JP3800683B2 - 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 - Google Patents
塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3800683B2 JP3800683B2 JP25971596A JP25971596A JP3800683B2 JP 3800683 B2 JP3800683 B2 JP 3800683B2 JP 25971596 A JP25971596 A JP 25971596A JP 25971596 A JP25971596 A JP 25971596A JP 3800683 B2 JP3800683 B2 JP 3800683B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aromatic hydrocarbons
- waste liquid
- organic waste
- chlorinated
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07C—ACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
- C07C17/00—Preparation of halogenated hydrocarbons
- C07C17/093—Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens
- C07C17/10—Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of hydrogen atoms
- C07C17/12—Preparation of halogenated hydrocarbons by replacement by halogens of hydrogen atoms in the ring of aromatic compounds
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、モノクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の塩素化ベンゼン類や、モノクロロトルエン、ジクロロトルエン、トリクロロトルエン、塩化ベンジル、塩化ベンザル、トリクロロメチルベンゼン等の塩素化トルエン類や、更には塩素化キシレン類等の塩素化芳香族炭化水素類を製造する工程で副生物として発生する塩化水素と共に排ガス中に同伴され、この排ガスから塩酸を製造する際に発生する有機廃液中の未反応の芳香族炭化水素類やその塩素化物等の有用な有機化合物を効率良く再利用することができる塩素化芳香族炭化水素類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、塩素化ベンゼン類等の塩素化芳香族炭化水素類は、通常、芳香族炭化水素類と塩素ガスとを触媒の存在下に気相又は液相で反応させて製造されており、そして、この塩素化反応においては、塩化水素が副生し、この塩化水素が反応工程から排気される際に反応系中の未反応の芳香族炭化水素類やその塩素化物等がその排ガス中に同伴される。
【0003】
この塩素化の反応工程で発生した排ガス中に同伴する芳香族炭化水素類やその塩素化物等の有用な有機化合物は、コンデンサー等で冷却されて回収されるがその一部は排ガス中に残存し、この排ガス中の塩化水素を水に吸収させて塩酸を製造する際に、有機廃液となって回収される。
この排ガス中に同伴されて塩酸製造工程に送られる有機化合物については、例えばコンデンサーでの冷却温度を下げる等の手段により減少させることは可能であるが、その性質上これを皆無にすることはできない。
【0004】
そして、この塩酸製造工程では、有機廃液は水に吸収されて生成した塩酸との間での液々分離により回収されるが、この有機廃液中には、原料としての芳香族炭化水素類やその塩素化物の種類等によっても異なるが、通常は0.03〜1重量%程度の水と同程度の塩化水素とが含まれており、コスト面から有用な芳香族炭化水素類やその塩素化物等を純粋な形に分離して取り出すのは困難であり、また、そのままでは有効利用が困難であって、従来においては燃焼等の手段で廃棄されていた。
【0005】
なお、塩酸製造工程で得られた塩酸は、蒸留や活性炭による吸着分離によって微量の不純物を除去し(エンサイクロペディアオブケミカルテクノロジー2版11巻318頁)、精製して使用されている。また、ドイツ公開公報249190号では、塩素化の反応工程で副生した塩化水素から製造される塩酸をスチレンジビニルベンゼンコポリマー等の吸着塔を利用して精製している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、我が国における近年の経済成長や工業生産の向上に伴い、工場から発生する廃棄物の量が不可避的に増大しており、廃棄物処理を巡る問題が深刻化しつつある。その一方で、主要な工業原料を輸入に頼っている我が国においては、これらの廃棄物を有効利用して再資源化することが望まれている。このような事情は、塩素化芳香族炭化水素類を製造する工場においても例外ではなく、従来廃棄されていたその塩酸製造工程からの有機廃液中の有用な有機化合物を回収し、有効利用することが望まれている。
【0007】
しかしながら、上述したように、この有機廃液中には0.03〜1重量%程度の水分や同程度の塩化水素が含まれており、このうち塩化水素はそれ自体で塩素化芳香族炭化水素類等の製造設備、例えば反応装置や蒸留装置あるいはこれら装置の周辺の配管等に対して腐蝕性を有するだけでなく、特に水が共存すると急激にその腐蝕性が高まり、また、水分は塩素化芳香族炭化水素類の製造における芳香族炭化水素類と塩素ガスとの反応工程で使用される塩化鉄、五塩化アンチモン、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のルイス酸触媒やゼオライト触媒等を失活させることが知られている(例えば、特開昭63−91335号公報)。
【0008】
このような観点から、本発明者らは、如何にしてこの有機廃液を有効利用できるようにするかについて種々検討した結果、この有機廃液中の水分含有量を少なくとも0.01重量%(100ppm)以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下に可及的に低減することにより、芳香族炭化水素類と塩素ガスとを反応させて塩素化芳香族炭化水素類を合成する反応工程に原料の一部としてリサイクルすることができ、また、有機廃液を蒸留してその初期の留出液を分離除去することにより容易に有機廃液中の水分含有量を100ppm以下にすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
従って、本発明の目的は、塩素化芳香族炭化水素類を製造する方法において、その塩酸製造工程からの有機廃液を蒸留により脱水し、得られた脱水有機廃液を塩素化芳香族炭化水素類の製造工程における芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとの反応工程に原料として戻し、これによって従来廃棄されていた塩酸製造工程からの有機廃液を有効利用することができる塩素化芳香族炭化水素類の製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、塩素化芳香族炭化水素類を製造する方法において、その塩酸製造工程から排出される有機廃液の廃液処理の負荷を大幅に低減できる塩素化芳香族炭化水素類の製造方法を提供することにある。
【0011】
【問題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとを反応させて塩素化芳香族炭化水素類を合成する反応工程と、この反応工程で副生した塩化水素を含む排ガスを水に吸収させる吸収工程と、この吸収工程で得られた吸収液を液々分離して塩酸を回収する塩酸回収工程とを含む塩素化芳香族炭化水素類の製造方法において、塩酸回収工程で吸収液を液々分離した際に回収される有機廃液を蒸留により水分含有量100ppm以下に脱水する脱水工程と、この脱水工程で得られた脱水有機廃液を反応工程に戻すリサイクル工程とを有する、塩素化芳香族炭化水素類の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、上述した塩素化芳香族炭化水素類の製造方法において、有機廃液の脱水工程における有機廃液の蒸留を攪拌条件下で行うことにより、工業的に有利に水分含有量100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下に脱水する塩素化芳香族炭化水素類の製造方法である。
【0013】
本発明において、芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとを反応させて塩素化芳香族炭化水素類を合成する反応としては、その反応工程で塩化水素が副生され、この副生された塩化水素から塩酸を製造する塩酸製造工程が併設されていれば、特に制限されるものではないが、典型的には、▲1▼ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類と塩素ガスとをルイス酸触媒等の触媒存在下にモノクロロベンゼン、パラジクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、メタジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の塩素化ベンゼン類や、モノクロロトルエン、ジクロロトルエン、トリクロロトルエン等の塩素化トルエン類や、更には塩素化キシレン類等の塩素化芳香族炭化水素類を製造する塩素化反応や、▲2▼酸素の存在下に芳香族炭化水素類を塩化水素ガスでオキシ塩素化してジクロロベンゼン等を製造するオキシ塩化反応や、▲3▼紫外線やベンゾイルパーオキサイド(BPO)等のラジカル触媒存在下にトルエン等を塩素ガスで側鎖塩素化して塩化ベンジル、塩化ベンザル、トリクロロメチルベンゼン等を製造する側鎖塩素化反応等が挙げられる。
【0014】
この芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとを反応させて塩素化芳香族炭化水素類を合成する反応工程で副生する塩化水素から塩酸を製造する塩酸製造工程は、基本的には、反応工程で副生した塩化水素を含む排ガスを水に吸収させる吸収工程と、この吸収工程で得られた吸収液を液々分離して塩酸を回収する塩酸回収工程とからなり、本発明方法においては、塩酸回収工程で塩酸回収のために吸収液を液々分離した際に得られる有機廃液を脱水工程で水分含有量100ppm以下に脱水した後、反応工程に原料の一部として戻す。
【0015】
塩酸回収工程で吸収液を液々分離して得られる有機廃液は、通常、その主成分が未反応の芳香族炭化水素類及び/又は反応工程で塩素化されて生成したモノクロル体、ジクロル体、トリクロル体等の塩素化物であり、原料として用いる芳香族炭化水素類や生成したその塩素化物の種類、反応工程からの排ガスをコンデンサーで冷却する際の冷却温度、排ガスの処理方法、反応の回分/連続、気相反応/液相反応、反応工程での塩素化終了点等によっても異なるが、通常は0.03〜1重量%程度の水と同程度の塩化水素とが含まれている。
【0016】
蒸留による脱水工程に導入される有機廃液の水分含有量については、理論的には、この有機廃液の主成分を構成する芳香族炭化水素類やその塩素化物と水とが共沸組成を構成する水分含有量より少なければよく、例えばベンゼンの場合には8.8重量%より少なければよいので、通常は、上述したように0.03〜1重量%程度の水分含有量であるので問題がない。しかしながら、脱水工程で蒸留により効率良く水分含有量100ppm以下まで脱水するには、有機廃液中の水分含有量を0.2重量%(2000ppm)以下、好ましくは1000ppm以下にしておくのがよい。
【0017】
脱水工程で有機廃液を蒸留する装置については、特に制限はないが、回分式の単蒸留装置、回分式の精留装置、連続式の単蒸留装置(フラッシュタンク)、連続式の精留装置等を用いることができ、最終的に脱水して得られる脱水有機廃液の回収率やその水分含有量に従って適宜に選択することができる。水を含む系の精密蒸留装置での性能発揮は難しく、連続蒸留装置では通常3段程度のフラッシュタンクを採用する必要があり、設備費用等を考慮すれば、安価で操作が容易な回分式単蒸留装置を用いるのが望ましい。
【0018】
蒸留の際の圧力についても、特に制限はないが、高価な真空装置を使用するよりは常圧付近での操作が安価であって好適である。蒸留装置の材質についても、特に制限はないが、塩化水素が共存して鉄やステンレスを腐蝕するので、好ましくはガラスやカーボン等の耐蝕材料やこれらの耐蝕材料でライニングされたもの等が望ましい。
【0019】
また、有機廃液中に不純物として存在する塩化水素は、そのほとんどが蒸留操作中に揮発し、脱水有機廃液中には有機廃液中に存在した含有量の2分の1から10分の1程度にまで低減される。また、一般に、有機廃液中に存在する芳香族炭化水素類の塩化物は、通常は40重量%以下であり、この有機廃液の蒸留操作において缶液中に濃縮される傾向を示す。
【0020】
なお、蒸留による脱水工程で回収される留出液における水分含有量は、有機廃液中の芳香族炭化水素類の種類によって異なり、通常は有機廃液中の芳香族炭化水素類と水との共沸組成以下の比率となり、例えばベンゼンで約8.8重量%であり、トルエンで約20.2重量%である。また、留出液において、芳香族炭化水素類中への水の溶解度は例えばベンゼンの場合に70℃で0.270重量%であって20℃で0.057重量%であり、従って留出液は有機相と水相とに容易に分離するので、必要により留出液を再度液々分離してその有機相を蒸留装置に戻してもよい。
【0021】
ところで、同じ水分含有量の脱水有機廃液を回収するためには、初期の水分含有量が高いほど蒸留により多量の留出液を取り出す必要があり、水分含有量が低いほど効率的に脱水有機廃液を回収することができる。例えば、0.2重量%程度の水分を含む有機廃液(仕込み液)については6%程度の留出率で脱水有機廃液(缶液)中の水分含有量を100ppm程度にまで低減できる。しかし、60ppm以下の脱水有機廃液を回収するためには、次第に比揮発度が低くなるので、11%程度の留出率が必要となり、効率的に脱水有機廃液を回収することができない。
【0022】
本発明においては、脱水工程での蒸留操作を攪拌条件下で行うことにより、水分含有量が低い領域での蒸留効率(比揮発度)の低下を防止することができ、これによって効率良く脱水有機廃液を回収することができる。例えば、0.2重量%程度の水分含有量の有機廃液(仕込み液)について、6%程度の留出率でも脱水有機廃液(缶液)は60ppm程度まで脱水される。このように、攪拌条件下での蒸留では60ppm程度まで比揮発度の低下がほとんどなく、高度に脱水された脱水有機廃液を容易に回収することができる。
【0023】
攪拌条件下で行う蒸留の条件は、上述の蒸留条件と同じであり、蒸留缶液の攪拌は缶液全体が良く混合攪拌されていれば特に制限はなく、好ましくは乱流攪拌下、より好ましくは完全混合槽となる攪拌条件下が望ましい。この攪拌が弱すぎると、水分含有量の低下に伴う比揮発度の低下を効果的に抑制できない。
【0024】
更に、脱水工程での有機廃液の蒸溜に先駆けて、この有機廃液をアルカリ水溶液で洗浄処理し、有機廃液中の塩酸分を除去することにより、水分含有量100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは60ppm以下の酸分のない脱水有機廃液をより効率良く回収することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例及び比較例に基づいて、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
【0026】
実施例1
ベンゼンと塩素ガスとを反応させてクロロベンゼン類を合成する反応工程と、この反応工程で副生した塩化水素を含む排ガスを水に吸収させる吸収工程と、この吸収工程で得られた吸収液を液々分離して35%塩酸を回収する塩酸回収工程とを含むクロロベンゼン類の製造設備から、吸収液を液々分離した際の有機相を有機廃液として回収した。
この有機廃液の組成をガスクロマトグラフィーで分析で分析した結果は、ベンゼン:モノクロロベンゼン:ジクロロベンゼンの重量比がそれぞれ66:29:5であった。また、水分含有量は376ppmで、塩化水素含有量は11ppmであった。
【0027】
加熱装置としてオイルバスを備えた1リットルの蒸留装置に上記有機廃液を仕込み、オイルバス中の熱媒を約100℃に加熱し、常圧で蒸留した。留出率が1%、3%、6%、10%、30%、及び46%の時点を目安にして留出液を分取し、同時に、熱媒の温度、缶液の液温、及び塔頂温度を測定し、また、缶液中の一部をサンプリングした。分取された留出液の組成とサンプリングされた缶液の組成を分析した。得られた結果を正確に計算された留出率及び測定された温度と共に表1に示す。また、留出率(%)と缶液の水分濃度(重量%)との関係を図1に示す。
【0028】
この表1の結果から明らかなように、脱水有機廃液の水分濃度(水分含有量)が約100ppmになったときの留出率は5.9%であって、缶液として回収される脱水有機廃液の回収率は94.1%であり、この脱水有機廃液の塩化水素濃度は0.0005重量%であった。また、水分濃度(水分含有量)約60ppmの脱水有機廃液を得るためには有機廃液の回収率が約90%になることが判明した。
【0029】
この結果から、この実施例1の有機廃液については、蒸留による脱水工程において、蒸留装置に仕込んだ有機廃液の約6%を留出液として留出させれば、缶液として回収される脱水有機廃液はその水分含有量が100ppm程度にまで低減し、反応工程にリサイクルできることが判明した。
【0030】
実施例2
水分含有量768ppm及び塩化水素含有量31ppmの有機廃液を用いた以外は、上記実施例1と同様の方法で脱水のための蒸留を行った。
実施例1と同様に、留出液を分取し、熱媒の温度、缶液の液温、及び塔頂温度を測定し、また、缶液中の一部をサンプリングし、そして、留出液の組成と缶液の組成を分析した。結果を表1、図1及び図2に示す。
実施例1との比較から、有機廃液の水分含有量が高くなると、得られる脱水有機廃液の回収率が低くなることが判明した。
【0031】
実施例3
実施例1と同じ有機廃液を5重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、塩酸分を中和除去した。更に純水で洗浄した後、液々分離して水相を除去し、得られた水分含有量825ppmの有機相を実施例1と同じ蒸留装置で蒸留した。実施例1と同様に、留出液を分取し、熱媒の温度、缶液の液温、及び塔頂温度を測定し、また、缶液中の一部をサンプリングし、そして、留出液の組成と缶液の組成を分析した。結果を表2及び図1に示す。
脱水工程での蒸溜に先駆けて塩酸分を除去すると、水分含有量100ppm付近での分離効率が向上し、同じ濃度の脱水有機廃液を得るうえで回収率が向上することが判明した。
【0032】
実施例4
水分含有量839ppm及び塩化水素含有量143ppmの有機廃液を用いて攪拌条件下(60mmL×300rpm)で蒸留した以外は、上記実施例1と同様の方法で有機廃液の蒸留を行った。
実施例1と同様に、留出液を分取し、熱媒の温度、缶液の液温、及び塔頂温度を測定し、また、缶液中の一部をサンプリングし、そして、留出液の組成と缶液の組成を分析した。結果を表2及び図2に示す。
蒸溜を攪拌条件下で行うことにより、水分含有量100ppm付近でも脱水効率が低下せず、効率的に高度に脱水した脱水有機廃液が得られた。
【0033】
比較例1
有機廃液に代えて、純ベンゼン(和光化学社製、試薬特級)に純水を水分含有量760ppmとなるように添加して得られた溶液を用いた以外は、上記実施例1と同様の方法で蒸留を行った。
実施例1と同様に、留出液を分取し、熱媒の温度、缶液の液温、及び塔頂温度を測定し、また、缶液中の一部をサンプリングし、そして、留出液の組成と缶液の組成を分析した。結果を表3、図1及び図2に示す。
この比較例1の結果から、純粋なベンゼンでは脱水効率が悪く、100ppm以下の水分含有量まで脱水するためには回収率が82%に低下することが判明した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】
本発明方法によれば、塩素化芳香族炭化水素類を製造する方法において、その塩酸製造工程からの有機廃液を蒸留により水分含有量100ppm以下まで脱水することにより、得られた脱水有機廃液を問題なく芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとの反応工程に原料として戻すことができ、これによって従来廃棄されていた塩酸製造工程からの有機廃液を有効利用することができ、また、塩酸製造工程から排出される有機廃液の廃液処理の負荷を大幅に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1〜3及び比較例1における留出率(%)−缶液(脱水有機廃液)の水分濃度(重量%)との関係を示すグラフ図である。
【図2】 図2は、実施例2及び4並びに比較例1における留出率(%)−缶液(脱水有機廃液)の水分濃度(重量%)との関係を示すグラフ図である。
Claims (5)
- 芳香族炭化水素類と塩素ガス又は塩化水素ガスとを反応させて塩素化芳香族炭化水素類を合成する反応工程と、この反応工程で副生した塩化水素を含む排ガスを水に吸収させる吸収工程と、この吸収工程で得られた吸収液を液々分離して塩酸を回収する塩酸回収工程とを含む塩素化芳香族炭化水素類の製造方法において、塩酸回収工程で吸収液を液々分離した際に回収される有機廃液を蒸留により水分含有量100ppm以下に脱水する脱水工程と、この脱水工程で得られた脱水有機廃液を反応工程に戻すリサイクル工程とを有することを特徴とする塩素化芳香族炭化水素類の製造方法。
- 脱水工程での有機廃液の蒸留を攪拌条件下で行う請求項1に記載の塩素化芳香族炭化水素類の製造方法。
- 有機廃液中の水分含有量は、この有機廃液の主成分を構成する芳香族炭化水素類又はその塩素化物と水とが共沸組成を構成する水分含有量より少ない請求項1又は2に記載の塩素化芳香族炭化水素類の製造方法。
- 芳香族炭化水素類がベンゼン又はトルエンである請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化芳香族炭化水素類の製造方法。
- 芳香族炭化水素類がベンゼンであり、塩素化芳香族炭化水素類が塩素化ベンゼンであって、有機廃液中の水分含有量が2000ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の塩素化芳香族炭化水素類の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25971596A JP3800683B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25971596A JP3800683B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10101597A JPH10101597A (ja) | 1998-04-21 |
JP3800683B2 true JP3800683B2 (ja) | 2006-07-26 |
Family
ID=17337942
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25971596A Expired - Lifetime JP3800683B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3800683B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102690671A (zh) * | 2012-05-24 | 2012-09-26 | 江苏隆昌化工有限公司 | 一种利用氯化芳烃废弃物生产沥青溶剂的方法 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4904730B2 (ja) * | 2005-07-04 | 2012-03-28 | 住友化学株式会社 | 芳香族化合物と塩化水素の分離回収方法 |
CN109053361A (zh) * | 2018-09-11 | 2018-12-21 | 安徽东至广信农化有限公司 | 氯化苯生产工艺中用于降低杂质二氯苯的方法 |
CN112592253B (zh) * | 2020-12-22 | 2022-11-18 | 浙江闰土新材料有限公司 | 一种苯氯化工艺生产氯化苯中盐酸的循环利用方法 |
-
1996
- 1996-09-30 JP JP25971596A patent/JP3800683B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102690671A (zh) * | 2012-05-24 | 2012-09-26 | 江苏隆昌化工有限公司 | 一种利用氯化芳烃废弃物生产沥青溶剂的方法 |
CN102690671B (zh) * | 2012-05-24 | 2013-08-14 | 江苏隆昌化工有限公司 | 一种利用氯化芳烃废弃物生产沥青溶剂的方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10101597A (ja) | 1998-04-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10787403B2 (en) | Methods of making chlorinated hydrocarbons | |
JP5974003B2 (ja) | トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、トランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、及び1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを共製造するための統合方法 | |
JP7348993B2 (ja) | C3塩素化アルカン及びアルケン化合物の製造方法 | |
TWI712579B (zh) | 用於製造氯化c-烷烴的方法 | |
TW201619101A (zh) | 方法 | |
KR20130132576A (ko) | 2-클로로-3,3,3-트리플루오로프로펜의 저온 제조 | |
JP2007008898A (ja) | 芳香族化合物と塩化水素の分離回収方法 | |
JP2005501897A (ja) | ハロゲン化アルカンストリームからの重質分の分離 | |
JP2001261308A (ja) | 塩酸の回収方法 | |
US9359274B2 (en) | Method for producing 1,3,3,3-tetrafluoropropene | |
KR20210088712A (ko) | 히드로클로로플루오로올레핀을 함유하는 조 스트림을 정제하는 방법 | |
JP3800683B2 (ja) | 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 | |
CN109069992A (zh) | 盐酸纯化方法和设备 | |
NO154547B (no) | Fremgangsmaate til fremstilling av 1,2-dikloretan. | |
JP4022974B2 (ja) | 塩素化芳香族炭化水素類の製造方法 | |
JP2655290B2 (ja) | 1,2−ジクロロエタン熱分解工程からの未反応1,2−ジクロロエタンの精製法 | |
JP4432186B2 (ja) | 1,2−ジクロルエタンの精製方法 | |
WO1992001659A1 (en) | Method of removing chloroprene contained in 1,2-dichloroethane | |
JP4432187B2 (ja) | 1,2−ジクロルエタンの回収方法 | |
CN218620660U (zh) | 一种利用副产盐酸氧氯化法生产二氯乙烷的生产装置 | |
CN1065519C (zh) | 在热裂解1,2-二氯乙烷时生成的低沸点副产物的转化方法 | |
US3100233A (en) | Purification of acetylene tetrachloride containing chlorine impurity | |
WO2016125891A1 (ja) | フッ化メチルの製造方法 | |
JP4691771B2 (ja) | 高純度1,2−ジクロルエタンの回収方法 | |
JP2002255869A (ja) | 塩素置換炭化水素化合物の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060329 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060411 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060424 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120512 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130512 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140512 Year of fee payment: 8 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |