JP2002250285A - スクロール圧縮機 - Google Patents

スクロール圧縮機

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JP2002250285A
JP2002250285A JP2001047654A JP2001047654A JP2002250285A JP 2002250285 A JP2002250285 A JP 2002250285A JP 2001047654 A JP2001047654 A JP 2001047654A JP 2001047654 A JP2001047654 A JP 2001047654A JP 2002250285 A JP2002250285 A JP 2002250285A
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JP
Japan
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scroll
bearing
drive shaft
eccentricity
rotary drive
Prior art date
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Pending
Application number
JP2001047654A
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English (en)
Inventor
Naoya Morozumi
尚哉 両角
Hironori Tomota
裕基 友田
Junya Tanaka
順也 田中
Takayoshi Nakazawa
貴義 中澤
Satoru Shimada
哲 嶋田
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Fujitsu General Ltd
Original Assignee
Fujitsu General Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部でのガスリーク損失を低減して、圧縮効
率のよいスクロール圧縮機を提供する。 【解決手段】 ボス323とクランク軸41との間のク
ランク部クリアランスC1(D−d)と、軸受部2
1と主軸42との間の軸受部クリアランスC2(D
)に応じて、回転駆動軸4の主軸42に対するクラ
ンク軸41の偏心量eを最適の条件まで大きく設定す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機などの
冷凍サイクルに用いられるスクロール圧縮機に関し、さ
らに詳しくいえば、冷媒圧縮部内部のガスリークによる
損失を低減したスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に示すように、スクロール圧縮機1
は、それぞれ鏡板と同鏡板に直立するスクロールラップ
312,322とからなる、固定スクロール31および
旋回スクロール32を互いのスクロールラップ312,
321同士を噛み合わせ、内部に密閉作動室33が形成
してなる冷媒圧縮部3が設けられている。
【0003】この旋回スクロール32をクランク部41
を備えた回転駆動軸4およびオルダムリングなどの自転
防止機構により旋回運動させることにより、ラップ同士
で形成される三日月状の空間が密閉作動室33の外周か
ら内側に向かって、その容積を減少しながら移動するこ
とで、内部に導かれた低圧冷媒を高圧冷媒へと圧縮して
いる。
【0004】この旋回スクロール32の旋回半径を決定
するものは、回転駆動軸4の主軸42の回転軸に対する
クランク部42の偏心量である。一般的に上述した固定
クランク式のスクロール圧縮機1においては、そのクラ
ンク軸の偏心量eは、各スクロールラップ312,32
2のラップ厚さをt、各スクロールラップ間の溝幅をb
としたとき、 e=(b−t)/2 を基準として設定され、従来、これよりも偏心量eが大
きくなるものは部品加工公差の範囲内とされてきた。
【0005】ところで、運転中の旋回スクロール32に
作用する力の偏心方向成分は、以下の〜に大別さ
れ、これらがつり合った状態で運動している。 密閉作動室内のガス圧力(中心向き) 遠心力(外向き) 固定スクロールラップ側面から油膜を介して(または
直接接触して)押される力(中心向き) クランク軸受が油膜をシャフトクランク部から受ける
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の力が小さくなる運転条件に設定した場合、回転駆動軸
4にかかる荷重が小さくなり、摺動摩擦損失が低減する
が、逆にシール機能を果たすべき固定スクロールラップ
312側面と旋回スクロールラップ322間の半径方向
のクリアランスが大きくなってしまい、密閉作動室33
内でのガスリークによる損失が大きくなってしまうこと
があった。
【0007】そこで、本発明者は、スクロール圧縮機の
内部でのガスリーク損失を低減して、効率よく圧縮する
ため、無負荷状態において旋回スクロールと固定スクロ
ールの相対的な半径方向の可動範囲を考慮して、クラン
ク偏心量を幾何学的な中心値よりも大きくした方が性能
的に有利であることを実験的に見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、メ
インフレームの主軸受け部にすべり軸受機構により支持
された回転駆動軸と、上記回転駆動軸に設けられたクラ
ンク部にすべり軸受機構により支持され旋回運動する旋
回スクロールと、上記旋回スクロールと渦巻状のスクロ
ールラップ同士が噛み合い、かつ、メインフレームに対
して上記回転駆動軸と直交する方向に固定された固定ス
クロールと、上記旋回スクロールの自転防止機構を備え
たスクロール圧縮機において、上記各スクロールラップ
のラップ厚さをtとし、上記各スクロールラップ間に形
成された溝幅をbとし、上記クランク部の軸受直径クリ
アランスをC1とし、上記主軸受け部の軸受直径クリア
ランスをC2とし、上記主軸に対する上記クランク部の
偏心量をeとしたとき、上記偏心量eが以下の式1を満
足するように設定されていることを特徴としている。
【数1】
【0009】回転駆動軸が軸受に対して完全に平行であ
れば、 e=(b−t)/2+(C1+C2)/2 となり、旋回スクロールの半径方向の自由度が完全に0
となる。すなわち、これが軸受クリアランスを考慮した
際の限界値である。しかしながら、これに近い状態で
は、固定スクロールと旋回スクロールとのラップ側面間
が近づきすぎ、潤滑油のくさび効果による油膜圧力が大
きくなり、これを支えるためにクランク軸受および主軸
受けに過大な荷重が作用し、摺動損失の増加をまねくお
それがある。
【0010】したがって、上記設定範囲が最適値といえ
る。ただし、設定範囲よりも大きくなると、ガスリーク
損失が増加する。逆に設定範囲よりも小さいと、回転駆
動軸に作用する負荷荷重が大きくなりすぎ、摺動摩擦損
失が増加する。
【0011】また、メインフレームの主軸受け部にボー
ルベアリングなどのころがり軸受機構により支持された
回転駆動軸であっても、その偏心量e’は、以下の式2
を満足するように設定すればよい。
【数2】
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の一
実施形態に係るスクロール圧縮機を模式的に示した分解
断面図が示されている。なお、先に説明した図2の従来
装置と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、同
じ参照符号が用いられている。
【0013】このスクロール圧縮機10は、固定スクロ
ール31および旋回スクロール32からなる冷媒圧縮部
3と、メインフレーム2とを筒状の密閉シェル(図示し
ない)内に設けたものからなる。
【0014】冷媒圧縮部3は、上述した従来例と同じく
鏡板311の前面に渦巻状の固定スクロールラップ31
2を有する固定スクロール31と、鏡板321の前面に
渦巻状の旋回スクロールラップ322を有し、背面に回
転駆動軸4のクランク軸41が接続されるボス(凹部)
323を有する旋回スクロール32とを備え、各スクロ
ールラップ312,322同士を噛み合わせることによ
り、内部に密閉作動室33が形成されている。
【0015】この実施形態において、スクロールラップ
312,322は、いわゆるインボリュート曲線によっ
て描かれた渦巻状に、その各ラップ厚さがt、各ラップ
間に形成される溝幅がbとなるように形成されている。
【0016】この冷媒圧縮部3は、旋回スクロール32
を回転駆動軸6によって回転させることにより、密閉作
動室33の外側に設けられた冷媒吸入孔313から吸入
された冷媒ガスが中央に移動するにつれて圧縮され、固
定スクロール31の中央上部に設けられた冷媒吐出孔3
14から冷媒吐出室内を経て所定の冷凍サイクルへと送
り出される。
【0017】メインフレーム2は、その上部側が凹まさ
れており、上記旋回スクロール32の背面を摺動可能に
支持するスラスト受圧面22が設けられている。この実
施形態において、メインフレーム2と旋回スクロール3
2との間には、旋回スクロール32の自転を防止するた
めのオルダムリング5が介装されている。
【0018】メインフレーム2の中央には、電動機室内
の電動機によって駆動される回転駆動軸4を軸支するた
めの軸受部21が設けられている。回転駆動軸4は、軸
受部21に同軸的に軸支された主軸42と、上記主軸4
2の一端側(図1では上端側)に主軸41の軸線に対し
て偏心配置されたクランク軸(凸部)41とから構成さ
れている。この実施形態において、クランク軸41と主
軸42との間には、メインフレーム2からの抜け落ちを
防止するためのフランジ43が形成されている。
【0019】ここで、ボス323の直径をD、クラン
ク軸41の直径をdとした場合、ボス323とクラン
ク軸41との間(連結部)の軸受直径クリアランスC1
(クランク部クリアランス)は、C1=D−dで表
される。また、軸受部21の直径をDとし、主軸42
の直径をdとした場合、軸受部21と主軸42との間
の軸受直径クリアランスC2(軸受部クリアランス)
は、C2=D−dで表される。
【0020】図2には、クランク軸41の偏心量に対す
るCOP比(エネルギー消費効率)の変化量を測定した
グラフが示されている。図2に示すように、偏心量の基
準値(e=(b−t)/2)におけるCOP比を1.0
00とすると、基準偏心量にクリアランスC(C1+C
2)の1/8〜2/1倍をさらに加えるにより、平均し
て約0.7%程度COP能力が基準値よりも増加してい
ることが分かる。なお、この実施形態において、クリア
ランスCとは、無負荷状態での旋回スクロールの半径方
向の可動範囲をいう。
【0021】とりわけ、1/8〜1/3倍では、基準値
よりも約0.9〜0.7%高くなり、最もCOPが高い
ことが分かる。したがって、密閉作動室33内でのガス
リーク損失を低減するためには、クランク軸41の偏心
量eを大きくすることである。
【0022】そこで、上述した実験データから、本発明
の回転駆動軸4の偏心量eを以下の式1に示されている
範囲内に設定することが好ましい。
【0023】
【数1】
【0024】これによれば、偏心量eを基準値より大き
くすることにより、旋回スクロールの半径方向の可動範
囲を考慮した実際の旋回スクロール32の旋回半径の最
小値を大きくすることができる。したがって、ラップ半
径方向のクリアランスを小さくすることができるため、
結果ガスリーク損失が低減される。
【0025】すなわち、偏心量eが上述した式1の範囲
よりも小さすぎると、ラップ側面間の距離が大きくなる
ため、ガスリーク損失が大きくなる。逆に、偏心量eが
小さいと、回転駆動軸4に作用する負荷荷重が大きくな
りすぎるため、摺動摩擦損失が増加する。よって、上述
した範囲内で偏心量eを設定することが最適な条件とな
る。
【0026】図3には、スクロール圧縮機の変形例が示
されている。このスクロール圧縮機100は、上述した
構成とほぼ同じ固定スクロール310および旋回スクロ
ール320からなる冷媒圧縮部300を備えており、メ
ーンフレーム200の軸受部210を介して回転駆動軸
400が軸支されている。なお、その他の構成について
は従来例と同じであるため省略する。
【0027】この実施形態において、回転駆動軸400
の一端側には、主軸420に対して所定の偏心量eにて
偏心配置されたクランクボス(凹部)410が形成され
ている。旋回スクロール320の背面には、このクラン
クボス410に嵌合される軸(凸部)410が突設され
ている。
【0028】このような場合においても、クランクボス
410の偏心量eは、上述した先の実施形態と全く同様
であり、すなわち、下記の式1に示すとおりである。こ
のような態様も本発明のスクロール圧縮機に含まれる。
【0029】
【数1】
【0030】なお、上述した各実施形態において、クラ
ンク軸受部または軸受部は、両方ないしはいずれか一方
がすべり軸受によって構成されている。いずれか一方が
すべり軸受で、いずれか他方がころがり軸受の場合、こ
ろがり軸受外輪に対するシャフトの半径方向可動範囲が
クリアランスである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
旋回スクロールを駆動する回転駆動軸の主軸に対するク
ランク軸の偏心量の最適条件を見出したことにより、冷
媒圧縮部内部でのガスリーク損失を低減させることがで
き、結果的に圧縮効率のよいスクロール圧縮機が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の
分解断面図。
【図2】クランク軸の偏心量の最適条件を測定したグラ
フ。
【図3】本発明のスクロール圧縮機の変形例を示す部分
断面図。
【図4】従来のスクロール圧縮機の部分断面図。
【符号の説明】
1,10 スクロール圧縮機 2 メインフレーム 21 軸受部 3 冷媒圧縮部 31 固定スクロール 311 鏡板 312 固定スクロールラップ 313 冷媒吸入孔 314 冷媒吐出孔 32 旋回スクロール 321 鏡板 322 旋回スクロールラップ 323 ボス(凹部) 4 回転駆動軸 41 クランク軸(凸部) 42 主軸
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月26日(2001.2.2
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 スクロール圧縮機
【特許請求の範囲】
【数1】
【数2】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機などの
冷凍サイクルに用いられるスクロール圧縮機に関し、さ
らに詳しくいえば、冷媒圧縮部内部のガスリークによる
損失を低減したスクロール圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】図4に示すように、スクロール圧縮機1
は、それぞれ鏡板と同鏡板に直立するスクロールラップ
312,322とからなる、固定スクロール31および
旋回スクロール32を互いのスクロールラップ312,
321同士を噛み合わせ、内部に密閉作動室33が形成
してなる冷媒圧縮部3が設けられている。
【0003】この旋回スクロール32をクランク部41
を備えた回転駆動軸4およびオルダムリングなどの自転
防止機構により旋回運動させることにより、ラップ同士
で形成される三日月状の空間が密閉作動室33の外周か
ら内側に向かって、その容積を減少しながら移動するこ
とで、内部に導かれた低圧冷媒を高圧冷媒へと圧縮して
いる。
【0004】この旋回スクロール32の旋回半径を決定
するものは、回転駆動軸4の主軸42の回転軸に対する
クランク部42の偏心量である。一般的に上述した固定
クランク式のスクロール圧縮機1においては、そのクラ
ンク軸の偏心量eは、各スクロールラップ312,32
2のラップ厚さをt、各スクロールラップ間の溝幅をb
としたとき、 e=(b−t)/2 を基準として設定され、従来、これよりも偏心量eが大
きくなるものは部品加工公差の範囲内とされてきた。
【0005】ところで、運転中の旋回スクロール32に
作用する力の偏心方向成分は、以下の〜に大別さ
れ、これらがつり合った状態で運動している。 密閉作動室内のガス圧力(中心向き) 遠心力(外向き) 固定スクロールラップ側面から油膜を介して(または
直接接触して)押される力(中心向き) クランク軸受が油膜をシャフトクランク部から受ける
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の力が小さくなる運転条件に設定した場合、回転駆動軸
4にかかる荷重が小さくなり、摺動摩擦損失が低減する
が、逆にシール機能を果たすべき固定スクロールラップ
312側面と旋回スクロールラップ322間の半径方向
のクリアランスが大きくなってしまい、密閉作動室33
内でのガスリークによる損失が大きくなってしまうこと
があった。
【0007】そこで、本発明者は、スクロール圧縮機の
内部でのガスリーク損失を低減して、効率よく圧縮する
ため、無負荷状態において旋回スクロールと固定スクロ
ールの相対的な半径方向の可動範囲を考慮して、クラン
ク偏心量を幾何学的な中心値よりも大きくした方が性能
的に有利であることを実験的に見出した。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、メ
インフレームの主軸受け部にすべり軸受機構により支持
された回転駆動軸と、上記回転駆動軸に設けられたクラ
ンク部にすべり軸受機構により支持され旋回運動する旋
回スクロールと、上記旋回スクロールと渦巻状のスクロ
ールラップ同士が噛み合い、かつ、メインフレームに対
して上記回転駆動軸と直交する方向に固定された固定ス
クロールと、上記旋回スクロールの自転防止機構を備え
たスクロール圧縮機において、上記各スクロールラップ
のラップ厚さをtとし、上記各スクロールラップ間に形
成された溝幅をbとし、上記クランク部の軸受直径クリ
アランスをC1とし、上記主軸受け部の軸受直径クリア
ランスをC2とし、上記主軸に対する上記クランク部の
偏心量をeとしたとき、上記偏心量eが以下の式1を満
足するように設定されていることを特徴としている。
【数3】
【0009】回転駆動軸が軸受に対して完全に平行であ
れば、 e=(b−t)/2+(C1+C2)/2 となり、旋回スクロールの半径方向の自由度が完全に0
となる。すなわち、これが軸受クリアランスを考慮した
際の限界値である。しかしながら、これに近い状態で
は、固定スクロールと旋回スクロールとのラップ側面間
が近づきすぎ、潤滑油のくさび効果による油膜圧力が大
きくなり、これを支えるためにクランク軸受および主軸
受けに過大な荷重が作用し、摺動損失の増加をまねくお
それがある。
【0010】したがって、上記設定範囲が最適値といえ
る。ただし、設定範囲よりも大きくなると、ガスリーク
損失が増加する。逆に設定範囲よりも小さいと、回転駆
動軸に作用する負荷荷重が大きくなりすぎ、摺動摩擦損
失が増加する。
【0011】また、メインフレームの主軸受け部にボー
ルベアリングなどのころがり軸受機構により支持された
回転駆動軸であっても、その偏心量e’は、以下の式2
を満足するように設定すればよい。
【数4】
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の一
実施形態に係るスクロール圧縮機を模式的に示した分解
断面図が示されている。なお、先に説明した図2の従来
装置と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、同
じ参照符号が用いられている。
【0013】このスクロール圧縮機10は、固定スクロ
ール31および旋回スクロール32からなる冷媒圧縮部
3と、メインフレーム2とを筒状の密閉シェル(図示し
ない)内に設けたものからなる。
【0014】冷媒圧縮部3は、上述した従来例と同じく
鏡板311の前面に渦巻状の固定スクロールラップ31
2を有する固定スクロール31と、鏡板321の前面に
渦巻状の旋回スクロールラップ322を有し、背面に回
転駆動軸4のクランク軸41が接続されるボス(凹部)
323を有する旋回スクロール32とを備え、各スクロ
ールラップ312,322同士を噛み合わせることによ
り、内部に密閉作動室33が形成されている。
【0015】この実施形態において、スクロールラップ
312,322は、いわゆるインボリュート曲線によっ
て描かれた渦巻状に、その各ラップ厚さがt、各ラップ
間に形成される溝幅がbとなるように形成されている。
【0016】この冷媒圧縮部3は、旋回スクロール32
を回転駆動軸6によって回転させることにより、密閉作
動室33の外側に設けられた冷媒吸入孔313から吸入
された冷媒ガスが中央に移動するにつれて圧縮され、固
定スクロール31の中央上部に設けられた冷媒吐出孔3
14から冷媒吐出室内を経て所定の冷凍サイクルへと送
り出される。
【0017】メインフレーム2は、その上部側が凹まさ
れており、上記旋回スクロール32の背面を摺動可能に
支持するスラスト受圧面22が設けられている。この実
施形態において、メインフレーム2と旋回スクロール3
2との間には、旋回スクロール32の自転を防止するた
めのオルダムリング5が介装されている。
【0018】メインフレーム2の中央には、電動機室内
の電動機によって駆動される回転駆動軸4を軸支するた
めの軸受部21が設けられている。回転駆動軸4は、軸
受部21に同軸的に軸支された主軸42と、上記主軸4
2の一端側(図1では上端側)に主軸41の軸線に対し
て偏心配置されたクランク軸(凸部)41とから構成さ
れている。この実施形態において、クランク軸41と主
軸42との間には、メインフレーム2からの抜け落ちを
防止するためのフランジ43が形成されている。
【0019】ここで、ボス323の直径をD、クラン
ク軸41の直径をdとした場合、ボス323とクラン
ク軸41との間(連結部)の軸受直径クリアランスC1
(クランク部クリアランス)は、C1=D−dで表
される。また、軸受部21の直径をDとし、主軸42
の直径をdとした場合、軸受部21と主軸42との間
の軸受直径クリアランスC2(軸受部クリアランス)
は、C2=D−dで表される。
【0020】図2には、クランク軸41の偏心量に対す
るCOP比(エネルギー消費効率)の変化量を測定した
グラフが示されている。図2に示すように、偏心量の基
準値(e=(b−t)/2)におけるCOP比を1.0
00とすると、基準偏心量にクリアランスC(C1+C
2)の1/8〜2/1倍をさらに加えるにより、平均し
て約0.7%程度COP能力が基準値よりも増加してい
ることが分かる。なお、この実施形態において、クリア
ランスCとは、無負荷状態での旋回スクロールの半径方
向の可動範囲をいう。
【0021】とりわけ、1/8〜1/3倍では、基準値
よりも約0.9〜0.7%高くなり、最もCOPが高い
ことが分かる。したがって、密閉作動室33内でのガス
リーク損失を低減するためには、クランク軸41の偏心
量eを大きくすることである。
【0022】そこで、上述した実験データから、本発明
の回転駆動軸4の偏心量eを以下の式1に示されている
範囲内に設定することが好ましい。
【0023】
【数5】
【0024】これによれば、偏心量eを基準値より大き
くすることにより、旋回スクロールの半径方向の可動範
囲を考慮した実際の旋回スクロール32の旋回半径の最
小値を大きくすることができる。したがって、ラップ半
径方向のクリアランスを小さくすることができるため、
結果ガスリーク損失が低減される。
【0025】すなわち、偏心量eが上述した式1の範囲
よりも小さすぎると、ラップ側面間の距離が大きくなる
ため、ガスリーク損失が大きくなる。逆に、偏心量eが
小さいと、回転駆動軸4に作用する負荷荷重が大きくな
りすぎるため、摺動摩擦損失が増加する。よって、上述
した範囲内で偏心量eを設定することが最適な条件とな
る。
【0026】図3には、スクロール圧縮機の変形例が示
されている。このスクロール圧縮機100は、上述した
構成とほぼ同じ固定スクロール310および旋回スクロ
ール320からなる冷媒圧縮部300を備えており、メ
ーンフレーム200の軸受部210を介して回転駆動軸
400が軸支されている。なお、その他の構成について
は従来例と同じであるため省略する。
【0027】この実施形態において、回転駆動軸400
の一端側には、主軸420に対して所定の偏心量eにて
偏心配置されたクランクボス(凹部)410が形成され
ている。旋回スクロール320の背面には、このクラン
クボス410に嵌合される軸(凸部)410が突設され
ている。
【0028】このような場合においても、クランクボス
410の偏心量eは、上述した先の実施形態と全く同様
であり、すなわち、下記の式1に示すとおりである。こ
のような態様も本発明のスクロール圧縮機に含まれる。
【0029】
【数6】
【0030】なお、上述した各実施形態において、クラ
ンク軸受部または軸受部は、両方ないしはいずれか一方
がすべり軸受によって構成されている。いずれか一方が
すべり軸受で、いずれか他方がころがり軸受の場合、こ
ろがり軸受外輪に対するシャフトの半径方向可動範囲が
クリアランスである。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
旋回スクロールを駆動する回転駆動軸の主軸に対するク
ランク軸の偏心量の最適条件を見出したことにより、冷
媒圧縮部内部でのガスリーク損失を低減させることがで
き、結果的に圧縮効率のよいスクロール圧縮機が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスクロール圧縮機の
分解断面図。
【図2】クランク軸の偏心量の最適条件を測定したグラ
フ。
【図3】本発明のスクロール圧縮機の変形例を示す部分
断面図。
【図4】従来のスクロール圧縮機の部分断面図。
【符号の説明】 1,10 スクロール圧縮機 2 メインフレーム 21 軸受部 3 冷媒圧縮部 31 固定スクロール 311 鏡板 312 固定スクロールラップ 313 冷媒吸入孔 314 冷媒吐出孔 32 旋回スクロール 321 鏡板 322 旋回スクロールラップ 323 ボス(凹部) 4 回転駆動軸 41 クランク軸(凸部) 42 主軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 順也 神奈川県川崎市高津区末長1116番地 株式 会社富士通ゼネラル内 (72)発明者 中澤 貴義 神奈川県川崎市高津区末長1116番地 株式 会社富士通ゼネラル内 (72)発明者 嶋田 哲 神奈川県川崎市高津区末長1116番地 株式 会社富士通ゼネラル内 Fターム(参考) 3H039 AA03 AA12 BB08 BB15 BB28 CC10 CC12 CC13 CC17 CC22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メインフレームの主軸受け部にすべり軸
    受機構により支持された回転駆動軸と、上記回転駆動軸
    に設けられたクランク部にすべり軸受機構により支持さ
    れ旋回運動する旋回スクロールと、上記旋回スクロール
    と渦巻状のスクロールラップ同士が噛み合い、かつ、メ
    インフレームに対して上記回転駆動軸と直交する方向に
    固定された固定スクロールと、上記旋回スクロールの自
    転防止機構を備えたスクロール圧縮機において、 上記各スクロールラップのラップ厚さをtとし、上記各
    スクロールラップ間に形成された溝幅をbとし、上記ク
    ランク部の軸受直径クリアランスをC1とし、上記主軸
    受け部の軸受直径クリアランスをC2とし、上記主軸に
    対する上記クランク部の偏心量をeとしたとき、上記偏
    心量eが以下の式1を満足するように設定されているこ
    とを特徴とするスクロール圧縮機。 【数1】
  2. 【請求項2】 メインフレームの主軸受け部にころがり
    軸受機構により支持された回転駆動軸と、上記回転駆動
    軸に設けられたクランク部にすべり軸受機構により支持
    され旋回運動する旋回スクロールと、上記旋回スクロー
    ルと渦巻状のスクロールラップ同士が噛み合い、かつ、
    メインフレームに対して上記回転駆動軸と直交する方向
    に固定された固定スクロールと、上記旋回スクロールの
    自転防止機構を備えたスクロール圧縮機において、 上記各スクロールラップのラップ厚さをtとし、上記各
    スクロールラップ間に形成された溝幅をbとし、上記ク
    ランク部の軸受直径クリアランスをC1とし、上記主軸
    受け部の軸受直径クリアランスをC2とし、上記主軸に
    対する上記クランク部の偏心量をeとしたとき、上記偏
    心量e’が以下の式2を満足するように設定されている
    ことを特徴とするスクロール圧縮機。 【数2】
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009299653A (ja) * 2008-06-17 2009-12-24 Panasonic Corp スクロール膨張機
CN101713401A (zh) * 2008-10-07 2010-05-26 乐金电子(天津)电器有限公司 曲轴及设置有该曲轴的涡旋式压缩机
JP2010116828A (ja) * 2008-11-12 2010-05-27 Hitachi Appliances Inc スクロール圧縮機および冷凍空調機
JP2010151090A (ja) * 2008-12-26 2010-07-08 Hitachi Ltd スクロール式流体機械

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