JP2002248755A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JP2002248755A
JP2002248755A JP2001051426A JP2001051426A JP2002248755A JP 2002248755 A JP2002248755 A JP 2002248755A JP 2001051426 A JP2001051426 A JP 2001051426A JP 2001051426 A JP2001051426 A JP 2001051426A JP 2002248755 A JP2002248755 A JP 2002248755A
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JP
Japan
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ink
recording apparatus
head
jet recording
nozzle
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Application number
JP2001051426A
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English (en)
Inventor
Mikio Ohashi
幹夫 大橋
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速高密度記録ができない。 【解決手段】 吐出された1つのインク滴が飛翔中に複
数のインク滴に分離する駆動波形をヘッド40に印加す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェット記録装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力
室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク
流路内のインクを加圧する駆動手段とを備えたインクジ
ェットヘッドを搭載したものである。
【0003】インクジェットヘッドとしては、インク流
路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギ
ー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面
を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化
させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの
(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵
抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発
生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆ
るバブル型のもの(特開昭61−59911号公報参
照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対
向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によ
って振動板を変形させることで、インク流路内容積を変
化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6
−71882号公報参照)などが知られている。
【0004】ところで、インクジェット記録装置におい
ては高速での高画質記録が要求されていることから、特
開平9−57966号公報に記載されているようにイン
ク滴を吐出するノズル数を増加させたヘッドを用いたも
の、特開平9−254381号公報に記載されているよ
うにヘッドの駆動周波数を高めたものなどが知られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のインクジェット記録装置のうちのノズル数を増
加させたヘッドを搭載したものにあっては、ノズル数を
増加させることによって高速印字は可能となるものの、
ノズル数を増加させることでヘッドの形状が大きくな
り、構成も複雑で、ノズルのインクによる目詰まり等も
増加し、製造上の歩留まりも低下するという課題があ
る。
【0006】特に、上述した公報に記載のヘッドでは、
1つの圧力発生部に複数のノズルを形成してインク吐出
を行っているので、ヘッド構成が極めて複雑になり、製
造工程もより煩雑となる。
【0007】しかも、一般的に、ノズル数を増加させる
場合、ノズル列方向にノズル数を増加させるので、印字
の副走査方向への印字速度は向上するものの、印字の主
走査方向への印字速度の向上は期待できない。それは,
ノズル数やノズル密度を増加させて印字密度が高くなれ
ばなるほど顕著に現れ、より一層主走査方向への印字速
度の低下を招く原因となってしまうという課題がある。
【0008】一方、インクジェットヘッドにおいては、
一般的に、1つの印字信号に対して1滴のインク吐出を
行った後、インク流路(吐出室)内に発生するインクの
残留振動を速やかに減衰させることにより、不要なイン
ク滴の吐出を防止して、インク滴の高速吐出(高周波数
駆動)を可能とし,高速印字を行うことが可能となる。
【0009】しかしながら、上述した従来のヘッドの駆
動周波数を高くしたインクジェット記録装置にあって
は、インク吐出室内に発生するインクの残留振動を速や
かに減衰させるために,ヘッドの駆動手段に対して非常
に複雑な駆動信号波形を印加する必要があり、そのよう
な駆動波形を発生させる駆動回路の構成も、また、煩雑
でコスト高となるという課題がある。
【0010】また、上述した公報に記載の記録装置で
は、インク吐出用の駆動電圧を印加した後に、インク吐
出室内の圧力が正圧になるのを待ってからインクの残留
振動を抑制するための補助電圧を再び印加しているた
め、1滴のインクを吐出するのに要する駆動電圧の時間
幅が比較的長くなり、より高い繰り返し駆動周波数で印
字することが困難となってしまっているという課題があ
る。
【0011】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、簡単な構成で安定したインク滴吐出特性が得ら
れ、高速、高密度記録が可能なインクジェット記録装置
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るインクジェット記録装置は、ヘッドの
駆動手段に対してノズルから吐出された1つのインク滴
が飛翔中に複数のインク滴に分離される駆動波形を印加
する手段を備えたものである。
【0013】ここで、駆動波形は前記ノズルから吐出さ
れた1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離す
る吐出速度でインク滴を吐出させる波形であることが好
ましい。この場合、駆動波形の電圧値が前記ノズルから
吐出された1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に
分離する吐出速度になる値に設定されるか、或いは、駆
動波形の電圧印加時間が前記ノズルから吐出された1つ
のインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する吐出速
度になる値に設定されることが好ましい。
【0014】また、インクの粘度がノズルから吐出され
た1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する
粘度であることが好ましい。
【0015】さらに、ヘッドの駆動手段はインク流路の
壁面を形成する振動板に対向する電極を備えていること
が好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係るインクジ
ェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機
構部の側面説明図である。
【0017】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キ
ャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録
ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカート
リッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カ
セット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を
取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した
後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0018】印字機構部2は、図示しない左右の側板に
横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイ
ドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で
紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ1
3にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
インクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐
出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側に
はヘッド14に各色のインクを供給するための各インク
タンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着し
ている。
【0019】インクカートリッジ15は上方に大気と連
通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へイ
ンクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された
多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインク
ジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧
に維持している。このインクカートリッジ15からイン
クをヘッド14内に供給する。
【0020】ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド1
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ1
7で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19と
の間にタイミングベルト20を張装し、このタイミング
ベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モ
ータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動さ
れる。
【0021】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノ
ズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド1
4としては、後述するように、インク流路の壁面の少な
くとも一部を形成する振動板とこれに対向する電極とを
備え、静電力で振動板を変形変位させてインクを加圧す
る静電型インクジェットヘッドを用いている。ただし、
これに限るものではなく、圧電素子を用いてインク流路
の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積
を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型の
もの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でイン
クを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク
滴を吐出させるいわゆるバブル型のものを用いることも
できる。
【0022】一方、給紙カセット4にセットした用紙3
をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット
4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリク
ションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23
と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ
24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬
送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し
角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ロー
ラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0023】そして、キャリッジ13の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙
3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材
である印写受け部材29を設けている。この印写受け部
材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ
送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32
を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ロ
ーラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部
材35,36とを配設している。
【0024】記録時には、キャリッジ13を移動させな
がら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することに
より、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を
記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記
録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した
信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を
排紙する。
【0025】また、キャリッジ13の移動方向右端側の
記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回
復するための回復装置37を配置している。回復装置3
7は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有
している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装
置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14を
キャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
る(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘
度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0026】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チ
ューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気
泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等は
クリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0027】次に、このインクジェット記録装置のヘッ
ド14を構成するインクジェットヘッドについて図3及
び図4を参照して説明する。なお、図3はインクジェッ
トヘッドの振動板長手方向の断面説明図、図4は同ヘッ
ドの振動板短手方向の要部拡大断面図である。
【0028】このインクジェットヘッドは、振動板/液
室基板である第1基板41と、この第1基板41の下側
に設けた電極基板である第2基板42と、第1基板41
の上側に設けた蓋部材である第3基板43とを備え、複
数のインク滴を吐出するノズル溝44、各ノズル溝44
が連通するインク流路である加圧室(吐出室ともい
う。)46、各加圧室46にインク供給路を兼ねた流体
抵抗部47を介して連通する共通液室流路48などを形
成している。
【0029】第1基板41には、単結晶シリコン基板を
用いて、一端にノズル溝44を形成し、更にこのノズル
溝44に連通する加圧室46及びこの加圧室46の壁面
である底部をなす振動板50を形成する凹部と、流体抵
抗部47を形成する溝と、共通液室流路48を形成する
凹部とを形成している。
【0030】なお、第1基板41に単結晶シリコン基板
を用いることで、数μm程度の厚さの薄い振動板50を
エッチングで作製する際の加工が容易になり、また、数
μm程度の微小ギャップを高精度に第2基板42との陽
極接合で形成することができる。さらに、振動板50を
振動させる際には、電極に電圧を印加して静電気力を発
生させる必要性があるが、シリコンは半導電性であるた
め、その振動板50が電極を兼ねることができて振動板
50側に別個に電極を設ける必要性がない等の利点があ
る。
【0031】第2基板42には、パイレックス(登録商
標)ガラス(硼珪酸系ガラス)を用いて凹部54を形成
し、この凹部54底面に、振動板50にギャップ56を
置いて対向する個別の電極55を例えば金等をスパッタ
して形成し、これらの振動板50と電極55とによって
アクチュエータ部を構成している。なお、電極55は外
部に延設して電極端子部55aを一体形成している。ま
た、第2基板42にパイレックスガラスを用いることで
シリコン基板との陽極接合が容易になる。
【0032】また、電極55表面には電極55の耐久性
を向上させるためにSiO膜などの誘電絶縁層(酸化
膜系絶縁膜)或いはSi3膜などの窒化膜系絶縁膜か
らなる電極保護膜57を成膜しているが、電極55表面
に電極保護膜57を形成しないで、或いは、電極55表
面に電極保護膜57を形成するとともに振動板50側に
絶縁膜を形成することもできる。
【0033】第3基板43にはステンレス基板を使用
し、接着剤にて第1基板41と接合する。この第3基板
43の接合によって、ノズル溝44、吐出室46、流体
抵抗部47及び共通液室流路48が構成される。また、
第3基板43には、共通液室流路48に外部からインク
を供給するためのインク供給口61を形成し、このイン
ク供給口61に接続したインク供給パイプ62を介して
前述したインクカートリッジ15からインクが供給され
る。
【0034】次に、第1基板41と第2基板42との接
合方法について述べる。静電型インクジェットヘッドの
ように数μm程度の微少なギャップを高精度に形成し、
組み立てる(接合する)方法としては陽極接合法を利用
するのが好適である。この陽極接合法は、他の接合法
(ろう接、融接等)と比較して、よりギャップの寸法精
度の確保が期待でき、第1基板41と第2基板42の間
に電圧印加(−300V〜−500V程度)することに
より、比較的低温(300〜400℃)で精密な接合が
できる。
【0035】このような陽極接合を確実に行うには、第
1基板41と第2基板42との接合界面で、その基板同
士の共有結合が生じるように第1基板41、あるいは第
2基板42のどちらかがアルカリイオンを多く含む基板
である必要があり、また、陽極接合する際、熱応力によ
る基板同士の歪みが少なくなるように基板同士の熱膨張
係数が比較的一致している材料を選択することが好まし
い。
【0036】本実施形態では、上述したように第1基板
41に単結晶のシリコン基板を使用し、第2基板42に
Na等のアルカリイオンを多く含み、シリコン基板と比
較的熱膨張係数が一致するパイレックスガラス(硼珪酸
系ガラス)基板を使用するため、基板同士の熱歪みの少
ない確実な接合が得られる。
【0037】次に、このインクジェット記録装置の制御
部の概要について図5を参照して説明する。この制御部
は、この記録装置全体の制御を司るマイクロコンピュー
タ(以下、「CPU」と称する。)80と、所要の固定
情報を格納したROM81と、ワーキングメモリ等とし
て使用するRAM82と、ホスト側から転送される画像
データを処理したデータを格納する画像メモリ83と、
パラレル入出力(PIO)ポート84と、入力バッファ
85と、パラレル入出力(PIO)ポート86と、波形
生成回路87と、ヘッド駆動回路88及びドライバ89
等を備えている。
【0038】ここで、PIOポート84にはホスト側か
ら画像データなどの各種情報、図示しない操作パネルか
らの各種指示情報、用紙の始端、終端を検知する紙有無
センサからの検知信号、キャリッジ13のホームポジシ
ョン(基準位置)を検知するホームポジションセンサ等
の各種センサからの信号等が入力され、またこのPIO
ポート84を介してホスト側や操作パネル側に対して所
要の情報が送出される。
【0039】また、波形生成回路87は、ヘッド14の
振動板50と電極55との間に、振動板50をインク滴
が吐出するだけの変位量、タイミングで電極55側に変
位させる駆動波形を発生する。この波形生成回路87と
しては、CPU80からの駆動波形データをD/A変換
するD/A変換器を用いることで、簡単な構成で所要の
駆動波形を生成出力することができる。
【0040】ヘッド駆動回路88は、PIOポート86
を介して与えられる各種データ及び信号に基づいて、ヘ
ッド14の各ノズル溝44に対応するエネルギー発生手
段(振動板50と電極55)に対して駆動波形を印加す
る。さらに、ドライバ89は、PIOポート86を介し
て与えられる駆動データに応じて主走査モータ17及び
副走査モータ27を各々駆動制御することで、キャリッ
ジ13を主走査方向に移動走査し、搬送ローラ24を回
転させて用紙3を所定量搬送させる。
【0041】次に、この制御部におけるヘッド駆動制御
部に係わる部分について図6のブロック図を参照して説
明する。このヘッド駆動制御部は、前述したCPU8
0、ROM81、RAM82及び周辺回路等を含む主制
御部91と、波形生成回路87と、アンプ92と、駆動
回路(ドライバIC)93等とを備えている。
【0042】主制御部91は、波形生成回路87に対し
てヘッドの電極55へ印加する駆動波形を生成するため
のデータを与え、ドライバIC93に対して印字信号
(シリアルデータである)SD、シフトクロックCL
K、ラッチ信号LATなどを与える。波形生成回路87
は、前述したようにインクジェットヘッドのアクチュエ
ータ部に対してノズル44からインク滴を吐出させるエ
ネルギーを発生させる駆動波形を時系列で発生する。す
なわち、主制御部91と波形生成回路87で駆動波形を
生成出力する手段を構成している。
【0043】ドライバIC93は、時系列で入力される
駆動波形を印字信号に応じて選択して、ヘッド14を構
成するインクジェットヘッドの各個別電極55に与える
制御を行う制御手段である。すなわち、ドライバIC9
3は、主制御部91からのシリアルクロックCLK及び
印字信号であるシリアルデータSDを入力するシフトレ
ジスタ95と、シフトレジスタ95のレジスト値を主制
御部91からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回
路96と、ラッチ回路96の出力値をレベル変化するレ
ベル変換回路97と、このレベル変換回路97でオン/
オフが制御されるアナログスイッチアレイ98とからな
る。アナログスイッチアレイ98は、インクジェットヘ
ッド40のm個(ノズル数をm個とする。)の個別電極
55に接続したアナログスイッチAS1〜ASmからな
る。なお、インクジェットヘッドの共通電極となる振動
板50は接地している。
【0044】そして、このシフトレジスタ95にシフト
クロックに応じてシリアルデータ(印字信号)SDを取
込み、ラッチ回路96でラッチ信号LATによってシフ
トレジスタ回路95に取り込んだシリアルデータSDを
ラッチしてレベル変換回路98に入力する。このレベル
変換回路98は、データの内容に応じて各アクチュエー
タ部の個別電極55に接続しているアナログスイッチA
Sm(m=1〜m)をオン/オフする。
【0045】このアナログスイッチASm(m=1〜
m)には波形生成回路87からアンプ92を介して駆動
波形を与えているので、アナログスイッチASm(m=
1〜m)がオンしたときに駆動波形が個別電極55に選
択的に与えられる。
【0046】次に、インクジェットヘッドの動作につい
て図7及び図8をも参照して説明する。このインクジェ
ットヘッドは、電極55にヘッド駆動回路88から正の
パルス電圧が印加されると、電極55の表面がプラス電
位に帯電し、その電極55に対向する振動板50の下面
がマイナス電位に帯電する。したがって、図7(a)に
矢印で示すように、振動板50は静電気の吸引作用(静
電吸引力)により、この振動板50に対向する電極55
方向へ撓む。ここで、振動板50に発生する静電吸引力
Pの大きさは、(1)式のように表される。
【0047】
【数1】
【0048】但し、この(1)式において、εは振動板
50と電極55との間に存在する空気の誘電率、Sは振
動板50と電極55との間に働く静電気力の有効面積、
Vは電極55に印加する駆動電圧値、dは振動板50と
電極55との間の実効的なギャップ距離を示している。
【0049】ここで、実効的なギャップ距離dは、振動
板50と電極部55との間に空気以外の誘電率を有する
物質が介在する場合には、(2)式のように表わされ
る。
【0050】
【数2】
【0051】但し、この(2)式において、dは振動
板50と電極55との間に存在する空隙の距離、dε
振動板50と電極部55との間に存在する誘電絶縁層5
7の厚み、εは誘電絶縁層57の比誘電率を示してい
る。
【0052】即ち、振動板50と電極55との間に、あ
る誘電率を有する物質を介在させると、(2)式に示す
ように、その介在させた誘電物質の厚みdεとその誘電
物質が有する比誘電率εを変化させることによって、
振動板50と電極55との間に発生する電界強度E(E
=V/d)と、それによって生じる静電吸引力PPの大
きさが変化する。
【0053】したがって、(1)式に示すように静電吸
引力PPの大きさは、振動板50と電極55との間の実
効的なギャップ距離dが小さいほど振動板50に大きな
静電引力が働く。また、電極55への駆動電圧値Vを上
昇させるに従って、振動板50が電極55方向へ撓み、
同図(b)、(c)に示すように、振動板50が電極5
5側に誘電絶縁層57を介して接触する。このように振
動板50が電極55に接触した状態を当接状態という。
【0054】また、電極55へのパルス状の電圧となる
パルス電圧の印加をOFFすると、図8(a)〜(c)
に示すように、撓んだ(変形した)振動板50には復元
力PP1が作用しているので、振動板50は復元力PP
1にて復元し、加圧室46内の圧力が急激に上昇するた
め、ノズル溝44よりインク滴65が形成されて用紙3
に向けてインク滴65が吐出される。また、電極55へ
パルス電圧を印加(ON)すると、振動板50が再び電
極部55側の方向へ撓むので、インクが共通液室流路4
8より流体抵抗部47を介して加圧室46内に補給され
る。
【0055】次に、このように構成したインクジェット
記録装置におけるインク滴の分離形成について図9以降
をも参照して説明する。先ず、1印字信号で1つのイン
ク滴を吐出させて複数の小滴を形成する方法について図
9を参照して説明する。本発明は、ヘッドの1つの駆動
手段に対して1印字信号に対応して駆動信号が印加され
ると、同図(a)に示すように、ノズル44から1つの
インク滴Iが吐出速度V0で吐出される。この1つのイ
ンク滴D0は、同図(b)に示すように飛翔中に2つの
インク滴D1、D2に分離して、同図(c)に示すように
所望の吐出速度V1,V2を有した2つのインク滴D1,
D2として飛翔する現象に着目して、この現象を利用す
るものである。
【0056】すなわち、同図(c)に模式的に示すよう
に、1つのインク滴が分離したときに形成される複数の
インク滴は、各々の滴体積がほぼ同等であり、同図
(d)に示すように、被印字媒体である用紙3上の印字
密度(25.4×10-3/δ [dpi])に対応して所定の
時間間隔Tdを保ったまま、複数のインク滴が用紙3上
に着弾される場合には、同図(e)に示すように、その
複数のインク滴を利用して1印字信号に対して一度に複
数の印字画素D1´、D2´でもって印字することが可能
となる。
【0057】また、1つの大きなインク滴から分離した
複数の小さなインク滴でもって印字するため,同時によ
り小さい印字画素でもって印字することも可能となる。
この1つのインク滴が分離してほぼ同等体積の複数のイ
ンク滴が得られる現象は、インク滴の吐出速度や粘度に
もよるが、おおよそインク滴体積を10pl以下程度ま
で小さくすることにより,顕著に現れてくる。
【0058】次に、図10は、図11に示すように、駆
動波形として、印加電圧値Vp、電圧印加時間幅Tp、
繰り返し印字周期Tで駆動パルスP1、P2、P3……を
ヘッドに印加し、ヘッドを搭載したキャリッジ13(シ
ャトル)を主走査方向に移動させて用紙3上に上記の分
離した複数のインク滴を着弾させて印字した場合のイン
ク滴着弾状態を説明する説明図である。
【0059】ここで,一般に,インクジェット記録装置
の印字速度は、キャリッジ13の移動スピードVSHが速
ければ速いほど印字速度が速くなり、そのキャリッジ移
動スピード(キャリッジ速度)VSH [m/s]は、イン
ク滴を繰り返し吐出する際の最高印字周期Tmax[s]
(すなわち、ヘッドの最高駆動周波数Fmax[Hz]と
被印字媒体上の画像の印字密度(25.4×10-3/δ
[dpi])によって大きく決定される。これらに対する
キャリッジ速度VSHとの関係は、次に(3)式で表わさ
れる。
【0060】
【数3】
【0061】すなわち,キャリッジ速度VSHを速めるに
は、ヘッドに印加する駆動波形の最高印字周期Tmaxを
短くする(最高駆動周波数Fmaxを高める)か、画像の
印字密度を低くして印字間隔δを広げるしかない。した
がって、画像の印字密度をより高めて高画質な画像を得
ようとした場合には,印字間隔δが小さくなるので必然
的にシャトルの移動スピード(キャリッジ速度)VSHも
遅くなり、インクジェット記録装置の印字速度が遅くな
る原因となってしまう。
【0062】そこで,印字密度の高い画像においても、
印字速度が遅くならないよう一定の印字速度を得ようと
する場合には、ヘッドに印加する駆動波形の最高駆動周
波数Fmaxをより高める必要性が発生するが、より高い
駆動周波数領域ではヘッドからのインク滴の吐出状態が
不安定となるためにヘッドに印加する駆動周波数の大き
さにも制限が生じる。
【0063】ここで、上記(3)式で表わされるシャト
ルの移動スピードVSHと画像の印字密度(25.4×1
0-3/δ[dpi])との関係をグラフ化すると、図12
に示すようになる。同図から、例えば、600dpiの印
字密度を有する画像を最高駆動周波数10kHz(f
1)で印字する場合、シャトルの移動スピードを約42
3mm/s(V600)という速さで印字することが可能
であるが、同じ最高駆動周波数f1(=10kHz)で
もって、より印字密度の高い1200dpiの画像を得よ
うとした場合には、シャトルの移動スピードは約212
mm/s(V1200)という速さに遅くなり、印字速度が
低下してしまうことが分かる。
【0064】シャトルの移動スピードVSHを一定の(V
600)に保つには、最高駆動周波数f1を2倍に高めた
周波数20kHz(f2)でヘッドからインク滴吐出を
行う必要があるが、そのような高い周波数ではインク滴
の吐出状態が不安定となり,最悪の場合、インク滴が不
吐出となってしまうことがある。
【0065】しかしながら、本発明の印字方法によれ
ば、例えば1つのインク滴より2つのインク滴が分離形
成し、印字密度に対応して所定の時間間隔を保ったまま
各々のインク滴を被印字媒体上に着弾させるので、最高
駆動周波数を10kHz(f1)としたままで、つま
り、シャトルの移動スピードを(V600)の速い速度を
保ったまま、より印字密度の高い1200dpi相当の高
画質画像を得ることが可能となる。
【0066】また、分離形成されるインク滴の数は2つ
に限られるものではなく、分離形成されるインク滴の数
をより増加させ、各々のインク滴間で印字密度に対応し
て所定の時間間隔を保つことが可能であるなら、より複
数のインク滴を分離形成してシャトルの移動スピードを
より速くすることは可能である。
【0067】そこで、インク滴を分離形成する手段につ
いて説明する。前述した図11に示す駆動波形の電圧印
加時間幅Tpを一定として印加電圧Vpの大きさのみを
変化させたとき、図9におけるインク滴D0の吐出速度
V0、あるいは、インク滴D1の吐出速度V1、インク滴
D2の吐出速度V2との関係は図13に示すようになる。
【0068】同図に示すように、インク滴D0は、印加
電圧値Vpを上昇させるに従って吐出速度V0も増加す
る傾向にあり、更に、印加電圧値Vpを上昇させること
によって、吐出速度V0が4m/sを過ぎたところより
インク滴D0の分離が開始され、図9(c)に示すよう
に、インク滴D1とインク滴D2の2つのインク滴が各々
の吐出速度V1、V2をもって飛翔することが分かった。
【0069】そこで、本発明の実施形態では、駆動波形
の印加電圧の大きさ(印加電圧値)Vpを調整してイン
ク滴D0の吐出速度V0を4m/s以上に調整することで
1つのインク滴から複数のインク滴を分離形成すること
が可能となり、また、分離形成された2つのインク滴D
1,D2の各々の吐出速度V1,V2を駆動波形の印加電圧
の大きさVpで調整することで,各々のインク滴間の時
間間隔を任意の画像の印字密度(印字間隔)に対応して
柔軟に調整することが可能となる。
【0070】また、前述した図11に示す駆動波形にお
ける印加電圧値Vpを一定として、電圧印加時間幅Tp
のみを変化させたときの図9におけるインク滴D0の吐
出速度V0、あるいはインク滴D1の吐出速度V1、イン
ク滴D2の吐出速度V2との関係は図14に示すようにな
る。
【0071】同図に示すように、インク滴D0は、電圧
印加時間幅Tpの増加に伴い,その吐出速度V0が増減
する傾向にある。しかしながら、印加電圧値Vpを変化
させた場合と同様に、吐出速度V0が4m/sを過ぎた
ところで、インク滴D0の分離が開始され、図9(c)
に示すようにインク滴D1とインク滴D2の2つのインク
滴が各々の吐出速度をもって飛翔する電圧印加時間幅T
pの領域が存在することが分かった。
【0072】そこで、本発明の他の実施形態では、駆動
波形の印加電圧の大きさ(印加電圧値)Vpを調整する
のと同様に、駆動波形の電圧印加時間幅Tpを調整して
インク滴D0の吐出速度V0を4m/s以上に調整するこ
とで1つのインク滴から複数のインク滴を分離形成する
ことが可能となり、また、分離形成された2つのインク
滴D1,D2の各々の吐出速度V1,V2を駆動波形の電圧
印加時間Tpで調整することで,各々のインク滴間の時
間間隔を任意の画像の印字密度(印字間隔)に対応して
柔軟に調整することが可能となる。
【0073】また、この駆動波形の電圧印加時間Tpで
調整することで複数のノズルから吐出させる各インク滴
を、1滴のまま飛翔させたり、複数のインク滴に分離形
成することもできる。
【0074】すなわち、ノズル列方向(副走査方向)に
並ぶ複数のノズル(ここでは、ノズルa、b、cとす
る。)に対して、図15(a)、(b)、(c)に示す
ように、ノズルaに対しては電圧印加時間Tp=Ta
(図14のTa)の駆動パルスPaを、ノズルbに対し
ては電圧印加時間Tp=Ta(図14のTa)の駆動パ
ルスPbを、ノズルcに対しては電圧印加時間Tp=T
b(図14のTb)の駆動パルスPcを、駆動パルスP
a、Pcは同じタイミングで、駆動パルスPbは駆動パ
ルスPaに対して時間Td遅らせたタイミングでそれぞ
れ印加したとする。
【0075】この場合、同図(d)に示すようにノズル
aからのインク滴D0は分離させずに1つのインク滴D0
のままで印字密度に対応した位置に着弾して印字し、同
図(e)に示すようにノズルbからのインク滴D0は分
離させずに1つのインク滴D0のままで印字画素位置が
δだけずれた位置に着弾して印字し、同図(f)に示す
ようにノズルcからインク滴D0は分離して2つのイン
ク滴D1、D2となって一度に複数の印字画素を印字す
る。このように、駆動波形の電圧印加時間幅Tpを調整
することで一定の印字速度を保ったまま各ノズル毎に印
字動作を使い分けることも可能となる。
【0076】次に、1つのインク滴から複数のインク滴
を分離形成する場合のインクの粘度との関係について説
明する。図11の駆動波形における電圧印加時間幅Tp
を一定として印加電圧値Vpのみを変化させたとき、イ
ンクの粘度η1(=2mPa・s),η2(=3mPa・
s),η3(=4mPa・s)と変化させた場合の、図9
におけるインク滴D0の吐出速度V0、あるいはインク滴
D1の吐出速度V1、インク滴D2の吐出速度V2との関係
は図16に示すようになる。
【0077】同図から分かるように、インク滴の粘度η
1、η2のときは、同じ印加電圧の大きさVpでもインク
滴の吐出速度V0,V1,V2に差があるものの、前記1
3に示した場合と同様に、印加電圧値Vpを上昇させる
に従い、吐出速度V0が4m/sを過ぎたところよりイ
ンク滴D0の分離が開始され、図9(c)に示すよう
に、インク滴D1とインク滴D2の2つのインク滴が各々
の吐出速度V1、V2をもって飛翔するという同じ現象が
現れる。
【0078】これに対し、インク滴の粘度η3とした場
合には、ヘッドに最大駆動電圧を印加しても、インク滴
D0の分離が開始されない。すなわち、インク滴の粘度
を高くしていくとインク滴D0を分離させることが不可
能な領域が存在する。
【0079】そこで、本発明の実施形態では、インクの
粘度ηを3mPa・s程度以下の低い粘度として調整す
ることにより、より低い印加電圧でもって1つのインク
滴から複数のインク滴を分離形成する。
【0080】これらの本発明を上述したインクジェット
ヘッドを備えた本実施形態に係るインクジェット記録装
置への適用について説明する。まず、図17(a)に示
すような印加電圧値V1の駆動パルスをインクジェット
ヘッド40の電極55に印加した場合、印加電圧値V1
の駆動パルスの各時点t0〜t7における非吐出ノズル
(インク滴を吐出しないノズルの意味)となるノズル溝
44におけるメニスカスは同図(b)に示すように振動
する。また、振動板50と電極55との間には、当接状
態となっている間(振動板50が電極55に接触してい
る間)では同図(c)に示すように正負に電流値が振動
する形の充放電電流が流れているのが観測される。さら
に、加圧室46内の圧力も同図(d)に示すように正負
に振動する形の圧力変動が観測される。
【0081】このように、印加電圧値V1の駆動パルス
を電極55へ印加したときに、メニスカス、振動板−電
極間電流(充放電電流)及び加圧室内圧力に振動現象が
起こるのは、前述した図7及び図8で説明したように、
振動板50が電極55方向へ撓んで当接状態となると同
時に、加圧室46内へノズル溝44側と流体抵抗部47
側から各々インクが流入し、その各インクの流れによっ
て振動板50の当接状態のときに加圧室46内に強い圧
力波が発生しているためであることが実験で判明した。
【0082】また、パルス状の電圧のパルス幅(電圧印
加時間)を図17の時点t0を基準として時点t1〜t7
まで変化させた場合、インク滴の吐出特性値(インク滴
の吐出速度Vjと吐出量=滴体積Mj)は図18に示す
ように変化する。すなわち、パルス幅(電圧印加時間)
を変化させることによって、インク滴の吐出特性値が大
小に振動することが実験により確認された。
【0083】ここで、インク滴吐出特性値の振動の周期
は、加圧室46内の圧力変動の振動周期に対応している
ことが実験的に確認された。すなわち、図17(d)に
示した加圧室内圧力変動波形に見られるように、時点t
0〜t1までは加圧室46内は負圧状態であり、この場
合、図11に示すように、振動板50からの復元力PP
1が加圧室46内で発生した負圧力PP2に打ち消され
るような状態が起こり、ノズル溝44方向へのインク流
速が減少する方向に働くので、その負圧力PP2がより
強い時間領域(時点t0〜t1の間)では、インク滴は吐
出しないという状態が発生する。
【0084】また、時点t1においては振動板50が当
接状態となるために、図17(c)に示す充放電電流波
形に見られるように時点taの時に当接時に生じる正の
電流が流れ、また、圧力変動値(負圧力PP2)が零と
なるためにインク滴吐出が開始される。さらに、時点t
1からt3までは加圧室46内は正圧状態であり、この場
合、図20に示すように、振動板50からの復元力PP
1に加圧室46内で発生した正圧力PP3が重ね合わさ
れるような状態が起こり、ノズル溝44方向へのインク
流速がより増加する方向に働く。
【0085】したがって、このインクジェットヘッドに
おいては、振動板50が当接状態となった後(当接後)
に加圧室46内に発生する正負の圧力変動の強さに応じ
てインク滴の吐出特性値(吐出速度、吐出量)が大小に
変動し、加圧室46内の正圧力P3がピーク(極大)と
なる時点t2、t6に対応してインク滴の吐出特性値がピ
ーク(極大)となり、また、加圧室46内の負圧力PP
2がピーク(極小)となる時点t4に対応してインク滴
の吐出特性値がピーク(極小)となる特性が現れる。
【0086】そこで、このように加圧室46内で発生す
る正負の圧力変動の強さに応じてインク滴の吐出速度が
大小に変動する特性を利用して、インク滴の吐出速度が
4m/sを超える電圧印加時間幅(パルス幅)の駆動波
形を印加することによって、図9(c)に示したように
2つのインク滴を各々の吐出速度をもって飛翔させるこ
とができる。
【0087】次に、本発明の他の実施形態に係るインク
ジェット記録装置について図21をも参照して説明す
る。このインクジェット装置は、印字部101と、ホス
トから送られた画像信号に基づいて印字部101を制御
するコントローラ部102とから構成される。印字部1
01は、前述した実施形態とほぼ同様に、印字紙103
を搬送するプラテンや、インクを貯蔵するためのインク
タンクや、そのインクタンクよりインクを供給するチュ
ーブ等を有し、そのインク供給チューブを介して印字素
子(ヘッド)104にインクを供給する。圧力発生手段
(駆動手段)を備えた印字素子104は、キャリッジ1
05に搭載されており、キャリッジ105はモーター1
07を駆動することにより、印字紙103の搬送方向と
直行する方向に移動する(前述した図10と同様であ
る。)。
【0088】印字部101を制御するコントローラ部1
02は、印字演算制御手段(CPU)111、記憶手段
112、計時手段113、受信ポート114、印字パタ
ーン格納手段115、ヘッド駆動回路部116、ドライ
バ117、インク吐出速度調整手段118等からなる。
【0089】記憶手段112は、画像信号に含まれる印
字コマンド等を記憶するRAM、各部を制御するプログ
ラム等が記憶されているROM等で構成しており、CP
U111は記憶手段112内に記憶したプログラムに沿
ってコントローラ部102の各部を制御する。計時手段
113は、タイマー等からなり、印字する際のシーケン
ス制御するためのタイマーアップ信号の出力や、フラグ
をたてて所定時間の経過を知らしめる手段である。
【0090】受信ポート114は、ホストからの画像信
号を受信するためのシリアルもしくはパラレルの通信ポ
ートであり、この受信ポート121で受信された画像信
号に含まれる画像データを、例えばRAM等からなる印
字パターン格納手段115に格納する。印字パターン格
納手段115をRAMで構成した場合、アドレス信号、
リード・ライト信号を用いて、印字演算処理手段(CP
U)111で指定されたアドレスのデータを順次出力す
ることとなる。
【0091】ヘッド駆動回路部116のチャンネル手段
121は、CPU111からの信号に基づいてインク滴
を吐出させるチャンネルを選択する。駆動信号生成手段
122は、チャンネル選択手段121で選択されたデー
タ出力に基づいて、各ノズルの駆動データ信号を生成す
るものであり、各ノズルの駆動手段に与える図11に示
すような印加電圧値Vp、電圧印加時間幅Tp、及び印
加開始タイミングが規定された駆動波形を生成して出力
する。すなわち、駆動波形は、印字演算処理手段(CP
U)111から出力されるタイミングパルスに同期して
出力する。ドライバ123は、駆動信号生成手段122
から出力される駆動信号を昇圧し、ヘッド104の所要
の駆動手段に対して駆動波形を印加する。
【0092】ドライバ117はモータ107を駆動する
ためのドライバであり、CPU111はドライバ117
を介してモータ107を駆動制御する。
【0093】吐出速度調整手段118は、CPU111
から出力される画像信号データに対応したタイミングパ
ルスに応じて駆動信号生成手段122で生成する駆動信
号を、1つのインク滴から複数のインク滴が分離形成さ
れる吐出速度でインク滴を吐出させる信号に調整する。
これにより、図9で説明したように1つのインク滴から
複数のインク滴を分離形成することが可能となる。
【0094】次に、この他の実施形態に係るインクジェ
ット記録装置に一例について図22をも参照して説明す
る。この例では、コントローラ部102にインク滴の吐
出速度を調整する吐出速度調整手段118の具体的手段
として、駆動波形の印加電圧の大きさ(印加電圧値)V
pを調整してインク滴D0の吐出速度V0を4m/s以上
に調整する印加電圧調整手段128を備えたものであ
る。
【0095】この印加電圧調整手段128のより具体的
な構成としては、例えば、インク滴の吐出速度に対応し
て予め印加電圧を調整したいくつかのテーブル値をRO
M等に記憶させておき、CPU111から制御される画
像信号に対応してその印加電圧のテーブル値を選択し、
選択した印加電圧のテーブル値でもって駆動波形を生成
し、調整することでインク滴の吐出速度を調整する。
【0096】次に、この他の実施形態に係るインクジェ
ット記録装置に他の例について図23をも参照して説明
する。この例では、コントローラ部102にインク滴の
吐出速度を調整する吐出速度調整手段118の具体的手
段として、駆動波形の電圧印加時間幅Tを調整してイン
ク滴D0の吐出速度V0を4m/s以上に調整する印加電
圧調整手段138を備えたものである。
【0097】この電圧印加時間幅調整手段138のより
具体的な構成としては、例えば、例えば、インク滴の吐
出速度に対応して予め電圧印加時間幅を調整したいくつ
かのテーブル値をROM等に記憶させておき、CPU1
11から制御される画像信号に対応してその電圧印加時
間幅のテーブル値を選択し、選択した電圧印加時間幅の
テーブル値でもって駆動信号波形を生成し、調整するこ
とでインク滴の吐出速度を調整する。
【0098】なお、上記実施形態において、インクジェ
ットヘッドのノズル、加圧室、流体抵抗部、共通流路液
室の形状、配置、形成方法は適切に変更することができ
る。例えば、上記実施形態においては、ノズルを振動板
の変位方向と交差する方向にインク滴が吐出するように
形成したエッジシュータ方式のインクジェットヘッドで
あるが、ノズルを振動板の変位方向にインク滴が吐出す
るように形成したサイドシュータ方式のインクジェット
ヘッドでもよい。また、インクジェットヘッドが静電型
インクジェットヘッドである場合を例にして説明してい
るが、ピエゾ型或いはバブル型インクジェットヘッドを
搭載したインクジェット記録装置にも同様に適用するこ
とができる。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
クジェット記録装置によれば、ヘッドの駆動手段に対し
てノズルから吐出された1つのインク滴が飛翔中に複数
のインク滴に分離される駆動波形を印加する手段を備え
たので、印字密度の高い品質の画像を高速で記録するこ
とができる。
【0100】ここで、駆動波形はノズルから吐出された
1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する吐
出速度でインク滴を吐出させる波形であることで、より
簡単な構成で、印字密度の高い品質の画像を高速で記録
することができる。
【0101】この場合、駆動波形の電圧値が前記ノズル
から吐出された1つのインク滴が飛翔中に複数のインク
滴に分離する吐出速度になる値に設定されるか、或い
は、駆動波形の電圧印加時間が前記ノズルから吐出され
た1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する
吐出速度になる値に設定されることで、より簡易で安価
に高速印字することができ、また、任意の印字密度に対
しても柔軟に印字速度を調整することが可能になる、
【0102】また、インクの粘度がノズルから吐出され
た1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する
粘度であることで、より低い印加駆動電圧で簡易に高速
印字することができる。
【0103】さらに、ヘッドの駆動手段はインク流路の
壁面を形成する振動板に対向する電極を備えていること
で、比較的容易に印字密度の高い品質の画像が得られ、
より高速に印字するためのインク滴の特性を調整し易く
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部
の概略斜視説明図
【図2】同機構部の側面説明図
【図3】同記録装置のヘッドの一例を示す振動板長手方
向の断面説明図
【図4】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図5】同記録装置の制御部の一例を示すブロック図
【図6】同記録装置のヘッド駆動制御部に係る部分のブ
ロック図
【図7】同ヘッドの振動板当接までの動作の説明に供す
る説明図
【図8】同ヘッドの振動板復元からの動作の説明に供す
る説明図
【図9】本発明に係るインク滴形成過程を説明する説明
【図10】本発明を適用した場合のドット形成位置の説
明に供する説明図
【図11】駆動波形の説明に供する説明図
【図12】印字密度とシャトルスピード(キャリッジ速
度)及び駆動周波数の関係を説明する説明図
【図13】印加電圧値とインク吐出速度との関係の一例
の説明に供する説明図
【図14】電圧印加時間幅とインク吐出速度との関係の
一例の説明に供する説明図
【図15】電圧印加時間幅及び印加開始タイミングを変
化させたときの形成ドットの例を説明する説明図
【図16】印加電圧値、インク粘度とインク吐出速度と
の関係の一例の説明に供する説明図
【図17】このインクジェットヘッドにおける駆動波形
と各部の状態推移の説明に供する説明図
【図18】駆動波形のパルス幅とインク滴吐出特性値の
説明に供する説明図
【図19】同ヘッドの圧力変動の説明に供する説明図
【図20】同ヘッドの圧力変動の説明に供する説明図
【図21】本発明の他の実施形態に係るインクジェット
記録装置のブロック説明図
【図22】同実施形態の具体的一例を説明するブロック
説明図
【図23】同実施形態の具体的他の例を説明するブロッ
ク説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…ヘッド、24…搬送ローラ、
33…排紙ローラ、40…インクジェットヘッド、41
…第1基板、42…第2基板、43…第3基板、44…
ノズル溝、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共
通流路液室、50…振動板、55…電極、87…波形生
成回路、88…ヘッド駆動回路、118…吐出速度調整
手段、128…印加電圧調整手段、138…電圧印加時
間調整手段。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するノズルと、このノズ
    ルが連通するインク流路と、このインク流路のインクを
    加圧させるエネルギーを発生する駆動手段とを有するヘ
    ッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記
    ヘッドの駆動手段に対して前記ノズルから吐出された1
    つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離される駆
    動波形を印加する手段を備えていることを特徴とするイ
    ンクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェット記録装
    置において、前記駆動波形は前記ノズルから吐出された
    1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分離する吐
    出速度で前記インク滴を吐出させる波形であることを特
    徴とするインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のインクジェット記録装
    置において、前記駆動波形の電圧値が前記ノズルから吐
    出された1つのインク滴が飛翔中に複数のインク滴に分
    離する吐出速度になる値に設定されることを特徴とする
    インクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のインクジェット記録装
    置において、前記駆動波形の電圧印加時間が前記ノズル
    から吐出された1つのインク滴が飛翔中に複数のインク
    滴に分離する吐出速度になる値に設定されていることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のイン
    クジェット記録装置において、前記インクの粘度が前記
    ノズルから吐出された1つのインク滴が飛翔中に複数の
    インク滴に分離する粘度であることを特徴とするインク
    ジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載のイン
    クジェット記録装置において、前記ヘッドの駆動手段は
    前記インク流路の壁面を形成する振動板に対向する電極
    を備えていることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
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