JP2002255801A - 高血圧予防用組成物 - Google Patents

高血圧予防用組成物

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JP2002255801A
JP2002255801A JP2001298211A JP2001298211A JP2002255801A JP 2002255801 A JP2002255801 A JP 2002255801A JP 2001298211 A JP2001298211 A JP 2001298211A JP 2001298211 A JP2001298211 A JP 2001298211A JP 2002255801 A JP2002255801 A JP 2002255801A
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Kenji Tayama
賢二 多山
Shino Kondo
詩乃 近藤
Sumio Akita
澄男 秋田
Yoshinori Tsukamoto
義則 塚本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血圧上昇を抑制することのできる、副作用が
なく安全な組成物を提供すること。 【解決手段】 長期経口摂取によって血圧上昇を抑制す
る組成物であって、酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選
ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする、高
血圧予防用食品又は医薬品組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高血圧予防用組成
物、さらに詳しくは、長期経口摂取によって血圧上昇を
抑制する効果を有し、高血圧を予防するために用いるこ
とができる食品又は医薬品組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活習慣病の予防が盛んに叫ばれ
ている。それにも関わらず、動脈硬化やこの前兆として
認識されてきた各種生活習慣病の患者やこれらの予備軍
は減少していないのが現状であり、生活習慣病を治療す
るために、実に様々な角度から解析が試みられ、薬剤の
開発が精力的に進められきている。
【0003】生活習慣病の中で患者や予備軍の数が多い
症状としては、高血圧が挙げられる。平成10年の国民
栄養調査(国民栄養の現状、健康・栄養情報研究会
編、第一出版、p.54、2000年)によると、調査
した15歳以上の男女の血圧値から、高血圧とされるの
は、男性で25.3%、女性で20.6%におよび、境
界域とされる男性は19.8%、女性は14.5% の
割合で存在した。この調査データからすると、日本にお
ける高血圧の予備軍は、1000万人以上存在すること
を意味し、極めて問題のある状況となってきた。高血圧
の成因は明らかにされていないが、素因(遺伝)と環境
(生活習慣)が関与し、その相互作用によるものと考え
られている。
【0004】高血圧を改善する薬剤、すなわち降圧剤の
開発は目覚しいものがあり、利尿剤や交感神経遮断剤
(α1遮断剤、β遮断剤)、ACE阻害剤、カルシウム
拮抗剤、アンジオテンシンII受容体拮抗剤が使用されて
きている。しかし、副作用が存在し、専門医の処方の上
で慎重かつ厳格に使用されているのが実情である。降圧
剤は具合の悪い時だけ飲めばよいというものではなく、
適量を長期にわたって服用して初めて真の効果が期待で
きる。予防にも有効とされる降圧剤であるが、医薬品で
あるだけに予防目的のために長期に渡って使用すること
は、国民医療費の増加という深刻な経済的負担を招くこ
とも明らかである。以上の理由で、誰でも気軽に利用で
き、より安価で副作用をほとんど心配する必要がなく、
手に入れやすい血圧上昇抑制物質を見つけ出すことが望
まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
経口摂取によって血圧上昇を抑制する物質で、副作用が
ほとんどなく、極めて安価で、手に入れることが容易な
物質を見つけ出し、これを含む食品や医薬品組成物とし
て提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、前
記課題を解決するために、以下のような検討を行った。 (1)スクリーニング系の検討 誰でも気軽に利用でき、安価で副作用をほとんど心配す
る必要のない、手に入れやすいと判断できる多くの物質
の中から、血圧上昇を抑制する物質を探索するには、通
常、培養細胞や臓器、酵素のレスポンスに着目したin
vitro試験管スクリーニングが実施される。しか
し、試験管スクリーニングでポジティブであったもので
も、in vivo、すなわち動物実験でポジティブと
は限らないし、逆に、生体内の状態とは微妙に異なるi
n vitro試験管スクリーニング系では、in vi
voで本来効果があるものでも、in vitroでは
効果を示さないことも予想できる。そこで、本発明者ら
は、あえて費用も時間もかかる動物実験にこだわり、ま
た動物飼育期間も2ヶ月という長期におよぶスクリーニ
ングを数多くの安全性の高い物質について実施した。
【0007】すなわち、本態性高血圧のモデル動物であ
るSHRラットを用い、週齢の増加と共に徐々に高血圧
を呈する系で、標準飼料に様々な精製物質を最終濃度が
0.3%となるよう添加、混合したサンプルを投与し
た。サンプル投与の効果は、1サンプル当たりSHRラ
ット1匹を用い、8週間飼育後、血圧値を精製物質無添
加の対照群(6匹)の平均値と比較することで評価し
た。通常、薬理試験においては、ラット等の動物の体重
に対して、一定割合の一定量の純粋な試薬水溶液を、強
制的に毎日経口投与する手法が用いられる。しかし、本
発明者らは、食事の際に有効物質もほぼ同時に摂取する
系が、安全性をより高く確保するのに適当と考え、餌に
被検物質を混合する手法を採用した。当該スクリーニン
グ系における実験の結果、SHRラットにおいて、餌に
加えられた純粋な酢酸に血圧上昇を緩和する作用がある
ことを発見し、再度匹数を増やした試験を行い確認する
と同時に、投与量を増大すると、血圧上昇抑制効果も高
まることをつきとめた。
【0008】(2)高血圧と酢酸との関係 高血圧と酢酸の関係に関し、人工臓器、21巻、p.9
58、1992年)には、長期透析患者において、高濃
度(35mM)の酢酸を含む酢酸透析液より中濃度(8
mM)の酢酸を含む重炭酸透析液に変更後、透析導入前
の高血圧が高頻度で再発することが記載されている。
【0009】(3)酢酸摂取と血中酢酸濃度との関係 ところが、上記の知見があっても、経口摂取された酢酸
は体内では速やかにアセチルCoAに変化し、代謝さ
れ、多くが二酸化炭素と水にまで完全分解されることが
わかっているため、血液中の酢酸濃度を、酢酸含有組成
物の経口摂取のみで、高いレベルに常に維持することは
不可能である。本発明者らは、後記参考例に示すよう
に、酢酸水溶液の経口摂取によって、上記の血中酢酸濃
度に維持することが困難であることを、ブタを用いた実
験で証明した。すなわち、酢酸水溶液を経口摂取させ、
時間を追って解剖していき、その時の各部位の血中酢酸
濃度を測定した。この場合、1000g中 6gの酢酸
を含む液体(酢酸水溶液:約100mM)を一気に飲ま
せたが、血中酢酸濃度が最高を示したのは、肝門脈であ
り、かつ、飲用後10分であって、 濃度は 0.8mM
であった。腹動脈では0.4 mM であり、後大静脈で
は 0.18mMにすぎなかった。しかも、飲用後30
分後には、肝門脈、腹動脈、後大静脈で、各々、0.5
mM、0.3mM、0.17mM にまで低下した。こ
のように、体液での希釈や吸収速度の関係から、経口摂
取した酢酸は、125倍以上に希釈された形で門脈に移
行すること、また、体内での酢酸の代謝は速く、速やか
に血中酢酸濃度が低下していくことや静脈での酢酸濃度
がほとんど変化しないことが明らかとなった。従って、
摂取可能な酢酸濃度で液体を摂取しても、血圧低下が生
じるほどの高濃度の酢酸を血中で維持することは困難で
ある。
【0010】事実、他の文献(麻酔と蘇生、26巻、
p.63、1990年)によると、手術に際して酢酸リ
ンゲル液1Lを点滴したところ、途中で血液中の酢酸濃
度は当然上昇したものの、その時点の血圧は低下するど
ころかやや上昇していることから、生理的な濃度で血圧
を低下させる効果は期待できないことが明らかにされて
いる上に、手術後の覚醒時には血液中の酢酸濃度はすで
に開始前のレベルにまで戻っているという実験結果か
ら、酢酸の代謝は非常に速いと判断できた。本文献で
は、試験薬剤投与開始直前での血液中の酢酸濃度が男女
15名で測定されているが、グラフから読み取ると、0
〜0.5mg/dlであった。また、手術終了時には点
滴からの酢酸の供給の結果、0.5〜2.5mg/dl
(平均1.5mg/dl)まで上昇しているが、血圧は
有意ではないものの、試験薬剤投与開始直前よりやや上
昇していた。本発明者らも独自に、空腹時におけるヒト
血中の酢酸濃度を多数測定したが、最高濃度が 0.6
mg/dl(0.1mM)、最低濃度が0(未検出)で
あり、上述の文献の結果と一致していた。このように、
(i)ヒトの血中濃度が0.1〜0.4mM付近で、酢酸
は血圧を低下させる効果を有しないこと、(ii)ヒトの
空腹時の血中酢酸濃度は0.1mM以下であること、
(iii)食酢を一度に経口摂取しても血中酢酸濃度はほ
とんど変化しないことが明らかとなった。即ち、食酢の
経口摂取によって、急性の血圧低下を期待するのは不可
能であることがわかった。
【0011】(4)食酢の効用に関する報告の検討 酢酸を高濃度に含む組成物を探してみると、調味料とし
ての食酢をあげることができる。健康雑誌や健康に関す
る書籍を見ると、食酢の一種である黒酢の飲用によって
高血圧の人の血圧が低下したとの記述がある。しかしな
がら、その有効成分が何であるかの記述は皆無である。
一方、学術文献(基礎と臨床、19巻、237ページ、
1985年)では、その有効成分を黒酢から探索してい
るが、同定には至っていない。ただ、血圧調節に働いて
いるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の阻害活性の
高い画分について、アミノ酸分析を行った結果、多種類
のアミノ酸が検出されたことから、黒酢に含まれる有効
成分はペプチド、アミノ酸と考えられる。
【0012】試験管内の実験系であっても、ACE活性
を阻害する物質であれば、in vivoで血圧低下作
用があると期待できるということから、ACE活性の阻
害程度を調べる研究も行われている。都筑らは、食酢中
のACE阻害物質について調べており(日本食品工業学
会誌、39巻、188ページ、1992年)、有機酸は
ACE阻害と関係ないと結論づけている。また松井ら
は、高麗人参酢が脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット
(SHRSP)の血圧上昇を抑制する結果を示している
が(薬理と治療、26巻、23ページ、1998年)、
考察において、高麗人参のエキスが降圧作用を示すこと
がすでに報告されているため、高麗人参酢にも降圧作用
を有する可能性があると述べている。
【0013】上記の各報告からは、食酢に血圧低下作用
があることがわかっても、食酢には、酢酸が4〜5%程
度しか含まれていないゆえ、その作用は「酢酸」ではな
く、「原料やその処理によって生じた機能性成分」により
発揮されると考えるのが妥当な状況であった。また、食
酢のように非常に多くの成分を含む食品での効果と、単
一の成分とを比較することは難しい。成分が多ければ多
いほど、ある症状にプラスに働くものもあれば、逆にマ
イナスに機能する成分も存在することが予想できる。そ
の総合的な結果が、食品の場合には現れると言って過言
ではないからである。このように、微量純粋な酢酸が長
期の経口摂取によって優れた血圧低下作用を発揮すると
いう効果は、本発明者らにより見出された初めての知見
であり、本発明はこの知見に基づいて完成されたもので
ある。
【0014】酢酸自身は酸味を呈し、これを高濃度の状
態で摂取することは現実的に無理がある。逆に低濃度化
したとしても、大量摂取は困難を伴う。従って、ある適
度な濃度域で酢酸を摂取することが必要となる。酸味を
緩和するために、アルカリによる中和や他の味成分の大
量添加を行うことも可能であるが、雑味の増大や、ミネ
ラルの過剰摂取の問題や、栄養的な偏りの課題が発生
し、簡単ではない。それゆえ、本発明においては、摂取
濃度の検討も行い、組成物1000g当たり、酢酸分子
を 0.36 g〜30g含有することが好ましいと判断
した。
【0015】また、この結果からヒトに換算を行い、体
重60kgの成人が平均して1日当たり、0.5g〜5
gの酢酸を摂取することで、高血圧が遅延すること、す
なわち高血圧予防の効果があることも明らかにした。さ
らにまた、血圧の上昇抑制が見られるのは、酢酸摂取
後、3週間を経た時期であり、逆に、2週間以内という
短期の摂取では、その効果はあまり期待できない。この
ように3週間以上という長期に渡って、摂取すること
が、効果の発現につながる。本発明の組成物を継続的に
摂取する行為は、実験の結果から、将来高血圧になる可
能性を秘めた人や、血圧値が境界領域(最高血圧が、1
40〜180 mmHg)の人にとって高血圧予防に寄
与するものである。
【0016】本発明は、上記のような各知見に基づいて
完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の発
明を包含する。 (1)長期経口摂取によって血圧上昇を抑制する組成物
であって、酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選ばれる少
なくとも一種を含有することを特徴とする、高血圧予防
用食品又は医薬品組成物。 (2)組成物1000g当たり酢酸、酢酸イオン及び酢
酸塩から選ばれる少なくとも一種を合計0.36g以上
30g以下(酢酸換算量)で含有する、(1)に記載の
組成物。 (3)酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選ばれる少なく
とも一種の摂取量が合計で1日当たり0.5g〜5g
(酢酸換算量)となるよう調製された(1)又は(2)
に記載の組成物。 (4)摂取期間が3週間以上であることを特徴とする、
(1)から(3)のいずれかに記載の組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で用いる酢酸としては、その製造法に特に
限定はなく、合成法で製造されたものでも、発酵法によ
って製造されたものでもよい。但し、食品として使用す
る場合には、使用者のイメージ上の問題から、発酵法に
よって製造された酢酸、すなわち食酢(醸造酢)を用い
るのが好適であり、中でも、すっぱさを感じにくい玄米
酢や、さわやかな香りを有するリンゴ酢などが更に好ま
しい。甘味料や香料などを駆使すれば、酸味を低減しつ
つ酢酸を供給できる。また、酢酸ナトリウムなどの各種
酢酸塩を使用することもできる。
【0018】なお、本明細書中の酢酸濃度とは、解離し
ていない酢酸分子(CH3COOH)、解離した酢酸イ
オン(CH3COO―)、及び解離していない酢酸塩を
合計したものの酢酸に換算した濃度を意味する。なぜな
ら、口から摂取した酢酸がpHの低い酢酸溶液であって
も、中和された形態の酢酸塩(例えば酢酸ナトリウム)
であっても、また解離された酢酸イオンであっても、こ
れらの吸収が行われる胃や小腸以降の腸管のpHは、組
成物の組成にそれほど影響を受けず、各部位毎にほぼ一
定に保たれているため、口に入れる段階での組成物中の
酢酸分子の存在状態が体内での酢酸の吸収には影響しな
いためである。従って、本発明の組成物は、酢酸、酢酸
イオン及び酢酸塩(以下、場合により「酢酸類」とい
う。)から選ばれる少なくとも一種を含有すればよい。
【0019】酢酸類の測定には、例えば東京理化器械
(株)製のカルボン酸分析計(EYELA carboxylic
acid analyzer S−3000)を用いることができ
る。各種有機酸をカラムによって分別し、カルボキシル
基と特異的に反応する原理を採用して有機酸を検出する
本装置を用いることで、解離、非解離に関係なく、溶液
中に含まれる酢酸類を定量することができる。本発明の
組成物は、酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選ばれる少
なくとも一種と、他の原料(食品原料、医薬原料)の適
当量を混合することにより得ることができる。
【0020】本発明の組成物の形態としては特に制限が
なく、例えば特定保健用食品(健康食品)、酢の物、寿
司、マリネ、飲料、医薬品(錠剤、カプセル剤、散剤、
顆粒剤、細粒剤、ドリンク剤)などが挙げられる。酢酸
類の添加方法についても特に制限はなく、一般的な方法
によればよいが、酢酸を塩の形態でなく、合成酢酸や醸
造酢のような低pH溶液の形態で使用する場合には、飲
みやすさ、食べやすさの問題で、低pH化による“すっ
ぱさ”に注意が必要である。具体的には、低pH溶液は
摂取の際に、のどごしが悪く、むせる等の問題が発生す
る。高濃度としたい場合は、酢酸塩の利用及び/又はカ
プセル化等の態様をとることができる。
【0021】組成物に加える酢酸類の濃度は、液体の場
合は、6mM以上、固形物を含む場合は、組成物100
0g当たり酢酸類を0.36g以上含むことが必要があ
る。これ未満の濃度では、極めて多量の食事をとった
り、多量のドリンクを飲む必要が出てくるためである。
ここでは、1日当たりの摂取量を、食事の場合は115
0g程度、ドリンクの場合も同様な1L程度と見なした
上で算出し、設定している。
【0022】一方で、1日当たりの必要摂取量として
は、酢酸(分子)として、0.5g〜5g程度である。
酢の物や寿司の場合では、これらを1日当たり1人前以
上摂取することで、有効酢酸分子の必要量を摂取するこ
とが可能である。また、リンゴ酢等の食酢を含んだドリ
ンクを1日当たり50mlから1L程度摂取することで
も、有効酢酸分子の必要量を摂取することが可能であ
る。なお、酢酸(分子)を5g以上摂取することは可能
ではあるものの、食品としての味・食べやすさ・飲みや
すさを考慮すると、5gを超えて摂取するのはあまり好
ましいものではない。
【0023】あまりに高濃度の場合で、しかも、中和さ
れていない酢酸を使用する場合には、胃や腸などの消化
管の障害を考慮した摂取が必要となる。文献(Japan J.
Pharmacol.、41巻、p.101、1986年、Med.S
ci.Monit.、5巻、p.1031、1999年)による
と、酢酸3%までは、胃への障害というよりは、むし
ろ、胃粘膜を保護する作用があるとの記述がある。従っ
て、この3%程度までならば、飲料の形で直接摂取して
も、大きな問題になることはない。酢酸のLD50に関し
てはマウスを用いた学術報告があり(日本栄養・食糧学
会誌、36巻、p.283、1983年)、この研究結
果から、食酢5ml/体重1kg、すなわち体重60k
gの成人では、1回当たり300mlまでの食酢を飲む
のであれば、特に消化管障害は生じないとの考察がなさ
れている。
【0024】酢酸の効果は、具体的には、1日当たり
0.5g〜5g程度を長期経口摂取することによって、
血圧を低下させる効果が期待できる。ここで、長期経口
摂取とは、動物実験によって血圧が対照と比較して統計
学的に有意に低値となるのが試験食に切り換えて3週間
後であることが確認されたことから、少なくとも3週間
の継続摂取をいう。本発明の組成物は、高血圧症、特に
は、原因疾患が明らかでなくその90%を占めるとされ
ている本態性高血圧やそれによって併発する脳血管障
害、心疾患、その他の血管病変の予防に効果的である。
【0025】
【実施例】以下に本発明を実施例にて説明するが、本発
明はこれらにより何ら限定されるものではない。 〔参考例〕 (ブタを用いた酢酸の経口摂取試験) 1.方法 (1)被験物質 被験物質として、蒸留水または試薬の酢酸(特級)を蒸
留水にて希釈して6%(W/W)とした水溶液を各々1
50ml準備し、これらをサンプルとした。 (2)投与方法 被験動物として、各サンプル投与群につき5匹のブタ
(体重約20kg)を使用した。被験動物は、試験前夜
から絶食絶飲とした。また、試験当日に鎮静剤を投与し
た。鎮静状態を確認後、経口で胃内投与とした。 (3)投与後の屠殺 水の場合は投与後10分に、酢酸水溶液の場合は、投与
後、10分、30分、60分後にそれぞれ屠殺した。 (4)測定項目 肝門脈、腹動脈、後大静脈の3箇所から採血し、血清中
の酢酸濃度をガスクロマトグラフ法にて測定した。
【0026】2.結果 血清中の酢酸濃度は以下の結果となった。 (1)肝門脈:図1に示した。酢酸摂取10分の群は、
他の3群と比較して有意に高い値を示した。(ANOV
A検定にて有意差あり;p<0.05 ) (2)腹動脈:図2に示した。酢酸摂取10分の群は、
他の3群と比較して有意に高い値を示した。ANOVA
検定にて有意差あり;p<0.05 ) (3)後大静脈:図3に示した。どの群も他の群と比較
して、有意差はなかった。(p>0.05)
【0027】このように、約100mMの酢酸水溶液の
摂取によって、10分後に門脈では比較的高い酢酸濃度
を示すものの、時間と共に、急速に門脈中での酢酸濃度
減少が認められた。動脈では、門脈同様、摂取10分後
に最高値を示したが、30分後には、通常レベルにまで
戻った。末梢での酢酸の急速な取り込み・利用が生じて
いるため、大静脈での酢酸は、酢酸摂取にも関わらず、
実質的な濃度上昇は認められなかった。最も高い酢酸濃
度を示したのは、酢酸摂取10分後の門脈で、その値は
約0.8 mM であったが、これは投与濃度の125分
の1にまで希釈されていることを意味する。
【0028】このように酢酸の代謝は速く、摂取30分
後には、空腹時とほとんど変わりがない程のレベルにま
で戻っていることが明らかになった。なお、本実験は屠
殺する必要があることから、人での試験は困難である
が、ブタの体重は約20kgであることより、ヒト成人
(60kg)に換算すると、450mlのドリンクを一
気に飲用したことに該当する。また、人の透析に用いら
れている透析液に含まれる酢酸の濃度(8〜35mM)
にまで血中酢酸濃度を高めることは、ドリンク摂取によ
っては不可能と判断できた。
【0029】〔実施例1〕(SHRラットによる酢酸の
効果確認試験) 1.方法 (1)被験物質 試薬の酢酸(特級)を蒸留水にて希釈して5%(W/
V)とした水溶液を、粉末飼料に3%添加した飼料(試
験食)、および何も加えない粉末飼料(対照)を用意
し、これらをサンプルとした。 (2)投与方法 被験動物として、各サンプル投与群(試験食群、対照
群)1群につき6匹の高血圧自然発症ラット〔SPF、
SHR/NCrj、雄、4週齢;日本チャールズ・リバ
ー(株)〕を使用した。餌および水道水は自由摂取とし
た。 (3)投与期間 試験食の投与開始日を1日とし、8週間とした。 (4)試験系 上記被験動物は5日間の予備飼育期間を設けた。温度2
0〜26℃、湿度40〜70%で飼育し、明暗各12時
間で行った。 (5)血圧・心拍数の測定 1週間毎に、非観血的血圧および心拍数を測定した。血
圧の測定は、非観血的血圧測定装置を用いて Tail
caff法により測定した。心拍数は血圧の脈拍をトリ
ガーとして測定した。なお、測定は5回行い、その平均
値を算出した。
【0030】2.結果 (1)体重増加量、摂餌量、摂水量 試験開始時において、対照群の体重は平均102.5g
に対して、試験食群のそれは、平均101.8gであり
統計学的に有意差はなかった。8週間後の体重は、図4
に示すように対照群と試験食群の両者間に有意差はなか
った(t 検定にて、p>0.05)。摂餌量(図5)
や摂水量(図6)においても、これも両者間に有意差は
なかった(検定はt検定法により実施。 p<0.05
を有意差ありとした。)
【0031】(2)血圧、心拍数 試験食群では、血圧が対照群と比較して有意に低い時期
は、4週目から8週目までであり、血圧の上昇を抑制し
ていることが確認できた(図7)(p<0.05)。心
拍数に関しても、血圧とほぼ似通った挙動を示したが
(図8)、対照群と有意差はいずれの時期においても有
意差は認められなかった。
【0032】〔実施例2〕(酢酸投与量を変えた餌を用
いたSHRラットの飼育試験) SHRの系統、餌の種類、餌への酢酸添加量を除けば、
実験方法・条件は、ほぼ実施例1に準じて行った。試験
区は、試薬の酢酸(特級)を蒸留水にて希釈して5%
(W/V)とした水溶液を、粉末飼料(ラボMRストッ
ク、日本農産工業製、滅菌して使用)に、0.36%、
0.72%、1.5%、3%、6%、9% 添加した飼
料をそれぞれ投与する群、および何も添加しない粉末飼
料を投与する群(対照群)を含む、合計7群を設定し
た。
【0033】使用した動物は、SHR/Hos ラット
(SPF)4週齢で、各群、動物は6匹ずつ使用した。
8週間まで継続的に血圧を測定したところ(図9)、
0.36%添加系では、いずれの時期においても対照群
に対して、有意差はなかった。0.72%添加系では5
週目以降に、1.5%添加系では4週目以降に、3〜9
%添加系では3週目以降に、対照群と比較して有意に低
いことが認められた(ANOVA検定実施、p<0.0
5で有意差ありとした)。このことより、血圧の上昇抑
制のためには、餌に5%酢酸溶液を0.72%以上、す
なわち、酢酸(分子)を餌1000g当たり、0.36
g以上含有させることが必要であることがわかった。な
お、体重、摂餌量に各群間で有意差はなかった(ANO
VA検定実施:対照群の体重は0週目が71.8gで8
週目が275.7g、対照群の摂餌量は0週目が15.
1gで7週目が20.5g )。血圧が対照群に対して
有意に低くなったのは、酢酸含有餌を食べ始めて3週間
目であり、2週間目までは有意差はなかった。このこと
から、酢酸を少なくとも3週間は継続して摂取すること
が必要であり、2週間以内ではほとんど効果がないこと
を示している。
【0034】最新の国の統計(国民栄養の現状、健康・
栄養情報研究会 編、第一出版、p.78、2000
年)によると、調味嗜好飲料や牛乳・果汁のような飲料
を除くと、日本人は平均で1116gの食品を1日当た
り摂取していることになっている。従って、上記の有意
差が認められた含量(5%酢酸水溶液が餌中に0.72
%〜9%含有)を1116g当たりに換算すると、酢酸
(分子)として、 約0.5g〜5gの量となる。すな
わち、1日当たり、平均して 酢酸(分子)を 0.5g
〜5g摂取すると、高血圧の予防が期待できる。
【0035】〔実施例3〕 (組成物(飲料)の製造例
およびその評価) 以下の組成で飲料を製造した。すなわち、酢酸(食品添
加物)5g、スクラロース(食品添加物)0.2gを水
に加えて1Lとし、混合溶解して飲料を調製した。この
飲料の酢酸分子濃度は、83mMであった。該飲料は、
適度の酸味を有する清涼感のある可飲適性に優れた飲料
であり、酢酸分子の効果により、1日当たり100ml
から1L程度を(0.5g〜5gの酢酸分子)、3週間
以上の長期に飲用することで、高血圧が予防できると考
えられる。
【0036】また、成人20名を用いた試飲試験を行っ
た。本ドリンク1000g中における酢酸の濃度を、各
々、1g、5g、10g、30g、50g の5段階で
変化させ、評価したところ、50gでは19名が問題が
あるとの指摘をした。30gでは問題あるとの認識を示
した人数は、10名にすぎず、10g以下では18名以
上の人が飲みやすいとの回答を示した。従って、ドリン
ク中の酢酸濃度は、1000g中、30g以下が好まし
いと判断できた。
【0037】〔実施例4〕 (食品の製造例) 以下の組成で酢酸含有食品(4人前)を製造した。すな
わち、グリーンアスパラ12本、ベーコン2枚、かつお
ぶし2g、醤油30ml、酢酸(食品添加物)2.3
g、水道水45mlをよく混合して作成した。この食品
の液体部分の酢酸分子濃度は、約500mM(液体1L
当たり、約30gの酢酸分子を含有)であった。該食品
は、適度の酸味を有する清涼感のある可食適性に優れた
酢の物であり、酢酸分子の効果により、1日当たり1人
前から、毎食時に1人前食べる形、すなわち1日当たり
3人前程度を(1日当たり0.58g〜1.73gの酢
酸分子)長期に食することで、血圧上昇が抑制され、そ
の結果、高血圧を予防できると考えられる。
【0038】〔実施例5〕(食品の製造例) 以下の組成及び手順で酢酸含有食品を製造した。すなわ
ち、まず材料として、米3合、水3合、甘塩鮭3切れ、
生しいたけ(千切り)4個、しめじ1パック、錦糸卵卵
3個分、青じそ(千切り)10枚、混合調味料A(酒大
さじ2、水大さじ2、塩ひとつまみの混合液)、混合調
味料B(米酢(酢酸濃度4.5%)大さじ4、砂糖大さ
じ5、塩小さじ2の混合液)を準備する。 (1)焼いた甘塩鮭をのせて米を炊き、蒸らす。(2)
鮭を取り出し、骨と皮を除いた後、大きくほぐす。
(3)生しいたけ及びしめじを合わせて、調味料Aで酒
蒸しする。(4)ご飯を調味料Bであえ、すし飯を作
る。(5)これに、ほぐした鮭、酒蒸しした生しいたけ
及びしめじを加えて混合し、錦糸卵及び青じそ(千切
り)を散らす。該食品は、適度の酸味を有し、美味しさ
に優れた寿司であり、酢酸分子を前記食品当たり約2.
7g含み、1日当たり、前記仕上がり食品の1/4〜1
/3程度の量(0.68g〜0.9gの酢酸分子)を1
回〜3回食することによって(計 0.68g〜2.7
gの酢酸分子)、血圧上昇が抑制され、その結果、高血
圧を予防できると考えられる。
【0039】〔実施例6〕(飲料の製造例) 以下の組成で飲料を製造した。すなわち、酢酸(食品添
加物)5g、ステビオサイド(食品添加物)0.5gを
水に加えて1Lとし、混合溶解して飲料を調製した。こ
の飲料の酢酸分子濃度は、83 mMであった。該飲料
は、適度の酸味を有する清涼感のある可飲適性に優れた
飲料であり、酢酸分子の効果により、1日当たり100
mlから1L程度を(0.5g〜5gの酢酸分子)長期
に飲用することで、血圧上昇が抑制され、その結果、高
血圧を予防できると考えられる。
【0040】〔実施例7〕 (飲料の製造例) 以下の組成で飲料を製造した。すなわち、リンゴ酢(酢
酸濃度5%)小さじ2、はちみつ小さじ2、冷水150
mlを混合溶解して飲料を調製した。この飲料の酢酸分
子濃度は、約120mMであった。該飲料は、適度の酸
味を有する清涼感のある可飲適性に優れた飲料であり、
酢酸分子の効果により、1日当たり100mlから70
0ml程度(0.7g〜5gの酢酸分子)を長期に飲用
することで、血圧上昇が抑制され、その結果、高血圧を
予防できると考えられる。
【0041】〔実施例8〕 (粉末の製造例) 酢酸をデキストリンに吸着・乾燥させ、酢酸を15%
(W/W)の含量で含む粉末を調製した。この粉末6重
量部を、砂糖、脱脂粉乳及び乳糖からなる粉末94重量
部に添加し、充分混合して粉末を得た。該粉末は、適度
の酸味を有し、1日当たり100g(0.9gの酢酸分
子)を長期に経口摂取することで、血圧上昇が抑制さ
れ、その結果、高血圧を予防できると考えられる。
【0042】〔実施例9〕 (錠剤の製造例) 酢酸ナトリウムを錠剤100g当たり1.25g(1錠
当たり25mg)含む錠剤を製造した。該錠剤を1日当
たり70g(35錠、0.63gの酢酸分子)を長期経
口摂取することで、血圧上昇が抑制され、その結果、高
血圧を予防できると考えられる。
【0043】〔実施例10〕 (高血圧症者での酢酸の
効果確認試験) 1.方法 (1)被験飲料 被験飲料は、酢酸1.5gを含有する飲料、酢酸0.7
5gと乳酸1gを含有する飲料、および酢酸の代わりに
乳酸を2gを含有するプラセボ飲料(いずれも100m
l/本)を用いた。表1に各被験飲料の組成を示す。3
飲料は、酸味が若干異なる以外、外観、甘味、塩味等が
ほとんど同じであり、外観上まったく区別できないこと
を確認した。酢酸としては、酸味が穏やかで、風味も好
ましい食酢((株)ミツカン社製「リンゴ酢」:酢酸濃
度5%(W/V))を用いた。乳酸は発酵乳酸を使用し
た。
【0044】
【表1】
【0045】(2)対象 1)選定基準 対象は、試験開始前の3ヶ月間において、収縮期血圧が
140〜180mmHgあるいは拡張期血圧が90〜105
mmHgを持続的に呈する軽症および中等症高血圧症者とし
た。ただし、二次性高血圧症の者、医師により緊急的に
降圧剤の投与が必要と判断された者、アルコール中毒、
重度の貧血のある者、重篤な疾患に罹患中の者は除外し
た。さらに、なんらかの内服薬を定期的に服用していた
者および血圧に影響を与える可能性のあるサプリメント
の常飲者は除外した。 2)対象被験者 上記の条件を満たすボランティア57名を収縮期血圧、
拡張期血圧、年齢、性別においてマッチングするよう1
9名ずつ3群に分けた。57名中、個人的理由で投与期
間中にのべ8日間以上飲用を怠った者2名と検査日に来
院が困難となった者4名の計6名についてはデータ解析
から排除した。結果として、解析対象となった有効対象
者数は51名で、年齢は51.2±8.1歳、男性31
名、女性20名であった。3群間で、年齢、性別、体
重、BMI、血圧、脈拍に有意な差を認めなかった。
【0046】(3)試験の概要 1)試験方法 試験は二重盲検法を採用し、2種の酢酸含量の異なる酢
酸含有飲料とプラセボ飲料の3群間並行群間比較試験と
した。 2)試験期間 試験期間は、前観察(非摂取)期間3週間、摂取期間8
週間、後観察(非摂取)期間4週間の計15週間とし
た。 3)摂取方法 被験飲料の摂取は、現状の食生活を行いながら、1日1
回、毎朝、プラセボ飲料(100ml)もしくは酢酸を
0.75g、あるいは酢酸を1.5g含有する100m
l酢酸含有飲料のうちいずれかを1本(100ml)を
摂取することとした。被検者には、試験期間中、暴飲暴
食を避けるよう指導を行い、それ以外の日常生活につい
ては特に変えることのないよう指示した。
【0047】(4)検査項目および方法 1)血液検査および尿検査 試験開始前に実施した予備検査を除き、試験期間中にお
いて、前観察期間の終了時(摂取期間直前)、摂取期間
の終了時の計2回、血液・尿検査を実施した。血液検査
は、前夜9時以降の飲食を避けた空腹状態で、午前8時
30分から11時までに採血を終えるように実施し、臨
床検査会社に測定を依頼した。また、採血は、血清タン
パク成分や血清脂質値、レニン活性への外因的影響を避
けるため10分以上の安静状態を維持した後、坐位にて
行った。尿検査は、試験紙法を採用し、糖、タンパク、
ウロピリノーゲン、潜血を検査した。
【0048】2)血圧および身体測定 血圧・脈拍測定は、午前8時30分から11時30分と
し、被験者毎に検査時間を固定した。検査当日は水およ
び被験飲料以外はなにも摂取しない状態で来院させ、来
院後10分間以上の安静の後、座位・着衣脱靴状態で、
左腕肘部を測定部位とし、1分間の間隔をあけて3回測
定した。血圧測定値は、収縮期血圧が中央値を示した際
の血圧および脈拍数をその日の血圧・脈拍数とした。血
圧測定は試験期間中において、前観察期間前、摂取期間
直前、摂取開始後の2、4、6、8週間目、摂取終了か
ら2、4週間目(後観察期間)の合計8回実施した。体
重は、医師診察・問診時に測定を行った。体重測定は、
着衣による影響を出来る限り除外できるように心掛け
た。 3)診察・問診 医師による診察および問診を行い、有害事象をすべて記
録した。特に、自覚症状および副作用の出現の有無につ
いては詳細に問診を行った。
【0049】(5)解析方法 摂取期間における血圧および脈拍数の群間比較は、二元
配置分散分析(ANOVA)を行い、摂取被験飲料および摂取
期間の主効果と交互作用について解析した。さらに、摂
取期間に主効果がみられた場合、摂取直前の血圧値との
多重比較検定をDunnet 多重比較検定法により行った。
また、それ以外の被験者内測定値および血液検査結果に
ついてはpaired t testを、摂取被験飲料間についてはt
testを採用した。なお、統計ソフトは(株)SPSS社製S
PSS Ver.10を使用し、いずれも有意水準は両側検定で5
%以下とした。
【0050】2.結果 (1)血圧・脈拍数 試験期間中における血圧および脈拍の推移を表2に示
す。収縮期血圧において、二元配置分散分析の結果、摂
取期間中の収縮期血圧が3群間で異なる変動を示した
(P<0.05)。酢酸1.5g/day摂取群(以下、hig
h-dose群)、酢酸0.75g/day摂取群(以下、low-do
se群)では、摂取6週間から摂取終了まで有意な降圧効
果が認められた。一方、プラセボ飲料摂取群(以下、pl
acebo群)では、摂取期間中を通じて血圧に有意な変化
はみられなかった。摂取直前を基準とした収縮期血圧変
化量では、high-dose群で摂取4週間後以降に、またlow
-dose群では摂取6週間後以降に、placebo群と有意差が
みられた(表3)。high-dose群とlow-dose群間におい
ては有意差は認めなかった。拡張期血圧は、二元配置分
散分析の結果、被験飲料と摂取期間に交互作用を認めず
摂取期間に主効果を認めた(P<0.05)。high-dose群
では摂取4週間後以降、またlow-dose群では摂取6週間
後以降に有意な血圧降下がみられた(P<0.05)が、p
lacebo群では摂取期間中有意な変動はみられなかった。
摂取直前を基準とした拡張期血圧変化量では、high-dos
e群において摂取4週間後以降にplacebo群と有意差が認
められた。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】(2)体重・BMI BMIは、摂取前後でいずれの群も有意な変化はみられ
なかった。 (3)血液検査値・尿検査 いずれの群についても、いくつかの項目で摂取前後の値
に有意差がみられたが、いずれも正常範囲内のわずかな
変化であり、症例ごとに調査した結果、正常値から異常
値へ変動した症例は1例もないことが確認された。ま
た、尿検査については、いずれの群においても、各1例
ずつ、潜血尿もしくは異常変動がみられたが、問題とな
る異常ではなかった。 (4)診察・問診 摂取飲料群間の有害事象発現率に差はみられなかった。
また、いずれの有害事象も被験飲料との因果関係は乏し
いと判断された。診察・問診においては、特記すべき症
状はいずれの群も認められなかった。
【0054】3.まとめ 以上の結果より、酢酸を1日当たり当たり0.75g、
あるいは1.5g程度、少なくとも4週間以上継続摂取
することにより、軽症および中等症高血圧症者の血圧が
有意に下がることが確認され、本発明にかかる組成物の
上記高血圧症者における有効性が確認された。同時に、
安全性の点でも、酢酸含有飲料は何ら問題がないことが
証明された。
【0055】
【発明の効果】本発明により、血圧上昇を抑制せしめる
安全で安心な組成物が提供される本発明の組成物は、血
圧上昇を抑制することができる。特に、血圧が境界領域
であったり、本態性高血圧の宿命を有する生活者にとっ
て、血圧上昇の抑制に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】対照群と酢酸群(摂取10分、30分、60
分)における肝門脈中の酢酸濃度を示す図である。
【図2】対照群と酢酸群(摂取後10分、30分、60
分)における腹動脈中の酢酸濃度を示す図である。
【図3】対照群と酢酸群(摂取後10分、30分、60
分)における大静脈中の酢酸濃度を示す図である。
【図4】対照群と酢酸群における体重変化を示す図であ
る。
【図5】対照群と酢酸群における摂餌量変化を示す図で
ある。
【図6】対照群と酢酸群における摂水量変化を示す図で
ある。
【図7】対照群と酢酸群における血圧変化を示す図であ
る。
【図8】対照群と酢酸群における心拍数変化を示す図で
ある。
【図9】対照群と酢酸群(0.36%、0.72%、
1.5%、3%、6%、9%添加)における血圧変化を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B017 LC03 LK08 LK26 LL09 4B018 LB08 LB10 LE01 LE03 LE05 LE06 MD09 ME04 4C206 AA01 AA02 DA02 MA01 MA04 MA72 NA14 ZA42

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長期経口摂取によって血圧上昇を抑制す
    る組成物であって、酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選
    ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする、高
    血圧予防用食品又は医薬品組成物。
  2. 【請求項2】 組成物1000g当たり酢酸、酢酸イオ
    ン及び酢酸塩から選ばれる少なくとも一種を合計0.3
    6g以上30g以下(酢酸換算量)で含有する、請求項
    1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 酢酸、酢酸イオン及び酢酸塩から選ばれ
    る少なくとも一種の摂取量が合計で1日当たり0.5g
    〜5g(酢酸換算量)となるよう調製された請求項1又
    は2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 摂取期間が3週間以上であることを特徴
    とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成
    物。
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