JP2002253224A - 酵素活性誘導剤 - Google Patents

酵素活性誘導剤

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JP2002253224A
JP2002253224A JP2001058701A JP2001058701A JP2002253224A JP 2002253224 A JP2002253224 A JP 2002253224A JP 2001058701 A JP2001058701 A JP 2001058701A JP 2001058701 A JP2001058701 A JP 2001058701A JP 2002253224 A JP2002253224 A JP 2002253224A
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alkyl group
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hydrogen atom
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English (en)
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Keiji Sakamoto
恵司 坂本
Shinji Kita
伸二 北
Kazuya Tsuzaki
和也 津崎
Tadanori Morikawa
忠則 森川
Akira Shimizu
昌 清水
Michihiko Kataoka
道彦 片岡
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Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Pharma Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 α−アミノケトン化合物またはその塩のエナ
ンチオマー混合物からジアステレオマー副生成物の生成
を十分に防止しつつ、所望の光学活性を有するβ−アミ
ノアルコールを高収率かつ高選択的に簡易な工程で製造
すること。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、 【化2】 【化3】 で表されるα−アミノケトン不斉還元酵素の活性誘導
剤、および、前記活性誘導剤を用いたβ−アミノアルコ
ールの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性β−アミ
ノアルコールの製造方法に関し、より詳細には医薬また
はその中間体として有用な光学活性β−アミノアルコー
ルの効率的な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エフェドリンは古くから発汗、解熱、鎮
咳等の目的に用いられてきたが、中でもd−プソイドエ
フェドリンは抗炎症作用を有することが知られている。
また、l−エフェドリンには血管収縮作用、血圧上昇作
用または発汗等の薬理作用が知られており、交感神経興
奮剤として医療に使用される。また、l−エフェドリン
は気管支喘息治療にも使用される。すなわち、光学活性
なエフェドリンを含む光学活性β−アミノアルコールを
製造する方法は、医薬またはその中間体を製造する過程
において有用であり、効率的な製造方法が望まれてい
る。
【0003】従来、所望の光学活性を有するβ−アミノ
アルコールの製造方法としては、ラセミ体のβ−アミノ
アルコールを得た後、光学分割あるいは不斉合成等によ
って特定の光学活性体を製造する方法が用いられてい
た。
【0004】しかし、ラセミ体のβ−アミノアルコール
は、その分子内に2個の不斉炭素を有するため、特定の
光学活性体を得るためには煩雑な工程を経なければなら
なかった。例えば、Ger. (East) 13683, Aug. 27, 1957
によれば、β−アミノアルコールの一種である光学活性
エフェドリンの場合、ベンズアルデヒドから酵母を利用
した発酵によって得られた光学活性フェニルアセチルカ
ルビノールにメチルアミンを還元縮合することにより、
エリスロ−l−2−メチルアミノ−1−フェニル−1−
プロパノール、すなわち、l−エフェドリンを製造する
ことができた。
【0005】また、プソイドエフェドリンを得るために
は、前記Ger. (East) 13683, Aug.27, 1957に記載の方
法等で製造したl−エフェドリンから無水酢酸によって
オキサゾリンを生成した後、加水分解し、スレオ体すな
わちd−プソイドエフェドリンに反転することにより製
造可能であることが米国特許第4237304号に記載されて
いる。
【0006】上記のように、2−メチルアミノ−1−フ
ェニル−1−プロパノンから所望の光学活性を有するプ
ソイドエフェドリンを製造するためには、一旦、光学活
性なエリスロ体のエフェドリンを得た後、スレオ体に反
転させるという工程が必要となるため、工程数も長く煩
雑となり、収率も低下するという問題があった。
【0007】さらに、前記プソイドエフェドリンの製造
においては、原料のケトン体の還元時にジアステレオマ
ーが相当量副生する一方、ジアステレオマーの原料とし
ての回収が困難であり、経済的にも不利であった。
【0008】一方、特開平8−98697号公報記載の方法に
よれば、分子内に不斉炭素原子1個を有する2−アミノ
−1−フェニルエタノール化合物から特定の微生物を用
いて光学活性な2−アミノ−1−フェニルエタノール誘
導体を製造することができるが、2個の不斉炭素原子を
有するβ−アミノアルコールについては未だ効率的な製
造方法がないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する課題に鑑みてなされたものであり、α−アミ
ノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混合物か
らジアステレオマー副生成物の生成を十分に防止しつ
つ、所望の光学活性を有するβ−アミノアルコールを高
収率かつ高選択的に簡易な工程で製造することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の微生物を
用いることにより、α−アミノケトン化合物またはその
塩のエナンチオマー混合物の一方の鏡像異性体のみを還
元し、対応するβ−アミノアルコールの4種の異性体の
うち、所望の1種のみを高選択的かつ高収率で製造する
ことができることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】すなわち、本発明の酵素活性誘導剤は、一
般式(1)
【0012】
【化9】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、
【0013】
【化10】 (R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
1〜3のアルキル基、R8と結合してなる炭素数5〜1
0の炭化水素環またはR8と結合してなる1〜3個のヘ
テロ原子を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表
す。)、
【0014】
【化11】 (R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、若し
くはR6またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R6は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアル
キル基、R8と結合してなる炭素数5〜10の炭化水素
環、R5またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R7は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表し、R8は水素原子、カルボキシル基、置換
基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R4
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格、R6と結合してなる炭素数5〜10
の炭化水素環を表し、R9は水素原子、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル
基、置換基を有していてもよいアシル基、R5またはR6
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格を表し、R10は水素原子または置換さ
れていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で
表される化合物からなるα−アミノケトン不斉還元酵素
の活性誘導剤である。
【0015】また、本発明のβ−アミノアルコールの製
造方法は、一般式(2)
【0016】
【化12】 (式中、Xは同一または異なっていてもよく、ハロゲン
原子、低級アルキル基、保護基で保護されていてもよい
ヒドロキシル基、ニトロ基およびスルホニル基からなる
群より選ばれる少なくとも一種を示し、nは0〜3の整
数を示し、R1は水素原子または低級アルキル基を示
し、R2,R3は同一または異なっていてもよく、水素原
子および低級アルキル基からなる群より選ばれる少なく
とも一種を示し、*は不斉炭素を示す)で表されるα−
アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混合
物に対して、一般式(1)
【0017】
【化13】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、
【0018】
【化14】 (R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
1〜3のアルキル基、R8と結合してなる炭素数5〜1
0の炭化水素環またはR8と結合してなる1〜3個のヘ
テロ原子を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表
す。)、
【0019】
【化15】 (R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、若し
くはR6またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R6は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアル
キル基、R8と結合してなる炭素数5〜10の炭化水素
環、R5またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R7は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表し、R8は水素原子、カルボキシル基、置換
基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R4
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格、R6と結合してなる炭素数5〜10
の炭化水素環を表し、R9は水素原子、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル
基、置換基を有していてもよいアシル基、R5またはR6
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格を表し、R10は水素原子または置換さ
れていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で
表される化合物存在下で微生物を培養させて、一般式
(3)
【0020】
【化16】 (式中、X、n、R1、R2、R3および*は前記と同じ)
で表される光学活性β−アミノアルコール化合物であっ
て、所望の光学活性を有する該化合物を生成せしめるこ
とを特徴とする光学活性β−アミノアルコールの製造方
法である。
【0021】ここで、前記微生物が、モルガネラ(Morga
nella)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ス
ヒンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、ノカルディ
オイデス(Nocardioides)属、ムコー(Mucor)属、アブシ
ジア(Absidia)属、アスペルジラス(Aspergillus)属、ペ
ニシリウム(Penicillium)属、グリフォーラ(Grifola)
属、ユーロチウム(Eurotium)属、ガノデルマ(Ganoderm
a)属、ハイポクレア(Hypocrea)属、ヘリコスチルム(Hel
icostylum)属、バーチシリウム(Verticillium)属、フサ
リウム(Fusarium)属、トリチラチウム(Tritirachium)
属、モルチエレラ(Mortierella)属、アルミラリエラ(Ar
millariella)属、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)
属、クレブシエラ(Klebsiella)属、アウレオバクテリ
ウム(Aureobacterium)属、キサントモナス(Xanthomo
nas)属、シュ−ドモナス(Pseudomonas)属、マイコバ
クテリウム(Mycobacterium)属、スポロボロマイセス
(Sporobolomyces)属、スポリディオボルス(Sporidio
bolus)属、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属、コプ
リヌス(Coprinus)属、セラチア(Serratia)属、ロドコ
ッカス(Rhodococcus)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属
に属する微生物群から選ばれる少なくとも一つの微生物
であることが好ましい。
【0022】中でも、前記微生物が、モルガネラ(Morga
nella)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、ス
ヒンゴバクテリウム(Sphingobacterium)属、ノカルディ
オイデス(Nocardioides)属、ムコー(Mucor)属、アブシ
ジア(Absidia)属、アスペルジラス(Aspergillus)属、ペ
ニシリウム(Penicillium)属、グリフォーラ(Grifola)
属、ユーロチウム(Eurotium)属、ガノデルマ(Ganoderm
a)属、ハイポクレア(Hypocrea)属、ヘリコスチルム(Hel
icostylum)属、バーチシリウム(Verticillium)属、フサ
リウム(Fusarium)属、トリチラチウム(Tritirachium)
属、モルチエレラ(Mortierella)属、アルミラリエラ(Ar
millariella)属、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)
属、クレブシエラ(Klebsiella)属、アウレオバクテリウ
ム(Aureobacterium)属、キサントモナス(Xanthomonas)
属、シュ−ドモナス(Pseudomonas)属、マイコバクテリ
ウム(Mycobacterium)属、スポロボロマイセス(Sporobol
omyces)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、ロ
ドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物群から選ば
れる少なくとも一つの微生物である場合には、前記一般
式(3)で表される光学活性β−アミノアルコールとして
(1S,2S)−アミノアルコールが得られる傾向にあ
る。
【0023】また、前記微生物が、アミコラトプシス(A
mycolatopsis)属、コプリヌス(Coprinus)属、セラチア
(Serratia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ロドト
ルラ(Rhodotorula)属に属する微生物群から選ばれる少
なくとも一つの微生物である場合には、前記一般式(3)
で表される光学活性β−アミノアルコールとして(1
R,2R)−アミノアルコールが得られる傾向にある。
【0024】さらに、前記光学活性β−アミノアルコー
ルの製造方法としては、前記一般式(1)で表される化
合物を添加した微生物培養用培地中で微生物を培養した
後、前記一般式(2)で表されるα−アミノケトン化合
物に前記微生物を作用させることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて詳細に説明する。
【0026】まず、本発明のα−アミノケトン不斉還元
酵素の活性誘導剤について説明する。
【0027】本発明のα−アミノケトン不斉還元酵素の
活性誘導剤は、一般式(1)
【0028】
【化17】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、
【0029】
【化18】 (R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
1〜3のアルキル基、R8と結合してなる炭素数5〜1
0の炭化水素環またはR8と結合してなる1〜3個のヘ
テロ原子を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表
す。)、
【0030】
【化19】 (R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、若し
くはR6またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R6は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアル
キル基、R8と結合してなる炭素数5〜10の炭化水素
環、R5またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R7は、水
素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアル
キル基を表し、R8は水素原子、カルボキシル基、置換
基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R4
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格、R6と結合してなる炭素数5〜10
の炭化水素環を表し、R9は水素原子、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有して
いてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル
基、置換基を有していてもよいアシル基、R5またはR6
と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
のヘテロ環状骨格を表し、R10は水素原子または置換さ
れていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で
表されるα−アミノケトン不斉還元酵素の活性誘導剤で
ある。
【0031】本発明にかかるα−アミノケトン不斉還元
酵素は、一般式(2)
【0032】
【化20】 (式中、Xは同一または異なっていてもよく、ハロゲン
原子、低級アルキル基、保護基で保護されていてもよい
ヒドロキシル基、ニトロ基およびスルホニル基からなる
群より選ばれる少なくとも一種を示し、nは0〜3の整
数を示し、R1は水素原子または低級アルキル基を示
し、R2,R3は同一または異なっていてもよく、水素原
子および低級アルキル基からなる群より選ばれる少なく
とも一種を示し、*は不斉炭素を示す)で表されるα−
アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混合
物に作用して、対応する一般式(3)
【0033】
【化21】 (式中、X、n、R1、R2、R3および*は前記と同じ)
で表される光学活性β−アミノアルコール化合物を生成
する作用を有する酵素である。本発明の活性誘導剤の誘
導対象となるα−アミノケトン不斉還元酵素は、α−ア
ミノケトン不斉還元活性を有するものであればその酵素
は特に制限はされないが、具体的には、このような酵素
を菌体内に有すると考えられる微生物を一般式(2)で
表されるα−アミノケトン化合物またはその塩のエナン
チオマー混合物に作用させる際に本発明の活性誘導剤を
存在させることにより、α−アミノケトン不斉還元酵素
活性が増強される。
【0034】前記一般式(1)において、炭素数1〜3
のアルキル基としては、直鎖状、分枝状のいずれであっ
てもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、炭素数1
〜6のアルキル基としては、直鎖状、分枝状のいずれで
あってもよく、具体的にはメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基およびヘ
キシル基等が挙げられる。炭素数5〜10の炭化水素環
としてはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプ
チル、シクロオクチル、シクロノニルおよびシクロデカ
ニル等が挙げられる。
【0035】ヘテロ原子1〜3個を含む5〜8員環のヘ
テロ環状骨格において、ヘテロ原子としては窒素原子、
酸素原子、硫黄原子等が挙げられ、特に好ましくは窒素
原子、酸素原子が挙げられ、5〜8員環のヘテロ環状骨
格としてはピロリジン、ピペリジン、イミダゾリジン、
ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラ
ン、テトラヒドロチオフェンおよびモルホリン等が挙げ
られる。
【0036】また、炭素数1〜6のアルキルオキシカル
ボニル基としてはメチルオキシカルボニル基、エチルオ
キシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、
イソブチルオキシカルボニル基およびt−ブチルオキシ
カルボニル基等が挙げられる。アシル基としてはホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソ
ブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基およびバレリ
ル基等が挙げられる。前記の炭素数1〜3または炭素数
1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシカ
ルボニル基またはアシル基が置換基を有する場合には、
置換基の種類、置換位置、および置換基の数に限定され
ないが、置換基としては、例えばフッ素原子や塩素原子
等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、カル
ボキシル基、アミノ基、アルコキシ基、ニトロ基および
アリール基等が挙げられる。さらに、製薬学的に許容さ
れる塩としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸の
塩、酢酸、クエン酸等の有機酸の塩、Na、K、Mg、
Ca、アンモニア等の無機塩基の塩およびトリエチルア
ミン、シクロヘキシルアミン等の有機塩基の塩が挙げら
れる。
【0037】このような一般式(1)で表される化合物
としては、例えば、1−アセチルアミノ−2−ヒドロキ
シプロパン、1−メチルアミノ−2−ヒドロキシプロパ
ン、1−アミノ−2−オキソプロパン、1−アミノ−2
−ヒドロキシシクロペンタン、1−アミノ−2,3−ジ
ヒドロキシプロパン、L−トレオニン、4−アミノ−3
−ヒドロキシブタン酸、1−アミノ−2−オキソシクロ
ヘキサン、モルホリン、3−ヒドロキシピロリジン、3
−ヒドロキシピペリジン、2−アミノメチル−テトラヒ
ドロフラン、1−(2−ヒドロキシプロピル)アミノ−
2−ヒドロキシプロパン、1−t−ブチロキシカルボニ
ルアミノ−2−ヒドロキシプロパン、2−アミノ−3−
ヒドロキシブタン、DL−セリン、1−アミノ−2−ヒ
ドロキシプロパン、1−アミノ−2−ヒドロキシブタ
ン、1−アミノ−2−ヒドロキシシクロヘキサンが挙げ
られる。これらのうち、不斉炭素原子を有する化合物に
おいては、特に記載がない限り、光学活性体であって
も、ラセミ体であってもよい。
【0038】次に、前記活性誘導剤を用いてβ−アミノ
アルコールを製造する方法について説明する。
【0039】本発明のβ−アミノアルコールの製造方法
は、一般式(2)
【0040】
【化22】 (式中、Xは同一または異なっていてもよく、ハロゲン
原子、低級アルキル基、保護基で保護されていてもよい
ヒドロキシル基、ニトロ基およびスルホニル基からなる
群より選ばれる少なくとも一種を示し、nは0〜3の整
数を示し、R1は水素原子または低級アルキル基を示
し、R2,R3は同一または異なっていてもよく、水素原
子および低級アルキル基からなる群より選ばれる少なく
とも一種を示し、*は不斉炭素を示す)で表されるα−
アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混合
物に対して、前記一般式(1)からなるα−アミノケト
ン不斉還元酵素の活性誘導剤存在下で微生物を培養させ
て、一般式(3)
【0041】
【化23】 (式中、X、n、R1、R2、R3および*は前記と同じ)
で表される光学活性β−アミノアルコール化合物であっ
て、所望の光学活性を有する該化合物を生成せしめるこ
とを特徴とする光学活性β−アミノアルコールの製造方
法である。
【0042】本発明にかかる光学活性β−アミノアルコ
ールの製造方法において使用される原料は、前記一般式
(2)で示されるα−アミノケトン化合物またはその塩
のエナンチオマー混合物であり、式中、Xは同一または
異なっていてもよく、ハロゲン原子、低級アルキル基、
保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、ニトロ
基およびスルホニル基からなる群より選ばれる少なくと
も一種を示し、nは0〜3の整数を示し、R1は水素原
子または低級アルキル基を示し、R2,R3は同一または
異なっていてもよく、水素原子および低級アルキル基か
らなる群より選ばれる少なくとも一種を示し、*は不斉
炭素を示す構造を有するものである。
【0043】以下、前記α−アミノケトンに含まれる置
換基Xについて説明する。前記ハロゲン原子としては、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等が
挙げられる。
【0044】また、低級アルキル基としては炭素数1〜
6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s
−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル
基およびヘキシル基等が挙げられる。これらは、直鎖状
または分枝状のいずれの構造を取っていてもよい。ま
た、置換基として、フッ素原子や塩素原子等のハロゲン
原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アミノ基またはア
ルコキシ基等を有していてもよい。
【0045】保護基で保護されていてもよいヒドロキシ
ル基の保護基としては、水で処理して除去可能なもの、
酸または弱塩基で除去可能なもの、水素添加にて除去可
能なもの、ルイス酸触媒およびチオ尿素等で除去可能な
もの等が挙げられ、前記保護基には、置換基を有してい
てもよいアシル基、置換基を有していてもよいシリル
基、アルコキシアルキル基、置換基を有していてもよい
低級アルキル基、ベンジル基、p−メトキシベンジル
基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基、アリル
オキシカルボニル基およびトリチル基等が含まれる。
【0046】なお、前記アシル基には、アセチル基、ク
ロロアセチル基、ジクロロアセチル基、ピバロイル基、
ベンゾイル基およびp−ニトロベンゾイル基等が含まれ
る。また、置換基として、ヒドロキシル基、アルキル
基、アルコキシ基、ニトロ基およびハロゲン原子等を有
していてもよい。前記シリル基には、トリメチルシリル
基、t−ブチルジメチルシリル基およびトリアリールシ
リル基等が含まれる。また、置換基として、アルキル
基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ニト
ロ基およびハロゲン原子等の置換基を有していてもよ
い。前記アルコキシアルキル基には、メトキシメチル基
および2−メトキシエトキシメチル基等が含まれる。前
記低級アルキル基には炭素数1〜6のアルキル基が含ま
れ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチ
ル基、ペンチル基、イソペンチル基およびヘキシル基等
が挙げられる。これらは直鎖状または分枝状のいずれの
構造を取っていてもよい。また、置換基として、フッ素
原子や塩素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ア
ルキル基、アミノ基およびアルコキシ基等を有していて
もよい。
【0047】また、前記Xはニトロ基またはスルホニル
基でもよく、具体的にはメチルスルホニル基等が挙げら
れる。
【0048】さらに、前記Xの数nは0〜3の整数であ
る。
【0049】また、前記一般式(2)中のR1は低級ア
ルキル基を示す。このような低級アルキル基としては炭
素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソ
ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられる。これらは
直鎖状または分枝状のいずれの構造を取ってもよい。
【0050】R2、R3は水素原子または低級アルキル基
を示す。前記低級アルキル基には炭素数1〜6のアルキ
ル基が含まれ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソ
プロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、
t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基およびヘキ
シル基等が挙げられる。これらは直鎖状または分枝状の
いずれの構造を取ってもよい。
【0051】また、前記α−アミノケトン化合物の塩と
しては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩等
の無機酸の塩、または、酢酸、クエン酸等の有機酸の塩
が挙げられる。
【0052】前記α−アミノケトンは、対応する1−フ
ェニルケトン誘導体のα炭素をハロゲン化、例えば、ブ
ロム化後、ブロム基等のハロゲンをアミンに置換するこ
とによって容易に合成できる(Ger. (East) 11,332, Ma
r. 12, 1956)。
【0053】また、本発明にかかる微生物は、前記一般
式(2)で示されるα−アミノケトン化合物またはその
塩のエナンチオマー混合物に作用する微生物であり、こ
のような微生物には、モルガネラ(Morganella)属、ミク
ロバクテリウム(Microbacterium)属、スヒンゴバクテリ
ウム(Sphingobacterium)属、ノカルディオイデス(Nocar
dioides)属、ムコー(Mucor)属、アブシジア(Absidia)
属、アスペルジラス(Aspergillus)属、ペニシリウム(Pe
nicillium)属、グリフォーラ(Grifola)属、ユーロチウ
ム(Eurotium)属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ハイポク
レア(Hypocrea)属、ヘリコスチルム(Helicostylum)属、
バーチシリウム(Verticillium)属、フサリウム(Fusariu
m)属、トリチラチウム(Tritirachium)属、モルチエレラ
(Mortierella)属、アルミラリエラ(Armillariella)属、
シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属、クレブシエラ
(Klebsiella)属、アウレオバクテリウム(Aureobacteriu
m)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、シュ−ドモナ
ス(Pseudomonas)属、マイコバクテリウム(Mycobacteriu
m)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、スポリ
ディオボルス(Sporidiobolus)属、アミコラトプシス(Am
ycolatopsis)属、コプリヌス(Coprinus)属、セラチア
(Serratia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ロド
トルラ(Rhodotorula)属に属する微生物群から選択され
た微生物があり、具体的には、モルガネラ モルガニイ
(Morganella morganii)IFO 3848、ミクロバク
テリウム アルボレッセンス(Microbacterium arboresc
ens)IFO3750、スヒンゴバクテリウム マルチボ
ラム(Sphingobacterium multivorum)IFO 1498
3、ノカルディオイデス シンプレックス(Nocardioide
s simplex)IFO 12069、ムコー アンビグアス
(Mucor ambiguus)IFO6742、ムコー ジャバニカ
ス(Mucor javanicus)IFO 4570、ムコーフラジ
リス(Mucor fragilis)IFO 6449、アブシジア
リヒテイミ(Absidia lichtheimi)IFO 4009、ア
スペルジラス アワモリ(Aspergillus awamori)IFO
4033、アスペルジラス ニガー(Aspergillus nig
er)IFO4416、アスペルジラス オリーゼ(Asperg
illus oryzae)IFO 4177、アスペルジラス オ
リーゼ(Aspergillus oryzae)IAM 2630、アスペ
ルジラス キャンディダス(Aspergillus candidus)IF
O 5468、アスペルジラス オリーゼ バー.オリ
ーゼ(Aspergillus oryzae var. oryzae)IFO621
5、アスペルジラス フォエチダス バー.アシダス(A
spergillus foetidus var. acidus)IFO 4121、
ペニシリウム オキサリカム(Penicilliumoxalicum)I
FO 5748、グリフォーラ フロンドーサ(Grifola
frondosa)IFO 30522、ユーロチウム レペン
ズ(Eurotium repens)IFO 4884、 ガノデルマ
ルシダム(Ganoderma lucidum)IFO 8346、ハイ
ポクレア ゼラチノーザ(Hypocrea gelatinosa)IFO
9165、ヘリコスチルムニグリカンズ(Helicostylu
m nigricans)IFO 8091、バーチシリウムファン
ジコーラ バー.ファンジコーラ(Verticillium fungic
ola var. fungicola)IFO 6624、フサリウム
ロゼウム(Fusarium roseum)IFO 7189、トリチ
ラチウム オリーゼ(Tritirachium oryzae)IFO 7
544、モルチエレラ イサベリナ(Mortierella isabe
llina)IFO 8308、アルミラリエラ メレア(Arm
illariella mellea)IFO 31616、シリンドロカ
ルポンスクレロチゲナム(Cylindrocarpon sclerotigenu
m)IFO 31855、クレブシエラ ニューモニエ(K
lebsiella pneumoniae)IFO 3319、アウレオバ
クテリウム エステラロマチカム(Aureobacterium este
raromaticum)IFO3751、キサントモナス(Xanthom
onas sp.)IFO 3084、シュ−ドモナス プチダ
(Pseudomonas putida)IFO 14796、マイコバク
テリウム スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)I
AM 12065、マイコバクテリウム ジエンホフェ
リ(Mycobacterium diernhoferi)IFO 14797、
マイコバクテリウム バカエ(Mycobacterium vaccae)I
FO 14118、マイコバクテリウム フレイ(Mycob
acterium phlei)IFO 13160、マイコバクテリ
ウム フォルツィタム(Mycobacterium fortuitum)IF
O 13159、マイコバクテリウム クロロフェノリ
カム(Mycobacterium chlorophenolicum)IFO1552
7、スポロボロマイセス サルモニカラー(Sporobolomy
ces salmonicolor)IFO 1038、スポロボロマイ
セス コラリフォルミス(Sporobolomycescoralliformi
s)IFO 1032、スポリディオボルス ジョンソニ
イ(Sporidiobolus johnsonii)IFO 6903、アミ
コラトプシス アルバ(Amycolatopsis alba)IFO 1
5602、アミコラトプシス アズレア(Amycolatopsis
azurea)IFO 14573、アミコラトプシス コロ
ラデンシス(Amycolatopsis coloradensis)IFO 15
804、アミコラトプシス オリエンタリス ルリダ(A
mycolatopsis orientalis lurida)IFO 1450
0、アミコラトプシスオリエンタリス オリエンタリス
(Amycolatopsis orientalis orientalis)IFO 12
360、同IFO 12362、同IFO 1280
6、コプリヌスリゾフォラス(Coprinus rhizophorus)I
FO 30197、セラチア マルセセンス(Serratia
marcescens)IFO 3736、ロドコッカス エリ
スロポリス(Rhodococcus erythropolis)IFO 125
40、ロドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus er
ythropolis)MAK-34、ロドコッカス ロドクロス(Rhodo
coccus rhodochrous)IFO 15564、ロドコッカ
ス ロドクロス(Rhodococcus rhodochrous)IAM 1
2126、ロドトルラ アウランチアカ(Rhodotorula
aurantiaca)IFO 0951等が好ましいものとして
挙げられる。
【0054】このような本発明にかかる微生物によれ
ば、対応する一般式(3)で示される光学活性β−アミ
ノアルコール化合物であって、所望の光学活性を有する
前記化合物を生成せしめることができる。
【0055】また、前記一般式(3)におけるX、n、
1、R2、R3および*は前記一般式(2)と同様であ
る。さらに所望の光学活性を有するβ−アミノアルコー
ルとしては(1S,2S)アミノアルコール、(1S,
2R)アミノアルコール、(1R,2S)アミノアルコ
ール、(1R,2R)アミノアルコールが挙げられる。
【0056】また、本発明においては、前記微生物が、
モルガネラ(Morganella)属、ミクロバクテリウム(Micro
bacterium)属、スヒンゴバクテリウム(Sphingobacteriu
m)属、ノカルディオイデス(Nocardioides)属、ムコー(M
ucor)属、アブシジア(Absidia)属、アスペルジラス(Asp
ergillus)属、ペニシリウム(Penicillium)属、グリフォ
ーラ(Grifola)属、ユーロチウム(Eurotium)属、ガノデ
ルマ(Ganoderma)属、ハイポクレア(Hypocrea)属、ヘリ
コスチルム(Helicostylum)属、バーチシリウム(Vertici
llium)属、フサリウム(Fusarium)属、トリチラチウム(T
ritirachium)属、モルチエレラ(Mortierella)属、アル
ミラリエラ(Armillariella)属、シリンドロカルポン(Cy
lindrocarpon)属、クレブシエラ(Klebsiella)属、アウ
レオバクテリウム(Aureobacterium)属、キサントモナス
(Xanthomonas)属、シュ−ドモナス(Pseudomonas)属、
マイコバクテリウム(Mycobacterium)属、スポロボロマ
イセス(Sporobolomyces)属、スポリディオボルス(Spori
diobolus)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微
生物群から選ばれる少なくとも一つの微生物であること
が好ましく、より具体的には、モルガネラ モルガニイ
(Morganella morganii)、ミクロバクテリウム アルボ
レッセンス(Microbacterium arborescens)、スヒンゴバ
クテリウム マルチボラム(Sphingobacterium multivor
um)、ノカルディオイデス シンプレックス(Nocardioid
es simplex)、ムコー アンビグアス(Mucorambiguus)、
ムコー ジャバニカス(Mucor javanicus)、ムコー フ
ラジリス(Mucor fragilis)、アブシジア リヒテイミ(A
bsidia lichtheimi)、アスペルジラス アワモリ(Asper
gillus awamori)、アスペルジラス ニガー(Aspergillu
s niger)、アスペルジラス オリーゼ(Aspergillus ory
zae)、アスペルジラス キャンディダス(Aspergillus c
andidus)、アスペルジラス オリーゼ バー オリーゼ
(Aspergillus oryzae var. oryzae)、アスペルジラス
フォエチダス バー.アシダス(Aspergillus foetidu
s var. acidus)、ペニシリウム オキサリカム(Penicil
lium oxalicum)、グリフォーラ フロンドーサ(Grifola
frondosa)、ユーロチウム レペンズ(Eurotium repen
s)、 ガノデルマ ルシダム(Ganoderma lucidum)、ハイ
ポクレア ゼラチノーザ(Hypocrea gelatinosa)、ヘリ
コスチルムニグリカンズ(Helicostylum nigricans)、バ
ーチシリウム ファンジコーラバ−.ファンジコーラ(V
erticillium fungicola var. fungicola)、フサリウム
ロゼウム(Fusarium roseum)、トリチラチウム オリー
ゼ(Tritirachium oryzae)、モルチエレラ イサベリナ
(Mortierella isabellina)、アルミラリエラ メレア(A
rmillariella mellea)、シリンドロカルポン スクレロ
チゲナム(Cylindrocarpon sclerotigenum)、クレブシエ
ラ ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アウレオ
バクテリウム エステラロマチカム(Aureobacterium es
teraromaticum)、キサントモナス(Xanthomonas sp.)、
シュ−ドモナス プチダ(Pseudomonasputida)、マイコ
バクテリウム スメグマチス(Mycobacterium smegmati
s)、マイコバクテリウム ジエンホフェリ(Mycobacteri
um diernhoferi)、マイコバクテリウム バカエ(Mycoba
cterium vaccae)、マイコバクテリウム フレイ(Mycob
acterium phlei)、マイコバクテリウム フォルツィタ
ム(Mycobacterium fortuitum)、マイコバクテリウム
クロロフェノリカム(Mycobacterium chlorophenolicu
m)、スポロボロマイセス サルモニカラー(Sporobolomy
ces salmonicolor)、スポロボロマイセス コラリフォ
ルミス(Sporobolomyces coralliformis)、スポリディオ
ボルス ジョンソニイ(Sporidiobolus johnsonii)、ロ
ドコッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropoli
s)、ロドコッカス ロドクロス(Rhodococcus rhodochro
us)に属する微生物群から選ばれた微生物であることが
より好ましい。このような微生物を用いることによっ
て、前記一般式(3)で表される光学活性β−アミノア
ルコールとして(1S,2S)−アミノアルコールが高収
率かつ高選択的に簡易な工程で得られる傾向にある。
【0057】さらに、本発明においては、前記微生物が
アミコラトプシス(Amycolatopsis)属、コプリヌス(Copr
inus)属、セラチア(Serratia)属、ロドコッカス(Rhod
ococcus)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属する微生
物群から選ばれる少なくとも一つの微生物であることが
好ましく、より具体的には、アミコラトプシス アルバ
(Amycolatopsis alba)、アミコラトプシス アズレア(A
mycolatopsis azurea)、アミコラトプシス コロラデン
シス(Amycolatopsis coloradensis)、アミコラトプシス
オリエンタリス ルリダ(Amycolatopsis orientalis
lurida)、アミコラトプシス オリエンタリス オリエ
ンタリス(Amycolatopsis orientalis orientalis)、コ
プリヌス リゾフォラス(Coprinus rhizophorus)、セラ
チア マルセセンス(Serratia marcescens)、ロドコッ
カス エリスロポリス(Rhodococcus erythropolis)、ロ
ドコッカス ロドクロス(Rhodococcus rhodochrou
s)、ロドトルラ アウランチアカ(Rhodotorula auran
tiaca)に属する微生物群から選ばれた微生物であるこ
とがより好ましい。このような微生物を用いることによ
って、前記一般式(3)で表される光学活性β−アミノ
アルコールとして(1R,2R)−アミノアルコールが高
収率かつ高選択的に簡易な工程で得られる傾向にある。
【0058】また、本発明にかかる微生物には、前記光
学活性β−アミノアルコール化合物のうち(1S,2S)
体を選択的に生産する(1S,2S)アミノアルコール生
成菌および(1R,2R)体を選択的に生産する(1R,
2R)アミノアルコール生成菌が含まれる。本発明によ
れば、スレオ体を選択的に生成することができる。
【0059】前記(1S,2S)アミノアルコール生成菌
を作用させることにより、例えばd−スレオ−2−メチ
ルアミノ−1−フェニルプロパノール(d−プソイドエ
フェドリン)、d−スレオ−2−ジメチルアミノ−1−
フェニルプロパノール(d−メチルプソイドエフェドリ
ン)、(1S,2S)−α−(1−アミノエチル)−ベ
ンジルアルコール(d−ノルプソイドエフェドリン)、
(1S,2S)−1−(p−ヒドロキシフェニル)−2
−メチルアミノ−1−プロパノール、(1S,2S)−α
−(1−アミノエチル)−2,5−ジメトキシ−ベンジル
アルコール、(1S,2S)−1−(m−ヒドロキシフェ
ニル)−2−アミノ−1−プロパノール、(1S,2
S)−1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−アミノ−
1−プロパノール、(1S,2S)−1−フェニル−2
−エチルアミノ−1−プロパノール、(1S,2S)−
1−フェニル−2−アミノ−1−ブタノール、(1S,
2S)−1−フェニル−2−メチルアミノ−1−ブタノ
ール等を得ることができ、前記(1R,2R)アミノアル
コール生成菌を作用させることにより、例えばl−スレ
オ−2−メチルアミノ−1−フェニルプロパノール(l
−プソイドエフェドリン)、l−スレオ−2−ジメチル
アミノ−1−フェニルプロパノール(l−メチルプソイ
ドエフェドリン)、(1R,2R)−α−(1−アミノ
エチル)−ベンジルアルコール(l−ノルプソイドエフ
ェドリン)、(1R,2R)−1−(p−ヒドロキシフ
ェニル)−2−メチルアミノ−1−プロパノール、(1
R,2R)−α−(1−アミノエチル)−2,5−ジメト
キシ−ベンジルアルコール、(1R,2R)−1−(m−
ヒドロキシフェニル)−2−アミノ−1−プロパノー
ル、(1R,2R)−1−(p−ヒドロキシフェニル)
−2−アミノ−1−プロパノール、(1R,2R)−1
−フェニル−2−エチルアミノ−1−プロパノール、
(1R,2R)−1−フェニル−2−アミノ−1−ブタ
ノール、(1R,2R)−1−フェニル−2−メチルア
ミノ−1−ブタノール等を得ることができる。
【0060】なお、得られた(1S,2S)−1−(m−
ヒドロキシフェニル)−2−アミノ−1−プロパノール
を反転させることにより、(1R,2S)−1−(m−ヒ
ドロキシフェニル)−2−アミノ−1−プロパノール
(メタラミノール)とすることができる。
【0061】本発明にかかる前記微生物としては、IF
O番号が付された微生物は、(財)発酵研究所(IFO)が
発行した「List of Cultures、第10版(1996)」に
記載されており、IFOから入手することができる。ま
た、IAM番号が付された微生物は、東京大学分子細胞
生物学研究所、細胞・機能高分子総合センタ−が発行し
た「Catalogue of Strains, 1993」に記載されており、
該保存施設から入手することができる。また、前記ロド
コッカス エリスロポリス(Rhodococcus erythropoli
s)MAK-34は、自然界から分離した新規な微生物であ
り、FERM BP−7451として、経済産業省産業
技術総合研究所生命工学工業技術研究所に寄託されてい
る(原寄託日:平成13年2月15日)。
【0062】また、本発明で使用される微生物は、前記
一般式(2)で表されるα−アミノケトン化合物または
その塩のエナンチオマー混合物に作用して、対応する一
般式(3)で表される光学活性β−アミノアルコール化
合物を生成する能力を有する微生物である限り、野生
株、変異株、または細胞融合等の細胞工学的手法もしく
は遺伝子操作等の遺伝子工学的手法により誘導される組
換え株等のいずれの株も使用できる。
【0063】前記微生物の培養方法における諸条件は、
特に制限はなく、通常用いられる方法で行われ、細菌、
真菌、酵母それぞれ適した培地で行われる。通常、炭素
源、窒素源、その他養分を含む液体培地が使用される。
培地の炭素源としては、上記微生物が利用可能であれば
いずれでも使用できる。具体的には、グルコース、フル
クトース、シュクロース、デキストリン、デンプン、ソ
ルビトール等の糖類、メタノール、エタノール、グリセ
ロール等のアルコール類、フマル酸、クエン酸、酢酸、
プロピオン酸等の有機酸類およびその塩類、パラフィン
等の炭化水素類、あるいはこれらの混合物等が使用でき
る。窒素源としては上記微生物が利用可能であればいず
れでも使用できる。具体的には、塩化アンモニウム、硫
酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸のアン
モニウム塩、フマル酸アンモニウム、クエン酸アンモニ
ウム等の有機酸のアンモニウム塩、硝酸ナトリウム、硝
酸カリウム等の硝酸塩、肉エキス、酵母エキス、麦芽エ
キス、ペプトン等の無機または有機含窒素化合物、ある
いはこれらの混合物等が使用できる。また、培地には、
無機塩、微量金属塩、ビタミン類等の通常の培養に用い
られる栄養源を適宜添加してもよい。また、必要に応じ
て、培地には、微生物の活性を誘導する物質、培地のp
H保持に有効な緩衝物質等を添加してもよい。
【0064】本発明の活性誘導剤は、一般式(2)で表
されるα−アミノケトン化合物またはその塩のエナンチ
オマー混合物に対して、前記一般式(1)で表される化
合物からなる活性誘導剤存在下で微生物を培養させ、β
−アミノアルコールを製造する際に用いられるものであ
るが、具体的には、このような活性誘導剤を前記培地中
に添加して微生物を培養し、β−アミノアルコールの製
造を行うことが好ましい。これら活性誘導剤を培地中に
添加することにより、微生物の活性が誘導され、その後
の光学活性なβ−アミノアルコールの生成は、無添加時
に比べ効率よく進行する。活性誘導剤は各々単独で用い
てもよく、または複数の誘導剤の混合物で用いてもよ
い。このような活性誘導剤の添加量は、培地に対し0.
01〜10重量%が好ましい。
【0065】微生物の培養は、生育に適した条件下で行
うことができる。具体的には培地のpH3〜10、好ま
しくは4〜9、温度0〜50℃、好ましくは20〜40
℃で行うことができる。微生物の培養は、好気的または
嫌気的条件下で行うことができる。培養時間は10〜1
50時間が好ましいが、それぞれの微生物により適宜決
められるべきである。
【0066】本発明にかかるβ−アミノアルコールの製
造における反応方法としては、前記一般式(2)に示さ
れるα−アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオ
マー混合物に前記微生物が作用して、対応する一般式
(3)で示される光学活性β−アミノアルコール化合物
を生成する方法であれば特に限定されず、原料であるα
−アミノケトンの水溶液に、緩衝液または水等で洗浄し
た菌体を混合することで反応を開始する。
【0067】また、反応条件は一般式(3)で示される
光学活性β−アミノアルコール化合物の生成を損なわな
い範囲で選択できる。菌体量は、乾燥菌体として、ラセ
ミアミノケトンに対して好ましくは100分の1〜10
00倍、より好ましくは10分の1〜100倍である。
また、基質であるラセミアミノケトンの濃度は好ましく
は0.01〜20%、より好ましくは0.1〜10%で
ある。さらに、反応液のpHは好ましくは5〜9、より
好ましくは6〜8であり、反応温度は好ましくは10〜
50℃、より好ましくは20〜40℃である。また、反
応時間は5〜150時間が好ましいが、それぞれの微生
物により適宜決められるべきである。
【0068】また、反応をより効率的に進行させるため
に、グルコース等の糖類、酢酸等の有機酸、グリセロー
ル等のエネルギー物質を添加することができる。これら
は、各々単独で用いてもよく、それらの混合物で用いて
もよい。添加量は、基質に対して好ましくは100分の
1〜10倍量である。また、補酵素等を添加することも
できる。補酵素としては、ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド(NAD)、還元型ニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチド(NADH)、ニコチンアミドアデニン
ジヌクレオチドリン酸(NADP)、還元型ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)等を
単独または混合物で用いることができ、添加量はラセミ
アミノケトンに対して好ましくは1000分の1〜5分
の1倍量である。また、これら補酵素に加え、補酵素再
生酵素、例えば、グルコースデヒドロゲナーゼを添加す
ることができ、添加量はラセミアミノケトンに対して好
ましくは1000分の1〜5分の1倍量である。また、
補酵素再生酵素の基質、例えばグルコースを添加するこ
ともでき、添加量はラセミアミノケトンに対して好まし
くは100分の1〜10倍量である。さらに、グルコー
ス等の糖類、酢酸等の有機酸、グリセロール等のエネル
ギー物質、補酵素、補酵素再生酵素および補酵素再生酵
素の基質をそれぞれ組み合せて用いてもよい。これら
は、本来、菌体中に蓄積されているが、必要に応じてこ
れら物質を添加することにより、反応速度、収率等を上
昇させることができる場合があり、適宜選択され得る。
【0069】さらに、反応液が上記になるように特定の
塩を加え、その条件下で反応させると、未反応のα−ア
ミノケトン異性体のラセミ化が促進され、微生物の基質
となる鏡像異性体への変換をより効率的に進行させるこ
とができる。これにより、原料から50%以上の高収率
で目的のアミノアルコールが得られる傾向にある。
【0070】未反応のα−アミノケトンのラセミ化を促
進する塩としては、酢酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、ク
エン酸塩、マロン酸塩、リン酸塩、炭酸塩、パラニトロ
フェノール塩、亜硫酸塩およびホウ酸塩等の弱酸の塩で
あればよいが、好ましくはリン酸塩(例えば、リン酸二
水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素
アンモニウム)、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウ
ム)、クエン酸塩(例えば、クエン酸ナトリウム、クエ
ン酸カリウム、クエン酸アンモニウム)等が使用され
る。また、これらの混合物も使用でき、pH6.0〜
8.0の緩衝液として、最終濃度が0.01〜1Mとな
るよう添加することが望ましい。例えば、リン酸塩の場
合、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸一水素ナトリ
ウムを、9対1から5対95の割合で混合するとよい。
【0071】反応によって生成した光学活性α−アミノ
アルコールは、慣用の分離精製手段によって精製でき
る。例えば、反応液から直接または菌体を分離した後、
膜分離、有機溶媒(例えばトルエン、クロロホルム等)に
よる抽出、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸
留、晶析、再結晶等の通常の精製方法に供することによ
り、光学活性β−アミノアルコールを得ることができ
る。
【0072】生成した光学活性β−アミノアルコールの
光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に
よって測定することができる。
【0073】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの実施例によりその技術範
囲が限定されるものではない。
【0074】製造例1 (dl−2−メチルアミノ−1−フェニル−1−プロパ
ノンの製造)1−フェニル−1−プロパノン134g、
炭酸ナトリウム42g、水200mlの混合物に臭素5
1.6mlを滴下し、70℃で3時間反応せしめて反応
混合物を得た。前記反応混合物に、40%モノメチルア
ミン水溶液350mlを加え、40℃、1時間反応させ
た後、クロロホルム1リットル中に反応生成物を抽出し
た。次いでクロロホルム層中の反応生成物を、希塩酸1
00mlを用いて抽出し、水層に活性炭3gを加えろ過
した。そのろ液を濃縮し、dl−2−メチルアミノ−1
−フェニル−1−プロパノン塩酸塩89gを得た。
【0075】実施例1 (誘導剤添加による影響(1))培地1(表1)に、1
−アミノ−2−ヒドロキシプロパンを5g/Lになるように
加え試験管に5mL入れ、シリコン栓をしてオートクレー
ブで121℃、30分間、滅菌した。この培地および誘導剤
無添加の培地に、それぞれRhodococcus erythropolis M
AK-34株を植菌し30℃、48時間、300rpmで振とう培養を
行った。培養液0.5mLを10000G、20分間遠心分離し、上
清を除くことによって得られた菌体に水を加え懸濁し均
一の懸濁液とした。これに水、緩衝液、dl-2-メチルア
ミノ−プロピオフェノン塩酸塩10mgを加え、1mLとし試
験管に入れ、30℃、12時間、150rpmで振とうし反応を行
った。反応終了後、遠心分離して菌体を除き、上清をHP
LCに付してプソイドエフェドリン生成量を測定した。 (HPLC条件:μBondapakphenyl ウォーターズ社製、径
4mm、長さ300mm、溶離液0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液
(7%アセトニトリル含有)、pH6.5、流速0.8mL/分、
検出波長UV220nm)その結果、表2に示すように誘導剤
を添加し培養した場合のプソイドエフェドリン生成量
は、無添加の培養に比較し著しい増大を示した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】 実施例2 (誘導剤添加による影響(2))実施例1の微生物に代
えて表2に示す微生物および培地を使用した以外は実施
例1と同様にして培養、反応を行った。菌体の分離は、
遠心分離または培養液からのろ過(No.(3)並びにNo.
(6)から(13))によって行った。その結果、表2に示
すように、1−アミノ−2−ヒドロキシプロパンを添加
し培養した場合のd−プソイドエフェドリン生成量は無
添加の培養に比較し著しい増大を示した。
【0078】実施例3 (誘導剤添加による影響(3))実施例1の1−アミノ
−2−ヒドロキシプロパンを1−アミノ−2−ヒドロキ
シブタンに代えた以外は実施例1と同様にして培養、反
応を行った。菌体の分離は、遠心分離または培養液から
のろ過によって行った。その結果、表3に示すように、
化合物を添加し培養した場合のプソイドエフェドリン生
成量は無添加の培養に比較し著しい増大を示した。
【0079】
【表3】 実施例4 (誘導剤添加による影響(4))実施例1の1−アミノ
−2−ヒドロキシプロパンを1−アミノ−2−ヒドロキ
シシクロヘキサンに代えた以外は実施例1と同様にして
培養、反応を行った。菌体の分離は、遠心分離または培
養液からのろ過によって行った。その結果、表4に示す
ように、化合物を添加し培養した場合のプソイドエフェ
ドリン生成量は無添加の培養に比較し著しい増大を示し
た。
【0080】
【表4】 実施例5 (誘導剤添加による影響(5))サッカロース1.0
%、コーンスティープリカー0.5%、リン酸2水素カ
リウム0.1%、リン酸水素2カリウム0.3%、p−
アミノ安息香酸0.01%、各種誘導剤0.1%を含む
pH7.0の培地5mlにロドコッカス エリスロポリ
ス(Rhodococcus erythropolis)MAK-34を植菌し、30
℃、48時間振盪培養を行った。培養液を遠心分離して
菌体を得た後、試験管に入れ、これに0.2Mリン酸ナ
トリウム緩衝液(pH7.0)1.0mlを加え懸濁し
た。これにdl−2−メチルアミノプロピオフェノン塩
酸塩10mg、グルコース20mgを加え、30℃で1
6時間振盪し反応を行った。反応終了後、反応液を遠心
分離して菌体を除き、上清をHPLCに付して、光学活
性なプソイドエフェドリンを得た(μBondaspherepheny
l Waters社製、径4mm、長さ150mm、溶離
液0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液(7%アセトニト
リル含有、pH6.5)、流速0.8ml/分、検出波
長220nm)。その生成量は表5に示したように誘導
剤無添加の場合に比較し著しく高い値を示した。
【0081】
【表5】
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の活性誘導
剤およびβ−アミノアルコールの製造方法によれば、α
−アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混
合物から、所望の光学活性を有するβ−アミノアルコー
ルを高収率且つ高選択的に製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:32) C12R 1:32) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:34) C12R 1:34) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:22) C12R 1:22) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:65) C12R 1:65) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:665) C12R 1:665) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:66) C12R 1:66) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:80) C12R 1:80) (C12P 13/00 (C12P 13/00 C12R 1:645) C12R 1:645) C07M 7:00 C07M 7:00 (72)発明者 津崎 和也 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 森川 忠則 富山県高岡市長慶寺530番地 富士薬品工 業株式会社内 (72)発明者 清水 昌 京都府京都市右京区常盤山下町6−9 (72)発明者 片岡 道彦 京都府京都市左京区上高野畑ヶ田町26− 203 Fターム(参考) 4B050 HH01 KK11 LL05 4B064 AE01 CA02 CA05 CC15 CD12 DA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、 【化2】 (R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
    1〜3のアルキル基、R8と結合してなる炭素数5〜1
    0の炭化水素環またはR8と結合してなる1〜3個のヘ
    テロ原子を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表
    す。)、 【化3】 (R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、若し
    くはR6またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
    を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R6は、水
    素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアル
    キル基、R8と結合してなる炭素数5〜10の炭化水素
    環、R5またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
    を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R7は、水
    素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアル
    キル基を表し、R8は水素原子、カルボキシル基、置換
    基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R4
    と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
    のヘテロ環状骨格、R6と結合してなる炭素数5〜10
    の炭化水素環を表し、R9は水素原子、置換基を有して
    いてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有して
    いてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル
    基、置換基を有していてもよいアシル基、R5またはR6
    と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
    のヘテロ環状骨格を表し、R10は水素原子または置換さ
    れていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で
    表される化合物からなるα−アミノケトン不斉還元酵素
    の活性誘導剤。
  2. 【請求項2】 一般式(2) 【化4】 (式中、Xは同一または異なっていてもよく、ハロゲン
    原子、低級アルキル基、保護基で保護されていてもよい
    ヒドロキシル基、ニトロ基およびスルホニル基からなる
    群より選ばれる少なくとも一種を示し、nは0〜3の整
    数を示し、R1は水素原子または低級アルキル基を示
    し、R2,R3は同一または異なっていてもよく、水素原
    子および低級アルキル基からなる群より選ばれる少なく
    とも一種を示し、*は不斉炭素を示す)で表されるα−
    アミノケトン化合物またはその塩のエナンチオマー混合
    物に対して、一般式(1) 【化5】 (上記式中Aは、構造式(Y)または(Z)を表し、 【化6】 (R4は、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数
    1〜3のアルキル基、R8と結合してなる炭素数5〜1
    0の炭化水素環またはR8と結合してなる1〜3個のヘ
    テロ原子を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表
    す。)、 【化7】 (R5は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、若し
    くはR6またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
    を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R6は、水
    素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアル
    キル基、R8と結合してなる炭素数5〜10の炭化水素
    環、R5またはR9と結合してなる1〜3個のヘテロ原子
    を含む5〜8員環のヘテロ環状骨格を表し、R7は、水
    素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアル
    キル基を表し、R8は水素原子、カルボキシル基、置換
    基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、R4
    と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
    のヘテロ環状骨格、R6と結合してなる炭素数5〜10
    の炭化水素環を表し、R9は水素原子、置換基を有して
    いてもよい炭素数1〜6のアルキル基、置換基を有して
    いてもよい炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル
    基、置換基を有していてもよいアシル基、R5またはR6
    と結合してなる1〜3個のヘテロ原子を含む5〜8員環
    のヘテロ環状骨格を表し、R10は水素原子または置換さ
    れていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で
    表される化合物存在下で微生物を培養させて、一般式
    (3) 【化8】 (式中、X、n、R1、R2、R3および*は前記と同じ)
    で表される光学活性β−アミノアルコール化合物であっ
    て、所望の光学活性を有する該化合物を生成せしめるこ
    とを特徴とする光学活性β−アミノアルコールの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記微生物が、モルガネラ(Morganella)
    属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、スヒンゴ
    バクテリウム(Sphingobacterium)属、ノカルディオイデ
    ス(Nocardioides)属、ムコー(Mucor)属、アブシジア(Ab
    sidia)属、アスペルジラス(Aspergillus)属、ペニシリ
    ウム(Penicillium)属、グリフォーラ(Grifola)属、ユー
    ロチウム(Eurotium)属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ハ
    イポクレア(Hypocrea)属、ヘリコスチルム(Helicostylu
    m)属、バーチシリウム(Verticillium)属、フサリウム(F
    usarium)属、トリチラチウム(Tritirachium)属、モルチ
    エレラ(Mortierella)属、アルミラリエラ(Armillariell
    a)属、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属、クレブ
    シエラ(Klebsiella)属、アウレオバクテリウム(Aure
    obacterium)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、
    シュ−ドモナス(Pseudomonas)属、マイコバクテリウ
    ム(Mycobacterium)属、スポロボロマイセス(Sporobo
    lomyces)属、スポリディオボルス(Sporidiobolus)
    属、アミコラトプシス(Amycolatopsis)属、コプリヌス
    (Coprinus)属、セラチア(Serratia)属、ロドコッカス
    (Rhodococcus)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属に属す
    る微生物群から選ばれる少なくとも一つの微生物である
    ことを特徴とする請求項2に記載の光学活性β−アミノ
    アルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記微生物が、モルガネラ(Morganella)
    属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、スヒンゴ
    バクテリウム(Sphingobacterium)属、ノカルディオイデ
    ス(Nocardioides)属、ムコー(Mucor)属、アブシジア(Ab
    sidia)属、アスペルジラス(Aspergillus)属、ペニシリ
    ウム(Penicillium)属、グリフォーラ(Grifola)属、ユー
    ロチウム(Eurotium)属、ガノデルマ(Ganoderma)属、ハ
    イポクレア(Hypocrea)属、ヘリコスチルム(Helicostylu
    m)属、バーチシリウム(Verticillium)属、フサリウム(F
    usarium)属、トリチラチウム(Tritirachium)属、モルチ
    エレラ(Mortierella)属、アルミラリエラ(Armillariell
    a)属、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)属、クレブ
    シエラ(Klebsiella)属、アウレオバクテリウム(Aureoba
    cterium)属、キサントモナス(Xanthomonas)属、シュ−
    ドモナス(Pseudomonas)属、マイコバクテリウム(Mycoba
    cterium)属、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)属、
    スポリディオボルス(Sporidiobolus)属、ロドコッカス
    (Rhodococcus)属に属する微生物群から選ばれる少なく
    とも一つの微生物であり、前記一般式(3)で表される光
    学活性β−アミノアルコールが(1S,2S)−アミノア
    ルコールであることを特徴とする請求項2に記載の光学
    活性β−アミノアルコールの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記微生物が、アミコラトプシス(Amyco
    latopsis)属、コプリヌス(Coprinus)属、セラチア(Serr
    atia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ロドトルラ(R
    hodotorula)属に属する微生物群から選ばれる少なくと
    も一つの微生物であり、前記一般式(3)で表される光学
    活性β−アミノアルコールが(1R,2R)−アミノアル
    コールであることを特徴とする、請求項2に記載の光学
    活性β−アミノアルコールの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一般式(1)で表される化合物を添
    加した微生物培養用培地中で前記一般式(2)で表され
    るα−アミノケトン化合物に前記微生物を作用させるこ
    とを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の光
    学活性β−アミノアルコールの製造方法。
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