JP2002255869A - 塩素置換炭化水素化合物の製造方法 - Google Patents

塩素置換炭化水素化合物の製造方法

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JP2002255869A
JP2002255869A JP2001050770A JP2001050770A JP2002255869A JP 2002255869 A JP2002255869 A JP 2002255869A JP 2001050770 A JP2001050770 A JP 2001050770A JP 2001050770 A JP2001050770 A JP 2001050770A JP 2002255869 A JP2002255869 A JP 2002255869A
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chlorine
distillate
solid
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Eigo Nomoto
栄吾 野元
Yukihiro Sugiyama
幸宏 杉山
Hiroshi Aito
広 合戸
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 確実に反応混合物中の塩化水素を除去するこ
とができると共に製造工程が複雑にならず、しかも、多
量の洗浄排水が発生する等の問題もない塩素置換炭化水
素化合物の製造方法を提供する。 【解決手段】 芳香族系炭化水素化合物又は脂肪族系炭
化水素化合物からなる原料化合物に塩素ガス及び/又は
塩化水素ガスを反応させ、得られた反応混合物を精製し
て塩素置換炭化水素化合物を製造するに際し、水分含有
量300ppm以下の反応混合物を蒸留により精製し、次
いで得られた留出物を固体状脱酸剤と接触させ、この留
出物中の塩化水素濃度を10ppm以下まで低減せしめ
る、塩素置換炭化水素化合物の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、塩素化ベンゼン
類、塩素化トルエン類、塩素化キシレン類等の塩素化芳
香族炭化水素化合物や、モノクロロプロパン、ジクロロ
プロパン、モノクロロペンタン、ジクロロペンタン、モ
ノクロロヘキサン、ジクロロヘキサン、モノクロロヘプ
タン、ジクロロヘプタン、モノクロロオクタン、ジクロ
ロオクタン等の塩素化脂肪族炭化水素化合物を工業的に
有利に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩素化芳香族炭化水素化合物や塩素化脂
肪族炭化水素化合物(以下、これらを「塩素置換炭化水
素化合物」という)は、触媒の存在下に気相又は液相に
おいて、対応する原料化合物を塩素ガス及び/又は塩化
水素ガスと接触させて塩素化することにより得られるも
のであり、医薬、農薬等を始めとする多くの分野でその
反応中間体として使用されており、これらの分野で工業
的に極めて重要な化合物である。
【0003】ところで、この塩素化反応においては、そ
の反応系内に未反応の塩化水素ガスや副生した塩化水素
ガスが多量に存在し、その大部分は排ガスとして反応系
外に排出され、塩酸吸収塔で水に吸収されて塩酸として
回収されたり、塩素化反応へリサイクルされる。
【0004】しかしながら、この反応系内で発生した塩
化水素ガスは、完全には排ガスとして系外に排出される
ことはなく、その一部が通常数千ppm程度の割合で塩
素化反応の反応混合物中に溶存しており、そのままこの
反応混合物を蒸留等の手段で精製すると、蒸留塔本体を
始めとして配管、ポンプ、その他のプラント機器が腐蝕
する原因になることから、反応混合物を精製する場合に
はその前処理としてこの反応混合物中に溶存する塩化水
素を除去することが必要であるとされている。
【0005】そこで、従来においては、塩素化反応の反
応混合物を蒸留により精製する前に、この反応混合物を
水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ水溶液
と接触させ、塩化水素をアルカリで中和して除去するこ
とが行われている(例えば、Ullman's Encyclopedia of
Industrial Chemistry Vol.A6, pp334、Encyclopedia
of Chemical Technology 4th ed., Vol.6, pp92、改訂
製造工程図全集第2巻p414〜417(1978年)等)。
【0006】このアルカリ水溶液による洗浄によれば、
反応混合物中に溶存する塩化水素はこのアルカリ水溶液
により確実に除去されるが、このアルカリ洗浄後に反応
混合物とアルカリ水溶液とを液々分離する必要が生じ、
この液々分離の工程が塩素置換炭化水素化合物の製造工
程において面倒な工程であるほか、液々分離をして得ら
れた反応混合物中には微量の水分が含まれ、こんどはこ
の水分を除去するための乾燥等が必要になり、このため
に製造工程が複雑になるほか、塩素置換炭化水素化合物
の収率も低下する。
【0007】加えて、反応混合物には塩素化反応に用い
られた触媒が存在し、アルカリ洗浄の洗浄排水にはこの
ような触媒と多量の有機物とが含まれており、この洗浄
排水を処理するための排水設備に多大なコストが必要に
なる。しかも、このような多量の洗浄排水の発生は最近
のPRTR法(化学物質管理促進法)に代表される工場
廃棄物の低減化の要請に反することにもなる。
【0008】そこで、このような洗浄排水の問題や製造
工程の複雑化の問題がなく、しかも、蒸留精製時におけ
る装置・機器の腐蝕の問題を解消できる方法として、反
応混合物を固体状アルカリと接触させ、この反応混合物
中の塩化水素を固体状アルカリによって除去することが
考えられる。
【0009】しかしながら、この方法においては、固体
状アルカリでは塩化水素の除去効率が低く、固体状アル
カリを大量に使用する必要があって原単位が悪化し、ま
た、中和反応の際に副生した水分が機器腐蝕の原因にな
り、しかも、反応混合物中の触媒がアルカリと反応して
中和固形物を生成し、閉塞等のトラブルの原因になり、
工業的に実施するには問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、原料化合物に塩素ガス及び/又は塩化水素ガスを反
応させ、得られた反応混合物を精製して塩素置換炭化水
素化合物を製造するに際し、製造工程が複雑にならず、
また、多量の洗浄排水等の排水も発生せず、しかも、確
実に反応混合物中の塩化水素を除去することができる方
法について鋭意検討した結果、反応混合物をそのまま蒸
留した際の装置・機器の腐蝕の問題は反応混合物中の塩
化水素と水分とが共存することに起因しており、反応混
合物中の水分含有量が300ppm以下であれば反応混合
物をそのまま蒸留しても装置・機器の腐蝕は問題になら
ず、また、この蒸留により得られた留出物を固体状脱酸
剤と接触させることにより、留出物中の塩化水素濃度を
容易に10ppm以下まで低減せしめることができ、しか
も、反応混合物をそのまま固体状アルカリに接触させる
ことの問題もほとんど発生しないことを見出し、本発明
を完成した。
【0011】従って、本発明の目的は、芳香族系炭化水
素化合物又は脂肪族系炭化水素化合物からなる原料化合
物に塩素ガス及び/又は塩化水素ガスを反応させ、得ら
れた反応混合物を精製して塩素置換炭化水素化合物を製
造するに際し、確実に反応混合物中の塩化水素を除去す
ることができると共に製造工程が複雑にならず、しか
も、多量の洗浄排水が発生する等の問題もない塩素置換
炭化水素化合物の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、芳
香族系炭化水素化合物又は脂肪族系炭化水素化合物から
なる原料化合物に塩素ガス及び/又は塩化水素ガスを反
応させ、得られた反応混合物を精製して塩素置換炭化水
素化合物を製造するに際し、水分含有量300ppm以下
の反応混合物を蒸留により精製し、次いで得られた留出
物を固体状脱酸剤と接触させ、この留出物中の塩化水素
濃度(HCl濃度)を10ppm以下まで低減せしめる、
塩素置換炭化水素化合物の製造方法である。
【0013】本発明において、原料化合物に塩素ガス及
び/又は塩化水素ガスを反応させる塩素化反応として
は、具体的には、以下に示す反応等を例示することがで
きる。 (1)ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素化合物と塩素ガス及び/又は塩化水素ガスとをルイス
酸触媒の存在下に反応させ、モノクロロベンゼン、o-ジ
クロロベンゼン、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベン
ゼン、トリクロロベンゼン等の塩素化ベンゼン類や、モ
ノクロロトルエン、ジクロロトルエン、トリクロロトル
エン等の塩素化トルエン類や、塩素化キシレン類を製造
する芳香族炭化水素化合物の核塩素化反応。
【0014】(2)芳香族炭化水素化合物を酸素の存在
下に塩化水素ガスと反応させてオキシ塩素化芳香族炭化
水素化合物を製造する芳香族炭化水素化合物のオキシ塩
素化反応。
【0015】(3)トルエン、キシレン等の側鎖アルキ
ル基を有する芳香族炭化水素化合物と塩素ガスとを水銀
灯等の可視光、紫外線、ベンゾイルパーオキサイド等の
ラジカル酸触媒等の存在下に反応させ、塩化ベンジル、
塩化ベンザル、トリクロロメチルベンゼン、α-クロロ
キシレン、α,α'-ジクロロキシレン、α,α,α,α',
α',α'-ヘキサクロロキシレン等を製造する芳香族炭化
水素化合物の側鎖塩素化反応。
【0016】(4)プロパノール、ペンタノール、ヘキ
サノール、ヘプタノール、オクタノール等の対応する飽
和脂肪族アルコールと塩化水素ガスとを反応させ、モノ
クロロプロパン、モノクロロペンタン、モノクロロヘキ
サン、モノクロロヘプタン、モノクロロオクタン等を製
造する飽和脂肪族アルコールの塩素置換反応。
【0017】(5)1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテ
ン等の対応する不飽和脂肪族炭化水素化合物と塩化水素
ガス及び/又は塩素ガスとを反応させ、2-クロロペンタ
ン、1,2-ジクロロペンタン、2-クロロヘキサン、1,2-ジ
クロロヘキサン、2-クロロヘプタン、1,2-ジクロロヘプ
タン等を製造する不飽和脂肪族炭化水素化合物の塩化水
素及び塩素付加反応。
【0018】本発明において、このような反応により得
られた反応混合物については、水分含有量が300ppm
以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは10p
pm以下であるのがよく、これによって反応混合物を蒸留
精製する際に装置・機器の腐蝕の問題が解消される。こ
こで、反応混合物中の水分含有量を300ppm以下にす
る方法としては、反応系に供給される原料化合物をシリ
カゲルあるいはモレキュラーシーブ等の手段で常法によ
り脱水し、必要によりその水分含有量を好ましくは10
0ppm以下、より好ましくは10ppm以下にすればよい。
なお、反応系に供給される塩素ガス及び/又は塩化水素
ガスについても、常法どおり、その水分含有量は可及的
に低減される。
【0019】本発明において、反応混合物の蒸留精製
は、通常の蒸留装置、例えば棚段塔、規則充填物あるい
は不規則充填物を充填した充填塔等を用いて回分式であ
るいは連続式で行うことができるが、この蒸留精製に先
駆けて、塩化水素ガスを含む低沸点不純物と触媒を含む
蒸留残渣とを除去するために、例えば単蒸留、エバポレ
ーター等により予備蒸留を行ってもよい。この蒸留精製
によって得られた留出物は、通常、1〜100ppm程度
の塩化水素を不可避的に含んでいる。
【0020】なお、上記蒸留装置については、その材質
について特に制限されるものではないが、長期間の使用
と腐蝕の問題を考慮すると、好ましくは、カーボン、テ
フロン(登録商標)、ガラス等の塩化水素に対して耐蝕
性に優れた材質で形成されているか、あるいは、これら
の耐蝕性材質でライニングされた装置であるのが望まし
い。
【0021】本発明においては、このようにして蒸留精
製して得られた留出物を、次に固体状脱酸剤と接触さ
せ、この留出物中のHCl濃度を10ppm以下、好まし
くは5ppm以下、より好ましくは1ppm以下にまで低減せ
しめる。このHCl濃度が10ppmを超えると、腐蝕性
が増すという問題が生じる。
【0022】この目的で使用する固体状脱酸剤として
は、固体状であって留出物と固液接触し、この留出物中
に残留する塩化水素を確実に除去できるものであれば特
に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
の無機アルカリ系のものや、活性アルミナ等のアルミナ
系のものや、モレキュラーシーブ、ゼオライト、セカー
ド(商品名)等のシリカ・アルミナ系のもの等を挙げる
ことができ、好ましくは無機アルカリ系脱酸剤である。
この固体状脱酸剤は、塩素化反応の種類や、老化脱酸剤
の処理及び/又は再生や、留出物と固液接触させるため
の装置、コスト等を考慮し、その1種のみを単独で用い
ることができるほか、2種以上を混合物として用いるこ
ともできる。
【0023】また、本発明で用いる固体状脱酸剤につい
ては、その粒子形状、平均粒径、比表面積等について特
に制限はないが、固液接触させて留出物中の微量の塩化
水素を確実に除去するために、また、脱酸操作の作業
性、安全性等を考慮して、粒子形状については球状等で
あるのがよく、平均粒径については0.1〜10mm、好
ましくは0.5〜2mmであるのがよく、また、比表面積
については50〜700m2/g、好ましくは200〜
700m2/gであるのがよい。
【0024】更に、上記留出物と固体状脱酸剤とを接触
させる方法についても、両者が確実に接触して反応混合
物中の塩化水素が固体状脱酸剤により除去されれば特に
制限はないが、固定床又は流動床の充填塔に固体状脱酸
剤を充填してこの固定床充填塔又は流動床充填塔に反応
混合物を通液する方法や、攪拌槽内に反応混合物と共に
固体状脱酸剤を装入して混合接触させる方法等を挙げる
ことができ、また、これらの方法を実施する際に、固定
床充填塔、流動床充填塔、攪拌槽等の脱酸装置を適宜組
合せて直列に接続し多段階方式で行ってもよく、更に、
回分式で行っても、また、連続式で行ってもよい。この
接触方法については、その操作面を考慮すると、好まし
くは脱酸装置として固定床充填塔及び/又は流動床充填
塔を用い、必要により多段階方式で実施するのが簡便で
望ましい。
【0025】なお、上記脱酸装置については、その材質
について特に制限されるものではないが、長期間の使用
と腐蝕の問題を考慮すると、好ましくは、カーボン、テ
フロン、ガラス等の塩化水素に対して耐蝕性に優れた材
質で形成されているか、あるいは、これらの耐蝕性材質
でライニングされた装置であるのが望ましい。
【0026】固体状脱酸剤と接触させて脱酸処理された
留出物は、そのHCl濃度が10ppm以下、好ましくは
5ppm以下、より好ましくは1ppm以下まで低減される。
このHCl濃度が10ppmを超えると、得られた留出
物、即ち塩素置換炭化水素化合物のその後の処理(例え
ば、留出物が複数の異なる塩素置換炭化水素化合物の混
合物である場合にはその分離操作)、用途等によって異
なるが、機器の腐蝕性が増す等の不具合が生じる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の一例
に基づいて、本発明の好適な実施の形態を説明する。図
1にベンゼンを塩素化してジクロロベンゼン類を連続的
に製造するフローチャートが示されており、反応装置と
しては単一槽又は複数槽からなる塩化槽で構成される
が、この実施形態の反応装置は単一槽の塩化槽で構成さ
れ、また、蒸留装置は第一蒸留塔及び第二蒸留塔で構成
され、更に、脱酸装置は第一脱酸塔及び第二脱酸塔で構
成されている。
【0028】この実施形態において、原料ベンゼンは塩
素ガスと共に塩化槽に装入され、塩素化度(導入した塩
素ガスのモル数/導入した原料ベンゼンのモル数)1.
1〜2.1、好ましくは1.6〜1.9程度まで塩素化
され、次いで抜き出されて反応液受槽に装入される。塩
素化度が1.1より低いとモノクロロベンゼンの生成量
が多くなってリサイクル量が増加し、効率が悪くなる。
反対に、塩素化度が2.1より高くなると、トリクロロ
ベンゼンの生成量が多くなり、廃棄物量ガ増加するほ
か、原単位も悪化する。
【0029】この反応装置においては、塩化槽から副生
した塩化水素等が排気として抜き出され、必要により図
示外の塩酸吸収塔で吸収水に塩化水素を吸収させ、塩酸
として回収する。
【0030】上記反応液受槽に装入された反応混合物
は、次に第一蒸留塔に導入され、モノクロロベンゼン高
濃度の塔頂液は塔頂液受槽を介して塩化槽に循環され、
再び塩素化反応に供され、また、塔底液は第二蒸留塔に
装入される。そして、この第二蒸留塔では、その塔頂か
ら留出物としてジクロロベンゼン類が留出して留出液受
槽に抜き出され、また、その塔底からは反応触媒やトリ
クロロベンゼン類等の高沸点副生物からなる釜残が抜き
出される。なお、この蒸留装置の排気についても塩化水
素を含むので、必要により図示外の塩酸吸収塔で吸収水
に塩化水素を吸収させ、塩酸として回収することができ
る。
【0031】更に、この実施形態においては、留出液受
槽に抜き出された留出物は、固体状脱酸剤が充填された
第一脱酸塔及び第二脱酸塔のいずれか一方(例えば、第
一脱酸塔)に導入され、そこでこの留出物中に残留した
塩化水素が除去され、製品のジクロロベンゼン類が取り
出される。そして、この第一脱酸塔が所定量の塩化水素
を吸収してその固体状脱酸剤が劣化したときは、留出物
の導入を第二脱酸塔に切り替え、第一脱酸塔内の劣化し
た固体状脱酸剤を抜き取り、新鮮な固体状脱酸剤に詰め
替える。
【0032】このようにして製造されたジクロロベンゼ
ン類は、主としてp-ジクロロベンゼンとo-ジクロロベン
ゼンの混合物であり、必要により、常法に従って分離精
製し、それぞれp-ジクロロベンゼンとo-ジクロロベンゼ
ンとを得る。
【0033】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明をより具体
的に説明する。
【0034】実施例1 図1に示すジクロロベンゼン類の連続製造工程におい
て、塩化槽からなる反応装置に水分含有量80ppmの原
料ベンゼンを656kg/hrの速度で導入すると共に第一
蒸留塔の塔頂から留出させたモノクロロベンゼンを23
4kg/hrの速度で導入し、また、塩素ガスを1108kg
/hrの速度で導入し、反応触媒0.6kg/hrの存在下に
反応温度60℃及び滞留時間5hrsの条件で塩素化反応
を行い、この反応装置から反応液として反応生成物(組
成:モノクロロベンゼン16.9質量%、ジクロロベンゼン
81.2質量%、及びトリクロロベンゼン類1.9質量%)1
374kg/hrと反応触媒とからなる反応混合物を抜き出
した。このとき、反応装置からは排気中に塩化水素57
0kg/hrが抜き出され、また、反応混合物中のHCl濃
度は2460ppmであって、その水分含有量は60ppmで
あった。
【0035】反応装置から抜き出された反応混合物は、
次に蒸留装置の第一蒸留塔に導入され、操作圧180ト
ル及び温度125℃の条件で蒸留され、その塔頂からモ
ノクロロベンゼンを主体とする塔頂液234kg/hrが抜
き出され、塩化槽に循環されると共に、その塔底からは
反応生成物(組成:ジクロロベンゼン98.1質量%、及び
トリクロロベンゼン類1.9質量%)1140kg/hrと反
応触媒とからなる反応混合物が抜き出された。このと
き、塔底から抜き出された反応生成物のHCl濃度は
3.5ppmであった。
【0036】この第一蒸留塔の塔底から抜き出された反
応混合物は、引き続き第二蒸留塔に導入され、操作圧8
0トル及び温度120℃の条件で蒸留され、その塔頂か
らジクロロベンゼン1108kg/hrが留出物として抜き
出されて留出液受槽内に装入され、また、その塔底から
は反応触媒とトリクロロベンゼン類を主体とする釜残が
抜き出された。このとき、塔頂から抜き出された留出物
(ジクロロベンゼン)のHCl濃度は0.6ppmであっ
た。
【0037】更に、第二蒸留塔の塔頂から抜き出されて
留出液受槽内に装入された留出物(ジクロロベンゼン)
を、固体状脱酸剤として平均粒径0.7mm及び比表面積
200m2/gの苛性ソーダ粉末150kgをそれぞれ充
填した350mmφ×2500mmHの大きさの第一脱酸塔
及び第二脱酸塔の一方(例えば、第一脱酸塔)にその塔
底から温度80℃及びLHSV2.3hr-1の条件で導入
し、そこでこの留出物中に残留した塩化水素を除去し、
この第一脱酸塔の塔頂からジクロロベンゼン1108kg
/hrを取り出した。この塔頂から取り出された留出物
(ジクロロベンゼン)からは塩化水素(検出限界<0.1
ppm)が検出されなかった。
【0038】実施例2 水分含有量20ppmのトルエン448.6kg/hr、第一
蒸留塔の塔頂から留出させた未反応トルエンとモノクロ
ロトルエンの混合物1153.7kg/hr、塩素ガス71
4.8kg/hr、及び反応触媒0.046kg/hrを用い、
未反応トルエン及びモノクロロトルエンを分離する第一
蒸留塔、及び残留したトリクロロトルエン類と反応触媒
とを分離してジクロロトルエンを得る第二蒸留塔からな
る蒸留装置を用い、上記実施例1と同様にしてジクロロ
トルエンの製造を行った。
【0039】反応装置から抜き出された反応混合物は、
反応生成物(組成:未反応トルエン2.7質量%、モノ
クロロトルエン54.9質量%、ジクロロトルエン3
9.3質量%、及びトリクロロトルエン3.1質量%)
1995.8kg/hr及び反応触媒0.046kg/hrから
なり、また、HCl濃度2700ppm及び水分含有量1
5ppmであった。
【0040】また、反応装置から抜き出された反応混合
物は、次に蒸留装置の第一蒸留塔に導入され、その塔頂
から未反応トルエン及びモノクロロトルエンを主体とす
る塔頂液1153.7kg/hrが抜き出され、塩化槽に循
環されると共に、その塔底からは反応生成物(組成:ジ
クロロトルエン92.7質量%、及びトリクロロトルエ
ン7.3質量%)842.1kg/hr及び反応触媒からな
る反応混合物が抜き出された。塔底から抜き出された反
応混合物のHCl濃度は3.1ppmであった。
【0041】この第一蒸留塔から抜き出された反応混合
物は、引き続き第二蒸留塔に導入され、その塔頂から留
出物としてジクロロトルエン760.2kg/hrが抜き出
され、留出液受槽内に装入され、また、その塔底からは
反応触媒とトリクロロトルエン類を主体とする釜残が抜
き出された。このとき、塔頂から抜き出された留出物
(ジクロロトルエン)のHCl濃度は0.5ppmであっ
た。
【0042】上記留出物(ジクロロトルエン)を、固体
状脱酸剤として平均粒径0.7mm及び比表面積200m
2/gの苛性ソーダ粉末60kgをそれぞれ充填した25
0mmφ×2000mmHの大きさの第一脱酸塔及び第二脱
酸塔の一方(例えば、第一脱酸塔)にその塔底から温度
70℃及びLHSV3.5hr-1の条件で導入し、そこで
この留出物中に残留した塩化水素を除去し、この第一脱
酸塔の塔頂からジクロロトルエン760.2kg/hrを取
り出した。この塔頂から取り出された留出物(ジクロロ
トルエン)からは塩化水素(検出限界<0.1 ppm)が検
出されなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の塩素置換炭化水素化合物の製造
方法によれば、確実に反応混合物中の塩化水素を除去す
ることができると共に製造工程が複雑にならず、しか
も、多量の洗浄排水が発生する等の問題もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施の一例に係るジクロロ
ベンゼン類の連続的製造方法を示すフローチャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 合戸 広 静岡県庵原郡蒲原町蒲原161番地、日本軽 金属株式会社蒲原製造所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AB84 AC30 AD11 AD17 BD10 BD20 BD60 BE53 EA21

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族系炭化水素化合物又は脂肪族系炭
    化水素化合物からなる原料化合物に塩素ガス及び/又は
    塩化水素ガスを反応させ、得られた反応混合物を精製し
    て塩素置換炭化水素化合物を製造するに際し、水分含有
    量300ppm以下の反応混合物を蒸留により精製し、次
    いで得られた留出物を固体状脱酸剤と接触させ、この留
    出物中の塩化水素濃度を10ppm以下まで低減せしめる
    ことを特徴とする塩素置換炭化水素化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 原料化合物は、その水分含有量が100
    ppm以下である請求項1に記載の塩素置換炭化水素化合物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 固体状脱酸剤が、無機アルカリ系、アル
    ミナ系、及びシリカ・アルミナ系の固体状脱酸剤から選
    ばれた1種又は2種以上の混合物である請求項1又は2
    に記載の塩素置換炭化水素化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 留出物と固体状脱酸剤との接触は、固体
    状脱酸剤の固定床充填塔で行われる請求項1〜3のいず
    れかに記載の塩素置換炭化水素化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 留出物と固体状脱酸剤との接触は、固体
    状脱酸剤の流動床充填塔で行われる請求項1〜3のいず
    れかに記載の塩素置換炭化水素化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 留出物と固体状脱酸剤との接触は、多段
    接触方式で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の塩
    素置換炭化水素化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 留出物と固体状脱酸剤との接触は、回分
    式で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の塩素置換
    炭化水素化合物の製造方法。
  8. 【請求項8】 留出物と固体状脱酸剤との接触は、連続
    式で行われる請求項1〜6のいずれかに記載の塩素置換
    炭化水素化合物の製造方法。
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