JP2002260534A - 回転陽極型x線管の製造方法および製造装置 - Google Patents

回転陽極型x線管の製造方法および製造装置

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JP2002260534A
JP2002260534A JP2001054703A JP2001054703A JP2002260534A JP 2002260534 A JP2002260534 A JP 2002260534A JP 2001054703 A JP2001054703 A JP 2001054703A JP 2001054703 A JP2001054703 A JP 2001054703A JP 2002260534 A JP2002260534 A JP 2002260534A
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rotating
ray tube
fixed support
rotating body
support jig
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JP2001054703A
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Hiroyuki Sugiura
弘行 杉浦
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転部分の回転バランスを大気中で容易にか
つ高精度に測定でき、あるいは、回転バランスの調整を
そのまま大気中で行うことができる回転陽極型X線管の
製造方法および製造装置を提供すること。 【解決手段】 空気が吹き出す吐出開口W2およびこの
吐出開口W2から吹き出した空気が流れ込む吸入開口W
1を有し、回転陽極型X線管を構成する回転体26を嵌
合する固定支持治具14と、吐出開口W2から吹き出す
空気を送り出すコンプレッサ20と、回転体26を回転
させるステータ15とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陽極ターゲット
が固定された回転体の回転バランスを測定し、あるい
は、必要に応じてその回転バランスを修正する回転陽極
型X線管の製造方法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、陽極ターゲットを
回転可能に支持する回転機構および陽極ターゲットに電
子ビームを照射する陰極構体、前記陽極ターゲットや回
転機構、陰極構体を収納する真空外囲器などから構成さ
れている。そして、高速で回転する陽極ターゲットに対
して電子ビームを照射し、陽極ターゲットからX線を放
出させる構成になっている。陽極ターゲットを支持する
回転機構は回転体および固定体などで構成され、回転体
と固定体の間に軸受が設けられている。
【0003】回転陽極型X線管の軸受には、ボールベア
リングなどのころがり軸受、あるいは、軸受面にらせん
溝を形成し、ガリウム(Ga)やガリウム−インジウム
−錫(Ga−In−Sn)合金などの液体金属潤滑剤を
らせん溝などに充填する動圧式すべり軸受が用いられて
いる。後者の動圧式すべり軸受を用いた例は、特開昭6
0−117531号、特開平2−227948号、特開
平5−144396号の各公報に開示されている。
【0004】ここで、動圧式すべり軸受を用いた従来の
回転陽極型X線管について図11を参照して説明する。
符号111は回転陽極型X線管を構成する真空外囲器
で、真空外囲器111は金属製の径大部111aおよび
ガラス製の径小部111bなどから構成され、径大部1
11aと径小部111bは封着リング111cで連結さ
れている。径大部111aの一部にX線放射窓111d
が形成され、真空外囲器111の外に電磁コイルをもつ
ステータ112が配置されている。
【0005】真空外囲器111内に円盤状の陽極ターゲ
ット113が収納され、陽極ターゲット113に対向し
て陰極構体114が設けられている。陽極ターゲット1
13は支持シャフト115にピン116や固定ねじ11
7で固定されている。支持シャフト115は回転機構1
18に結合され、陽極ターゲット113は回転機構11
8によって回転可能に支持されている。
【0006】回転機構118は有底円筒状の回転体11
9および回転体119に嵌合された固定体120などか
ら構成されている。回転体119は、支持シャフト11
5が固定された鉄合金製の中間円筒121および中間円
筒121内側の図示下端部に接合された内側円筒12
2、中間円筒121の外側に接合された銅製の外側円筒
123を有している。内面が軸受面となる内側円筒12
2と中間円筒121との間に、半径方向の幅寸法が0.
1〜1mmの範囲の断熱間隙124が設けられている。
また、内側円筒122の下端開口はフランジ状のスラス
トリング125で封止されている。
【0007】固定体120はスラストリング125を貫
通し、その下端部は封着リング126に封止されてい
る。封着リング126および真空外囲器111の径小部
111bはシールリング127を介して気密接合してい
る。
【0008】回転体119と固定体120の嵌合部分、
たとえば内側円筒122と固定体119の嵌合部分およ
びスラストリング125と固定体120の嵌合部分に、
2組のラジアル方向の動圧式すべり軸受128およびス
ラスト方向の動圧式すべり軸受129が設けられてい
る。
【0009】2つのラジアル方向の動圧式すべり軸受1
28は、軸方向に所定の間隔をもって固定体15の外周
面に設けられたヘリンボンパターンらせん溝128a、
128bなどから形成されている。スラスト方向の動圧
式すべり軸受129の1つは、図12に示すように、固
定体120の図示上端面120aに設けられたサークル
状のヘリンボンパターンらせん溝129aなどから形成
されている。もう1つのスラスト方向の動圧式すべり軸
受129は、図13に示すように、固定体120の段差
面と接するスラストリング125上面に設けられたサー
クル状のヘリンボンパターンらせん溝129bなどから
形成されている。
【0010】上記した動圧式すべり軸受128、129
部分の内側円筒122と固定体120の軸受面、および
スラストリング125と固定体120の軸受面は、動作
中、約20μmの軸受間隙を保つように設定されてい
る。
【0011】固定体120は、その中央にリザーバ13
0が軸方向に形成されている。また、内側円筒122お
よび固定体120間の隙間とリザーバ130とを結ぶダ
クト131が半径方向に形成されている。動圧式すべり
軸受128、129およびリザーバ130、ダクト13
1の各部分には、Ga−In−Sn合金のような液体金
属潤滑剤が充填されている。
【0012】上記の回転陽極型X線管を動作させる場
合、ステータ112に駆動電圧を供給し、ステータ11
2が発生する回転磁界によって陽極ターゲット113を
回転させる。そして、高速で回転する陽極ターゲット1
13に対して陰極構体114から電子ビームを照射し、
陽極ターゲット113からX線を発生させる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】回転陽極型X線管は、
陽極ターゲットを高速で回転させる必要があり、陽極タ
ーゲットを支持する回転機構の回転バランスは高精度に
調整される。そのため、陽極ターゲットが固定された回
転機構を真空外囲器内に配置し、気密封止する前に回転
バランスの測定が行われる。
【0014】この測定で、回転にアンバランスが検出さ
れると、陽極ターゲットの一部たとえば図11の符号A
部分を削り取るなどして回転バランスが調整される。一
度の削り取りで十分な回転バランスが得られない場合
は、その後、さらに回転バランスの測定および調整が繰
り返される。
【0015】ところで、回転機構の軸受として動圧式す
べり軸受が用いられる場合、回転バランスを測定するた
めに回転機構を空気に晒すと、Ga合金などの液体金属
潤滑剤の表面や液体金属潤滑剤で濡れた軸受面が酸化
し、正常な軸受性能が得られなくなる。
【0016】そのため、従来の回転陽極型X線管の製造
方法では、たとえば回転バランスの測定および調整を真
空装置内で行い、そのまま回転陽極型X線管を構成する
真空外囲器内に組み込むという方法が採用されており、
作業が繁雑化している。
【0017】この発明は、上記した欠点を解決し、回転
部分の回転バランスを大気中で容易にかつ高精度に測定
でき、あるいは、回転バランスの調整をそのまま大気中
で行うことができる回転陽極型X線管の製造方法および
製造装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明の回転陽極型X
線管の製造方法は、気体が吹き出す吐出開口およびこの
吐出開口から吹き出した気体が流れ込む吸入開口を有す
る固定支持治具の前記吐出開口に前記気体を供給し、前
記吐出開口から前記気体を吹き出す第1工程と、前記固
定支持治具に回転陽極型X線管の回転体を嵌合する第2
工程と、前記回転体に回転力を与える回転力発生装置に
電力を供給し前記回転体を回転させる第3工程と、この
第3工程の後、前記回転力発生装置に対する電力の供給
を停止し、前記回転体を自由に回転させる第4工程と、
前記回転体が自由に回転する状態で前記回転体の回転バ
ランスを測定する第5工程とからなっている。
【0019】また、この発明の回転陽極型X線管の製造
装置は、気体が吹き出す吐出開口およびこの吐出開口か
ら吹き出した気体が流れ込む吸入開口を有し、回転陽極
型X線管を構成する回転体を嵌合する固定支持治具と、
前記吐出開口から吹き出す前記気体を送り出す気体供給
装置と、前記回転体を回転させる回転力発生装置とを具
備している。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図1〜
図10を参照して説明する。各図とも対応する部分には
同じ符号を付し、図2以下では重複する説明は一部省略
している。
【0021】符号11は固定盤で、固定盤の上下に振動
検出器12a、12bが取り付けられている。また、固
定盤11に基台13が固定され、基台13に円柱状の固
定支持治具14が固定されている。固定支持治具14は
その中心軸が重力方向と一致する向きに固定されてい
る。固定支持治具14の上方には、回転力を発生する回
転力発生装置たとえばステータ15が固定支持治具14
を囲む形で固定盤11に固定されている。ステータ15
は駆動電源Pに接続され、駆動電源Pから供給される電
力によって回転磁界を発生する。
【0022】固定支持治具14は、回転陽極型X線管の
陽極ターゲットを回転可能に支持する回転機構のたとえ
ば円柱状固定体とほぼ同じ形状および外径に形成されて
いる。固定支持治具14のたとえば中央に、その上端面
から下端面まで貫通する排気用通路16が軸方向に設け
られ、排気用通路16は流量調整器17を介して排気口
18に接続されている。
【0023】排気用通路16を囲んでたとえば4本の給
気用通路19が軸方向に設けられている。給気用通路1
9は円周方向に90°の等間隔に設けられている。給気
用通路19は、たとえば下端面から上端面の近くまで軸
方向に伸びる主通路部分19aおよびそれぞれの主通路
部分19aから半径方向に伸びる副通路部分19bから
構成されている。
【0024】排気用通路16の開口部分W1たとえば吸
入開口は、固定支持治具14の図示上端の陽極ターゲッ
ト側に位置する端面たとえば回転軸と直交するスラスト
端面に開口している。副通路部分19bの開口部分W2
たとえば吐出開口は、固定支持治具14の外周面たとえ
ば軸に平行なラジアル面に開口している。開口部分W1
はたとえばラジアル面の円周方向に90°の等間隔で開
口している。給気用通路19の下端部は高圧空気などの
高圧気体を送り出す気体供給装置たとえばコンプレッサ
20に接続されている。
【0025】符号21は回転陽極型X線管を構成する陽
極ターゲットで、陽極ターゲット21は支持シャフト2
2の先端部にピン23や固定ねじ24で固定されてい
る。支持シャフト22は、陽極ターゲット21を回転可
能に支持する回転機構の回転体26の部分に結合されて
いる。
【0026】回転体26は、たとえば支持シャフト22
が結合された中間円筒27および中間円筒27の外側に
接合された外側円筒28、中間円筒27の内側に接合さ
れた内側円筒29の3層構造で構成されている。中間円
筒27と内側円筒28との間に、半径方向の幅寸法が
0.1〜1mmの断熱間隙(図示せず)が設けられてい
る。
【0027】そして、支持シャフト22を介して陽極タ
ーゲット21および回転体26が連結した回転構造体の
たとえば回転体26が固定支持治具14の外側に嵌合さ
れている。この場合、回転体26の回転軸と固定支持治
具14の中心軸とが一致し、また、両者の軸は重力方向
に一致している。
【0028】図1に示すように、回転構造体の回転体2
6を固定支持治具14に嵌合する場合、まず、コンプレ
ッサ20から給気用通路19に高圧空気が送られる。高
圧空気は給気用通路19の主通路部分19aから副通路
部分19bへと流れ、副通路部分19bの開口部分W2
から吹き出す。
【0029】その後、図2に示すように、陽極ターゲッ
ト21および回転体26が一体化した回転構造体を、た
とえば回転体下端の開口部分をスラストリングで封止し
ない状態で、固定支持治具14の上方から矢印Y1で示
すように嵌合する。
【0030】このとき、開口部分W2から吹き出す空気
が固定支持治具14と内側円筒28の隙間を矢印Y方向
(図1)に流れる。この空気の流れで事実上の静圧空気
軸受が形成され回転構造体が浮上し、回転構造体は浮上
したまま定位置に定まる。開口部分W2から吹き出した
空気は、その後、隙間の図示下端から排出され、あるい
は開口部分W2から排気用通路16に流れ込み排出口1
8から排出される。
【0031】陽極ターゲット21の変更などによって回
転構造体の重量が相違した場合は、排出口18から排出
される空気の量を流量調整器17で制御して浮力を調整
し、回転構造体を定位置に浮上させる。また、コンプレ
ッサ20から送り出される高圧空気の圧力は常に一定と
なるようにし、同時に、圧力変動が±10%以内になる
ように制御する。
【0032】上記したように、回転構造体が浮上し固定
支持治具14と嵌合した状態で、回転構造体の回転バラ
ンスが測定される。このとき、駆動電源Pからステータ
15に電力を供給し、ステータ15に電流を流して回転
磁界を発生させる。この回転磁界で回転体26が高速回
転し、この状態で回転構造体の回転バランスが測定され
る。
【0033】たとえば回転アンバランスがあると、振動
が発生しその振動が基台13などを通して振動検出器1
2a、12bに伝わる。振動検出器12a、12bで検
出された振動データは回転バランス測定器(図示せず)
などに送られ、回転アンバランスの大きさなどが測定さ
れる。
【0034】なお、駆動電源Pには、ステータ15に供
給する交流電圧を制御する機能が付加されている。たと
えば回転体26を所定の回転数で回転させる機能および
回転数を加速させるブースト機能、回転体26を減速す
るブレーキ機能、交流電圧を供給せずに回転体26を自
由に回転させるフリーラン機能などが付加されている。
【0035】たとえば、回転開始時はブースト機能によ
って所定の回転数まで上昇させる。回転数が所定の値に
到達したら交流電圧の供給を停止しフリーラン状態とす
る。フリーラン状態は、回転構造体が浮上しているため
ほとんど回転抵抗がなく所用の回転数で回りつづける。
この状態は、ステータ15に加えられる交流電圧と回転
体との相互振動による測定誤差が生じない。そのため、
たとえばフリーラン状態で回転バランスを測定し、回転
構造体単体のアンバランスを高精度に測定できるように
している。回転を停止させる場合はブレーキ機能が利用
される。
【0036】回転バランスの測定が終了した後、回転に
アンバランスがある場合は、たとえば陽極ターゲットの
所定位置の素材を所定量だけ削り取り、回転バランスが
調整される。また、必要な場合は、回転バランスの測定
や調整が繰り返される。回転バランスを繰り返し測定す
る場合も、固定支持治具に回転体は嵌合するだけでよ
く、作業が容易で作業能率が向上する。
【0037】上記した手順で、回転バランスの調整が完
了すると、矢印Y2(図2)で示すように、固定支持治
具14から回転構造体が取り外され、らせん溝などを有
する固定体が回転体26の内部に嵌合され組立てが行わ
れる。また、軸受部分に液体金属潤滑剤を供給して真空
外囲器内に組み込み、その後、排気工程に移行する。
【0038】上記した構成によれば、回転構造体の回転
バランスを大気中で容易に、かつ高精度に測定でき、必
要に応じてそのまま大気中で回転バランスを調整でき
る。その結果、回転バランスの測定作業や調整作業の作
業効率が向上する。
【0039】次に、回転構造体が浮上する動作について
図3を参照して説明する。給気用通路19の開口部分W
2から高圧空気が吹き出し、吹き出した高圧空気は、符
号Rで示した領域内の矢印Yで示すように、各開口部分
W2から上下方向に流れる。このとき、高圧空気の吹き
出しによる圧力が軸対称に均等に発生し、固定支持治具
14の外面と回転構造体たとえば内側円筒29の内面が
常に等間隔に保たれる。
【0040】なお、高圧空気が固定支持治具14および
内側円筒29間の数10μm程度の小さな隙間を流れた
場合、たとえば図3の符号Pで示した領域を流れた場
合、流体膜圧力効果によって図4の符号Cに示すような
圧力が発生する。図4(a)の横軸は空気の進行方向を
示し、縦軸は圧力の大きさを示している。この圧力は円
周方向全体にわたり軸対称に均等に発生し、図4(b)
に示すように、固定支持治具14外面と内側円筒29内
面との隙間G1を常に等間隔に保つように作用する。
【0041】開口部分W2から吹き出した空気の一部は
たとえば下端開放部へと進み、下端開放部たとえば図3
の符号Qで示す領域では、矢印Y0で示すように全周に
わたって半径方向に高圧空気が噴出される。この噴出時
に、固定支持治具14の図示半径方向に均等な圧力が発
生する。この圧力は、固定支持治具14外面と内側円筒
29内面との隙間を常に等間隔に保つように作用する。
【0042】また、空気の一部は上方に向かい、固定支
持治具14の図示上端のスラスト端面と回転体26たと
えば内側円筒29の底面とが対向するスラスト部S、た
とえば図3の符号Sで示す領域に進む。
【0043】スラスト部Sでは、図5に示すように、ス
ラスト部Sに入る空気の圧力P1と排気用通路16から
排出する空気の圧力P2との差圧B(B=P1−P2)
が発生する。この差圧Bは回転構造体を保持する力とし
て作用する。しかし、差圧Bだけでは、通常、回転構造
体の全重量を安定に保持できる力が得られない。この場
合、たとえば差圧B<回転構造体の荷重圧とし、回転構
造体の回転体26の底面が固定支持治具14のスラスト
端面の近くまで下がるようにし、スラスト部Sの隙間G
2がたとえば500μm以下になるようにしている。
【0044】また、スラスト部Sでは、空気の流れによ
る流体膜圧力効果によって図4の符号Cに示すような圧
力が発生する。スラスト部Sでは、さらに図5の矢印Y
3で示すように、固定支持治具15の広い外周部分から
固定支持治具14の中心に設けられた開口部分W1の狭
い外周部分へと空気が流れる。この空気の流れで、図7
の符号Dで示すように、くさび形状の流体膜圧力が生じ
る。図7(a)の右側Rは固定支持治具14の広い外周
部分に相当し、左側Lは開口部分W1の狭い外周部分に
相当している。
【0045】したがって、スラスト部Sには、図8で示
すように、それぞれの空気の流れで発生する圧力B、
C、Dが合成され、回転構造体の全重量を十分に保持す
る圧力となり、回転構造体が浮上する。
【0046】回転構造体の荷重がさらに大きい場合は、
スラスト部Sの隙間G2が狭くなり圧力C、Dが大きく
なる。逆に、回転構造体の荷重が小さい場合は、スラス
ト部Sの隙間G2が大きくなり圧力C、Dは小さくな
る。その結果、スラスト部Sは一種の自動調心機能をも
ち、回転構造体は停止状態や回転状態に関係なく安定に
浮上する。
【0047】次に、本発明の他の実施形態として、回転
体および固定支持治具の各部分を抜き出して示した図9
を参照して説明する。
【0048】この実施形態の場合、固定支持治具14に
フランジ状部材31が設けられている。フランジ状部材
31と回転体26たとえば内側円筒29の下端部との間
に小さな隙間gが設けられている。この場合、固定支持
治具14およびフランジ状部材31と回転体26との隙
間gたとえば符号Lで示された領域に空気が流れる。こ
の流れによる流体膜圧力によって、回転軸に平行なスラ
スト方向に浮力が生じ、回転構造体の重量を確実に保持
できる。
【0049】次に、本発明の他の実施形態として、固定
支持治具の部分を抜き出して示した図10を参照して説
明する。この実施形態の場合、固定支持治具14の中央
に給気用通路19が設けられ、給気用通路19の外側に
複数の排気用通路16が設けられている。そして、回転
軸方向に離れた給気用通路19のたとえば2箇所に、複
数の副通路部分19bが円周方向に等間隔に、かつ半径
方向に設けられている。この構成の場合、固定支持治具
14と回転体(図示せず)との隙間を流れる気体の流れ
は、矢印Yで示すように図1の場合と同じになり、回転
構造体に対する浮力が発生する。
【0050】上記の固定支持治具14は、回転バランス
の測定のために何度も繰り返し使用される。また、嵌合
する回転体26を傷付けないようにする必要がある。そ
のため、固定支持治具14と回転体26が嵌合する表面
どうしの硬度を相違させている。硬度の相違は、たとえ
ばロックウエル硬さの場合はHRC硬度差が10以上、
また、ビッカース硬さの場合は硬度差が100以上であ
ることが望ましい。
【0051】たとえば回転体26の軸受部が軟質の金属
の場合は固定支持治具14としてセラミックなどが使用
される。また、回転体26の軸受部が硬質の金属の場合
には、固定支持治具14として樹脂などが使用される。
また、回転体26の軸受部と固定支持治具14が同じ金
属の場合は、たとえば固定支持治具14を焼き入れ、焼
きなましなどの熱処理を行い、両者の硬さを相違させ
る。また、固定支持治具14の表面にTiNコーティン
グなどを施して硬さを変えることもできる。
【0052】上記の実施形態では、軸方向における1つ
の位置に、副通路部分19bをたとえば軸回りの円周方
向に90°間隔で4個設けている。しかし、中心軸を囲
む円周方向に等間隔に設ければ3個以上の複数個で形成
することができる。
【0053】また、高圧気体として空気を用いた場合で
説明している。しかし、空気に代えて、不活性ガスなど
を用いることもできる。不活性ガスを用いれば軸受構成
部材の酸化が防止される。
【0054】
【発明の効果】この発明によれば、回転構造体の回転バ
ランスを大気中で測定できる回転陽極型X線管の製造方
法および製造装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す構造図で一部を断面で
示している。
【図2】本発明の実施形態を示す構造図で、固定支持治
具と回転構造体の嵌合方法を説明する図でその一部を断
面で示している。
【図3】本発明の実施形態を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施形態を説明する断面図で、回転構
造体に対する浮力を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態に使用される回転構造体に浮
力が生じる状態を説明する図である。
【図6】本発明の実施形態に使用される回転構造体に浮
力が生じる状態を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態に使用される回転構造体に浮
力が生じる状態を説明する図である。
【図8】本発明の実施形態に使用される回転構造体に浮
力が生じる状態を説明する図である。
【図9】本発明の他の実施形態を説明する断面図であ
る。
【図10】本発明の他の実施形態を説明する断面図であ
る。
【図11】従来例を説明する断面図である。
【図12】従来例に使用される動圧式すべり軸受を示す
図である。
【図13】従来例に使用される動圧式すべり軸受を示す
図である。
【符号の説明】
11…固定盤 12a、12b…振動検出器 13…基台 14…固定支持治具 15…ステータ 16…排気用通路 17…流量調整器 18…排出口 19…給気用通路 20…コンプレッサ 21…陽極ターゲット 22…支持用シャフト 26…回転体 27…中間円筒 28…外側円筒 29…内側円筒 W1…排気用通路の吸入開口 W2…給気用通路の吐出開口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気体が吹き出す吐出開口およびこの吐出
    開口から吹き出した気体が流れ込む吸入開口を有する固
    定支持治具の前記吐出開口に前記気体を供給し、前記吐
    出開口から前記気体を吹き出す第1工程と、前記固定支
    持治具に回転陽極型X線管の回転体を嵌合する第2工程
    と、前記回転体に回転力を与える回転力発生装置に電力
    を供給し前記回転体を回転させる第3工程と、この第3
    工程の後、前記回転力発生装置に対する電力の供給を停
    止し、前記回転体を自由に回転させる第4工程と、前記
    回転体が自由に回転する状態で前記回転体の回転バラン
    スを測定する第5工程とからなる回転陽極型X線管の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 気体が吹き出す吐出開口およびこの吐出
    開口から吹き出した気体が流れ込む吸入開口を有し、回
    転陽極型X線管を構成する回転体を嵌合する固定支持治
    具と、前記吐出開口から吹き出す前記気体を送り出す気
    体供給装置と、前記回転体を回転させる回転力発生装置
    とを具備した回転陽極型X線管の製造装置。
  3. 【請求項3】 固定支持治具に、吐出開口から吹き出す
    気体を流す給気用通路および吸入開口から吸入された気
    体を流す排気用通路が設けられた請求項2記載の回転陽
    極型X線管の製造装置。
  4. 【請求項4】 吸入開口は、回転陽極型X線管の陽極タ
    ーゲット側に位置する軸に対して直交する固定支持治具
    の端面に設けられている請求項2記載の回転陽極型X線
    管の製造装置。
  5. 【請求項5】 固定支持治具に嵌合した回転陽極型X線
    管の回転体を有し、固定支持治具の吸入開口が設けられ
    た端面とこの端面と対向する前記回転体の面との間隔が
    500μm以下である請求項2記載の回転陽極型X線管
    の製造装置。
  6. 【請求項6】 固定支持治具に嵌合した回転陽極型X線
    管の回転体を有し、前記回転体と前記固定支持治具との
    互いに嵌合する面の硬度が相違する請求項2記載の回転
    陽極型X線管の製造装置。
  7. 【請求項7】 固定支持治具に嵌合した回転陽極型X線
    管の回転体を有し、かつ、前記回転体の端部開口を塞ぐ
    形で前記端部開口と所定の間隔で配置されるフランジ状
    部材が設けられた請求項2記載の回転陽極型X線管の製
    造装置。
  8. 【請求項8】 排気用通路に、この排気用通路に流れる
    気体の流量を調整する流量調整装置が接続されている請
    求項3記載の回転陽極型X線管の製造装置。
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