JP2002251810A - 情報記録方法 - Google Patents

情報記録方法

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JP2002251810A
JP2002251810A JP2001274235A JP2001274235A JP2002251810A JP 2002251810 A JP2002251810 A JP 2002251810A JP 2001274235 A JP2001274235 A JP 2001274235A JP 2001274235 A JP2001274235 A JP 2001274235A JP 2002251810 A JP2002251810 A JP 2002251810A
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JP2001274235A
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English (en)
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Shoichi Nishikawa
正一 西川
Yoshihisa Usami
由久 宇佐美
Makoto Nagao
信 長尾
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】正確にトラッキング・サーボを行いながら情報
の記録を行うことにより、良好なS/Nで信号の高密度
記録を行うことができる情報記録方法を提供する。 【解決手段】光磁気ディスク10は磁気的に情報を記録
する磁気記録層16を備えており、この磁気記録層16
が、磁化方向が異なる磁化領域16A及び16Bが半径
方向に交互に配列されるように、ディスク中心に対し同
心円状またはスパイラル状に予め磁化されている。この
トラッキングのために予め磁化された磁化領域16A及
び16Bに情報を記録するので、サーボ領域の面積増加
による記録容量低下が防止される。また、トラッキング
を連続的に行うので、正確なトラッキング・サーボを行
うことができる。更に、エバネッセント光を照射すると
共に、磁気ヘッドから垂直方向の磁界を印加して磁気的
に情報を記録するので、高密度記録が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録方法に係
り、特に、トラッキング用サーボ情報を磁気的にプリフ
ォーマット記録した情報記録媒体に、エバネッセント光
を利用した光磁気により情報の記録を行う情報記録方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナル・コンピュータで取り扱う情
報量の飛躍的な増加に伴い、大容量かつ安価であり、ア
クセス時間の短い情報記録媒体が続々と開発されてい
る。このような大容量の情報記録媒体としては、例え
ば、ハードディスク等の内蔵型の磁気記録媒体、アイオ
メガ社が開発したZIP等のリムーバルな磁気記録媒体
を挙げることができる。これらハードディスクやZIP
では、トラック幅を狭めトラック密度を大きくすること
により、大容量化を実現しており、狭いトラックを磁気
ヘッドが正確に走査し、良好なS/Nで記録信号を再生
するためには、磁気ヘッドとトラックとの相対的なずれ
を検出して、磁気ヘッドの位置を補正するトラッキング
・サーボ技術が重要な役割を果たしている。
【0003】ハードディスクやZIPでは、トラッキン
グ用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号
等が、磁気記録媒体の製造時に予め高い位置精度で記録
(プリフォーマット記録)されている。これらの信号が
記録された領域(サーボ領域)は、ディスク面に対し離
散的に配置されており、磁気ヘッドはこれらの信号を再
生することにより、ヘッドの位置を確認、修正しながら
トラック上を正確に走査している。
【0004】一方、次世代の高密度記録方式としては、
エバネッセント光を利用した記録方式(近接場光記録方
式、ニアフィールド記録方式ともいう)が有力視されて
いる。この記録方式では、100ギガビット/インチ2
以上の高密度化が可能になると期待されている。
【0005】エバネッセント光は、波長以下の微小開口
で光が散乱、回折したときに発生し、微小開口の近傍
(微小開口の出射端からその光の波長以下の領域内)に
局在する非伝搬光である。また、固体浸漬レンズ(SI
L:Solid Immersion Lens)に光
を集光することによっても、エバネッセント光を発生さ
せることができる。このエバネッセント光を用いて光記
録を行うことにより、通常の光記録による記録マークよ
りも小さい記録マークを形成することができ、これによ
り情報の面記録密度を大幅に増加させることができる。
【0006】その一方、エバネッセント光は、記録ヘッ
ドとなる微小開口やSILの出射端から光の波長以下の
領域内にしか存在しないため、エバネッセント光の発生
手段およびその検出器(ヘッド)を記録媒体の極近傍
(具体的には、数10nm以内の領域)に配置して、記
録及び再生を行わなければならない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、更なる
高密度化に伴いトラック幅は狭くなる一方であり、従来
のサーボ方式では、磁気ヘッドはトラック上を正確に走
査すること(サーボ・フォローイング)ができない、と
いう問題が生じる。特に100ギガビット/インチ2
上の記録密度では、サーボ・フォローイングに問題を生
じる可能性が高い。また、ディスク面積に対するサーボ
領域の面積の割合を高めることにより、サーボ・フォロ
ーイングを確実に行おうとすれば、記録領域の減少を招
き、記録容量を高く維持することが困難になる。
【0008】また、光ディスクでは、ディスク内に同心
円状またはスパイラル状に設けられたランド/グルーブ
構造のトラッキング・ガイドを利用してトラッキングを
行うサーボ方式を採用しているが、この方式ではディス
ク表面に大きな凸凹が存在することになる。このため、
検出器を記録媒体の極近傍に配置する必要がある次世代
の高密度記録方式では、安定したヘッド走行状態を実現
することが難しい。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みな
されたものであり、本発明の目的は、正確にトラッキン
グ・サーボを行いながら情報の記録を行うことにより、
良好なS/Nで信号の高密度記録を行うことができる情
報記録方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の情報記録方法は、ディスク状の平
滑な基板上に形成された磁気記録層を備え、該磁気記録
層がトラッキングのために予めディスク中心に対し同心
円状またはスパイラル状に磁化されると共に、磁化方向
が異なる磁化領域が半径方向に交互に配列されるように
磁化された情報記録媒体を用い、前記磁気記録層の磁化
領域の磁化方向の相違に基づいてトラッキングを行うと
共に、前記磁気記録層の磁化領域に、エバネッセント光
を照射することにより光照射部分をキュリー温度付近ま
で加熱すると共に、磁気ヘッドから所定方向の磁界を印
加して磁気的に情報を記録することを特徴とする。
【0011】請求項1に記載の情報記録方法で用いる情
報記録媒体は、ディスク状の平滑な基板上に形成された
磁気記録層を備えている。この磁気記録層がトラッキン
グのために予め磁化方向が異なる磁化領域が半径方向に
交互に配列されるように磁化されているので、磁化領域
の磁化方向の相違に基づいてトラッキングを行うことが
できる。また、磁気記録層がトラッキングのために予め
ディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に磁化
されているので、トラッキングを連続的に行うことがで
き、正確なトラッキング・サーボを行うことができる。
更に、磁化領域の磁化方向の相違に基づいてトラッキン
グを行うことができるので、ディスク状の平滑な基板に
凸凹を形成する必要がなく、検出器を記録媒体の極近傍
に配置する場合にも、安定したヘッド走行状態を実現す
ることができる。
【0012】この情報記録媒体を用いて、トラッキング
のために予め磁化された磁化領域に情報を磁気的に記録
するので、サーボ領域の面積増加による記録容量低下を
防止することができる。また、エバネッセント光を照射
することにより光照射部分をキュリー温度付近まで加熱
すると共に、磁気ヘッドから所定方向の磁界を印加して
磁気的に情報を記録するので、通常の光記録による記録
マークよりも小さい記録マークを形成することができ、
高密度記録を行うことができる。更に、上述の通りトラ
ッキングを連続的に行うので、正確なトラッキング・サ
ーボを行うことができ、良好なS/Nで信号の記録を行
うことができる。
【0013】なお、情報の記録に用いる前記情報記録媒
体の磁気記録層には、同心円またはスパイラル状のトラ
ッキング信号と共に、予め離散的サーボ・フィールドを
磁気的に記録しておいてもよい。磁気記録層に予め離散
的にサーボ・フィールドを磁気的に記録しておくことに
より、記録時または再生時に、カー効果等の磁気光学効
果を利用してサーボ・フィールドを読み出し、セクター
・サーボを行なうことができる。トラッキング・サーボ
とセクター・サーボとを併用することにより、正確なト
ラッキングが可能になると同時に、所定領域へのアクセ
ス速度が速くなる。
【0014】また、前記情報記録媒体の磁気記録層の磁
化領域は一定周波数で蛇行するように形成しておいても
よい。この通り、いわゆるウォブルを施すことで、トラ
ッキング信号を検出すると同時に、クロック信号やアド
レス信号を生成することができる。
【0015】更に、前記情報記録媒体の所定の磁化方向
に磁化された磁化領域を、異なる磁化方向に磁化された
磁化領域より広く形成しておいてもよい。情報を記録す
る場合に、この広く形成した所定の磁化方向に磁化され
た磁化領域にのみ磁気的に情報を記録するようにするこ
とで、フォーマット効率が向上する。
【0016】請求項2に記載の情報記録方法は、請求項
1の発明において、前記所定方向の磁界はディスク面に
対して垂直な磁界であることを特徴とする。ディスク面
に対して垂直な磁界を印加して磁気的に情報を記録する
(即ち、垂直磁化する)ことにより、磁化方向が異なる
記録ビットが隣り合い、相互にその磁力を弱め合うこと
がなくなり、記録領域の磁力が安定化する。
【0017】請求項3に記載の情報記録方法は、請求項
1または2の発明において、前記基板とは反対側から磁
気記録層に情報を記録することを特徴とする。エバネッ
セント光は、出射端から光の波長以下の領域内にしか存
在しないため、出射端および検出器を記録媒体の極近傍
に配置して、記録を行わなければならない。
【0018】請求項4に記載の情報記録方法は、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記磁気
記録層の磁化領域に、磁気ヘッドから所定方向の磁界を
印加した状態で、記録信号に応じて変調されたエバネッ
セント光を照射して磁気的に情報を記録することを特徴
とする。いわゆる光変調記録方式により情報の記録を行
なうことができる。
【0019】請求項5に記載の情報記録方法は、請求項
1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記磁気
記録層の磁化領域に、エバネッセント光を照射した状態
で、磁気ヘッドから記録信号に応じて変調された所定方
向の磁界を印加して磁気的に情報を記録することを特徴
とする。いわゆる磁界変調記録方式により情報の記録を
行なうことができる。
【0020】請求項6に記載の情報記録方法は、請求項
1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記基板
が可とう性非磁性基板であることを特徴とする。基板に
可とう性非磁性基板を用いたことにより、ヘッドとディ
スクとが接触した際の衝撃が低減され、フライング・ヘ
ッドを使用する次世代の高密度記録方式のようにヘッド
を記録媒体の極近傍に配置する場合にも、ヘッドとディ
スクとが安定に接触摺動し、安定したヘッド走行が可能
となる。また、可とう性非磁性基板を基材として用いて
いるので、安価に製造することができる。
【0021】請求項7に記載の情報記録方法は、請求項
1〜6のいずれか1項に記載の発明において、前記磁気
記録層の表面と前記磁気ヘッドとを100nm以下に近
接させて情報を記録することを特徴とする。即ち、情報
記録媒体と磁気ヘッドとが安定に接触摺動している状態
で、情報の記録を行なうことが好ましい。このような状
態は、例えば、ディスク状の可とう性非磁性基板を使用
する場合に実現することができる。磁気記録層の表面と
磁気ヘッドとをディスク面平均で100nm以下に近接
させてはじめて、エバネッセント光を利用した高密度記
録が可能となる。
【0022】請求項8に記載の情報記録方法は、請求項
1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記基板
と前記磁気記録層との間に反射膜が形成され、前記情報
記録媒体にエバネッセント光を照射したときの前記磁気
記録層表面での反射光と共に、前記磁気記録層を透過
し、前記反射膜で反射された反射光を検出して、前記ト
ラッキングを行うことを特徴とする。非伝搬光であるエ
バネッセント光は伝搬光に変換されて反射膜により反射
されるので、磁気カー効果を利用してエバネッセント光
の磁気記録層表面での反射光を検出する際に、伝搬光に
よる反射光がファラデー効果により検出されて検出信号
のS/Nが向上する、いわゆるエンハンス効果を得るこ
とができる。また、磁気カー効果を利用して情報を再生
する場合にも同様にエンハンス効果を得ることができ
る。なお、トラッキングを行うためのトラッキング・エ
ラー検出方式としては、例えば、2本のトラッキング・
ビームによる反射光の偏光面の回転方向を各々検出する
と共に2つの検出値を比較する3ビーム法を用いること
ができる。
【0023】請求項9に記載の情報記録方法は、請求項
1〜8のいずれか1項に記載の発明において、所定の磁
化方向に磁化された磁化領域を複数のトラックに分けて
情報を記録することを特徴する。所定の磁化方向に磁化
された磁化領域に情報を記録する際に、該磁化領域を複
数のトラックに分けて記録することにより、フォーマッ
ト効率が向上する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態について説明する。
【0025】まず、本発明の情報記録方法に使用する情
報記録媒体としての光磁気ディスク10について説明す
る。この光磁気ディスク10は、一般的なハードディス
クドライブの形態で使用しても良いが、可換性を有し、
且つ接触記録を可能とするために、図1(A)に示すよ
うに、中心部にセンターホールが形成されたいわゆるフ
レキシブル・ディスクであることが好ましい。このフレ
キシブル・ディスクは、プラスチック等で形成されたカ
ートリッジ12内に格納されている。なお、カートリッ
ジ12には、通常、金属性のシャッタ(図示せず)で覆
われたアクセス窓(図示せず)を備えており、このアク
セス窓を介して光磁気ディスク10への記録や再生が行
われる。
【0026】光磁気ディスク10は、図1(C)に示す
ように、ディスク状の平滑な支持体14上に、磁気的に
情報を記録する磁気記録層16、磁気記録層16を劣化
や摩耗から保護する保護層18、及び潤滑剤の付与によ
り走行耐久性および耐食性を改善する潤滑層20が、こ
の順に積層されて構成されている。
【0027】磁気記録層16は、ディスク面に対して垂
直方向に磁化(プリフォーマット磁化)されおり、ディ
スク支持体14と反対側の表面を記録面とした場合、支
持体側がS極で記録面側がN極になる方向に磁化された
磁化領域16Aと、支持体側がN極で記録面側がS極に
なる方向に磁化された磁化領域16Bと、で構成されて
いる。これら磁化領域16A及び磁化領域16Bは、デ
ィスク半径方向に交互に配列されている。また、図1
(B)に、図1(A)の領域Aにおける磁気記録層16
の記録面の磁化状態を示すが、図1(B)に示すよう
に、磁化領域16A及び磁化領域16Bの各々は、ディ
スク中心に対し同心円状またはスパイラル状に形成さ
れ、各々がトラックを構成している。即ち、磁化領域1
6A及び磁化領域16Bは、その磁化方向の相違によ
り、トラッキング・ガイドとして使用されると共に、記
録領域として使用される。この光磁気ディスク10にお
いては、磁気記録層16の側からレーザ光が照射され、
情報の記録及び再生が行われる。
【0028】また、図7に示すように、磁化領域16A
及び磁化領域16Bは、一定周波数で蛇行する(ウォブ
ルを施す)ように形成してもよい。このウォブルの蛇行
周波数を検出して、線速度を制御する制御信号として使
用することができる。例えば、内周から外周まで同じ周
期のウォブルを入れることにより、半径位置に拘らず線
速度が一定になるように制御することができる。内周か
ら外周にかけて周期を長くするようにウォブルを入れる
ことにより、角速度が一定になるように制御することが
できる。即ち、ウォブルを入れることにより、クロック
信号やアドレス信号を生成することができる。
【0029】支持体14は、ヘッドとの接触時の衝撃を
回避するために、可とう性を備えた樹脂フィルムで構成
する。このような樹脂フィルムとしては、芳香族ポリイ
ミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポ
リエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、
ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテート
セルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げ
られる。樹脂フィルムの厚みは、10μm〜200μ
m、好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましく
は30μm〜100μmである。樹脂フィルムが薄すぎ
ると、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加す
る。一方、樹脂フィルムが厚すぎると、回転時の剛性が
高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、
記録ヘッドの跳躍を招く。
【0030】支持体14の表面は、磁気ヘッドによる記
録を行うために、可能な限り平滑であることが好まし
い。具体的には、ハードディスク基板作製時に行われる
バーニッシュ処理を行った場合や、後述する下塗り層を
使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面
粗さが平均中心線粗さRaで5nm以内、好ましくは2
nm以内、触針式粗さ計で測定した突起高さが1μm以
内、好ましくは0.1μm以内である。
【0031】磁気記録層16が設けられる側の支持体表
面には、平面性の改善を目的として下塗り層を設けるこ
とが好ましい。磁気記録層16をスパッタリング等で形
成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好まし
く、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹
脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹
脂等を使用することができる。熱硬化型ポリイミド樹
脂、熱硬化型シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に
好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μm
が好ましい。支持体14に他の樹脂膜をラミネートする
場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよ
く、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
【0032】熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例え
ば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BAN
I」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有する
イミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂
が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマー
の状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重
合させることができる。このように原料となるモノマー
を支持体上に直接塗布して硬化させることができるた
め、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り
込みも良く、平滑化効果が高い。
【0033】熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が
導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合
したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹
脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構
造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると
共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可と
う性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、
クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマー
を支持体上に直接塗布して硬化させることができるた
め、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り
込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、
酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から
進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の
塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。
【0034】下塗り層の表面には、ヘッドとの真実接触
面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、
微小突起を設けることが好ましい。また、微小突起を設
けることにより、支持体のハンドリング性も良好にな
る。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子
を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起
を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性
を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を
形成するのが好ましい。
【0035】微小突起の高さは5nm〜60nmが好ま
しく、l0nm〜30mmがより好ましい。微小突起の
高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシング
ロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が
低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起
の密度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜1
0個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なす
ぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多すぎる
と凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生
特性が劣化する。
【0036】また、バインダーを用いて微小突起を支持
体表面に固定することもできる。バインダーには、十分
な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱
性を備えた樹脂としては、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱
硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0037】基板14と磁気記録層16との間には、一
般的な光磁気ディスクと同様に、反射膜を設けることが
好ましい。反射膜には、レーザ光に対する反射率が高い
光反射性物質が使用される。このような光反射性物質と
しては、例えばAl、Al―Ti、Al−In、Al―
Nb、Au、Ag、Cu等の金属及び半金属を挙げるこ
とができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二種
以上を組合せて用いてもよい。また、合金として用いて
もよい。この中でも、Al合金、Ag合金等の光反射性
物質で反射膜を構成するのが特に好ましい。非伝搬光で
ある近接場光は伝搬光に変換されて反射膜により反射さ
れるので、磁気カー効果を利用して近接場光の磁気記録
層表面での反射光を検出する際に、伝搬光による反射光
がファラデー効果により検出されて検出信号のS/Nが
向上する(エンハンス効果)。Al合金、Ag合金等で
構成された反射膜は、反射率が高いため、高いエンハン
ス効果を得ることができる。
【0038】上記の反射膜は、上記光反射性物質を基板
12上にスパッタリング、または電子ビーム真空蒸着す
ることにより形成することができる。反射膜の膜厚は1
0nm〜200nmが好ましい。
【0039】磁気記録層16には、光磁気記録媒体で一
般的に使用される各種金属合金等の磁気記録材料を使用
することができる。磁気記録材料は、垂直磁気異方性を
有し、光磁気特性に優れ、キュリー点が200℃前後の
ものが好ましく、このような磁気記録材料としては、希
土類遷移金属非晶質材料が挙げられ、具体的にはTbF
eCo、NdFeCo、GdFeCo、DyFeCoな
ど好ましい。またこれらの合金に耐食性を改善するため
Crを添加したものがさらに好ましい。磁気記録層16
は、例えばスパッタリング法により作製することがで
き、磁気記録層16の層厚としては、10nm〜50n
mが好ましい。
【0040】保護層18には、シリカ、アルミナ、チタ
ニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの
酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒
化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化
物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料
を使用することができる。保護層18の摺動耐久性を高
めるためには、ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度
を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くそ
の効果が安定して持続し、且つピンホールが少ないもの
が好ましく、このような保護膜としては、CVD法で作
製されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ば
れる硬質炭素膜が挙げられる。
【0041】潤滑層20には、公知の炭化水素系潤滑
剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が付与され
ている。また、耐食性をさらに高めるために防錆剤を併
用することができる。潤滑剤は単独もしくは複数を併用
して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した
溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラ
ビアコート法、ディップコート法等で保護層18表面に
塗布するか、真空蒸着法により保護層18表面に付着さ
せればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/
2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
【0042】なお、磁気記録層16の両側には、光の干
渉を利用して磁気光学効果をエンハンスするため、およ
び記録膜の劣化を防止するための誘電体保護層等が磁気
記録層16に隣接して形成されていてもよい。誘電体保
護層としては記録に利用する光の吸収が少なく、屈折率
の高い材料が好ましく、その様な材料としては、窒化ケ
イ素、窒化アルミ、酸化ケイ素、硫化亜鉛やこれらの混
合物が使用できる。
【0043】磁気記録層16をプリフォーマットする方
法は、特に限定されない。例えば、磁気ヘッドにより磁
化領域を書き込んでもよく、磁気転写により磁化領域を
形成してもよい。微細なパターンの磁化領域を短時間で
形成するためには、磁気転写により磁化領域を形成する
のが特に好ましい。
【0044】磁気転写は、図2(A)〜(C)に示すよ
うに、磁性層28が形成されたマスター担体24から、
磁化される前の磁気記録層16を備えたスレーブ媒体2
2に、磁気を転写して所定パターンの磁化領域を形成す
る方法である。マスター担体24は、シリコン、アルミ
ニウム等の非磁性材料で構成された基板26上に、転写
パターンに応じた形成された磁束密度が大きなCo、F
eなどの強磁性体からなる凸状の磁性層28を形成した
ものであり、基板26と磁性層28との間には、必要に
応じてCr、Ti等の非磁性金属材料で構成された導電
性層を設けることができる。マスター担体24は、フォ
トファブリケーションや、光ディスクの基板形成に使用
するスタンパを用いて作製することができる。例えば、
スタンパにより所定パターンが形成されたニッケル基板
に磁性層を形成してマスター担体24を得ることができ
る。以下、磁気転写により磁化領域を形成する方法を具
体的に説明する。
【0045】まず、図2(A)に示すように、支持体1
4上に、磁化される前の磁気記録層16、保護層(図示
せず)、及び潤滑膜(図示せず)を積層したスレーブ媒
体22に、矢印A方向の直流磁界を印加して、スレーブ
媒体22の磁気記録層16を矢印A方向に励磁する(初
期磁化)。なお、磁気記録層16は、初期磁化されて全
体が磁化領域16Aとなる。
【0046】次に、図2(B)に示すように、マスター
担体24を、初期磁化されたスレーブ媒体22に密着さ
せて、転写磁界として矢印B方向の直流磁界または交流
バイアス磁界等を印加し、磁性層28を矢印B方向に励
磁する。これにより、図2(C)に示すように、スレー
ブ媒体22と磁性層28とが接触している部分から、磁
気記録層16の対応する部分に矢印B方向の磁界が印加
されて、その部分の磁化方向が反転し、磁化領域16A
中に磁化領域16Bが形成される。これによりスレーブ
媒体22の精密なプリフォーマットが行われる。
【0047】次に、上記の光磁気ディスク10への情報
の記録、及び光磁気ディスク10からの情報の再生につ
いて説明する。図3に、上記の光磁気ディスク10への
情報の記録、及び記録した情報の再生に使用することが
できる光磁気ディスク記録再生装置の概略構成を示す。
【0048】図3に示すように、光磁気ディスク10の
光入射面側(磁気記録層側)には、磁気ヘッド50及び
光検出器(図示せず)を備えた後述する光磁気ヘッド1
00が配置されている。光磁気ディスク10は、マグネ
ット・チャッキング等でスピンドルモータ118に支持
され、回転軸廻りに回転可能とされている。
【0049】光磁気ヘッド100の光検出器で検出され
た検出信号は、情報再生信号とサーボ信号とに分離され
る。情報再生信号は、第1増幅器102から再生信号処
理系のA/D変換器104に供給され、デジタル信号に
変換されてデジタルイコライザ106に供給され、デジ
タルイコライザ106で信号処理される。デジタルイコ
ライザ106で信号処理されたデータは、デコーダ10
8でデコードされ、再生された記録情報が出力される。
サーボ信号は、第2増幅器110に入力され、第2増幅
器110でトラッキング・エラー信号、回転制御信号、
クロック信号等が生成される。
【0050】クロック信号は、PLL回路に供給され、
PLL回路により、装置内の基準信号(マスタクロッ
ク)となるクロック信号がA/D変換器104、デジタ
ルイコライザ106、ヘッドサーボ回路114、スピン
ドルサーボ回路116、及びエンコーダ122に供給さ
れる。
【0051】回転制御信号は、スピンドルサーボ回路1
16に入力されて、スピンドルサーボ回路116により
モータ駆動回路120がPLL制御され、スピンドルモ
ータ118が所定の回転数で回転される。
【0052】トラッキング・エラー信号は、ヘッドサー
ボ回路114に入力されて、ヘッドサーボ回路114に
より、トラック上にビームスポットが位置するようにト
ラッキング・サーボが行われ、光磁気ヘッド100のデ
ィスク径方向の位置が制御される。光磁気ディスク10
を用いて情報の記録及び再生を行う場合には、トラッキ
ング・サーボは、以下に説明するように、磁気カー効果
を利用して行われる。
【0053】図4(A)に示すように、支持体側がS極
で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域16
Aに直線偏光を照射すると、磁気カー効果により、その
反射光の偏光面は入射光の偏光面から所定角度θ(例え
ば右回り)だけ回転する。一方、図4(B)に示すよう
に、支持体側がN極で記録面側がS極になる方向に磁化
された磁化領域16Bに同じ直線偏光を照射すると、磁
気カー効果により、その反射光の偏光面は入射光の偏光
面から所定角度−θ(例えば左回り)だけ回転する。
【0054】従って、記録光として照射されたエバネッ
セント光は、光磁気ディスク10により反射されるが、
偏光板等を通してこの反射光から偏光面が所定角度だけ
回転した反射光を検出し、この反射光の強度により、ヘ
ッドとトラックの相対的なずれを検出して、トラッキン
グ・サーボを行うことができる。即ち、同心円状または
スパイラル状に設けられた磁化領域16A及び磁化領域
16Bは、トラッキング・ガイドとしての役割を果た
す。
【0055】なお、トラッキング・エラー検出方式とし
ては、2分割フォトディテクタを用いてトラッキング誤
差信号を得るプッシュプル法、3ビーム法等、光ディス
クにおいて使用されるトラッキング・エラー検出方式を
使用することができる。この中でも、生成するサーボエ
ラー信号品位が最も高くなる3ビーム法が特に好まし
い。
【0056】図10(A)〜(E)を参照して3ビーム
法について説明する。3ビーム法は、レーザ光源から発
生させたレーザ光を、信号の記録再生に使用するメイン
ビームとトラッキングを行なうための2本のサブビーム
とに分光してトラッキングを行なう方式である。図10
(A)に示すように、メインビームによるスポット10
0が記録トラックの直上にある場合は、サブビームによ
るスポットA及びスポットBは同じ磁化方向のトラック
に同程度重なっており、検出した反射光の偏光面の回転
角度は略等しく、図11に示す回路でのトラッキング誤
差信号の出力はゼロとなる。これに対し、図10(B)
及び(C)に示すように、同じ磁化方向のトラックに重
なる程度がスポットA及びスポットBで異なる場合に
は、図11に示す回路でのトラッキング誤差信号の出力
は、プラスまたはマイナスとなる。従って、トラッキン
グ誤差信号の出力により、メインビームの記録トラック
中心からのずれを検出することができる。
【0057】図10(D)及び図10(E)は、ビーム
配置の変形例を示す図であり、図10(D)の場合は、
メインビームとサブビームの配置を変更した例であり、
図10(E)の場合は、サブビームが読み取るサーボト
ラックが記録トラックから離れた例である。
【0058】光磁気ディスク10に情報を記録するため
の記録信号(レコーディング・データ)は、エンコーダ
122でクロック信号によりエンコードされる。エンコ
ードされた信号は、システムコントローラ126に接続
された磁気ヘッド50に記録磁界制御回路36を介して
供給されると共に、同じくシステムコントローラ126
に接続されたLD駆動回路124にも供給される。LD
駆動回路124は、システムコントローラ126の指示
に基づき、光磁気ヘッド100に半導体レーザ(図示せ
ず)からレーザ光を供給する。
【0059】この記録再生装置の光磁気ヘッド部100
は、図5及び図6に示すように、スイングアーム34の
先端に取り付けられ、光磁気ディスク10の回転に伴い
浮上する浮上型スライダ32を備えている。この浮上型
スライダ32は、サスペンション38の先端部に固定さ
れた薄型の板バネであるジンバル52の下面に取り付け
られ、サスペンション38は、スイングアーム34に支
持されている。また、浮上型スライダ32は、その浮上
面(ABS:Air Bearing Surfac
e)40が光磁気ディスク10の記録面に対向するよう
に、光磁気ディスク10の記録面上方に配置され、矢印
C方向に沿ったスイングアーム34の回動により、光磁
気ディスク10の半径方向に移動可能とされている。
【0060】光磁気ヘッド部100は、図6に示すよう
に、光磁気ディスク10の回転に伴い浮上する浮上型ス
ライダ32を備えており、その浮上面40には、正圧ま
たは負圧を付与するためのレールパターン42が設けら
れている。浮上型スライダ32の浮上面40には、光の
波長よりも小さな径の微小開口46が設けられている。
この微小開口46に外部に設けられた半導体レーザ(図
示せず)から光を導くために、サスペンション38と平
行に光ファイバ44が設けられている。光ファイバ44
の出射端は、浮上型スライダ32内部に配置され、光フ
ァイバ44の出射端の下方には、微小開口46に光を集
光するための集光レンズ47が配置されている。また、
浮上面40には、励磁コイルを備えディスク面に垂直な
方向の磁界を印加するための磁気ヘッド50が設けられ
ている。この磁気ヘッド50は、情報記録時に印加する
磁界を制御する記録磁界制御回路36に接続されてい
る。この装置では、光ファイバ44により導かれた光
を、集光レンズ47で微小開口46に集光し、微小開口
46から出射させることにより、微小開口46の近傍に
エバネッセント光54を発生させることができる。
【0061】光磁気ディスク10を回転させると共に、
この光磁気ディスク10に対して浮上型スライダ32を
押し当てると、光磁気ディスク10と浮上型スライダ3
2とは非常に弱い力で安定に接触摺動する。この通り、
安定な接触摺動状態とすることにより、光磁気ディスク
10の磁気記録層16と磁気ヘッド50との距離はディ
スク面平均で100nm以下にまで近付けることができ
る。ヘッドの安定走行のために、ディスクの回転数は1
000rpm〜10000rpmが好ましく、2000
rpm〜7500rpmがより好ましい。また、ディス
クの面振れは小さい方が好ましく、約50μm程度以下
とすることがより好ましい。
【0062】磁界変調方式で情報を記録する場合には、
この安定に接触摺動している状態で、磁気記録層16に
エバネッセント光をパルス化して照射することにより、
光照射部分をキュリー温度以上まで加熱して、加熱部分
の抗磁力を十分低下させ、比較的小さな磁界強度でも磁
化反転し易くする。光磁気ディスク10に情報を記録す
るための記録信号がエンコーダ122に供給されると、
光磁気ディスク10に磁界を印加する磁気ヘッド50の
磁化電流が、記録磁界制御回路36により記録信号に応
じて反転するように変調される。この記録信号に対応し
て変調された磁界を、磁気記録層16の磁化反転し易く
なった領域に印加することにより、垂直方向において磁
界が反転し、図7に示すように、トラックである磁化領
域16A及び磁化領域16Bの各々沿って、エバネッセ
ント光54による加熱部分と略同じ大きさの記録ピット
58(磁界反転部分)が形成される。
【0063】また、磁界変調方式で情報を記録する場合
には、記録密度を上げるためにエバネッセント光を照射
するパルス間隔を光ビームのスポットサイズより小さく
する。これにより、図7に示すように、先に形成された
記録ピットの一部に後から記録された記録ピットの一部
が重なり、ディスク円周方向ではオーバライトされるこ
とになる。このように、磁界変調方式では、円周方向の
記録マークサイズを小さくすることができ、より高密度
化に適している。
【0064】一方、光変調方式で情報を記録する場合に
は、磁化領域16Aまたは磁化領域16Bに、磁気ヘッ
ド50からその磁化方向と反対の磁界を印加する。そし
て、LD駆動回路124により半導体レーザ(図示せ
ず)を変調駆動して、記録信号に対応して強度変調され
たエバネッセント光を発生させる。磁化領域にはその磁
化方向と反対の磁界が印加されているので、この記録信
号に対応して強度変調されたエバネッセント光を、磁気
記録層16の磁化領域に照射することにより、光ビーム
30を照射した部分だけ磁化が反転されて、図8に示す
ように、トラックである磁化領域16A及び磁化領域1
6Bの各々沿って、記録ピット31が形成される。この
とき光ビームの強度分布はガウス分布になっているた
め、強度が大きいスポットの中心部分に記録ピット31
が形成される。このため、光ビーム30のスポットより
小さい記録ピット31が記録信号に応じて記録される。
【0065】また、図8に示すように、例えばS型の磁
化領域16Bのみに記録し、N型の磁化領域16Aはト
ラッキングのために使用する等、トラッキングのための
磁化領域と情報を記録するための磁化領域とに分け、磁
化領域の一部に情報を記録するようにしてもよい。な
お、磁界変調方式の場合も同様に、磁化領域の一部に情
報を記録するようにしてもよい。
【0066】情報再生時には、同様に安定に接触摺動し
ている状態で、トラッキング・サーボの場合と同様に、
記録信号が記録された磁化領域に直線偏光であるエバネ
ッセント光を照射し、磁気カー効果を利用して、磁化方
向の相違に応じた反射光の偏光面の回転方向を検出する
ことにより、磁気的に記録された記録信号を読み出すこ
とができる。また、情報の再生は、磁界の強さに応じて
電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を利用した、MR(M
agneto Resistive)ヘッド、GMR
(Giant Magneto Resistive)
ヘッド、TMR(Tunnel Magneto Re
sistive)ヘッド等の磁気ヘッドを用いて行って
もよい。中でも、高感度なGMRヘッド及びTMRヘッ
ドが特に好ましい。
【0067】以上説明した通り、本発明の情報記録方法
に使用される情報記録媒体は、磁気記録層がトラッキン
グのために予め磁化方向が異なる磁化領域が半径方向に
交互に配列されるように磁化されているので、磁化領域
の磁化方向の相違に基づいて、トラッキングを行うこと
ができる。この通り、磁化領域の磁化方向の相違に基づ
いてトラッキングを行うことができるので、媒体表面に
凸凹を形成する必要がなく、検出器を記録媒体の極近傍
に配置する場合にも、安定したヘッド走行状態を実現す
ることができる。
【0068】また、磁気記録層がトラッキングのために
予めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に
磁化されているので、トラッキングを連続的に行うこと
ができ、正確なトラッキング・サーボを行うことがで
き、良好なS/Nで信号の記録及び再生を行うことがで
きる。また、トラッキングのために予め磁化された磁化
領域に情報を記録するので、サーボ領域の面積増加によ
る記録容量低下を防止することができる。特に、磁化方
向をディスク面に対して垂直としたことにより、半径方
向に交互に配列された磁化方向が異なる磁化領域が、相
互にその磁力を弱め合うことがなくなり、各磁化領域の
磁力が安定化する。
【0069】更に、磁化領域の磁化方向の相違に基づい
てトラッキングを行うことができるので、ディスク状の
平滑な基板に凸凹を形成する必要がなく、エバネッセン
ト光を利用した次世代の高密度記録方式等のように、検
出器を記録媒体の極近傍に配置する場合にも、安定した
ヘッド走行状態を実現することができる。また、光磁気
ディスクは可とう性を備えた樹脂フィルム等の支持体を
基材としているため磁気ヘッドとの接触時の衝撃が回避
され、光磁気ディスクと磁気ヘッドとは非常に弱い力で
安定に接触摺動する。更に、可とう性を備えた樹脂フィ
ルム等を基材として用いる場合には、光磁気ディスクを
安価に製造することができる。
【0070】本発明の情報記録方法は、この情報記録媒
体を用いて、トラッキングのために予め磁化された磁化
領域に情報を磁気的に記録するので、サーボ領域の面積
増加による記録容量低下を防止することができる。ま
た、エバネッセント光を照射することにより光照射部分
をキュリー温度付近まで加熱すると共に、磁気ヘッドか
ら所定方向の磁界を印加して磁気的に情報を記録するの
で、通常の光記録による記録マークよりも小さい記録マ
ークを形成することができ、高密度記録を行うことがで
きる。更に、上述の通りトラッキングを連続的に行うの
で、正確なトラッキング・サーボを行うことができ、良
好なS/Nで信号の記録を行うことができる。
【0071】また、ディスク面に対して垂直な磁界を印
加して磁気的に情報を記録する(即ち、垂直磁化する)
ので、磁化方向が異なる記録ビットが隣り合い、相互に
その磁力を弱め合うことがなくなり、記録領域の磁力が
安定化する。
【0072】更に、エバネッセント光は、出射端から光
の波長以下の領域内にしか存在しないため、検出器を記
録媒体の極近傍に配置して、記録を行わなければならな
いが、基板とは反対側から磁気記録層に情報を記録する
場合(いわゆるファースト・サーフェス記録)には、厚
い基板を介して磁気記録層に情報を記録する場合より
も、磁気記録層を検出器に近付けることができる。
【0073】上記の実施の形態では、光磁気ディスクを
カートリッジ内に格納して、可換媒体として使用する例
について説明したが、本発明の情報記録媒体は、ハード
ディスクにも適用することができる。ハードディスクに
適用する場合には、アルミニウム基板、ガラス基板、ポ
リカーボネート基板、カーボン基板等、比較的硬度の高
い支持体が使用され、支持体の厚みは0.2mm〜1.
2mmが好ましく、0.3mm〜0.9mmより好まし
い。
【0074】上記の実施の形態では、磁性層側に磁気ヘ
ッドを設けたが、光変調記録の際には磁気ヘッドをディ
スクの裏側に配置してもよい。
【0075】また、上記の実施の形態では、支持体の片
面に磁気記録層を設ける例について説明したが、支持体
の両面に磁気記録層を設けてもよい。
【0076】上記の実施の形態では、微小開口によりエ
バネッセント光を発生させる装置を使用する例について
説明したが、SILに光を集光してエバネッセント光を
発生させる装置を用いて記録や再生を行うこともでき
る。この装置の光磁気ヘッド部では、図9に示すよう
に、浮上型スライダ32内部には、その出射面が浮上型
スライダ32の浮上面40に露出するようにSIL60
が埋め込まれている。SIL60の上方には、浮上型ス
ライダ32外部からの光を集光する集光レンズ62が、
浮上面40に露出したSIL60の出射面で焦点を結ぶ
ように配置されている。集光レンズ62により浮上型ス
ライダ32外部からの光を集光し、SIL60の出射面
で焦点を結ばせることにより、焦点近傍にエバネッセン
ト光54が発生する。なお、図6に示す装置と同じ構成
部分については同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】上記の実施の形態では、磁気記録層をトラ
ッキングのために予めディスク中心に対し同心円状また
はスパイラル状に磁化し、トラッキングを連続的に行う
例について説明したが、磁気記録層をトラッキングのた
めに予めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル
状に磁化すると共に、磁気記録層に予め離散的にサーボ
・フィールドを磁気的に記録しておくことができる。
【0078】図12(A)、(B)は、サーボフィール
ドを離散的に配置した例であるが、このサーボフィール
ドには、アドレス情報やトラック情報が記録されてい
る。また、このサーボフィールドとは別にトラッキング
を連続的に行うための同心円状のサーボバンドが書き込
まれている。
【0079】これにより、カー効果等の磁気光学効果を
利用してサーボ・フィールドを読み出し、セクター・サ
ーボを行なうことができる。トラッキング・サーボとセ
クター・サーボとを併用することにより、正確なトラッ
キングが可能になると同時に、所定領域へのアクセス速
度が速くなる。
【0080】上記の実施の形態では、N型の磁化領域1
6A及びS型の磁化領域16Bは略同じ幅としたが、N
型の磁化領域16Aのみに記録し、S型の磁化領域16
Bはトラッキングのために使用する場合には、図13
(A)に示すように、トラッキング用の磁化領域16B
の幅を、記録用の磁化領域16Aの幅より狭くすること
が好ましい。記録用の磁化領域16Aの幅をより広くす
ることでフォーマット効率が向上する。例えば、トラッ
キング用の磁化領域16Bの幅を0.1μmとし、記録
用の磁化領域16Aの幅を約0.2μmとすることがで
きる。また、図13(B)に示すように、記録用の磁化
領域16Aの幅を更に広げ、記録用の磁化領域16Aに
複数のトラック16A1〜16A5が内在するものとし
て、複数の磁気ヘッドを備えたいわゆるマルチヘッドか
ら書き込みを行なうこともできる。
【0081】
【発明の効果】本発明の情報記録方法によれば、正確に
トラッキング・サーボを行いながら情報の記録を行うこ
とにより、良好なS/Nで信号の高密度記録を行うこと
ができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は、本発明の情報記録方法に使用する光
磁気ディスクの概略構成を示す平面図であり、(B)
は、(A)の領域Aの磁気記録層表面の磁化状態を示す
部分拡大図であり、(C)は、(B)のA−A線断面図
である。
【図2】(A)〜(C)は、磁気転写の工程を示す断面
図である。
【図3】本発明の情報記録方法に使用することができる
光磁気ディスク記録再生装置の概略構成を示すブロック
図である。
【図4】(A)及び(B)は、トラッキング信号の読み
出し原理を説明する説明図である。
【図5】光磁気ディスク記録再生装置の光磁気ヘッド部
の概略構成を示す平面図である。
【図6】光磁気ヘッド部の概略構成を示す光軸に沿った
断面図である。
【図7】磁界変調方式により情報の記録を行った場合の
記録パターンを示す平面図である。
【図8】光変調方式により情報の記録を行った場合の記
録パターンを示す平面図である。
【図9】本実施の形態に係る光磁気ディスクへの情報の
記録及び再生に使用する記録再生装置の他の構成例を示
す平面図である。
【図10】(A)〜(E)は3ビーム方式によるトラッ
キング原理を説明するための図である。
【図11】トラッキング誤差信号を出力する回路の入出
力関係を示す図である。
【図12】(A)及び(B)は、磁気記録層に離散的に
サーボ情報が記録された変形例を示す図である。
【図13】(A)は、記録用の磁化領域の幅をトラッキ
ング用の磁化領域の幅より広くした場合の磁気記録層表
面の磁化状態(光変調記録)を示す部分拡大平面図であ
り、(B)は、記録用の磁化領域に複数のトラックが内
在する場合の磁気記録層表面の磁化状態を示す部分拡大
平面図である。
【符号の説明】
10 光磁気ディスク 12 カートリッジ 14 支持体 16 磁気記録層 18 保護層 20 潤滑膜 16A 磁化領域 16B 磁化領域 18 保護層 20 潤滑膜 22 スレーブ媒体 24 マスター担体 32 浮上型スライダ 36 記録磁界制御回路 40 浮上面(ABS) 46 微小開口 50 磁気ヘッド 54 エバネッセント光 56 記録マーク 58 記録ピット 100 光磁気ヘッド 114 ヘッドサーボ回路 122 エンコーダ 124 LD駆動回路 126 システムコントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇佐美 由久 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 長尾 信 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 5D075 AA03 BB04 CC02 CC04 CC05 CC12 CC40 CD17 DD04 EE03 FF11 5D091 AA08 AA10 CC26

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ディスク状の平滑な基板上に形成された磁
    気記録層を備え、該磁気記録層がトラッキングのために
    予めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に
    磁化されると共に、磁化方向が異なる磁化領域が半径方
    向に交互に配列されるように磁化された情報記録媒体を
    用い、 前記磁気記録層の磁化領域の磁化方向の相違に基づいて
    トラッキングを行うと共に、 前記磁気記録層の磁化領域に、エバネッセント光を照射
    することにより光照射部分をキュリー温度付近まで加熱
    すると共に、磁気ヘッドから所定方向の磁界を印加して
    磁気的に情報を記録する情報記録方法。
  2. 【請求項2】前記所定方向の磁界は、ディスク面に対し
    て垂直な磁界である請求項1に記載の情報記録方法。
  3. 【請求項3】前記基板とは反対側から所定方向の磁界を
    印加して、磁気記録層に情報を記録する請求項1または
    2に記載の情報記録方法。
  4. 【請求項4】前記磁気記録層の磁化領域に、磁気ヘッド
    から所定方向の磁界を印加した状態で、記録信号に応じ
    て変調されたエバネッセント光を照射して磁気的に情報
    を記録する請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記
    録方法。
  5. 【請求項5】前記磁気記録層の磁化領域に、エバネッセ
    ント光を照射した状態で、磁気ヘッドから記録信号に応
    じて変調された所定方向の磁界を印加して磁気的に情報
    を記録する請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報記
    録方法。
  6. 【請求項6】前記基板が可とう性非磁性基板である請求
    項1〜5のいずれか1項に記載の情報記録方法。
  7. 【請求項7】前記磁気記録層の表面と前記磁気ヘッドと
    を100nm以下に近接させて情報を記録する請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の情報記録方法。
  8. 【請求項8】前記基板と前記磁気記録層との間に反射膜
    が形成され、前記情報記録媒体にエバネッセント光を照
    射したときの前記磁気記録層表面での反射光と共に、前
    記磁気記録層を透過し、前記反射膜で反射された反射光
    を検出して、前記トラッキングを行う請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の情報記録方法。
  9. 【請求項9】所定の磁化方向に磁化された磁化領域を複
    数のトラックに分けて情報を記録する請求項1〜8のい
    ずれか1項に記載の情報記録方法。
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