JP2002256157A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2002256157A JP2001066037A JP2001066037A JP2002256157A JP 2002256157 A JP2002256157 A JP 2002256157A JP 2001066037 A JP2001066037 A JP 2001066037A JP 2001066037 A JP2001066037 A JP 2001066037A JP 2002256157 A JP2002256157 A JP 2002256157A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃性の高い難燃性樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂を
除く熱可塑性樹脂100重量部、(B)ポリフェニレン
エーテル系樹脂1〜30重量部、(C)分子中に含まれ
ている窒素含有量とリン含有量の重量比(N/P)が
0.60以上のポリリン酸アンモニウム5〜25重量部
を含有する難燃性樹脂組成物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた難燃性を有
する難燃性樹脂組成物及びそれから得られる射出成形品
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】芳香族
ポリエステ系樹脂等の熱可塑性樹脂は、機械物性に優れ
たエンジニアリングプラスチックとして電器業界等の分
野において幅広く利用されている。しかし、これらの樹
脂は、耐熱性が優れているものの射出成形した製品の寸
法安定性が不十分となり、高い寸法精度が要求される部
材への使用が制限されるという問題がある。この問題を
解決するため、例えば特開昭50−23448号公報で
はポリエステル樹脂、ABS樹脂及び無機充填剤からな
る組成物が提案されている。
【0003】また、プラスチックの大半は易燃性である
ことから、火災時における安全性を確保するため、米国
UL94規格の垂直燃焼試験による評価でV−0に適合
するような難燃性が要求されることがある。難燃性を付
与する方法として、熱可塑性樹脂に臭素系化合物に代表
されるハロゲン系難燃剤、酸化アンチモンを配合するこ
とで難燃性を高める方法が知られているが、この方法で
は燃焼時に難燃剤由来の有毒ガスが発生する恐れがある
という問題がある。
【0004】このため、ハロゲン系難燃剤に替えてトリ
フェニルホスフェート等の有機リン酸エステルが難燃剤
として使用されているが、これらの有機リンエステル系
難燃剤では、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミ
ド等のポリマーブレンドに対して、米国UL94規格の
V−0に適合するような高度の難燃性を付与することは
困難であり、可塑化により成形品の耐熱性を低下させる
ほか、加工時に難燃剤由来のガスが発生して金型を汚染
するという問題もある。
【0005】特開平10−298395号公報等に示さ
れている赤リンは、難燃効果が優れているため難燃剤と
して汎用されているが、ペレットや成形品の着色、ハン
ドリングの悪さ、加工時に難燃剤由来のガスが発生する
という問題がある。また、ポリリン酸アンモニウムは難
燃性が悪く、かつ成形加工時に分解、吸湿するため寸法
安定性にも問題がある。
【0006】特開昭49−74736号公報、特開平1
1−124466号公報には、リン含有化合物を用いて
難燃性を改良することが示されているが、これらの一部
は分解温度が低く、ポリエステルやポリアミドの加工温
度域で分解してしまうため、前記リン含有化合物を含む
ポリステルやポリアミドのアロイは工業上の実用化が困
難である。
【0007】本発明は、以上のような従来技術の有する
問題を解決すると共に、特に優れた難燃性を有する難燃
性樹脂組成物及びそれから得られる射出成形品を提供す
ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ベース樹脂
となる熱可塑性樹脂と共に、ポリフェニレンエーテル系
樹脂と難燃剤として所定のN/Pを満たすポリリン酸ア
ンモニウムを併用することによって、難燃性が相乗的に
向上されることを見出し、本発明を完成したものであ
る。
【0009】即ち本発明は、上記課題の解決手段とし
て、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂を除く熱可塑
性樹脂100重量部、(B)ポリフェニレンエーテル系
樹脂1〜30重量部、(C)分子中に含まれている窒素
含有量とリン含有量の重量比(N/P)が0.60以上
のポリリン酸アンモニウム5〜25重量部を含有する難
燃性樹脂組成物を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる(A)熱可塑性樹
脂としては、(A−1)芳香族ポリエステル系樹脂、
(A−2)ポリアミド系樹脂、(A−3)ポリスチレン
系樹脂、(A−4)ポリカーボネート系樹脂から選ばれ
る1又は2以上を挙げることができ、ポリフェニレンエ
ーテル系樹脂は含まれない。
【0011】(A−1)の芳香族ポリエステル系樹脂
は、芳香環を重合体の連鎖単位に有するポリエステル
で、芳香族ジカルボン酸(又はエステル形成できる誘導
体)とジオール(又はエステルを形成できる誘導体)と
を主成分とする縮合反応により得られる重合体又は共重
合体である。
【0012】芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸等のベンゼン核を有するジカルボン
酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−
2,6−ジカルボン酸等のナフタレン核を有するジカル
ボン酸又はこれらのエステルを形成できる誘導体であ
る。また、酸成分として、20モル%以下の芳香族ジカ
ルボン酸を除くジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セ
バシン酸)又はこれらのエステルを形成できる誘導体で
置換してもよい。
【0013】ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジオール等の脂肪族グリコール、
1,4−ビス(2−オキシエトキシ)ベンゼン、ビスフ
ェノールA等の芳香族のジオール又はこれらのエステル
を形成できる誘導体である。
【0014】芳香族ポリエステル系樹脂としては、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートが好ましく、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが
好ましい。
【0015】芳香族ポリエステル系樹脂は、極限粘度
(オルトクロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定)
が0.5〜1.6の範囲のものが好ましい。
【0016】(A−2)のポリスチレン系樹脂として
は、スチレン及びα置換、核置換スチレン等のスチレン
誘導体の重合体を挙げることができる。また、これら単
量体を主として、これらとアクリロニトリル、アクリル
酸並びにメタクリル酸のようなビニル化合物及び/又は
ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン化合物の単
量体から構成される共重合体も含まれる。例えばポリス
チレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)樹脂、アク
リロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(AB
S)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS
樹脂)、スチレン−メタクリレート共重合体(MS樹
脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS樹脂)等
を挙げることができる。
【0017】また、ポリスチレン系樹脂として、ポリア
ミド系樹脂との相溶性をあげるためのカルボキシル基含
有不飽和化合物が共重合されているスチレン系共重合体
を含んでもよい。カルボキシル基含有不飽和化合物が共
重合されているスチレン系共重合体は、ゴム質重合体の
存在下に、カルボキシル基含有不飽和化合物及び必要に
応じてこれらと共重合可能な他の単量体を重合してなる
共重合体である。成分を具体的に例示すると、 1)カルボキシル基含有不飽和化合物を共重合したゴム質
重合体の存在下に、芳香族ビニルモノマーを必須成分と
する単量体あるいは芳香族ビニルとカルボキシル基含有
不飽和化合物とを必須成分とする単量体を重合して得ら
れたグラフト重合体、 2)ゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニルとカルボキシ
ル基含有不飽和化合物とを必須成分とする単量体を共重
合して得られたグラフト共重合体、 3)カルボキシル基含有不飽和化合物が共重合されていな
いゴム強化スチレン系樹脂とカルボキシル基含有不飽和
化合物と芳香族ビニルとを必須成分とする単量体の共重
合体との混合物、 4)上記1),2)とカルボキシル基含有不飽和化合物と芳香
族ビニルとを必須とする共重合体との混合物、 5)上記1)、2)、3)、4)と芳香族ビニルを必須成分とする
共重合体との混合物がある。
【0018】上記1)〜5)において、芳香族ビニルとして
はスチレンが好ましく、また芳香族ビニルと共重合する
単量体としてはアクリロニトリルが好ましい。カルボキ
シル基含有不飽和化合物は(A)成分中、好ましくは
0.1〜8重量%であり、より好ましくは0.2〜7重
量%である。
【0019】(A−3)のポリアミド系樹脂としては、
ジアミンとジカルボン酸とから形成されるポリアミド樹
脂及びそれらの共重合体、具体的にはナイロン66、ポ
リヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポ
リヘキサメチレンドデカナミド(ナイロン6・12)、
ポリドデカメチレンドデカナミド(ナイロン121
2)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD
6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)
及びこれらの混合物や共重合体;ナイロン6/66、6
T成分が50モル%以下であるナイロン66/6T(6
T:ポリヘキサメチレンテレフタラミド)、6I成分が
50モル%以下であるナイロン66/6I(6I:ポリ
ヘキサメチレンイソフタラミド)、ナイロン6T/6I
/66、ナイロン6T/6I/610等の共重合体;ポ
リヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、
ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6
I)、ポリ(2−メチルペンタメチレン)テレフタルア
ミド(ナイロンM5T)、ポリ(2−メチルペンタメチ
レン)イソフタルアミド(ナイロンM5I)、ナイロン
6T/6I、ナイロン6T/M5T等の共重合体が挙げ
られ、そのほかアモルファスナイロンのような共重合ナ
イロンでもよく、アモルファスナイロンとしてはテレフ
タル酸とトリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合物
等を挙げることができる。
【0020】更に、環状ラクタムの開環重合物、アミノ
カルボン酸の重縮合物及びこれらの成分からなる共重合
体、具体的には、ナイロン6、ポリ−ω−ウンデカナミ
ド(ナイロン11)、ポリ−ω−ドデカナミド(ナイロ
ン12)等の脂肪族ポリアミド樹脂及びこれらの共重合
体、ジアミン、ジカルボン酸とからなるポリアミドとの
共重合体、具体的にはナイロン6T/6、ナイロン6T
/11、ナイロン6T/12、ナイロン6T/6I/1
2、ナイロン6T/6I/610/12等及びこれらの
混合物を挙げることができる。
【0021】(A−4)のポリカーボネート系樹脂とし
ては、2価フェノールとカーボネート前駆体とを、周知
の溶液法又は溶融法により反応させて得られるものを挙
げることができる。
【0022】2価フェノールは、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルホン等から選ばれる1種以上を挙げることができ
る。これらの中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)ア
ルカン系のものが好ましく、特にビスフェノールAが好
ましい。
【0023】カーボネート前駆体は、ジフェニルカーボ
ネート等のジアリルカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネー
ト、ホスゲン等のカルボニルハライド、2価フェノール
のジハロホルメート等のハロホルメート等から選ばれる
1種以上を挙げることができる。
【0024】ポリカーボネート系樹脂の数平均分子量は
特に限定されるものではないが、組成物から得られる成
形体に実用上要求される機械的強度を付与するために
は、約17000〜32000の範囲が好ましい。
【0025】(A)熱可塑性樹脂としては(A−1)ポ
リエステル系樹脂が好ましく、特にポリエチレンテレフ
タレート及び/又はポリブチレンテレフタレートが好ま
しい。
【0026】本発明で用いる(B)ポリフェニレンエー
テル系樹脂としては、下記の単独重合体及び共重合体を
挙げることができる。
【0027】単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチ
ル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニ
レン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−n−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2−エチル−6−イソプロプル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチ
ル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられ、これ
らの中でもポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルが好ましい。
【0028】共重合体としては、フェニレンオキシド単
位を主たる構成単位とするものであり、前記の単独重合
体を形成する単量体(例えば、2,6−ジメチルフェノ
ール)と他のフェノール類との共重合体、例えば、2,
6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェ
ノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo
−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノー
ルと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾ
ールとの共重合体を挙げることができる。
【0029】(B)成分の配合量は、(A)熱可塑性樹
脂100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは3
〜25重量部、より好ましくは5〜15重量部である。
【0030】本発明で用いる(C)ポリリン酸アンモニ
ウムは、分子中に含まれている窒素含有量とリン含有量
の重量比(N/P)が0.60以上のものであり、好ま
しくはN/Pが0.6〜2.0、より好ましくはN/P
が0.65〜1.5、特に好ましくはN/Pが0.7〜
1.0のものである。このような(C)ポリリン酸アン
モニウムとしては、下記一般式で示されるものを用いる
ことができる。
【0031】
【化2】
【0032】(式中、lは10より大きい平均値を有す
る整数であり、j、k、m、nは1より大きい平均値を
有する整数である。) このようなポリリン酸アンモニウムは、例えば、特開平
5−345603号公報の実施例1〜6に記載された方
法により、製造することができる。
【0033】(C)ポリリン酸アンモニウムの配合量
は、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対し、5〜25
重量部、好ましくは8〜23重量部、より好ましくは1
0〜20重量部である。
【0034】本発明では、更に(D)芳香族リン酸エス
テルを配合することができ、この(D)成分としては、
トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェー
ト、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピ
ルフェニル)ホスフェート、トリス(o−フェニルフェ
ニル)ホスフェート、トリス(p−フェニルフェニル)
ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジ
フェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェ
ート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェー
ト、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェー
ト、o−フェニルフェニルジクレジルホスフェート、ト
リス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、テトラ
フェニル−m−フェニレンジホスフェート、テトラフェ
ニル−p−フェニレンジホスフェート、フェニル・レゾ
ルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA・ビス
(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールA・ポリ
フェニルホスフェート、ジピロカテコールハイポジフォ
スフェート等を挙げることができる。その他にも、脂肪
族−芳香族リン酸エステルとして、ジフェニル(2−エ
チルヘキシル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリ
ロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メ
タクリロイルオキシエチルホスフェートフェニルネオペ
ンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニ
ルジフォスフェート、エチルピロカテコールフォスフェ
ート等の正リン酸エステル及びこれらの縮合物を挙げる
ことができる。
【0035】(D)成分の配合量は、(A)熱可塑性樹
脂100重量部に対し、好ましくは1〜20重量部、よ
り好ましくは3〜15重量部、更に好ましくは5〜10
重量部である。
【0036】本発明では、更に(E)難燃助剤として、
窒素含有化合物、金属酸化物、水酸化金属塩、珪素含有
化合物、ホウ素含有化合物及びフッ素系樹脂から選ばれ
る1以上を配合することができる。
【0037】窒素含有化合物はトリアジン骨格を有する
トリアジン系化合物が好ましく、例えば、メラミン又は
その誘導体(メラム、メレム、メロン、メラミンシアヌ
レート、硫酸メラミン、硼酸メラミン、珪酸メラミン、
リン酸メラミン、メラミン樹脂、BTレジン等)、グア
ナミン又はその誘導体(サクシノグアナミン、アジポグ
アナミン、メチルグルタログアナミン)等が挙げられ、
特にメラミン・シアヌル酸付加物が好ましい。メラミン
・シアヌル酸付加物は、メラミン(2,4,6−トリア
ミノ−1,3,5トリアジン)とシアヌル酸(2,4,6−ト
リヒドロキシ−1,3,5−トリアジン)及び/又はその
互変異体が形成する化合物である。メラミン・シアヌル
酸の混合比には特に限定はないが、(A)熱可塑性樹脂
の熱安定性を損なわないためには等モルに近いほうがよ
い。トリアジン系化合物の平均粒径は、好ましくは10
0μm未満、より好ましくは10μm未満である。
【0038】金属酸化物は、酸化スズ、酸化ジルコニウ
ム等が好ましく、水酸化金属は、水酸化カルシウム、ド
ロマイト、ハイドロタルサイト等が好ましく、金属水酸
化物、珪素含有化合物は、結晶性アルミナシリケート、
分岐状シリコーン等が好ましく、ホウ素含有化合物は、
ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウムが好
ましく、金属炭酸塩は、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、
炭酸カルシウム、炭酸バリウム等が好ましい。
【0039】フッ素含有化合物は、ポリテトラフルオロ
エチレン、ポリヘキサフルオレロプロピレン、(テトラ
フルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)共重合
体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキル
ビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン
/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロプロピレン/
プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフロライド、
(ビニリデンフロライド/エチレン)共重合体等が好ま
しい。
【0040】本発明では、更に(F)充填材を配合する
ことができる。充填材は、短繊維、長繊維、フレーク、
板、粒状等の一般的に熱可塑性樹脂の強化材として使わ
れる形状のものが好ましい。短繊維の場合、補強効果が
発現する最低限の長さ以上を有するものが好ましく、作
業性や成形性を考慮すると0.5〜20mm程度の長さ
で5〜20μm程度の径を有するものが望ましい。充填
材は、ガラス、炭素、珪素含有化合物、チタン酸カリ等
の金属からなるもののほか、合成樹脂等の有機系のもの
でもよい。また、無機充填材を用いる場合は、樹脂成分
との接着性を向上させるため、シラン、エポキシ、アク
リル、チタン三塩カップリング剤等で表面処理すること
ができる。
【0041】(F)成分の配合量は、(A)〜(C)成
分の合計量100重量部に対して、好ましくは1〜10
0重量部、より好ましくは10〜70重量部、更に好ま
しくは25〜50重量部である。
【0042】本発明の組成物には、必要に応じて本発明
の目的を損なわない範囲の他の成分を配合でき、他の成
分としては、上記以外の難燃剤(三酸化アンチモン等の
無機系難燃剤等)、熱、光又は酸素に対する安定剤(フ
ェノール系化合物、リン系化合物等の酸化防止剤;ベン
ゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サ
リチル酸フェニル化合物等の紫外線吸収剤;ヒンダード
アミン系安定剤やスズ化合物、エポキシ化合物等の熱安
定剤等)、可塑剤、ポリジメチルシロキサン等の摺動性
改良剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤等を挙げる
ことができる。
【0043】本発明の組成物は、OA機器、電子機器の
部品、機械部品、プラグ、マウント、ハウジング、シャ
ーシ、カバー、外装材、オーバーコーティングに使用で
きる。
【0044】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。なお、樹脂組成物の各成分及び評価
法は下記のとおりである。
【0045】(A)成分 PBT:ポリブチレンテレフタレート(ジュラネックス
400FP、ポリプラスチックス社製) PET:ポリエチレンテレフタレート(ダイヤナイトペ
ットMA−521H、三菱レーヨン社製) ABS樹脂:セビアン500、ダイセル化学工業(株)
製 (B)成分 PPE:ポリフェニレンエーテル(YPX100F、三
菱瓦斯化学社製) (C)成分 ポリリン酸アンモニウム(1):タイエンS、太平化学産
業製、N/P=0.75 ポリリン酸アンモニウム(2):タイエンS(微粒品)、
太平化学産業製、N/P=0.65 (C’)成分(比較例成分) ポリリン酸アンモニウム(3):エクソリットAP42
2、クリアラント社製、N/P=0.46 ポリリン酸アンモニウム(4):エクソリットAP46
2、クリアラント社製、N/P=0.57 (D)成分 芳香族縮合リン酸エステル:PX200、大八化学社製 (E)成分 メラミンシアヌレート:MC610、日産化学工業社製 結晶性アルミナシリケート:LZY−54、日揮ユニバ
ーサル社製 フッ素化ポリオレフィン:テフロン6−J、三井デュポ
ンフロロケミカル社製 (F)成分 充填材:短繊維状ガラス充填材(ECS03T、日本電
気硝子社製)。 (1)難燃性 米国UL規格のUL94に規定されている垂直燃焼試験
に準拠し、厚み1/8インチの試験片(バーサンプル)
で評価した。 (2)最大発熱速度 東洋精機製作所製コーンカロリーメーターIII装置を用
い、試験片45mm×50mm(面積0.00225m
2)×3mm(厚み)、輻射量50kw/m2の条件で測
定した。 (3)酸素指数 JIS K7201に従い、試験片の幅6.0mm、厚
さ1/8インチで測定した。
【0046】実施例1〜9、比較例1〜6 表1に示した配合割合(重量部)で、タンブラーを使っ
てガラス繊維以外を混合した後、二軸押出機を用いて溶
融混練し、ペレット化した。シリンダー温度は250℃
とし、またガラス繊維は、押出機途中のサイドフィード
から混合した。得られたペレットを、シリンダー温度2
50℃、金型温度50℃で射出成形し、得られた成形品
について各評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1から明らかなとおり、実施例1〜9は
優れた難燃性が得られており、特に比較例1、3との対
比から明らかなとおり、ポリエステル樹脂と共に、ポリ
フェニレンエーテル樹脂とN/Pが0.60以上のポリ
リン酸アンモニウムを併用することによって、ポリリン
酸アンモニウムの配合量が少ないにも拘わらず、難燃性
が大幅に向上された。
【0049】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、ベース樹
脂となる熱可塑性樹脂と共に、ポリフェニレンエーテル
系樹脂とN/Pが0.60以上のポリリン酸アンモニウ
ムを併用することで、それらの相乗作用によって、ポリ
リン酸アンモニウムの使用量を少なくした場合でも難燃
性が大幅に向上される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/521 C08K 5/521 5/5399 5/5399 //(C08L 101/00 (C08L 101/00 71:12) 71:12) Fターム(参考) 4F071 AA22 AA45 AA46 AA50 AA51 AA55 AB25 AB26 AB27 AB28 AC15 AD01 AF47 AH10 AH16 AH17 BA01 BB05 BC07 4J002 BC021 BC031 BC051 BC061 BC081 BC121 BN141 CF061 CF071 CG011 CG021 CG031 CH072 CL011 CL031 DA019 DE088 DE098 DE148 DE189 DE238 DE268 DE288 DH056 DJ009 DJ018 DK008 DL009 EB068 EU188 EW047 FA019 FA049 FD136

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂を
    除く熱可塑性樹脂100重量部、(B)ポリフェニレン
    エーテル系樹脂1〜30重量部、(C)分子中に含まれ
    ている窒素含有量とリン含有量の重量比(N/P)が
    0.60以上のポリリン酸アンモニウム5〜25重量部
    を含有する難燃性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)熱可塑性樹脂が、(A−1)芳香
    族ポリエステル系樹脂、(A−2)ポリスチレン系樹
    脂、(A−3)ポリアミド系樹脂、(A−4)ポリカー
    ボネート系樹脂から選ばれる1又は2以上である請求項
    1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)熱可塑性樹脂が、ポリエチレンテ
    レフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートで
    ある請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (C)ポリリン酸アンモニウムが、N/
    Pが0.6〜2.0のものである請求項1〜3のいずれ
    か1記載の難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (C)ポリリン酸アンモニウムが、N/
    Pが0.65〜1.5のものである請求項1〜3のいず
    れか1記載の難燃性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 (C)ポリリン酸アンモニウムが、N/
    P=0.7〜1.0のものである請求項1〜3のいずれ
    か1記載の難燃性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 (C)ポリリン酸アンモニウムが、下記
    一般式で示されるものである請求項1〜6のいずれか1
    記載の難燃性樹脂組成物。 【化1】 (式中、lは10より大きい平均値を有する整数であ
    り、j、k、m、nは1より大きい平均値を有する整数
    である。)
  8. 【請求項8】 更に(D)芳香族リン酸エステルを含有
    する請求項1〜7のいずれか1記載の難燃性樹脂組成
    物。
  9. 【請求項9】 更に(E)難燃助剤として、窒素含有化
    合物、金属酸化物、水酸化金属塩、珪素含有化合物、ホ
    ウ素含有化合物、金属炭酸塩及びフッ素含有化合物から
    選ばれる1又は2以上を含有する請求項1〜8のいずれ
    か1記載の難燃性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 更に(F)充填材を(A)〜(C)成
    分又は(A)〜(E)成分の合計量100重量部に対し
    て、1〜100重量部含有する請求項1〜9のいずれか
    1記載の難燃性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1記載の難
    燃性樹脂組成物を射出成形してなる成形品。
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