JP2002247120A - 無線信号受信装置 - Google Patents

無線信号受信装置

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JP2002247120A
JP2002247120A JP2001038121A JP2001038121A JP2002247120A JP 2002247120 A JP2002247120 A JP 2002247120A JP 2001038121 A JP2001038121 A JP 2001038121A JP 2001038121 A JP2001038121 A JP 2001038121A JP 2002247120 A JP2002247120 A JP 2002247120A
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Application number
JP2001038121A
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English (en)
Inventor
Takanobu Akiba
孝信 秋庭
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YRP KOKINO IDOTAI TSUSHIN KENK
YRP Advanced Mobile Communication Systems Research Laboratories Co Ltd
Original Assignee
YRP KOKINO IDOTAI TSUSHIN KENK
YRP Advanced Mobile Communication Systems Research Laboratories Co Ltd
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Publication date
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
  • Detection And Prevention Of Errors In Transmission (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェージングの影響による軽減困難誤りを、
復調器において改善する無線信号受信装置を提供する。 【解決手段】 デジタル位相変調された受信信号は、受
信フィルタ1において波形整形が行われ、位相変動抽出
部2において位相変動成分が抽出される。受信データ訂
正信号出力部3は、位相変動の急峻な変化に基づいて、
復調器4のデマッピング部14における位相判定誤りタ
イミングおよび位相判定誤り方向を推定し、推定された
位相判定誤りタイミングの少なくとも一部において、受
信データ訂正信号を受信データ訂正部16に出力し、位
相判定誤りをしていると推定されるシンボルに基づいた
受信データを訂正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタル復調器に
おいて軽減困難誤りを改善する無線信号受信装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】業務用デジタル無線通信において、周波
数の有効利用の観点から周波数帯域の狭帯域化が検討さ
れている。しかし狭帯域化することで無線空間において
フェージングの影響を受けやすくなる。その結果、S/N
(Signal to Noise Ratio)を上げても、BER(Bit Erro
r Ratio)が改善できないという現象が、広帯域通信よ
りも顕著に現れる。この高S/N下において現れる誤りは
軽減困難誤りと呼ばれる。
【0003】上述した軽減困難誤りを改善する手段とし
て、従来、以下のようなものがある。 (1)符号冗長度を上げる。例えば、同じデータを複数
送信したり、Mアレイ変調(1bitデータを4bitの直交符号
系列へ変換し受信では相関を利用して復調する方式)等
を利用したりして冗長度を上げることで受信品質を高め
る。 (2)符号誤り訂正。BCH符号に代表されるブロック符
号や、効率の良いビタビ復号を用いる畳み込み符号等を
用いて、演算により誤りポイントを推定し誤りを訂正す
る。 (3)尤度情報に基づく訂正。軟判定結果の振幅や位相
情報に基づき誤り発生の確率が高い順にビット反転を行
い、CRC演算結果がOKとなるまでそれを繰り返す方式。 (4)ダイバーシチによる受信信号の選択および最大比
合成。受信系を複数持ち、受信状態に応じて受信系を切
り換えるか、もしくは、すべての受信信号を合成して受
信品質を高める。 上述した方法には、それぞれの回路規模が大きくなる、
演算量が多くなる等の問題があり、通常、それぞれの問
題点をカバーするために、上述した技術を組み合わせて
使用している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたもので、軽減困難誤りを
デジタル復調器において改善する無線信号受信装置を提
供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、請求項1に記
載の発明においては、デジタル変調された受信信号また
は該受信信号を遅延検波した信号の位相判定に基づいて
受信データを出力する無線信号受信装置において、位相
判定結果に基づいて推定されるデジタル変調された送信
信号と前記受信信号とのシンボルタイミングにおける位
相差に基づいて位相変動を抽出する位相変動抽出手段
と、前記位相変動の急峻な変化に基づいて位相判定誤り
タイミングおよび位相判定誤り方向を推定し、推定され
た前記位相判定誤りタイミングの少なくとも一部におい
て、前記受信データを訂正する受信データ訂正信号を出
力する受信データ訂正信号出力手段と、前記受信データ
訂正信号により、前記位相判定誤り方向とは逆方向に隣
接するシンボル位相が正しいシンボル位相であるとし
て、前記受信データを訂正する受信データ訂正手段を有
するものである。したがって、フェージングによる位相
変動によって位相判定時の位相判定誤りによる受信デー
タ誤りを訂正することができる。その結果、高S/N時で
あってもフェージングにより発生する軽減困難誤りを、
デジタル復調器において改善することができる。
【0006】請求項2に記載の発明においては、請求項
1に記載の無線信号受信装置において、前記受信データ
訂正信号出力手段は、前記受信信号のシンボルタイミン
グにおける振幅レベルに応じた信号が所定のしきい値未
満のときに前記受信データ訂正信号を出力するものであ
る。位相変動の抽出や位相判定誤りの推定は、ノイズ等
により誤動作しやすい。そのため、受信信号のシンボル
タイミングの振幅レベルが低下していないときには、位
相判定誤りが推定されても、受信データを訂正しないこ
とにより、低S/N時のBER特性の劣化を防止することが
できる。
【0007】請求項3に記載の発明においては、請求項
1または2に記載の無線信号受信装置において、前記受
信データ訂正信号出力手段は、自動利得制御手段を有
し、該自動利得制御手段は、前記受信信号のシンボルタ
イミングにおける振幅レベルを入力し、該振幅レベルの
緩やかな変化に追従して所定レベルとなり、該振幅レベ
ルの急激な変化には追従しない信号を出力するものであ
り、前記自動利得制御手段の出力が所定のしきい値未満
のときに前記受信データ訂正信号を出力するものであ
る。したがって、高速フェージング時においては、自動
利得制御手段の出力が急速な振幅変化に追従しないの
で、受信データ訂正信号が出力されてBER特性が改善さ
れる。低速フェージング時においても、受信データ訂正
信号が出力されてBER特性が改善されるが、位相変動の
抽出や位相判定誤りの推定の誤動作が影響する期間を短
くすることができるので、BER特性の劣化を防止するこ
とができる。
【0008】請求項4に記載の発明においては、請求項
2または3に記載の無線信号受信装置において、前記受
信データ訂正信号出力手段は、前記ベースバンド受信信
号の信号対雑音比の大きさに応じて前記しきい値を上げ
るものである。位相変動の抽出や位相判定誤りの推定
は、ノイズ等により誤動作しやすい。したがって、信号
対雑音比が大きくなるほど適応的にしきい値を上げるこ
とにより、受信信号の信号対雑音比が大きくなるほど受
信データの訂正を行う期間を長くして、BER特性の改善
度を高めることができる。
【0009】請求項5に記載の発明においては、請求項
2または3に記載の無線信号受信装置において、前記受
信データ訂正信号出力手段は、前記ベースバンド受信信
号の信号対雑音比およびフェージングの大きさに応じて
前記しきい値を上げるものである。したがって、受信信
号の信号対雑音比およびフェージングが大きくなるほど
受信データの訂正を行う期間を長くして、BER特性の改
善度を高めることができる。
【0010】請求項6に記載の発明においては、請求項
1ないし5のいずれか1項に記載の無線信号受信装置に
おいて、前記位相変動抽出手段は、前記位相差を微分す
ることにより、緩やかな変動成分の除去された位相変動
を出力するものである。したがって、位相判定誤りの推
定精度を高めることができる。
【0011】請求項7に記載の発明においては、請求項
1ないし6のいずれか1項に記載の無線信号受信装置に
おいて、前記受信データ訂正信号出力手段は、前記位相
変動の出力変化の絶対値が所定値を超えたときの先頭シ
ンボルタイミングを位相判定誤りタイミングとし、該先
頭シンボルタイミングにおける前記出力変化の極性に基
づいて位相判定誤り方向を推定するものである。したが
って、位相判定誤りの推定を簡単な構成で実現すること
ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態を
説明するためのブロック構成図である。この実施の形態
において、送信データはπ/4シフトQPSK(π/4DQPS
K)変調されている。デジタル位相変調された受信信号
は、受信フィルタ1において波形整形が行われ、位相変
動抽出部2において位相変動成分が抽出される。受信デ
ータ訂正信号出力部3は、位相変動の急峻な変化に基づ
いて、後述する復調器4のデマッピング部14における
位相判定誤りタイミングおよび位相判定誤り方向を推定
し、推定された位相判定誤りタイミングの少なくとも一
部において、受信データを訂正する受信データ訂正信号
を出力する。
【0013】復調器4の遅延検波部13において、受信
フィルタ1を通った受信信号は、1シンボルタイミング
だけ遅延された受信信号を基準に位相比較されて、デマ
ッピング部14に出力される。デマッピング部14は、
シンボルタイミングにおいてシンボル位相のいずれか1
つに位相判定されるとともに、シンボル位相に対応した
受信データに変換される。デマッピング部14の出力
は、遅延部15で遅延され、受信データ訂正部16に入
力され、先に説明した受信データ訂正信号に応じて、位
相判定誤りをしていると推定されるシンボルに基づいた
受信データを訂正する。すなわち、受信データ訂正信号
により、位相判定誤り方向とは逆方向に隣接するシンボ
ル位相が正しいシンボル位相であるとして、受信データ
を訂正し、BER(Bit Error Ratio、ビット誤り率)の改
善された受信データを出力する。遅延部15は、デマッ
ピング部14の出力タイミングと、受信データ訂正信号
出力部3の出力タイミングとを一致させるためのもので
ある。
【0014】次に、位相変動抽出部2について説明す
る。復調器4のデマッピング部14における位相判定結
果に基づいて出力される受信データは、デジタル変調さ
れた送信信号の推定値と見なすことができる。そこで、
この受信データをマッピング部6において、シンボル位
相に変換することにより、デジタル変調された送信信号
を推定することができる。π/4シフトQPSK(π/4DQPS
K)変調の場合、マッピング部6では、デマッピング出
力を差動符号化した上でマッピング(変調)している。
【0015】位相差検出部7は、受信フィルタ1および
遅延部5を通った受信信号と、推定された送信信号と
の、シンボルタイミングにおける位相差を出力する。推
定された送信信号はフェージング変動を受けていないの
で、上述した位相差は、伝送路において受けるフェージ
ング等の位相変動を表している。ただし、復調器4のデ
マッピング部14において、シンボル位相が誤って判定
された場合には、この位相判定誤りにより、フェージン
グの連続的な位相変動とは異なるで急峻な不連続な位相
変動が出力される。なお、遅延部5は、推定された送信
信号の処理遅延に合うように受信信号を所定時間遅延さ
せるためのものである。
【0016】図2は、位相変動に不連続が生じる理由を
説明するためのIQ平面図である。本発明の実施例では、
送信データをπ/4シフトQPSK(π/4DQPSK)変調して
いるが、遅延検波を行わないQPSK変調でも同様のことが
言えるので、この図では、説明を簡単にするために、QP
SK変調された受信信号について、遅延検波を行わないで
復調する場合について説明する。図中、210〜21
3は、QPSK変調された信号を複素ベースバンド信号で表
現したときのシンボル点である。波形整形後のQPSK変調
された受信信号の1つのシンボルタイミングにおいて、
22Aは位相点の第1の例、22Bは位相点の第2の例で
ある。受信信号は、既に基準周波数信号と直交復調され
ることによりベースバンド信号として受信フィルタ1に
入力されている。したがって、波形整形後の受信信号
は、I相,Q相の成分で複素表現される。
【0017】波形整形後のQPSK変調された受信信号が、
第3象限内のシンボル点22Aにあるとき、デマッピン
グ部14においては、最も位相が近いシンボル点212
として判定するとともに、このシンボル点212にデマ
ッピングされる所定の2ビットのデジタルデータが受信
データとされる。マッピング部6は、シンボルタイミン
グにおいて、シンボル点212に対応するIQ成分を出力
するだけでよいが、実質的にこの受信データを再度デジ
タル変調していることになる。
【0018】デマッピング部14において位相判定され
たシンボル点212が、正しく送信側での送信信号のシ
ンボル点と一致する場合、位相差検出部7の出力は、正
しいシンボル点の位相、例えば、212の位相から、実
際に受信した信号のシンボル点、例えば位相点22A
位相がどの程度ずれているかを示している。送信データ
の変化に応じて受信信号の位相点は、IQ位相平面上を移
動するが、同時に、マッピング部6の位相点も同時に移
動するので、位相差検出部7の出力は、送信データが変
化するだけでは変化しない。また、レイリーフェージン
グにより発生する位相変動は、確率的にはランダムな分
布となるがその変化は連続的である。したがって、デマ
ッピング部14によって正しく位相判定されている限り
において、位相差検出部7の出力は連続的な変化とな
る。
【0019】次に、デマッピング部14で位相判定され
たシンボル点が、送信側での正しいシンボル点と異なる
場合について説明する。例えば、送信側ではシンボル点
212を連続して送信しているときに、波形整形された
受信信号が、位相点22Aから反時計回りに移動して第
4象限内の位相点22Bに位置したとする。このとき、
デマッピング部14は、最寄りのシンボル点213が送
信装置側で送信している正しいシンボル位相であると判
定する。
【0020】受信信号の位相点22Bは、徐々に連続し
て移動する場合が多い。受信信号の位相点22Bが隣の
シンボル領域の境界近傍にあって、次のシンボルタイミ
ングにおいてわずかに位相変動して隣の領域に移動した
場合に、±π/2という位相変動の最大の不連続変化が
ある。したがって、実際には、送信信号のシンボル点2
2と、受信信号の位相点22Bとの位相差はθ1(図示
の例では0<θ1)であるべきところ、受信信号の位相
点22Bとマッピング部6のシンボル点213との位相差
は、θ2(図示の例ではθ2<0)となる。その結果、位
相変動の方向が反転して急峻に変化する。
【0021】Eb/N0(1ビット当たりの信号電力/1Hz
当たりのノイズ電力)が小さくなっても、BERの値がほ
とんど減少しなくなる領域を、BERのフロアーという。
この領域では、通常、フェージングによりBERがフロア
ーを生じているため、位相差検出部7の出力はほぼ連続
的に変化する。また、この領域では、誤りが発生する確
率よりも正しいデータを受信する場合の確率が高いた
め、位相判定誤りが発生したタイミングで不連続点が現
れる。したがって、この急峻な変化によって位相判定誤
りを推定することができるとともに、この位相判定誤り
によって誤判定されたシンボルに基づく受信データを訂
正することが可能となる。
【0022】なお、図1における8は微分器であって、
シンボルタイミング毎に位相差検出出力の差分をとる。
微分することにより、位相差検出部7が出力する位相変
動成分から、緩やかな位相変動成分を除去して、位相判
定誤りによる急峻な位相変化の検出精度をあげることが
できる。また、送信装置と受信装置との間の基準信号周
波数オフセットの変動を除去することもできる。
【0023】図3は、位相変動抽出部2のシミュレーシ
ョン結果を示す線図である。図3(a)は位相判定誤り
がない場合の波形図、図3(b)は位相判定誤りがある
場合の波形図である。ここでは、送信データをπ/4シ
フトQPSK(π/4DQPSK)変調信号としている。復調器4
では、遅延検波部13で遅延検波を行い、位相比較タイ
ミングは、シンボル間隔で、かつ、シンボルタイミング
に同期している場合である。各図において、上段の線図
は、位相差検出部7の出力信号である。下段の線図は、
微分器8の出力信号である。横軸は経過時間であり、1
シンボルを最小目盛にとっている。縦軸は、位相差をラ
ジアンで示している。目盛値2が1[radian]である。な
お、*印を付して示すように、+πを上に超えるとき、
または、―πを下に超えるとき、急激な位相不連続をし
ているが、これは表示上の問題であり、実際には連続的
に変化している。
【0024】図3(a)の上段において、長期的に見る
と位相差が変化している。これは、フェージングによる
緩やかな位相変動や送受信装置間の周波数オフセット等
による。しかし、遅延検波をしているので、緩やかな位
相変動によっては位相判定誤りが発生しない。下段の微
分出力においては、緩やかな位相変動成分が除去された
結果、位相変動出力はゼロレベルを中心に正負に変動し
ている。一方、図3(b)の上段においては、緩やかな
位相変動に重畳して、位相差の変化量の絶対値が所定値
を超えている部分、言い替えれば、下段に示す位相変動
出力の絶対値が所定値を超えている部分がある。このシ
ンボルタイミングでは、デマッピング部14で位相判定
誤りがあったことにより、フェージングによる位相変動
の連続性が失われている。
【0025】なお、位相変動抽出部2の処理を、1シン
ボルタイミングの、例えば8倍でオーバサンプリング処
理を行ってもよい。その際、推定された送信信号にシン
ボルタイミング間の位相変移を与える必要がある。その
ために、マッピング部6の出力に、図示されない送信側
のフィルタと受信フィルタ1を合わせた特性となる整形
フィルタを挿入する。また、位相変動抽出部2の出力信
号に対し、1シンボルタイミングにわたる積分でフィル
タリング処理を行って出力とする。図4は、位相変動抽
出部2を、オーバサンプリング処理で実行したときのシ
ミュレーション結果を示す線図である。位相誤りがある
場合の線図のみを示す。上段の線図は、位相差検出部7
の出力、中段の線図は微分器8の出力である。下段の線
図は、微分器8の出力に1シンボル長の積分を行った後
の出力であり、図3(b)の下段とほぼ同様の出力が得
られる。
【0026】また、復調器4において遅延検波部13を
取り外して同期検波を行う場合には、図3(a)に現れ
ている緩やかな位相変動によっても、長期的には絶対位
相が大きくずれてしまうので、位相判定誤りが発生す
る。したがって、同期検波を行う場合には、何らかの手
段で、緩やかな位相変動を除去する必要がある。例え
ば、位相差検出部7の出力から、雑音成分(ガウス雑
音、および、位相判定誤りによる急峻な変化)を除去し
た信号によって、デマッピング部14における位相判定
の基準となるIQ軸の基準位相(再生キャリア位相)を、
位相差検出部7の出力がゼロになるように制御すればよ
い。
【0027】次に、図1に戻って、受信データ訂正信号
出力部3の位相判定誤り推定部9について説明する。既
に説明したように、デマッピング部14において位相判
定誤りが生じると、位相変動抽出部2が出力する位相変
動の絶対値が所定値を超える。位相判定誤り推定部9
は、このように急峻に変化したシンボルタイミングを検
出することにより、位相判定誤りの発生タイミングおよ
び位相反転誤り方向を推定する。なお、BPSKのような2
値のデジタル位相変調においては、位相判定誤りの発生
タイミングが推定できればよく、位相反転誤り方向を推
定する必要はない。
【0028】図5は、位相判定誤り推定部9における処
理の一例を示す説明図である。デジタル信号処理される
過程を、信号波形で表現する。図5(a)は位相変動抽
出部2が出力する位相変動出力信号であって、図3
(b),図4における下段の出力信号波形に相当する。
図5(b)は、位相変動出力信号をさらに微分した微分
出力信号(1シンボル前の値との差分値)である。図5
(c)は、微分出力信号を、図5(b)に示す正側およ
び負側において所定のしきい値と比較したときのレベル
比較出力信号である。正側のしきい値を上に超えたか、
あるいは負側のしきい値を下に超えたときに、パルス状
の波形信号を出力する。すなわち、位相変動出力信号の
微分値(差分値)の絶対値が所定しきい値を超えたとき
に、このようなレベル比較出力信号が発生する。
【0029】図5(d)は、レベル比較出力信号の先頭
の出力信号を抽出した先頭抽出出力信号である。先頭の
出力信号が発生した後、所定シンボル数の期間におい
て、レベル比較出力信号の出力を禁止することにより実
現できる。この先頭抽出出力信号の発生タイミングを、
位相判定誤りのあったシンボルタイミングであると推定
する。位相判定誤りが、1シンボルタイミングでのみ発
生した場合、位相判定誤りが発生した次のシンボルタイ
ミングにおいても、図示のように所定値以上の微分出力
信号が出力される確率が高い。そのため、図示の例で
は、所定値以上の位相変動の変化が2連続したときに
は、先頭のシンボルタイミングにおいてのみ位相判定誤
りが生じたと推定している。
【0030】なお、図示の処理例では、隣接する複数の
シンボルタイミングにおいて、連続して、あるいは短い
数シンボル間隔で位相判定誤りがあったときも、その先
頭のシンボルタイミングにおける位相判定誤りしか推定
できない。しかし、位相判定誤りの発生パターンによっ
て、図5(c)に示したレベル比較出力信号の出力パタ
ーンが決まるので、逆に、レベル比較出力信号の出力パ
ターンに基づいて、位相判定誤りの発生パターンを推定
して、受信データ訂正信号を出力して、少なくとも一部
の受信データを正しく訂正することも可能である。
【0031】また、図示の例では、位相変動抽出部2の
出力信号を微分した、図5(b)に示す出力に基づい
て、位相判定誤りタイミングを推定した。これに代え
て、図5(a)に示した位相変動抽出部2の出力信号そ
のものに基づいて、位相判定誤りタイミングを推定する
ことも可能である。例えば、位相変動抽出部2の出力信
号に対し、正負の所定のしきい値を定め、このしきい値
を超えた出力信号が極性反転したシンボルタイミングを
位相判定誤りタイミングと判定し、このタイミングにお
ける極性から位相誤り方向を推定すればよい。さらに、
位相変動抽出部2の出力信号に対して正負の所定のしき
い値を定め、このしきい値を超えた出力極性のパターン
に基づいて、位相判定誤りの発生パターンを推定して、
位相補正信号を生成することも可能である。
【0032】次に、位相判定誤りが推定された場合の受
信データの訂正について説明する。QPSK等の4以上のシ
ンボル点を有するデジタル位相変調の復調時において位
相判定誤りが発生する場合、シンボル点が隣接するシン
ボル点の象限へ位相シフトすることにより誤りが発生す
る確率が高い。したがって、BERを改善する手法とし
て、位相判定誤り推定部9で位相判定誤りタイミングと
位相誤り方向が推定されたときには、位相判定誤り方向
とは逆方向に隣接するシンボル点が正しいシンボル点で
あると推定することができる。
【0033】図2において、波形整形後の受信信号のシ
ンボルタイミングにおける位相点が、フェージングによ
る位相変動によって、位相点22Aから位相点22Bにな
ったときに、復調器4のデマッピング(位相判定)部1
4は、シンボル点213が正しい送信シンボルであると
判定してしまう。受信データ訂正部16では、図示の位
相判定誤り方向が反時計回り方向であるので、時計回り
方向の第3象限にあるシンボル点212が正しいシンボ
ル位相であるとして、このシンボル点212に応じてデ
マッピングされる受信データになるように訂正する。特
別な場合として、BPSK変調のような2値変調では、位相
判定誤り推定部9において位相判定誤りタイミングが検
出されたときには、このシンボルタイミングにおける位
相点をπだけ回転させ、デマッピングされた受信データ
の1,0を単に反転してやればよい。
【0034】したがって、受信データ訂正信号出力部3
において、位相判定誤りを起こしたシンボルからデマッ
ピングされた受信データを訂正するための受信データ訂
正信号を出力し、復調器4の受信データ訂正部16にお
いて訂正すれば、BERのフロアーを改善できる。S/Nが
良好でない領域においても、ノイズによって位相判定誤
りが生じているならば、上述した位相判定誤りの推定に
よる受信データの訂正によって、BERを改善することが
できる。しかし、位相変動抽出部2や位相判定誤り推定
部9は、その信号処理過程において、ノイズによって誤
動作する場合がある。
【0035】そこで、フェージングにより振幅レベルが
急速に低下した期間においてのみ、受信データ訂正信号
を出力するようにして、BERの劣化を防止する構成にす
る。10は遅延部であって、後述するマスク部12にお
いて、受信データ訂正信号とマスク制御信号との処理遅
延を一致させるために、受信フィルタ1の出力を所定量
だけ遅延させる。11はシンボル点AGC部であって、
受信フィルタ1および遅延部10を通った受信信号を入
力して増幅する。ここで、受信信号の振幅レベルは、シ
ンボル点での振幅レベルである。例えば16シンボル分
のシンボル点の振幅レベルを平均化し、その結果に基づ
いて増幅器の利得を制御する。
【0036】したがって、シンボル点AGC部11の出力
信号は、受信信号の急激な振幅レベル変化には追従せ
ず、受信信号の振幅レベルがゆるやかに変化していると
きに追従して一定に近いレベルを出力するという特性を
持つ。マスク部12は、シンボル点AGC部11の出力信
号レベルが所定のしきい値未満の場合、マスク機能が解
除され、受信データ訂正信号を、復調器4の受信データ
訂正部16に出力する。シンボル点AGC部11の出力
信号レベルがしきい値よりも大きいときには、受信デー
タ訂正信号が位相判定誤推定部9から出力されていて
も、これをマスクして受信データ訂正部16に出力しな
い。
【0037】図6は、シンボル点AGC部11の動作説明
図である。図6(a)は高速フェージング時、図6
(b)は低速フェージング時の、シンボル点AGC部11
の出力信号とマスク部12内のしきい値との関係を示し
ている。図6(a)に示す高速フェージングにおいて、
シンボル点AGC部11が出力する振幅レベルが、適当な
値に調整された所定のしきい値を超えていると、マスク
部12は、受信データ訂正信号にマスクをかける。
【0038】一方、図6(b)に示すように、低速フェ
ージングにおいては、図中、破線で示す受信信号の振幅
レベルの落ち込みが緩やかになる。そのため、シンボル
点AGC部11を設けなければ、受信信号の振幅レベルが
さほど落ち込んでいない期間を含めて、図6(a)の高
速エージングの場合よりも、マスク解除される期間が長
く続くことになる。S/Nの悪い状態でこのようにマスク
解除期間が長く続けば、ノイズによって位相判定誤りが
誤検出される結果、誤って受信データが訂正されること
になるので、かえってBERの劣化を招く要因となる。
【0039】この問題を解決するために、シンボル点AG
C部11において、受信信号の振幅レベルに追従させて
利得を制御する際に、利得制御信号の低域通過フィルタ
のカットオフ周波数を調整することにより、受信信号の
振幅レベルが緩やかに落ちている期間は、利得制御を追
従させることにより、出力レベルがしきい値以上になる
ようにする。一方、受信信号の急激な変化には自動利得
制御が追従しないので、出力レベルが低下する。その結
果、図6(b)に示す低速フェージング時においても、
受信信号が急激に低下している期間においてのみマスク
が解除されて、受信データ訂正信号が受信データ訂正部
16に出力される。
【0040】図7は、マスク部12における受信データ
訂正信号のマスク領域と位相変動抽出部2の出力信号と
の関係を示す線図である。上段は、シンボル点AGC部1
1の出力信号をしきい値とともに示している。下段は、
図3(b)に示した位相変動抽出部2の出力信号と同じ
ものである。ハッチングを施した領域は、マスクがかけ
られている期間を示し、この期間においては、受信デー
タ訂正信号が位相判定誤り推定手段9から出力されてい
ても、受信データ訂正手段16には出力されない。
【0041】なお、マスク部12の構成として、受信信
号レベルに応じた制御信号に加えて、他の制御信号によ
っても制御してもよい。例えば、S/Nを推定できる量に
応じて、マスク部12のしきい値を制御し、高S/N時に
しきい値を高く、低S/N時にしきい値を低くすることに
より、BER特性の改善度を高めることができる。S/N推
定量としては、例えば、RSSI(Received Signal Streng
th Indicator)信号を用いることができる。この信号
は、中間周波信号を対数増幅後に検波した信号である。
また、受信信号のシンボル点での位相変動のばらつきの
大きさを監視することにより、S/Nを推定してもよい。
フェージングの大きさを推定し、フェージングが大きい
ときにしきい値を高くしてもよい。フェージングの大き
さは、受信信号が一定時間内に何回所定レベルを下回っ
たかを計数することにより推定できる。もしくは、フェ
ージングとS/Nの両方を監視し、これらに応じて適応的
にマスクのしきい値を変化させることにより、さらにBE
R特性の改善が可能となる。
【0042】上述した説明では、復調器4において、デ
マッピング部14の出力する受信データを訂正するよう
にしたが、デマッピング部14において位相判定される
前の信号についてπ/4あるいは−π/4の位相補正を
行うことにより、隣の象限内に位相回転させてもよい。
あるいは、デマッピング部14内の変換処理中において
受信データが正しくなるように訂正してもよい。ただ
し、これらの場合、デマッピング部14は、位相変動抽
出用に同じものを別に設ける必要がある。遅延部15
は、復調器4において、デマッピング部14の前に挿入
する必要がある。なお、遅延検波部13と同じものを位
相変動抽出専用に設けてもよい。
【0043】図8は、本発明の実施の一形態におけるシ
ミュレーション結果を示す線図である。図中、横軸は、
Eb/No(dB)(1ビット当たりの信号電力/1Hz当たり
のノイズ電力)、縦軸はBERである。デジタル変調方式
はπ/シフトQPSK(π/4DQPSK変調)であり、シンボル
レートは2.4Ksps、グレイコードを適用している。復調
手段は遅延検波を採用し、AGCリファレンスを0dBとした
場合、マスク部12におけるしきい値は-12dBである。
このような、フェージング補償対策を施した場合、Eb/
No=60dB時のBERのフロアーは、フェージング周波数40Hz
時で約28%、フェージング周波数20Hz時で約20%改善され
ている。位相補正信号マスク部14によって、フェージ
ング時以外の期間においては位相補正を行わないため
に、低S/N時におけるノイズによる処理装置の誤動作に
よるBERの劣化が防止され、フェージング補償無しの場
合に等しいBERが維持されている。
【0044】上述した説明では、デジタル変調方式とし
て、π/4シフトQPSK変調についてシミュレーション結
果を例示し、QPSK変調について動作原理を説明した。本
発明のデジタル変調無線信号受信装置は、上述した動作
原理から明らかなように、送信データがデジタル変調信
号の位相にマッピングされたデジタル変調方式の受信信
号に適用可能である。したがって、デジタル位相変調で
あれば、相数に制限はない。復調器4として、遅延検波
をするもの、しないものいずれの構成をとってもよい。
【0045】また、デジタル周波数変調系の変調方式で
あっても、デジタル位相変調と本質的な違いがないので
適用可能である。デジタル位相変調器の直後に積分回路
を付ければデジタル周波数変調となり、デジタル周波数
変調信号を微分回路に通してデジタル位相復調をすれば
デジタル周波数復調が可能となる。MSK(Minimum Shift
Keying)、GMSK(Gaussian filtered MSK)は、直交条
件が成立する最小の周波数変位を有し、変調指数が0.5
のFSK(Frequency Shift Keying)であることから、同
様に適用可能である。以上により、デジタル変調方式
は、BPSK,QPSK等のPSK系変調方式、および、FSK,MS
K,GMSK変調方式であればいずれにも適用可能である。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高S/N時に、空間フェージングにより発生するBERのフ
ロアーを復調器で改善することができるという効果があ
る。一方、低S/N時においては、BERの劣化を防止する
ことができるという効果がある。また、復調器で改善し
ていることから、誤り訂正符号の冗長度を上げなくても
よく、誤り訂正符号の冗長度を上げることによる実質的
な伝送速度の低下といった問題もなくなるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を説明するためのブロッ
ク構成図である。
【図2】位相変動に不連続点が生じる理由を説明するた
めのIQ平面図である。
【図3】図1に示した位相変動抽出部2のシミュレーシ
ョン結果を示す線図である。
【図4】図1に示した位相変動抽出部2をオーバサンプ
リング処理したときのシミュレーション結果を示す線図
である。
【図5】図1に示した位相判定誤り推定部9における処
理の一例を示す説明図である。
【図6】図1に示したシンボル点AGC部11の動作説明
図である。
【図7】図1に示したマスク部12における受信データ
訂正信号のマスク領域と位相変動抽出部2の出力信号と
の関係を示す線図である。
【図8】本発明の実施の一形態におけるシミュレーショ
ン結果を示す線図である。
【符号の説明】
1 受信フィルタ、2 位相変動抽出部、3 受信デー
タ訂正信号出力部、4復調器、5 遅延部、6マッピン
グ部、7 位相差検出部、8 微分器、9 位相誤り推
定部、10 遅延部、11 シンボル点AGC部、12
マスク部、13 遅延検波部、14 デマッピング
部、15 遅延部、16 受信データ訂正部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタル変調された受信信号または該受
    信信号を遅延検波した信号の位相判定に基づいて受信デ
    ータを出力する無線信号受信装置において、 位相判定結果に基づいて推定されるデジタル変調された
    送信信号と前記受信信号とのシンボルタイミングにおけ
    る位相差に基づいて位相変動を抽出する位相変動抽出手
    段と、 前記位相変動の急峻な変化に基づいて位相判定誤りタイ
    ミングおよび位相判定誤り方向を推定し、推定された前
    記位相判定誤りタイミングの少なくとも一部において、
    前記受信データを訂正する受信データ訂正信号を出力す
    る受信データ訂正信号出力手段と、 前記受信データ訂正信号により、前記位相判定誤り方向
    とは逆方向に隣接するシンボル位相が正しいシンボル位
    相であるとして、前記受信データを訂正する受信データ
    訂正手段、 を有することを特徴とする無線信号受信装置。
  2. 【請求項2】 前記受信データ訂正信号出力手段は、前
    記受信信号のシンボルタイミングにおける振幅レベルに
    応じた信号が所定のしきい値未満のときに前記受信デー
    タ訂正信号を出力するものである、 ことを特徴とする請求項1に記載の無線信号受信装置。
  3. 【請求項3】 前記受信データ訂正信号出力手段は、自
    動利得制御手段を有し、 該自動利得制御手段は、前記受信信号のシンボルタイミ
    ングにおける振幅レベルを入力し、該振幅レベルの緩や
    かな変化に追従して所定レベルとなり、該振幅レベルの
    急激な変化には追従しない信号を出力するものであり、 前記自動利得制御手段の出力が所定のしきい値未満のと
    きに前記受信データ訂正信号を出力するものである、 ことを特徴とする請求項1に記載の無線信号受信装置。
  4. 【請求項4】 前記受信データ訂正信号出力手段は、前
    記受信信号の信号対雑音比の大きさに応じて前記しきい
    値を上げるものである、 ことを特徴とする請求項2または3に記載の無線信号受
    信装置。
  5. 【請求項5】 前記受信データ訂正信号出力手段は、前
    記受信信号の信号対雑音比およびフェージングの大きさ
    に応じて前記しきい値を上げるものである、ことを特徴
    とする請求項2または3に記載の無線信号受信装置。
  6. 【請求項6】 前記位相変動抽出手段は、前記位相差を
    微分することにより、緩やかな変動成分の除去された位
    相変動を出力する、 ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記
    載の無線信号受信装置。
  7. 【請求項7】 前記受信データ訂正信号出力手段は、前
    記位相変動の出力変化の絶対値が所定値を超えたときの
    先頭シンボルタイミングを位相判定誤りタイミングと
    し、該先頭シンボルタイミングにおける前記出力変化の
    極性に基づいて位相判定誤り方向を推定するものであ
    る、 ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記
    載の無線信号受信装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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