JP2002255809A - 水溶性6−クロマノールカルボン酸エステル誘導体を含む経口投与剤 - Google Patents

水溶性6−クロマノールカルボン酸エステル誘導体を含む経口投与剤

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JP2002255809A
JP2002255809A JP2001052267A JP2001052267A JP2002255809A JP 2002255809 A JP2002255809 A JP 2002255809A JP 2001052267 A JP2001052267 A JP 2001052267A JP 2001052267 A JP2001052267 A JP 2001052267A JP 2002255809 A JP2002255809 A JP 2002255809A
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Jiro Takada
二郎 高田
Yoshiharu Karube
善晴 加留部
Kazuhisa Matsunaga
和久 松永
Kazuhiro Imai
一洋 今井
Michihiro Fujiwara
道弘 藤原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、6−クロマノール誘導体の
高いバイオアベイラビリティーの示す経口投与剤を提供
することにある。 【解決手段】 一般式(I)で表される水溶性6−クロ
マノールカルボン酸エステル誘導体を含む経口投与剤。 【化1】 (式中Rは窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味
する。R,Rは水素原子またはメチル基を意味す
る。Rは式IIで示される残基である。) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は6−クロマノール誘
導体を含む経口投与剤、特にその水溶性の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】トコフェロール、トコトリエノールなど
の6−クロマノール誘導体には各種の薬効が期待されて
いる。たとえば、トコトリエノール類は、パーム油や穀
類の子実に含まれるビタミンE同族体であり、トコフェ
ロールと同様に6−クロマノール骨格を有する。そし
て、クロマノール骨格2位の炭素16個からなる疎水性
基が異なっており、トコトリエノールはトリプレニル基
を、トコフェロールはフィチル基を有する。
【0003】そして、これらのトコトリエノール類は、
医薬品としてはコレステロール血症、アテローム性動脈
硬化症、癌、免疫賦活、アルツハイマー、酸化的障害が
原因となる病態(心臓、脳、肝臓、皮膚)に対する優れ
た効果が期待されている。また、最近ではナトリウム利
尿ホルモン様利尿剤、パーオキシニトリルの捕捉薬とし
ての期待が寄せられている。更に、トコトリエノールは
UVによるタンパク質の酸化、脂質過酸化、DNA損傷
に対して保護作用を持つことから、コラーゲンタンパク
質の酸化的障害の防護効果、すなわち皺取りと皺予防効
果、及び美白効果も期待される。
【0004】また、たとえばγ−トコフェロール(γ−
Toc)はα−トコフェロールに比して強い抗酸化作用
を持ち、COX−2の阻害作用を有することが明らかと
なっており、旧来のトコフェロールの作用に加えて新た
な抗炎症剤、抗がん剤として期待が持たれている。しか
しながら、これらの各種効果を期待される6−クロマノ
ール誘導体は、体内において必ずしも同一の動態を示す
ものではなく、たとえばα−トコフェロールは、体内に
おいてα−トコフェロールの輸送タンパク質(α-tocop
herol transport protein,α−TTP)を介した経路
で各組織、臓器に輸送されるため、その体内動態は各組
織、臓器中のα−TTPの発現量によって大きく制御さ
れ、組織移行量は投与量に依存しない。一方、トコトリ
エノール類とα−トコフェロール以外のトコフェロール
類(γ−トコフェロールやδ−トコフェロール)はα−
TTPを介さないために、組織移行量は投与量に依存す
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したトコトリエノ
ール類やγ−トコフェロール等の各種6−クロマノール
誘導体に期待される有用な作用を効率よく発揮させるた
めには、それらのバイオアベイラビリティの確保が必須
である。しかしながら、トコトリエノール類あるいはγ
−トコフェロール類等は、いずれも酸化に対して不安定
であり、しかも粘性の高い油状物質で水にまったく溶解
しない。このため、これらの物質を経口投与する場合に
は水への溶解性(溶解度、溶解速度)が吸収の律速過程
となっている。また、製剤化上取り扱いが困難で、保存
上の安定性に問題がある。
【0006】水難溶性化合物の可溶化方法として、大量
の界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、HO
C−60)等の添加による可溶化方法が検討されている
が、大量の界面活性剤を含む製剤を反復して経口投与す
る場合には、その有害作用の危険性を完全に払拭するこ
とはできない。
【0007】一方、γ−トコトリエノールとγ−トコフ
ェロールの主要代謝物γ−CEHCは、ナトリウム利尿
因子として発見されたLLU−α(Loma Linda Uniber
sity-α)と同一化合物であり、カリウム移動による心臓
への有害な副作用の少ない利尿剤として期待されてい
る。さらに、γ−CEHCはCOX−2阻害作用を有
し、抗炎症剤、抗がん剤としても期待されている。しか
し、γ−CEHCは酸化に対して非常に不安定な化合物
であり、生物学的半減期が非常に短くバイオアベイラビ
リティの確保が困難な物質でもある。
【0008】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされ
たものであり、その目的は高い水溶性とともに酸化に対
して安定で、経口投与においてトコトリエノール類やト
コフェロール類、さらにその代謝物のバイオアベイラビ
リティを確保できる6−クロマノールカルボン酸エステ
ル誘導体を含む経口投与剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明者等が鋭意検討を行った結果、特定の6−クロ
マノールカルボン酸エステル誘導体が、経口投与により
トコトリエノールないしトコフェロールの高いバイオア
ベイラビリティの確保を可能にすることを見出し、本発
明を完成するに至った。すなわち、本発明にかかる経口
投与剤は、一般式(I)で表される水溶性6−クロマノ
ールカルボン酸エステル誘導体を含む。
【0010】
【化3】 (式中Rは窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味
する。R,Rは水素原子またはメチル基を意味す
る。Rは式IIで示される残基である。)
【0011】
【化4】
【0012】また、本発明において、窒素置換基を有す
るカルボン酸残基が、アミノ酸、N−アシルアミノ酸、
N−アルキルアミノ酸、N,N−ジアルキルアミノ酸、
ピリジンカルボン酸及びそれらのハロゲン化水素酸塩ま
たはアルキルスルホン酸塩の残基からなる群より選択さ
れる少なくとも一種であることが好適である。
【0013】なお、一般式(I)で表される誘導体がト
コトリエノール誘導体である場合は、クロマノール骨格
の2位に不斉炭素を有するので、d,dl体などの立体
異性体が存在するが、本発明はこれらの異性体を包含す
るものである。また、トコトリエノールはクロマノール
骨格のメチル基の置換数と置換部位によって、α,β,
γ,δ−トコトリエノールの四種類に分類されている
が、本発明の誘導体はこれらのいずれに対応するもので
もよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。本発明において、窒素置換基を有する
カルボン酸残基Rは、窒素原子に対し水素原子ない
し、1または2のアルキル基、アシル基が結合したもの
が好適である。このアルキル基としては、炭素数1〜6
の直鎖、もしくは分枝のアルキル基、例えばメチル基、
エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチ
ル基、n−ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル
基、1−メチルプロピル基、tert−ブチル基、1−エチ
ルプロピル基、イソアミル基などを例示することが可能
であり、特にメチル基、エチル基が好ましい。また、ア
シル基を有する場合の炭化水素鎖も同様に定義可能であ
る。
【0015】アミノ基とカルボニル基の間は、好ましく
は炭素数1〜7の直鎖、分枝または環状のアルキレン基
で結合される。分枝状のアルキレン基とは、例えばイソ
プロピル、イソブチル、tert−ブチル、1−エチルプロ
ピルなどのアルキル基から誘導されたアルキレン基を意
味する。環状アルキレン基とは、シクロペンタン環、シ
クロヘキサン環、あるいはメチルシクロヘキサン環など
を構造中に含むアルキレン基を意味する。アルキレン基
として特に好ましいのは、メチレン基あるいはエチレン
基である。
【0016】ハロゲン化水素酸塩としては、HCl塩、
HBr塩などが好ましい。本発明において、ハロゲン化
水素酸塩は結晶化ないし固形化する場合が多く、製剤に
あたっての取り扱いが容易になるという利点がある。ま
た、アルキルスルホン酸塩としては、メタンスルホン酸
等が例示される。このアルキルスルホン酸塩とした場合
には、吸湿性の低い固形化が可能である。
【0017】本発明において経口投与により体内でトコ
フェロールを生じる水溶性6−クロマノールカルボン酸
エステル誘導体としては、特開平2−149576、特
開平2−149577、特開平1−121284、ある
いは特開平1−121285に示されるものが例示され
る。しかし、これらの文献は、実質的に注射投与の場合
のみが想定され、消化器系を介して吸収される経口投与
の際の有効性、バイオアベイラビリティーについてはま
ったく検討されていない。
【0018】また、本発明において、経口投与により体
内でトコトリエノールを生じる6−クロマノールカルボ
ン酸エステル誘導体の製造方法としては、以下のような
ものが例示される。
【0019】
【化3】
【0020】一般式(II)で表されるトコトリエノール
類と、窒素置換基を有するカルボン酸、もしくはその反
応性酸誘導体、またはこれらのハロゲン化水素酸塩と
を、常法によりエステル化反応を行うことにより、本発
明の目的物質(I)を得ることができる。トコトリエノ
ール類のエステル化反応は常法に従うが、1級、2級ア
ミノ基あるいは側鎖に水酸基、チオール基を有するアミ
ノ酸のエステル化を行う際は、tert-ブトキシカルボニ
ル基(以下、t−BOC基という)、ベンジルオキシカ
ルボニル基(以下、Z基という)などの適切な保護基で
保護して用いることが好ましい。
【0021】また、N,N−ジアルキルアミノ酸はハロ
ゲン化水素酸塩を用いて、ジシクロヘキシルカルボジイ
ミド(以下、DCCという)、N,N−ジサクシニミド
オキザレート(以下、DSOという)などの活性エステ
ル化試薬の存在下に反応を行うことが好ましい。この際
の溶媒としては、無水ピリジンが好ましい。また、反応
性酸誘導体を用いる方法では、酸ハロゲナイト、特に酸
クロリドを用いる方法が好ましい。この際の溶媒として
は、無水ベンゼン−無水ピリジン混合物が好ましい。ハ
ロゲン化水素酸塩及びアルキルスルホン酸塩は、常法に
より遊離のアミノ酸エステルとハロゲン化水素酸または
アルキルスルホン酸を反応させて製造する。また、N−
アシルアミノ酸エステルを製造した後、常法によりハロ
ゲン化水素酸で脱保護基化することによって、ハロゲン
化水素酸塩を製造することができる。
【0022】なお、本発明にかかる6−クロマノールカ
ルボン酸エステル誘導体は、胆汁酸塩とすることも可能
である。ここで、胆汁酸塩とは、具体的には、タウロコ
ール酸、グリココール酸、コール酸、タウロデオキシコ
ール酸、デオキシコール酸、タウロケノデオキシコール
酸、グリコケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコー
ル酸の塩等をいう。そして、前記トコトリエノールカル
ボン酸エステルとこれらの胆汁酸を反応させて胆汁酸塩
を得ることができる。例えばメタノール、エタノール、
プロパノールなどの低級アルコール系の溶媒を用い、反
応終了後、溶媒を減圧下で留去することによりトコトリ
エノールカルボン酸エステル胆汁酸塩を得ることができ
る。
【0023】本発明で得られる目的物質(I)は、水溶
液として経口投与した場合にも、バイオアベイラビリテ
ィーは消化器系での影響をほとんど受けず、生体内に広
範囲に存在する加水分解酵素で容易に加水分解されてト
コトリエノールあるいはトコフェロールなどを生成す
る。また、ハロゲン化水素酸塩及びアルキルスルホン酸
塩は結晶性の粉末であり、製剤技術上、取り扱いが容易
且つ簡便であり、比較的高い水溶性を有する。
【0024】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例について説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0025】まず、水溶性クロマノールカルボン酸エス
テル誘導体として特に好適なトコトリエノールカルボン
酸エステル誘導体の調製例を示す。実施例1〜18 下記製造方法A〜Dに示す方法により、表1、表3に示
すトコトリエノール誘導体を製造した。また、表1に示
す化合物のH−NMRスペクトルを表2に示す。
【0026】[製造方法A]アミノ酸0.1molを蒸留
水−ジオキサン(1:1,v/v)100mlに溶解し、ト
リエチルアミン30mlを加え、さらにジ−tert−ブチル
ジカルボネートを徐々に加え、30分間室温で攪拌す
る。減圧下ジオキサンを留去し、炭酸水素ナトリウム水
溶液(0.5M)50mlを加え、酢酸エチル100mlで
洗う。酢酸エチル層を50mlの炭酸水素ナトリウム液で
洗い、水層を合わせて氷冷下でクエン酸水溶液(0.5
M)を加えて酸性(pH3)とし、塩化ナトリウムを飽
和させた後、酢酸エチルで抽出する(100ml×3
回)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後、減圧下に
溶媒を留去し、油状残渣をイソプロピルエーテルを加え
るか、または冷却にて結晶化させてN−t−BOCアミ
ノ酸を得る。
【0027】アルゴンガス雰囲気下で、トコトリエノー
ル5mmol,N−t−BOCアミノ酸5mmol、DCC5mm
olを無水ピリジン30mlに加え室温で20時間攪拌す
る。溶媒を減圧下留去し、残渣に酢酸エチルを加えて可
溶性画分を抽出する(100ml×2回)。抽出液を減圧
下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶離溶媒;n−ヘキサン−酢酸エチル=9:1)で分
離精製し、トコトリエノールN−t−BOC−アミノ酸
エステルを得る。
【0028】トコトリエノールN−t−BOC−アミノ
酸エステルを少量のアセトンに溶解し、塩酸−ジオキサ
ン(2.5〜4.0N)を塩酸量がエステルの20倍モ
ル量に相当する量加え、1時間攪拌後、減圧下溶媒を留
去する。残渣をアセトン−メタノール系または酢酸エチ
ル−メタノール系で再結晶して、トコトリエノールアミ
ノ酸の塩酸塩を得る。
【0029】[製造方法B]トコトリエノールアミノ酸
の塩酸塩3mmolを水150mlに加え、炭酸水素ナトリウ
ムを加えて溶液のpHを7〜8にした後に、酢酸エチル
で抽出する(100ml×3回)。抽出液を無水硫酸ナト
リウムで脱水後減圧下溶媒を留去し、油状のトコトリエ
ノールアミノ酸を得る。
【0030】[製造方法C]アルゴンガス雰囲気下で、
トコトリエノール5mmol、塩酸N,N−ジアルキルアミ
ノ酸5mmol、DCC5mmolを無水ピリジン30mlに加
え、室温で20時間攪拌する。溶媒を減圧下留去し、残
渣を蒸留水に懸濁させ炭酸水素ナトリウムを加えて溶液
のpHを7〜8にした後、酢酸エチルで抽出する(10
0ml×3回)。抽出液を無水硫酸ナトリウムで脱水後減
圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶離溶媒:n−ヘキサン−酢酸エチル=8:
2)で分離精製し、トコトリエノールN,N−ジアルキ
ルアミノ酸を得る。
【0031】[製造方法D]トコトリエノールアミノ酸
またはトコトリエノールN,N−ジアルキルアミノ酸2
mmolをアセトン20mlに溶解し、塩酸−ジオキサン
(2.5〜4.0N)を塩酸量がエステルの10倍モル
量に相当する量、またはアルキルスルホン酸2mmolを加
え、減圧下溶媒を留去する。残渣をアセトン−メタノー
ル系または酢酸エチル−メタノール系で再結晶して、ト
コトリエノールアミノ酸またはトコトリエノールN,N
−ジアルキルアミノ酸の塩酸塩を得る。
【0032】以下、本発明にかかる化合物の具体的化学
式及びその物性、製造方法について示す。なお、実施例
1〜7については、質量分析(m/z,FAB−MS)
及び核磁気共鳴スペクトル(H−NMR,δppm,
内部標準TMS)を表2に示す。
【0033】
【表1】実施例 化合物名 R 塩 形状 融点 製造法 1 d-α-トコトリエニル CH3 NH2CH2CO- CH3 HCl 白色結晶 167-173 A,D アミノアセテート塩酸塩 2 d-α-トコトリエニル CH3 CH3NHCH2CO- CH3 HCl 白色結晶 170-173 A,D N-メチルアミノアセテート塩酸塩 3 d-γ-トコトリエニル H NH2CH2CO- CH3 HCl 白色結晶 195-198 A,D アミノアセテート塩酸塩 4 d-γ-トコトリエニル H CH3NHCH2CO- CH3 HCl 白色結晶 130-132 A,D N-メチルアミノアセテート塩酸塩 5 d-α-トコトリエニル CH3 (CH3)2NCH2CO- CH3 HCl 白色結晶 186-188 B,D N,N-シ゛メチルアミノアセテート塩酸塩 6 d-γ-トコトリエニル H (CH3)2NCH2CO- CH3 HCl 白色結晶 160-161 B,D N,N-シ゛メチルアミノアセテート塩酸塩 7 d-δ-トコトリエニル H (CH3)2NCH2CO- H HCl 白色固形 測定不能 A,D N,N-シ゛メチルアミノアセテート塩酸塩 (吸湿性のため)
【0034】
【表2】実施例 質量分析 H−NMRスペクトル 1 482(M-HCl+H+) (in CDCl3) 8.76(2H,s),5.09(3H,m),4.09(2H,s),2.50(2H,t), 2.11-1.89(19H,m,including 2.02(3H,s),1.92(3H,s), 1.89(3H,s)),1.74-1.47(16H,m,including 1.67(3H,s),1.59(6H,s),1.55(3H,s)),1.27(3H,s) 2 496(M-HCl+H+) (in CDCl3) 9.95(1H,s),5.10(3H,m),4.09(2H,s),2.80(3H,s), 2.56(2H,t),2.12-1.97(19H,m,including 2.07(3H,s), 2.00(3H,s),1.97(3H,s)),1.78-1.52(16H,m,including 1.67(3H,s),1.59(6H,s),1.56(3H,s)),1.27(3H,s) 3 468(M-HCl+H+) (in CDCl3) 8.67(2H,s),6.61(1H,s),5.10(3H,m),4.04(2H,s), 2.60(2H,m),2.16-1.92(16H,m,including 2.02(3H,s), 1.92(3H,s)),1.69-1.49(16H,m,including 1.67(3H,s),1.58(6H,s),1.55(3H,s)),1.24(3H,s) 4 482(M-HCl+H+) (in CDCl3) 10.01(1H,s),6.66(1H,s),5.11(3H,m),4.04(2H,s), 2.81(3H,s),2.66(2H,m),2.10-1.95(16H,m,including 2.08(3H,s),2.01(3H,s)),1.69-1.49(16H,m,including 1.67(3H,s),1.59(6H,s),1.56(3H,s)),1.24(3H,s) 5 510(M-HCl+H+) (in CDCl3) 5.10(3H,m),4.60(2H,s),3.06(6H,s),2.64(2H,t), 2.15-1.93(19H,m,including 2.11(3H,s),2.04(3H,s), 2.01(3H,s)),1.85-1.54(16H,m,including 1.65(3H,s),1.58(3H,s),1.56(3H,s)),1.27(3H,s) 6 496(M-HCl+H+) (in CDCl3) 6.63(1H,s),5.10(3H,m),4.21(2H,s),3.09(6H,s), 2.72(2H,m),2.13-1.95(16H,m,including 2.12(3H,s), 2.02(3H,s)),1.81-1.59(16H,m,including 1.68(3H,s),1.60(6H,s),1.59(3H,s)),1.28(3H,s) 7 482(M-HCl+H+) (in CDCl3) 6.73(1H,s),6.69(1H,s),5.12(3H,m),4.15(2H,s), 3.08(6H,s),2.74(2H,m),2.16-1.90(13H,m,including 2.16(3H,s)),1.86-1.52(16H,m,including 1.67(3H,s),1.60(6H,s),1.56(3H,s)),1.28(3H,s)
【0035】一般にトコトリエノール類は、非常に粘性
の高い油状物質であり、正確な秤量を含め、取り扱いが
困難である。これに対し、本発明のトコトリエノールカ
ルボン酸エステル誘導体のハロゲン化水素塩は、前記実
施例1〜7のように結晶ないし固形となり、取り扱いが
極めて簡便となる利点を有する。この点、前記従来のト
コトリエノールコハク酸エステルなどは、油状ないしワ
ックス状であり、取り扱いは一般のトコトリエノール類
と同様困難であり、ハロゲン化水素塩は本発明の特に好
ましい形態として特筆される。
【0036】
【表3】実施例 化合物名 R 性状 質量分析 製造法 8 d-α-トコトリエニル CH3 N-t-BOC-NHCH2CO- CH3 油状 582 A N-t-BOC-アミノアセテート 9 d-α-トコトリエニル CH3 N-t-BOC-N(CH3)CH2CO- CH3 油状 596 A N-t-BOC-N-メチルアミノアセテート 10 d-γ-トコトリエニル H N-t-BOC-NHCH2CO- CH3 油状 568 A N-t-BOC-アミノアセテート 11 d-γ-トコトリエニル H N-t-BOC-N(CH3)CH2CO- CH3 油状 582 A N-t-BOC-N-メチルアミノアセテート 12 d-α-トコトリエニル CH3 NH2CH2CO- CH3 油状 482 C アミノアセテート 13 d-α-トコトリエニル CH3 CH3NHCH2CO- CH3 油状 496 C N-メチルアミノアセテート 14 d-γ-トコトリエニル H NH2CH2CO- CH3 油状 468 C アミノアセテート 15 d-γ-トコトリエニル H CH3NHCH2CO- CH3 油状 482 C N-メチルアミノアセテート 16 d-α-トコトリエニル CH3 (CH3)2NCH2CO- CH3 油状 510 C N,N-シ゛メチルアミノアセテート 17 d-γ-トコトリエニル H (CH3)2NCH2CO- CH3 油状 496 C N,N-シ゛メチルアミノアセテート 18 d-δ-トコトリエニル H (CH3)2NCH2CO- H 油状 482 C N,N-シ゛メチルアミノアセテート
【0037】水溶性試験 1)実験方法 d−α−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノー
ル、d−δ−トコトリエノール、d−α−トコトリエノ
ール アミノアセテート塩酸塩(実施例1:以下、d−
α−T3AA)、d−α−トコトリエノール N−メチ
ルアミノアセテート塩酸塩(実施例2:以下、d−α−
T3MA)、d−α−トコトリエノールN,N−ジメチ
ルアミノアセテート塩酸塩(実施例5:以下、d−α−
T3DMA),d−γ−トコトリエノール アミノアセ
テート塩酸塩(実施例3:以下、d−γ−T3AA)、
d−γ−トコトリエノール N−メチルアミノアセテー
ト塩酸塩(実施例4:以下、d−γ−T3MA)、d−
γ−トコトリエノール N,N−ジメチルアミノアセテ
ート塩酸塩(実施例6:以下、d−γ−T3DMA)、
d−δ−トコトリエノール N,N−ジメチルアミノア
セテート塩酸塩(実施例7:以下、d−δ−T3DM
A)のそれぞれ0.250mmolをメスフラスコにとり、
蒸留水を加えて5mlとし、20℃、24時間攪拌後、溶
液中の各添加化合物濃度を高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)で測定した。
【0038】2)結果 d−α−トコトリエノール、d−γ−トコトリエノール
及びd−δ−トコトリエノールはいずれもHPLCの検
出限界以下で、溶解度は測定できなかった。d−α−T
3AA,d−α−T3MA,d−γ−T3AA,d−γ
−T3MA,d−γ−T3DMA及びd−δ−T3DM
Aはいずれも溶液となり、溶解度は50mM以上であっ
た。
【0039】加水分解性実験 1)方法 SD系ラット肝臓ミクロソーム及びラット血漿の等張リ
ン酸緩衝液に、d−α−トコトリエノール N,N−ジ
メチルアミノアセテート塩酸塩(実施例5:以下、d−
α−T3DMA)、d−α−トコトリエノール N−メ
チルアミノアセテート塩酸塩(実施例2:以下、d−α
−T3MA)、d−γ−トコトリエノール N,N−ジ
メチルアミノアセテート塩酸塩(実施例6:以下、d−
γ−T3DMA)、d−γ−トコトリエノール N−メ
チルアミノアセテート塩酸塩(実施例4:以下、d−γ
−T3MA)、d−γ−トコトリエノールアミノアセテ
ート塩酸塩(実施例3:以下、d−γ−T3AA)を添
加し、37℃で経時的に反応溶液中に生成するd−α−
トコトリエノール及びd−γ−トコトリエノールを高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。
【0040】比較例として、同様にd−α−トコトリエ
ノールコハク酸エステル(以下、d−α−T3S)とd
−γ−トコトリエノールコハク酸エステル(以下、d−
γ−T3S)について加水分解実験を行った。 HPLC条件:カラムはCAPCELL PAK UG
120、移動相はメタノール−アセトニトリル(5:5
v/v)、流速0.7ml/min、検出は283nmの吸光度
と蛍光光度(励起298nm、蛍光325nm)で行った。
【0041】2)結果 ラット肝ミクロソーム及びラット血漿溶液におけるd−
α-トコトリエノール及びd−γ−トコトリエノールの
生成のMichaelis-Mentenモデルに従った速度論パラメー
タを表4及び表5に示した。
【0042】
【表4】肝臓ミクロソーム Km(×10-3M) Vmax(×10-6M/min) Vmax/Km(×10-3min-1) d-α-T3DMA 5.966 146.5 24.55 d-α-T3MA 0.1691 1.878 11.11d-α-T3S 0.03027 0.05588 1.846 d-γ-T3DMA 5.575 323.0 56.10 d-γ-T3MA 2.097 120.4 57.42 d-γ-T3AA 1.563 77.16 49.38d-γ-T3S 0.02207 0.7161 32.44
【0043】
【表5】血漿 Km(×10-3M) Vmax(×10-6M/min) Vmax/Km(×10-3min-1) d-α-T3DMA 0.7930 0.09187 0.1159 d-α-T3MA 1.549 0.5808 0.3749d-α-T3S 0.5065 0.04946 0.09767 d-γ-T3DMA 0.7860 7.592 9.659 d-γ-T3MA 12.71 51.78 4.074 d-γ-T3AA 5.507 35.94 6.527d-γ-T3S 1.052 1.945 1.849
【0044】トコトリエノールの窒素置換基を有するカ
ルボン酸エステルはトコトリエノールコハク酸エステル
に比較して速やかにトコトリエノールを生成した。この
加水分解反応はエステラーゼ阻害剤で強く阻害される
(図1参照)ことから、エステラーゼで触媒されること
が明らかになった。本発明化合物は、従来のコハク酸エ
ステルに比較してトコトリエノールの優れた誘導体であ
ることが理解される。
【0045】次に、本発明者らは水溶性6−クロマノー
ルカルボン酸エステル誘導体を経口投与し、そのバイオ
アベイラビリティーについて検討を行った。 [経口投与試験]実験例1 ラットにおけるd−γ−tocotrienyl N,N-dimethylami
noacetate hydrochloride (γ−T3DMA)の経口投
与によるγ−トコトリエノールのバイオアベイラビリテ
ィの確保 SD雄性ラット(体重320−365g)を3匹一群と
し、薬物投与前16時間飼料を氷砂糖に変更して用い
た。γ−T3DMA投与液(γ−T3DMA)はその水
溶液を、γ−T3投与液(γ−T3−H)は界面活性剤
HCO−10を用いて可溶化した水溶液を用いた。薬物
溶液を経口投与し、経時的に外頚静脈より採血後、血漿
中のγ−T3量をHPLCで測定した。図2にそれぞれ
の血漿中γ−T3の経時変化を示した。また、ファルマ
コキネティクパラメータを表6に示した。γ−T3DM
A投与とγ−T3−H投与の血漿中のレベルは、ともに
投与4時間でCmaxとなり、投与8時間までは両投与
間に有意の差は観察されなかった。絶対的バイオアベイ
ラビリティはγ−T3DMA投与で20.7±1.4
%、γ−T3−H投与で17.0±4.4%となり、両
投与間には有意の差が認められない。このように、γ−
T3DMAは可溶化剤HCO−60を必要としないで、
HCO−60で可溶化したγ−T3と同等のバイオアベ
イラビリティを確保できる経口投与剤として機能するこ
とが明らかとなった。
【0046】
【表6】 投与薬物化合物 γ−T3−H γ−T3−H γ−T3DMA投与方法 (静注) (経口) (経口) max 175±41 3.06±1.06 2.91±0.379 (nmol・ml-1) Tmax(h) 0.25 4.0 4.0 AUC 97±11 16.5±4.30 20.1±1.40 (nmol・h・ml-1) MRT(h) 2.00±0.27 5.51±0.55 7.72±0.35F(%) 100±11.3 17.0±4.4 20.7±1.4
【0047】なお、ファルマコキネティクパラメータは
4匹の平均値と標準偏差を表す。投与量はγ−T3当量
25mg/kgである。また、F(%)は下記式1で求め
た。
【0048】
【数1】
【0049】実験例2 ラットにおけるd−γ−tocopheryl N,N-dimethylamin
oacetate hydrochloride (γ−TDMA)の経口投与
によるγ−トコフェロールのバイオアベイラビリティの
確保 SD雄性ラット(体重320−365g)を3匹一群と
し、薬物投与前16時間飼料を氷砂糖に変更して用い
た。γ−TDMA投与液(γ−tocopherol)を経口投与
し、経時的に外頚静脈より採血後、血漿中のγ−トコフ
ェロール量をHPLCで測定した。図3に血漿中γ−ト
コフェロールの経時変化を示した。この結果、前記トコ
トリエノールの場合と同様に、本発明の水溶性6−クロ
マノールカルボン酸エステルの投与によりγ−トコフェ
ロールのバイオアベイラビリティーの確保が可能である
ことが示された。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる経口
投与剤によれば、水溶性6−クロマノールカルボン酸エ
ステル誘導体を投与することにより、トコトリエノー
ル、トコフェロールないしその代謝物のバイオアベイラ
ビリティーの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トコトリエノールカルボン酸エステル誘導体の
加水分解反応に対するエステラーゼ阻害剤の影響の説明
図である。
【図2】d−γ−T3DMAとd−γ−T3を経口投与
した場合のラット体内動態を検討した結果の説明図であ
る。
【図3】d−γ−TDMAを経口投与した場合のラット
体内動態を検討した結果の説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/02 109 A61P 3/02 109 3/06 3/06 9/10 9/10 25/28 25/28 35/00 35/00 37/04 37/04 // C07D 311/72 102 C07D 311/72 102 405/12 405/12 (72)発明者 今井 一洋 東京都世田谷区代田6丁目15番18号 (72)発明者 藤原 道弘 福岡県福岡市中央区梅光園2丁目17番14号 Fターム(参考) 4C062 FF21 FF30 4C063 AA01 BB08 CC79 DD12 EE01 4C076 AA12 BB01 CC22 CC42 DD51 DD57 DD60 EE59 FF15 GG46 4C086 AA01 AA02 BA08 BA09 BC17 GA02 GA08 MA01 MA04 MA17 MA52 NA02 NA10 NA15 ZA16 ZA45 ZB09 ZB26 ZC29 ZC33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で表される水溶性6−クロ
    マノールカルボン酸エステル誘導体を含む経口投与剤。 【化1】 (式中Rは窒素置換基を有するカルボン酸残基を意味
    する。R,Rは水素原子またはメチル基を意味す
    る。Rは式IIで示される残基である。) 【化2】
  2. 【請求項2】 請求項1記載の経口投与剤において、窒
    素置換基を有するカルボン酸残基Rが、アミノ酸、N
    −アシルアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、N,N−ジ
    アルキルアミノ酸、ピリジンカルボン酸及びそれらのハ
    ロゲン化水素酸塩またはアルキルスルホン酸塩の残基か
    らなる群より選択される少なくとも一種であることを特
    徴とする水溶性6−クロマノールカルボン酸エステル誘
    導体を含む経口投与剤。
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