JP2003346397A - ディスク状情報記録媒体およびそれを用いた情報記録方法 - Google Patents

ディスク状情報記録媒体およびそれを用いた情報記録方法

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JP2003346397A
JP2003346397A JP2002150641A JP2002150641A JP2003346397A JP 2003346397 A JP2003346397 A JP 2003346397A JP 2002150641 A JP2002150641 A JP 2002150641A JP 2002150641 A JP2002150641 A JP 2002150641A JP 2003346397 A JP2003346397 A JP 2003346397A
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JP2002150641A
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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】正確にトラッキングサーボを行いながら情報の
記録を行うことにより、良好なS/Nで信号の高密度記
録を行うことができるディスク状情報記録媒体およびそ
れを用いた情報記録方法。 【解決手段】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
とも光磁気記録層と面内磁気記録層を、この順に形成し
たことを特徴とするディスク状情報記録媒体。上記ディ
スク状情報記録媒体を用いる情報記録方法において、あ
らかじめ光磁気記録層または面内磁気記録層に記録した
トラッキング信号を光または磁気で読み出してトラッキ
ングサーボを行うと供に、この媒体への情報の記録と読
み出しを磁気または光による面内磁気記録層または光磁
気記録層に対する記録再生で行うこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスク状情報記
録媒体およびそれを用いた情報記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パーソナル・コンピュータで取り扱う情
報量の飛躍的な増加に伴い、大容量かつ安価であり、ハ
ードディスクに代表されるアクセス時間の短い情報記録
装置が続々と開発されている。また、ハードディスクの
大容量化にともない、データ交換や保存に使用する可換
媒体もハードディスクと同様に大容量化してきている。
このような大容量の情報記録媒体としては、例えば、ハ
ードディスク等の内蔵型の磁気記録媒体、アイオメガ社
が開発したZIPやMOと呼ばれる光磁気記録媒体等の
可換型記録媒体をあげることができる。これら磁気ディ
スクや光磁気ディスクでは、トラック幅を狭めトラック
密度を大きくすることにより、大容量化を実現してお
り、狭いトラックを磁気ヘッドや光ヘッドが正確に走査
し、良好なS/Nで記録信号を再生するためには、磁気
ヘッドあるいは光ヘッドとトラックとの相対的なずれを
検出して、磁気ヘッドあるいは光ヘッドの位置を補正す
るトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしてい
る。
【0003】ハードディスクやZIPでは、トラッキン
グ用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号
等が、磁気記録媒体の製造時に予め高い位置精度で記録
(プリフォーマット記録)されている。これらの信号が
記録された領域(サーボ領域)は、ディスク面に対し離
散的に配置されており、磁気ヘッドはこれらの信号を再
生することにより、ヘッドの位置を確認、修正しながら
トラック上を正確に走査している。
【0004】また、ハードディスク装置においては、磁
気ディスクの回転に伴い、磁気ヘッドが磁気ディスクの
表面からわずかに浮上し、非接触で磁気記録を行なって
いる。これにより、高速回転時に磁気ヘッドと磁気ディ
スクとが接触し、その衝撃により磁気ディスクが破損す
るのを防止している。高密度化に伴って磁気ヘッドの浮
上高さは次第に低減されており、鏡面研磨された超平滑
なガラス基板上に磁気記録層等を形成した磁気ディスク
を用いることにより、現在では10nm〜20nmの浮
上高さが実現されている。磁気ディスクにおいては、更
なる高密度化に伴いトラック幅は狭くなる一方であり、
サーボ信号がところどころに分散して書き込まれた従来
のサーボ方式では、磁気ヘッドはトラック上を正確に走
査すること(サーボ・フォローイング)ができない、と
いう問題が生じている。特に支持体がポリエステル樹脂
などで構成されている可換型のフレキシブルディスクで
は、これが高密度化を妨げる大きな要因となっている。
【0005】一方、光磁気ディスクや光ディスク媒体で
はポリカーボネートなどの高分子基板にあらかじめグル
ーブと呼ばれるらせん状の溝を形成し、その溝を光干渉
によって検出し、連続的にトラッキングサーボを行って
いる。また、光磁気ディスク装置ではディスクは光ヘッ
ドから離れて回転しているため、信頼性に優れており、
この信頼性が光磁気ディスク装置の特徴となっている。
しかしながら、グルーブを利用したトラッキングサーボ
方法は記録密度が増すとともに溝のより高い加工精度が
要求され、更なる記録密度の向上には限界がある。更な
る高密度化を行うためには、開口数が高く(例えば0.
85)、動作距離の非常に短い高性能レンズや、さらに
はソリッドイマージョンレンズ、ソリッドイマージョン
ミラーなどの近接場光を利用した光ヘッドを使用する必
要がある。この様な集光効率の高い光ヘッドを用いる場
合には、磁気ディスクと同様の浮上型ヘッドを使用する
必要があるが、従来のグルーブを有し、面ぶれの大きい
ポリカーボネート基板上では浮上ヘッドを安定に走行さ
せることが困難であり、その高密度化を妨げる大きな要
因となっている。
【0006】これらの問題点を回避するため、グルーブ
を設けないでトラッキングサーボを行う試みがなされて
きた。例えば、特開昭60−127545号公報では、
垂直磁気特性を有する光磁気記録用媒体に光学ヘッドを
適正な位置に保持するためのガイドトラックを磁区パタ
ーンによって付加した、新構成の光磁気記録用媒体を開
示している。垂直磁気特性を有する膜の下、あるいは垂
直磁気特性を有する膜の反対の面上にガイドトラック用
信号を記録する第2の磁性層を設けることにより、ガイ
ドトラックの磁束の変化を磁気ヘッドを用いて検出し、
磁束の変化により生ずる起電力により光学ヘッドを適正
な位置に制御することが可能としている。
【0007】特許第2690931号は、残留磁化が小
さく保磁力も小さい膜と、残留磁化が大きく保磁力の大
きい膜との2層から構成した光磁気記録媒体およびその
作製方法の発明である。本発明ではガイドトラック情報
および番地、クロック情報に対応する磁化パターンを上
記2層に形成し、データ情報は保磁力、残留磁化の小さ
い層に記録している。これにより、磁気記録膜をつける
基板にガイドトラックや番地情報用の凹凸パターンが不
要となるため、基板材料の選択の幅が広がり、耐熱性、
平坦性のある基板、吸水性、透水性の少ない基板、光学
的複屈折の少ない基板を用いることが可能になるとして
いる。さらに、磁化パターンによる光磁気ディスク円板
のガイドトラックや番地情報の作製に転写用スタンパー
を用いた磁化転写が利用できるため、生産性も向上する
としている。
【0008】特開平5−258377号公報は、垂直磁
気異方性を有する部分と基板に平行方向に磁化容易軸を
有する部分から成る光磁気記録膜の記録位置決め方法を
開示している。同公報の発明では、垂直磁気異方性を有
する部分と基板に平行方向に磁化容易軸を有する部分の
磁気特性の違いを磁気光学効果の差として検出すること
により情報の記録位置決めを行っている。垂直磁気異方
性を有する部分と基板に平行方向に磁化容易軸を有する
部分を同一面内に同心円状に設け、情報はこの磁気特性
の異なる部分の一方か、或いは両方に記録している。こ
の場合、垂直磁気異方性を有する部分に記録する場合は
光と外部磁界とを用いて記録し、面内磁化部分に記録す
る場合は光で情報の位置決めをしつつ外部磁場により記
録する。本発明によれば、光を用いてガイドトラックを
形成することによりトラックピッチを狭めることがで
き、記録密度を向上させることができるとしている。ま
た、ガイドトラックとして形成した部分にも情報を記録
できるので、記録密度のさらなる向上に効果があるとし
ている。
【0009】しかしながら、特開昭60−127545
号公報に開示された発明は、ガイドトラック信号の検出
に磁気ヘッドを使用しているため、記録膜と磁気ヘッド
との空隙長を短くかつ高精度に制御せねばならず、ガラ
スや石英などの硬質基板には適用できても、樹脂基板へ
の適用は不向きである。
【0010】特許2690931号の発明では、残留磁
化が小さく保磁力も小さい膜と、残留磁化が大きく保磁
力の大きい膜との2層から構成した光磁気記録膜を用
い、ガイドトラック情報および番地、クロック情報に対
応する磁化パターンを上記2層に形成し、かつデータ情
報は保磁力、残留磁化の小さい層に記録しなければなら
ない。
【0011】また、特開平5−258377号公報に開
示されている発明は、共に、同一面内に性質の異なる記
録層を形成しなければならない。
【0012】従って、これらグルーブを有しないやディ
スク状情報記録媒体は、更なる高密度化のためには改善
の余地がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点に鑑みなされたものであり、本発明の目的
は、正確にトラッキングサーボを行いながら情報の記録
を行うことにより、良好なS/Nで信号の高密度記録を
行うことができるディスク状情報記録媒体およびそれを
用いた情報記録方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
により達成することができる。 (1)支持体の少なくとも一方の面に、少なくとも光磁
気記録層と面内磁気記録層を、この順に形成したことを
特徴とするディスク状情報記録媒体。 (2)上記(1)記載のディスク状情報記録媒体を用い
る情報記録方法において、あらかじめ該光磁気記録層に
記録したトラッキング信号を光により読み出してトラッ
キングサーボを行うと共に、この媒体に対する情報の記
録と読み出しを磁気により、面内磁気記録層に対して行
うことを特徴とする情報記録方法。 (3)上記(1)記載のディスク状情報記録媒体を用い
る情報記録方法において、あらかじめ該面内磁気記録層
に記録したトラッキング信号を磁気により読み出してト
ラッキングサーボを行うと共に、この媒体に対する情報
の記録と読み出しを光により、光磁気記録層に対して行
うことを特徴とする情報記録方法。
【0015】請求項2に記載の情報記録方法では、ディ
スク状支持体の少なくとも一方の面に光磁気記録層が形
成されており、この光磁気記録層は磁化方向が異なる磁
化領域が半径方向に交互に配列されるように予め磁化さ
れている情報記録媒体を使用するので、磁化領域の磁化
方向の相違に基づいて生じる磁気光学効果によってトラ
ッキングを行うことができる。また、光磁気記録層がト
ラッキングのために予めディスク中心に対し、例えば、
同心円状またはスパイラル状に磁化することができるの
で、トラッキングを連続的に行うことができ、正確なト
ラッキングサーボを行うことができる。この結果、良好
なS/Nで信号の記録を行うことができる。
【0016】使用する情報記録媒体の光磁気記録層は、
垂直磁気異方性を有する金属合金薄膜から形成されてお
り、この光磁気記録層の磁化領域にディスク面に対して
垂直な磁界を印加して磁気的に情報を記録する、また、
垂直磁気記録方法により記録(垂直磁気記録)した場合
には、磁化方向が異なる記録ビットが隣り合い、相互に
その磁力を弱め合うことがなくなり、記録領域の磁力が
安定化する。
【0017】この場合、トラッキングのための磁化方向
は、ディスク面に対して垂直とする。磁化方向をディス
ク面に対して垂直とすることにより、大きな磁気光学効
果を得ることができるため、高品位のトラッキングエラ
ー信号を得ることができる。
【0018】請求項3に記載の情報記録方法では、面内
磁気記録層がトラッキングを行う。例えば、面内磁気記
録層がトラッキングのために予めディスク中心に対し、
例えば、同心円状またはスパイラル状に面内方向に磁化
することができるので、トラッキングを連続的に行うこ
とができ、正確なトラッキングサーボを行うことができ
る。この結果、良好なS/Nで信号の記録を行うことが
できる。
【0019】使用する情報記録媒体の面内磁気記録層
は、面内磁気異方性を有する金属合金薄膜から形成され
ており、この面内磁気記録層の磁化領域にディスク面に
対して平行な磁界を印加して磁気的にトラッキング情報
を記録する。
【0020】情報の記録と読み出しは、光により、光磁
気記録層に対して行う。この場合、光磁気記録層は、垂
直磁気異方性を有する金属合金薄膜から形成されてお
り、この光磁気記録層の磁化領域にディスク面に対して
垂直な磁界を印加して磁気的に情報を記録する、また、
垂直磁気記録方式により記録(垂直磁気記録)した場合
には、磁化方向が異なる記録ビットが隣り合い、相互に
その磁力を弱め合うことがなくなり、記録領域の磁力が
安定化することができるため、高密度の信号を得ること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て具体的に説明する。
【0022】まず、請求項1および請求項2に即して説
明する。このディスク状情報記録媒体(以下、情報記録
媒体ともいう)は、中心部にセンターホールが形成され
たハードディスクあるいはフレキシブル・ディスク(い
わゆるフロッピー(登録商標)・ディスク)である。ハ
ードディスクの場合、ディスクは磁気ヘッド、光ヘッ
ド、スピンドルモーター等の構成部品とともにハードデ
ィスク装置に内蔵され、使用する。一方、フレキシブル
ディスクの場合は、ディスクはプラスチック等で形成さ
れたカートリッジ内に格納されている。なお、カートリ
ッジには、通常、金属性のシャッタで覆われたアクセス
窓を備えており、このアクセス窓を介してディスクの記
録や再生が行われる。
【0023】情報記録媒体は、支持体の一方の面に、ト
ラッキング情報を読み取るための光の反射率を改善する
反射層、反射層と光磁気記録層の元素拡散を防止するた
めの保護層、垂直磁気異方性を有する金属合金薄膜から
なる光磁気記録層、光磁気記録層と面内磁気記録層の磁
気的な結合を切断するための中間層、情報を記録するた
めの面内磁気記録層、磁気記録層を劣化や摩耗から保護
する表面保護層、及び潤滑剤の付与により走行耐久性お
よび耐食性を改善する潤滑層が、この順に積層されて構
成されている。
【0024】光磁気記録層は、ディスク面に対して垂直
方向に予め磁化(プリフォーマット磁化)されおり、支
持体と反対側の表面を記録面とした場合、支持体側がS
極で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域
と、支持体側がN極で記録面側がS極になる方向に磁化
された磁化領域とで構成されている。これら磁化領域
は、ディスク半径方向に交互に配列されている。
【0025】また、この磁化領域は同心円状またはスパ
イラル状に形成され、各々がトラックを構成している。
即ち、磁化領域は、その磁化方向の相違により、トラッ
キング・ガイドとして使用される。
【0026】なお、この情報記録媒体においては、面内
磁気記録層の側から光および磁気ヘッドを走行させて、
トラッキング情報の読み出しと情報の記録及び再生が行
われる。
【0027】後述するように、S型の磁化領域とN型の
磁化領域は必ずしも同じ幅である必要は無く、例えば、
一方の磁化領域の幅を面内磁気記録層の情報の記録に使
用する磁気ヘッドのトラック幅に合わせ、他方の磁化領
域の幅を、トラックとトラックの隙間の部分にあわせ、
この部分でトラッキングエラー信号を生成することもで
きる。例えば、トラッキング用の磁化領域の幅を0.1
〜0.3μmとし、面内磁気記録層の記録トラックに相
当する磁化領域の幅を約1μmとすることができる。
【0028】また、磁化領域は、一定周波数で蛇行する
(ウォブルを施す)ように形成してもよい。このウォブ
ルの蛇行周波数を検出して、線速度を制御する制御信号
として使用することができる。例えば、内周から外周ま
で同じ周期のウォブルを入れることにより、半径位置に
拘らず線速度が一定になるように制御することができ
る。また、内周から外周にかけて周期を長くするように
ウォブルを入れることにより、角速度が一定になるよう
に制御することができる。
【0029】支持体は、ハードディスクの場合には、ガ
ラス、アルミニウム、カーボン、シリコンなどが使用で
き、浮上ヘッドを低く安定した距離で浮上走行させるた
め、支持体表面は機械的あるいは化学的に鏡面研磨され
ていることが好ましい。また必要に応じてめっきなどの
表面処理が施されたものでもかまわない。
【0030】ハードディスク用支持体の厚みは、その素
材の機械強度と使用する環境や回転数に依存するため一
概に決定できないが、通常0.3mm〜3.0mmが好
ましく、0.5mm〜2.0mmがさらに好ましい。厚
みが薄くなると機械強度が不足するため、面ぶれの増加
によるヘッド走行状態の悪化を招き、厚みが厚くなると
製造コスト、ドライブ厚みの点から好ましくない。
【0031】またフレキシブルディスクの場合の支持体
は、磁気ヘッドと安定に接触摺動させるために、可とう
性を備えた樹脂フィルム(可とう性高分子支持体)で構
成されている。このような樹脂フィルムとしては、芳香
族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、
ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテート
セルロース、フッ素樹脂等からなる樹脂フィルムがあげ
られる。
【0032】また、支持体に他の樹脂フィルムをラミネ
ートしてもよい。他の樹脂フィルムをラミネートするこ
とにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減す
ることができ、磁気記録層の耐傷性を著しく改善するこ
とがきる。
【0033】ラミネート手法としては、熱ローラによる
ロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート、接
着面に接着剤を塗布してラミネートするドライラミネー
ト、予めシート状に成形された接着シートを用いるラミ
ネート等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定され
ず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、U
V硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気
性接着剤などを使用することがきる。
【0034】支持体の厚みは、10μm〜200μm、
好ましくは20μm〜150μm、さらに好ましくは3
0μm〜100μmである。支持体の厚みが10μmよ
り薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加
する。一方、支持体の厚みが200μmより厚いと、回
転時の剛性が高くなり、安定に接触摺動させることが困
難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く。
【0035】支持体の腰の強さは、下記式で表され、b
=10mmでの値が0.5kgf/mm2〜2.0kg
f/mm2(≒4.9〜19.6MPa)の範囲にある
ことが好ましく、0.7kgf/mm2〜1.5kgf
/mm2(≒6.9〜14.7MPa)がより好まし
い。支持体の腰の強さ=Ebd3/12なお、この式に
おいて、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム
厚さを各々表す。
【0036】支持体の表面は、磁気ヘッドによる記録を
行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。支
持体表面の凹凸は、信号の記録再生特性を著しく低下さ
せる。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合で
は、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中心
線粗さRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針
式粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは
0.1μm以内である。また、下塗り膜を用いない場合
では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが平均中
心線粗さRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触
針式粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ま
しくは0.06μm以内である。
【0037】支持体として樹脂フィルムを使用する場合
には、ハードディスク用支持体と異なり、研磨が困難で
あるため、平面性の改善を目的として下塗り層を設ける
ことが好ましい。記録層をスパッタリング等で形成する
ため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗
り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリア
ミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を使用
することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型
シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下
塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。
支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、
ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネ
ート加工後に下塗り層を形成してもよい。
【0038】熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例え
ば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BAN
I」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有する
イミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂
が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマー
の状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重
合させることができるので、原料となるモノマーを支持
体上に直接塗布して硬化させることができる。また、こ
のイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用すること
ができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さ
く、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する
回り込みが良く、平滑化効果が高い。
【0039】熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が
導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合
したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹
脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構
造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると
共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可と
う性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、
クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマー
を支持体上に直接塗布して硬化させることができるた
め、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り
込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、
酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から
進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の
塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。
【0040】フレキシブルディスクの場合、ヘッドとデ
ィスクは極弱い接触摺動となるため、下塗り層の表面に
は、磁気ヘッドと情報記録媒体との真実接触面積を低減
し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起
(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突
起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好
になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ
粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の
突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐
熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突
起を形成するのが好ましい。
【0041】微小突起の高さは5nm〜60nmが好ま
しく、l0nm〜30nmがより好ましい。微小突起の
高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシング
ロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が
低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起
の密度は0.1〜100個/μm2が好ましく、1〜1
0個/μm2がより好ましい。微小突起の密度が少なす
ぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎる
と凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生
特性が劣化する。
【0042】また、バインダーを用いて微小突起を支持
体表面に固定することもできる。バインダーには、十分
な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱
性を備えた樹脂としては、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱
硬化型シリコン樹脂、溶剤可溶型ポリイミド樹脂などを
使用することが特に好ましい。
【0043】支持体と光磁気記録層との間には、光情報
記録媒体と同様に、反射膜を設けることができる。反射
膜には、使用するレーザ光の波長に対する反射率が高い
光反射性物質が使用される。このような光反射性物質と
しては、例えばAl、Al―Ti、Al−In、Al―
Nb、Al―Ta、Au、Ag、Cu等の金属及び半金
属を挙げることができる。これらの物質は単独で用いて
もよく、二種以上を組合せて用いてもよい。また、合金
として用いてもよい。この反射膜は、上記光反射性物質
を支持体上にスパッタリング、または電子ビーム真空蒸
着することにより形成することができる。反射膜の膜厚
は10nm〜200nmが好ましい。
【0044】光磁気記録層の安定性を改善する目的で、
反射層と光磁気記録層との間には、誘電体からなる保護
層が設けられていることが好ましい。この保護層は、反
射層の構成元素や水分や酸素など光磁気記録層の腐食や
酸化に関与する物質が支持体側から移動してくるのを遮
蔽する。この保護層としては、光磁気記録で一般的に使
用される誘電体材料を使用することができ、例えば、シ
リカ、アルミナなどの酸化物(Si−O、Al−O)、
窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物(Si−
N、Al−N)、硫化亜鉛等の硫化物(Zn−S)、リ
ン化ニッケル等のリン化物、ケイ素化タンタル(Ta−
Si)、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等が
挙げられるが、耐腐食性を備え、磁気記録層に含まれる
金属材料と酸素との反応を抑制し、且つ高い熱伝導率を
有する材料が好ましく、チッ化珪素(Si−N)、チッ
化アルミニウム(Al−N)等の無機窒化物、及び炭素
が特に好ましい。この保護層は、スパッタリング法や化
学気相反応法(CVD法)などにより形成することがで
きる。保護層の膜厚は、2nm〜200nmが好ましい
が、この厚みは使用するレーザーの波長に依存する。つ
まりレーザー光は反射層表面で反射するため、入射光と
干渉する。したがって保護層に厚みを適切に設定しない
と、干渉によって反射率や磁気光学効果が減少してしま
い、トラッキングエラー信号の品位が低下してしまう。
【0045】光磁気記録層には、光情報記録媒体で一般
的に使用される各種金属合金等の磁気記録材料が使用で
きる。このような磁気記録材料としては、希土類遷移金
属合金、あるいは遷移金属/貴金属多層膜があげられ
る。
【0046】希土類遷移金属合金は、垂直磁気異方性を
有しており、高い磁気光学効果を示すと共に、その組成
や成膜条件を制御することによって、非常に広い範囲で
磁気特性を制御することができる。また、希土類遷移金
属合金は、非晶質(アモルファス)であるため、結晶粒
によるノイズが発生しない。
【0047】光磁気記録層は、そのディスク面に対して
垂直な方向の保磁力(垂直方向保磁力)を240kA/
m以上とすることが好ましい。垂直方向保磁力が240
kA/m未満では、面内磁気記録層の記録に使用する磁
気ヘッドの磁界の影響を受けやすくなり、磁化を安定に
保つことができない。
【0048】光磁気記録層のキュリー温度は後述のサー
ボ信号の記録方法に依存する。サーボ信号の記録の際に
加熱することなく、外部磁界のみで書き込みを行う場合
には、キュリー温度は特に限定されず、加熱によって保
磁力を低下させてサーボ信号の記録を行う際には、加熱
によって保磁力が十分に低下するようにキュリー温度を
設計する必要がある。
【0049】光磁気記録層として使用できる希土類遷移
金属合金としては、Tb−Fe−Co、Tb−Co、N
d−Fe−Co、Gd−Fe−Co、Dy−Fe−Co
など、テルビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)、ネ
オジウム(Nd)、及びジスプロシウム(Dy)から選
択される少なくとも1種の希土類金属と、鉄(Fe)及
びコバルト(Co)の少なくとも一方の遷移金属とを含
有する合金が好ましい。また、これら合金の耐食性を改
善するために、クロム(Cr)やニッケル(Ni)を適
宜添加してもよい。
【0050】上記した合金の中でも、TbあるいはD
y、FeあるいはCoから選ばれる合金が特に好まし
い。一般に希土類元素は腐食しやすいが、Tb、Dyな
どの重希土類元素は比較的安定であり、記録媒体として
信頼性、保存性を確保しやすい。またこれらの合金は本
発明で使用する保磁力の高い垂直磁性膜を形成しやす
く、その磁気特性を組成や成膜条件で制御しやすい。
【0051】例えば、希土類遷移金属合金がテルビウム
である場合には、テルビウムの含有量が多くなるに従い
垂直方向保磁力が大きくなり、テルビウムの含有量が2
0原子量%である場合に補償組成となり、保磁力が無限
大となる。本発明の記録方法では光磁気記録層はある程
度以上の保磁力が必要となるので、20原子%前後の組
成を使用することが好ましい。
【0052】また希土類遷移金属合金以外で光磁気記録
層として使用できる記録層としては遷移金属/貴金属多
層膜があげられる。遷移金属/貴金属多層膜としてはコ
バルト/パラジウム、コバルト/白金、鉄/白金などが
使用でき、その積層周期は遷移金属が0.1nm〜1.
0nm、貴金属が0.3nm〜2.0nmであることが
好ましい。遷移金属/貴金属多層膜は青紫色レーザーな
どの短波長の光に対して磁気光学効果が大きいため、こ
の様な光源を使用して、トラック密度を高めようとする
場合に有効である。
【0053】これらの光磁気記録層の厚みは反射層の有
無に依存し、反射層がある場合には、光磁気記録層を透
過し、反射する光のファラデー効果を有効に使用するた
め、記録層の厚みは10nm〜50nmが好ましく、反
射層を使用しない場合には、光磁気記録層自体の反射率
を高める必要があるため、光磁気記録層の厚みは30n
m〜100nmであることが好ましい。
【0054】光磁気記録層の作製方法としては、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及び
イオン注入法等の物理的蒸着法(PVD法)、化学的蒸
着法(CVD法)等を挙げることができるが、組成制御
が容易である点で、スパッタリング法が特に好ましい。
【0055】希土類遷移金属合金を作製する場合であれ
ば、目的の組成に近い合金をターゲット材料としたスパ
ッタリングにより、このターゲットと略同じ組成の合金
からなる磁性膜を形成することができる。また希土類元
素ターゲットと遷移金属ターゲットを使用した共スパッ
タでも同様な合金膜を作製することができる。
【0056】遷移金属/貴金属多層膜を作製する場合で
あれば、貴金属ターゲットと遷移金属ターゲットを使用
した共スパッタ法により目的の膜を作製することができ
る。
【0057】光磁気記録層の上には中間層を設けること
が好ましい。この中間層は光磁気記録層と面内磁気記録
層の磁気的な結合を弱め、各々の層が独立した磁気パタ
ーンを形成するため設けることが好ましい。光磁気記録
層上に面内磁気記録膜を直接形成すると、これらの層が
層間結合し、面内磁気記録層の磁化状態が乱れてしま
う。
【0058】この中間層としては保護層と同様の材料が
好ましいが、ルテニウム等も使用することができる。こ
の中間層の厚みは2nm〜50nmが好ましい。厚みが
厚すぎると、光磁気記録層に対するサーボ記録品位が低
下し、薄すぎると層間結合を弱める効果が少なくなる。
【0059】面内磁気記録層としては、ハードディスク
などの記録膜として一般的に使用されているコバルト系
合金、例えばCoCrPt、CoCrPtBなどが使用
できる。一般にコバルト系合金のノイズを低下させるた
めには、スパッタ時の基板温度を高め、非磁性元素の粒
界への偏析を促進する必要がある。しかし本発明の光磁
気記録層は室温で形成するため、面内磁気記録層を形成
する際にのみ、基板加熱を行うことは、生産性の観点か
ら好ましくなく、プラスチックフィルム、プラスチック
ハード基板を使用する場合にも、支持体の熱変形を起こ
しやすいため、好ましくない。
【0060】従って、本発明で好ましい面内磁気記録層
としてはコバルトを含有する強磁性金属合金と非磁性酸
化物からなるものである。強磁性金属合金と非磁性酸化
物はマクロ的には混合されているが、ミクロ的には磁性
金属合金微粒子を非磁性酸化物が被覆するような構造も
しくは島状に分離した構造となっている。記録層を面内
に平行に切断した時の切断面の一部を模式的に図1に示
した。強磁性金属合金粒子の大きさ(最大長)Raは1
nmから100nm程度であり、また、両者間の距離L
は、1〜100nm程度である。ただし、局所的にLが
0である場合も許容される。この様な構造となること
で、高い保持力を達成でき、また磁性粒子サイズの分散
性が均一となるため、低ノイズ媒体を達成することがで
きる。
【0061】コバルトを含有する強磁性金属合金として
はCoとCr、Ni、Fe、Pt、B、Si、Ta等の
元素との合金が使用できるが、記録特性を考慮するCo
−Pt、Co−Cr、Co−Pt−Cr、Co−Pt−
Cr−Ta、Co−Pt−Cr−B等が特に好ましい。
【0062】非磁性酸化物としてはSi、Zr、Ta、
B、Ti、Al等の酸化物が使用できるが、記録特性を
考慮するとケイ素の酸化物が最も好ましい。
【0063】コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁
性酸化物の存在比は、強磁性金属合金:非磁性酸化物=
95:5〜80:20(金属原子比)の範囲であること
が好ましく、90:10〜85:15の範囲であること
が特に好ましい。これよりも強磁性金属合金が多くなる
と、磁性粒子間の分離が不十分となり、保持力が低下し
てしまう。逆にこれよりも少なくなると、磁化量が減少
するため、信号出力が著しく低下してしまう。
【0064】コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁
性酸化物からなる磁性層の厚みとしては好ましくは10
nm〜60nm、さらに好ましくは20nm〜40nm
の範囲である。これよりも厚みが厚くなるとノイズが著
しく増加してしまい、逆に厚みが薄くなると、出力が著
しく減少してしまう。
【0065】コバルトを含有する強磁性金属合金と非磁
性酸化物からなる磁性層を形成する方法としては真空蒸
着法、スパッタ法などの真空成膜法が使用できる。中で
もスパッタ法は良質な超薄膜が容易に成膜可能であるこ
とから、本発明に公的である。スパッタ法としては公知
のDCスパッタ法、RFスパッタ法のいずれも使用可能
である。スパッタ法は連続フィルム上に連続して成膜す
るウェブスパッタ装置が好適である。
【0066】スパッタ時のスパッタガスとしては一般的
なアルゴンガスが使用できるが、その他の希ガスを使用
しても良い。また非磁性酸化物の酸素含有率を調整する
ために微量の酸素ガスを導入してもかまわない。
【0067】スパッタ法でコバルトを含有する強磁性金
属合金と非磁性酸化物からなる磁性層を形成するために
は強磁性金属合金ターゲットと非磁性酸化物ターゲット
の2種を用い、これらの共スパッタ法を使用することも
可能であるが、磁性粒子サイズの分散性を改善し、均質
な膜を作成するため、コバルトを含有する強磁性金属合
金と非磁性酸化物の合金ターゲットを用いることが好ま
しい。この合金ターゲットはホットプレス法で作成する
ことができる。
【0068】面内磁気記録層上に設ける表面保護層は、
面内磁気記録層に含まれる金属材料の腐蝕を防止し、磁
気ヘッドと情報記録媒体との擬似接触または接触摺動に
よる摩耗を防止して、走行耐久性、耐食性を改善するた
めに設けられる。特に希土類遷移金属は腐食し易いた
め、希土類遷移金属を用いる場合には、表面保護層を設
けることが特に好ましい。
【0069】表面保護層には、シリカ、アルミナ、チタ
ニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの
酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒
化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化
物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料
を使用することができる。
【0070】表面保護層としては、磁気ヘッドの材質と
同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動
中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続するも
のが、摺動耐久性に優れており好ましい。また、同時に
ピンホールが少ないものが、耐食性に優れておりより好
ましい。このような保護膜としては、CVD法で作製さ
れるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる
硬質炭素膜が挙げられる。
【0071】表面保護層は、性質の異なる2種類以上の
薄膜を積層した構成とすることができる。例えば、表面
側に摺動特性を改善するための硬質炭素保護膜を設け、
磁気記録層側に耐食性を改善するための窒化珪素などの
窒化物保護膜を設けることで、耐食性と耐久性とを高い
次元で両立することが可能となる。
【0072】表面保護層上には、走行耐久性および耐食
性を改善するために、潤滑膜が設けられる。潤滑膜に
は、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添
加剤等の潤滑剤が使用される。
【0073】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル
等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、
ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0074】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)C
2O)n、またはこれらの共重合体等である。具体的に
は、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン
−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、
商品名「FOMBLIN Z-DOL」)等が挙げられる。
【0075】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0076】上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用し
て使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶
液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビ
アコート法、ディップコート法等で表面保護層の表面に
塗布するか、真空蒸着法により表面保護層の表面に付着
させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg
/m2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
【0077】また、耐食性をさらに高めるために、防錆
剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾ
トリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジ
ン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル
側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メル
カプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合
物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環
類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、
潤滑剤に混合して表面保護層上に塗布してもよく、潤滑
剤を塗布する前に表面保護層上に塗布し、その上に潤滑
剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1
〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特
に好ましい。
【0078】光磁気記録層には、トラッキングのために
予め磁化された領域(磁化領域)が形成されている。例
えば、光磁気記録層を、ディスク面に対して垂直方向に
磁化(プリフォーマット磁化)し、この磁化領域は、ト
ラック幅方向に交互に配列されて、らせん状あるいは同
心円状トラックが形成されている。次にこのトラックの
書き込み方法について説明する。
【0079】トラッキング信号は磁気転写法によって書
き込まれることが生産性の観点から好ましい。磁気転写
は、磁性層が形成されたマスター担体から、磁化される
前の光磁気記録層を備えたスレーブ媒体に、磁気を転写
して所定パターンの磁化領域を形成する方法である。マ
スター担体は、シリコン、アルミニウム等の非磁性材料
で構成された基板上に、転写パターンに応じて形成され
た磁束密度が大きなCo、Feなどの強磁性体からなる
凸状の磁性層を形成したものであり、基板と磁性層との
間には、必要に応じてCr、Ti等の非磁性金属材料で
構成された導電性層を設けることができる。マスター担
体は、フォトファブリケーションや、光ディスクの基板
形成に使用するスタンパを用いて作製することができ
る。例えば、スタンパにより所定パターンが形成された
ニッケル基板に磁性層を形成してマスター担体を得るこ
とができる。以下、磁気転写により磁化領域を形成する
方法を具体的に説明する。
【0080】まず、支持体の一方の面に、少なくとも磁
化される前の光磁気記録層、面内磁気記録層を積層した
スレーブ媒体に、直流磁界を印加して、スレーブ媒体の
磁気記録層を垂直方向に励磁する(初期磁化)。なお、
磁気記録層は、初期磁化されて全体が磁化領域となる。
【0081】次に、マスター担体を、初期磁化されたス
レーブ媒体に密着させて、転写磁界として初期磁化方向
とは反対方向の直流磁界または交流バイアス磁界等を印
加し、磁性層を反対方向に励磁する。これにより、スレ
ーブ媒体と磁性層とが接触している部分から、光磁気記
録層の対応する部分に磁界が印加されて、その部分の磁
化方向が反転し、磁化領域中に反対向きの磁化領域が形
成される。これによりスレーブ媒体の精密なプリフォー
マットが行われる。
【0082】次に、上記の情報記録媒体におけるトラッ
キングサーボの方法について説明する。支持体側がS極
で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域に直
線偏光を照射すると、磁気カー効果により、その反射光
の偏光面は入射光の偏光面から所定角度θ(例えば右回
り)だけ回転する。一方、支持体側がN極で記録面側が
S極になる方向に磁化された磁化領域に同じ直線偏光を
照射すると、磁気カー効果により、その反射光の偏光面
は入射光の偏光面から所定角度−θ(例えば左回り)だ
け回転する。
【0083】従って、磁化領域に照射された光ビーム
は、情報記録媒体で反射されるが、偏光板等を通してこ
の反射光から偏光面が所定角度だけ回転した反射光を検
出し、この反射光の強度により、ヘッドとトラックの相
対的なずれを検出して、トラッキングサーボを行うこと
ができる。即ち、同心円状またはスパイラル状に設けら
れた磁化領域は、トラッキング・ガイドとしての役割を
果たす。
【0084】トラッキング・エラー検出方法としては、
光ディスクにおいて使用されるトラッキング・エラー検
出方法を使用することができるが、カー回転角は非常に
微弱であるため、3ビーム法を使用することが好まし
い。さらにカー回転角の検出には通常の光情報記録媒体
ドライブで使用されている作動検出法を使用することが
好ましい。また、光ビームはトラッキングサーボにのみ
使用されるため、トラック密度に応じて、トラッキング
用の光源として赤外線レーザ等の低出力のレーザ光源を
用いることもできる。
【0085】次に、以上に説明した情報記録媒体への情
報の記録方法と、記録された情報の再生方法について説
明する。記録再生装置はスイングアームの先端に取り付
けられ、情報記録媒体の回転に伴い浮上する浮上型スラ
イダを備えている。この浮上型スライダは、サスペンシ
ョンの先端部に固定された薄型の板バネであるジンバの
下面に取り付けられ、サスペンションは、スイングアー
ムに支持されている。また、浮上型スライダは、その浮
上面(ABS:Air Bearing Surfac
e)が情報記録媒体の記録面に対向するように、情報記
録媒体の記録面上方に配置され、スイングアームの回動
により、情報記録媒体の半径方向に移動可能とされてい
る。
【0086】この記録再生装置のヘッド部は、情報記録
媒体の回転に伴い浮上する浮上型スライダを備えてお
り、その浮上面には、正圧または負圧を付与するための
レールパターンが設けられている。浮上型スライダの浮
上面には、トラッキング用のレーザ光を照射する射出部
が設けられている。この射出部に外部に配置されたレー
ザ光源からレーザ光を導き、射出部に搭載されたレンズ
から情報記録媒体の光磁気記録層にレーザーを集光す
る。また、浮上面には、励磁コイルを備えた磁気ヘッド
が設けられている。この磁気ヘッドは、情報記録時に印
加する磁界を制御する記録磁界制御回路に接続されてい
る。
【0087】再生用磁気ヘッドとしては、磁界の強さに
応じて電気抵抗が変化する磁気抵抗効果を利用した、M
R(Magneto Resistive)ヘッド、GM
R(Giant Magneto Resistive)
ヘッド、TMR(Tunnel Magneto Res
istive)ヘッド等の磁気ヘッドを用いることがで
きる。中でも、高感度なGMRヘッド及びTMRヘッド
が特に好ましい。
【0088】情報記録媒体を回転させると共に、この情
報記録媒体に対して浮上型スライダを押し当てると、情
報記録媒体と浮上型スライダとは浮上するか、あるいは
非常に弱い力で安定に接触摺動する。ヘッドの安定走行
のために、ディスクの回転数は1000rpm〜100
00rpmが好ましく、2000rpm〜7500rp
mがより好ましい。また、ディスクの面振れは小さい方
が好ましく、ハードディスクの場合では10μm以下、
フレキシブルディスクの場合で約50μm以下とするこ
とがより好ましい。
【0089】情報記録時には、この安定に接触摺動して
いる状態で、記録磁界制御回路から磁気ヘッドに制御信
号を供給し、情報に対応する磁界を面内磁気記録層に印
加することにより磁気的に情報の記録を行なう。
【0090】以上説明した通り、本実施の形態では、使
用する情報記録媒体の光磁気記録層が、磁化方向が異な
る磁化領域が半径方向に交互に配列されるように予め磁
化されているので、磁化領域の磁化方向の相違に基づい
てトラッキングを行うことができる。また、磁気記録層
がトラッキングのために予めディスク中心に対し同心円
状またはスパイラル状に磁化されているので、トラッキ
ングを連続的に行うことができ、正確なトラッキングサ
ーボを行うことができる。
【0091】前記トラッキングを連続的に行いながら、
磁気ヘッドで面内磁気記録層への情報の記録再生を行う
ため、トラッキングエラーが少なく、高いトラック密度
を達成することが可能となる。
【0092】以上は請求項2に即した情報記録方法を用
いた具体例についての説明である。次に請求項3に即し
た情報記録方法を用いた場合について説明する。請求項
3では、請求項1記載の情報記録媒体を用いてトラッキ
ングサーボを面内磁気記録層で行い、情報の記録再生を
光磁気記録層で行う以外は、上記方法に準じて行うこと
ができる。
【0093】
【実施例】以下の実施例により本発明の新規な効果をさ
らに具体的に説明する。
【0094】表面が鏡面研磨された2.5インチ径のガ
ラス基板をスパッタ装置に設置し、表面をArプラズマ
エッチングでクリーニングした後、Al-Ti(Ti:
1.5質量%)からなる反射層を50nmの厚みで形成
し、この上にTb18Fe72Co10(数字は原子
%、以下同様)からなる光磁気記録層を20nm、カー
ボンからなる中間層を2nm、(Co:Pt:Cr=7
0:20:10原子比):SiO2=88:12(金属
原子比)からなる面内磁気記録層を25nm、カーボン
からなる保護膜を5nm形成し、末端水酸基変性のパー
フルオロポリエーテルからなる潤滑膜を1nmの厚みで
形成して、記録媒体を作製した。この光磁気記録膜は垂
直磁気異方性を有しており、垂直方向の保磁力は640
kA/mとなるように成膜条件を設定した。また面内磁
気記録層は面内磁気異方性を有しており、その保磁力は
200kA/mとなるように成膜条件を設定した。
【0095】この記録媒体に800kA/mの外部磁界
を印加して、一方向に磁化した後、ライン/スペースが
0.6μm/0.3μmのらせん状パターンを形成した
マスターディスク上にFe70Co30の軟磁性膜を5
0nm、カーボン保護膜を2nm形成したサーボマスタ
ーディスクを圧着し、垂直方向に640kA/mの外部
磁界を逆向きに印加して、媒体上にライン/スペースが
0.6μm/0.3μmのらせん状サーボパターンを磁
気的に記録した。
【0096】このディスクを波長660nm、開口数
0.6の3ビーム方式の光磁気ピックアップヘッドを搭
載したリードライトテスターに搭載し、3ビーム方式で
光磁気記録層に書き込まれたトラッキング信号をカー効
果で読み出し、トラッキングエラー信号を生成してトラ
ッキングサーボを行った。また、同ピックアップヘッド
を用いて、光記録層の記録再生を行った。さらに磁気ヘ
ッドで面内磁気記録層に130kFCI(flux change per inc
h)の信号を記録再生した。
【0097】その結果、安定に記録および再生ができる
ことを確認できた。また、本実施例は、トラッキングサ
ーボを光磁気記録層で行い、情報の記録再生を面内磁気
記録層で行う例であるが、同情報記録媒体を用いてトラ
ッキングサーボを面内磁気記録層で行い、情報の記録再
生を光磁気記録層で行う方法でも、同様に安定に記録お
よび再生ができることが判明した。
【0098】
【発明の効果】本発明は、支持体に光磁気記録層と面内
磁気記録層を設けた情報記録媒体を用い、あらかじめ光
磁気記録層または面内磁気記録層に記録したトラッキン
グ信号を光または磁気で読み出してトラッキングサーボ
を行うと供に、この媒体への情報の記録と読み出しを磁
気または光による面内磁気記録層または光磁気記録層に
対する記録再生で行うことにより、トラッキングエラー
を低減し、高いトラック密度を達成することを可能とす
るものであり、その工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】面内磁気記録層の一例を面内に平行に切断した
時の切断面の一部を模式的に示したものである。
【符号の説明】
1 面内磁気記録層、2 非磁性酸化物、3 磁性金属
合金微粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/007 G11B 7/007 5D118 7/09 7/09 C 11/105 501 11/105 501E 511 511P 531 531X 576 576Z 21/10 21/10 M Fターム(参考) 5D006 BB01 BB07 CA01 CA05 CA06 DA02 DA03 EA03 FA00 5D042 LA02 LA03 MA01 MA12 5D075 AA03 CC01 CC11 DD04 EE03 FG06 FH04 5D090 AA01 BB10 BB12 CC01 CC04 CC14 DD01 FF02 FF11 FF31 GG24 LL10 5D096 MM01 5D118 BA01 BB02 BB06 BC02 BD01 BF01 CA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の少なくとも一方の面に、少なく
    とも光磁気記録層と面内磁気記録層を、この順に形成し
    たことを特徴とするディスク状情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のディスク状情報記録媒体
    を用いる情報記録方法において、あらかじめ該光磁気記
    録層に記録したトラッキング信号を光により読み出して
    トラッキングサーボを行うと共に、この媒体に対する情
    報の記録と読み出しを磁気により、面内磁気記録層に対
    して行うことを特徴とする情報記録方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のディスク状情報記録媒体
    を用いる情報記録方法において、あらかじめ該面内磁気
    記録層に記録したトラッキング信号を磁気により読み出
    してトラッキングサーボを行うと共に、この媒体に対す
    る情報の記録と読み出しを光により、光磁気記録層に対
    して行うことを特徴とする情報記録方法。
JP2002150641A 2002-05-24 2002-05-24 ディスク状情報記録媒体およびそれを用いた情報記録方法 Pending JP2003346397A (ja)

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