不都合が生じる傾向にある。このようなBi副成分の添加は、特に、上記のCuO量の含有と相俟って低温焼結を顕著に実現させることができる。磁気特性向上の相乗効果もある。焼成温度が低くなると、安価で電気抵抗の低いAgのような低融点の電極材料を内蔵した形で同時焼成し、電極一体型の閉磁路構成の素子を容易に製造できる。
【0031】
上記の副成分Biに変えて、副成分として硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを0.5〜7wt%(好ましくは0.6〜5wt%)含有するようにしてもよい。これらのガラスは上記副成分Biと混合して用いることもできる。
【0032】
硼珪酸ガラスとは、一般にB、SiOを含むガラスを示し、硼珪酸亜鉛ガラスとは、一般にB、SiO、ZnOを含むガラスを示し、ビスマスガラスとは、一般にBiを含むガラスを示す。これらの各ガラスの定義において上記の各成分が主成分である必要はない。
【0033】
これらの副成分のガラスの含有形態としては、硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスおよびビスマスガラスの中の1種を単独で用いても良いし、また、これらの中の2種または3種を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合には、混合した総計重量%が上記の範囲に入るようにすればよい。このようなガラスを添加することにより、高電気抵抗率化(電気抵抗率を高くすること)および低誘電率化(誘電率を低くすること)を得ることができる。従って、このような所定のガラスの添加により、高周波回路部品としての例えば、積層部品材料に必要な1×10Ω・m以上の電気抵抗率が得られる。
【0034】
さらに、本願所定のガラスの添加により、誘電率を低減させる効果も発現し、本発明焼結体を高周波部品として用いた場合、高い周波数において高いインピーダンスを得ることや、インピーダンスの広帯域化に効果がある。なお、これらのガラス添加は添加時における状態がガラスであることが必要である。焼成後、用いたガラス成分は、ガラス状態の有無を問わず焼成体の中に存在する。
【0035】
これらのガラスの中では、特に、硼珪酸亜鉛ガラスや硼珪酸ガラスが高抵抗率、低誘電率をより効果的に実現させるために好ましい。また、同じガラス添加量で比較した場合、90%以上の相対密度が得られる温度を下げることができるという観点からは、特に、ビスマスガラスが好ましい。
【0036】
このようにして製造された素子は、例えば、小型でかつ高いQ値を持つインダクタ、あるいは小型で高周波帯の特に特定周波数でのインピーダンスが大きいノイズフィルター等の高周波素子(高周波回路部品)として利用される。
【0037】
上記のMOとしてZnOを用いて、このものを0〜15wt%(含有率0は除く)含有させた場合には、透磁率を各段と向上させることができ、高周波回路部品を作製したときの高インピーダンス化(高いインピーダンスを得ること)およびインピーダンスの広帯域化に特に好ましい効果を発揮する。また、MOとしてNiOやMgOを用いて、0〜15wt%(含有率0は除く)含有させた場合には、透磁率を向上させることはもとより、共鳴周波数を高くする効果がある。従って、高周波回路部品として、高いインピーダンスとインピーダンスの帯域を制御するのに特に好ましい効果を発揮する。
【0038】
さらに本発明における磁性酸化物焼結体は、その80%以上、特に好ましくは、90%以上がY型六方晶フェライトで形成されている。ここに言う「%」は、エックス線回折強度のメインピーク比から算出したものである。
【0039】
Y型六方晶フェライトの占有割合が80%未満となると、高周波において高い透磁率を得ることができなるという不都合が生じる。これにより、高いインダクタンスやインピーダンスを持つ高周波回路部品を得ることが困難となる。
【0040】
銀(Ag)のような低融点電極材料と同時焼成する場合、本焼成温度が低くなるため、焼結後のY型六方晶フェライトを80%以上とするためには、仮焼時にY型六方晶フェライトを80%以上生成しておく必要がある。組成によって異なるが、850℃付近からBaFe1219およびBaFeの分解が始まり、Y型六方晶フェライトの生成が始まる。
【0041】
しかしながら、BaFe1219およびBaFeの分解が十分に進まなければY型六方晶フェライトの生成が進まない。従って、Y型六方晶フェライトを80%以上とするために、仮焼温度を850℃以上、特に、850〜1000℃とする必要がある。さらに、CuO量を、好ましくは5.5〜17モル%含有させることが必要となる。仮焼温度が850℃未満となったり、CuO量が上記の範囲を外れると、80%を超えるY型六方晶フェライトの生成が困難となる。また、仮焼き温度が1000℃を超えて高くなり過ぎると、細かい粉砕粉が得られなくなってしまう。細かい粉砕粉の作製は、低温焼成には極めて重要な技術である。
【0042】
このような観点から、上述のごとく仮焼温度を850〜1000℃において、Y型六方晶フェライトの生成率を高くするためには、主成分としての前記CuO量を、好ましくは5.5〜17モル%含有させることが必要となる。
【0043】
このような本発明における磁性酸化焼結体は、磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備える高周波回路部品、例えば、インピーダ、インダクタとして用いられる。
【0044】
【実施例】
以下、具体的実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0045】
[実験例I]
(実施例サンプルおよび比較例サンプルの作製)
焼結後の組成が下記表1に示すような組成となるように各原料を秤量し、鋼鉄製ボールミルで15時間湿式混合した。次に、この混合粉を大気中、表1に記載された温度で2時間仮焼きした。次いで、表1に示されるごとく副成分としてBiや所定のガラスを所定量添加した後、鉄鋼製ボールミルで15時間粉砕した。
【0046】
このようにして得られた六方晶フェライト粉を造粒して、100MPaの圧力で所望の形状に成形した。
【0047】
この成形体を大気中、表1に示される温度で2時間焼結した。六方晶フェライト焼結体の組成は下記表1に示すとおりであり、これらの各サンプルについて、25℃における周波数800MHzの透磁率を測定して表1に示した。透磁率は周波数800MHzの周波数において6.0以上の値を目標としている。
【0048】
なお、Y型六方晶フェライトによる占有率は、焼結体の粉砕粉を用いて、X線回折ピークの強度比より算出した。
【0049】
【表1】
Figure 2004262683
【表2】
Figure 2004262683
【0050】
[実験例II]
次に、本発明の磁性体を用いてインダクタンス素子を作製した。すなわち、焼結後の組成が上記表1の実施例I−2サンプルに示されるような組成となるように各原料を秤量し、鋼鉄製ボールミルで15時間湿式混合した。次に、この混合粉を大気中、950℃で2時間仮焼きした。次いで、副成分としてBiを5wt%添加した後、鉄鋼製ボールミルで15時間粉砕した。
【0051】
この仮焼き粉末に有機バインダーを混合し、ドクターブレード法により均一なグリーンシートを形成した。
【0052】
次いで、銀を混合してなる導電性ペーストを用意し、先のグリーンシート上にコイルをスパイラル状となるように積層した。厚み方向に圧力を加えて圧着し、磁性体に電極がサンドイッチされたグリーンシート積層体を作製した。これを930℃で2時間焼成した。得られた焼結体の側面の内部導電体の位置に銀ペーストを塗布し、外部電極を焼き付け、図1に概略的に示されるインダクタンス素子(高周波回路部品)とした。なお、図1は素子内部構造の理解を容易にするためにモデル図として描かれている。図1において、符号11はインナーコンダクタ(Agコイル)であり、符号10はターミナルコンダクタであり、符号20はフェライトを示している。
【0053】
得られたインダクタンス素子のインピーダンスおよび透磁率を800MHzで測定したところ、本発明のものではインピーダンスが436Ω(透磁率は7.9)という極めて優れた特性が得られた。
【0054】
[実験例III]
次に、本発明の磁性体を用いてインダクタンス素子を作製した。すなわち、焼結後の組成が上記表1の実施例I−12サンプルに示されるような組成となるように各原料を秤量し、鋼鉄製ボールミルで15時間湿式混合した。次に、この混合粉を大気中、950℃で2時間仮焼きした。次いで、副成分としてビスマスガラスを3wt%添加した後、鉄鋼製ボールミルで15時間粉砕した。
【0055】
この仮焼き粉末に有機バインダーを混合し、ドクターブレード法により均一なグリーンシートを形成した。
【0056】
次いで、銀を混合してなる導電性ペーストを用意し、先のグリーンシート上にコイルをスパイラル状となるように積層した。厚み方向に圧力を加えて圧着し、磁性体に電極がサンドイッチされたグリーンシート積層体を作製した。これを930℃で2時間焼成した。得られた焼結体の側面の内部導電体の位置に銀ペーストを塗布し、外部電極を焼き付け、図1に概略的に示されるインダクタンス素子(高周波回路部品)とした。なお、図1は素子内部構造の理解を容易にするためにモデル図として描かれている。図1において、符号11はインナーコンダクタ(Agコイル)であり、符号10はターミナルコンダクタであり、符号20はフェライトを示している。
【0057】
得られたインダクタンス素子のインピーダンスおよび透磁率を800MHzで測定したところ、本発明のものではインピーダンスが408Ω(透磁率は7.4)という極めて優れた特性が得られた。
【0058】
【発明の効果】
上記の結果より本発明の効果は明らかである。すなわち、本発明は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、副成分として酸化ビスマス(Bi)、硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを含有してなるように構成されているので、数百MHz〜GHzといった高周波帯域まで極めて磁気特性が良好であり、かつY型六方晶フェライト以外の異相をできるだけ含まず1000℃以下特に、900℃付近で焼成可能である磁性酸化物焼結体およびこれを用いた高周波回路部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で用いたインダクタンス素子(高周波回路部品)の概略図面である。
【符号の説明】
10…ターミナルコンダクタ
11…インナーコンダクタ
20…フェライト

Claims (7)

  1. Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、
    該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、
    副成分として酸化ビスマス(Bi)を0.5〜7wt%を含有してなることを特徴とする磁性酸化物焼結体。
  2. Y型六方晶フェライトで80%以上占有されてなる磁性酸化物焼結体であって、
    該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、
    副成分として硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを0.5〜7wt%含有してなることを特徴とする磁性酸化物焼結体。
  3. 前記磁性酸化物焼結体の製造における仮焼温度が850℃〜1000℃である請求項1または請求項2に記載の磁性酸化物焼結体。
  4. 磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備える高周波回路部品であって、
    前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有され、かつ、
    該磁性酸化物焼結体は、主成分として、酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、
    副成分として酸化ビスマス(Bi)を0.5〜7wt%を含有してなることを特徴とする高周波回路部品。
  5. 磁性酸化物焼結体中に導電体が埋設された構造を備える高周波回路部品であって、
    前記磁性酸化物焼結体は、Y型六方晶フェライトで80%以上占有され、かつ、
    該磁性酸化物焼結体は、主成分として酸化銅をCuO換算で5〜17モル%、酸化鉄をFe換算で57〜61モル%、MOを0〜15モル%(MOは、NiO,ZnO,MgOの少なくとも1種であり、MOの含有率0は除く)、残部をAO(AOは、BaOまたはSrOの少なくとも1種)として含み、
    副成分として硼珪酸ガラス、硼珪酸亜鉛ガラスまたはビスマスガラスを0.5〜7wt%含有してなることを特徴とする高周波回路部品。
  6. 前記磁性酸化物焼結体の製造における仮焼温度が850℃〜1000℃である請求項4または請求項5に記載の高周波回路部品。
  7. 前記導電体が銀(Ag)を主成分とする請求項4または請求項5に記載の高周波回路部品。
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