JP4305172B2 - 電子部品およびこの電子部品を用いた電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品およびこの電子部品を用いた電子機器に関するものである。
以下、従来の電子部品について説明する。
本従来の技術では、電子部品の一例として弾性表面波デバイス(以下、「SAWデバイス」と記す。)を例にとり説明する。
近年、小型軽量なSAWデバイスは、各種移動体通信端末機器等の電子機器に多く使用されている。特に、800MHz〜2GHz帯における携帯電話システムの無線回路部には、タンタル酸リチウム(以下、「LT」と記す。)基板の切り出し角度が、X軸周りのZ軸方向への回転角度が36°であるY板から切り出しされた、いわゆる36°YカットX伝播のLT(以下、「36°YLT」と記す。)を用いて作成したSAWフィルタが広く用いられてきた。しかし、携帯電話のシステムやその無線回路部におけるフィルタの使用箇所によっては、さらなる通過帯域の低挿入損失化およびフィルタのスカート特性が急峻で、かつ阻止域における抑圧度の高いフィルタ特性が要求されている。この様な要求を満たすため、LT基板の切り出し角度が、X軸周りのZ軸方向への回転角度が42°であるY板から切り出しされた、いわゆる42°YカットX伝播のLT(以下、「42°YLT」と記す。)基板を用いることで、従来の36°YLT基板を用いるよりも、より低損失かつフィルタのスカート特性が急峻なSAWフィルタを実現する方法が、特許文献1に示されている。
特開平9−167936号公報
しかしながら、42°YLT基板は、従来の36°YLT基板同様、弾性表面波の伝播方向の基板の熱膨張係数が大きく、また弾性定数そのものも温度により変化するため、フィルタの周波数特性も温度の変化に対して約−35ppm/oKと、大きくシフトしてしまうという、温度特性に課題を有していた。例えばアメリカのPCS用の送信フィルタを例にとって考えた場合、常温で中心周波数1.88GHzのフィルタが、常温±50℃で、約±3.3MHzつまり約6.6MHzも変動する。PCSの場合、送信帯域と受信帯域の間隔は20MHzしかなく、製造上の周波数ばらつきも考慮すると、フィルタにとっての送受信間隔は実質10MHz程度しかない。このため、例えば送信帯域を全温度(常温±50℃)で確保しようとすると受信側の減衰量が十分に取れなくなるという問題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、電極上に保護膜を形成することによって温度特性および電気的特性が優れた電子部品を得ることを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は電子部品であって、この電子部品に設けた天面に凹凸形状を有する保護膜は、保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりのピッチ幅をL、前記保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりの凹凸の凸部の幅をL1、凹部の幅をL2、前記櫛型電極の1ピッチあたりのピッチ幅をp、前記櫛形電極を構成する電極指1本あたりの幅をp1、前記電極指間の幅をp2としたとき、
L1≦p1、かつL2≧p2
(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)であるもので、保護膜を電極を覆うように形成したことで、電極指間に物理的なSAWの反射面が形成されることを防ぎ、その結果、保護膜が電極を覆うように形成されかつその表面に凸凹状態が存在する場合においても、特性の良い電子部品を得ることができるという作用を有する。
以上の様に本発明によれば、基板上に形成された電極を覆うように保護膜を形成し、かつその保護膜の形状や厚さを特定の範囲に設定することによって温度特性および電気的特性が優れた電子部品を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態における電子部品について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態では電子部品の一例としてSAWデバイスを例にして説明する。
(実施の形態1)
図1(a)は本発明の実施の形態1における電子部品としてのSAWデバイスの上面図、図1(b)は同断面図である。
同図に示すように本実施の形態1のSAWデバイスは、基板1の上面に櫛型電極2を、この櫛型電極2の両側に反射器3とを備え、少なくともこれら櫛型電極2および反射器3を覆う保護膜4を備えるものである。さらに櫛型電極2には、この櫛型電極2と電気的に接続された電気信号の取出しを行うパッド5を有し、SAWデバイスを構成するものである。
基板1は、X軸周りにZ軸方向へ数度回転させたY板から切り出したタンタル酸リチウムからなるもので、その回転の角度が36°である36°YLT基板である。
櫛型電極2はアルミニウム(以下、「Al」と記する。)またはAl合金からなるものである。
保護膜4は、好ましくは二酸化シリコン(以下、「SiO2」と記述する。)からなるもので、図1(b)に示すように、その上面は凹凸形状を備えている。保護膜4の凸部分4aは、基板1の上面の櫛型電極2を有する部分の上方に備わっている。また、保護膜4の凹部分4bは、凸部分4a間の櫛型電極2が基板1の上面に存在しない部分およびその近傍に備わっている。
ここで、保護膜4の凸部分4a、凹部分4b各々1つを1ピッチとし、この1ピッチあたりのピッチ幅をLとし、保護膜4の凸部分4aの幅をL1とし、保護膜4の凹部分4bの幅をL2(L=L1+L2が成り立つこと)とする。また、保護膜4の1ピッチと同様に、1つの櫛型電極2の電極指2aおよび一方が隣合う電極指2aの存在する部分までを櫛型電極2の1ピッチ幅pとする。さらに、電極指2aの1本あたりの幅をp1とし、隣合う電極指間の幅をp2(p=p1+p2が成り立つこと)とする。さらに、1ピッチあたりの保護膜のピッチ幅Lと前記保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりの凹凸の凸部の幅L1との比L1/Lをη'とし、1ピッチあたりの櫛型電極のピッチ幅pと前記櫛形電極を構成する電極指1本あたりの幅p1との比p1/pをηとする。
また、保護膜4と接している基板1の表面から保護膜4の凹部分4bまでの高さをtとし、櫛型電極2の厚さ(基板1の表面から櫛型電極2の天面までの高さ)をhとする。
以上のように構成されるSAWデバイスについて、以下にその製造方法を図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施の形態1におけるSAWデバイスの製造方法を説明する図である。
まず、図2(a)に示すように、LT基板21の上面にAlまたはAl合金を蒸着またはスパッタ等の方法により櫛形電極または/および反射器となる電極膜22を成膜する。
次に、図2(b)に示すように、電極膜22の上面にレジスト膜23を形成する。
次に、図2(c)に示すように、所望の形状となるように露光・現像技術等を用いてレジスト膜23を加工する。
次に、図2(d)に示すように、ドライエッチング技術等を用いて電極膜22を櫛型電極や反射器等、所望の形状に加工した後、レジスト膜23を除去する。
次に、図2(e)に示すように、電極膜22を覆うようにSiO2を蒸着またはスパッタ等の方法により、保護膜24を形成する。
次に、さらに図2(f)に示すように、保護膜24の表面にレジスト膜25を形成する。
次に、図2(g)に示すように、露光、現像技術等を用いてレジスト膜25を所望の形状に加工する。
次に、図2(h)に示すように、ドライエッチング技術等を用いて、電気信号取出しのためのパッド26等、保護膜24が不要な部分の保護膜を取り除き、その後レジスト膜25を除去する。
最後にダイシングにより個々に分割した後、セラミックパッケージにダイボンド等によりマウントし、ワイヤーボンディング後、蓋を溶接し気密封止を行った。
本発明の実施の形態1においては、電極およびSiO2膜の形状は
L1≦p1、かつL2≧p2
(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)の関係を満たすものである。
この関係を満たす形状を得る方法として、製造方法を示した図2(e)のSiO2膜形成において基板側にバイアスを印加しながらスパッタリングで成膜を行う、いわゆるBiasスパッタリング法を用いた。その際、SiO2膜の形状をコントロールするには、基板に印加するバイアスとスパッタリング電力の比を変える事で行った。
本実施の形態1においては、SiO2膜の形状をどのようにすることで、保護膜を形成した場合においても良い特性が得られるかを示すために、以下の6種類のSAWデバイス(実施例1〜3および比較例1〜3)を作成した。比較例1はSiO2膜を設けていない通常のSAWデバイス,比較例2はSiO2膜形成において通常の(基板側にBiasを印加しない)スパッタリングを用いたSAWデバイス,比較例3はSiO2膜を形成するのにバイアススパッタを用いたが、基板に印加するバイアスとスパッタリングパワーの比を変え、L1≧p1、かつL2≦p2となるようにSiO2膜を形成したものである。ただし、本実施の形態1においては、全ての実施例および比較例における電極の規格化膜厚h/(2×p)は4%とし、SiO2膜の規格化膜厚t/(2×p)は20%とした。図3に実施例1〜3および比較例2,3の断面形状を、図4に電気的特性を示す。この際、SAWデバイスの断面形状は、SAWデバイスの表面を金属でコーティングした上で、FIB(Focused Ion Beam)によりSAWの伝播方向に電極を切断し、電子顕微鏡で観察した結果からその形状を特定した。ただし、例えば図14(a)に示された電極の断面形状のように、そのSiO2の凸部の頂部141がほぼ点状で、かつ凸部の頂部から底部にかけて曲線状に丸みを帯びた状態になり、L1とL2の境が判然としない場合については、図14(b)に示すように、凸部の頂部近傍において底部から頂部への辺を曲線142で近似し、その曲線の凸部の頂部141における接線143と、隣あうSiO2の底部を結ぶ直線144との交点145を用いてL1およびL2を定義した。また、表1に図4で示した各実施例および比較例の、最小挿入損失および反共振点における減衰量(最大減衰量)、急峻性の指標となる共振周波数と反共振周波数の周波数差(Δf)のおよび図3に示したそれぞれのSAWデバイスの断面から測定した、ηとη'の比η'/ηの一覧を示す。
Figure 0004305172
図4及び表1からSiO2膜の形状が「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たしていない比較例2,3においてはその反共振周波数の減衰量が約−20dBと、SiO2を形成することで大きく劣化することが、比較例1の減衰量との比較から分かる。これに対し、SiO2膜の形状が上記関係を満たしている実施例1,2,3については、その反共振周波数における減衰量は約−25dB以上と比較例1とほぼ同等である。特に実施例1,2,3を比較すると、実施例1,2,3の順で急峻かつ減衰量が大きくなり、しかも実施例2,3では減衰が−26dB以上とSiO2膜を形成する前とほぼ同等であることが示されている。
また図5は最大減衰量とη’/ηとの関係をグラフにしたものである。このグラフから、η’/ηが小さくなるに従って減衰量が改善されて行くことがわかる。特に0.86以下で、SiO2を形成しなかった場合の90%以上の減衰量となっており、SiO2膜を形成した後も、SiO2膜形成前とほぼ同等の性能を得ることができる。
以上のように、発明者らはSiO2膜の形状を「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たすようにして作成することによって保護膜を形成した場合においても良い特性が得られることを見出した。特にη’/η≦0.86とすることで、保護膜を形成しない場合と同等の減衰量を実現することを見出した。
本実施の形態1では保護膜としてSiO2膜を用いたが、保護膜はこれに限られるものではなく、SiN,SiON,Ta25など他の誘電体膜を用いた場合においてもその形状が上記条件を満たせば同様の効果を得ることができることは言うまでも無い。また、本実施の形態1においては、その基板として36°YLTを用いたが、基板はこれに限られるものではなく、他の角度で切り出されたLTや、例えばLiNbO3やLiB23、KNbO3等の他の圧電基板を用いたSAWデバイス、また、圧電膜上に電極を形成したSAWデバイスにおいて、その表面に保護膜を形成する場合は、その形状が上記条件を満たせば同様の効果を得ることができる事は言うまでも無い。
さらに、形状の形成方法として本実施の形態1ではバイアススパッタリングを用いたが、これもこの手法に限られるものでもない。
(実施の形態2)
以下本発明の実施の形態2におけるSAWデバイスについて図面を参照しながら説明する。
本実施の形態2におけるSAWデバイスは、電極や反射器の本数や、ピッチpは異なるものの、実施の形態1で用いたSAWデバイスと同様のSAWデバイスを用いた。したがってその構造および作成方法についてはそれぞれ図1および図2に示したものと同様であり、その説明は省略する。本実施の形態2によるSAWデバイスも、「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たしている。但し、電極の規格化膜厚h/(2×p)は5%とした。
本実施の形態2においては、SiO2膜の膜厚と温度特性および電気特性の関係を示す為に、実施例4、5、6としてSiO2の膜厚tの異なるSAWデバイスを3種類と比較例4としてSiO2を形成していないSAWデバイスを作成した。それぞれのデバイスの電気特性を図6に、また、図6に示した電気特性から算出した電気機械結合係数(K2)とSiO2膜厚との関係を図7に示す。ただし図6の電気特性の周波数依存性については、デバイス間の周波数ずれを考慮するため、また各デバイス間の特性の違いが分かりやすいように、各SAWデバイスの共振周波数で規格化した規格化周波数を用いてその依存性を示した。さらに、図8に各SAWデバイスの反共振周波数で測定した温度特性を示す。また、それぞれのデバイスのSiO2膜の規格化膜厚t/(2×p)および電気機械結合係数と温度特性の一覧を表2に示した。
Figure 0004305172
図8はSiO2膜の膜厚が厚くなるにつれて、その温度特性も改善されることを示している。特にSiO2膜の規格化膜厚が約0.13以上になると温度特性も−30ppm/°K以下となり、さらに約30%で0温度係数となる。しかし同時に、図7は、その電気機械結合係数K2が低下することを示している。電気機械結合係数K2が小さくなるにつれて、急峻性は増すが、同時にこのSAWデバイスを用いてラダー型のSAWフィルタを構成する際、その帯域幅は狭くなる。現在普及している携帯電話システムにおいて必要とされるフィルタの帯域幅を確保するには、6%程度以上の結合係数が好ましい。図7から6%の結合係数が得られるのはSiO2の規格化膜厚が約20%以下の場合で、SiO2膜の膜厚が約35%以上になると結合係数が5%以下となり、フィルタの帯域を確保することが非常に困難となる。また逆に電気機械結合係数が大きすぎると、帯域は広くなるが、急峻性が失われるため、送信帯域と受信帯域の間で十分に通過域から減衰域に遷移することができず、減衰域において十分な抑圧が得られない、もしくは通過域において損失が大きくなるといった問題が発生する。さらに温度係数を考慮すると、フィルタ特性に許される通過域から減衰域への遷移領域は(送信帯域と受信帯域の間−温度による特性のドリフト周波数幅)以下である必要がある。したがって、図7と図8を考慮すると、電気機械結合係数が約7%で温度特性が約−30ppm/°KとなるSiO2膜の膜厚が13%の場合よりも、SiO2膜の膜厚は厚い方が好ましい。したがって、以上の結果から発明者らは、保護膜としてSiO2を用い、基板表面から前記保護膜の凹部までの高さで定義される保護膜の厚さtが
13%≦t/(2×p)≦35%
の条件を満たしている場合に良好な温度特性および電気特性が得られることを確認した。
(実施の形態3)
以下本発明の実施の形態3におけるSAWデバイスについて図面を参照しながら説明する。
本実施の形態3におけるSAWデバイスは、電極や反射器の本数や、ピッチpは異なるものの、実施の形態1で用いたSAWデバイスと同様のSAWデバイスを用いた。したがってその構造および作成方法についてはそれぞれ図1および図2に示したものと同様であり、その説明は省略する。本実施の形態3によるSAWデバイスも、「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たしている。
本実施の形態3においては、基板1の切り出し角度と本実施の形態1で示した形状を有する保護膜が形成されたSAWデバイスの電気的特性の関係を示す為に、切り出し角の異なる比較例5、6と実施例7,8,9の計5種類の基板を用いてSAWデバイスを作成した。表3にそれぞれのSAWデバイスに用いたLT基板の切り出し角度の一覧を示す。
Figure 0004305172
また図9にそれぞれのSAWデバイスの電気特性を示す。ただし図9においては、デバイス間の周波数ずれを考慮するため、また各デバイス間の特性の違いが分かり易いように、各SAWデバイスの反共振周波数で規格化した規格化周波数を用いてその依存性を示している。
図9は基板1の切り出し角度が34°から高角度側になるにつれ、その減衰量と急峻性が大きく改善される事を示している。特に、この実施の形態3で用いたSAWデバイスにおいて減衰量が、SiO2膜を形成しなかった場合の減衰量の約80%である−20dB以上となるには、基板の切り出し角度が約38°以上あればよい。したがって、以上の結果から発明者らは、基板1を、X軸周りにZ軸方向へD°回転させたY板から切り出したLTとして、その回転の角度D°が
38°≦D°
であるD°YLT基板を用いた場合に良好な温度特性および電気特性が得られることを確認した。
(実施の形態4)
以下本発明の実施の形態4におけるSAWデバイスについて図面を参照しながら説明する。
本実施の形態4におけるSAWデバイスは、電極や反射器の本数や、ピッチpは異なるものの、実施の形態1で用いたSAWデバイスと同様のSAWデバイスを用いた。したがってその構造および作成方法についてはそれぞれ図1および図2に示したものと同様であり、その説明は省略する。本実施の形態4によるSAWデバイスも、「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たしている。
本実施の形態4においては、保護膜の凹凸の凸部中心Lcと、櫛型電極の電極指の中心pcとの位置関係と、本実施の形態1で示した形状を有する保護膜が形成されたSAWデバイスの電気的特性との関係を示す為に、実施例10として、保護膜の凹凸の凸部中心Lcと、櫛型電極の電極指の中心pcとがほぼ一直線上にあるSAWデバイスと、比較例7として保護膜の凹凸の凸部中心Lcと、櫛型電極の電極指の中心pcとがずれているSAWデバイスを作成した。図10(a)に実施例10の、また図11(a)に比較例7のデバイスの断面形状を、図10(b)に実施例10の、また図11(b)に比較例7のデバイスの電気特性を示す。ただし図10(b)および図11(b)においては、デバイス間の周波数ずれを考慮するため、また各デバイス間の特性の違いが分かりやすいように、各SAWデバイスの反共振周波数で規格化した規格化周波数を用いてその依存性を示している。
保護膜の凹凸の凸部中心Lcと、櫛型電極の電極指の中心pcとがずれることによって、挿入損失および減衰量が劣化することが分かる。さらに規格化周波数1.02付近に発生しているリップルが図11(b)では大きく発生しておりまた反共振点とこのリップルとの周波数差が狭くなっていることが分かる。このSAWデバイスを用いてラダー型のSAWフィルタを構成する際、このリップルが大きく出ているとフィルタ特性を悪化させてしまい、またこのリップルが反共振点の近くに存在した場合、フィルタの帯域の大きなリップルとして現れてしまう。
したがって、以上の結果から発明者らは、SiO2膜の形状を「L1≦p1、かつL2≧p2(ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)」の関係を満たすようにして作成されたデバイスにおいて良好な電気特性を得るには、保護膜4の凸部分4aの幅L1の中心をLc、この保護膜4の凸部分4aの下方およびその近辺に存在する電極指2の1本あたりの幅p1の中心をpcとした場合、Lcとpcとが、基板1の上面から見てほぼ同一直線上、すなわち平面視ほぼ同一直線上に存在していることが好ましいことを見出した。
(実施の形態5)
以下に本発明の、実施の形態5における電子機器について図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、電子機器の一例として携帯電話を例に取り説明する。
図12(a)は本発明の実施の形態5における、携帯電話の概観図、図12(b)は同内部の要部の電気回路図である。
同図に示すように本実施の形態5の携帯電話は、アンテナ121およびこのアンテナ121に接続されたアンテナ共用器122を有している。このアンテナ共用器122は、送信用SAWフィルタ122a、受信用SAWフィルタ122b、および移相回路122cにより構成する。
本実施の形態5における送信用SAWフィルタ122aおよび受信用SAWフィルタ122bは、実施の形態1で説明したSAWデバイスを用いるものである。
図13(a)に送信用SAWフィルタ122aの、−35℃,25℃,+85℃のそれぞれの温度で測定した電気特性を示す。
また、比較のため送信用SAWフィルタ122aと同一周波数帯のSiO2膜を形成していないSAWフィルタを−35℃,25℃,+85℃のそれぞれの温度で測定した電気特性を図13(b)に示す。また、図13においては、本実施の形態5の一例として取り上げた携帯電話システムにおける送信帯域131および受信帯域132をハッチングによって示している。この携帯電話システムでは、−35℃〜+85℃の温度範囲において、送信フィルタの場合、送信帯域において挿入損失−3.5dB以下、受信帯域において−42dB以上の抑圧が要求される。
図13の(a)、(b)を比較すると、実施の形態1で説明したSAWデバイスを用いた図13(a)の特性を持つフィルタは、急峻なフィルタ特性をもち、かつ温度変化による周波数ドリフトが少ないため、この携帯電話システムの要求性能である−30℃〜+85℃の温度範囲において、送信帯域において挿入損失−3.5dB以下、受信帯域において−42dB以上の抑圧が実現しているのに対し、図13(a)の特性を持つSiO2膜を形成していないフィルタは急峻な特性が実現できず、常温においても要求性を満たしておらず、しかも温度による周波数ドリフトが大きく、−30℃〜+85℃の範囲で特性を満たすことができない。
送信用SAWフィルタ122aおよび受信用SAWフィルタ122bに、実施の形態1で説明したSAWデバイスを用いた携帯電話に対して、発明者らは、−30℃から+85℃の環境下でその感度も同様に測定したところ、温度変化に対して、感度の変化が少ないことを確認した。
以上の様に本発明によれば、基板上に形成された電極を覆うように保護膜を形成し、かつその保護膜の形状や厚さを特定の範囲に設定することによって温度特性および電気的特性が優れた電子部品を得ることができる。
(a)本発明の実施の形態1における電子部品の構成を示す上面図、(b)本発明の実施の形態1における電子部品の断面図 本発明の実施の形態1における電子部品の製造方法を説明する図 本発明の実施の形態1における電子部品の断面図 本発明の実施の形態1における電子部品の電気特性を示す図 本発明の実施の形態1における電子部品の構造と電気特性の関係を示す図 本発明の実施の形態2における電子部品の電気特性を示す図 本発明の実施の形態2における電子部品の構造と電気特性の関係を示す図 本発明の実施の形態2における電子部品の構造と温度特性の関係を示す図 本発明の実施の形態3における電子部品の電気特性を示す図 (a)本発明の実施の形態4における電子部品の断面図、(b)本発明の実施の形態4における電子部品の電気特性を示す図 (a)本発明の実施の形態4における電子部品の断面図、(b)本発明の実施の形態4における電子部品の電気特性を示す図 (a)本発明の実施の形態5における電子機器の概観図、(b)本発明の実施の形態5における電子機器の内部の要部の電気回路図 (a)本発明の実施の形態5における電子部品の電気特性を示す図、(b)本発明の実施の形態5における電子部品の電気特性を示す図 (a)本発明の実施の形態における電子部品の断面図の例を示す図、(b)本発明の実施の形態における電子部品の断面の構造の定義を示す図
符号の説明
1 基板
2 櫛型電極
2a 電極指
3 反射器
4 保護膜
4a 保護膜の凸部分
4b 保護膜の凹部分
5 パッド
21 基板
22 電極膜
23 レジスト膜
24 保護膜
25 レジスト膜
26 パッド
121 アンテナ
122 アンテナ共用器
122a 送信用SAWフィルタ
122b 受信用SAWフィルタ
122c 移相線路
131 送信帯域
132 受信帯域
141 保護膜の凸部の頂部
142 保護膜の凸部の頂部近辺の形状を近似する曲線
143 保護膜の凸部の頂部近辺の形状を近似する曲線の凸部の頂部における接線
144 保護膜の凹部の底面を結ぶ直線
145 保護膜の凸部の頂部近辺の形状を近似する曲線の凸部の頂部における接線と保護膜の凹部の底面を結ぶ直線の交点

Claims (7)

  1. 基板と、この基板の上面に設けた櫛型電極と、この櫛型電極を覆うとともに天面に凹凸形状を有する保護膜とを備え、この保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりのピッチ幅をL、前記保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりの凹凸の凸部の幅をL1、凹部の幅をL2、前記櫛型電極の1ピッチあたりのピッチ幅をp、前記櫛形電極を構成する電極指1本あたりの幅をp1、前記電極指間の幅をp2としたとき、
    L1≦p1、かつL2≧p2
    (ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)である電子部品。
  2. 1ピッチあたりの保護膜のピッチ幅Lと前記保護膜の凹凸形状の1ピッチあたりの凹凸の凸部の幅L1との比L1/Lをη'とし、1ピッチあたりの櫛型電極のピッチ幅pと前記櫛形電極を構成する電極指1本あたりの幅p1との比p1/pをηとしたとき、ηとη'との関係が、
    η'/η≦ 0.86
    (ただし、L≒p、p1+p2=p、L1+L2=Lの関係を満たす)である請求項1に記載の電子部品。
  3. 1ピッチあたりの保護膜の凹凸の凸部の幅L1の中心をLcとし、前記1ピッチあたりの保護膜の凸部の下方に位置する櫛型電極の電極指の幅p1の中心をpcとしたとき、Lcとpcが、平面視ほぼ同一直線上に存在している請求項1に記載の電子部品。
  4. 基板は、タンタル酸リチウム基板であって、かつこのタンタル酸リチウム基板の切り出し角度が、X軸周りにZ軸方向への回転角度をD°とした場合、
    38°≦D°
    のY板から切出されたものである請求項1に記載の電子部品。
  5. 保護膜は、基板表面から前記保護膜の凹部までの高さで定義される保護膜の厚さをtとしたとき、
    13%≦t/(2×p)≦35%
    である請求項1に記載の電子部品。
  6. 保護膜は二酸化シリコンである請求項1に記載の電子部品。
  7. 少なくとも1つのアンテナと、このアンテナに電気的に接続する電気回路とを有する電子機器であって、前記電気回路は複数の電子部品を備え、この複数の電子部品の少なくとも一つは、請求項1ないし6の何れかに記載の電子部品である電子機器。
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