JP2002249604A - イオン交換膜 - Google Patents

イオン交換膜

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JP2002249604A
JP2002249604A JP2001049188A JP2001049188A JP2002249604A JP 2002249604 A JP2002249604 A JP 2002249604A JP 2001049188 A JP2001049188 A JP 2001049188A JP 2001049188 A JP2001049188 A JP 2001049188A JP 2002249604 A JP2002249604 A JP 2002249604A
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layer
exchange membrane
polymer
group
ion exchange
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JP2001049188A
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Shoichi Doi
正一 土井
Akiko Osaki
彰子 大崎
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高い電流効率と低い電気抵抗を有し、かつ強
度のバランスに優れ、その上、製品水酸化アルカリ中の
塩化アルカリ濃度を低減することのできるイオン交換膜
を提供する。 【解決手段】 下記式1で表される繰り返し単位を含む
ポリマーからなる第1の層と、下記式2で表される繰り
返し単位を含むポリマーからなる第2の層の、少なくと
も2層からなることを特徴とするイオン交換膜。 (式中、−Yは、−COOH、−CN、−COF、−C
OORである。Xは、Cl、BrまたはFのいずれか一
種、RtおよびRt’はいずれも1〜10個の炭素原子
を有するパーフルオロアルキル基又は、フルオロクロロ
アルキル基である。) (式中、−Y’は、−SOH、−SOF、−SO
Na、−SOK、−SONH、−SONH
ある。Rt”およびRt’”はいずれも1〜10個の炭
素原子を有するパーフルオロアルキル基又は、フルオロ
クロロアルキル基である。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に食塩電気分解
の用途に有用なイオン交換膜に関する。
【0002】
【従来の技術】食塩電解用隔膜に使用されるイオン交換
膜として、カルボン酸基を有するペルフルオロカーボン
ポリマー層(以下、カルボン酸層)とスルホン酸基を有
するペルフルオロカーボンポリマー層(以下、スルホン
酸層)の少なくとも2層以上を積層した膜が有効である
ことは、当該分野で公知である。その代表的な例として
Nafion<登録商標>(米国DuPont社製
)、Aciplex<登録商標>(旭化成社製)、F
lemion<登録商標>(旭硝子社製)等がある。
【0003】ところで、このような膜を用いた電解槽に
おいては、電流効率の向上と電解電圧の低減による電力
原単位低減、及び膜の耐久性向上が課題であった。従
来、特定の性質を有する複数のポリマーを特定の順番で
積層した膜を使用する事で、この問題の解決が図られて
きた。特開昭60−243129号公報には、カルボン
酸層を2層積層し、かつ第2の層が全体の膜厚みの大き
な部分を占める主体層である膜が開示されている。ま
た、特開昭63−6029号公報には、カルボン酸層2
層に、さらに抵抗の低い第3の層を積層する構成が開示
されている。第3の層を設けて厚みが増すにもかかわら
ず、電圧が低下する効果が示されている。これらのう
ち、特に特開昭63−6029号公報には、第1の層と
第2の層に使用されるポリマーは同じ種類のものが好ま
しい旨記載されている。また、上記2件の実施例のすべ
てが同種のポリマーを使用している。
【0004】異種のポリマーを積層する例として、特開
昭63−8425号公報には、カルボン酸層、スルホン
酸層に、さらに抵抗の低い第3の層を積層する構成が開
示されている。第3の層を設けて厚みが増すにもかかわ
らず、強度が変わらずに電圧が低下する効果が示されて
いる。特表昭58−501821号公報にも、カルボン
酸層、スルホン酸層に、さらに抵抗の低いスルホン酸層
を積層する構成が開示されている。
【0005】一方、特開昭63−113029号公報に
は、カルボン酸層、抵抗の低い第2の層、さらに抵抗の
低い第3の層を積層する構成が開示されている。上記発
明と同様に、第3の層を設けて厚みが増すにもかかわら
ず、強度が変わらずに電圧が低下する効果が示されてい
る。しかし、同公報の実施例で開示されているのはカル
ボン酸層とスルホン酸層、もしくはカルボン酸/スルホ
ン酸ポリマーのブレンド層との組み合わせ、カルボン酸
層2層でも同じポリマー種でイオン交換容量の異なるポ
リマーの積層である。
【0006】また、特開昭61−1951318号公報
には第2の層のカルボン酸層の抵抗が第1の層よりも高
い膜が開示されているが、これは高濃度アルカリ生成用
に使用する提案である。しかし、いずれの発明において
も製品となる水酸化アルカリ中の不純物である塩化アル
カリ濃度、すなわち食塩電解なら水酸化ナトリウム中の
食塩濃度を低減するという課題を解決できるものはなか
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高い電流効率
と低い電気抵抗を有し、かつ強度のバランスに優れ、そ
の上、製品水酸化アルカリ中の塩化アルカリ濃度を低減
することのできるイオン交換膜を提供することを課題と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定のポ
リマーからなる層を積層して得られる含フッ素ポリマー
積層膜が、当該課題克服に著しく効果があることを見出
し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、 (1)下記式1で表される繰り返し単位を含むポリマー
からなる第1の層と、下記式2で表される繰り返し単位
を含むポリマーからなる第2の層の、少なくとも2層か
らなることを特徴とするイオン交換膜。
【0009】
【化5】
【0010】(式中、−Yは、−COOH、−CN、−
COF、−COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル
基)である。aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、c
は0または1であり、且つa+b+c≠0であり、nは
1〜6の整数である。Xは、Cl、BrまたはFのいず
れか一種、または複数種の組合せである。RtおよびR
t’はいずれも1〜10個の炭素原子を有するパーフル
オロアルキル基又は、フルオロクロロアルキル基群の中
から選択される置換基である。)
【0011】
【化6】
【0012】(式中、−Y’は、−SO3 H、−SO2
F、−SO3 Na、−SO3 K、−SO2 NH2 、−S
2 NH4 である。a’は0〜6の整数、b’は0〜6
の整数、c’は0または1であり、且つa’+b’+
c’≠0である。Rt’’およびRt'''はいずれも1
〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基又
は、フルオロクロロアルキル基群の中から選択される置
換基である。) (2)下記式3で表される繰り返し単位を含むポリマー
からなる第1の層と、下記式4で表される繰り返し単位
を含むポリマーからなる第2の層の、少なくとも2層か
らなることを特徴とするイオン交換膜。
【0013】
【化7】
【0014】(式中、−Y''は、−COOH、−CN、
−COF、−COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル
基)である。)
【0015】
【化8】
【0016】(式中、−Y'''は、−SO3 H、−SO
2 F、−SO3 Na、−SO3 K、−SO2 NH2 、−
SO2 NH4 である。) (3)第1の層の厚みが第2の層よりも薄い請求項1ま
たは2記載のイオン交換膜、に関する。上記(1)、特
に(2)に記載のポリマーの組み合わせで構成された場
合に限って、おのおの単独のポリマーからなる積層膜に
比べて、それらの平均的な電気抵抗と強度のバランスか
らはずれ、明らかに優れた膜が得られるのである。その
理由については、第1の層を構成する式1の繰り返し単
位を有するポリマーが電流効率を発現するのに有利なミ
クロ構造を有し、一方、第2の層を構成する式2の繰り
返し単位を有するポリマーが強度を高め、電気抵抗を低
くし得るだけでなく、製品水酸化アルカリ中の塩化アル
カリ濃度を著しく低減するミクロ構造を有しているので
あろうと推測している。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳述する。第
1の層を構成する前記式1で表される繰り返し単位を含
むポリマーは、下記式5で表される含フッ素モノマーの
一種以上を使用し、これに後述のモノマー群から選ばれ
る一種類または二種類以上のモノマーとを共重合して得
られる。
【0018】
【化9】
【0019】(式中、−Yは、−COOH、−CN、−
COF、−COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル
基)である。aは0〜6の整数、bは0〜6の整数、c
は0または1であり、かつa+b+c≠0であり、nは
0〜6の整数である。Xは、Cl、BrまたはFのいず
れか一種、または複数種の組合せである。RtおよびR
t’はいずれも1〜10個の炭素原子を有するパーフル
オロアルキル基又は、フルオロクロロアルキル基群の中
から選択される置換基である。) この中で、特にa=2、b=c=0、n=1、X=F、
Y=COORで表されるモノマーが好ましく用いられ
る。
【0020】式4で表されるモノマーに共重合させるモ
ノマーとしては、テトラフルオロエチレン、トリフルオ
ロモノクロロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化
ビニリデン、1,1−ジフルオロ−2,2−ジクロロエ
チレン、1,1−ジフルオロ−2−クロロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3−ペンタ
フルオロプロピレン、オクタフルオロイソブチレン、エ
チレン、塩化ビニルおよびアルキルビニルエステル等が
挙げられるが、テトラフルオロエチレンが好ましい。
【0021】第2の層を構成する前記式2で表される繰
り返し単位を有するポリマーは、下記式6で表される含
フッ素モノマーの一種以上を使用し、これに後述のモノ
マー群から選ばれる一種類または二種類以上のモノマー
とを共重合して得られる。
【0022】
【化10】
【0023】(式中、−Y' は、−SO3 H、−SO2
F、−SO3 Na、−SO3 K、−SO2 NH2 、−S
2 である。a' は0〜6の整数、b' は0〜6の整
数、c' は0または1であり、かつa' +b' +c' ≠
Oである。 Rt''およびRt''' いずれも1〜10個
の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基又は、フル
オロクロロアルキル基群の中から選択される置換基であ
る。) この中でも、特にa' =2、b' =c' =0、Y' =−
SO2 Fで表されるモノマーが好ましく用いられる。
【0024】式6で表されるモノマーに共重合させるモ
ノマーとしては、テトラフルオロエチレン、トリフルオ
ロモノクロロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化
ビニリデン、1,1−ジフルオロ−2,2−ジクロロエ
チレン、1,1−ジフルオロ−2−クロロエチレン、ヘ
キサフルオロプロピレン、1,1,1,3,3−ペンタ
フルオロプロピレン、オクタフルオロイソブチレン、エ
チレン、塩化ビニルおよびアルキルビニルエステル等が
挙げられるが、テトラフルオロエチレンが好ましい。
【0025】本発明のイオン交換膜は少なくともこの2
つの層を有している。食塩電解用途に本発明のイオン交
換膜を使用する場合は、陰極側に第1の層、陽極側に第
2の層を配置することが好ましい。これらの層は隣接し
ていてもいなくても良いが、隣接する層との間に電気的
に不導部分となる隙間がないよう、互いに接着接触して
積層されているのが好ましい。層間に隙間が存在すると
その部分が電解装置の電圧上昇の原因となることがあ
る。また、積層された各層は使用中に剥離するようなこ
とがあってはならない。層間に気泡などが存在しないよ
うに後述する熱をかけた状態でのプレス、同時押し出し
などの方法により、積層膜を得るのが好ましい。
【0026】各層の、官能基を有する含フッ素ポリマー
のイオン交換容量は、膜に充分な電気伝導性、及び機械
強度を与えるために、0.50〜2.00ミリ当量/g
であることが好ましく、更に好ましくは0.70〜1.
50ミリ当量/gである。本発明のイオン交換膜は、含
フッ素重合体フィルムを、一般に2層、または3層積層
することにより製造される。これらの積層構造におい
て、 各層を形成する含フッ素重合体フィルムの厚さ
は、第1層は約10μm〜約50μmであり、第2層は
約25μm〜約150μmである。
【0027】本発明においては、第1の層の厚みが第2
の層よりも薄いことが好ましい。第1の層が厚いと電気
抵抗が高く成りやすい。なお、本発明において、これら
の層においてはそれぞれ上記ポリマーが主体的に使われ
るのであって、例えばそれら以外のポリマーのブレンド
を除外するものではない。たとえば、ポリテトラフルオ
ロエチレンなどのポリマーをブレンドすることで強度の
向上を図ることは可能である。
【0028】第2の層は、さらにその内部でイオン交換
容量の異なる複数の層から形成されていても良い。その
場合、陽極側に、よりイオン交換容量の大きいポリマー
からなる層が積層されていることが電圧低減の上から好
ましい。また、第1の層と第2の層の中間に第1の層の
構成ポリマーと第2の層の構成ポリマーをブレンドした
層を設けること、あるいは第1の層を構成するモノマー
と、第2の層を構成するモノマーをテトラフルオロエチ
レンモノマーなどと共重合したポリマーを用いることも
可能であり、2層の剥離耐性を向上させる上で好まし
い。
【0029】以下に述べる補強材の埋め込み位置を制御
するためには、第2層が2以上の層として形成されるこ
とが好ましい。その場合、第2層−1と第2層−2によ
って補強材を挟み込むようにして埋め込むことができ
る。本発明のイオン交換膜では、膜の強度向上に寄与さ
せるための補強材が介在してもよい。この補強材は特
に、フィルムに穴があいたような場合に、その穴が成長
して伝搬することを防止する役割を果たす。補強材の形
状に特に制限はないが、その厚みは好ましくは25μm
〜125μm、更に好ましくは50μm 〜75μmで
ある。また、成型加工性の良さから、一般に織布または
不織布が好ましい。この場合、これらの布は、以下に述
べる強化繊維及び/または仮補強繊維からなる。
【0030】強化繊維の素材に特に制限はないが、含フ
ッ素重合体がその大きな強度および化学的な安定性から
特に適している。典型的には、そのような重合体にはテ
トラフルオロエチレンから作られる単独重合体及びテト
ラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン及び/
またはアルキル基炭素原子数が1〜10個のペルフルオ
ロアルキルビニルエーテル、例えば、ペルフルオロプロ
ピルビニルエーテル、との共重合体が包含される。最も
好適な素材の例はポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)である。
【0031】強化繊維は単フィラメントであっても、ま
たマルチストランドであってもよい。強化繊維には撚り
をかけてもよい。多孔質のPTFE糸が好ましく用いら
れる。さらに高密度の非多孔質単フィラメントが本発明
では好ましく用いられる。この非多孔質単フィラメント
はポリテトラフルオロエチレンからなり、見掛け比重が
2以上であることが特徴である。
【0032】例えば特開平2−127509に開示され
ている結晶化度が85%以上、繊維軸方向の配向度が
0.9以上、DSCによる昇温(10℃/分)時の吸熱
第1ピークが345±5℃、吸熱第2ピークが380±
5℃であり、見掛け比重が2.15〜2.30(g/c
3)であるメルトドロー糸などが挙げられるが、これ
に限定はされない。上記含フッ素重合体からなる、強化
繊維の径に特に制限はないが、織布、及び積層後の膜に
充分な強度をもたせるためには、20〜600デニルが
好ましく、更に好ましくは40〜200デニルである。
本発明では、樹脂層の強度が高いので、補強材強度が下
がっても膜としての強度を維持できる。強化繊維が細く
できれば、電圧上昇の原因となる影の部分が少なくなる
上、塩水中の不純物、特に陰イオンの蓄積が起こりにく
くなる。
【0033】仮補強繊維は、天然又は合成高分子からな
る繊維であり、好適な素材としては、木綿、リンネル、
絹、レーヨン、6ー6ナイロン、ポリエチレンテレフタ
レート、及びポリアクリロニトリルがある。これらの仮
補強繊維は、1〜20の範囲内で径の縦横比を任意に選
択でき、長方形、卵形、三角形、星形、又は楕円形の断
面を有することができる。レーヨン繊維又は再生セルロ
ースフィルムから切り取った細いリボンは、例えば約4
0〜100デニルのものが好適に使用される。仮補強繊
維は好ましくは、12μm〜63μm、更に好ましくは
25μm 〜38μmの厚さを有することができる。
【0034】上記フッ素強化繊維と仮補強繊維からなる
織布としては、通常のバスケット織りやレノ織りのよう
な織り方が適当である。仮補強繊維も単フィラメントで
あっても、またマルチストランドであってもよく、撚り
をかけてもよい。膜の電気抵抗を低く抑える目的で、膜
のイオン交換能を阻害することなく仮補強繊維を膜から
除去することができる。仮補強繊維の除去は、一般に知
られた化学的方法で行えば良く、例えば、素材がレーヨ
ンの様なセルロース系の場合、次亜塩素酸ナトリウムを
用いて除去することができる。
【0035】この場合、織布から仮補強繊維を除去した
後の織布中の開口率は、50%〜95%の範囲であり、
開口率が大きいほど、電気抵抗抑制効果も大きい。本発
明では、この開口率を特に高くすることができ、80%
〜95%の範囲が好ましく用いられる。本願で言う開口
率とは、織布単位面積当たりの織布内、隣接繊維間の開
口域面積である。不織布の場合、適当な成分繊維の薄い
開口したシートも使用できる。
【0036】仮補強繊維は上記織布の中だけでなく、積
層する膜の中に単独に埋めこまれていてもよい。補強材
中の仮補強繊維が除去された跡の孔と、単独に埋め込ま
れた仮補強繊維が除去された跡の孔とが互いに連通する
ことが望ましい。さらに本発明のイオン交換膜は従来公
知の無機物層をその最外層に形成することが好ましい。
次に、本発明のイオン交換膜の代表的製造方法について
述べる。
【0037】本発明の膜は、式1で表される繰り返し単
位を含む含フッ素ポリマーからなる第1の層、式2で表
される繰り返し単位を含む含フッ素ポリマーからなる第
2の層の2層を貼り合わせることによって得られる。通
常、2枚のフィルムを積層して熱をかけ、場合によって
は圧力をかけてラミネートするが、式1で表される繰り
返し単位を含む含フッ素ポリマーと、式2で表される繰
り返し単位を含む含フッ素ポリマーを、スリット状ダイ
スからいずれのポリマーの融点よりも高い温度で共押し
出しすることがより好ましい。この方法によれば、別々
に製膜したフィルムをあとで積層して熱をかけてラミネ
ートするよりも、電解したあとの2つの層の剥離強度が
高くなる。
【0038】融点は使用するポリマーの構造とイオン交
換容量によって変わるが、通常200℃〜300℃であ
る。2つまたは3つの層を同時に積層するには、2層
用、3層用のダイスを用いる。通常はコートハンガー状
のダイスで、ポリマーの分解で発生しうるフッ化水素に
耐える素材、たとえばハステロイ、インコネルなどの合
金で構成するか、少なくとも樹脂が接する表面に硬質ク
ロムメッキを施すことが好ましく、ニッケル系のメッキ
がさらに好ましい。
【0039】押し出された積層フィルムはキャストロー
ルなどで引きとられ、合い紙とともに巻き取られる。そ
の上で、こうして得られた積層フィルムとそれ以外の含
フッ素ポリマーフィルムを、必要であればその間に補強
材を介して互いに溶融接着させて、単一の膜構造体を形
成する。成型温度は、通常約200〜300℃の範囲で
あるが、より正確には、用いる含フッ素ポリマーの性
質、フイルム成分層と支持体部材間の接着性、溶融状態
における含フッ素ポリマーの流動性を考慮して最適化さ
れる。いずれにしても、最終的に均一な厚みを有する成
形膜が得られる成形温度が選択される。
【0040】成形圧力は、通常約2×104パスカル程
度の低い圧力から107パスカルを超える圧力まで使用
できる。上記のイオン交換膜は、この後、その用途に応
じて化学的手法により、膜中の官能基を別種の官能基に
転化することができる。例えば、電解膜を食塩電解の隔
膜として用いる場合には、膜の官能基を全てスルホン酸
基及びカルボン酸基、又はそのアルカリ金属塩等の、水
溶液中でイオン化しうる官能基に転化することができ
る。
【0041】かかる転化は、通常、酸又は塩基の存在下
での加水分解により行うことができる。仮補強繊維の膜
からの除去は、この官能基転化の前後、いずれの段階で
おこなっても良いが、仮補強繊維が加水分解可能な素材
からなる場合、この官能基転化の加水分解過程で、仮補
強繊維の除去を同時におこなうこともできる。さらに、
本発明のイオン交換膜の表面に無機物を塗布するなど、
気泡の付着を妨げる従来公知の技術を組み合わせること
が好ましい。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例を挙げて、
本発明をさらに具体的に説明する。なお、45度方向の
引っ張り破断強度、電解評価は以下のように行った。積
層イオン交換膜の45度引っ張り破断強度は、テンシロ
ン(オリエンテック製RTC−1210)を用いて測定
した。試料となる湿潤させた積層イオン交換膜は、芯材
が45度方向のメッシュになるようにした状態で幅1c
m、長さ10cmに切断した試験片で、両端を保持し、
試料長は5cmとして室温、100mm/分の速度で伸
張した。破断に至る前の最高値をもって破断強度とし
た。
【0043】積層イオン交換膜の電解評価において、電
流効率と電解電圧は面積100cm 2 の電解セルで測定
した。陽極室には3.5Nの塩化ナトリウム水溶液、陰
極室には32%水酸化ナトリウム水溶液を循環し膜を挟
んで接触させ、液漏れが無いように固定、90℃、4k
A/m2 で運転した。電流効率は、流した電流値、時間
から理論的に得られるべき水酸化ナトリウムの重量に対
する実際に得られた重量の比である。また、生成する水
酸化ナトリウム中の食塩濃度はイオンクロマトグラフ法
によって求め、50%水酸化ナトリウム溶液ベースに換
算した。
【0044】
【実施例1】第1の層形成ポリマーとしてカルボン酸メ
チルエステル基を有するペルフルオロカーボンモノマー
(式5において、Y=COOCH3、a=2、b=c=
0、n=1、X=F)とテトラフルオロエチレンの共重
合体(旭化成製)、第2の層形成ポリマーとしてスルホ
ニルフロライド基を有するペルフルオロカーボンモノマ
ー(式6において、Y’=SO2F、 a’=2、b’=
c’=0)とテトラフルオロエチレンの共重合体(旭化
成製)を得た。
【0045】これらのポリマーを280℃で共押し出し
積層したフイルム(A)を作成した。第1の層は膜厚2
5μm、交換容量0.92ミリ当量/gであり、第2の
層は膜厚75μm、交換容量1.25ミリ当量/gであ
った。一方、第2の層を形成するポリマーと同じポリマ
ーで交換容量1.25ミリ当量/g、膜厚25μmのフ
イルム(B)を作成した。強化繊維としてポリテトラフ
ルオロエチレン繊維(150デニル、太さ110μm)
を用い、平織り方式で16メッシュ/インチの補強材用
の織布を作成した。このとき、仮補強繊維として、ポリ
エチレンテレフタレートの繊維を同時に織り込んだ。開
口率は85%であった。
【0046】フィルム(A)の第2の層側とこの補強材
が接するようにして、フィルム(A)と(B)で補強材
をはさみ、加熱して積層した。 得られた積層膜の両面
に、酸化ジルコニウムを主成分とする無機物層をコーテ
ィングした。ひきつづき、水酸化カリウム(和光純薬株
式会社製特級)30重量%、ジメチルスルホキシド(和
光純薬株式会社製一級)5重量%の混合水溶液に漬け、
90℃、1時間反応させた。これにより、スルホニルフ
ルオライド型の官能基がスルホン酸カリウム型に変換し
た。充分純水で洗浄した後、0.5NNaOH水溶液に
漬け、85℃、30分保持し、スルホン酸ナトリウム型
とした。
【0047】フィルムB側を陽極側として食塩電解を行
った。測定条件は陽極液に3.5NNaCl水溶液、陰
極液に32%NaOH水溶液とし、90℃の液温度で行
った。その結果、電流効率は97%、電解電圧は2.8
8Vであった。引っ張り強伸度測定(縦及び横の補強材
糸に対して45度方向)における破断強度は2.3kg
/cmであった。製品水酸化ナトリウム溶液中の食塩濃
度は7ppmであった。
【0048】
【比較例1】フィルム(A)の第2の層形成ポリマーと
して、下記式7で表されるペルフルオロカーボンモノマ
ー(Y=SO2Fである。)とテトラフルオロエチレン
の共重合体(旭化成製)を用い、また、同じポリマーで
フィルム(B)を製膜した以外は、全て実施例1と同じ
条件で製膜、電解、強度評価を行った。なお、第2層形
成ポリマーのイオン交換容量は1.15ミリ当量/gで
あった。実施例1において使用した第2層ポリマーと同
じモノマー組成モル比である。
【0049】
【化11】
【0050】この積層膜の電流効率は97%、電解電圧
は2.96Vであり、破断強度は1.8kg/cmであ
った。製品水酸化ナトリウム溶液中の食塩濃度は25p
pmであった。実施例1に比べて電圧は高く、食塩濃度
も高かった。
【0051】
【実施例2】強化繊維として非多孔質ポリテトラフルオ
ロエチレン製単フィラメント(45デニル、太さ30μ
m)を用い、平織り方式で36メッシュ/インチの補強
材用の織布を作成した以外は実施例1と全く同じ条件で
製膜、電解、強度評価を行った。なお、開口率は92%
であった。その結果、電流効率は97%、電解電圧は
2.85Vであった。引っ張り強伸度測定(縦及び横の
補強材糸に対して45度方向)における破断強度は2.
0kg/cmであった。製品水酸化ナトリウム溶液中の
食塩濃度は6ppmであった。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、高い電流効率を有しつ
つ、さらに低い電気抵抗と強度のバランスに優れ、その
上、製品となる水酸化アルカリ中の塩化アルカリ濃度の
低いイオン交換膜が得られる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式1で表される繰り返し単位を含む
    ポリマーからなる第1の層と、下記式2で表される繰り
    返し単位を含むポリマーからなる第2の層の、少なくと
    も2層からなることを特徴とするイオン交換膜。 【化1】 (式中、−Yは、−COOH、−CN、−COF、−C
    OOR(Rは炭素数1〜10のアルキル基)である。a
    は0〜6の整数、bは0〜6の整数、cは0または1で
    あり、且つa+b+c≠0であり、nは0〜6の整数で
    ある。Xは、Cl、BrまたはFのいずれか一種、また
    は複数種の組合せである。RtおよびRt’はいずれも
    1〜10個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基
    又は、フルオロクロロアルキル基群の中から選択される
    置換基である。) 【化2】 (式中、−Y’は、−SO3 H、−SO2 F、−SO3
    Na、−SO3 K、−SO2 NH2 、−SO2 NH4
    ある。a’は0〜6の整数、b’は0〜6の整数、c’
    は0または1であり、且つa’+b’+c’≠0であ
    る。Rt''およびRt'''はいずれも1〜10個の炭素
    原子を有するパーフルオロアルキル基又は、フルオロク
    ロロアルキル基群の中から選択される置換基である。)
  2. 【請求項2】 下記式3で表される繰り返し単位を含む
    ポリマーからなる第1の層と、下記式4で表される繰り
    返し単位を含むポリマーからなる第2の層の、少なくと
    も2層からなることを特徴とするイオン交換膜。 【化3】 (式中、−Y''は、−COOH、−CN、−COF、−
    COOR(Rは炭素数1〜10のアルキル基)であ
    る。) 【化4】 (式中、−Y'''は、−SO3 H、−SO2 F、−SO
    3 Na、−SO3 K、−SO2 NH2 、−SO2 NH4
    である。)
  3. 【請求項3】 第1の層の厚みが第2の層よりも薄い請
    求項1または2記載のイオン交換膜。
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