JP2002246612A - 共鳴トンネルダイオード - Google Patents

共鳴トンネルダイオード

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JP2002246612A
JP2002246612A JP2001041183A JP2001041183A JP2002246612A JP 2002246612 A JP2002246612 A JP 2002246612A JP 2001041183 A JP2001041183 A JP 2001041183A JP 2001041183 A JP2001041183 A JP 2001041183A JP 2002246612 A JP2002246612 A JP 2002246612A
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Hiroto Kitabayashi
博人 北林
Hideaki Matsuzaki
秀昭 松崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バリア幅が0モノレイヤのタイプIIの共鳴
トンネルダイオードにおいては、実効的なピーク電流密
度を十分に高くできない。 【解決手段】 エミッタ層と井戸層,コレクタ層と井戸
層の界面に、エミッタ層,コレクタ層および井戸層と異
なる種類の極めて薄い中間層を挿入することを最も大き
な特徴としており、従来の技術とは、その厚さが0モノ
レイヤ〜2モノレイヤであり、挿入される中間層内に完
全なバンド構造が形成されないので、トンネル障壁層と
しての働きがほぼ無視できる範囲の厚さであることが異
なる。101はn型GaAs結晶基板,102はn型I
nAsコレクタ層,103は第1中間層であるAlSb
第1障壁層,104は17モノレイヤのP型GaSb量
子井戸層,105は第2中間層であるAlSb第2障壁
層,106はn型InAsエミッタ層,107はTi/
Auからなるエミッタ電極,108はTi/Auからな
るコレクタ電極を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超高速素子、機能
素子に利用される共鳴トンネルダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】共鳴トンネル現象は1ps以下の超高速
現象として知られており、すでに、微分負性抵抗を使用
した700GHzを超える発振周波数を有する共鳴トン
ネルダイオードが報告されている。さらに、共鳴トンネ
ルダイオードの負性抵抗特性を有効に使うための、高電
子移動度トランジスタ(HEMT)と共鳴トンネルダイ
オードを接続した集積デバイスも実現されている。
【0003】図5は、従来例タイプIにおける共鳴トン
ネルダイオードの素子構造の一例を示す図である。図
は、n型GaAs結晶基板501上にn型GaAsコレ
クタ層502,AlGaAs第1障壁層503,GaA
s量子井戸層504,AlGaAs第2障壁層505,
n型GaAsエミッタ層506を通常の分子線エピタキ
シャル法(MBE法)により順次成長し、n型GaAs
コレクタ層502に接続するコレクタ電極508、n型
GaAsエミッタ層506に接続するエミッタ電極50
7を形成することにより得られた素子構造の一例であ
る。
【0004】図6は、従来例タイプIにおける共鳴トン
ネルダイオードの積層構造に対応するバンド構造を示す
図である。n型GaAsコレクタ層502,AlGaA
s第1障壁層503,GaAs量子井戸層504,Al
GaAs第2障壁層505,n型GaAsエミッタ層5
06の積層構造に対応するバンド構造を示しており、6
01は伝導帯下端、602は価電子帯上端、EfE はエ
ミッタ領域のフェルミ準位、603は量子井戸層504
における電子の基底準位、604は第1励起準位、60
5は障壁層内X点である。
【0005】図7は、従来例タイプIにおける共鳴トン
ネルダイオード素子の動作状態のバンド構造を示す図で
ある。図において、VCEはエミッタ・コレクタ間の電位
差である。エミッタ・コレクタ電圧を更に増加させ、基
底準位603がエミッタのフェルミ準位EfE より低く
なると、共鳴トンネルにより、エミッタから量子井戸へ
の電子の注入が起こり、その大部分はコレクタ側へ抜け
る。バイアス電圧を更に増加させると、基底準位603
がエミッタ領域の伝導帯下端601より低下し、共鳴ト
ンネルが抑止される。この結果、エミッタ・コレクタ電
圧の増加に対してエミッタ・コレクタ間の電流が減少す
るという、負性コンダクタンスが得られるため、機能ゲ
ート,発振素子としても利用されている。
【0006】しかし、常温で存在するエネルギーの高い
状態の電子は、基底準位603以外に、例えば、障壁層
X点605や第1励起準位604などを通り、エミッタ
からコレクタヘ抜けることが可能である。その結果、電
子の基底準位603を介した共鳴トンネルが抑止される
バイアス状態であっても電流が生じ、バレイ電流密度が
増加してしまう。また、電流密度を向上させるために
は、バリアの厚さを薄くする必要がある。従来のタイプ
I構造では、バリアの薄膜化に伴い、非共鳴状態でのト
ンネル確率が高くなる。その結果、バレイ電流密度が増
加してしまう。このように、従来のタイプI構造におい
ては、ピーク電流密度を上げようとするとバレイ電流密
度も増加してしまうために、ピーク電流密度とバレイ電
流密度の差である実効的ピーク電流密度が十分に上げら
れないという問題点があった。
【0007】この問題点を解決する目的で、タイプII
のヘテロ接合を用いて、共鳴トンネル以外の電流成分を
禁止帯によって抑制する共鳴バンド間トンネルダイオー
ド構造が提案された。なお、タイプIIのヘテロ接合と
は、半導体のヘテロ接合があるとき、一方の半導体の伝
導帯下端が他方の半導体の価電子帯上端よりも下になる
接合であり、次に示す図8での801と803の関係が
タイプIIの接合である。
【0008】図8は、従来例タイプIIにおける共鳴ト
ンネルダイオード素子の動作状態のバンド構造を示す図
である。図において、801はInAsエミッタ層,8
02はAlSb第1障壁層,803はGaSb量子井戸
層,804はAlSb第2障壁層,805はInAsコ
レクタ層,806は伝導帯下端,807は価電子帯上
端,EfE はエミッタ領域のフェルミ準位,808はG
aSb量子井戸層803における軽い正孔の基底準位,
809は電子である。
【0009】共鳴トンネルが抑止されるバイアス状態V
off resonance では、InAsエミッタ層801から注
入される電子809はGaSb量子井戸層803の禁止
帯によりInAsコレクタ層805へ抜けることを妨げ
られている。従って、この構造においては、バレイ電流
は井戸層のバンドギャップで抑えられる。
【0010】図9は、図8における共鳴トンネルダイオ
ード素子の障壁層を0モノレイヤにした動作状態のバン
ド構造を示す図である。トンネル現象を利用する共鳴ト
ンネルダイオードにおいては、障壁が薄くなるほどピー
ク電流密度は指数関数的に増加することが知られている
ので、高いピーク電流密度を得るための構造として、障
壁層の厚さを0モノレイヤにした構造が提案されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかし、AlSb第1
障壁層802,AlSb第2障壁層804の厚さが0モ
ノレイヤである図9に示したタイプIIのヘテロ接合を
用いた構造においては、高いピーク電流密度を得ること
はできるが、同時に、バレイ電流密度の増大も顕著とな
り、ピーク電流密度とバレイ電流密度の差で表される実
効的ピーク電流密度の増加効果は少ないことがわかっ
た。これらは、AlSb障壁層の厚さが0モノレイヤの
構造における、次の2つの原因によるものと考えられ
る。
【0012】(1)InAsとGaSbがヘテロ界面を
形成しているときのGaSb価電子帯下端とInAs伝
導帯上端との間のバンド不連続量(Eoff set )901
は、InAsとGaSbの間にAlSbが存在するとき
のEoff set よりも小さくなっている。このため、In
AsとGaSbが直接接合してヘテロ界面を形成してい
る構造においては共鳴バンド間トンネルの確率がGaS
b価電子帯下端あるいはInAs伝導帯上端による制限
を受ける。そのため、障壁層の厚さを0モノレイヤとし
た効果が相殺されてしまい、実効的なピーク電流密度の
増加に結びつかない。
【0013】(2)エミッタおよびコレクタのInAs
層と井戸のGaSb層との間にバリアが存在しないため
に、それらの層内の状態間の結合が強く、小さい有効質
量を持つInAs層の伝導帯の影響をGaSb層の価電
子帯内の電子が受ける。その結果、GaSb層の価電子
帯内の電子の有効質量がGaSbバルクの値よりも小さ
くなっている。有効質量が小さくなると、井戸幅が同じ
構造に対して、井戸の価電子帯内の共鳴準位は下がる
(GaSb井戸層の価電子帯の下端から離れる)。
【0014】言い換えると、有効質量の小さくなった電
子に対して、井戸の価電子帯内の共鳴準位をエミッタの
伝導帯上端よりも高い位置に保っためには、井戸幅をよ
り広くする必要がある。井戸幅が広くなると、井戸内で
の散乱が増加するので、共鳴電流の低下および非共鳴電
流の増加、すなわち、ピーク電流の低下およびバレイ電
流の増加が生じる。結果として、実効的なピーク電流密
度の増加に結びつかない。以上2つの原因で、バリア幅
が0モノレイヤの構造においては、実効的なピーク電流
密度を十分に高くできないという問題点があった。
【0015】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、ピーク電流密度の増加とバレイ電流密度の抑
制により、実効的なピーク電流密度を向上させる構造の
共鳴トンネルダイオードを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の共鳴トンネルダイオードは、第1の半導体か
らなるn型の導電性を有するコレクタ層102と、第2
の半導体からなるn型の導電性を有するエミッタ層10
6と、第3の半導体からなるp型の導電性を有するとと
もに、その価電子帯上端が第1および第2の半導体の導
電帯下端よりも高いポテンシャル位置において接合する
タイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層104と
が、コレクタ層102,量子井戸層104,エミッタ層
106の順に積層されており、さらに、コレクタ層10
2と量子井戸層104の界面に第1,第2,第3の半導
体とは異なる半導体でかつ膜厚が0モノレイヤより厚く
2モノレイヤより薄い第1中間層103を挿入し、エミ
ッタ層106と量子井戸層104の界面に第1,第2,
第3の半導体とは異なる半導体でかつ膜厚が0モノレイ
ヤより厚く2モノレイヤよりも薄い第2中間層105を
挿入した構造を持つことに特徴を有している。
【0017】また、本発明の共鳴トンネルダイオード
は、前記第1および前記第2の半導体がInAsであ
り、かつ、前記第3の半導体がGaSbからなることに
特徴を有している。
【0018】さらに、本発明の共鳴トンネルダイオード
は、前記第1中間層103および前記第2中間層(10
5)がAlSbであることに特徴を有している。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、エミッタ層と井戸層の
界面,およびコレクタ層と井戸層の界面に、エミッタ
層,コレクタ層および井戸層と異なる種類の極めて薄い
中間層を挿入することを、最も大きな特徴としている。
従来の技術とは、新たに挿入する中間層の厚さが0モノ
レイヤより厚くかつ、2モノレイヤ以下であり、挿入さ
れる中間層内に完全なバンド構造が形成されないので、
トンネル障壁層としての働きがほぼ無視できる範囲の厚
さであることが異なる。
【0020】
【実施例】本発明は、エミッタ層と井戸層の界面,およ
びコレクタ層と井戸層の界面に、エミッタ層,コレクタ
層および井戸層と異なる種類の0モノレイヤよりも厚く
2モノレイヤ以下の中間層を挿入するので、次の作用が
生じる。まず、挿入される中間層の厚さが2モノレイヤ
以下と薄いので、挿入された中間層内には完全なバンド
構造が形成されないと考えられる。したがって、中間層
のトンネル障壁としての働きは弱く、中間層の挿入によ
る共鳴準位の半値幅の減少はわずかである。これは、挿
入した中間層により、ピーク電流密度が低下することが
ほぼ無視できることを意味する。
【0021】次に、挿入される中間層がエミッタ層,コ
レクタ層,および井戸層の半導体とは異なる半導体から
なるので、エミッタ層と井戸層,およびコレクタ層と井
戸層の間のヘテロ界面に新たな結合が形成される。これ
らの新たな結合の形成により、エミッタ層の伝導帯下端
と井戸層の価電子帯上端,およびコレクタ層の伝導帯下
端と井戸層の価電子帯上端との間のバンド不連続量E
off set は変化する。われわれの実験から、Eoff set
は大きくなる方向に変化することがわかっている。障壁
層が極めて薄い構造の時、共鳴準位401の半値幅40
2は極めて大きくなる(図4a)。
【0022】また、タイプIIの共鳴バンド間トンネル
においては、電子の共鳴トンネルはエミッタ層の伝導帯
から井戸層の価電子帯を通りコレクタ層の伝導帯に抜け
るので、電子の共鳴準位403は井戸層の価電子帯によ
つても制限を受け得る。共鳴準位403の半値幅404
が価電子帯下端405との伝導帯上端406との差と同
程度以上となるとき、価電子帯下端405および伝導帯
上端406によっても電子の共鳴準位幅が制限されてい
ると考えられる(図4b)。
【0023】この様な状況の時、Eoff set を大きく
し、価電子帯下端409との伝導帯上端410との差を
広げると、バンド端による共鳴準位の制限は緩和され、
共鳴準位407の半値幅408は広がる(図4c)。
【0024】その結果、ピーク電流密度は増加する。さ
らに、中間層の挿入により、エミッタ層と井戸層および
コレクタ層と井戸層間の状態の結合は弱くなる。この結
果、井戸層の価電子帯内の電子の有効質量は、エミッタ
層およびコレクタ層の伝導帯の電子の値から井戸層の価
電子帯のバルクの値に近づく。通常、井戸層の価電子帯
の電子の有効質量は、エミッタ層およびコレクタ層の伝
導帯の電子の有効質量よりも大きい。
【0025】従って、結合が小さくなるに伴い、井戸層
の価電子帯の電子の有効質量は大きくなる。これは、井
戸層内で同じ共鳴準位の位置を与える井戸幅が狭くなる
ことを意味する。狭い井戸幅においては、井戸内での散
乱が減少するので、それに起因するバレイ電流は抑制さ
れる。以上のように、高いピーク電流密度および低いバ
レイ電流密度を達成し、実効的なピーク電流密度を高め
ることができた。
【0026】(実施例1)以下、本発明の一実施例を図
面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施例にお
ける共鳴トンネルダイオードの素子構造を示す図であ
る。本実施例の特徴は、その中間挿入層の厚さにある。
101はn型GaAs結晶基板,102は第1の半導体
からなるn型InAsコレクタ層,106は第2の半導
体からなるn型InAsエミッタ層,104は第3の半
導体からなる17モノレイヤのP型GaSb量子井戸
層,103は第1,第2,第3の半導体とは異なる半導
体でかつ膜厚が0モノレイヤより厚く2モノレイヤより
薄い第1中間層であるAlSb第1障壁層,105は第
1,第2,第3の半導体とは異なる半導体でかつ膜厚が
0モノレイヤより厚く2モノレイヤより薄い第2中間層
であるAlSb第2障壁層,107はTi/Auからな
るエミッタ電極,108はTi/Auからなるコレクタ
電極を示す。
【0027】図2は、本発明の一実施例における共鳴ト
ンネルダイオードのバンド構造を示す図である。201
は伝導帯下端,202は価電子帯上端、203はGaS
b量子井戸層104内の正孔の基底準位である。この積
層構造は、通常の分子線エピキタシ成長法により、n形
GaAs結晶基板上101に、各層を連続的に成長する
ことで形成した。また、図1に示したエミッタ,コレク
タの各オーミック電極107,108も、通常のInG
aAs材料系プロセス技術により形成した。
【0028】図3は、本発明の共鳴トンネルダイオード
における実効ピーク的電流密度の量子井戸層厚さ特性図
である。▲印は中間層の厚さが2モノレイヤのAlSb
から構成されている特性であり、○印は中間層の厚さが
0.5モノレイヤのAlSbから構成されている特性で
ある。すなわち、この積層構造をもつ素子のGaSb量
子井戸層104の厚さを変え、実効的ピーク電流密度を
実際に測定したものである。ここで、実効的ピーク電流
密度とは、ピーク電流密度(Ip)とバレイ電流密度
(Iv)の差である。
【0029】矢印1001で示した▲印は、GaSb量
子井戸層104の厚さが10モノレイヤ程度のときに実
効的ピーク電流密度は最大となることを示している。ま
た、矢印1002で示した○印は、GaSb量子井戸層
104の厚さが23モノレイヤ程度のときに実効的ピー
ク電流密度は最大となることを示している。
【0030】従来例におけるAlSb中間層のない構造
においては、最大のピーク電流密度を与えるGaSb量
子井戸層の厚さは23モノレイヤ(E.T.Yu.et al.,App
l.Phys.Lett.57,2675(1990)) であり、バレイ電流密度
に対するピーク電流密度の比は1.5,実効的ピーク電
流密度は3×104 A/cm2 である。
【0031】これに対して、本実施例では、中間層の挿
入により、最大のピーク電流密度を与えるGaSb量子
井戸層の厚さを減少できた。この結果、井戸層内での散
乱を抑制することができ、従来例と比べ、バレイ電流密
度に対するピーク電流密度の比は向上し、実効的ピーク
電流密度についても向上できた。
【0032】すなわち、中間層の厚さが2モノレイヤの
▲印の実施例では、バレイ電流密度に対するピーク電流
密度の比は5へ向上し、実効的ピーク電流密度について
も5×104 A/cm2 へと向上できた。また、中間層
の厚さが0.5モノレイヤの○印の実施例では、最大の
ピーク電流密度は従来例の3×104 A/cm2 より大
きいことが図3の結果から容易にわかる。従って、0.
5から2モノレイヤの中間層を挿入したときも同様の効
果がある。
【0033】ここでは、エミッタおよびコレクタへのS
iドーピング濃度が2×1017/cm2 である例をとっ
て説明したが、ドーピング濃度がこれ以上に高いエミッ
タ,コレクタについても同様な効果を得られることは明
らかである。
【0034】以上、本実施例では化合物半導体を例に説
明したが、この発明はタイプIIのヘテロ接合を有し、
かつ、伝導帯,価電子帯,伝導帯の順に伝導する共鳴ト
ンネルダイオードにおいて、ヘテロ接合部分に中間層を
入れ、このヘテロ接合部分のバンドギャップを広げるこ
とがポイントである。従って、同様のバンド構造を形成
できる半導体の組み合わせであれば、原理的には化合物
半導体に限らず一般的な半導体の組み合わせであっても
適応できる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
GaSb量子井戸層とInAsエミッタ層の間に0モノ
レイヤよりも厚く、かつ、2モノレイヤ以下のAlSb
中間層を挿入したので、バンド間トンネル確率を中間層
の挿入によって減少させることなく、かつ、InAsエ
ミッタおよびコレクタ層とGaSb井戸層と間のEoff
set を大きくすることができる。そのため、バンド端で
制限されていた共鳴バンド間トンネル確率の半値幅を広
げることができ、ピーク電流密度を上げることができ
る。また、エミッタ伝導帯およびコレクタ伝導帯内の状
態と井戸価電子帯内の状態との結合を調節して、井戸幅
を狭めた構造においても共鳴準位の位置をエミッタIn
Asの伝導帯上端よりも上にできる。井戸幅を狭くする
ことができた結果、井戸内での散乱を減少させることが
でき、バレイ電流を減少させることができる。以上のこ
とから、タイプIIのヘテロ接合からなる共鳴バンド間
トンネルダイオード構造において、ピーク電流対バレイ
電流比を下げることなく、ピーク電流密度を向上するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における共鳴トンネルダイオ
ードの素子構造を示す図である。
【図2】本発明の一実施例における共鳴トンネルダイオ
ードのバンド構造を示す図である。
【図3】本発明の共鳴トンネルダイオードにおける実効
的ピーク電流密度の量子井戸層厚さ特性図である。
【図4】(a)〜(c)は、共鳴トンネルダイオードの
積層構造における二重障壁構造と電子の共鳴準位の半値
幅との関係を示した図である。
【図5】従来例タイプIにおける共鳴トンネルダイオー
ドの素子構造の一例を示す図である。
【図6】従来例タイプIにおける共鳴トンネルダイオー
ドの積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【図7】従来例タイプIにおける共鳴トンネルダイオー
ド素子の動作状態のバンド構造を示す図である。
【図8】従来例タイプIIにおける共鳴トンネルダイオ
ード素子の動作状態のバンド構造を示す図である。
【図9】図8における共鳴トンネルダイオード素子の障
壁層を0モノレイヤにした動作状態のバンド構造を示す
図である。
【符号の説明】
101 n型GaAs結晶基板 102 n型InAsコレクタ層 103 AlSb第1障壁層 104 p型GaSb量子井戸層 105 AlSb第2障壁層 106 n型InAsエミッタ層 107 エミッタ電極 108 コレクタ電極 201 伝導帯下端 202 価電子帯上端 203 基底準位 401 共鳴準位 402 半値幅 403 共鳴準位 404 半値幅 405 価電子帯下端 406 伝導体上端 407 共鳴準位 408 半値幅 409 価電子帯下端 410 伝導体上端。 501 n型GaAs結晶基板 502 n型GaAsコレクタ層 503 AlAs第1障壁層 504 GaAs量子井戸層 505 AlAs第2障壁層 506 n型GaAsエミッタ層 507 エミッタ電極 508 コレクタ電極 601 伝導帯下端 602 価電子帯上端 603 基底準位 604 第1励起準位 605 障壁層内X点 801 InAsエミッタ層 802 AlSb第1障壁層 803 GaSb量子井戸層 804 AlSb第2障壁層 805 InAsコレクタ層 806 伝導帯下端 807 価電子帯上端 808 基底準位 809 電子 910 バンド不連続量(Eoff set

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の半導体からなるn型の導電性を有
    するコレクタ層(102)と、 第2の半導体からなるn型の導電性を有するエミッタ層
    (106)と、 第3の半導体からなるp型の導電性を有するとともに、
    その価電子帯上端が第1および第2の半導体の導電帯下
    端よりも高いポテンシャル位置において接合するタイプ
    IIのヘテロ接合を形成する量子井戸層(104)と
    が、 コレクタ層(102),量子井戸層(104),エミッ
    タ層(106)の順に積層されており、 さらに、コレクタ層(102)と量子井戸層(104)
    の界面に第1,第2,第3の半導体とは異なる半導体で
    かつ膜厚が0モノレイヤより厚く2モノレイヤより薄い
    第1中間層(103)を挿入し、 エミッタ層(106)と量子井戸層(104)の界面に
    第1,第2,第3の半導体とは異なる半導体でかつ膜厚
    が0モノレイヤより厚く2モノレイヤよりも薄い第2中
    間層(105)を挿入した構造を持つことを特徴とする
    共鳴トンネルダイオード。
  2. 【請求項2】 前記第1および、前記第2の半導体がI
    nAsであり、かつ、前記第3の半導体がGaSbから
    なることを特徴とする請求項1に記載の共鳴トンネルダ
    イオード。
  3. 【請求項3】 前記第1中間層(103)および前記第
    2中間層(105)がAlSbであることを特徴とする
    請求項1,2のいずれかに記載の共鳴トンネルダイオー
    ド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100495646C (zh) * 2006-12-21 2009-06-03 中国科学院半导体研究所 一种在砷化镓衬底上外延生长锑化镓的方法
KR101119943B1 (ko) * 2010-07-08 2012-03-27 한국과학기술연구원 2형 양자우물을 포함하는 p형 반도체 소자 및 그 제조 방법.

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KR101119943B1 (ko) * 2010-07-08 2012-03-27 한국과학기술연구원 2형 양자우물을 포함하는 p형 반도체 소자 및 그 제조 방법.

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