JP2002250990A - 写真用ポリエステル支持体、その製造方法及び銀塩光熱写真ドライイメージング材料 - Google Patents

写真用ポリエステル支持体、その製造方法及び銀塩光熱写真ドライイメージング材料

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JP2002250990A
JP2002250990A JP2001052027A JP2001052027A JP2002250990A JP 2002250990 A JP2002250990 A JP 2002250990A JP 2001052027 A JP2001052027 A JP 2001052027A JP 2001052027 A JP2001052027 A JP 2001052027A JP 2002250990 A JP2002250990 A JP 2002250990A
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Hidetoshi Ezure
秀敏 江連
Kenji Onuma
憲司 大沼
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Konica Minolta Inc
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱現像による高温下でも寸法安定性が優れ、
全ての方向の寸法変化率の差がほとんどないばかりか、
伸びまたは縮みの何れかに揃って寸法変化率が小さく、
高温下でも異方性を生じにくく、しかも機械的強度が高
く折れなども発生しにくい、更に平面性に優れた写真用
ポリエステル支持体とその製造方法及び銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料を提供する。 【解決手段】 溶融したポリエステルを冷却ドラム上に
押し出し未延伸シートを形成し、該シートを二軸延伸、
熱固定及び冷却を行って写真用ポリエステル支持体を製
造する方法において、二軸延伸を同時二軸延伸で行い、
冷却後に熱処理を行うことを特徴とする写真用ポリエス
テル支持体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像後の寸法変動
及び異方性がなく、更に優れた強度を有する銀塩光熱写
真ドライイメージング材料、及びそれに使用される写真
用ポリエステル支持体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来印刷製版の分野では、画像形成材料
の湿式処理に伴う廃液が、作業性の上で問題となってお
り、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃
液の減量が強く望まれている。そこで、更に現像処理液
を全く必要としない画像形成技術実用化が求められてい
た。この技術としては、レーザー・イメージセッターに
より効率的な露光が可能で、且つ高解像度で鮮明な黒色
画像を形成することが可能な写真技術用途の光熱写真材
料に関する技術が必要とされる。例えば、米国特許第
3,152,904号、同第3,487,075号明細
書及びD.モーガン(Morgan)による「ドライシ
ルバー写真材料(Dry Silver Photog
raphic Materials)」(Handbo
ok ofImaging Materials, M
arcel Dekker,Inc.第48頁、199
1)等に記載の方法が良く知られており、これらの技術
を応用した銀塩光熱写真ドライイメージング材料の開発
が進展している。銀塩光熱写真ドライイメージング材料
により、露光後80〜200℃の加熱現像するだけで画
像を高感度で得ることが出来、定着も不要で、処理液を
全く必要としないドライシステムを実現することが期待
されている。
【0003】一方、印刷製版用ハロゲン化銀写真感光材
料は、通常、カラー印刷用には各色別に分解されたフィ
ルムを複数枚使用する。各色別分解フィルムを各色の刷
版に焼き付け、それらを重ねて同じ位置に印刷する。各
フィルムが少しでもずれて印刷した印刷物は色がずれ商
品としての価値を失うため、寸法変化率の小さい感光材
料が強く求められている。
【0004】近年、印刷用の感光材料においても、上記
のような、環境保全、省スペース印刷製版用の銀塩光熱
写真ドライイメージング材料の適用が求められている。
しかし、通常の印刷用ハロゲン化銀写真感光材料では、
晒されることのない温度(熱現像温度)により、印刷用
の感光材料にあってはならない寸法の変化が起こり易
く、この寸法変化をいかに抑えるかが重要な課題となっ
ている。
【0005】銀塩光熱写真ドライイメージング材料の耐
熱寸法安定性を向上させる方法としては、特開平10−
10676号及び同10−10677号公報に、写真用
支持体を高温において低張力で搬送しながら熱処理し、
写真用支持体の熱収縮性を小さくする技術が開示されて
いる。しかし、この方法で熱処理した写真用支持体は、
異方性があり、熱収縮が小さくなるものの、全ての方向
の収縮率の大きさが異なったり、収縮率の絶対値は小さ
いものの一枚の試料の中である方向では伸び(+)また
ある方向では縮み(−)であったりしてアンバランスで
あったりするために、出来上がる印刷物のいろいろな方
向に微妙なズレを生じ、良好な印刷物が得られなかっ
た。
【0006】一方、熱現像の迅速処理化が進んでおり、
写真用支持体の低張力搬送熱処理同等、熱現像時にも高
温で機械的強度が低く、軟化したフィルムが原因で、熱
現像後に銀塩光熱写真ドライイメージング材料の折れ等
が発生し易くなっていることがわかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の事情を
解決すべくなされたものであり、その目的は、熱現像に
よる高温下でも寸法安定性が優れ、全ての方向の寸法変
化率の差がほとんどないばかりか、伸びまたは縮みの何
れかに揃って寸法変化率が小さく、高温下でも異方性を
生じにくく、しかも機械的強度が高く折れなども発生し
にくい、更に平面性に優れた写真用ポリエステル支持体
とその製造方法及び銀塩光熱写真ドライイメージング材
料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、銀塩光熱
写真ドライイメージング材料に必要な熱に対して寸法の
変化の少ない写真用支持体を鋭意検討した結果、熱に対
してフィルムの全ての方向の寸法の変化に差がほとんど
なく、寸法的、機械的性質において異方性がほとんどな
い写真用支持体を見出すことに成功した。その写真用支
持体を使用した銀塩光熱写真ドライイメージング材料に
おいても写真用支持体と同等の性質を有することを見出
し、優れた印刷用の銀塩光熱写真ドライイメージング材
料を得ることが出来た。
【0009】本発明は下記の構成よりなる。 (1) 溶融したポリエステルを冷却ドラム上に押し出
し未延伸シートを形成し、該シートを二軸延伸、熱固定
及び冷却を行って写真用ポリエステル支持体を製造する
方法において、二軸延伸を同時二軸延伸で行い、冷却後
に熱処理を行うことを特徴とする写真用ポリエステル支
持体の製造方法。
【0010】(2) 溶融したポリエステルを冷却ドラ
ム上に押し出し未延伸シートを形成し、該シートを二軸
延伸、熱固定及び冷却を行って写真用ポリエステル支持
体を製造する方法において、二軸延伸を同時二軸延伸で
行い、熱固定の前及び/または後において再延伸を行
い、更に冷却後熱処理を行うことを特徴とする写真用ポ
リエステル支持体の製造方法。
【0011】(3) 前記熱処理の条件を、ポリエステ
ルフィルムのガラス転移点(Tgと略す、(℃))+5
0℃〜Tg+150℃の範囲の温度、9.8hPa〜2
MPaの搬送張力、且つ30秒〜10分の搬送時間とす
ることを特徴とする(1)または(2)に記載の写真用
ポリエステル支持体の製造方法。
【0012】(4) 前記熱処理より以前に下引層塗布
液を塗布することを特徴とする(1)乃至(3)の何れ
か1項に記載の写真用ポリエステル支持体の製造方法。
【0013】(5) 下引層塗布液がポリエステル樹
脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及び
ウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有
することを特徴とする(4)に記載の写真用ポリエステ
ル支持体の製造方法。
【0014】(6) 前記下引層塗布液が水性下引層塗
布液であって、ポリエステル樹脂及び/またはアクリル
変性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする
(5)に記載の写真用ポリエステル支持体の製造方法。
【0015】(7) (1)乃至(6)の何れか1項に
記載の方法により製造されたことを特徴とする写真用ポ
リエステル支持体。
【0016】(8) 23℃、55%RHでの縦方向及
び横方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、2
3℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対す
る、120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの
条件下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変
化率全てが+0.001〜+0.4%であるか、または
全てが−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化
率の面内偏差が1〜20%であることを特徴とする写真
用ポリエステル支持体。
【0017】(9) 23℃、55%RHでの縦方向及
び横方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、2
3℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対す
る、120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの
条件下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変
化率全てが+0.001〜+0.4%であるか、または
全てが−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化
率の面内偏差が1〜20%であることを特徴とする
(7)に記載の写真用ポリエステル支持体。
【0018】(10) 該全ての方向の寸法変化率全て
が+0.001〜+0.04%であるか、または全てが
−0.001〜−0.04%ことを特徴とする(8)ま
たは(9)に記載の写真用ポリエステル支持体。
【0019】(11) (7)乃至(10)の何れか1
項に記載の写真用ポリエステル支持体の上に熱現像処理
により画像形成するハロゲン化銀感光層を有することを
特徴とする銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0020】(12) 23℃、55%RHでの縦方向
及び横方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、
23℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対す
る、120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの
条件下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変
化率全てが+0.001〜+0.4%であるか、または
全てが−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化
率の面内偏差が1〜20%であることを特徴とする銀塩
光熱写真ドライイメージング材料。
【0021】(13) 23℃、55%RHでの縦方向
及び横方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、
23℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対す
る、120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの
条件下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変
化率全てが+0.001〜+0.4%であるか、または
全てが−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化
率の面内偏差が1〜20%であることを特徴とする(1
1)に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0022】(14) 該全ての方向の寸法変化率全て
が+0.001〜+0.04%であるか、または全てが
−0.001〜−0.04%ことを特徴とする(12)
または(13)に記載の銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料。
【0023】(15) 前記ハロゲン化銀感光層のバイ
ンダーの転移温度(Tg)が20〜200℃であること
を特徴とする(11)乃至(14)の何れか1項に記載
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
【0024】以下、本発明について詳細に述べる。 [ポリエステル]本発明の目的に相応しい寸法的及び機
械的性質を有する写真用支持体としては、ポリエステル
フィルム(写真用ポリエステル支持体)である。写真用
ポリエステル支持体に使用されるポリエステルは、特に
限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオー
ル成分を主要な構成成分とするもので、例えば、ポリエ
チレンテレフタレート(以降、略してPETという場合
がある)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと
略すことがある)等のポリエステルである。好ましくは
PET、または、PETからなる部分を主要な構成成分
として、ポリエステル全体に占める構成要素の質量比率
が50質量%以上を有する共重合体またはブレンドされ
たポリエステルである。
【0025】PETはテレフタル酸とエチレングリコー
ル、またPENはナフタレンジカルボン酸とエチレング
リコールを構成成分として重合されたものである。PE
TまたはPENを構成するジカルボン酸またはジオール
を他の適当な1種、または2種以上の第3成分を混合し
て重合したものでも良く、適当な第3成分としては、2
価のエステル形成官能基を有する化合物で、例えば、ジ
カルボン酸の例として次のようなものを挙げることが出
来る。テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6
−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカル
ボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニル
エーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニ
ルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸
などを挙げることが出来る。また、グリコールの例とし
ては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレン
ジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、
ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキ
サンジオールなどを挙げることが出来る。第3成分とし
ては多官能性カルボン酸や多価アルコールも混合するこ
とが出来るが、これらは全ポリエステル構成成分に対し
て0.001〜5質量%程度混合することが出来る。
【0026】本発明のポリエステルの固有粘度は0.5
〜0.8であることが好ましい。また固有粘度の異なる
ものを混合して使用しても良い。
【0027】本発明のポリエステルの重合方法は、特に
限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの重
合方法に従って製造出来る。例えば、ジカルボン酸成分
をジオール成分と直接エステル化反応させ、ジオールの
片方の水酸基をジカルボン酸にジエステル化し、更に一
方のジオールを減圧下加熱して余剰のジオールを留去す
ることにより重合させる直接エステル化法、また、ジカ
ルボン酸成分としてジアルキルエステル(例えばジメチ
ルエステル)を用いて、これとジオール成分とでエステ
ル交換反応させてアルキルアルコール(例えばメタノー
ル)を留出させてジオールの片方の水酸基をジカルボン
酸にエステル化し、更に、余剰のジオール成分を減圧下
で加熱して留去するすることにより重合させるエステル
交換法を用いることが出来る。この際、触媒としては、
通常のポリエステルの合成に使用するエステル交換触
媒、重合反応触媒及び耐熱安定剤を用いることが出来
る。例えば、エステル交換触媒としてはCa(OAc)
2・H2O、Zn(OAc)2・2H2O、Mn(OAc)
2・4H2O、Mg(OAc)2・4H2O等を挙げること
が出来、重合触媒としては、Sb23、GeO2を挙げ
ることが出来、また、耐熱安定剤としては、リン酸、亜
リン酸、PO(OH)(CH33、PO(OC
653、P(OC653等を挙げることが出来る。ま
た、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり
剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度
調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔
料などを添加させてもよい。
【0028】[写真用ポリエステル支持体の製造方法]
本発明は、本発明に特有な作製方法によって作製し、優
れた寸法的及び機械的性質を有する写真用ポリエステル
支持体を得ることが特徴である。
【0029】本発明の写真用ポリエステル支持体の製造
は、概略的にいうと、上記のように重合して得られたポ
リエステルペレットを用いて、乾燥→溶融押出し(キャ
スト)→同時二軸延伸→熱固定→冷却→熱処理を経るこ
とを基本とするが、同時二軸延伸以降の製造工程のポイ
ントを簡略化して示すと以下のようになる。
【0030】 同時二軸延伸+熱固定+冷却+熱処理 同時二軸延伸+再延伸+熱固定+冷却+熱処理 同時二軸延伸+熱固定+再延伸+冷却+熱処理 〜の熱処理前の何れかでインライン下引層塗布 以下に、本発明の写真用支持体の製造方法について説明
する。
【0031】〔ポリエステルの乾燥→溶融押し出し→未
延伸シート作製〕例えば、重合終了後溶融ポリエステル
を冷却しながらペレット状にし、窒素ガス中または13
3Pa程度に真空にした撹拌式の乾燥機中で乾燥した
後、押出機に導入し、230〜300℃で溶融してTダ
イより、冷却ドラムの上にシート状に押出し(キャスト
し)て、静電印加法などにより冷却ドラムに密着させ、
冷却固化させ、未延伸シートを得る。
【0032】〔延伸〕 《同時二軸延伸》本発明に係わる同時二軸延伸は、未延
伸シートまたはフィルムを長手方向、幅方向の二軸方向
に同時に配向を与えるための延伸方法であり、同時二軸
テンターを用いて、例えば、シートまたはフィルムの両
端をクリップで把持しながら搬送して、長手方向及び幅
方向に時間的に同時に延伸する方法である。本発明にお
いて、同時二軸延伸は、延伸されたフィルムの縦方向及
び横方向に異方性がなく、好ましい方法である。また、
これらのように作製されたフィルムは形状が両端近傍で
直線的であり、フィルムが完成後、縁を裁ち落とす幅が
小さくなるばかりか、平面性の良いポリエステルフィル
ムが形成される。
【0033】同時二軸延伸時の温度は、ポリエステルの
ガラス転移点(℃)(以降Tgと略すことがある)以
上、Tg+100℃未満とすることにより、延伸中破断
が起ることもなく、分子の配向が有効に起こり、また、
厚みムラもなく、均一な延伸を可能にすることが出来
る。
【0034】同時二軸延伸の倍率としては、使用する未
延伸シートの種類(組成的または重合度的に異なった種
類)により異なるが、通常、それぞれの方向で2〜12
倍程度が好ましい。
【0035】同時二軸延伸の方式としてはスクリューの
溝にクリップを乗せてクリップ間隔を拡げていくスクリ
ュー方式、パンタグラフを用いてクリップ間隔を拡げて
行くパンタグラフ方式、同時二軸テンターのクリップ
が、リニアモータ方式により個別に駆動される方式があ
り、何れも好ましく用いることが出来るが、本発明にお
いては、特にリニアモータ方式による方式が好ましい。
この方式により各方向の延伸速度は、10,000%/
分以上にすることが出来る点や、延伸方向や延伸倍率を
自由に任意に変更出来る点で好ましい。また、この方式
と、前後の一方向の延伸や弛緩処理あるいは熱処理等を
組み合わせることにより、強度が高く、寸法安定性が良
く、更に幅方向に物性のムラのない(ボーイングのな
い)ポリエステルフィルムを得ることが出来る。本発明
において、同時二軸延伸を、以降、単に二軸延伸という
場合がある。
【0036】本発明の写真用ポリエステル支持体の最も
重要な性質は、23℃、55%RHでの縦方向及び横方
向のヤング率であり、23℃、55%RH条件下での全
ての方向の寸法に対する、120℃に60秒間加熱後、
23℃、55%RHの条件下に調湿した後のその対応す
る全ての方向の寸法変化率であり、且つ寸法変化率の面
内偏差である。
【0037】上記のうち、寸法変化率であるが、同時二
軸延伸で作製された写真用ポリエステル支持体の上記の
全方向の寸法変化率は比較的小さく、また全方向の寸法
変化率は伸びなら伸び、また縮みなら縮みに揃っている
ことが多い。これに対して、従来から行われている逐次
二軸延伸により作製されたポリエステルフィルムは、全
方向の寸法変化率が大きく、またある方向は伸び、また
ある方向は縮みというように、伸縮の方向性によって反
対の挙動をする例が多い。
【0038】《再延伸》本発明の写真用ポリエステル支
持体は熱に対する寸法変化率が非常に小さく、更に異方
性がほとんどないこと、また機械的性質においても、強
度が強く、腰があり、しかも異方性がないということが
特徴である。本発明における再延伸には、前に行われる
二軸延伸を最終段階まで行わないで、次の再延伸によっ
て延伸を完了させて最終的に寸法的または機械的性質を
所望のレベルまでにする手段、また前述の同時二軸延伸
において、寸法的及び機械的性質の不足分を補填するた
めに再延伸を行う手段がある。本発明の所望の性質にな
っているかどうかを、熱固定後または熱処理後にフィル
ムを測定して、その結果をフィードバックして、寸法変
化率または異方性が所望の通りにするべく再延伸を行い
所望のレベルに到達させる手段である。再延伸は、前に
延伸したフィルムの性質の縦方向または横方向の何れか
の不足分を補う場合には一軸延伸でよいが、二軸方向に
不足している場合には、同時二軸延伸または逐次二軸延
伸を行ってもよい。好ましくは機械的、寸法的な異方性
を小さくするために同時二軸延伸である。
【0039】再延伸で縦延伸を施す場合、通常の逐次二
軸延伸の一段目の縦方向に延伸する手段(例えば、熱ロ
ール加熱または赤外線加熱)と同じように行うことが出
来るが、別の方法で行ってもよい。本発明においては、
再縦延伸の方法としては、赤外線加熱方式の方が好まし
い。また横方向の再延伸にはテンター式延伸装置を用い
て行うことが出来る。再延伸の時期としては、特に限定
しないが、機械的強度を大きくすることが出来る点で熱
固定後に再延伸を行うのが好ましい。
【0040】本発明において、同時二軸延伸後、再度同
時二軸延伸で再延伸する場合、再延伸による面積倍率
は、1.005〜10倍であることが好ましい。より好
ましくは1.05〜5倍であり、更に好ましくは1.1
〜3倍である。再延伸による面積倍率が10倍を超える
と、本発明の所望のレベルを得ることが出来にくかった
り、フィルムの破れが多発したりする場合がある。ま
た、再延伸温度は85〜180℃で行うのが好ましい。
【0041】再延伸することにより、前記条件の写真用
ポリエステル支持体の全方向の寸法変化率は、同時二軸
延伸後の再延伸を行わないものに比べて更に小さくなる
が、逐次二軸延伸後に再延伸を行ったものは、全方向の
寸法変化率は若干小さくなるものの、全方向において、
伸びと縮みが混在する状況はほとんどかわらない傾向に
ある。
【0042】後述の熱現像用ハロゲン化銀写真感光材料
は、縦方向と横方向のヤング率の和は適度な範囲にある
ことが要求される。以上のような二軸延伸後に再延伸し
た写真用ポリエステル支持体は、該支持体を用いた熱現
像用ハロゲン化銀写真感光材料においても、23℃で縦
方向と横方向のヤング率の和を12〜20GPaの範囲
とすることが出来、写真用ポリエステル支持体のヤング
率及び寸法変化率を本発明の方法にすることにより可能
となる。ヤング率の和をこの範囲にすることによって、
熱現像時の平面性が良好で、PS版(感光性印刷版)に
焼き付けた時にズレを生ずることもなく、優れた印刷物
を得ることが出来る写真用ポリエステル支持体、また熱
現像時にフィルムが折れることもない優れた品質の熱現
像用ハロゲン化銀写真感光材料を得ることが出来る。ま
た縦方向と横方向のヤング率の和及び縦方向と横方向の
ヤング率のバランス関係は、縦横二方向の各々の延伸倍
率、また再延伸倍率を適宜変更することにより所望の範
囲にコントロールするのが好ましい。本発明において、
全ての方向もヤング率が6GPa以上であることが好ま
しい。
【0043】〔熱固定〕延伸後のフィルムの歪みを除去
するために熱固定を行うが、本発明においては、二軸延
伸後直ちに熱固定してもよく、二軸延伸後、ポリエステ
ルフィルムのTg未満の温度まで、好ましくはTg−1
0℃未満の温度まで冷却した後に、熱固定してもよい。
二軸延伸後の熱固定は、Tg+180℃以下の温度で通
常0.5〜300秒間熱固定するのがよい。この時、異
なる温度に設定した2段階以上のゾーンで熱固定するこ
とが好ましい。なお、熱固定の温度としては、延伸温度
からポリエステルの融点近傍までのさまざまな温度を用
途に応じて適宜に採用することが出来る。
【0044】〔弛緩処理〕弛緩処理は本発明において必
ずしも必要としない(上述の製造工程には記載されてい
ない)が、後述の熱処理の効果を更に高めるために、弛
緩処理を行うのが好ましい。弛緩処理は熱固定の後冷却
前に行うのが好ましく、縦方向及び横方向に延伸で緊張
したフィルムを弛めることによって、後の収縮を抑える
働きをする。
【0045】また、弛緩処理は一方向だけ行っても良
く、二方向とも行っても良い。好ましくは機械的、寸法
的な異方性を小さくするために二方向とも行う処理であ
る。弛緩処理の方法は、幅手方向または二方向の弛緩処
理については、例えば、ポリエステルフィルムを、テン
ター内のクリップチェーン走行路を所定の弛緩率になる
ように先細り状に走行せしめることで行っても良い。長
手方向の弛緩処理については、例えば、フィルム両端部
を担持したまま行う方法としては、保持テンタークリッ
プの走行速度を漸減する方法で、詳しくは、ガイドスク
リューのピッチをフィルム進行方向に向かって漸減する
等の方法、クリップチェーンの隣接するクリップ間にチ
ェーンリンク同士を互いに屈曲可能に連結するジョイン
ト部を設け、ピッチを減少せしめる方法等を挙げること
が出来る。
【0046】弛緩処理は、また縦方向、横方向ともに、
弛緩率が0.1〜10%の範囲で行われることが好まし
く、より好ましくは2〜6%である。また両方向とも同
じ弛緩率であることが寸法的な異方性を小さくするには
好ましい。
【0047】〔インライン下引き塗布〕本発明におい
て、製膜過程で結晶配向化が完了する前のポリエステル
フィルムの片面または両面にインラインで水性下引層塗
布液を塗布することが好ましい。本発明において、製膜
工程中での下引塗布をインライン下引という。また、結
晶配向化が完了する前のポリエステルフィルムとは、ポ
リエステルを熱溶融し、冷却ドラム上に押し出しシート
状とした未延伸シートを縦方向、横方向の何れか一方に
延伸した同時二軸延伸の前後の一軸延伸ポリエステルフ
ィルム、更には全ての方向の二方向に低倍率で延伸した
二軸延伸ポリエステルフィルム(最終的に縦方向または
横方向に再延伸して配向結晶化を完了せしめる前の二軸
延伸ポリエステルフィルム)等を含むものである。水性
下引層塗布液を塗布した結晶配向化が完了する前のポリ
エステルフィルムは、次いで乾燥され、延伸、熱固定等
の工程に導かれて結晶配向化が完了される。
【0048】本発明に有用な、水性下引層塗布液に使用
する樹脂としては、ポリエステル樹脂(前記ポリエステ
ルとは異なる)、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリ
デン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエ
チレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポ
リビニルアルコール樹脂及びゼラチン等を挙げることが
出来、何れも好ましく用いることが出来るが、更に熱処
理時のガイドロールへの密着性の点から、ポリエステル
樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、アクリル樹脂が好ましく、特にポリエステル樹脂及
びアクリル変性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0049】《ポリエステル樹脂》本発明に有用なポリ
エステル樹脂は、写真用ポリエステル支持体に親水性を
付与するための構成成分をポリエステル分子内に有する
もので、例えば、スルホン酸アルカリ金属塩やカルボン
酸アルカリ金属塩等のポリマー酸のアルカリ金属塩を有
するコポリエステル等を挙げることが出来る。具体的な
ポリエステル樹脂のポリマー構成を示すと、テレフタル
酸/イソフタル酸/5−ナトリウムスルホ−イソフタル
酸/エチレングリコール/ジエチレングリコール/ネオ
ペンチルグリコールのようなコポリエステルを好ましく
挙げることが出来る。
【0050】《アクリル変性ポリエステル樹脂》本発明
に有用なアクリル変性ポリエステル樹脂は、上記親水性
ポリエステルの水溶液中でにアクリル系モノマーの存在
下で重合、あるいはグラフト化した変性ポリマーであ
る。具体的なアクリル変性ポリエステル樹脂としては、
テレフタル酸/5−ナトリウムスルホ−イソフタル酸/
ジエチレングリコール/1,4―ブタンジオールのコポ
リエステルを含有する水系液中で、メタクリル酸メチル
/アクリル酸エチル/アクリル酸アンモニウム/アクリ
ル酸ブチルからなる混合アクリルモノマーを、該コポリ
エステル/該混合アクリルモノマー比50/50(質量
比)として重合して得られる。本発明において、このア
クリル変性コポリエステル樹脂は好ましい例として挙げ
たもので、この例に限定されず、これらに類似した(組
成の異なる)コポリエステル及びアクリルモノマーを用
いた色々なアクリル変性コポリエステル樹脂を使用する
ことが出来る。
【0051】《ポリウレタン樹脂》また、本発明に有用
なポリウレタン樹脂としては、分子内にスルホン酸アル
カリ金属塩やカルボン酸アミン塩を有する親水性ポリウ
レタン樹脂を好ましく挙げることが出来る。親水性化し
たポリウレタン樹脂を具体的に示すと、ポリエチレング
リコール/ジフェニルメタンジイソシアネート/エチレ
ンジアミン、ジメチロールプロピオン酸アミン塩からな
るポリウレタン樹脂を好まし例としてあげることが出来
るが、この例に限定されず、これらに類似したウレタン
形成化合物を用いたポリウレタン樹脂を使用することが
出来る。
【0052】《アクリル樹脂》本発明に有用なアクリル
樹脂としては、メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル
/アクリル酸アンモニウム/アクリルアミドからなるコ
ポリマー、メタクリルアミド/アクリル酸ブチル/アク
リル酸ソーダ/メタクリル酸メチル/N―メチロールア
クリルアミドからなるコポリマーを好ましく挙げること
が出来るが、この例に限定されず、これらに類似したア
クリル樹脂を使用することが出来る。アクリル樹脂はエ
マルジョン、水溶液、ディスパージョン等の形として使
用するのが好ましい。
【0053】上記のこれらの下引層に使用する樹脂は2
種以上の混合物として用いてもよい。また、これら樹脂
と共に、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
ポリイソシアネート等の架橋性樹脂や他の樹脂を併用す
ることが出来る。
【0054】《水性下引層塗布液》本発明における水性
下引層塗布液には、アニオン型界面活性剤、カチオン型
界面活性剤、ノニオン型界面活性剤等の界面活性剤を必
要量添加することが出来る。これら界面活性剤として
は、水性下引層塗布液の表面張力を0.5N/cm以下
に、好ましくは0.4N/cm以下に降下出来、ポリエ
ステルフィルムへの濡れを促進出来る。例えば、ポリア
ルキレンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂
肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸
塩、アルキルスルホコハク酸塩、第4級アンモニウムク
ロライド、アルキルアミン塩酸塩等を挙げることが出来
る。
【0055】この他に帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔
料、潤滑剤、ブロッキング防止剤、分散剤等を水性下引
層塗布液に添加しても良い。
【0056】上記水性下引層塗布液中の固形分濃度は、
好ましくは50質量%以下、30質量%以下がより好ま
しい。塗布量は、移送しているポリエステルフィルム1
2当り0.5〜50gが好ましく、より好ましくは1
〜30gである。
【0057】水性下引層塗布液の塗布方法としては、公
知の任意の塗布方法を適用出来る。例えば、キスコート
法、リバースコート法、ダイコート法、リバースキスコ
ート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコ
ート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エア
ーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を適用
するとよい。
【0058】本発明に使用する水性下引層塗布液中の下
引層を形成する樹脂は、Tgが40℃以上であることが
好ましく、Tgがこのような値であると低張力で熱処理
する際、搬送トラブルや擦り傷を生じることなく、平面
性が良好な写真用ポリエステル支持体を得ることが出来
るばかりでなく、該支持体を使用した銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料の構成層の熱現像時における接着性
が安定している。
【0059】〔熱処理〕本発明において、延伸及び熱固
定後のポリエステルフィルムを熱処理することにより、
高温下でも寸法安定性に優れ、平面性に優れた写真用ポ
リエステル支持体、及びそれを使用した同様な効果を有
する銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることが
出来る。本発明に係わる熱処理は、熱固定終了後冷却し
て巻き取った後に、別工程で巻きほぐしてから、以下の
ような手段で達成するのが良い。本発明に係わる熱処理
する方法としては、特に限定されないが、例えば、テン
ターのようなフィルムの両端をピンやクリップで把持す
る搬送方法、複数のロール群によるロール搬送方法、空
気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送などに
より搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフ
ィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外
線ヒーターなどによる輻射熱を利用する方法、加熱した
複数のロールと接触させる方法などを単独または複数組
み合わせて熱処理する方法、またフィルムを自重で垂れ
下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を挙げることが出
来、何れも本発明において好ましく用いることが出来
る。熱処理の張力調整は、巻き取りロール及び/または
送り出しロールのトルクを調整することにより出来る。
また工程内にダンサーロールを設置し、これに加える荷
重を調整することでも達成出来る。熱処理中及び/また
は熱処理後の冷却時に張力を変化させる場合、これらの
工程前後及び/または工程内にダンサーロールを設置
し、それらの荷重を調整することで所望の張力状態を設
定しても良い。また振動的に搬送張力を変化させるには
熱処理ロール間スパンを小さくすることにより有効に行
うことが出来る。
【0060】本発明に係わる熱処理は、熱収縮の進行を
妨げずに、その後の熱処理(熱現像)時の寸法変化を小
さくする上で、出来るだけ搬送張力を低くし、熱処理時
間を長くすることが望ましい。処理温度としてはポリエ
ステルフィルムのTg+50〜Tg+150℃の温度範
囲が好ましく、その温度範囲で、搬送張力としては9.
8hPa〜2MPaが好ましく、より好ましくは9.8
hPa〜980kPa、更に好ましくは9.8hPa〜
490kPaであり、処理時間としては30〜10分が
好ましく、より好ましくは30〜5分である。上記の温
度範囲、搬送張力範囲及び処理時間にすることにより、
熱処理時に支持体の熱収縮の部分的な差により支持体の
平面性が劣化することもなく、搬送ロールとの摩擦等に
より細かいキズ等の発生も押さえることが出来る。
【0061】本発明において、熱処理の前の熱固定後に
縦弛緩処理及び/または横弛緩処理を行っておくのも好
ましい態様である。
【0062】本発明の同時二軸延伸、再延伸及び熱処理
を行った写真用ポリエステル支持体の前述の全方向の寸
法変化率は、より更に小さくなり、また全方向に対して
伸びと縮みが混在することなく、伸びなら全方向が伸び
というようになる。寸法変化率を数値的に、+0.00
1〜+0.4%または−0.001〜−0.4%とする
ことが出来るようになる。またこれらの寸法変化率の面
内偏差も1〜20%と小さくなる。
【0063】本発明において、熱処理は所望の寸法変化
率を得るために、少なくとも1回は必要であり、必要に
応じて2回以上実施することも可能である。
【0064】本発明においては、熱処理したポリエステ
ルフィルムをTg付近の温度から常温まで冷却してから
巻き取り、この時の冷却による平面性の劣化を防ぐため
に、Tgを跨いで常温まで下げるまでに、少なくとも−
5℃/秒以上の速度で冷却するのが好ましい。
【0065】本発明において、熱処理は、上述の下引層
を塗設後に行うのが良い。例えば、押し出し〜熱固定〜
冷却の間でインラインで下引層を塗設し、一旦巻き取っ
てから、別工程で熱処理するのが好ましい。また熱固定
後一旦巻き取った後、別工程で下引を塗布・乾燥した後
に下引済み写真用ポリエステル支持体を連続して平坦に
保持したままの状態で熱処理を行っても良い。更には、
バック層、導電層、易滑性層、磁気記録層などの各種の
機能性層を塗布・乾燥した後に上記と同様な熱処理を行
っても良い。
【0066】上述のごとく本発明の「同時二軸延伸、熱
固定、再延伸、熱処理」工程を経ることによって製造し
た写真用ポリエステル支持体は、23℃、55%RHで
の縦方向及び横方向のヤング率の和が12〜20GPa
となり、後述の条件下で測定した全ての方向の寸法変化
率全てが+0.001〜+0.4%、好ましくは+0.
001〜+0.04%であるか、または全てが−0.0
01〜−0.4%、好ましくは−0.001〜−0.0
4%となり、且つ寸法変化率の面内偏差が1〜20%、
好ましくは1〜10%となり、銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料の支持体として優れた性質を有するように
なる。
【0067】〔寸法変化率〕本発明における前述の寸法
変化率の測定は次のように行われる。すなわち、写真用
ポリエステル支持体または後述の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料を、23℃、55%RH条件下で、該支
持体の横方向から縦方向更に横方向に一定の角度(例え
ば、5°)ごとに中心点から扇型にある長さに印を付け
てから、120℃に60秒間加熱後、再び23℃、55
%RHの条件下に調湿後して、全方向の各長さを全て測
定してその寸法変化率を評価する。加熱前の寸法から加
熱後の寸法を引いて、加熱前の寸法で除したものを百分
率で寸法変化率を正の値または負の値として表す。
【0068】[銀塩光熱写真ドライイメージング材料]
本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、例え
ば、米国特許第3,152,904号、同第3,45
7,075号、及びD.モーガン(Morgan)によ
る「ドライシルバー写真材料(Dry Silver
Photographic Material)」や
D.H.クロスタベール(D.H.Klosterbo
er)による「熱によって処理される銀システム(Th
ermally Processed Silver
Systems)」(イメージング・プロセッシーズ・
アンド・マテリアルズ(Imaging Proces
sesand Materials)Neblette
第8版、スタージ(Sturge)、V.ウォールワ
ース(Walworth)、A.シェップ(Shep
p)編集、第279頁、1989年)等に開示されてい
る。
【0069】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、熱現像処理にて写真画像を形成するもので、還
元可能な銀源(有機銀塩)、感光性ハロゲン化銀、還元
剤、省銀化剤(ヒドラジン化合物)、必要に応じて銀の
色調を抑制する色調剤等を有機バインダー中に分散した
状態で含有しているハロゲン化銀感光層またはその構成
層を本発明の写真用ポリエステル支持体上に(片面ある
いは両面に)有するものである。本発明の銀塩光熱写真
ドライイメージング材料は、常温で安定であるが、露光
後高温(例えば、80℃〜200℃)に加熱して銀に現
像される。そのメカニズムを簡単に説明する。露光され
た銀塩光熱写真ドライイメージング材料を加熱すること
により、有機銀塩(酸化剤として機能する)と還元剤と
の間の酸化還元反応を通じて銀が生成される。この酸化
還元反応は露光されたハロゲン化銀に発生した潜像の触
媒作用によって促進される。露光領域中の有機銀塩の反
応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露
光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。この反応
過程は、外部から水等の処理液を供給することなしで進
行する。
【0070】本発明における銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料は、特に印刷感光材料用として有用である。
【0071】印刷用の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の寸法ズレの許容範囲は、全方向において75μm
以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以
下であり、特に好ましくは30μm以下である。このよ
うなズレを生じないためには、多色刷りの原版フィルム
の寸法安定性が優れていて、複数枚使用するフィルムの
寸法がズレないことが必要条件である。
【0072】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、上記のような寸法ズレ以内にあり、縦方向と横
方向のヤング率の和が12〜20GPaの範囲にあり、
縦方向または横方向のヤング率が6GPa以上であるこ
とが好ましい。上述の条件下で測定される全方向の寸法
変化率全てが+0.001〜+0.4%、好ましくは+
0.001〜+0.04%、または全てが+0.001
〜+0.4%、好ましくは+0.001〜+0.04
%、または全てが−0.001〜−0.4%、好ましく
は−0.001〜−0.04%で、且つ前記寸法変化率
の面内偏差が1〜20%であり、好ましくは1〜10
%、より好ましくは1〜5%である。
【0073】上記のごときヤング率の和、寸法変化率及
び面内偏差を有する銀塩光熱写真ドライイメージング材
料は上述の本発明の写真用ポリエステル支持体を使用す
ることによって好ましく得ることが出来る。
【0074】銀塩光熱写真ドライイメージング材料面の
全方向に対して寸法変化率に異方性がある場合、実際の
印刷物に感光材料の寸法変化の異方性が反映し、文字や
画像が歪むので、上記のような縦方向と横方向のヤング
率の和、寸法変化率が全てが正、あるいは全てが負であ
って小さく、しかも等方性に極近い性質を有することが
重要であり、寸法変化率の面内偏差が上記の範囲にある
ことが好ましい。
【0075】このような寸法的、また機械的性質に優れ
た銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、主に本発明
の写真用ポリエステル支持体を使用することによって得
ることが出来る。
【0076】〔ハロゲン化銀粒子〕感光性ハロゲン化銀
粒子は光センサーとして機能するものであり、画像形成
後の白濁を低く抑えるため、及び良好な画質を得るため
に平均粒子サイズが小さい方が好ましく、平均粒子サイ
ズが0.1μm以下、より好ましくは0.01μm〜
0.1μm、特に好ましくは0.02μm〜0.08μ
mである。ここでいう粒子サイズとは、ハロゲン化銀粒
子が立方体あるいは八面体のいわゆる正常晶である場合
には、ハロゲン化銀粒子の稜の長さをいう。また、正常
晶でない場合、例えば球状、棒状、あるいは平板状の粒
子の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と同等な球を考
えたときの直径をいう。またハロゲン化銀は単分散であ
ることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求
められる単分散度が40%以下をいう。更に好ましくは
30%以下であり、特に好ましくは0.1%以上20%
以下となる粒子である。
【0077】単分散度=(粒径の標準偏差)/(粒径の
平均値)×100 ハロゲン化銀粒子の形状については、特に制限はない
が、ミラー指数〔100〕面の占める割合が高いことが
好ましく、この割合が50%以上、更には70%以上、
特に80%以上であることが好ましい。ミラー指数〔1
00〕面の比率は感光色素の吸着における〔111〕面
と〔100〕面との吸着依存性を利用したT.Tan
i;J.Imaging Sci.29,165(19
85)の文献により求めることが出来る。
【0078】また、もう一つの好ましいハロゲン化銀の
形状は,平板粒子である。ここでいう平板粒子とは、投
影面積の平方根を粒径rμmとして垂直方向の厚みhμ
mとした場合のアスペクト比=r/hが3以上のものを
いう。その中でも好ましくはアスペクト比が3〜50で
ある。また粒径は0.1μm以下であることが好まし
く、更に、0.01〜0.08μmが好ましい。これら
は米国特許第5,264,337号、第5,314,7
98号、第5,320,958号明細書に記載されてお
り、容易に目的の平板状粒子を得ることが出来る。本発
明においてこれらの平板状粒子を用いた場合、更に画像
の鮮鋭性も向上する。ハロゲン組成としては特に制限は
なく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化
銀、沃化銀の何れであってもよい。
【0079】本発明に用いられる写真乳剤は、P.Gl
afkides著、Chimieet Physiqu
e Photographique(Paul Mon
tel社刊、1967年)、G.F.Duffin著、
PhotographicEmulsion Chem
istry(The Focal Press刊、19
66年)、V.L.Zelikman et al著、
Making and Coating Photog
raphic Emulsion(TheFocal
Press刊、1964年)に記載された方法を用いて
調製することが出来る。即ち、酸性法、中性法、アンモ
ニア法等の何れでもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロ
ゲン塩を反応させる形成方法としては、片側混合法、同
時混合法、それらの組合せ等の何れを用いてもよい。こ
のハロゲン化銀はいかなる方法で画像形成層塗布液に添
加されていてもよく、このときハロゲン化銀は還元可能
な銀源に近接するように配置するのが良い。また、ハロ
ゲン化銀は有機銀塩とハロゲンイオンとの反応による有
機銀塩中の銀の一部または全部をハロゲン化銀に変換す
ることによって調製してもよいし、ハロゲン化銀を予め
調製しておき、これを有機銀塩を調製するための溶液に
添加してもよく、またはこれらの方法の組み合わせも可
能であるが、後者の方法が好ましい。一般にハロゲン化
銀は有機銀塩に対して0.75〜30質量%混合されて
いることが好ましい。
【0080】本発明に用いられるハロゲン化銀には、照
度不軌改良や改良調整のために、元素周期律表の6族か
ら11族に属する遷移金属のイオンを含有することが好
ましい。上記の金属としては、W、Fe、Co、Ni、
Cu、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、Pt、A
uが好ましく、これらの金属イオンは金属塩をそのまま
ハロゲン化銀に導入しても良いが、金属錯体または錯体
イオンの形でハロゲン化銀に導入しても良い。これら
の、移金属錯体及び金属錯体イオンとしては、下記一般
式で表される6配位錯体イオンが好ましい。
【0081】一般式〔ML6m 式中、Mは元素周期表の6〜11族の元素から選ばれる
遷移金属、Lは架橋配位子、mは0、1−、2−、3−
または4−を表す。Lで表される配位子の具体例として
は、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化
物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレ
ノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各
配位子、ニトロシル、チオニトロシル等を挙げることが
出来る、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシ
ル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の
一つまたは二つを占めることが好ましい。Lは同一でも
よく、また異なっていてもよい。
【0082】Mとして特に好ましい具体例は、ロジウム
(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イ
リジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。
【0083】これらの金属錯体または錯体イオンは一種
類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併
用してもよい。
【0084】これらの金属のイオン、金属錯体及び錯体
イオンの含有量としては、一般的にはハロゲン化銀1m
ol当たり1×10-9〜1×10-2molが適当であ
り、好ましくは1×10-8〜1×10-4molである。
これらの金属のイオンまたは錯体イオンを提供する化合
物は、ハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀
粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒
子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の
前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成
長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核
形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好まし
くは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に
渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に
均一に含有させることも出来るし、特開昭63−296
03号、特開平2−306236号、同3−16754
5号、同4−76534号、同6−110146号、同
5−273683号公報に記載されているように、粒子
内に分布を持たせて含有させることも出来る。これらの
金属化合物は、水あるいは適当な有機溶媒(例えば、ア
ルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エ
ステル類、アミド類)に溶解して添加することが出来る
が、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合
物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒
子形成中の水溶性銀塩溶液または水溶性ハライド溶液中
に添加しておく方法、あるいは銀塩溶液とハライド溶液
が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3
液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、
粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に
投入する方法、あるいはハロゲン化銀調製時に予め金属
のイオンまたは錯体イオンをドープしてある別のハロゲ
ン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。特に、
金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaC
l、KClとを一緒に溶解した水溶液を水溶性ハライド
溶液に添加する方法が好ましい。粒子表面に添加する時
には、粒子形成直後または物理熟成時途中もしくは終了
時または化学熟成時に必要量の金属化合物の水溶液を反
応容器に投入することも出来る。
【0085】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することが出来るが、脱塩してもしなくて
もよい。
【0086】〔ハロゲン化銀粒子の増感〕本発明におけ
る感光性ハロゲン化銀粒子は化学増感されていることが
好ましい。好ましい化学増感法としては当業界でよく知
られているように硫黄増感法、セレン増感法、テルル増
感法、金化合物や白金、パラジウム、イリジウム化合物
等の貴金属増感法や還元増感法を用いることが出来る。
硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法に好ましく用
いられる化合物としては公知の化合物を用いることが出
来るが、特開平7−128768号公報に記載の化合物
を使用することが出来る。貴金属増感法に好ましく用い
られる化合物としては、例えば、塩化金酸、カリウムク
ロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化
金、金セレナイド、あるいは米国特許2,448,06
0号、英国特許618,061号明細書に記載されてい
る化合物を好ましく用いることが出来る。還元増感法の
具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チオ尿
素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタンス
ルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン
化合物、ポリアミン化合物等を用いることが出来る。ま
た、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保
持して熟成することにより還元増感することが出来る。
また、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部
分を導入することにより還元増感することが出来る。
【0087】〔有機銀塩〕本発明において、有機銀塩は
還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有す
る有機酸及びヘテロ有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜3
0、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カル
ボン酸及び含窒素複素環が好ましい。配位子が、4.0
〜10.0の銀イオンに対する総安定定数を有する有機
または無機の銀塩錯体も有用である。好適な銀塩の例
は、Research Disclosure(以降、
RDと略す)17029及び29963に記載されてい
る。好ましい銀源としてはベヘン酸銀、アラキジン酸
銀、ステアリン酸銀および/またはパルミチン酸であ
る。
【0088】有機銀塩化合物は、水溶性銀化合物と銀と
塩あるいは錯体を形成する化合物を混合することにより
得られるが、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平
9−127643号公報に記載されているようなコント
ロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。例
えば、有機酸にアルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金
属塩ソープ(例えば,ベヘン酸ナトリウム、アラキジン
酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダ
ブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀などを添加
して有機銀塩の結晶を作製する。ハロゲン化銀粒子を混
在させて有機銀塩を作製する方法もあるが、本発明にお
いて好ましい方法である。
【0089】本発明においては有機銀塩は平均粒径が2
μm以下であり且つ単分散であることが好ましい。有機
銀塩の平均粒径とは、有機銀塩の粒子が、例えば球状、
棒状、あるいは平板状の粒子の場合には、有機銀塩粒子
の体積と同等な球を考えたときの直径をいう。平均粒径
は好ましくは0.05〜1.5μm、特に0.05〜
1.0μmが好ましい。また単分散とは、ハロゲン化銀
の場合と同義であり、好ましくは単分散度が1〜30で
ある。
【0090】また、本発明においては、有機銀塩は平板
状粒子が全有機銀の60%以上有することが好ましい。
本発明において平板状粒子とは平均粒径と厚さの比、い
わゆる下記式で表されるアスペクト比(ARと略す)が
3以上のものをいう。
【0091】AR=平均粒径(μm)/厚さ(μm) 有機銀塩をこれらの形状にするためには、前記有機銀塩
結晶をバインダーや界面活性剤などと共にボールミル等
の分散装置で分散粉砕することで得られる。この範囲に
することにより、画像濃度が高く、且つ画像保存性に優
れた銀塩光熱写真ドライイメージング材料を得ることが
出来る。
【0092】本発明において、銀塩光熱写真ドライイメ
ージング材料の失透を防ぐために、ハロゲン化銀及び有
機銀塩の総量を、銀量に換算して1m2当たり0.5〜
2.2gとすることが好ましい。この範囲にすることに
より、硬調な画像を得ることが出来る。また、銀総量に
対するハロゲン化銀の量は、質量比で50%以下、好ま
しくは25%以下、更に好ましくは0.1〜15%であ
る。
【0093】〔還元剤〕本発明の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料には還元剤を内蔵させることが好まし
い。好適な還元剤の例は、米国特許第3,770,44
8号、同第3,773,512号、同第3,593,8
63号明細書、及びRD17029及び29963に記
載されている。この中でも特に好ましい還元剤はビスフ
ェノール類である。ビスフェノール類としては下記一般
式(A)で表される化合物を挙げることが出来る。
【0094】
【化1】
【0095】式中、Rは水素原子、または炭素原子数1
〜10のアルキル基(例えば、−C4H9、2,4,4
−トリメチルペンチル)を表し、R′及びR″は炭素原
子数1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、t
−ブチル)を表す。
【0096】前記一般式(A)で表される化合物を始め
とする還元剤の使用量は好ましくは銀1mol当り1×
10-2〜10mol、特に1×10-2〜1.5molで
ある。
【0097】〔色調剤〕本発明の銀塩光熱写真ドライイ
メージング材料には画像の色調を整えるために、色調剤
を使用するのが好ましい。本発明に用いられる好適な色
調剤の例はRD17029に開示されている。好ましい
色調剤としてはフタラジノンまたはフタラジンである。
色調剤を用いる場合、その使用量は有機銀塩1mol当
たり0.0001〜2mol、特に0.0005〜1m
olの範囲が好適である。
【0098】〔現像促進剤または抑制剤〕本発明には、
現像を抑制あるいは促進させて現像を制御するため、分
光増感効率を向上させるため、また現像前後の保存性を
向上させるために、メルカプト化合物、ジスルフィド化
合物、チオン化合物を含有させることが好ましい。
【0099】本発明に係わるハロゲン化銀感光層に使用
するメルカプト化合物としては、Ar−SM、Ar−S
−S−Arで表される化合物が好ましい。該式中、Mは
水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以
上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム
原子を有する芳香環または複素芳香環である。好ましく
い複素芳香環としては、ベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンを挙げることが出来る。この複素芳香環は、例えば、
ハロゲン原子(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ
基、アミノ基、カルボキシ基、アルキル基(例えば、1
個以上の炭素原子を有するもの、好ましくは1〜4個の
炭素原子を有するもの)および、アルコキシ基(例え
ば、1個以上の炭素原子を有するもの、好ましくは1〜
4個の炭素原子を有するもの)から選択されるものを有
してもよい。
【0100】〔カブリ防止剤〕本発明の銀塩光熱写真ド
ライイメージング材料はカブリ防止剤を含有することが
好ましい。カブリ防止剤としては、例えば、米国特許第
4,546,075号及び同第4,452,885号明
細書及び特開昭59−57234号公報に開示されてい
るようなカブリ防止剤が好ましいものとして挙げること
が出来る。特に好ましいカブリ防止剤としては、米国特
許第3,874,946号及び同第4,756,999
号明細書に開示されているような化合物、−C(X1
(X2)(X3)(ここでX1及びX2はハロゲン原子でX
3は水素原子またはハロゲン原子)で表される1以上の
置換基を備えたヘテロ環状化合物である。好適なカブリ
防止剤の例としては、特開平9−288328号段落番
号〔0030〕〜〔0036〕に記載されている化合物
等が好ましく用いられる。また、もう一つの好ましいカ
ブリ防止剤の例としては、特開平9−90550号段落
番号〔0062〕〜〔0063〕に記載されている化合
物である。更に、その他の好適なカブリ防止剤は米国特
許第5,028,523号及び欧州特許第600,58
7号、同第605,981号、同第631,176号明
細書に開示されている。
【0101】〔増感色素〕本発明の銀塩光熱写真ドライ
イメージング材料には、例えば、特開昭63−1598
41号、同60−140335号、同63−23143
7号、同63−259651号、同63−304242
号、同63−15245号公報、米国特許第4,63
9,414号、同第4,740,455号、同第4,7
41,966号、同第4,751,175号、同第4,
835,096号明細書に記載されている増感色素を使
用し得る。本発明に有用な増感色素としては、例えば、
RD17643IV−A項(1978年12月23頁)、
同18431X項(1979年8月437頁)に記載も
しくは引用文献に記載されているものを好ましく用いる
ことが出来る。特に各種スキャナー光源の分光特性に適
した分光感度を有する増感色素を有利に選択することが
出来る。例えば、特開平9−34078号、同9−54
409号、同9−80679号公報記載の化合物が好ま
しく用いられる。
【0102】〔硬調化剤(ヒドラジン誘導体)〕本発明
の銀塩光熱写真ドライイメージング材料、特に印刷用銀
塩光熱写真ドライイメージング材料には、画像の切れ
(濃淡のコントラストを著しく際だたせる)をよくする
ために、硬調化剤を内蔵させることが好ましい。硬調化
剤の中でもヒドラジン誘導体を含有することが特に好ま
しい。また、本発明において、硬調化剤は省銀化剤とし
て使用することが出来、感光層中の銀化合物の含有量を
減少させても省銀化剤を含有させることによって現像銀
濃度を低下させずに好ましい画像を得ることが出来、ヒ
ドラジン誘導体が好ましい省銀化剤である。本発明に有
用なヒドラジン誘導体としては、下記一般式〔H〕で表
される化合物が好ましい。
【0103】
【化2】
【0104】式中、A0はそれぞれ置換基を有してもよ
い脂肪族基、芳香族基、複素環基または−G0−D0基を
表している。脂肪族基は好ましくは炭素数1〜30のも
のであり、特に炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状
のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、
t−ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基、ベンジ
ル基を挙げることが出来、これらは更に適当な置換基
(例えばアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホキシ基、
スルホンアミド基、スルファモイル基、アシルアミノ
基、ウレイド基等)で置換されていてもよい。芳香族基
は、単環または縮合環のアリール基が好ましく、例えば
ベンゼン環またはナフタレン環を挙げることが出来る。
複素環基としては、単環または縮合環で窒素、硫黄、酸
素原子から選ばれる少なくとも一つのヘテロ原子を含む
複素環が好ましく、例えばピロリジン環、イミダゾール
環、テトラヒドロフラン環、molホリン環、ピリジン
環、ピリミジン環、キノリン環、チアゾール環、ベンゾ
チアゾール環、チオフェン環、フラン環を挙げることが
出来る。芳香族基、複素環基及び−G0−D0基は置換基
を有していてもよい。特に好ましいものはアリール基及
び−G0−D0基である。またA0は耐拡散基またはハロ
ゲン化銀吸着基を少なくとも一つ含むことが好ましい。
耐拡散基としてはカプラー等の不動性写真用添加剤にて
常用されるバラスト基が好ましく、バラスト基としては
写真的に不活性であるアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、
アルキルフェノキシ基等を挙げることが出来、置換基部
分の炭素数の合計は8以上であることが好ましい。ハロ
ゲン化銀吸着促進基としてはチオ尿素、チオウレタン
基、メルカプト基、チオエーテル基、チオン基、複素環
基、チオアミド複素環基、メルカプト複素環基、あるい
は特開昭64−90439号公報に記載の吸着基等を挙
げることが出来る。
【0105】ここで、G0は−CO−基、−COCO−
基、−CS−基、−C(=NG11)−基、−SO−
基、−SO2−基または−P(O)(G11)−基を表
し、G1は−O−基、−S−基または−N(D1)−基を
表す。D0は水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環
基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アル
キルチオ基、アリールチオ基を表し、好ましくは水素原
子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基等を挙げるこ
とが出来る。D1は脂肪族基、芳香族基、複素環基また
は水素原子を表し、分子内に複数のD1が存在する場
合、それらは同じであっても異なってもよい。
【0106】A1、A2はともに水素原子、または一方が
水素原子で他方はアシル基(アセチル基、トリフルオロ
アセチル基、ベンゾイル基等)、スルホニル基(メタン
スルホニル基、トルエンスルホニル基等)、またはオキ
ザリル基(エトキザリル基等)を表す。
【0107】B0はブロッキング基を表し、好ましくは
上記同様の−G0−D0基である。好ましいG0としては
−CO−基、−COCO−基を挙げることが出来る。
【0108】その他に好ましく用いることのできるヒド
ラジン誘導体は、米国特許第5,545,505号明細
書、カラム11〜20に記載の化合物H−1〜H−2
9、米国特許第5,464,738号明細書、カラム9
〜11に記載の化合物1〜12である。これらのヒドラ
ジン誘導体は公知の方法で合成することが出来る。ヒド
ラジン誘導体の添加層は、ハロゲン化銀乳剤を含む感光
層及び/または感光層に隣接した層である。また、添加
量はハロゲン化銀粒子の粒径、ハロゲン組成、化学増感
の程度、抑制剤の種類等により最適量は一様ではない
が、ハロゲン化銀1mol当たり10-6〜10-1mol
程度、特に10-5〜10-2molの範囲が好ましい。
【0109】〔硬調化促進剤〕また、本発明の銀塩光熱
写真ドライイメージング材料には、米国特許第5,54
5,505号明細書に記載のヒドロキシルアミン化合
物、アルカノールアミン化合物やフタル酸アンモニウム
化合物、米国特許第5,545,507号明細書に記載
のヒドロキサム酸化合物、米国特許第5,558,98
3号明細書に記載のN−アシル−ヒドラジン化合物、米
国特許第5,545,515号明細書に記載のアクリロ
ニトリロ化合物、米国特許第5,937,449号明細
書に記載のベンズヒドロールやジフェニルフォスフィン
やジアルキルピペリジンやアルキル−β−ケトエステル
などの水素原子ドナー化合物等の硬調化促進剤を含有さ
せることが好ましい。その中でも下記一般式(P)で表
される4級オニウム化合物及び一般式〔Na〕で表され
るアミノ化合物が好ましく用いられる。以下、一般式
(P)で表される4級オニウム化合物について説明す
る。
【0110】
【化3】
【0111】式中、Qは窒素原子または燐原子を表し、
1、R2、R3及びR4は各々、水素原子または置換基を
表し、X-はアニオンを表す。また、R1〜R4は互いに
連結して環を形成してもよい。
【0112】一般式(P)において、R1〜R4で表され
る置換基としては、アルキル基(メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基
等)、アルケニル基(アリル基、ブテニル基等)、アル
キニル基(プロパルギル基、ブチニル基等)、アリール
基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基(ピペリジ
ニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピリジル
基、フリル基、チエニル基、テトラヒドロフリル基、テ
トラヒドロチエニル基、スルホラニル基等)、アミノ基
等を挙げることが出来る。
【0113】R1〜R4が互いに連結して形成しうる環と
しては、ピペリジン環、モルホリン環、ピペラジン環、
キヌクリジン環、ピリジン環、ピロール環、イミダゾー
ル環、トリアゾール環、テトラゾール環等を挙げること
が出来る。
【0114】R1〜R4で表される基はヒドロキシル基、
アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボキシル基、ス
ルホ基、アルキル基、アリール基等の置換基を有しても
よい。R、R2、R3及びR4としては、水素原子及びア
ルキル基が好ましい。X-が表すアニオンとしては、ハ
ロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、
p−トルエンスルホン酸イオン等の無機及び有機のアニ
オンを挙げることが出来る。またQ+が連結基を介し
て、2個または3個のQ+有する化合物を好ましく用い
ることが出来、その化合物を下記一般式(Pa)及び
(Pb)として示すことが出来る。またQ+が1個の化
合物については下記一般式(Pc)として表すことが出
来る。
【0115】
【化4】
【0116】式中、A1、A2、A3、A4及びA5は、含
窒素複素環を完成させるための非金属原子群を表し、酸
素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでもよく、ベンゼン
環が縮合しても構わない。A1、A2、A3、A4及びA5
で構成される複素環は置換基を有してもよく、それぞれ
同一でも異なっていてもよい。置換基としては、アルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボ
ニル基、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシル基、ア
ルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、スルファモ
イル基、カルバモイル基、ウレイド基、アミノ基、スル
ホンアミド基、スルホニル基、シアノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基を表す。
1、A2、A3、A4及びA5の好ましい例としては、5
〜6員環(ピリジン、イミダゾール、チオゾール、オキ
サゾール、ピラジン、ピリミジン等の各環)を挙げるこ
とができ、更に好ましい例としてピリジン環を挙げるこ
とが出来る。Bpは2価の連結基を表し、mは0または
1を表す。2価の連結基としては、アルキレン基、アリ
ーレン基、アルケニレン基、−SO2−、−SO−、−
O−、−S−、−CO−、−N(R6)−(R6はアルキ
ル基、アリール基、水素原子を表す)を単独または組み
合わせて構成されるものを表す。Bpとして好ましく
は、アルキレン基、アルケニレン基を挙げることができ
る。R1、R2及びR5は各々、炭素数1〜20のアルキ
ル基を表す。また、R1及びR2は同一でも異っていても
よい。アルキル基とは、置換或いは無置換のアルキル基
を表し、置換基としては、A1、A2、A3、A4及びA5
の置換基として挙げた置換基と同様である。
【0117】R1、R2及びR5の好ましい例としては、
それぞれ炭素数4〜10のアルキル基である。更に好ま
しい例としては、置換或いは無置換のアリール置換アル
キル基を挙げることが出来る。Xp -は分子全体の電荷を
均衡さすに必要な対イオンを表し、例えば塩素イオン、
臭素イオン、沃素イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、p
−トルエンスルホナート、オキザラート等を表す。np
は分子全体の電荷を均衡さすに必要な対イオンの数を表
し、分子内塩の場合にはnpは0である。
【0118】〔バインダー〕本発明の銀塩光熱写真ドラ
イイメージング材料のバインダーとしては、透明(半透
明でも可)、また無色(若干の着色は可)で、しかもT
gが20〜200℃、好ましくは40〜1800℃、よ
り好ましくは60〜160℃の天然ポリマー及び合成ポ
リマーを使用し得る。Tgがこの範囲であることによ
り、バインダーが軟化することなく熱現像時の熱現像部
位に銀塩光熱写真ドライイメージング材料がくっついた
り、感光層等の構成層が剥離したり、フィルムが折れた
り、カールしたりすることなく、現像時においてトラブ
ルの発生しなくなる。
【0119】本発明に有用なバインダーとしては、例え
ば、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、デンプン等の
天然ポリマー類、ヒドロキシエチルセルロース等のセル
ロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロース
アセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチ
レート等のセルロースエステル類、ポリビニルアセテー
ト、ポリビニルプロピオネート、ポリビニルベンゾエー
ト等のポリビニルエステル類、ポリビニルホルマール、
ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニ
ルアセタール類、更に、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、
ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、スチレン
/無水マレイン酸コポリマー、スチレン/アクリロニト
リルコポリマー、スチレン/ブタジエンコポリマー、ポ
リエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ
塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート
類、ポリアミド類を挙げることが出来る。バインダーと
しては、親水性でも疎水性でもよいが、本発明において
は、熱現像後のカブリを低減させるために、疎水性透明
バインダーを使用することが好ましく、例えば、ポリビ
ニルブチラール、セルロースアセテート、セルロースア
セテートブチレート、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、ポリウレタン等を好ましく用いることが出来る。そ
の中でもポリビニルブチラール、セルロースアセテー
ト、セルロースアセテートブチレートは特に好ましい。
また、疎水性のバインダーと親水性のバインダーを併用
して用いてもよい。
【0120】本発明においては、熱現像の速度を速める
ためにハロゲン化銀感光層のバインダー量を、1.5〜
10g/m2とすることが好ましく、より好ましくは
1.7〜8g/m2であり、銀画像濃度また未露光部の
銀化合物を変色させずに保つことが出来る。
【0121】本発明の銀塩光熱写真ドライイメージング
材料は、ハロゲン化銀感光層の他に、非感光層の保護
層、バック層等の構成層を複数層を有しいるが、ハロゲ
ン化銀感光層を複数層有していてもよい。この場合、階
調の調節のために、高感度層を低感度層の下側に、また
は低感層を高感層の下側の何れに配置した構成としても
よい。また、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の表
面を保護したり擦り傷を防止するために、最外層に非感
光性の表面保護層を有するが好ましい。非感光性層に用
いられるバインダーはハロゲン化銀感光層に用いられる
バインダーと同じ種類のものでもよい。
【0122】〔マット剤〕本発明においては、熱現像後
の画像の傷つき防止のために、ハロゲン化銀感光層側の
層にマット剤を含有することが好ましい。マット剤は、
コンベンショナルのハロゲン化銀写真感光材料に使用さ
れているものを同様に使用することが出来るが、熱に対
して安定なシリカ系のマット剤が好ましく用いられる。
マット剤は、ハロゲン化銀感光層側の全層の全バインダ
ーに対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ま
しい。また、ハロゲン化銀感光層側に使用するマット剤
は銀塩光熱写真ドライイメージング材料のすべり性や指
紋付着防止のために、銀塩光熱写真ドライイメージング
材料の表面にマット剤を含有させることが好ましく、前
記のごとく、バック層側にも同様なマット剤をバック層
の全バインダーに対し、質量比で0.5〜40%含有す
ることが好ましい。
【0123】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0124】〔評価方法〕 〈寸法変化率と面内偏差〉写真用ポリエステル支持体及
び銀塩光熱写真ドライイメージング材料を、150mm
(縦方向)×150mm(横方向方向)に切り出し、23
℃、55%RHの条件下で1日調湿した後、横方向に平
行な方向から5°おきに180°まで100mm間隔の
罫書き線を全方向に入れる(0°は横方向、90°は縦
方向)。そして120℃に加熱したホットプレート(井
内盛栄堂(株)製EC−1200)に60秒間押しつ
け、更に23℃、55%RHの条件下で1日調湿した後
の罫書き線の間隔を測定する。縦方向方向と横方向方向
の間隔を熱処理前後の罫書き線の間隔の差を求め、熱処
理前の間隔に対する最大及び最小寸法変化率(これを下
記表2及び3において面内寸法変化率の面内最大値及び
面内最小値として示した)を百分率で表した。また面内
偏差は0°〜180°方向に書いた罫書き線を5°おき
に180°まで、上記と同様に寸法変化率を求めその標
準偏差を計算し面内偏差とした。なお測定は5枚行った
ものの平均とした。
【0125】〈ヤング率の和〉写真用ポリエステル支持
体及び銀塩光熱写真ドライイメージング材料をそれぞれ
縦方向、横方向が長辺になるように、幅10mm、長さ
200mmの大きさに切り出し、23℃、55%RHの
雰囲気下で12時間調湿した後、同雰囲気でテンシロン
引張試験機(RTA−100、オリエンテック社製)を
用い、チャック間を100mmにして引張り速度10m
m/分で引張試験を行い、ヤング率を求めた。試験は1
0回行い、最大値と最小値を除いた8回分の試験で求め
られた値の算術平均値をヤング率として採用した。横方
向と縦方向のヤング率の和は、(ヤング率の和)=(縦
方向のヤング率)+(横方向のヤング率)で求めた。
【0126】〈平面性の評価〉写真用ポリエステル支持
体を、500mm(縦方向)×500mm(横方向)に切出
し、23℃、55%RHの条件下で1日調湿した後、水
平な台の上に置き、台から浮き上がった支持体の高さ
(mm)をノギスで測定した。この中での最高高さを平
面性の目安とした。
【0127】〈処理適性の評価〉熱現像用ハロゲン化銀
写真感光材料を、590mm(縦方向)×590mm
(横方向)に5枚ずつ切り出し、Dry Pro722
(コニカ社製)熱現像機を改造したものを用いて、熱現
像温度を120℃、熱現像時間を20秒に調整し、熱現
像を行い、銀塩光熱写真ドライイメージング材料の平面
性を上記平面性の評価法と同様に台から浮き上がったフ
ィルムの高さを測定し、5枚のうち最も大きい高さにつ
いて以下のようなランクで表した。
【0128】 A:0.5mm未満 B:0.5以上1.0mm未満 C:1.0以上2.0mm未満 D:2.0以上3.0mm未満 E:3.0mm以上。
【0129】実施例1 〔PETペレット作製と水性下引層塗布液の調製〕 〈PETの重合及びペレットの作製〉テレフタル酸ジメ
チル100質量部、エチレングリコール65質量部にエ
ステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05
質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。
得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、
リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。
次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、66.6P
aで重合を行い、固有粘度0.70のPETを得た。溶
融状態のPETを重合反応容器から取り出し水浴中で固
化し、断裁してPETペレットを作製した。
【0130】〈水性下引層塗布液の調製〉 《水性ポリエステルAの合成》重合用反応容器に、テレ
フタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチ
ル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチ
ルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール
62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、
酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気
流下において、170〜220℃でメタノールを留去し
ながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル
0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.
04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸
6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、
ほぼ理論量のエチレングリコールを留去しエステル化を
行った。その後、更に反応系内を約1時間かけて減圧、
昇温し最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重
縮合を行い、水性ポリエステルAを得た。水性ポリエス
テルAの固有粘度は0.33であった。
【0131】《水性ポリエステルA液の調製》攪拌翼、
環流冷却管、温度計を付した2lの三つ口フラスコに、
純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、15
0gの上記水性ポリエステルAを徐々に添加した。室温
でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温
が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶
解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一
夜放置して、固形分濃度が15質量%の水性ポリエステ
ルA液を調製した。
【0132】《変性水性ポリエステルB液の調製》攪拌
翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3lの四
つ口フラスコに、前記水性ポリエステルA溶液1900
mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃
まで加熱する。この中に、過酸化アンモニウムの24%
水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル
酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4
g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて
滴下し、更に3時間反応を続ける。その後、30℃以下
まで冷却、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水
性ポリエステルB液を調製した。
【0133】 〈水性下引層塗布液Aの調製〉 水性ポリエステルA液(固形分濃度が15質量%) 66.7g 界面活性剤(A) 0.1g 蒸留水を加えて250mlとし、水性下引層塗布液Aと
した。
【0134】 〈水性下引層塗布液Bの調製〉 変性水性ポリエステルB液(固形分濃度が18質量%) 56.0g 界面活性剤(A) 0.1g 蒸留水を加えて250mlとし、水性下引層塗布液Bと
した。
【0135】
【化5】
【0136】[写真用ポリエステル支持体の製造]以上
のようにして得られたPETペレット及び水性下引層塗
布液を用いて、以下のようにして写真用ポリエステル支
持体を作製した。
【0137】〔写真用ポリエステル支持体1の製造(未
延伸シート→下引塗布→同時二軸延伸→熱固定→冷
却)〕PETペレットを150℃で8時間真空乾燥した
後、押出機で溶融し285℃でTダイから層状に押し出
し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着さ
せ、冷却固化させ、厚さ1.2mmの未延伸シート1を
得た。
【0138】未延伸シート1の両面に表1に示した種類
の水性下引層塗布液を固形分として1g/m2になるよ
うに塗布した未延伸シートの両端部をクリップで把持し
て、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに導
き、シート温度を100℃に加熱し、全面積倍率10.
0倍(縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍)の同時二
軸延伸を行い、第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定
し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。熱
固定後、更に続けて弛緩処理(縦方向弛緩率:5%、横
方向弛緩率:5%)を行い、室温まで60秒かけて冷却
し巻き取り、厚さ125μmの写真用ポリエステル支持
体1を得た。この写真用ポリエステル支持体1のTgは
78℃であった。
【0139】〔写真用ポリエステル支持体2の製造(未
延伸シート→下引塗布→同時二軸延伸→再延伸→熱固定
→冷却)〕PETペレットを150℃で8時間真空乾燥
した後、押出機で溶融し285℃でTダイから層状に押
し出し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着
させ、冷却固化させ、厚さ3.8mmの未延伸シート2
を得た。
【0140】未延伸シート2の両面に表1に示した種類
の水性下引層塗布液を固形分として1.5g/m2にな
るように塗布した未延伸シートの両端部をクリップで把
持して、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに
導き、シート温度を100℃に加熱し、全面積倍率1
0.0倍(縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍)の同
時二軸延伸を行い、引き続いて上記と同様の同時二軸延
伸機を用い、90℃で全面積倍率3.0倍(縦方向、横
方向とも1.7倍)に再同時二軸延伸を行い、第一固定
ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン22
0℃で15秒間熱固定した。熱固定後、更に続けて弛緩
処理(縦方向弛緩率:5%、横方向弛緩率:5%)を行
い、室温まで60秒かけて冷却し巻き取り、厚さ125
μmの写真用ポリエステル支持体2を得た。この写真用
ポリエステル支持体2のTgは78℃であった。
【0141】〔写真用ポリエステル支持体3の製造(未
延伸シート→縦延伸→下引塗布→横延伸→熱固定→再延
伸→冷却)〕PETペレットを150℃で8時間真空乾
燥した後、押出機で溶融し285℃でTダイから層状に
押し出し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密
着させ、冷却固化させ、厚さ3.8mmの未延伸シート
3を得た。
【0142】未延伸シート3をロール式縦延伸機を用い
て、80℃で縦方向に3.3倍延伸した。得られた一軸
延伸ポリエステルフィルムに表1に示した種類の水性下
引層塗布液をキスコーターで両面に固形分として0.6
g/m2になるように塗布した。引き続き、テンター式
横延伸機を用いて100℃で3.3倍に横延伸した。次
いで90℃で2秒間加熱し、更に第一固定ゾーン150
℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒
間熱固定した。熱固定後、赤外線ロール延伸機を用い、
90℃で縦方向に1.8倍に縦延伸、続いてテンターを
用い、100℃で横方向に1.6倍に横延伸の再二軸延
伸を行った。更にテンターで150℃で5%横方向に弛
緩処理し、テンターを出た後に、駆動ロールの周速差を
利用して、140℃で縦方向に弛緩処理を行い、室温ま
で60秒かけて冷却し巻き取り、厚さ125μmの写真
用ポリエステル支持体3を得た。この写真用ポリエステ
ル支持体3のTgは79℃であった。
【0143】〔写真用ポリエステル支持体4の製造(未
延伸シート→縦延伸→下引塗布→横延伸→熱固定→再延
伸→冷却→熱処理)〕前記写真用ポリエステル支持体3
を表1に示した温度、搬送張力及び時間の条件で熱処理
ゾーンを用いて熱処理を行い、室温まで10℃/分の速
度で冷却してから巻き取り、写真用ポリエステル支持体
4とした。
【0144】〔写真用ポリエステル支持体5の製造(未
延伸シート→下引塗布→同時二軸延伸→熱固定→冷却→
熱処理)〕前記写真用ポリエステル支持体1を表1に示
した温度、搬送張力及び時間の条件で熱処理ゾーンを用
いて熱処理を行い、室温まで10℃/分の速度で冷却し
てから巻き取り、写真用ポリエステル支持体5とした。
【0145】〔写真用ポリエステル支持体6の製造(未
延伸シート→下引塗布→同時二軸延伸→再延伸→熱固定
→冷却→熱処理)〕前記写真用ポリエステル支持体2を
表1に示した温度、搬送張力及び時間の条件で熱処理ゾ
ーンを用いて熱処理を行い、室温まで10℃/分の速度
で冷却してから巻き取り、写真用ポリエステル支持体6
とした。
【0146】〔写真用ポリエステル支持体7の製造(未
延伸シート→下引塗布→同時二軸延伸→熱固定→再延伸
→冷却→熱処理)〕PETペレットを150℃で8時間
真空乾燥した後、押出機で溶融し285℃でTダイから
層状に押し出し、30℃の冷却ドラム上で静電印加しな
がら密着させ、冷却固化させ、厚さ3.8mmの未延伸
シート7を得た。
【0147】未延伸シート7の両面に表1に示した種類
の水性下引層塗布液を固形分として1.5g/m2にな
るように塗布した未延伸シートの両端部をクリップで把
持して、リニアモーター方式の同時二軸延伸テンターに
導き、シート温度を100℃に加熱し、全面積倍率1
0.0倍(縦方向に3.3倍、横方向に3.3倍)の同
時二軸延伸を行い、第一固定ゾーン150℃で5秒間熱
固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定し
た。熱固定後、引き続いて、上記と同様の同時二軸延伸
機を用い、90℃で全面積倍率3.0倍(縦方向、横方
向とも1.7倍)に再同時二軸延伸を行った。更に続け
て弛緩処理(縦方向弛緩率:5%、横方向弛緩率:5
%)を行い、室温まで60秒かけて冷却し巻き取り、表
1に示した温度、搬送張力及び時間の条件で熱処理ゾー
ンを用いて熱処理を行い、室温まで10℃/分の速度で
冷却してから巻き取り、厚さ125μmの写真用ポリエ
ステル支持体7とした。この写真用ポリエステル支持体
7のTgは78℃であった。
【0148】以上の写真用ポリエステル支持体1〜7を
各評価法に準ずる大きさに切り出し、寸法変化率、面内
偏差、ヤング率の和、平面性を評価し、結果を表2に示
した。
【0149】
【表1】
【0150】なお、表1中、延伸の項において、また
「同時」は同時二軸延伸、「逐次」は逐次二軸延伸、
「再」は再延伸である。また「固」は熱固定である。
【0151】
【表2】
【0152】表2中、MDは縦方向、TDは横方向であ
る。 (結果)表2から、本発明の同時二軸延伸+(熱固定)
+熱処理、同時二軸延伸+再延伸+(熱固定)+熱処
理、また同時二軸延伸+(熱固定)+再延伸+熱処理を
行った写真用ポリエステル支持体は、寸法変化率が小さ
く+は+、また−は−で同符号に揃い、しかも面内偏差
も非常に小さく、またヤング率が大きく且つ均一で、平
面性が良好であることが分かる。一方、熱処理を施さな
い、また逐次二軸延伸でしかも再延伸と熱処理を施した
本発明以外の方法で作製した写真用ポリエステル支持体
は、熱に対する寸法変化が最大値及び最小値において+
または−に揃っているもののそれらの値は大きかった
り、また寸法変化率は小さいものの+及び−の寸法変化
も混在していたり、ヤング率も小さく、更に平面性も劣
ることが分かる。このように、本発明の写真用ポリエス
テル支持体は銀塩光熱写真ドライイメージング材料用の
支持体として優れていることが伺える。
【0153】実施例2 [銀塩光熱写真ドライイメージング材料の作製]実施例
1で製造した各写真用ポリエステル支持体1〜7に、下
記熱現像用ハロゲン化銀感光層等の構成層を塗布し、熱
現像用ハロゲン化銀写真感光材料1〜7を作製した。
【0154】(バック面側塗布)各写真用ポリエステル
支持体1〜7の片面に以下の組成のバック層液を塗布し
た。
【0155】 セルロースアセテートブチレート(Tg:120℃)10質量%メチルエチル ケトン溶液 15ml/m2 染料−A 7mg/m2 染料−B 7mg/m2 マット剤(単分散度15%平均粒子サイズ8μm単分散シリカ) 90mg/m2817(CH2CH2O)12817 50mg/m2917−C64−SO3Na 10mg/m2
【0156】
【化6】
【0157】バック層を塗布した各写真用ポリエステル
支持体1〜7のバック層と反対側の面に下記ハロゲン化
銀感光層を塗布した。
【0158】〔ハロゲン化銀感光層の調製〕 〈ハロゲン化銀乳剤Aの調製〉水900ml中にイナー
トゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解し
て温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74
gを含む水溶液370mlと(60/38/2)のmo
l比の塩化ナトリウムと臭化カリウムと沃化カリウムを
硝酸銀に対して等mol、〔Ir(NO)Cl5〕塩を
銀1mol当たり1×10-6mol及び塩化ロジウム塩
を銀1mol当たり1×10-6mol含む水溶液370
mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブ
ルジェット法で添加した。その後4−ヒドロキシ−6−
メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加し
NaOHでpHを8、pAg6.5に調整することで還
元増感を行い平均粒子サイズ0.06μm、単分散度1
0%の投影直径面積の変動係数8%、〔100〕面比率
87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチ
ン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエ
タノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に
調整して、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0159】〈ベヘン酸Na溶液の調製〉945mlの
純水にベヘン酸32.4g、アラキジン酸9.9g、ス
テアリン酸5.6gを90℃で溶解した。次に高速で攪
拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液98ml
を添加した。次に濃硝酸0.93mlを加えた後、55
℃に冷却して30分攪拌させてベヘン酸Na溶液を得
た。
【0160】(ベヘン酸銀とハロゲン化銀乳剤Aのプレ
フォーム乳剤の調製)上記のベヘン酸Na溶液に前記ハ
ロゲン化銀乳剤Aを15.1g添加し水酸化ナトリウム
溶液でpH8.1に調整した後に1Mの硝酸銀溶液14
7mlを7分間かけて加え、更に20分攪拌し限外濾過
により水溶性塩類を除去した。出来たベヘン酸銀は平均
粒子サイズ0.8μm、単分散度8%の粒子であった。
分散物のフロックを形成後、水を取り除き、更に6回の
水洗と水の除去を行った後乾燥し、プレフォーム乳剤を
得た。
【0161】《感光性乳剤の調製》上記プレフォーム乳
剤を1/2に分割し、ブチラール置換率90%のポリビ
ニルブチラール1(Tg:5℃)またはブチラール置換
率70%のポリビニルブチラール2(Tg:40℃)の
表3に示す何れかをメチルエチルケトン溶液544gと
トルエン107gを徐々に添加して混合した後に、0.
5mmサイズZrO 2のビーズミルを用いたメディア分
散機で27.58×GPa(4000psi)、30
℃、10分間の分散し、感光性乳剤1(ポリビニルブチ
ラール1を含有)及び2(ポリビニルブチラール2を含
有)を得た。
【0162】以下の組成のハロゲン化銀感光層塗布液1
(感光性乳剤1を含有)及び2(感光性乳剤2を含有)
を調製し、塗布銀量が2.1g/m2になる様にハロゲ
ン化銀感光層1(ハロゲン化銀感光層塗布液1に対応)
及び2(同塗布液2に対応)を塗布した。
【0163】 《ハロゲン化銀感光層塗布液1または2の調製》 感光性乳剤1または2 240g 増感色素(0.1質量%メタノール溶液) 1.7ml ピリジニウムプロミドペルブロミド(6質量%メタノール溶液) 3ml 臭化カルシウム(0.1質量%メタノール溶液) 1.7ml 酸化剤(10質量%メタノール溶液) 1.2ml 2,4−クロロベンゾイル安息香酸(12質量%メタノール溶液) 9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1質量%メタノール溶液) 11ml トリブロモメチルスルホキノリン(5質量%メタノール溶液) 17ml H−26 0.4g P−51 0.3g フタラジン 0.6g 4−メチルフタル酸 0.25g テトラクロロフタル酸 0.2g 平均粒径3μmの炭酸カルシウム 0.1g A−2(20質量%メタノール溶液) 20.5ml イソシアネート化合物(モーベイ社製、DesmodurN3300) 0.5g
【0164】
【化7】
【0165】〈表面保護層塗布液の組成と塗布量〉下記
の組成の表面保護層塗布液をハロゲン化銀感光層1及び
2の上になるように同時塗布を行った。
【0166】 アセトン 5ml/m2 メチルエチルケトン 21ml/m2 セルロースアセテートブチレート(Tg:120℃) 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 マット剤(単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ) 5mg/m2 CH2=CHSO2CH2CH2OCH2CH2SO2CH=CH2 35mg/m21225(CH2CH2O)101225 10mg/m2817−C64−SO3Na 10mg/m2 ハロゲン化銀感光層と表面保護層を同時重層塗布後、乾
燥温度80℃で乾燥し、銀塩光熱写真ドライイメージン
グ材料1〜7を作製した試料を所定の大きさに切り出
し、寸法変化率、寸法変化率の面内偏差、ヤング率の
和、処理適性を評価し、結果を表3に示した。
【0167】
【表3】
【0168】(結果)表2と表3から、本発明の写真用
ポリエステル支持体を用いた銀塩光熱写真ドライイメー
ジング材料は、ハロゲン化銀感光層等構成層を塗設した
にもかかわらず、写真用ポリエステル支持体と同等の熱
に対する寸法安定性及びヤング率を有し、優れた銀塩光
熱写真ドライイメージング材料であることが分かる。ま
た同様に熱現像処理適性も良好であることが分かる。比
較の本発明のポリエステル支持体を使用しなかった銀塩
光熱写真ドライイメージング材料は上記の特性が何れも
劣っており、優れた銀塩光熱写真ドライイメージング材
料を得ることが出来た。
【0169】
【発明の効果】本発明の写真用ポリエステル支持体を使
用した銀塩光熱写真ドライイメージング材料は、優れた
寸法安定性及び機械的性質を有する印刷用銀塩光熱写真
ドライイメージング材料として提供出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03C 1/91 G03C 1/91 // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:00 C08L 67:00 Fターム(参考) 2H023 FA12 FA13 2H123 AB00 BA00 BA38 CB03 4F006 AA35 AB24 AB35 AB37 BA02 CA03 EA05 4F210 AA24 AG01 AH79 AR01 AR06 AR11 QC07 QC11 QD08 QW05 QW07 QW15

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融したポリエステルを冷却ドラム上に
    押し出し未延伸シートを形成し、該シートを二軸延伸、
    熱固定及び冷却を行って写真用ポリエステル支持体を製
    造する方法において、二軸延伸を同時二軸延伸で行い、
    冷却後に熱処理を行うことを特徴とする写真用ポリエス
    テル支持体の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶融したポリエステルを冷却ドラム上に
    押し出し未延伸シートを形成し、該シートを二軸延伸、
    熱固定及び冷却を行って写真用ポリエステル支持体を製
    造する方法において、二軸延伸を同時二軸延伸で行い、
    熱固定の前及び/または後において再延伸を行い、更に
    冷却後熱処理を行うことを特徴とする写真用ポリエステ
    ル支持体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理の条件を、ポリエステルフィ
    ルムのガラス転移点(Tgと略す、(℃))+50℃〜
    Tg+150℃の範囲の温度、9.8hPa〜2MPa
    の搬送張力、且つ30秒〜10分の搬送時間とすること
    を特徴とする請求項1または2に記載の写真用ポリエス
    テル支持体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理より以前に下引層塗布液を塗
    布することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に
    記載の写真用ポリエステル支持体の製造方法。
  5. 【請求項5】 下引層塗布液がポリエステル樹脂、アク
    リル変性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びウレタン
    樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有すること
    を特徴とする請求項4に記載の写真用ポリエステル支持
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記下引層塗布液が水性下引層塗布液で
    あって、ポリエステル樹脂及び/またはアクリル変性ポ
    リエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項5に
    記載の写真用ポリエステル支持体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6の何れか1項に記載の方
    法により製造されたことを特徴とする写真用ポリエステ
    ル支持体。
  8. 【請求項8】 23℃、55%RHでの縦方向及び横方
    向のヤング率の和が12〜20GPaであり、23℃、
    55%RH条件下での全ての方向の寸法に対する、12
    0℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの条件下に
    調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変化率全て
    が+0.001〜+0.4%であるか、または全てが−
    0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化率の面内
    偏差が1〜20%であることを特徴とする写真用ポリエ
    ステル支持体。
  9. 【請求項9】 23℃、55%RHでの縦方向及び横方
    向のヤング率の和が12〜20GPaであり、23℃、
    55%RH条件下での全ての方向の寸法に対する、12
    0℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの条件下に
    調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変化率全て
    が+0.001〜+0.4%であるか、または全てが−
    0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化率の面内
    偏差が1〜20%であることを特徴とする請求項7に記
    載の写真用ポリエステル支持体。
  10. 【請求項10】 該全ての方向の寸法変化率全てが+
    0.001〜+0.04%であるか、または全てが−
    0.001〜−0.04%ことを特徴とする請求項8ま
    たは9に記載の写真用ポリエステル支持体。
  11. 【請求項11】 請求項7乃至10の何れか1項に記載
    の写真用ポリエステル支持体の上に熱現像処理により画
    像形成するハロゲン化銀感光層を有することを特徴とす
    る銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  12. 【請求項12】 23℃、55%RHでの縦方向及び横
    方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、23
    ℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対する、
    120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの条件
    下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変化率
    全てが+0.001〜+0.4%であるか、または全て
    が−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化率の
    面内偏差が1〜20%であることを特徴とする銀塩光熱
    写真ドライイメージング材料。
  13. 【請求項13】 23℃、55%RHでの縦方向及び横
    方向のヤング率の和が12〜20GPaであり、23
    ℃、55%RH条件下での全ての方向の寸法に対する、
    120℃に60秒間加熱後、23℃、55%RHの条件
    下に調湿した後のその対応する全ての方向の寸法変化率
    全てが+0.001〜+0.4%であるか、または全て
    が−0.001〜−0.4%であり、且つ寸法変化率の
    面内偏差が1〜20%であることを特徴とする請求項1
    1に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材料。
  14. 【請求項14】 該全ての方向の寸法変化率全てが+
    0.001〜+0.04%であるか、または全てが−
    0.001〜−0.04%ことを特徴とする請求項12
    または13に記載の銀塩光熱写真ドライイメージング材
    料。
  15. 【請求項15】 前記ハロゲン化銀感光層のバインダー
    の転移温度(Tg)が20〜200℃であることを特徴
    とする請求項11乃至14の何れか1項に記載の銀塩光
    熱写真ドライイメージング材料。
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