JP2003346395A - ディスク状情報記録媒体およびそれを用いた情報記録方法 - Google Patents

ディスク状情報記録媒体およびそれを用いた情報記録方法

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JP2003346395A
JP2003346395A JP2002150639A JP2002150639A JP2003346395A JP 2003346395 A JP2003346395 A JP 2003346395A JP 2002150639 A JP2002150639 A JP 2002150639A JP 2002150639 A JP2002150639 A JP 2002150639A JP 2003346395 A JP2003346395 A JP 2003346395A
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magneto
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layer
disk
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JP2002150639A
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】安定したヘッド走行を可能とすると共に、垂直
磁気記録方式により高密度記録が可能なフレキシブルで
且つ可換型(リムーバブル)の磁気記録媒体を提供する
こと。 【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
とも相変化型光記録層と光磁気記録層を、この順に形成
したことを特徴とするディスク状情報記録媒体。支持体
の少なくとも一方の面に、少なくとも光磁気記録層と相
変化型光記録層を、この順に形成したことを特徴とする
ディスク状情報記録媒体。上記ディスク状情報記録媒体
を用いる情報記録方法において、あらかじめ該光磁気記
録層に記録したトラッキング信号を光で読み出してトラ
ッキングサーボを行うと共に、この媒体に対する情報の
記録と読み出しを光により、相変化型光記録層に対して
行うことを特徴とする情報記録方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスク状情報記
録媒体およびそれを用いた情報記録方法に係り、特に、
トラッキング用サーボ情報を磁気的にプリフォーマット
記録した情報記録媒体に、光を利用した光記録方法によ
り情報の記録を行う情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナル・コンピュータで取り扱う情
報量の飛躍的な増加に伴い、大容量かつ安価であり、ハ
ードディスクに代表されるアクセス時間の短い情報記録
装置が続々と開発されている。また、ハードディスクの
大容量化にともない、データ交換や保存に使用する可換
媒体もハードディスクと同様に大容量化してきている。
このような大容量の情報記録媒体としては、例えば、ハ
ードディスク等の内蔵型の磁気記録媒体、アイオメガ社
が開発したZIPと呼ばれる高密度フレキシブルディス
ク媒体やMOと呼ばれる光磁気記録媒体等の可換型記録
媒体をあげることができる。これら磁気ディスクや光磁
気ディスクでは、トラック幅を狭めトラック密度を大き
くすることにより、大容量化を実現しており、狭いトラ
ックを磁気ヘッドや光ヘッドが正確に走査し、良好なS
/Nで記録信号を再生するためには、磁気ヘッドあるい
は光ヘッドとトラックとの相対的なずれを検出して、磁
気ヘッドあるいは光ヘッドの位置を補正するトラッキン
グサーボ技術が重要な役割を果たしている。
【0003】ハードディスクやZIPでは、トラッキン
グ用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号
等が、磁気記録媒体の製造時に予め高い位置精度で記録
(プリフォーマット記録)されている。これらの信号が
記録された領域(サーボ領域)は、ディスク面に対し離
散的に配置されており、磁気ヘッドはこれらの信号を再
生することにより、ヘッドの位置を確認、修正しながら
トラック上を正確に走査している。
【0004】また、ハードディスク装置においては、磁
気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの
表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行なって
いる。これにより、高速回転時に磁気ヘッドと磁気ディ
スクとが接触し、その衝撃により磁気ディスクが破損す
るのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮
上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑
なガラス基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスク
を用いることにより、現在では10nm〜20nmの浮
上高さが実現されている。
【0005】一方、光磁気ディスクや光ディスク媒体で
はポリカーボネートなどの高分子基板にあらかじめグル
ーブと呼ばれるらせん状の溝を形成し、その溝を光干渉
によって検出し、連続的にトラッキングサーボを行って
いる。また、光磁気ディスク装置ではディスクは光ヘッ
ドから離れて回転しているため、信頼性に優れており、
この信頼性が光磁気ディスク装置の特徴となっている。
しかしながら、グルーブを利用したトラッキングサーボ
方法は記録密度が増すとともに溝のより高い加工精度が
要求され、更なる記録密度の向上には限界がある。更な
る高密度化を行うためには、開口数が高く(例えば0.
85以上)、動作距離の非常に短い高性能レンズや、さ
らにはソリッドイマージョンレンズ、ソリッドイマージ
ョンミラーなどの近接場光を利用した光ヘッドを使用す
る必要がある。この様な集光効率の高い光ヘッドを用い
る場合には、磁気ディスク同様の浮上型ヘッドを使用す
る必要があるが、従来のグルーブを有し、面ぶれの大き
いポリカーボネート基板上では浮上ヘッドを安定に走行
させることが困難であり、その高密度化を妨げる大きな
要因となっている。
【0006】この問題点を回避するため、グルーブを設
けないでトラッキングサーボを行う試みがなされてき
た。例えば、特許第2690931号は、残留磁化が小
さく保磁力も小さい膜と、残留磁化が大きく保磁力の大
きい膜との2層から構成した光磁気記録媒体およびその
作製方法の発明である。本発明ではガイドトラック情報
および番地、クロック情報に対応する磁化パターンを上
記2層に形成し、データ情報は保磁力、残留磁化の小さ
い層に記録している。これにより、磁気記録膜をつける
基板にガイドトラックや番地情報用の凹凸パターンが不
要となるため、基板材料の選択の幅が広がり、耐熱性、
平坦性のある基板、吸水性、透水性の少ない基板、光学
的複屈折の少ない基板を用いることが可能になるとして
いる。さらに、磁化パターンによる光磁気ディスク円板
のガイドトラックや番地情報の作製に転写用スタンパー
を用いた磁化転写が利用できるため、生産性も向上する
としている。
【0007】さらに、特開平7−6409号公報は、基
板上に結晶構造または相構造の違いによって異なる反射
率を示す記録層からなるトラックが隣接して形成されて
いる光ディスクおよびそのトラッキング方法を開示して
いる。結晶構造または相構造の違いによって異なる反射
率を示す記録層として、相変化膜と光磁気膜を同一面内
でトラック方向に交互に同心円状に形成しており、例え
ば書き換え可能型光ディスクの情報記録トラックとして
利用できるとしている。高密度な光ディスクを製造する
ことができるとともに、高密度に製造された光ディスク
を再生する場合においても、垂直磁化層の磁化方向をス
ポット光から偏光として検出することにより、確実に光
ディスクのトラッキングを行うことができるとしてい
る。
【0008】しかしながら、特許2690931号の発
明では、残留磁化が小さく保磁力も小さい膜と、残留磁
化が大きく保磁力の大きい膜との2層から構成した光磁
気記録膜を用い、ガイドトラック情報および番地、クロ
ック情報に対応する磁化パターンを上記2層に形成し、
データ情報は保磁力、残留磁化の小さい層に記録してい
る。しかしながら、データ情報を保磁力が小さく残留磁
化の小さい層に記録する際、外部から磁場を印加してお
く必要がある。
【0009】また、特開平7−6409号公報に開示さ
れている発明は、共に、同一面内に性質の異なる記録層
を形成するためには、ホトリソグラフィーを利用したエ
ッチング等により記録層を所望の形状にする必要があ
る。このため、製造コストが高くなる欠点を有する。
【0010】また、上述したように、グルーブを有しな
いや光磁気ディスクや光ディスクも提案されているが、
更に高密度化が望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的
は、正確にトラッキングサーボを行いながら情報の記録
を行うことにより、良好なS/Nで信号の高密度記録を
行うことができるディスク状情報記録媒体およびそれを
用いた情報記録方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は請求項1また
は2記載のディスク状情報記録媒体を用いることにより
達成できる。請求項1記載の情報記録媒体は支持体の少
なくとも一方の面に、少なくとも相変化型光記録層と光
磁気記録層を、この順に形成したことを特徴とするディ
スク状情報記録媒体である。請求項2記載の情報記録媒
体は支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも光磁気
記録層と相変化型光記録層を、この順に形成したことを
特徴とするディスク状情報記録媒体である。
【0013】また、請求項3に記載の情報記録方法は、
請求項1または2記載のディスク状情報記録媒体を用い
る情報記録方法において、あらかじめ該光磁気記録層に
記録したトラッキング信号を光で読み出してトラッキン
グサーボを行うと共に、この媒体に対する情報の記録と
読み出しを光により、相変化型光記録層に対して行うこ
とを特徴とする。
【0014】請求項3に記載の情報記録方法では、ディ
スク状支持体の少なくとも一方の面に光磁気記録層が形
成されており、この光磁気記録層がディスク記録面のほ
ぼ全ての領域に渡って磁気的なトラッキングサーボ信号
を保持しており、磁化領域の磁化方向の相違に基づいて
生じる磁気光学効果によってトラッキングを行うことが
できる。また、光磁気記録層がトラッキングのために予
めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に磁
化されているので、トラッキングを連続的に行うことが
でき、正確なトラッキングサーボを行うことができる。
この結果、良好なS/Nで信号の記録を行うことができ
る。
【0015】使用する情報記録媒体の相変化型光記録層
は、光を用い室温から一定の温度に加熱することで、ア
モルファスから結晶相あるいは結晶相からアモルファス
に変化する相変化膜であり、この相変化による反射率変
化を利用して情報を記録再生することができる。
【0016】トラッキング信号を記録する光磁気記録層
は光磁気ディスクで使用されているような垂直光磁気記
録膜であり、ディスクの記録面のほぼ全面に渡って有し
ている。このトラッキング信号を磁気光学効果による光
で読み出してトラッキングを行うことで離散的なサーボ
信号を利用する従来のハードディスクに代表される磁気
ディスクのサーボトラッキングよりもさらに正確なサー
ボトラッキングを行うことが可能となる。これは、従来
高密度のトラッキングが難しいとされていたフレキシブ
ルディスクやプラスチック基板を用いるハードディスク
の高密度化に特に有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。
【0018】まず、請求項1および請求項3に即して説
明する。このディスク状情報記録媒体(以下、情報記録
媒体ともいう)は、中心部にセンターホールが形成され
たハードディスクあるいはフレキシブルディスク(いわ
ゆるフロッピー(登録商標)・ディスク)である。ハー
ドディスクの場合、ディスクは光ヘッド、スピンドルモ
ーター等の構成部品とともにハードディスク装置に内蔵
され、使用される。
【0019】情報記録媒体は、支持体の一方の面に、光
の反射率を改善する反射層、反射層と相変化型光記録層
の元素拡散を防止し、さらに熱伝導性を制御するための
保護層、情報を記録するための相変化型光記録層、相変
化型光記録層と光磁気記録層間の元素拡散を防止する中
間層、トラッキングサーボ信号を記録するための光磁気
記録層、光磁気記録層を劣化や摩耗から保護する表面保
護層、及び潤滑剤の付与により走行耐久性および耐食性
を改善する潤滑層が、この順に積層されて構成されてい
る。
【0020】光磁気記録層は、予め磁化(プリフォーマ
ット磁化)され、トラッキングサーボ信号を有してい
る。このトラッキングサーボ信号は垂直方向に記録され
る垂直記録信号であり、具体的には支持体と反対側の表
面を記録面とした場合、支持体側がS極で記録面側がN
極になる方向に磁化された磁化領域と、支持体側がN極
で記録面側がS極になる方向に磁化された磁化領域とで
構成されている。これら磁化領域は、ディスク半径方向
に交互に配列されている。
【0021】また、この磁化領域は同心円状またはスパ
イラル状に形成され、各々がトラックを構成している。
即ち、磁化領域は、その磁化方向の相違により、トラッ
キング・ガイドとして使用される。
【0022】なお、この情報記録媒体においては、光磁
気記録層の側から光ヘッドを走行させて、トラッキング
情報の読み出しと情報の記録及び再生が行われる。
【0023】後述するように、S型の磁化領域とN型の
磁化領域は必ずしも同じ幅である必要は無く、例えば、
一方の磁化領域の幅を相変化型光記録層のトラック幅に
合わせ、他方の磁化領域の幅を、トラックとトラックの
隙間の部分にあわせ、この部分でトラッキングエラー信
号を生成することもできる。例えば、トラッキング用の
磁化領域の幅を0.05〜0.2μmとし、相変化型光
記録層の記録トラックに相当する領域の幅を約0.2〜
0.5μmとすることができる。
【0024】また、磁化領域は、一定周波数で蛇行する
(ウォブルを施す)ように形成してもよい。このウォブ
ルの蛇行周波数を検出して、線速度を制御する制御信号
として使用することができる。例えば、内周から外周ま
で同じ周期のウォブルを入れることにより、半径位置に
拘らず線速度が一定になるように制御することができ
る。また、内周から外周にかけて周期を長くするように
ウォブルを入れることにより、角速度が一定になるよう
に制御することができる。
【0025】支持体は、ハードディスクの場合には、ガ
ラス、アルミニウム、カーボン、シリコンなどが使用で
き、浮上ヘッドを低く安定した距離で浮上走行させるた
め、支持体表面は機械的あるいは化学的に鏡面研磨され
ていることが好ましい。また必要に応じてめっきなどの
表面処理が施されたものでもかまわない。
【0026】ハードディスク用支持体の厚みは、その素
材の機械強度と使用する環境や回転数に依存するため一
概に決定できないが、通常0.3mm〜3.0mmが好
ましく、0.5mm〜2.0mmがさらに好ましい。厚
みが薄くなると機械強度が不足するため、面ぶれの増加
によるヘッド走行状態の悪化を招き、厚みが厚くなると
製造コスト、ドライブ厚みの点から好ましくない。
【0027】またフレキシブルディスクの場合の支持体
は、磁気ヘッドと安定に接触摺動させるために、可とう
性を備えた樹脂フィルム(可とう性高分子支持体)で構
成されている。このような樹脂フィルムとしては、芳香
族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、
ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテート
セルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムがあげ
られる。
【0028】また、支持体に他の樹脂フィルムをラミネ
ートしてもよい。他の樹脂フィルムをラミネートするこ
とにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減す
ることができ、光磁気記録層の耐傷性を著しく改善する
ことがきる。
【0029】ラミネート手法としては、熱ローラによる
ロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接
着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネー
ト、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミ
ネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定され
ず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、U
V硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気
性接着剤などを使用することがきる。
【0030】支持体の厚みは、10μm〜200μm、
好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは3
0μm〜100μmである。支持体の厚みが10μmよ
り薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加
する。一方、支持体の厚みが200μmより厚いと、回
転時の剛性が高くなり、安定に接触摺動させることが困
難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。
【0031】支持体の腰の強さは、下記式で表され、b
=10mmでの値が0.5kgf/mm2〜2.0kg
f/mm2(≒4.9〜19.6MPa)の範囲にある
ことが好ましく、0.7kgf/mm2〜1.5kgf
/mm2(≒6.9〜14.7MPa)がより好まし
い。支持体の腰の強さ=Ebd3/12なお、この式に
おいて、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム
厚さを各々表す。
【0032】支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を
行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支
持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下さ
せる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合で
は、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心
線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針
式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは
0.1μm以内である。また、下塗り膜を用いない場合
では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中
心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触
針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ま
しくは0.06μm以内である。
【0033】支持体として樹脂フィルムを使用する場合
には、ハードディスク用支持体と異なり、研磨が困難で
あるため、平面性の改善を目的として下塗り層を設ける
ことが好ましい。記録層をスパッタリング等で形成する
ため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗
り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリア
ミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を使用
することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型
シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下
塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。
支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、
ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネ
ート加工後に下塗り層を形成してもよい。
【0034】熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例え
ば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BAN
I」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有する
イミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂
が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマー
の状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重
合させることができるので、原料となるモノマーを支持
体上に直接塗布して硬化させることができる。また、こ
のイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用すること
ができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さ
く、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する
回り込みが良く、平滑化効果が高い。
【0035】熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が
導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合
したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹
脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構
造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると
共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可と
う性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、
クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマー
を支持体上に直接塗布して硬化させることができるた
め、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り
込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、
酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から
進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の
塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。
【0036】フレキシブルディスクの場合、ヘッドとデ
ィスクは極弱い接触摺動となるため、下塗り層の表面に
は、ヘッドと情報記録媒体との真実接触面積を低減し、
摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テク
スチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設
けることにより、支持体のハンドリング性も良好にな
る。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子
を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起
を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性
を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を
形成するのが好ましい。
【0037】微小突起の高さは5nm〜60nmが好ま
しく、l0nm〜30nmがより好ましい。微小突起の
高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシング
ロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が
低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起
の密度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜1
0個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なす
ぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎる
と凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生
特性が劣化する。
【0038】また、バインダーを用いて微小突起を支持
体表面に固定することもできる。バインダーには、十分
な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱
性を備えた樹脂としては、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱
硬化型シリコン樹脂、溶剤可溶型ポリイミド樹脂などを
使用することが特に好ましい。
【0039】支持体と相変化型光記録層との間には、光
ディスクと同様に、反射膜を設けることができる。反射
膜には、使用するレーザー光の波長に対する反射率が高
い光反射性物質が使用される。このような光反射性物質
としては、例えばAl、Al―Ti、Al−In、Al
―Nb、Al―Ta、Au、Ag、Cu等の金属及び半
金属を挙げることができる。これらの物質は単独で用い
てもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。また、合
金として用いてもよい。この反射膜は、上記光反射性物
質を支持体上にスパッタリング、または電子ビーム真空
蒸着することにより形成することができる。反射膜の膜
厚は10nm〜200nmが好ましい。
【0040】相変化型光記録層の安定性を改善する目的
で、反射層と相変化型光記録層との間には、誘電体から
なる保護層が設けられていることが好ましい。この保護
層は、反射層の構成元素や水分や酸素など光磁気記録層
の腐食や酸化に関与する物質が支持体側から移動してく
るのを遮蔽する。この保護層としては、光磁気記録で一
般的に使用される誘電体材料を使用することができ、例
えば、シリカ、アルミナなどの酸化物(Si−O、Al
−O)、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物
(Si−N、Al−N)、硫化亜鉛等の硫化物(Zn−
S)、リン化ニッケル等のリン化物、ケイ素化タンタル
(Ta−Si)、グラファイト、無定型カーボンなどの
炭素等が挙げられるが、耐腐食性を備え、光磁気記録層
に含まれる金属材料と酸素との反応を抑制し、且つ高い
熱伝導率を有する材料が好ましく、チッ化珪素(Si−
N)、チッ化アルミニウム(Al−N)等の無機窒化
物、及び炭素が特に好ましい。この保護層は、スパッタ
リング法や化学気相反応法(CVD法)などにより形成
することができる。保護層の膜厚は、2nm〜200n
mが好ましいが、この厚みは使用するレーザーの波長に
依存する。つまりレーザー光は反射層表面で反射するた
め、入射光と干渉する。したがって保護層の厚みを適切
に設定しないと、干渉によって反射率や磁気光学効果が
減少してしまい、トラッキングエラー信号の品位が低下
してしまう。
【0041】情報を記録する相変化型光記録層として
は、一般的に知られている非晶質−結晶、結晶−結晶の
公知の記録層が使用できる。非結晶−結晶の相変化材料
としてはAg−In−Sb−Te、Ge−Sb−Te、
Ge−Te−Sb−S、Te−Ge−Sn−O、Te−
Ge−Sn−Au、Sn−Se−Te、Sb−Se、S
b−Se−Re、Ga−Se−Te、Ga−Se−Te
−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、In−
Se−Te、結晶−結晶の相変化材料としてはAg−Z
n、Cu−Al−Ni、In−Sb、In−Sb−S
e、In−Sb−Teなどがあげられる。また不可逆の
非晶質−結晶の相変化を利用した追記型記録層として
は、Te−TeO2、Te−TeO2−Pd、Sb2Se3
/Bi2Te3などがあげられる。相変化光記録層の厚み
は2〜50nmが好ましく、5〜30nmがより好まし
い。膜厚が薄すぎると光の反射率差が小さく、信号再生
時のS/Nの低下を招く。一方膜厚が厚すぎると、熱の
拡散が多くなり、記録再生に必要な光のパワーが増大
し、また微小なマークの書き込みが難しくなる。
【0042】相変化型光記録層の上には中間層設けるこ
とが好ましい。この中間層により相変化型光記録層と光
磁気記録層間の元素の拡散を防止するとともに、熱伝導
を制御し、相変化光記録膜の記録特性を高めることがで
きる。この中間層としては保護層と同様の材料が好まし
い。この中間層の厚みは2nm〜50nmが好ましい。
厚みが厚すぎると、光磁気記録層に対するサーボ記録品
位が低下し、薄すぎると層間結合を弱める効果が少なく
なる。
【0043】光磁気記録層には、光磁気ディスクで一般
的に使用される各種金属合金等の磁気記録材料が使用で
きる。このような磁気記録材料としては、希土類遷移金
属合金、あるいは遷移金属/貴金属多層膜があげられ
る。
【0044】希土類遷移金属合金は、垂直磁気異方性を
有しており、高い磁気光学効果を示すと共に、その組成
や成膜条件を制御することによって、非常に広い範囲で
磁気特性を制御することができる。また、希土類遷移金
属合金は、非晶質(アモルファス)であるため、結晶粒
によるノイズが発生しない。光磁気記録層は、そのディ
スク面に対して垂直な方向の保磁力(垂直方向保磁力)
を240kA/m以上とすることが好ましい。
【0045】光磁気記録層のキュリー温度は後述のサー
ボ信号の記録方法に依存する。サーボ信号の記録の際に
加熱することなく、外部磁界のみで書き込みを行う場合
には、キュリー温度は特に限定されず、加熱によって保
磁力を低下させてサーボ信号の記録を行う際には、加熱
によって保磁力が十分に低下するようにキュリー温度を
設計する必要がある。
【0046】光磁気記録層として使用できる希土類遷移
金属合金としては、Tb−Fe−Co、Tb−Co、N
d−Fe−Co、Gd−Fe−Co、Dy−Fe−Co
など、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)、ネ
オジウム(Nd)、及びジスプロシウム(Dy)から選
択される少なくとも1種の希土類金属と、鉄(Fe)及
びコバルト(Co)の少なくとも一方の遷移金属とを含
有する合金が好ましい。また、これら合金の耐食性を改
善するために、クロム(Cr)やニッケル(Ni)を適
宜添加してもよい。上記した合金の中でも、Tbあるい
はDy、FeあるいはCoから選ばれる合金が特に好ま
しい。一般に希土類元素は腐食しやすいが、Tb、Dy
などの重希土類元素は比較的安定であり、記録媒体とし
て信頼性、保存性を確保しやすい。またこれらの合金は
本発明で使用する保磁力の高い垂直磁性膜を形成しやす
く、その磁気特性を組成や成膜条件で制御しやすい。
【0047】例えば、希土類遷移金属合金がテルビウム
である場合には、テルビウムの含有量が多くなるに従い
垂直方向保磁力が大きくなり、テルビウムの含有量が2
0原子量%である場合に補償組成となり、保磁力が無限
大となる。本発明の記録方法では光磁気記録層はある程
度以上の保磁力が必要となるので、20原子%前後の組
成を使用することが好ましい。
【0048】また希土類遷移金属合金以外で光磁気記録
層として使用できる記録層としては遷移金属/貴金属多
層膜があげられる。遷移金属/貴金属多層膜としてはコ
バルト/パラジウム、コバルト/白金、鉄/白金などが
使用でき、その積層周期は遷移金属が0.1nm〜1.
0nm、貴金属が0.3nm〜2.0nmであることが
好ましい。遷移金属/貴金属多層膜は青紫色レーザーな
どの短波長の光に対して磁気光学効果が大きいため、こ
の様な光源を使用して、トラック密度を高めようとする
場合に有効である。
【0049】これらの光磁気記録層は、相変化光記録膜
の記録再生の信号品位を高めるため、さらに透過し、反
射する光のファラデー効果を有効に使用するため、厚み
を5nm〜50nmとするのが好ましい。
【0050】光磁気記録層の作製方法としては、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及び
イオン注入法等の物理的蒸着法(PVD法)、化学的蒸
着法(CVD法)等を挙げることができるが、組成制御
が容易である点で、スパッタリング法が特に好ましい。
【0051】希土類遷移金属合金を作製する場合であれ
ば、目的の組成に近い合金をターゲット材料としたスパ
ッタリングにより、このターゲットと略同じ組成の合金
からなる磁性膜を形成することができる。また希土類元
素ターゲットと遷移金属ターゲットを使用した共スパッ
タでも同様な合金膜を作製することができる。
【0052】遷移金属/貴金属多層膜を作製する場合で
あれば、貴金属ターゲットと遷移金属ターゲットを使用
した共スパッタ法により目的の膜を作製することができ
る。
【0053】光磁気記録層上に設ける保護層は、光磁気
記録層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、ヘッドと情
報記録媒体との擬似接触または接触摺動による摩耗を防
止して、走行耐久性、耐食性を改善するために設けられ
る。特に希土類遷移金属は腐食し易いため、希土類遷移
金属を用いる場合には、保護層を設けることが特に好ま
しい。
【0054】保護層には、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸
化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化
物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、
グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使
用することができる。
【0055】保護層としては、磁気ヘッドの材質と同等
またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に
焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するもの
が、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時にピ
ンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好ま
しい。このような保護膜としては、CVD法で作製され
るDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬
質炭素膜が挙げられる。
【0056】保護層は、性質の異なる2種類以上の薄膜
を積層した構成とすることができる。例えば、表面側に
摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、光磁
気記録層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの窒
化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い次
元で両立することが可能となる。
【0057】保護層上には、走行耐久性および耐食性を
改善するために、潤滑膜が設けられる。潤滑膜には、公
知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等
の潤滑剤が使用される。
【0058】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル
等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、
ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0059】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)C
2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的に
は、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン
−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、
商品名「FOMBLIN Z-DOL」)等が挙げられる。
【0060】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0061】上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用し
て使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶
液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法、ディップコート法等で表面保護層の表面に
塗布するか、真空蒸着法により表面保護層の表面に付着
させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg
/m2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
【0062】また、耐食性をさらに高めるために、防錆
剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾ
トリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジ
ン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル
側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メル
カプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合
物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環
類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、
潤滑剤に混合して表面保護層上に塗布してもよく、潤滑
剤を塗布する前に表面保護層上に塗布し、その上に潤滑
剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1
〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特
に好ましい。
【0063】光磁気記録層には、トラッキングのために
予め磁化された領域(磁化領域)が形成されている。例
えば、光磁気記録層を、ディスク面に対して垂直方向に
磁化(プリフォーマット磁化)し、この磁化領域は、ト
ラック幅方向に交互に配列されて、らせん状あるいは同
心円状トラックが形成されている。次にこのトラックの
書き込み方法について説明する。
【0064】トラッキング信号は磁気転写法によって書
き込まれることが生産性の観点から好ましい。磁気転写
は、磁性層が形成されたマスター担体から、磁化される
前の光磁気記録層を備えたスレーブ媒体に、磁気を転写
して所定パターンの磁化領域を形成する方法である。マ
スター担体は、シリコン、アルミニウム等の非磁性材料
で構成された基板上に、転写パターンに応じて形成され
た磁束密度が大きなCo、Feなどの強磁性体からなる
凸状の磁性層を形成したものであり、基板と磁性層との
間には、必要に応じてCr、Ti等の非磁性金属材料で
構成された導電性層を設けることができる。マスター担
体は、フォトファブリケーションや、光ディスクの基板
形成に使用するスタンパを用いて作製することができ
る。例えば、スタンパにより所定パターンが形成された
ニッケル基板に磁性層を形成してマスター担体を得るこ
とができる。以下、磁気転写により磁化領域を形成する
方法を具体的に説明する。
【0065】まず、支持体の一方の面に、少なくとも磁
化される前の相変化型光記録層、光磁気記録層を積層し
たスレーブ媒体に、直流磁界を印加して、スレーブ媒体
の光磁気記録層を垂直方向に励磁する(初期磁化)。な
お、光磁気記録層は、初期磁化されて全体が磁化領域と
なる。
【0066】次に、マスター担体を、初期磁化されたス
レーブ媒体に密着させて、転写磁界として初期磁化方向
とは反対方向の直流磁界または交流バイアス磁界等を印
加し、磁性層を反対方向に励磁する。これにより、スレ
ーブ媒体と磁性層とが接触している部分から、光磁気記
録層の対応する部分に磁界が印加されて、その部分の磁
化方向が反転し、磁化領域中に反対向きの磁化領域が形
成される。これによりスレーブ媒体の精密なプリフォー
マットが行われる。
【0067】次に、上記の情報記録媒体におけるトラッ
キングサーボの方法について説明する。支持体側がS極
で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域に直
線偏光を照射すると、磁気カー効果により、その反射光
の偏光面は入射光の偏光面から所定角度θ(例えば右回
り)だけ回転する。一方、支持体側がN極で記録面側が
S極になる方向に磁化された磁化領域に同じ直線偏光を
照射すると、磁気カー効果により、その反射光の偏光面
は入射光の偏光面から所定角度−θ(例えば左回り)だ
け回転する。
【0068】従って、磁化領域に照射された光ビーム
は、磁気ディスクで反射されるが、偏光板等を通してこ
の反射光から偏光面が所定角度だけ回転した反射光を検
出し、この反射光の強度により、ヘッドとトラックの相
対的なずれを検出して、トラッキングサーボを行うこと
ができる。即ち、同心円状またはスパイラル状に設けら
れた磁化領域は、トラッキング・ガイドとしての役割を
果たす。
【0069】トラッキングエラー検出方式としては、光
ディスクにおいて使用されるトラッキングエラー検出方
式を使用することができるが、カー回転角は非常に微弱
であるため、3ビーム法を使用することが好ましい。さ
らにカー回転角の検出には通常の光磁気ディスクドライ
ブで使用されている作動検出法を使用することが好まし
い。また、光ビームはトラッキングサーボにのみ使用さ
れるため、トラック密度に応じて、トラッキング用の光
源として赤外線レーザー等の低出力のレーザー光源を用
いることもできる。
【0070】次に、以上に説明した情報記録媒体への情
報の記録方法と、記録された情報の再生方法について説
明する。記録再生装置はスイングアームの先端に取り付
けられ、情報記録媒体の回転に伴い浮上する浮上型スラ
イダを備えている。この浮上型スライダは、サスペンシ
ョンの先端部に固定された薄型の板バネであるジンバの
下面に取り付けられ、サスペンションは、スイングアー
ムに支持されている。また、浮上型スライダは、その浮
上面(ABS:Air Bearing Surfac
e)が情報記録媒体の記録面に対向するように、情報記
録媒体の記録面上方に配置され、スイングアームの回動
により、情報記録媒体の半径方向に移動可能とされてい
る。
【0071】この記録再生装置のヘッド部は、情報記録
媒体の回転に伴い浮上する浮上型スライダを備えてお
り、その浮上面には、正圧または負圧を付与するための
レールパターンが設けられている。浮上型スライダの浮
上面には、トラッキング用のレーザー光を照射する射出
部が設けられている。この射出部に外部に配置されたレ
ーザー光源からレーザー光を導き、射出部に搭載された
レンズからディスクの光磁気記録層にレーザーを集光す
る。
【0072】相変化型光記録層に信号を記録する際には
相変化型光記録層に対して光を照射し、相変化型光記録
層を一定の温度まで加熱、冷却することによって信号を
記録し、記録マーク部と記録部をその反射率の違いから
検出することができる。例えば消去状態で結晶化してお
り、これに適度な光を照射して非晶質からなる記録マー
クを形成した場合、この部分を弱い光で走査すると、結
晶部では光の反射率が高く、戻り光量が高く、逆に記録
マークを形成する非晶質部では光の反射率が低く、戻り
光量が小さい。
【0073】情報記録媒体を回転させると共に、この情
報記録媒体に対して浮上型スライダを押し当てると、情
報記録媒体と浮上型スライダとは浮上するか、あるいは
非常に弱い力で安定に接触摺動する。ヘッドの安定走行
のために、情報記録媒体の回転数は1000rpm〜1
0000rpmが好ましく、2000rpm〜7500
rpmがより好ましい。また、情報記録媒体の面振れは
小さい方が好ましく、ハードディスクの場合では10μ
m以下、フレキシブルディスクの場合で約50μm以下
とすることがより好ましい。
【0074】情報記録時には、この安定に接触摺動して
いる状態で、記録制御回路から光ヘッドに制御信号を供
給し、情報に対応する光を相変化型光記録層に照射する
ことにより光学的に情報の記録を行なう。
【0075】以上説明した通り、本実施の形態では、使
用するディスクの光磁気記録層が、磁化方向が異なる磁
化領域が半径方向に交互に配列されるように予め磁化さ
れているので、磁化領域の磁化方向の相違に基づいてト
ラッキングを行うことができる。また、光磁気記録層が
トラッキングのために予めディスク中心に対し同心円状
またはスパイラル状に磁化されているので、トラッキン
グを連続的に行うことができ、正確なトラッキングサー
ボを行うことができる。
【0076】前記トラッキングを連続的に行いながら、
光ヘッドで相変化型光記録層への情報の記録および再生
を行うため、トラッキングエラーが少なく、高いトラッ
ク密度を達成することが可能となる。
【0077】以上は請求項1に即した記録媒体を用いた
具体例についての説明である。次に請求項2に即した記
録媒体を用いた場合について説明する。
【0078】この場合の情報記録媒体では、支持体の一
方の面に、光の反射率を改善する反射層、反射層と光磁
気記録層の元素拡散を防止し、さらに熱伝導性を制御す
るための保護層、トラッキングサーボ信号を記録するた
めの光磁気記録層、光磁気記録層と相変化型光記録層間
の元素拡散を防止する中間層、情報を記録するための相
変化型光記録層、相変化型光記録層を劣化や摩耗から保
護する表面保護層、及び潤滑剤の付与により走行耐久性
および耐食性を改善する潤滑層が、この順に積層されて
構成される。この情報記録媒体では、相変化型光記録層
と光磁気記録層の形成順序が、前述の請求項1に即した
記録媒体と逆になっている。相変化型光記録層と光磁気
記録層以外の反射層、保護層、中間層、表面保護層、潤
滑層などは、請求項1に即した記録媒体と全く同じもの
を使用している。
【0079】この情報記録媒体においては、相変化型光
記録層の側から光ヘッドを走行させて、トラッキング情
報の読み出しと情報の記録及び再生が行われる。
【0080】こうした情報記録媒体でも請求項1に即し
た記録媒体と全く同じように、トラッキングを連続的に
行うことができ、正確なトラッキングサーボを行うこと
ができる。
【0081】
【実施例】以下の実施例により本発明の新規な効果をさ
らに具体的に説明する。
【0082】本実施例は支持体の一方の面に、光磁気記
録層と相変化型光記録層を、この順に形成した情報記録
媒体に関する実施例であり、表面が鏡面研磨された2.
5インチ径のガラス基板をスパッタ装置に設置し、表面
をArプラズマエッチングでクリーニングした後、Al
-Ti(Ti:1.5質量%)からなる反射層を50n
mの厚みで形成し、この上にTb18Fe72Co10
(数字は原子%)からなる光磁気記録層を20nm、カ
ーボンからなる中間層を2nm、Ge22Sb25Te
53(数字は原子%、以下同様)からなる相変化型光記
録層を15nm、カーボンからなる保護膜を5nm形成
し、末端水酸基変性のパーフルオロポリエーテルからな
る潤滑膜を1nmの厚みで形成して、記録媒体を作製し
た。この光磁気記録膜は垂直磁気異方性を有しており、
垂直方向の保磁力は640kA/mとなるように成膜条
件を設定した。
【0083】この記録媒体の相変化型光記録層の初期化
を行った後、800kA/mの外部磁界を印加して、一
方向に磁化した後、ライン/スペースが0.6μm/
0.3μmのらせん状パターンを形成したマスターディ
スク上にFe70Co30の軟磁性膜を50nm、カー
ボン保護膜を2nm形成したサーボマスターディスクを
圧着し、垂直方向に640kA/mの外部磁界を逆向き
に印加して、媒体上にライン/スペースが0.6μm/
0.3μmのらせん状サーボパターンを磁気的に記録し
た。
【0084】このディスクを波長660nm、開口数
0.6の3ビーム方式の光磁気ピックアップヘッドを搭
載したリードライトテスターに搭載し、3ビーム方式で
光磁気記録層に書き込まれたトラッキング信号をカー効
果で読み出し、トラッキングエラー信号を生成してトラ
ッキングサーボを行った。また、同ピックアップヘッド
を用いて、光記録層の記録再生を行った。
【0085】その結果、安定に記録および再生ができる
ことを確認できた。また、本実施例は、支持体の一方の
面に、光磁気記録層と相変化型光記録層を、この順に形
成した情報記録媒体に関する実施例であるが、支持体の
一方の面に、相変化型光記録層と光磁気記録層を、この
順に形成した情報記録媒体でも、同様に安定に記録およ
び再生ができることが判明した。
【0086】
【発明の効果】本発明は、支持体に相変化型光記録層と
光磁気記録層を設けた情報記録媒体を用い、あらかじめ
光磁気記録層に記録したトラッキング信号を光で読み出
してトラッキングサーボを行うと供に、この媒体への情
報の記録と読み出しを光による相変化型光記録層に対す
る記録再生で行うことにより、トラッキングエラーを低
減し、高いトラック密度を達成することを可能とするも
のであり、その工業的価値は高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 501 G11B 11/105 501E 511 511F Fターム(参考) 5D029 JB14 JB18 JB33 JB41 JB42 5D075 EE03 FH04 5D090 AA01 BB05 BB10 BB12 CC01 CC04 CC14 DD01 FF11 FF31 GG24 5D118 BA01 BB02 BC13 BD01 BF01 CA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
    とも相変化型光記録層と光磁気記録層を、この順に形成
    したことを特徴とするディスク状情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
    とも光磁気記録層と相変化型光記録層を、この順に形成
    したことを特徴とするディスク状情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のディスク状情報
    記録媒体を用いる情報記録方法において、あらかじめ該
    光磁気記録層に記録したトラッキング信号を光で読み出
    してトラッキングサーボを行うと共に、この媒体に対す
    る情報の記録と読み出しを光により、相変化型光記録層
    に対して行うことを特徴とする情報記録方法。
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