JP2002256081A - 食品残渣炭混合生分解性プラスチック成形品 - Google Patents

食品残渣炭混合生分解性プラスチック成形品

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 生分解性プラスチックにコーヒー粕等の
食品残渣の炭化物を配合してなること、を特徴とする食
品残渣炭混合生分解性プラスチック成形品。 【効果】 該炭化物は天然物由来の着色材としても作用
し、成形品をきれいな色に着色したり、吸熱性を付与で
きるだけでなく、生分解性にすぐれているため、本成形
品は土壌中に直接鋤き込み、分解させることができ、ま
た、食品残渣の有効利用にもつながり、公害防止、省資
源等の面でもすぐれた効果が奏される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品残渣の炭化物
を配合した生分解性プラスチックより得られる成形品に
係り、使用後は土壌等の中で自然還元が可能で安全性の
高い食品残渣炭混合生分解性プラスチック成形品に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、生分解性プラスチックによるマル
チシートやポットにおいて黒色にするためカーボンブラ
ック等の石油原料を不完全燃焼させ得られる煤を混合し
て成形されてきた。カーボンブラックは、ベンゾピレン
他の多様芳香族化合物を含有しており、ラットを用いた
試験での発ガン性や変異原性の報告もなされている。従
って、生分解性プラスチック製品の最大の特徴である使
用後に土壌に直接鋤き込み、土壌中で分解させようとす
ると、カーボンブラックに含まれる発ガン性物質や変異
原性物質が土壌中に蓄積する事が考えられ、安全性に欠
ける土壌となってしまう。
【0003】一方、食品残渣は、従来産業廃棄物として
扱われ、埋立てや焼却処分されてきたが、近年、環境問
題等から再利用法が検討され、堆肥や土壌改良材等に活
用されるようになってきた。しかしながら、堆肥や土壌
改良材等では、他の廃棄物からも多く製造されるように
なり、需要と供給のバランスが崩れはじめており、新た
な活用方法の開発が望まれてきている。更に、食品廃棄
物リサイクル法が施行され食品産業業界では、今まで以
上の食品残さ等の廃棄物をリサイクルする必要が出てき
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
技術の現状に鑑み、安全性の高い、新しいタイプの生分
解性プラスチック成形品を創製する目的でなされたもの
である。
【0005】更に詳細には、本発明は、黒色等に着色さ
れたプラスチックシート等において従来多用されてきた
カーボンブラック等既知の材料にかえて、安全性や環境
上の配慮から、特に生分解性プラスチックに配合するの
に適した新しいタイプの安全性の高い着色材を開発し、
もって新しいタイプの着色した生分解性プラスチック成
形品を開発する目的でなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するためになされたものであって、本発明者らは、各
方面から検討の結果、食品残渣に着目し、これを炭化し
て得た炭化物は、天然物由来の着色材(その濃度に応じ
て、淡黒色〜黒色と変化する)になり得ることをはじめ
て発見し、また、食品残渣の炭化物はプラスチックの成
形に格別の支障をきたさないことをはじめて見出した。
【0007】そこで本発明者らは、食品残渣を炭化した
もの若しくはその粉末化したものをカーボンブラックの
代替として使用したところ、天然物由来の黒色材であり
安全性が高く、使用後に土壌に鋤き込むことができるマ
ルチシートやポットが得られ、更には従来産業廃棄物と
して扱われてきた食品残渣が、新たな素材として再利用
されるようになり、環境保全の為にも有用なものである
ことも確認し、本発明の完成に至ったものである。
【0008】すなわち本発明は、食品残渣の炭化物が単
に着色性にすぐれているだけでなく、プラスチック中に
おいても着色性にすぐれ、しかもプラスチックの成形に
も格別の支障がないため、各種の成形が可能であって、
プラスチックの新規着色材としても利用できることを新
たに見出し、そのうえ更に、食品残渣炭化物は天然物由
来であるため安全性が高く、土壌中に鋤き込むことも可
能であることも見出し、特に近年その有用性がクローズ
アップされてきている生分解性プラスチックを着色する
ための着色材としてきわめて有用であることを見出し、
特に安全性の面で問題が指摘されているプラスチック用
着色剤カーボンブラックの代替着色材として、特に安全
性が求められる生分解性プラスチック用着色材としてと
りわけ好適であることを発見し、これらのきわめて有用
にして新規な知見に基づき、更に研究の結果、遂に本発
明の完成に至ったものである。
【0009】すなわち本発明は、生分解性プラスチック
に食品残渣の炭化物及び/又はその粉砕物を添加、配合
してなる食品残渣炭混合生分解性プラスチック成形品を
基本的技術思想のひとつとするものであり、本発明によ
れば、例えば生分解性プラスチックに光を遮断したり保
温効果をもたらす為に黒色となるようカーボンブラック
の代替として天然物由来の食品残さの炭化物若しくはそ
の粉末を添加することを特徴とする、新規にして有用な
安全性の高い生分解性プラスチック成形品を提供するこ
とができるものである。以下、本発明について詳述す
る。
【0010】本発明で使用する生分解性プラスチックと
しては、天然物原料系、微生物産生系、汎用プラスチッ
クに分解促進剤を添加したブレンド系、化学合成系等生
分解性プラスチックであればすべてのものが1種又は2
種以上併用することができる。これらの生分解性プラス
チックは、成形品に応じてその種類を選択すればよい
が、安全性が特に要求されるような成形品の場合には、
天然物原料系や微生物産生系のものを使用するのが好ま
しい。
【0011】天然物原料系の生分解性プラスチックとし
ては、次の成分からなるものが非限定的に例示される:
でんぷん/合成生分解性プラスチック、酢酸セルロー
ス、キトサン/セルロース/でんぷん、変性でんぷん、
コーンスターチ由来化工でんぷん等。また、微生物産生
系の生分解性プラスチックとしては、ポリヒドロキシブ
チレート/バリレート、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸等を
成分とするものが非限定的に例示される。
【0012】更にまた、化学合成系の生分解性プラスチ
ックとしては、次の成分からなるものが非限定的に例示
される;ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネー
ト、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリ乳
酸、ポリビニルアルコール等。これらの生分解性プラス
チックとしては、市販品も適宜自由に使用することがで
き、例えばコーンスターチ由来化工でんぷん系の生分解
性プラスチックとして、密度1.1〜1.6、ガラス転
移点−40〜90℃、軟化温度40〜100℃、引張り
弾性率1000〜45000Kgf/cm2、引張り破
断強さ70〜500Kgf/cm2、引張り伸び2〜7
00%、平衡水分0.8〜15%等の製品が市販されて
いる。
【0013】生分解性プラスチックには食品残渣の炭化
物を配合するが、食品残渣としては、コーヒー抽出粕、
紅茶抽出粕、緑茶抽出粕、果汁抽出粕、醸造粕(ビール
粕、酒粕、アルコール製造粕その他)、蒸留粕(焼酎
粕、泡盛粕、ウイスキー粕その他)、おから、糠類、野
菜屑、生ゴミ、厨房廃棄物の少なくともひとつが使用さ
れ、これを炭化装置又は活性炭製造装置等常用される装
置を用い、常法にしたがって炭化し、これを食品残渣の
炭化物として使用することができる。尚、ここで用いら
れる炭化物は、天然物由来の原料を炭化したものであれ
ば良いが、より安全性が高く均一で大量に得られるコー
ヒー抽出粕や茶粕、おから粕、ビール粕を原料として用
いるのが好ましい。
【0014】炭化物は、粗砕物〜細砕物〜粉末等いずれ
の粒子サイズのものも使用可能であるが、通常、粒子が
細かいものが使用される。その場合、ハンマーミルやボ
ールミル或いはジェットミルなどの粉砕装置を用い、2
mm以下に粉砕すればよい。特に、マルチシートなどシ
ート状に薄く延ばすものにおいては、20μm以下が良
く、好ましくはサブミクロンに及ぶ微粉体が良い。粉砕
装置は、特に限定するもので無く、乾式による方法や湿
式による方法等、いずれの方法も使用可能である。ま
た、本発明においては、炭化物の粒子サイズは、3mm
〜5mm以下、好適には上記したように2mm以下とす
るのがよいが、その際、多孔質構造を有するものが使用
可能であることはいうまでもないが、多孔質構造が消失
するまで超微粉砕して(例えばカーボンブラック程度に
まで超微粉砕して)、多孔質構造を消失した炭素粉末も
充分に使用可能である。
【0015】上記の生分解性プラスチックと食品残渣炭
化物を混合したもので、製品の種類、形状、膜厚等に応
じてフィルム、シート、板状品、型製品、包装材、被覆
材等として農業用、日常用を始め建設用、医療衛生用
等、各方面の資材を製造する事ができ、例えば次のよう
なプラスチック成型品を製造することができる:ナイ
フ、フォーク、皿、トレー、コップ、ボール、フラワー
ポット、育苗ポット、ゴルフティー、紙のラミネート、
ホットメルト、発泡皿、発泡包装材、農業用フィルム
(マルチシート、ハウス用シート、育苗保護フィルム
等)、食品用フィルム、各種包装用フィルム、ゴミ袋、
各種袋類、その他通常のプラスチック成形品。
【0016】本発明に係る生分解性プラスチック成形品
は、食品残渣炭化物の配合量と生分解性プラスチック成
形品の厚みを調節することにより、所望に応じて淡黒色
〜黒色の色調の成形品を製造することができる。通常、
炭化物は0.01%以上配合する。また、例えば、マル
チシートやポット等のように農業用成形品として使用
し、吸湿、放湿、保温作用の少なくともひとつの作用を
担わせたい場合には、0.1〜50重量%、好ましくは
1〜25重量%程度配合すればよく、その場合には本成
形品は黒色に着色する。
【0017】本発明においては、このようにして両者を
配合し、プラスチック成形の常法にしたがって成形品を
製造する。例えば、両者を配合したペレットを製造して
おき、このペレットをフィルム用ダイ装着押出し機に供
給し、シート状に押し出してフィルムとしたり、あるい
は、射出成形、圧縮成形、ダイレクトラミネート、イン
フレーションフィルムその他プラスチック成形の常法が
適宜使用される。また、その際、均一に成形品を着色す
るほか、色の異なるペレットを使用したり、あるいは、
ペレットを用いることなく押出し機にプラスチックと炭
化物を直接供給して、均一に着色することなく不規則に
着色した成形品を製造することもできる。
【0018】以上の方法により成形された生分解プラス
チック成形品は、使用後に土壌や堆肥等と混合する事で
分解し、回収したりする手間を省く事が可能となる。も
ちろんそのまま放置してもよい。
【0019】尚、本発明の生分解性プラスチックに食品
残渣の炭化物若しくはその粉末化したものを配合して得
られた生分解性プラスチック成形品は、上記した実施の
形態に限定されるものではく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であ
る。以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【0020】
【実施例1】工場から排出されたコーヒー抽出粕を間接
加熱式炭化装置によってコーヒー粕の炭化物を得た。こ
れにより100kgのコーヒー抽出粕(含水量65%)
からコーヒー粕炭化物を10kg(水分含量30%)を
得ることができた。この炭化物をジェットミルにより粉
砕し、平均粒度5ミクロン、1ミクロンから10ミクロ
ンのコーヒー粕粉末炭を得た。生分解性プラスチックに
コーヒー粕粉末炭を2%含有したもの、及び、20%含
有したものを別々に2種類用意し、それぞれを、主部1
85℃に設定した二軸押出し機に供給し、ストランド状
に押出し、カッターでペレットとした。このペレットを
フィルム用Tダイ装着した押出機にコーヒー粕粉末炭混
合生分解性プラスチックペレットを供給し、ダイ温度1
85℃でシート状に押出し、引き取り装置の速度を変化
させ、2%含有物は20〜150μmの間で、20%含
有物は50〜250μmの間で、厚みの異なるフィルム
をそれぞれ作成した。
【0021】本実施例において、生分解性プラスチック
としては、コーンスターチから誘導された化工澱粉をベ
ースとした天然系生分解性樹脂であって、特に農業用フ
ィルム、食品用フィルム用として市販されているコーン
ポールCPR−F3(商品名:日本コーンスターチ
(株))を使用した。得られた成形品は黒色のマルチシ
ート及びポットとして好適であり、使用後は土壌中に鋤
き込むことができた。
【0022】
【実施例2】コーヒー抽出粕にかえて茶殻を用い、原料
混合物中の配合比を20%にしたほかは実施例1と同様
の操作を行い、農業用マルチシートとして好適な黒色フ
ィルムを製造した。
【0023】
【発明の効果】以上、説明したように本発明に係る食品
残渣炭混合生分解性プラスチック成形品によれば、使用
後にそのまま土壌などに直接鋤き込み分解させ、回収す
る手間を省いたり、容易に処理できるようになり、しか
も安全性に優れている。また、食品工場から排出された
食品残渣の再資源化が可能となり、環境保全的見地から
も優れた効果を奏し得るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA08 AB03 AE17 AF52 AH01 AH04 AH05 BA01 BB05 BB06 BC01 BC07 4J002 AB011 AB021 AB041 AB051 CF181 CF191 DA036 FD016 FD097

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性プラスチックに食品残渣の炭化
    物を配合してなること、を特徴とする食品残渣炭混合生
    分解性プラスチック成形品。
  2. 【請求項2】 食品残渣の炭化物が粉砕して粉末化した
    ものであること、を特徴とする請求項1に記載の生分解
    性プラスチック成形品。
  3. 【請求項3】 食品残渣の炭化物がカーボンブラック代
    替物であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の
    生分解性プラスチック成形品。
  4. 【請求項4】 食品残渣が、コーヒー抽出粕、紅茶抽出
    粕、緑茶抽出粕、果汁抽出粕、醸造粕、蒸留粕、おか
    ら、糠類、野菜屑、生ゴミ、厨房廃棄物の少なくともひ
    とつであること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の生分解性プラスチック成形品。
  5. 【請求項5】 該成形品が淡黒色〜黒色に至るいずれか
    に着色してなるものであること、を特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の生分解性プラスチック成形
    品。
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