JP2004220691A - 情報記録媒体 - Google Patents

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Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Shoichi Nishikawa
正一 西川
Takako Ozawa
貴子 小澤
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Abstract

【課題】磁気転写により形成された高品位の磁化パターンを有する、垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体を得る。
【解決手段】垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体において、垂直磁気記録層を、振動試料型磁力計により測定される磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における傾きαが、2.0〜20の範囲となる磁性材料により構成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体に関し、特に垂直磁気記録層を備えてなる情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気記録媒体においては一般に、情報量の増加に伴い、多くの情報を記録する大容量で、安価で、かつ、好ましくは短時間で必要な箇所が読み出せる、いわゆる高速アクセスが可能な媒体が望まれており、この一例として、ハードディスク、ZIP(アイオメガ社)等のフレキシブルディスクからなる高密度磁気記録媒体が知られている。これらの高密度磁気記録媒体は情報記録領域が狭トラックで構成されており、狭いトラック幅を正確に磁気ヘッドにより走査させて高いS/Nで信号を再生するためには、いわゆるトラッキングサーボ技術が大きな役割を担っている。
【0003】
トラック位置決めのためのサーボ信号や、そのトラックのアドレス信号、再生クロック信号等のサーボ情報は、磁気記録媒体の製造時にプリフォーマットとして予め磁気記録媒体に記録する必要があり、現在は専用のサーボ記録装置(サーボトラックライター)を用いてプリフォーマットが行われている。従来のサーボ記録装置によるプリフォーマットは、磁気記録媒体1枚ずつ、磁気ヘッドにより記録する必要があるため、相当の時間がかかり生産効率の点で問題がある。
【0004】
一方、プリフォーマットを正確にかつ効率よく行う方法として、マスター担体に形成されたサーボ情報を担持するパターンを磁気記録媒体へ磁気転写により転写する方法が、特許文献1〜3等において提案されている。
【0005】
磁気転写は、転写すべき情報を担持するマスター担体を磁気ディスク媒体等の磁気記録媒体(スレーブ媒体)と密着させた状態で、転写用磁界を印加することにより、マスター担体の有する情報パターンに対応する磁気パターンをスレーブ媒体に磁気的に転写するもので、マスター担体とスレーブ媒体との相対的な位置を変化させることなく静的に記録を行うことができ、正確なプリフォーマット記録が可能であり、しかも記録に要する時間も極めて短時間であるという利点を有している。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−183623号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平10−40544号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−14667号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、磁気記録媒体としては、その磁性層の面に平行な方向に磁化容易軸を有する面内磁気記録媒体、および、磁性層の面に垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁気記録媒体が考えられる。従来より、一般に面内磁気記録媒体が用いられており、上述の磁気転写に適した面内磁気記録媒体の開発も既に多くなされている。一方、垂直磁気記録媒体を用いることにより、面内磁気記録媒体と比較してさらなる大容量化が期待される。
【0010】
しかしながら、磁気転写に適した垂直磁気記録媒体の条件は未だ十分に検討されているとは言えない。
【0011】
なお、垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体であって、磁気転写により信号が記録されるものであれば、従来の磁気ヘッドによりトラッキングおよび記録再生を行う磁気記録媒体に限らず、磁気転写に適する条件は同様であると考えられる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、磁気転写に適した垂直磁気記録層を有する情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記録媒体は、垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体であって、
前記垂直磁気記録層が、振動試料型磁力計により測定されるM−H磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における傾きαが、2.0〜20の範囲であり、
該垂直磁気記録層が、磁気転写により形成された磁化パターンを有するものであることを特徴とするものである。
【0014】
なお、前記傾きαは、M−H磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における微分値であり、α=4π・dM/dHで表されるもので定義される。また、磁気履歴曲線は、垂直磁気記録層の磁化容易方向(媒体面に垂直な方向)に磁界を印加して測定されたものであり、保磁力Hcは、該磁化容易方向における保磁力である。
【0015】
なお、前記傾きαが、3.0〜10の範囲であることがさらに望ましい。
【0016】
また、前記垂直磁気記録層の保磁力が2000Oe〜10000Oe(≒159〜796kA/m)であることが望ましい。
【0017】
ここで、垂直磁気記録層とは、情報記録媒体の面に垂直な方向に磁化容易軸を有する層であり、前記保磁力とは、該垂直方向(磁化容易方向)における保磁力をいう。
【0018】
前記磁化パターンとしては、トラッキングのためのパターンが好適である。
【0019】
【発明の効果】
本願発明者らの研究により、垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体においては、該媒体の一部を切り出した試料片をVSMで測定して得られたM−Hヒステリシスループの保磁力Hcでの傾きαが、2.0より小さいと、磁気転写の際に反磁界によって反転する磁気クラスターが発生し、転写された磁化パターンのコントラスト(磁化強度)が劣化し、一方、αが、20より大きいと、メイズ状の転写パターンが形成されてしまうために、転写品位が劣化することが明らかになった。
【0020】
すなわち、本発明の情報記録媒体は、垂直磁気記録層が、振動試料型磁力計により測定される磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における傾きαを2.0〜20の範囲としたことにより、磁気転写により良好な磁化パターンを形成することができる。したがって、垂直磁気記録層が有する磁気転写により形成された磁化パターンは転写品質がよく、良好な再生信号を得ることができるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録媒体は、垂直磁気記録層を備え、該垂直磁気記録層が、振動試料型磁力計により測定される磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における傾きαが、2.0〜20の範囲、好ましくは3.0〜10の範囲であることを特徴とするものであり、また、該垂直磁気記録層が、磁気転写により形成された所望の磁化パターンを有することを特徴とするものである。傾きαが上述の範囲である垂直磁気記録層は磁気転写に最適な磁性層であり、磁気転写により、高い信号品位を有する磁化パターンが形成され得るものである。したがって、垂直磁気記録層が有する磁化パターンは、磁気転写により形成された良好なパターンであり、高い信号品位を有するものである。
【0022】
上記傾きαについて、図1を参照して説明する。図1は、TbFeCoにより構成された垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体について、振動試料型磁力計により垂直磁気記録層の磁化容易方向に磁界Hを印加して測定された、M−H磁気履歴曲線である。αは、図1において、保磁力Hcの位置における傾きであり、α=4πdM/dHで表されるものである。図1から分かるように、TbFeCoにより構成された垂直磁気記録層は、保磁力Hcが略2000Oe(≒159kA/m)であり、傾きαは2.1である。
【0023】
上述の傾きαを有する垂直磁気記録層(磁性層)は、例えば、コバルト/パラジウム多層膜(以下、「Co/Pd」という)またはコバルト/白金多層膜(以下「Co/Pt」という)、TbFeCo、NdFeCo、GdFeCo、DyFeCoなどかから構成することができる。またこれらの合金に耐食性を改善するためCrを添加したものがさらに好ましい。但し、αが上記範囲を満たすものであれば、上述の材料に限定されるものではない。
【0024】
また、垂直磁気記録層の保磁力(垂直方向の保磁力)は2000〜10000Oe(≒159〜796kA/m)の範囲であることが望ましい。
【0025】
垂直磁気記録層である磁性層の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法及びイオン注入法等の物理的蒸着法(PVD法)、化学的蒸着法(CVD法)等を挙げることができるが、組成制御が容易である点で、スパッタリング法が特に好ましい。
【0026】
スパッタリングの方法としては、一般的なDCスパッタリング、RFスパッタリングの他に、DCパルススパッタ、RFバイアススパッタ、反応性スパッタなどが使用できる。スパッタリングの際には、コバルトおよびパラジウムまたは白金をターゲットとして、これらのターゲット上に支持体を保持させた基板を回転させて通過させる方法や、逆に支持体を保持させた基板を固定し、各ターゲットを回転させて通過させる方法を使用することができる。ウェブ状の支持体に記録層を設ける際には、必要数のターゲットおよびカソードを設置し、この上にウェブを搬送させてスパッタする方法や、ターゲットととして搬送方向にコバルトとパラジウムまたは白金が交互になる様に重ねたものを使用し、この上にウェブを搬送させてスパッタする方法が使用できる。
【0027】
αは膜面内の交換相互作用の強さによって変化するパラメータであり、交換相互作用が強い膜ほどαが大きくなる。一般的に知られているCoCrPt系強磁性金属薄膜は粒子間にCrを偏析させ、粒子を孤立化させるためαは比較的小さい。一方、TbFeCoやCo/Pdなどの連続膜はαが非常に大きい値となる。これらの連続膜のαを本発明の範囲に制御するには、連続膜に磁壁のピニングサイトを形成する必要がある。ピニングサイトを形成する方法としては下記の(1)〜(4)に示すようないくつかの手法が存在する。
【0028】
(1)表面粗さの付与
下地層や支持体に適度な表面粗さを付与すると、磁性層にも粗さが付与されるため、この効果によってピニングサイトが形成される。例えば、下地層の材料やスパッタガス圧を変更することで下地層の表面粗さを制御することができる。
【0029】
(2)コラム構造の形成
下地層にAu−SiOのようなグラニュラー系材料を用いると、下地層のグラニュラー材料がコラム構造をとるため、このコラム上に磁性層が成長し、コラムに相当するピニングサイトを形成できる。
【0030】
(3)磁性層の粒状性付与
磁性層を形成する際のスパッタガス圧を高めると、磁性層に粒状性が発現し、この粒状性に対応するピニングサイトが形成できる。
【0031】
(4)磁性層への不純物ドープ
磁性層中にBやSiOといった固溶しにくい非磁性材料を添加すると、その非磁性材料により磁性材料を分離することができる。
【0032】
実際の媒体設計では、下地層、磁性層材料に応じて、上記手法を1つあるいは複数組合わせて使用することで、本発明のαの値を達成することができる。
【0033】
図2(a)は実施形態に係る情報記録媒体の概略構成を示す平面図であり、同図(b)は、同図(a)中の領域Aの磁気記録層表面の磁化状態を示す部分拡大図であり、同図(c)は、同図(b)のC−C線断面図である。この情報記録媒体10は、図2(a)に示すように、中心部にセンターホールが形成されたディスク状の情報記録媒体である。情報記録媒体10は、図2(a)に示すように、いわゆるフレキシブル・ディスクとして、プラスチック等で形成されたカートリッジ12内に格納された構成とすることができる。この場合、カートリッジ12には、通常、金属性のシャッタ(図示せず)で覆われたアクセス窓(図示せず)を備えており、このアクセス窓を介して情報記録媒体10への記録や再生が行われる。また、情報記録媒体10は、いわゆるハード・ディスクとしてもよい。
【0034】
情報記録媒体10は、図2(c)に示すように、ディスク状の支持体14上に、磁性層の磁気特性を制御するための下地層(図示せず)、磁気転写により所望の磁化パターンが記録されている垂直磁気記録層16、この磁気記録層16を劣化や摩耗から保護する保護層18、及び潤滑剤の付与により走行耐久性および耐食性を改善する潤滑層20が、この順に積層されて構成されている。なお、後述する通り、光学的サーボトラッキングを行う場合には、支持体と下地層との間に、反射層や熱伝導、熱拡散速度を制御すると共にカー効果を増強するための誘電体層を設けても良い。ここでは支持体14の片面のみに磁気記録層16等を備えた形態としているが、支持体14の両面に磁気記録層等を備えた形態としてもよい。
【0035】
また、既述の通り、情報記録媒体10の垂直磁気記録層16には、磁気転写により所望の磁化パターンが形成されている。ここでは、トラッキングのためのパターンが形成されている例について説明するが、磁気転写により形成されるパターンは、トラッキングのためのパターンのみならず、他の情報を担持するパターンを含むものであってもよい。また、トラッキングのためのパターンとしては、セクターサーボ、連続サーボ等いかなるサーボ方式のパターンでもよい。
【0036】
図2に示す情報記録媒体10は、ディスク支持体14と反対側の表面を記録面とした場合、磁気記録層16が、支持体側がS極で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域16Aと、支持体側がN極で記録面側がS極になる方向に磁化された磁化領域16Bとで構成され、これら磁化領域16A及び磁化領域16Bは、ディスク半径方向に交互に配列されている。また、図2(b)に、図2(a)の領域Aにおける磁気記録層16の記録面の磁化状態を示すが、図2(b)に示すように、磁化領域16A及び磁化領域16Bの各々は、ディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に形成され、各々がトラックを構成している。即ち、磁化領域16A及び磁化領域16Bは、その磁化方向の相違により、トラッキング・ガイドとして使用されると共に、記録領域として使用される。この情報記録媒体10は、磁気記録層16の側からレーザ光が照射され、情報の記録及び再生が行われる光磁気ディスクとして、もしくは、磁性層の側から磁気ヘッドを接触もしくは近接させて、情報の記録及び再生が行われる磁気ディスクとして使用することができる。
【0037】
なお、磁化パターンがスパイラル状に形成される場合には、図3(a)に示すような、磁化領域16Aと磁化領域16Bが交互に1つのスパイラルを構成する単一スパイラル構造、同図(b)に示すような磁化領域16Aと磁化領域16Bのそれぞれがスパイラル状となり2重スパイラルを構成する2重スパイラル構造とする場合とが考えられるが、情報の記録再生方法等に応じていずれかを適宜選択すればよい。
【0038】
また、図4に示すように、磁化領域16A及び磁化領域16Bは、一定周波数で蛇行する(ウォブルを施す)ように形成してもよい。このウォブルの蛇行周波数を検出して、線速度を制御する制御信号として使用することができる。例えば、内周から外周まで同じ周期のウォブルを入れることにより、半径位置に拘らず線速度が一定になるように制御することができる。内周から外周にかけて周期を長くするようにウォブルを入れることにより、角速度が一定になるように制御することができる。
【0039】
また、上記情報記録媒体における光学的トラッキングサーボの方法について説明する。図5(A)に示すように、支持体側がS極で記録面側がN極になる方向に磁化された磁化領域16Aに直線偏光を照射すると、磁気カー効果により、その反射光の偏光面は入射光の偏光面から所定角度θ(例えば右回り)だけ回転する。一方、図5(B)に示すように、支持体側がN極で記録面側がS極になる方向に磁化された磁化領域16Bに同じ直線偏光を照射すると、磁気カー効果により、その反射光の偏光面は入射光の偏光面から所定角度−θ(例えば左回り)だけ回転する。
【0040】
したがって、磁化領域に照射された光ビームが、情報記録媒体10で反射されるので、偏光板等を通してこの反射光から偏光面が所定角度だけ回転した反射光を検出し、この反射光の強度により、ヘッドとトラックの相対的なずれを検出して、トラッキングサーボを行うことができる。即ち、同心円状またはスパイラル状に設けられた磁化領域16A及び磁化領域16Bは、トラッキング・ガイドとしての役割を果たす。なお、トラッキング・エラー検出方式としては、2分割フォトディテクタを用いてトラッキング誤差信号を得るプッシュプル法、3ビーム法等、光ディスクにおいて使用されるトラッキング・エラー検出方式を使用することができる。
【0041】
情報記録媒体10は、図2に示すように、磁性層がトラッキングのために予めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に磁化されると共に、磁化方向が異なる磁化領域が半径方向に交互に配列されるように磁化されており、この磁化パターンを光学的に検出することにより連続的なトラッキングサーボを行うことができるので、高精度なサーボフォローイングが可能である。
【0042】
次に、情報記録媒体10を構成する支持体14およびその上に積層される各層(既述の磁性層を除く)について詳述する。
【0043】
<支持体>
情報記録媒体10をフレキシブルディスクとする場合には、支持体14は、磁気ヘッドと磁気ディスクとが接触した時の衝撃を回避するために、可撓性高分子材料等の可撓性非磁性材料で構成されている。可撓性高分子材料としては、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセテートセルロース、フッ素樹脂等で構成された樹脂フィルムが挙げられる。
【0044】
また、可撓性支持体に同一の樹脂フィルムまたは他の樹脂フィルムをラミネートして使用してもよい。他の樹脂フィルムをラミネートすることにより、支持体自身に起因する反りやうねりを軽減することができる。これによりディスク回転時の面ぶれを軽減することが可能になり、ヘッドとディスクの衝突頻度や衝突強度が軽減され、磁性層の耐傷性を著しく改善することがきる。また、製造時に片面に磁性層が形成された状態でハンドリングできるため、支持体の両面に磁性層を形成するよりも、表面に傷が付き難く、フィルム蛇行による欠陥も発生し難い。
【0045】
ラミネート手法としては、熱ローラによるロールラミネート、平板熱プレスによるラミネート等を使用することができる。接着剤の付与方法としては、接着面に接着剤を塗布してラミネートする方法、予め離型紙上に接着剤が塗布された接着シートを用いる方法等が挙げられる。接着剤の種類は、特に限定されず、一般的なホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、UV硬化型接着剤、EB硬化型接着剤、粘着シート、嫌気性接着剤などを使用することがきる。
【0046】
可撓性支持体の厚みは、10μm〜200μmが好ましく、更に好ましくは20μm〜150μm、特に好ましくは25μm〜80μmである。支持体14の厚みが10μmより薄いと、高速回転時の安定性が低下し、面ぶれが増加する傾向がある。一方、支持体14の厚みが200μmより厚いと、回転時の剛性が高くなり、接触時の衝撃を回避することが困難になり、磁気ヘッドの跳躍を招く傾向がある。
【0047】
可撓性支持体の腰の強さは、下記式で表され、b=10mmでの値が0.5kgf/mm〜2.0kgf/mm(≒4.9〜19.6MPa)の範囲にあることが好ましく、0.7kgf/mm〜1.5kgf/mm(≒6.9〜14.7MPa)がより好ましい。
【0048】
支持体の腰の強さ=Ebd/12
なお、この式において、Eはヤング率、bはフィルム幅、dはフィルム厚さを各々表す。
【0049】
また、情報記録媒体10をハード・ディスクとする場合には、支持体14を、アルミニウム基板、ガラス基板、ポリカーボネート基板、カーボン基板等、比較的硬度の高い材料で構成する。これら基板の厚みは0.2mm〜1.2mmが好ましく、0.3mm〜0.9mmがより好ましい。
【0050】
支持体14の表面は、磁気ヘッドによる記録を行うために、可能な限り平滑であることが好ましい。具体的には、後述する下塗り層を使用する場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さSRaで5nm以内、好ましくは2nm以内、触針式表面粗さ計で測定した突起高さが1μm以内、好ましくは0.1μm以内である。また、下塗り層を用いない場合では、光学式の表面粗さ計で測定した表面粗さが中心面平均粗さSRaで3nm以内、好ましくは1nm以内、触針式表面粗さ計で測定した突起高さが0.1μm以内、好ましくは0.06μm以内である。
【0051】
磁性層が設けられる側の支持体表面には、平面性の改善を目的として下塗り層を設けることが好ましい。磁性層をスパッタリング等で形成するため、下塗り層は耐熱性に優れることが好ましく、下塗り層の材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコン樹脂、フッ素系樹脂等を使用することができる。熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂は、平滑化効果が高く、特に好ましい。下塗り層の厚みは、0.1μm〜3.0μmが好ましい。可撓性支持体に他の樹脂フィルムをラミネートする場合には、ラミネート加工前に下塗り層を形成してもよく、ラミネート加工後に下塗り層を形成してもよい。
【0052】
熱硬化性ポリイミド樹脂としては、例えば、丸善石油化学社製のビスアリルナジイミド「BANI」のように、分子内に末端不飽和基を2つ以上有するイミドモノマーを、熱重合して得られるポリイミド樹脂が好適に用いられる。このイミドモノマーは、モノマーの状態で支持体表面に塗布した後に、比較的低温で熱重合させることができるので、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができる。また、このイミドモノマーは汎用溶剤に溶解させて使用することができ、生産性、作業性に優れると共に、分子量が小さく、その溶液粘度が低いために、塗布時に凹凸に対する回り込みが良く、平滑化効果が高い。
【0053】
熱硬化性シリコン樹脂としては、有機基が導入されたケイ素化合物を原料としてゾルゲル法で重合したシリコン樹脂が好適に用いられる。このシリコン樹脂は、二酸化ケイ素の結合の一部を有機基で置換した構造からなりシリコンゴムよりも大幅に耐熱性に優れると共に、二酸化ケイ素膜よりも柔軟性に優れるため、可撓性フィルムからなる支持体上に樹脂膜を形成しても、クラックや剥離が生じ難い。また、原料となるモノマーを支持体上に直接塗布して硬化させることができるため、汎用溶剤を使用することができ、凹凸に対する回り込みも良く、平滑化効果が高い。更に、縮重合反応は、酸やキレート剤などの触媒の添加により比較的低温から進行するため、短時間で硬化させることができ、汎用の塗布装置を用いて樹脂膜を形成することができる。
【0054】
<下塗り層>
下塗り層の表面には、磁気ヘッドと磁気ディスクとの真実接触面積を低減し、摺動特性を改善することを目的として、微小突起(テクスチャ)を設けることが好ましい。また、微小突起を設けることにより、支持体のハンドリング性も良好になる。微小突起を形成する方法としては、球状シリカ粒子を塗布する方法、エマルジョンを塗布して有機物の突起を形成する方法などが使用できるが、下塗り層の耐熱性を確保するため、球状シリカ粒子を塗布して微小突起を形成するのが好ましい。
【0055】
微小突起の高さは5nm〜60nmが好ましく、l0nm〜30mmがより好ましい。微小突起の高さが高すぎると記録再生ヘッドと媒体のスペーシングロスによって信号の記録再生特性が劣化し、微小突起が低すぎると摺動特性の改善効果が少なくなる。微小突起の密度は0.1〜100個/μmが好ましく、1〜10個/μmがより好ましい。微小突起の密度が少なすぎる場合は摺動特性の改善効果が少なくなり、多過ぎると凝集粒子の増加によって高い突起が増加して記録再生特性が劣化する。
【0056】
また、バインダーとなる樹脂を用いて微小突起を支持体表面に固定することもできる。バインダーには、十分な耐熱性を備えた樹脂を使用することが好ましく、耐熱性を備えた樹脂としては、熱硬化型ポリイミド樹脂、熱硬化型シリコン樹脂を使用することが特に好ましい。
【0057】
<反射層>
トラッキング信号を光で読み取る場合、可撓性支持体と磁性層との間には、記録信号や光によるトラッキング信号の読み取り精度を高めるため、一般的な光磁気ディスクと同様に、反射層を設けることが望ましい。反射層には、レーザ光に対する反射率が高い光反射性物質が使用される。このような光反射性物質としては、例えばAl、Al―Ti、Al−In、Al―Nb、Al―Ta、Au、Ag、Cu等の金属及び半金属を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。また、合金として用いてもよい。この反射層は、上記光反射性物質を支持体14上にスパッタリング、または電子ビーム真空蒸着することにより形成することができる。反射層の膜厚は10nm〜200nmが好ましい。
【0058】
<下地層>
磁性層の記録特性を改善するため磁性層の下層として下地層を設けることが好ましい。この下地層としては、パラジウム、白金、チタン、炭素などが使用できる。これらの下地層によって磁性層の初期成長層を低減できるため、低ノイズの記録特性を得ることができる。また記録層の面内交換結合を弱め、ノイズを低減するために柱状構造を作成しようとする場合には、前記金属にシリカ、窒化珪素、ボロンなどの非磁性元素、非磁性化合物を添加することが好ましい。
【0059】
この下地層の膜厚は10〜100nmが好ましく、30〜60nmが特に好ましい。膜厚がこれ以下では下地層を設ける効果を得ることが困難であり、これ以上では下地層の粒子成長による表面性の低下や粒子径の増大によってノイズが増加してしまう場合がある。
【0060】
下地層は、スパッタ法、真空蒸着法、CVD法等のいわゆる真空成膜法で作成できるが、この際に成膜条件及び膜厚の調整によって適度な表面粗さ、結晶構造を付与する必要がある。表面粗さとしてはRmaxで5〜20nm、粒子のサイズとして1〜30nm程度が好ましい。
【0061】
<誘電体層>
支持体14と下地層との間に、誘電体層を設けてもよい。誘電体層は、レーザ照射時及びレーザ照射後の磁性層の温度を制御すると共に、水分や酸素などの磁性層の腐食や酸化に関与する物質が支持体側から移動してくるのを遮蔽する。誘電体層には光磁気記録で一般的に使用される誘電体材料を使用することができる。
【0062】
誘電体材料としては、例えば、シリカ、アルミナなどの酸化物(Si−O、Al−O)、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物(Si−N、Al−N)、硫化亜鉛等の硫化物(Zn−S)、リン化ニッケル等のリン化物、ケイ素化タンタル(Ta−Si)、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等が挙げられるが、耐腐食性を備え、磁性層に含まれる金属材料と酸素との反応を抑制し、且つ高い熱伝導率を有する材料が好ましく、チッ化珪素(Si−N)、チッ化アルミニウム(Al−N)等の無機窒化物、及び炭素が特に好ましい。この誘電体層は、スパッタリング法や化学気相反応法(CVD法)などにより形成することができる。誘電体層の膜厚は、10nm〜200nmが好ましい。
【0063】
<裏打ち層>
単磁極ヘッドと組合わせて使用する場合には、下地層と磁性層との間に軟磁性材料からなる裏打ち層を設けてもよい。軟磁性材料としてはパーマロイ、センダスト等を使用することができる。裏打ち層の膜厚は、50nm〜500nmが好ましく、50nm〜500nmがより好ましい。
【0064】
<保護層>
保護層には、シリカ、アルミナ、テタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの炭素等の材料を使用することができる。保護層の摺動耐久性を高めるためには、ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜であり、摺動中に焼き付きを生じ難くその効果が安定して持続し、且つピンホールが少ないものが好ましく、このような保護膜としては、CVD法で作製されるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)と呼ばれる硬質炭素膜が挙げられる。
【0065】
<潤滑膜>
保護層上には、走行耐久性および耐食性を改善するために、潤滑膜が設けられる。潤滑膜には、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤等の潤滑剤が使用される。
【0066】
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0067】
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)、またはこれらの共重合体等である。具体的には、分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(アウジモント社製、商品名「FOMBLIN Z−DOL」)等が挙げられる。
【0068】
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0069】
上記の潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用することができ、潤滑剤を有機溶剤に溶解した溶液を、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ディップコート法等で保護層表面に塗布するか、真空蒸着法により保護層表面に付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては、1〜30mg/mが好ましく、2〜20mg/mが特に好ましい。
【0070】
また、耐食性をさらに高めるために、防錆剤を併用することが好ましい。防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これら防錆剤は、潤滑剤に混合して保護層上に塗布してもよく、潤滑剤を塗布する前に保護層18上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布してもよい。防錆剤の塗布量としては、0.1〜10mg/mが好ましく、0.5〜5mg/mが特に好ましい。
【0071】
次に、垂直磁気記録層16に、磁気転写によりトラッキングのための磁化パターンの形成(プリフォーマット)を行う方法について図6を参照して説明する。磁気転写に用いられる磁気転写用マスター担体3は、剛体からなるディスクであり、その片面に所望の信号に応じた凹凸パターンの少なくとも凸部上に磁性層が形成されてなる転写情報担持面を有するものである。
【0072】
図6は、この磁気転写の基本工程を説明するための図であり、図6(a)は磁界を一方向に印加して、プリフォーマット前の情報記録媒体であるスレーブ媒体22を初期直流磁化する工程、(b)はマスター担体3とスレーブ媒体22とを密着して初期直流磁界とは反対方向に磁界を印加する工程、(c)は磁気転写後の状態をそれぞれ示す図である。スレーブ媒体22は、支持体14上に少なくとも垂直磁気記録層16が積層されてなるものである。なお、保護層、潤滑層等必要な全ての層が積層された後に磁気転写を行ってもよい。
【0073】
まず、図6(a)に示すように、予めスレーブ媒体22に初期直流磁界Hinをトラック面に垂直な一方向に印加して磁気記録層16の磁化を初期直流磁化させておく。その後、図6(b)に示すように、このスレーブ媒体22の第1の保護層18aとマスター担体3の情報担持面とを密着させ、スレーブ媒体22のトラック面に垂直な方向に前記初期直流磁界Hinとは逆向きの転写用磁界Hduを印加する。これにより、マスター担体3のスレーブ媒体22と接触している磁性層部分から、磁気記録層16の対応する部分に磁界が印加されて、その結果、図6(c)に示すように、その部分の磁化方向が反転し、磁化領域16A中に磁化領域16Bが形成される。
【0074】
ここでは、スレーブ媒体22の片面にのみ磁気記録層が形成されているものについての磁気転写について説明したが、第1の実施形態の場合と同様に、スレーブ媒体22の両面に磁気記録層が形成されている場合には、両面をそれぞれマスター担体と密着させて上述の場合と同様にして、両面同時に磁気転写を行う。
【0075】
初期直流磁界は、スレーブ媒体の磁性層の保磁力Hc以上、好ましくは該保磁力の1.2倍以上、さらに好ましくは保磁力の2倍程度以上であり、転写用磁界の最適強度は、スレーブ媒体の磁性層の保磁力Hcの0.6倍以上1.3倍以下、好ましくは0.8倍以上1.2倍以下程度である。
【0076】
上記磁気転写に用いられるマスター担体について説明する。マスター担体3の基板3aとしては、ニッケル、シリコン、石英板、ガラス、アルミニウム、セラミックス、合成樹脂等が用いられる。また、磁性層3bの磁性材料としては、Co、Co合金(CoNi、CoNiZr、CoNbTaZr等)、Fe、Fe合金(FeCo、FeCoNi、FeNiMo、FeAlSi、FeAl、FeTaN)、Ni、Ni合金(NiFe)を用いることができ、特に好ましいのはFeCo、FeCoNiである。なお、基板上に配される磁性層としては、軟磁性、半硬質磁性、硬質磁性いずれであってもよいが、軟磁性もしくは半硬質磁性等の保磁力の小さい磁性層を用いることにより、より良好な転写を行うことができる。さらには、基板上に配される磁性層は、基板の飽和磁化よりも高い飽和磁化値を有するものであることが好ましい。
【0077】
マスター担体3のパターン状凸部(凹凸パターン)の形成は、スタンパー法、フォトリソグラフィー法等を用いて行うことができる。
【0078】
まず、表面が平滑なガラス板(または石英板)の上にスピンコート等でフォトレジストを形成し、このガラス板を回転させながらサーボ信号に対応して変調したレーザー光(または電子ビーム)を照射し、フォトレジスト全面に所定のパターン、例えばプリフォーマット情報に相当するパターンを円周上の各フレームに対応する部分に露光し、その後、フォトレジストを現像処理し、露光部分を除去しフォトレジストによる、プリフォーマット情報に応じた凹凸形状を有する原盤を得る。すなわち、原盤には、図1に示したディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に形成される磁化領域16A及び磁化領域16Bのいずれか一方に対応して凹凸パターンが形成される。
【0079】
次に、原盤の表面の凹凸パターンをもとに、この表面にメッキ(電鋳)を施し、ポジ状凹凸パターンを有するNi基板を作製し、原盤から剥離する。この基板をそのままマスター担体とするか、または凹凸パターン上に必要に応じて磁性層、保護膜を被覆してマスター担体とする。
【0080】
また、前記原盤にメッキを施して第2の原盤を作製し、この第2の原盤を使用してメッキを行い、ネガ状凹凸パターンを有する基板を作製してもよい。さらに、第2の原盤にメッキを行うか樹脂液を押し付けて硬化を行って第3の原盤を作製し、第3の原盤にメッキを行い、ポジ状凹凸パターンを有する基板を作製してもよい。
【0081】
一方、前記ガラス板にフォトレジストによるパターンを形成した後、エッチングしてガラス板に穴を形成し、フォトレジストを除去した原盤を得て、以下前記と同様に基板を形成するようにしてもよい。
【0082】
金属による基板の材料としては、前述の通り、NiもしくはNi合金等を使用することができ、この基板を作製する前記メッキとしては、無電解メッキ、電鋳、スパッタリング、イオンプレーティングを含む各種の金属成膜法が適用できる。基板の凸部高さ(凹凸パターンの深さ)は、50〜800nmの範囲が好ましく、より好ましくは80〜600nmである。
【0083】
基板の凹凸パターン上への磁性層3bの形成は、磁性材料を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などを用いて行う。磁性層の厚み(凸部上面の磁性層の厚み)は、50〜500nmの範囲が好ましく、さらに好ましくは80〜300nmである。
【0084】
なお、この凸部表面の磁性層の上に5〜30nmのダイヤモンドライクカーボン(DLC)等の保護膜を設けることが好ましく、さらに潤滑剤層を設けても良い。また、磁性層と保護膜の間に、Si等の密着強化層を設けてもよい。潤滑剤を設けることにより、スレーブ媒体との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などを抑制し、耐久性をより向上させることができる。
【0085】
αが2.0〜20の範囲にある磁気記録層を有する媒体に対して、上述の転写方法により磁化パターンの転写を行うことにより、明瞭な転写パターンを得ることができ、垂直磁気記録媒体からは良好な再生信号を得ることができる。
【0086】
また、上記の実施の形態では、磁性層がトラッキングのために予めディスク中心に対し同心円状またはスパイラル状に磁化されると共に、磁化方向が異なる磁化領域が半径方向に交互に配列されるように磁化されている例について説明したが、他の方法によりトラッキング情報を記録してもよい。
【0087】
【実施例】
実施例として、αの異なる磁性層を有する情報記録媒体を作製し、トラッキングサーボ動作の評価を行った。
【0088】
実施例の情報記録媒体は次の手順で作製した。まず、鏡面研磨した2.5インチ径のガラス基板上にAgCuからなる厚み50nmの反射層、Cからなる厚み3nmの誘電体層、TbFeCoからなる厚み20nmの記録層、SiNからなる厚み20nmの保護層をこの順にスパッタリング法で積層した。この際、反射層と記録層のスパッタArガス圧を変更することでαを制御した。αはVSMのMHループから求めた。表1に示すように実施例1〜4として、αがそれぞれ1.7、2.1、5.2、23である媒体を得た。
【0089】
各媒体を1Tの永久磁石で垂直方向に初期磁化した後、作製した媒体に対して、凸部の幅が0.6μm、凹部の幅が1.2μm(実施例2、3)、および凸部の幅が0.9μm、凹部の幅が2.7μm(実施例1、4)、深さが0.2μmのスパイラル状サーボパターンが形成され、さらにこの上に厚み0.2μmのFeCoNi磁性層が形成された磁気転写用マスター担体を密着させ、媒体保磁力と同じ転写磁界を媒体の垂直方向に初期磁化の向きと逆向きとなるように印加して、媒体にサーボパターンを記録した。
【0090】
以上のようにして作製された、サーボパターンが記録された情報記録媒体を波長660nm、NA0.6の光磁気光学系を有するリードライトテスターでトラッキングサーボ動作を評価した。このテスターにおいてはトラッキングサーボは3ビーム方式を用いており、2つのトラッキング用サブビームにも光磁気信号検出が可能な機構を設けている。このサブビームの光磁気信号の差分を計算することで、通常の3ビーム法の光ディスクと同様のサーボトラッキングが可能となっている。なお、レーザ光は媒体の記録面側から入射し、リードパワー1mW、ディスク回転数2000rpm、半径位置27mm〜31mmの領域で評価を行った。
【0091】
【表1】
Figure 2004220691
表1に記載したとおり、αが2.0〜20という本発明の媒体の条件を満たす実施例2および3では安定したトラッキング動作が可能となっていることがわかった。一方、αが上記範囲を満たさない実施例1および4についてはトラッキングサーボ動作が不可能であった。
【0092】
図7は、各実施例1から4それぞれについてのMFM(磁気力顕微鏡)で観察したサーボ信号の磁区構造写真(MFM像)である。図7に示すMFM像から、実施例2および3については、0.6μm/1.2μmのストライプ状の良好な磁区構造が形成されているが、αが本発明より大きい媒体(実施例4)では磁壁の移動によりメイズ状パターンが形成されており、αが本発明より小さい媒体(実施例1)では逆磁区の形成により、サーボ信号の品位が低下していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】TbFeCoからなる磁気記録層を備えた媒体のM―H磁気履歴曲線を示す図
【図2】本実施の形態に係る情報記録媒体の概略構成を示す図
【図3】スパイラル状に形成された磁化パターンの例を示す平面図
【図4】磁界変調方式により情報の記録を行った場合の記録パターンを示す平面図
【図5】トラッキング信号の読出し原理を説明するための図
【図6】磁気転写工程を示す断面図
【図7】実施例についてのMFM像
【符号の説明】
3 マスター担体
10 情報記録媒体
12 カートリッジ
14 支持体
16 垂直磁気記録層
18 保護層
18a 第1の保護層
18b 第2の保護層
20 潤滑膜
22 スレーブ媒体

Claims (4)

  1. 垂直磁気記録層を備えた情報記録媒体であって、
    前記垂直磁気記録層が、振動試料型磁力計により測定されるM−H磁気履歴曲線の、該記録層の保磁力Hc位置における傾きαが、2.0〜20の範囲であり、
    該垂直磁気記録層が、磁気転写により形成された磁化パターンを有するものであることを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記傾きαが、3.0〜10の範囲であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 前記垂直磁気記録層の保磁力が159〜796kA/mであることを特徴とする請求項1または2記載の情報記録媒体。
  4. 前記磁化パターンが、トラッキングのためのパターンであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の情報記録媒体。
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