JP2002252548A - 弾性表面波フィルタ - Google Patents
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Abstract
チウム単結晶基板を用いて、通過帯域特性の挿入損失や
帯域内偏差が最適な弾性表面波フィルタを提供するこ
と、及び、所望の比帯域幅を有する弾性表面波フィルタ
を容易に設計できる、圧電結晶基板の最適な方位決定方
法を提供すること。 【解決手段】 タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電
結晶基板1の主面1a上に、弾性表面波を励振する励振
電極2と、弾性表面波の伝搬方向x1に少なくとも1つ
の反射器電極3とを配設した弾性表面波フィルタS1に
おいて、圧電結晶基板1の結晶方位を示す右手系のオイ
ラー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が、0.5≦φ≦2
0、115≦θ≦147、−(tan-1(tanφ/c
osθ))−6≦ψ≦−(tan-1(tanφ/cos
θ))+6を満足することを特徴とする。
Description
に関し、特にGHz帯域を含む高周波帯域において優れ
た通過帯域特性を有する弾性表面波フィルタに関する。
タが使用されるようになり、機器の小型化や通過帯周波
数の無調整化の役割を果たしている。そして、通信機器
の高周波数化・高機能化の進展にともない、帯域幅や減
衰量のバリエーションを備えたフィルタの要求が益々増
大してきている。
ルタには通過帯域幅25MHz(比帯域幅2.8%)の
フィルタが、1.9GHz帯の携帯電話用フィルタでは
通過帯域幅60MHz(比帯域幅2.8%)の高性能な
フィルタがそれぞれ要求されている。さらに、日本にお
ける携帯電話のPDC(Personal Digit
al Celler phone system)用フ
ィルタでは800MHz帯で通過帯域幅16MHz(比
帯域幅1.9%)という帯域幅のフィルタも要求されて
いる。なお、比帯域幅をBRとすれば、BR=BW/f
c(BWは帯域内挿入損失が3dBにおける通過帯域
幅、fcは帯域内挿入損失が3dBにおける通過帯域の
中心周波数)で定義される。
2.8%程度の比帯域幅が要求されているが、フィルタ
としては高周波数帯の製造偏差や温度変動による周波数
変動量を考慮し、2〜4.5%の比帯域幅が必要にな
る。
性の単結晶あるいは多結晶の基板上に励振電極を配設し
て成るが、電気機械結合係数k2が大きく(=表面波の
励振効率が高く)、また高周波帯域において、弾性表面
波の伝搬損失が小さい基板材料として、タンタル酸リチ
ウム(LiTaO3)単結晶から成る圧電結晶基板がよ
く知られており、特に、LiTaO3単結晶の36°回
転Y−X基板(Yカット面を、X軸を中心として36°
回転させたカット面を有し、弾性表面波をX軸方向へ伝
搬させる結晶方位:右手系オイラー角表示(以下、単に
オイラー角表示ともいう)では(0,126,0))が
伝搬損失の小さい材料として使用されてきた。
は、圧電結晶基板上に形成された電極の付加質量効果が
無視できる場合に最適な結晶方位であり、数百MHz以
下の周波帯域において励起される弾性表面波の波長が長
い場合に有効ではあっても、現在の携帯電話等で必要と
されているGHz帯域近傍での動作においては、電極の
厚さが励起される弾性波波長に対して無視できなくな
り、必ずしも最適にはならないことが報告されており、
LiTaO3単結晶の42°回転Y−X基板(オイラー
角表示:(0,132,0))が新たな最適結晶方位と
して提案されている(特開平9−167936号公報を
参照)。
に所定角度回転させてX軸方向に伝搬させる基板(回転
Y−X基板)を用いる以上、適当な電極膜厚においてバ
ルク放射や伝搬損失が小さくなる回転角度が存在したと
しても、主に、使用した基板材料によりフィルタ電気特
性の帯域幅に寄与する実効的な電気機械結合係数が決定
され比帯域幅が決定されるので、ごく狭い範囲でしか所
望の比帯域幅をもつフィルタを設計できない。
特性を得るためには、これまで以上に平坦性のあるフィ
ルタが要求されるが、本発明者らは、前記したLiTa
O3単結晶の42°回転Y−X基板が、通過帯域特性の
挿入損失や帯域内偏差において必ずしも最適ではないこ
とを見出した。
して所望の共振周波数を与える、いわゆる端面反射型の
圧電すべり波共振子において、回転Y−X基板とその基
板に対し結晶方位を若干ずらした基板を最適とする弾性
波素子が知られている(特公平6−14608号公報を
参照)。しかし、この弾性表面波素子は、IDT電極で
励起させた表面すべり波を用いるものであり、しかもこ
の表面すべり波は圧電結晶基板の端面などの結晶面で反
射させるので、一つのIDT電極で励起させた表面すべ
り波の伝搬路上に結晶面を形成しなければならない。よ
って、一つのIDT電極から成る共振子の複数を、例え
ばラダー型回路に配設・接続させてフィルタとして機能
させるには、圧電結晶基板の結晶端面を好適に利用でき
ない。このため、IDT電極の両側に特殊な溝構造など
を形成させるのに、フィルタの作製工程がきわめて煩雑
になるので問題である。
を有するタンタル酸リチウム単結晶基板を用いて、通過
帯域特性の挿入損失や帯域内偏差が最適な弾性表面波フ
ィルタを提供すること、及び、所望の比帯域幅を有する
とともに圧電結晶基板が最適に方位決定された弾性表面
波フィルタを提供することを目的とする。
ために、タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電結晶基
板の主面上に、弾性表面波を励振する励振電極と、前記
弾性表面波の伝搬方向に少なくとも1つの反射器電極と
を配設した弾性表面波フィルタにおいて、前記圧電結晶
基板の結晶方位を示す右手系のオイラー角表示(φ,
θ,ψ)の各変数が、0.5≦φ≦20、115≦θ≦
147、−(tan-1(tanφ/cosθ))−6≦
ψ≦−(tan-1(tanφ/cosθ))+6を満足
することを特徴とする。
のθが123≦θ≦138を満足すること、オイラー角
表示(φ,θ,ψ)のφ,θが、0.5≦φ≦10,1
29≦θ≦135を満足すること、または、オイラー角
表示(φ,θ,ψ)のφ,θが、0.5≦φ≦4,13
1≦θ≦132を満足することを特徴とする。
圧電結晶基板の主面上に、弾性表面波を励振する励振電
極と、弾性表面波を前記励振電極へ反射する少なくとも
1つの反射器電極とを配設した弾性表面波フィルタにお
いて、前記圧電結晶基板の結晶方位を示す右手系のオイ
ラー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が、2≦φ≦4、1
31≦θ≦133、3.5≦ψ≦6を満足することを特
徴とする。
る圧電結晶基板の主面上に弾性表面波の励振電極を配設
した弾性表面波フィルタにおいて、比帯域幅BRを所望
の値としたときに、前記圧電結晶基板の結晶方位を示す
オイラー角表示(φ,θ,ψ)の各パラメータが下記式
を満足するように、前記圧電結晶基板の結晶方位を決定
したことを特徴とする。
(tan-1(tanφ/cosθ))+6 (ただし、F1(BR)=−2480×BR+95、F
2(BR)=−2480×BR+99、G1(BR)=
1140×BR+85、G2(BR)=1140×BR
+89、BR=BW/fc(BWは帯域内挿入損失が3
dBにおける通過帯域幅、fcは帯域内挿入損失が3d
Bにおける通過帯域の中心周波数)である。)。
基づいて詳細に説明する。
(カット角及び弾性表面波の伝搬方向)をあらわす右手
系のオイラー角表示(φ,θ,ψ)による座標変換を説
明するための座標軸を示し、図1(b)に、この座標変
換で得られた直交座標系(x1−x2−x3)と圧電結
晶基板1との関係を説明する斜視図を示す。
結晶方位(カット角及び弾性表面波の伝搬方向)をあら
わすオイラー角表示は、次のように定義される。まず、
図1(a)に示すように、結晶軸X,Y,Zを有する圧
電単結晶において、Z軸を回転軸としてX軸とY軸を反
時計方向にφ度(゜)回転し、次に、回転させたX軸を
θ回転軸として、Z軸を反時計方向にθ度(゜)回転
し、さらに、前記回転させたX軸(θ回転軸)と前記回
転させたY軸を反時計方向にψ度(°)回転させ、この
回転により得られた最終の直交座標軸をx1,x2,x
3とする。
を法線とする圧電基板1の主面1aにおいて、x1軸方
向に弾性表面波を伝搬させる圧電結晶基板1の結晶方位
を、オイラー角表示で(φ,θ,ψ)とあらわす。
出すための単結晶ウエハは、以下のようにして作製す
る。まず、オイラー角表示(0.5〜20,115〜1
47,ψ=任意)に対し略垂直な方位に切り出した種結
晶の面を、イリジウムなどの高融点金属製のルツボ内
で、融点以上で融解したタンタル酸リチウムの原料融液
に接触させ、しかる後に、温度を下げながら種結晶の回
転と同時に引上げ(回転引上げ法(=チョクラルスキー
法))を行ない、例えば外径約110mmの単結晶の育
成を行う。
例えば内周刃ダイヤモンド切断機とX線回折装置等を用
いてカット角を測定しながら切断し、オイラー角表示で
(0.5〜20,115〜147,ψ=任意)面が主面
となるウエハを得る。
面をポリッシュ研磨により鏡面加工した後に、この主面
上にAlやAl−Cu合金等のAlを主成分とする金属
の微細電極パターン等を形成し、多数の励振電極となる
IDT電極及び反射器電極を、例えばラダー型回路に配
設したフィルタ素子領域を複数形成する。なお、これら
電極パターンの作製には、縮小投影露光機(ステッパ
ー)及びRIE(Reactive Ion Etch
ing)装置等によりフォトリソグラフィにより行な
う。
るために、例えば薄膜のSiO2膜を前記ウエハの主面
上に積層した後に、カッティング装置によりウエハのダ
イシングを行ない、個々のフィルタ素子を作製する。こ
の後、個々のフィルタ素子を筐体中に載置し、筐体の電
極と前記フィルタ素子の電極との電気的接続を行ない、
弾性表面波フィルタを完成する。
波フィルタS1において、圧電結晶基板1上に形成され
た電極構造の一例を模式的に示す。図中、2は弾性表面
波を励振するIDT(インターディジタル・トランスデ
ューサ)電極、3はその両側(弾性表面波の伝搬方向)
に配設され、IDT電極2と同様に形成されたグレーテ
ィング状の反射器電極である。また、4はラダー型回路
を構成する直列共振子、5は並列共振子である。
を成し所定の電極指間隔を有する微細構造のIDT電極
2により弾性表面波が励振され、IDT電極2を両側か
ら挟むように配設された反射器電極3により弾性表面波
がIDT電極2側に反射され、有効に閉じ込められて電
気的共振を生ぜしめる。そして、図示のように、IDT
電極2及び反射器電極3から成る共振子を直列または並
列接続させてラダー型回路を構成することにより、所望
のフィルタ電気特性を得る。
mm〜0.5mm程度がよく、0.1mm未満では圧電
結晶基板がもろくなり、0.5mm超では材料コストと
部品寸法が大きくなり使用できない。
Al合金(Al−Cu系、Al−Ti系、Al−Mg
系)からなり、蒸着法、スパッタ法、またはCVD法な
どの薄膜形成法により形成する。また、耐電力性能向上
のために数多くの前述した金属材料が積層構造と成して
いてもよく、弾性表面波フィルタとしての特性を得る上
で好適である。
板上の弾性表面波の伝搬部にSi、SiO2、SiN
x、Al2O3等の誘電体膜を保護膜として形成して、導
電性異物による通電の防止や耐電力の向上を図るように
してもよい。
波フィルタS1において、圧電結晶基板1の主面1a
は、通過帯域特性の挿入損失や帯域内偏差が良好な弾性
表面波フィルタを得るのに、最適な圧電結晶基板の結晶
方位として、オイラー角表示(φ,θ,ψ)の各変数
が、 0.5≦φ≦20、 115≦θ≦147、 −(tan-1(tanφ/cosθ))−6≦ψ≦−
(tan-1(tanφ/cosθ))+6、 を満足するものである。前記結晶方位とする理由につい
て、以下に詳細に説明する。なお、LiTaO3単結晶
のオイラー角表示については、結晶の対称性により、等
価な結晶方位が有り得るため、等価な結晶方位の基板は
前記範囲に含まれるものとする。
電結晶基板を用いた弾性表面波フィルタの電気特性を、
次に示す構成及び測定条件にて得た平均値で示した結果
である。図中の記号(△,◆)は代表的な角度について
プロットしたものである。
るため、最適なフィルタ特性を得るには最適な膜厚比を
変えなければならないが、本発明で使用したIDT電極
及び反射器電極の最適な膜厚比(規格化膜厚)H/λ
(H:膜厚、λ:IDT電極の周期長、または弾性表面
波の波長)は0.03〜0.2にすることが最適な共振
状態を得る上で好適である。
態が得られる3〜150対とし、反射器電極の本数は1
〜200本とする。これにより、IDT電極にて励振さ
せた弾性表面波を良好に反射させることができる。ま
た、IDT電極の規格化交差幅は3〜200λ(λ:I
DT電極の周期長、または弾性表面波の波長)とし、こ
れにより良好な共振状態が得られる。なお、各プロット
は測定個数30の平均を示している。
は、終端抵抗値が50Ωとなる条件で、ベクトルネット
ワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製:型
番HP8753ES)を用いて測定した。なお、弾性表
面波フィルタは1.9GHz帯に使用可能な図2に示す
ラダー型フィルタを作製したものである。
は、対称構造を持つ結晶材料を用いて圧電基板としてい
る。この圧電結晶基板の結晶X軸からの対称性により、
伝搬方向と結晶X軸との差異によるフィルタ特性の有意
差を明らかにするため、オイラー回転させる前の結晶X
軸を、オイラー回転させた後の圧電結晶基板上(x1−
x2平面)に結晶Z軸側へ投影させた軸(投影X軸:結
晶X−Z面とx3軸を法線とする平面との交線)に、オ
イラー回転させた後のx1軸を一致させて、そのx1軸
を中心に広がった角度(ただし、ψの回転方向を+とす
る)を投影軸角度ψ’とし、このψ’=0が特性上最も
良好な角度となりうる。
0の)とき、オイラー角表示の第1角φ°と第2角θ°
を用いて、幾何学的関係により下記式Iのように表すこ
とができる。 ψ=−(tan-1(tanφ/cosθ)) (式I) 図3に、LiTaO3単結晶から成る圧電結晶基板のオ
イラー角表示(φ,θ,ψ)の変数、第1角φが0及び
3で、かつ、投影軸角度ψ’が0(例えば、θ=132
でφ=0のときψ=0、また、θ=132でφ=3のと
きψ=4.5)の弾性表面波フィルタを用いて、第2角
θと、通過帯域内(1850MHz〜1910MHz)
における最大挿入損失との関係について、終端抵抗50
Ωとなる条件にて通過伝送特性を前記ベクトルネットワ
ークアナライザで測定した結果を示す。ここで、実線L
1はφ=3、ψ’=0の場合の結果を、破線L2はφ=
0、ψ’=0の場合の結果をそれぞれ示す。
面波フィルタを用い、第2角θと、前記通過帯域内にお
ける最大挿入損失が3dB以内での比帯域幅(前記BR
と同一)との関係について、前記と同様に測定した結果
を示す。
面波フィルタを用い、前記の第2角θと、第1角φで定
義される結晶材料と、通過帯域内偏差との関係につい
て、前記と同様に測定した結果を示す。ここで、実線L
1はφ=3、ψ’=0の場合の結果を、破線L2はφ=
0、ψ’=0の場合の結果をそれぞれ示す。
た。
各図の特性において極大または極小が存在するが、第1
角φ=0の圧電結晶基板と、φ=3の圧電結晶基板とを
比較すると、φ=3の圧電結晶基板を用いたフィルタの
方が第2角θの広い角度範囲において挿入損失や比帯域
幅は変化が少なく、しかも挿入損失が小さく帯域内偏差
も良好であることが判明した。
147の範囲である場合には、帯域内偏差が3dB以内
であり良好である。さらに、θが123〜138の範囲
内の場合は、図3に示すように、挿入損失が3dB以内
となり最適となることが判明した。
132及び129の場合で、かつ、投影軸角度ψ’が0
の場合で、第1角φと前記通過帯域内の最大挿入損失と
の関係について測定した結果を示す。なお、測定条件等
は図1と同様である。なお、θ=129を選択した理由
は、従来、最適とされる36°回転Y−X基板(θ=1
26)と42°回転Y−X基板(θ=132)のオイラ
ー角表示における第2角θの平均値だからである。
で、第1角φと、前記通過帯域内における最大挿入損失
が3dB以内での比帯域幅との関係を測定した結果を示
す。なお、実線L1はθ=129、ψ’=0の場合の結
果を、破線L2はθ=132、ψ’=0の場合の結果を
それぞれ示す。破線L3はθ=132、ψ’=0の場合
で第1角φが小さい場合のプロットに合わせて近似させ
て描いた直線を示す。
で、第1角φと通過帯域内偏差との関係を測定した結果
を示す。なお、実線L1はθ=129、ψ’=0の場合
の結果を、破線L2はθ=132、ψ’=0の場合の結
果をそれぞれ示す。
た。
させても著しい変化が見られず、良好な特性が得られ
る。
るように、比帯域幅は第1角φが小さい範囲(0.5〜
10)で1次関数的に減少傾向がみられ、図8より第1
角φが大きくなると帯域内偏差は小さくなる傾向にあ
り、特に、φが0.5〜20では、結晶方位が変化する
ことにより、伝搬損失が小さい上に、実効電気機械結合
係数k2所望の比帯域幅BRに最適な領域に近づくこと
となるため、良好な帯域内偏差を得ることができる。
い範囲0.5〜10において、第2角θが132の場合
に直線近似した結果であり、この直線は下記式IIとな
る。
フィルタを得ようとするときに、それに使用する圧電結
晶基板の結晶方位は、実験式である下記式IIにしたがっ
て第1角φを導出することができる。
△)から、下記式IIの実験式が得られ、所望の比帯域幅
BRを有するフィルタを得ようとするときに、それに使
用する圧電結晶基板の結晶方位は、下記式IIIにより、
第2角θを導出することができる。
タ(図中△)から、前記実験式IIの標準偏差σは約0.
5と求められ、本実験式のトレーランスは4σ分(ここ
で、σは標準偏差)を見込み±2とする。
2角θを前記式Iから第3角ψを算出することができ
る。
きに、圧電結晶基板の結晶方位を示すオイラー角表示
(φ,θ,ψ)の各変数が下記式を満足するように、前
記圧電結晶基板の結晶方位を決定できる。
(tan-1(tanφ/cosθ))+6 (ただし、F1(BR)=−2480×BR+95、F
2(BR)=−2480×BR+99、G1(BR)=
1140×BR+85、G2(BR)=1140×BR
+89、BR=BW/fc(BWは帯域内挿入損失が3
dBにおける通過帯域幅、fcは帯域内挿入損失が3d
Bにおける通過帯域の中心周波数)である。)。
好適な結晶方位について説明する。
2で、かつ、第2角φが0,1,3,5,7の各々の場
合における通過帯域内(1850MHz〜1910MH
z)の最大挿入損失について測定した結果を示す。
帯域内における最大挿入損失が3dB以内での比帯域幅
との関係について、図9と同様にして測定した結果を示
す。また図11に、投影軸角度ψ’と通過帯域内偏差と
の関係について、図9と同様にして測定した結果を示
す。
−Z面に対して結晶が強い対称性をもつことにより、図
9〜11の結果から、投影軸角度ψ’が0付近でそれぞ
れピークをもち、得られるフィルタ特性も投影軸角度
ψ’について対称的であることは、結晶材料が結晶X軸
について対称であることから明白である。
内であるところの投影軸角度ψ’が±6トレーランスの
範囲内で良好であり、また、挿入損失3dB以内では、
投影軸角度ψ’が±4のトレーランスの範囲内で最適で
あることが判明した。この理由は、結晶方位が変化する
ことにより、実効電気機械結合係数k2が所望の比帯域
幅BRに最適な領域に近づくことで、帯域内偏差が良好
になりかつ挿入損失も良好になるからと考えられる。
合、良好な電気特性が得られる圧電結晶基板は、オイラ
ー角表示(φ,θ,ψ)で(2〜4,131〜133,
3.5〜6)であることが判明した。
(0.5〜20、115〜147、ψ’=−6〜6(ψ
=−6〜47))の圧電結晶基板を用いた弾性表面波フ
ィルタによれば、帯域内偏差を3dB以内にすることが
できる。
〜20、123〜138、ψ’=−4〜4(ψ=−4〜
38))の圧電結晶基板を用いた弾性表面波フィルタに
よれば、挿入損失が3dB以内の良好なフィルタ特性を
備えることになる。
〜10、129〜135、ψ’=−6〜6(ψ=−6〜
22))の圧電結晶基板を用いた弾性表面波フィルタに
よれば、所望の比帯域幅BRで確実に帯域内偏差が3d
B以内とすることができ、挿入損失も3dB以内の最適
なフィルタ特性となる。
5〜4、132、ψ’=−4〜4(ψ=−4〜10))
の圧電結晶基板を用いた弾性表面波フィルタによれば、
最大の帯域幅と最小の挿入損失及び、良好な帯域内偏差
が得られ、さらに良好な通過帯域近傍の減衰特性を有す
る、きわめて良好なフィルタ特性とすることができる。
位を決定する方法によれば、圧電結晶基板のオイラー角
表示の各変数は所望の比帯域幅BRの関数であらわすこ
とができ、これにより、温度特性の良好なLiTaO3
単結晶の圧電結晶基板材料を選択することができるとと
もに、良好な挿入損失や帯域内偏差、及び良好な通過帯
域近傍の減衰特性を有する、優れた弾性表面波フィルタ
の設計・作製を容易かつ簡便に行うことができる。
性表面波フィルタを説明したが、ラダー型回路に限定さ
れるものではなく、弾性表面波を効率良く励振するため
に、少なくとも励振電極と反射器電極とを備えたもので
あれば適用可能であり、例えば、図12に示すようなI
DT電極2の複数を伝搬方向x1に配設させた、いわゆ
る共振器型構造の電極構成を備えた弾性表面波フィルタ
S2においても適用可能である。なお、図12において
図2と同様な構成については同一符号を付し説明を省略
する。また、本発明は、格子型回路やラダー型回路と格
子型回路の組合せ等、各種のフィルタ回路を備えた弾性
表面波フィルタに対しても適用でき、本発明の要旨を逸
脱しない範囲で種々の変更を行うことが可能である。
作製した一例について説明する。
3、θ=132、ψ=4.5のLiTaO3単結晶から
成る圧電結晶基板上に、Al(98wt%)−Cu(2
wt%)による微細電極パターンを形成した。このパタ
ーン作製には、縮小投影露光機(ステッパー、ニコン社
製、型番:NSR2205i12D)、及びRIE(R
eactive Ion Etching)装置(松下
電器産業社製、型番:E646S−ICP)により行な
った。
って超音波洗浄し、有機成分を落とした。次に、クリー
ンオーブンによって充分に基板乾燥を行なった後、電極
の成膜を行なった。電極成膜には、スパッタリング装置
を使用し、Al−Cuの材料を成膜した。電極膜厚は約
0.2μmとした。
にスピンコートし、前記ステッパーにより所望のパター
ニングを行なった。
ストをアルカリ現像液で溶解させ、所望パターンを表出
した後、RIE装置により、Al−Cu電極のエッチン
グを行ない、パターンニングを終了した。
作製した。すなわち、SiO2をスパッタリング装置に
て成膜し、その後、フォトリソグラフィによってフォト
レジストのパターニングを行ない、RIE装置等でワイ
ヤボンディング用窓開け部のエッチングを行ない、保護
膜パターンを完成した。
ング加工を施し、チップごとに分割した。そして、各チ
ップをダイボンド装置にてピックアップし、シリコーン
樹脂を主成分とする樹脂を用いパッケージ内に接着し
た。この後、約160℃の温度において乾燥・硬化させ
た。パッケージは3mm角の積層構造のセラミックパッ
ケージを用いた。
ジの電極部とチップ上のAl電極パッド上にボールボン
ディングした後、リッドをパッケージにかぶせ、封止機
にて溶接封止して完成した。なお、チップ上のグランド
電極は各々分離して配線し、Auボールボンディングに
てパッケージ上のグランド電極にボンディングした。
変数について、φ=0、θ=132、ψ=0のLiTa
O3単結晶から成る圧電結晶基板上に、本発明の実施例
と同様にして電極等を作製した弾性表面波フィルタを得
た。
タの電気特性は、ネットワークアナライザ(アジレント
・テクノロジー社製:型番HP8753ES)により測
定を行った。
記比較例の各弾性表面波フィルタに入力信号を入れたと
きの出力信号の伝送量を縦軸に、周波数を横軸にとった
場合の特性図を示す。ここで、図13は帯域内偏差をあ
らわすために伝送量が0〜−5dBの範囲での特性を、
図14は急峻度をあらわすために、伝送量が0〜−70
dBの範囲での特性を示す。また、各図中の(A)は本
発明の弾性表面波フィルタの特性であり、各図中の
(B)は前記比較例の弾性表面波フィルタの特性であ
る。
実施例によれば通過特性が良好であり、特に、帯域内偏
差が比較例の1.5dBに対して1.2dBとなり、0.
3dBも良好な結果が得られた。また、本実施例では通
過帯域の低周波側における減衰特性も良好であり、例え
ば比較例では周波数1815MHzで25.5dBの減衰
量に対して32.5dBであり、7dBも減衰量が大きく
より優れた急峻性を示した。
タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電結晶基板の主面
上に、弾性表面波を励振する励振電極と反射器電極とを
配設して成り、圧電結晶基板の結晶方位を示す右手系の
オイラー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が、0.5≦φ
≦20、115≦θ≦147、−(tan-1(tanφ
/cosθ))−6≦ψ≦−(tan-1(tanφ/c
osθ))+6を満足するので、帯域内偏差が3dB以
内の良好で、さらに、挿入損失を劣化させずに比帯域幅
を大きく変更することが可能な、優れた弾性表面波フィ
ルタを提供できる。
が、123≦θ≦138を満足することにより、挿入損
失が3dB以内の良好なフィルタ特性を備え、さらに、
所望の比帯域幅BR(3.2〜4%の範囲)で良好な特
性を有する、優れた弾性表面波フィルタを提供できる。
φ,θが、0.5≦φ≦10、129≦θ≦135を満
足することにより、所望の比帯域幅BR(3.5〜4.
0%の範囲)で確実に帯域内偏差が3dB以内でかつ挿
入損失3dB以内の最適なフィルタ特性となる最適な弾
性表面波フィルタが提供できる。
φ,θが、0.5≦φ≦4、131≦θ≦133を満足
することにより、最大の帯域幅と最小の挿入損失、及び
良好な帯域内偏差が得られ、このような良好なフィルタ
特性となり、さらに、特性改善は帯域内のみならず、帯
域外の減衰についても行なえる、最適な弾性表面波フィ
ルタを提供できる。
合、オイラー角表示(φ,θ,ψ)で(2〜4,131
〜133,3.5〜6)である圧電結晶基板を用いた弾
性表面波フィルタによって、きわめて良好な電気特性が
得られる。
きに、圧電結晶基板の結晶方位を示すオイラー角表示
(φ,θ,ψ)の各変数が、F1(BR)≦φ≦F2
(BR)、G1(BR)≦θ≦G2(BR)、−(ta
n-1(tanφ/cosθ))−6≦ψ≦−(tan-1
(tanφ/cosθ))+6(ただし、F1(BR)
=−2480.0×BR+95.0、F2(BR)=−
2480.0×BR+99.0、G1(BR)=114
0×BR+85.0、G2(BR)=1140×BR+
89.0)を満足するように、前記圧電結晶基板の結晶
方位を決定するようにしたので、温度特性の良好なLi
TaO3単結晶基板材料を選択した上で、所望の比帯域
幅を有する弾性表面波フィルタを容易に設計でき、常に
優れた挿入損失や帯域内偏差を持つ良好な弾性表面波フ
ィルタを簡便に提供できる。
及び弾性表面波の伝搬方向)を示す右手系のオイラー角
(φ,θ,ψ)による座標変換を説明するための座標軸
であり、(b)はオイラー角による座標変換で得られた
直交座標系と圧電結晶基板との関係を説明する斜視図で
ある。
一例を模式的に説明する平面図である。
角表示の第2角θと通過帯域内の最大挿入損失との関係
を示すグラフである。
角表示の第2角θと3dB比帯域幅との関係を示すグラ
フである。
角表示の第2角θと通過帯域内偏差との関係を示すグラ
フである。
角表示の第1角φと通過帯域内の最大挿入損失との関係
を示すグラフである。
角表示の第1角φととの関係を示すグラフである。
角表示の第1角φと通過帯域内偏差との関係を示すグラ
フである。
との角度ψ’と通過帯域内の最大挿入損失との関係を示
すグラフである。
軸との角度ψ’と3dB比帯域幅との関係を示すグラフ
である。
軸との角度ψ’と通過帯域内偏差との関係を示すグラフ
である。
構造を模式的に説明する平面図である。
−5dB)との関係を示し、通過帯域部分を拡大した特
性図であり、(A)は本発明の実施例による弾性表面波
フィルタの電気特性図、(B)は従来(比較例)の弾性
表面波フィルタの電気特性図である。
−70dB)との関係を示す特性図であり、(A)は本
発明の実施例による弾性表面波フィルタの電気特性図、
(B)は従来(比較例)の弾性表面波フィルタの電気特
性図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電
結晶基板の主面上に、弾性表面波を励振する励振電極
と、弾性表面波を前記励振電極へ反射する少なくとも1
つの反射器電極とを配設した弾性表面波フィルタにおい
て、前記圧電結晶基板の結晶方位を示す右手系のオイラ
ー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が、下記式を満足する
ことを特徴とする弾性表面波フィルタ。 0.5≦φ≦20 115≦θ≦147 −(tan-1(tanφ/cosθ))−6≦ψ≦−
(tan-1(tanφ/cosθ))+6 - 【請求項2】 前記オイラー角表示(φ,θ,ψ)のθ
が、下記式を満足することを特徴とする請求項1に記載
の弾性表面波フィルタ。 123≦θ≦138 - 【請求項3】 前記オイラー角表示(φ,θ,ψ)の
φ,θが、下記式を満足することを特徴とする請求項1
に記載の弾性表面波フィルタ。 0.5≦φ≦10 129≦θ≦135 - 【請求項4】 前記オイラー角表示(φ,θ,ψ)の
φ,θが、下記式を満足することを特徴とする請求項1
に記載の弾性表面波フィルタ。 0.5≦φ≦4 131≦θ≦132 - 【請求項5】 タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電
結晶基板の主面上に、弾性表面波を励振する励振電極
と、弾性表面波を前記励振電極へ反射する少なくとも1
つの反射器電極とを配設した弾性表面波フィルタにおい
て、前記圧電結晶基板の結晶方位を示す右手系のオイラ
ー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が、下記式を満足する
ことを特徴とする弾性表面波フィルタ。 2≦φ≦4 131≦θ≦133 3.5≦ψ≦6 - 【請求項6】 タンタル酸リチウム単結晶から成る圧電
結晶基板の主面上に弾性表面波の励振電極を配設した弾
性表面波フィルタにおいて、比帯域幅BRを所望の値と
したときに、前記圧電結晶基板の結晶方位を示すオイラ
ー角表示(φ,θ,ψ)の各変数が下記式を満足するよ
うに、前記圧電結晶基板の結晶方位を決定したことを特
徴とする弾性表面波フィルタ。 F1(BR)≦φ≦F2(BR) G1(BR)≦θ≦G2(BR) −(tan-1(tanφ/cosθ))−6≦ψ≦−
(tan-1(tanφ/cosθ))+6 (ただし、F1(BR)=−2480×BR+95、F
2(BR)=−2480×BR+99、G1(BR)=
1140×BR+85、G2(BR)=1140×BR
+89、BR=BW/fc(BWは帯域内挿入損失が3
dBにおける通過帯域幅、fcは帯域内挿入損失が3d
Bにおける通過帯域の中心周波数)である。)
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WO2018168439A1 (ja) * | 2017-03-13 | 2018-09-20 | 株式会社村田製作所 | ノッチフィルタ |
CN111149296A (zh) * | 2017-10-24 | 2020-05-12 | 京瓷株式会社 | 复合基板以及使用其的弹性波元件 |
-
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CN110383688B (zh) * | 2017-03-13 | 2023-01-24 | 株式会社村田制作所 | 陷波滤波器 |
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