JP3789566B2 - 共鳴トンネルダイオード - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高速素子、機能素子に利用される共鳴トンネルダイオードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
共鳴トンネル現象は1ps以下の超高速現象として知られており、既に、微分負性抵抗を使用した、700GHzを超える発振周波数を有する共鳴トンネルダイオードが報告されている。さらに、共鳴トンネルダイオードの負性抵抗特性を有効に使うための、高電子移動度トランジスタ(HEMT)と共鳴トンネルダイオードを接続した複合デバイスも実現されている。
【0003】
図4は、従来の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【0004】
図4において、401はn型GaAs結晶基板、402はn型GaAsコレクタ層、403はAlGaAs第1障壁層、404はn型GaAs量子井戸層、405はAlGaAs第2障壁層、406はn型GaAsエミッタ層、407はコレクタ電極、408はエミッタ電極である。
【0005】
図4に示すように、n型GaAs結晶基板401上に、n型GaAsコレクタ層402、AlGaAs障壁層403、n型GaAs量子井戸層404、AlGaAs障壁層405、n型GaAsエミッタ層406を、通常の分子線エピタキシャル法(MBE法)により順次成長させ、n型GaAsコレクタ層402、n型GaAsエミッタ層406のそれぞれに接続するコレクタ電極407、エミッタ電極408を形成することにより素子構造が得られる。
【0006】
図5は、図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの402〜406の積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【0007】
図5において、501は伝導帯の下端、502は価電子帯の上端、Ef Eはエミッタ領域のフェルミ準位、503は量子井戸層404における電子の基底準位、504は量子井戸層404における電子の第1励起準位、505は障壁層403、405内のX点である。
【0008】
本素子を動作させるためには、バイアス電圧VCEをエミッタ・コレクタ間に印加させる。
【0009】
図6は、そのような動作状態のバンド構造を示す図である。
【0010】
図6において、eVCEは、エミッタ・コレクタ間にバイアス電圧VCEをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差である。
【0011】
エミッタ・コレクタ電圧VCEを増加させ、基底準位503がエミッタのフェルミ準位Ef Eより低くなると、共鳴トンネルにより、エミッタ406(図4)から量子井戸404への電子の注入が起こり、その大部分はコレクタ402側へ抜ける。バイアス電圧VCEをさらに増加させると、基底準位503がエミッタ領域406の伝導帯の下端501より低下し、共鳴トンネルが抑止される。この結果、エミッタ・コレクタ電圧VCEの増加に対してエミッタ・コレクタ間の電流が減少するという、負性コンダクタンスが得られるため、機能ゲート、発振素子としても利用されている。
【0012】
しかし、常温で存在するエネルギーの高い状態の電子は、基底準位503以外に、例えば、障壁層のX点505や第1励起準位504などを通り、エミッタからコレクタへ抜けることが可能である。その結果、電子の基底準位503を介した共鳴トンネルが抑止されるバイアス状態であっても電流が生じる。また、このような電流を抑制するために障壁層の厚さを厚くすることが考えられるが、この場合、ピーク電流密度が低下する。このため、共鳴トンネルが抑止されるバイアス状態における電流値の抑制とピーク電流密度の向上が両立しないという問題点があった。
【0013】
この問題点を解決する目的で、タイプIIのヘテロ接合を用いて、共鳴トンネル以外の電流成分を禁止帯によって抑制する共鳴バンド間トンネルダイオード構造が提案されている。
【0014】
図7は、この共鳴バンド間トンネルダイオードのバンド構造の一例を示す図で、(a)はバイアス電圧Vバ イアスが0Vの場合、(b)はバイアス電圧Vバ イアスがVoff resonanceの場合である。
【0015】
図7において、701はn型InAsエミッタ層、702はAlSb障壁層、703はp型GaSb量子井戸層、704はAlSb障壁層、705はn型InAsコレクタ層、706は伝導帯の下端、707は価電子帯の下端、Ef Eはエミッタ領域のフェルミ準位、708はGaSb量子井戸層703における軽い正孔の基底準位、eVoff resonanceはエミッタ・コレクタ間に、共鳴トンネルの禁止されるバイアスVoff resonanceをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差、709はInAsエミッタ層701から注入される電子である。
【0016】
共鳴トンネルが抑制されるバイアスVoff resonanceをかけ、エミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差がeVoff resonanceの状態では、InAsエミッタ層701から注入される電子709は、GaSb量子井戸層703の禁止帯によりInAsコレクタ層705へ抜けることを妨げられている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来提案されてきた構造においては、GaSb量子井戸層703の厚さが、23モノレイヤ(原子層)程度あるいはそれ以上であった(ザ インスティテュート オブ フィジクス コンファレンス(Inst. Phys. Conf.) Ser. No.136
: Chapter 4 pp.209)。
【0018】
図8は、図7に示した構造における、軽い正孔の基底状態の共鳴準位を計算した結果を示す図である。
【0019】
図8において、801はGaSb量子井戸層703(図7)内の価電子帯の上端から測ったInAsエミッタ層701内の伝導帯の下端のポテンシャル、802はGaSb量子井戸層703の厚さを変えたときの軽い正孔の基底状態の共鳴準位Eres、803は従来提案されていた構造のうち最も薄い23モノレイヤ(ML)の厚さのGaSb量子井戸層703の共鳴準位である。
【0020】
図8に示した本発明者らの計算結果から、GaSb量子井戸層703の厚さが23モノレイヤの場合のGaSb量子井戸層703内の軽い正孔の基底状態の共鳴準位803はInAsエミッタ層701の伝導帯の下端から約70meVのところにあることが確認された。この構造の共鳴トンネルダイオードのピーク電流密度は、軽い正孔の共鳴準位を主に介してトンネルして入ることが、本発明者らの実験から確認されており、また、ピーク電流密度は軽い正孔の共鳴準位の幅に近似的には比例するとしてよいことが知られている。一定の障壁の厚さの場合、共鳴準位に対する実効的な障壁の高さが低いほど、軽い正孔の共鳴準位の幅は広くなることが知られているが、従来提案されていた構造における共鳴準位803の位置は、先に述べたとおり、InAsエミッタ層701の伝導帯の下端から70meVの高さにあり、必要以上に障壁の実効的な高さを高くしているという問題点があることが、本発明者らの計算から確認された。このため、一定の障壁厚さの構造において、ピーク電流密度が十分に高くできていないという問題点があった。
【0021】
本発明の目的は、一定の障壁厚さを持つ構造に対して、ピーク電流対バレイ電流比を低下させることなく、ピーク電流密度を向上させる共鳴トンネルダイオードの構造を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位が、エミッタ層の伝導帯の下端の直上となるような厚さの量子井戸層を用いることを、最も大きな特徴としている。従来の技術とは、量子井戸層の厚さが異なる。
【0023】
すなわち、本発明は、n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、8から12の原子層からなり、前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする。
【0024】
また、n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、10の原子層からなり、前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする。
【0027】
本発明では、量子井戸層として、量子井戸層内の軽い正孔の準位が、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上となる厚さに設定されているので、次の作用が生じる。
【0028】
ピーク電流密度は、共鳴準位の幅に近似的に比例すると考えてよいことが知られている。さらに、共鳴準位の幅は、障壁の厚さが一定のとき、その共鳴準位に対する障壁の実効的な高さが低いほど、広くなることが知られている。
【0029】
したがって、一定厚さの障壁を持つ構造に対しては、共鳴準位に対する実効的な障壁の高さを低くすることにより、ピーク電流密度を向上させることができる。
【0030】
さらに、n型導電性のエミッタ層、コレクタ層、およびp型導電性を持つ量子井戸層からなる共鳴トンネルダイオード構造の場合、エミッタ層から量子井戸層へ入射する電子に対する実効的な障壁の高さは、入射電子が量子井戸層内の価電子帯において持つエネルギーと、量子井戸層内の価電子帯における障壁の高さとの差になるので、入射電子がエミッタ層からコレクタ層に共鳴トンネルする際に介する量子井戸層内の正孔の共鳴準位が下がる(正孔のエネルギーとして上がる)ほど、実効的な障壁高さは低くなる。
【0031】
一方、正孔の共鳴準位が下がり(正孔のエネルギーとして上がり)、エミッタ層内の伝導帯の下端よりも下がると、エミッタ層内からコヒーレントに量子井戸層内に入射する電子が量子井戸層内に存在できる状態が消滅するので、共鳴トンネルができなくなり、ピーク電流密度は急激に減少する。
【0032】
したがって、本発明のように、量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上となるよう量子井戸層の厚さを取ると、共鳴トンネルが存在し、かつ、実効的な障壁高さが最小となる作用がある。
【0033】
そのため、共鳴準位の幅が最大となり、ピーク電流密度を最大にすることができる。
【0034】
また、共鳴準位を下げる(正孔のエネルギーとして上げる)ことにより、バレイ電流が上昇することはないので、ピーク電流対バレイ電流比が小さくなることはない。
【0035】
以上のように、高いピーク電流対バレイ電流比を小さくすることなく、一定障壁厚さの構造において、ピーク電流密度を向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施の形態の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【0037】
図1において、101はn型GaAs基板、102はn型InAsコレクタ層、103はAlSb第1障壁層、104はp型GaSb量子井戸層、105はAlSb第2障壁層、106はn型InAsエミッタ層、107はTi/Auからなるエミッタ電極、108は同じくTi/Auからなるコレクタ電極である。
【0038】
本実施の形態の特徴は、その量子井戸層104の厚さにある。GaSb量子井戸層104の厚さは10モノレイヤである。
【0039】
また、図2は、本実施の形態の共鳴トンネルダイオードのバンド構造を示す図である。
【0040】
図2において、201は伝導帯の下端、202は価電子帯の上端、203はGaSb量子井戸層104内の正孔の基底準位である。
【0041】
この積層構造は、通常の分子線エピタキシ成長法により、n型GaAs基板101上に、各層を連続的に成長することで形成した。また、図1に示したエミッタ、コレクタの各オーミック電極107、108も、通常のInGaAs材料系プロセス技術により形成した。
【0042】
本構造においては、量子井戸層104が、厚さ10モノレイヤのGaSbから構成されており、前述の図8で示した計算結果からわかるように、このGaSb量子井戸層104の厚さは、該GaSb量子井戸層104内の軽い正孔の共鳴準位203を、InAsエミッタ層106内の伝導帯の下端201の直上に形成するものである。
【0043】
図3は、この積層構造をもつ素子のGaSb量子井戸層604の厚さを変え、ピーク電流密度を実際に測定した結果を示す図である。
【0044】
301、302、303はそれぞれAlSb障壁層103、105の厚さが7モノレイヤ(ML)、5モノレイヤ、3モノレイヤの場合の共鳴トンネルダイオードについてのピーク電流密度の測定結果を示す。
【0045】
この図に示された実験結果からわかるように、AlSb障壁層103および105の厚さに関わらず、GaSb量子井戸層604の厚さが10モノレイヤのときに最大のピーク電流密度が得られていることがわかる。したがって、GaSb量子井戸層104の厚さを、InAsエミッタ層102内の伝導帯の下端201の直上に、GaSb量子井戸層104内の軽い正孔の基底準位203がくるように構成することにより、一定のAlSb障壁層厚さの構造において、最大のピーク電流密度を得ることができた。このとき、バレイ電流の上昇は、ほとんど確認されなかったので、ピーク電流対バレイ電流比の劣化は見られなかった。
【0046】
ここでは、10モノレイヤの厚さの例をとって説明したが、ここで述べた効果は8から12モノレイヤのときも得られることは明らかである。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、GaSb量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位を、InAsエミッタ層の伝導帯の下端の直上にしたので、共鳴トンネルが存在する条件のもとで障壁の実効的な高さを最小とすることができた。そのため、共鳴トンネルが存在する条件のもとで最大の共鳴準位の幅を得ることができた。また、共鳴準位が伝導帯の下端の直上にすることによるバレイ電流の上昇は認められなかった。このため、一定の障壁幅を持つ共鳴トンネルダイオード構造において、ピーク電流対バレイ電流比を下げることなく、ピーク電流密度を向上することができた。
【0048】
さらに、ここでの実施の形態はInAs/AlSb/GaSb系を例に取って説明したが、n型エミッタおよびコレクタ層、p型量子井戸層からなる同様の構造を有する共鳴トンネル障壁構造に対しても、n型エミッタ層内の伝導帯の下端の直上に、p型量子井戸層内の共鳴準位がくるようにp型量子井戸層の厚さを決めても、全く同様の効果が得られた。
【0049】
以上本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位を、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にすることにより、共鳴トンネルが存在する条件のもとで障壁の実効的な高さを最小とすることができる。そのため、この条件のもとで、最大の共鳴準位の幅を得ることができる。なお、共鳴準位が伝導帯の下端の直上にすることによるバレイ電流の上昇は認められないため、一定の障壁幅を持つ共鳴トンネルダイオード構造において、ピーク電流対バレイ電流比を下げることなく、ピーク電流密度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示した共鳴トンネルダイオードのバンド構造を示す図である。
【図3】図1に示した共鳴トンネルダイオードのGaSb量子井戸層の厚さを変え、ピーク電流密度を実際に測定した結果を示す図である。
【図4】従来の共鳴トンネルダイオードの構造の一例を示す断面図である。
【図5】図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【図6】図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの動作状態のバンド構造を示す図である。
【図7】共鳴バンド間トンネルダイオードのバンド構造の一例を示す図で、(a)はバイアス電圧Vバ イアスが0Vの場合、(b)はバイアス電圧Vバ イアスがVoff resonanceの場合である。
【図8】図7に示した構造における、軽い正孔の基底状態の共鳴準位を計算した結果を示す図である。
【符号の説明】
101…n型GaAs基板、102…n型InAsコレクタ層、103…AlSb第1障壁層、104…p型GaSb量子井戸層、105…AlSb第2障壁層、106…n型InAsエミッタ層、107…エミッタ電極、108…コレクタ電極、
201…伝導帯の下端、202…価電子帯の上端、203…GaSb量子井戸層104内の正孔の基底準位、
401…n型GaAs結晶基板、402…n型GaAsコレクタ層、403…AlGaAs第1障壁層、404…n型GaAs量子井戸層、405…AlGaAs第2障壁層、406…n型GaAsエミッタ層、407…コレクタ電極、408…エミッタ電極、
501…伝導帯の下端、502…価電子帯の上端、Ef E…エミッタ領域のフェルミ準位、503…量子井戸層404における電子の基底準位、504…量子井戸層404における電子の第1励起準位、505…障壁層403、405内のX点、eVCE…エミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差、
701…n型InAsエミッタ層、702…AlSb障壁層、703…p型GaSb量子井戸層、704…AlSb障壁層、705…n型InAsコレクタ層、706…伝導帯の下端、707…価電子帯の下端、Ef E…エミッタ領域のフェルミ準位、708…GaSb量子井戸層における軽い正孔の基底準位、eVoff resonance…エミッタ・コレクタ間に共鳴トンネルの禁止されるバイアスVoff resonanceをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャル差、709…InAsエミッタ層701から注入される電子、
801…GaSb量子井戸層内の価電子帯の上端から測ったInAsエミッタ層内の伝導帯の下端のポテンシャル、802…GaSb量子井戸層の厚さを変えたときの軽い正孔の基底状態の共鳴準位Eres、803…従来提案されていた構造のうち最も薄い23モノレイヤの厚さのGaSb量子井戸層の共鳴準位。
【発明の属する技術分野】
本発明は、超高速素子、機能素子に利用される共鳴トンネルダイオードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
共鳴トンネル現象は1ps以下の超高速現象として知られており、既に、微分負性抵抗を使用した、700GHzを超える発振周波数を有する共鳴トンネルダイオードが報告されている。さらに、共鳴トンネルダイオードの負性抵抗特性を有効に使うための、高電子移動度トランジスタ(HEMT)と共鳴トンネルダイオードを接続した複合デバイスも実現されている。
【0003】
図4は、従来の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【0004】
図4において、401はn型GaAs結晶基板、402はn型GaAsコレクタ層、403はAlGaAs第1障壁層、404はn型GaAs量子井戸層、405はAlGaAs第2障壁層、406はn型GaAsエミッタ層、407はコレクタ電極、408はエミッタ電極である。
【0005】
図4に示すように、n型GaAs結晶基板401上に、n型GaAsコレクタ層402、AlGaAs障壁層403、n型GaAs量子井戸層404、AlGaAs障壁層405、n型GaAsエミッタ層406を、通常の分子線エピタキシャル法(MBE法)により順次成長させ、n型GaAsコレクタ層402、n型GaAsエミッタ層406のそれぞれに接続するコレクタ電極407、エミッタ電極408を形成することにより素子構造が得られる。
【0006】
図5は、図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの402〜406の積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【0007】
図5において、501は伝導帯の下端、502は価電子帯の上端、Ef Eはエミッタ領域のフェルミ準位、503は量子井戸層404における電子の基底準位、504は量子井戸層404における電子の第1励起準位、505は障壁層403、405内のX点である。
【0008】
本素子を動作させるためには、バイアス電圧VCEをエミッタ・コレクタ間に印加させる。
【0009】
図6は、そのような動作状態のバンド構造を示す図である。
【0010】
図6において、eVCEは、エミッタ・コレクタ間にバイアス電圧VCEをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差である。
【0011】
エミッタ・コレクタ電圧VCEを増加させ、基底準位503がエミッタのフェルミ準位Ef Eより低くなると、共鳴トンネルにより、エミッタ406(図4)から量子井戸404への電子の注入が起こり、その大部分はコレクタ402側へ抜ける。バイアス電圧VCEをさらに増加させると、基底準位503がエミッタ領域406の伝導帯の下端501より低下し、共鳴トンネルが抑止される。この結果、エミッタ・コレクタ電圧VCEの増加に対してエミッタ・コレクタ間の電流が減少するという、負性コンダクタンスが得られるため、機能ゲート、発振素子としても利用されている。
【0012】
しかし、常温で存在するエネルギーの高い状態の電子は、基底準位503以外に、例えば、障壁層のX点505や第1励起準位504などを通り、エミッタからコレクタへ抜けることが可能である。その結果、電子の基底準位503を介した共鳴トンネルが抑止されるバイアス状態であっても電流が生じる。また、このような電流を抑制するために障壁層の厚さを厚くすることが考えられるが、この場合、ピーク電流密度が低下する。このため、共鳴トンネルが抑止されるバイアス状態における電流値の抑制とピーク電流密度の向上が両立しないという問題点があった。
【0013】
この問題点を解決する目的で、タイプIIのヘテロ接合を用いて、共鳴トンネル以外の電流成分を禁止帯によって抑制する共鳴バンド間トンネルダイオード構造が提案されている。
【0014】
図7は、この共鳴バンド間トンネルダイオードのバンド構造の一例を示す図で、(a)はバイアス電圧Vバ イアスが0Vの場合、(b)はバイアス電圧Vバ イアスがVoff resonanceの場合である。
【0015】
図7において、701はn型InAsエミッタ層、702はAlSb障壁層、703はp型GaSb量子井戸層、704はAlSb障壁層、705はn型InAsコレクタ層、706は伝導帯の下端、707は価電子帯の下端、Ef Eはエミッタ領域のフェルミ準位、708はGaSb量子井戸層703における軽い正孔の基底準位、eVoff resonanceはエミッタ・コレクタ間に、共鳴トンネルの禁止されるバイアスVoff resonanceをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差、709はInAsエミッタ層701から注入される電子である。
【0016】
共鳴トンネルが抑制されるバイアスVoff resonanceをかけ、エミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差がeVoff resonanceの状態では、InAsエミッタ層701から注入される電子709は、GaSb量子井戸層703の禁止帯によりInAsコレクタ層705へ抜けることを妨げられている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来提案されてきた構造においては、GaSb量子井戸層703の厚さが、23モノレイヤ(原子層)程度あるいはそれ以上であった(ザ インスティテュート オブ フィジクス コンファレンス(Inst. Phys. Conf.) Ser. No.136
: Chapter 4 pp.209)。
【0018】
図8は、図7に示した構造における、軽い正孔の基底状態の共鳴準位を計算した結果を示す図である。
【0019】
図8において、801はGaSb量子井戸層703(図7)内の価電子帯の上端から測ったInAsエミッタ層701内の伝導帯の下端のポテンシャル、802はGaSb量子井戸層703の厚さを変えたときの軽い正孔の基底状態の共鳴準位Eres、803は従来提案されていた構造のうち最も薄い23モノレイヤ(ML)の厚さのGaSb量子井戸層703の共鳴準位である。
【0020】
図8に示した本発明者らの計算結果から、GaSb量子井戸層703の厚さが23モノレイヤの場合のGaSb量子井戸層703内の軽い正孔の基底状態の共鳴準位803はInAsエミッタ層701の伝導帯の下端から約70meVのところにあることが確認された。この構造の共鳴トンネルダイオードのピーク電流密度は、軽い正孔の共鳴準位を主に介してトンネルして入ることが、本発明者らの実験から確認されており、また、ピーク電流密度は軽い正孔の共鳴準位の幅に近似的には比例するとしてよいことが知られている。一定の障壁の厚さの場合、共鳴準位に対する実効的な障壁の高さが低いほど、軽い正孔の共鳴準位の幅は広くなることが知られているが、従来提案されていた構造における共鳴準位803の位置は、先に述べたとおり、InAsエミッタ層701の伝導帯の下端から70meVの高さにあり、必要以上に障壁の実効的な高さを高くしているという問題点があることが、本発明者らの計算から確認された。このため、一定の障壁厚さの構造において、ピーク電流密度が十分に高くできていないという問題点があった。
【0021】
本発明の目的は、一定の障壁厚さを持つ構造に対して、ピーク電流対バレイ電流比を低下させることなく、ピーク電流密度を向上させる共鳴トンネルダイオードの構造を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位が、エミッタ層の伝導帯の下端の直上となるような厚さの量子井戸層を用いることを、最も大きな特徴としている。従来の技術とは、量子井戸層の厚さが異なる。
【0023】
すなわち、本発明は、n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、8から12の原子層からなり、前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする。
【0024】
また、n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、10の原子層からなり、前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする。
【0027】
本発明では、量子井戸層として、量子井戸層内の軽い正孔の準位が、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上となる厚さに設定されているので、次の作用が生じる。
【0028】
ピーク電流密度は、共鳴準位の幅に近似的に比例すると考えてよいことが知られている。さらに、共鳴準位の幅は、障壁の厚さが一定のとき、その共鳴準位に対する障壁の実効的な高さが低いほど、広くなることが知られている。
【0029】
したがって、一定厚さの障壁を持つ構造に対しては、共鳴準位に対する実効的な障壁の高さを低くすることにより、ピーク電流密度を向上させることができる。
【0030】
さらに、n型導電性のエミッタ層、コレクタ層、およびp型導電性を持つ量子井戸層からなる共鳴トンネルダイオード構造の場合、エミッタ層から量子井戸層へ入射する電子に対する実効的な障壁の高さは、入射電子が量子井戸層内の価電子帯において持つエネルギーと、量子井戸層内の価電子帯における障壁の高さとの差になるので、入射電子がエミッタ層からコレクタ層に共鳴トンネルする際に介する量子井戸層内の正孔の共鳴準位が下がる(正孔のエネルギーとして上がる)ほど、実効的な障壁高さは低くなる。
【0031】
一方、正孔の共鳴準位が下がり(正孔のエネルギーとして上がり)、エミッタ層内の伝導帯の下端よりも下がると、エミッタ層内からコヒーレントに量子井戸層内に入射する電子が量子井戸層内に存在できる状態が消滅するので、共鳴トンネルができなくなり、ピーク電流密度は急激に減少する。
【0032】
したがって、本発明のように、量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上となるよう量子井戸層の厚さを取ると、共鳴トンネルが存在し、かつ、実効的な障壁高さが最小となる作用がある。
【0033】
そのため、共鳴準位の幅が最大となり、ピーク電流密度を最大にすることができる。
【0034】
また、共鳴準位を下げる(正孔のエネルギーとして上げる)ことにより、バレイ電流が上昇することはないので、ピーク電流対バレイ電流比が小さくなることはない。
【0035】
以上のように、高いピーク電流対バレイ電流比を小さくすることなく、一定障壁厚さの構造において、ピーク電流密度を向上させることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施の形態の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【0037】
図1において、101はn型GaAs基板、102はn型InAsコレクタ層、103はAlSb第1障壁層、104はp型GaSb量子井戸層、105はAlSb第2障壁層、106はn型InAsエミッタ層、107はTi/Auからなるエミッタ電極、108は同じくTi/Auからなるコレクタ電極である。
【0038】
本実施の形態の特徴は、その量子井戸層104の厚さにある。GaSb量子井戸層104の厚さは10モノレイヤである。
【0039】
また、図2は、本実施の形態の共鳴トンネルダイオードのバンド構造を示す図である。
【0040】
図2において、201は伝導帯の下端、202は価電子帯の上端、203はGaSb量子井戸層104内の正孔の基底準位である。
【0041】
この積層構造は、通常の分子線エピタキシ成長法により、n型GaAs基板101上に、各層を連続的に成長することで形成した。また、図1に示したエミッタ、コレクタの各オーミック電極107、108も、通常のInGaAs材料系プロセス技術により形成した。
【0042】
本構造においては、量子井戸層104が、厚さ10モノレイヤのGaSbから構成されており、前述の図8で示した計算結果からわかるように、このGaSb量子井戸層104の厚さは、該GaSb量子井戸層104内の軽い正孔の共鳴準位203を、InAsエミッタ層106内の伝導帯の下端201の直上に形成するものである。
【0043】
図3は、この積層構造をもつ素子のGaSb量子井戸層604の厚さを変え、ピーク電流密度を実際に測定した結果を示す図である。
【0044】
301、302、303はそれぞれAlSb障壁層103、105の厚さが7モノレイヤ(ML)、5モノレイヤ、3モノレイヤの場合の共鳴トンネルダイオードについてのピーク電流密度の測定結果を示す。
【0045】
この図に示された実験結果からわかるように、AlSb障壁層103および105の厚さに関わらず、GaSb量子井戸層604の厚さが10モノレイヤのときに最大のピーク電流密度が得られていることがわかる。したがって、GaSb量子井戸層104の厚さを、InAsエミッタ層102内の伝導帯の下端201の直上に、GaSb量子井戸層104内の軽い正孔の基底準位203がくるように構成することにより、一定のAlSb障壁層厚さの構造において、最大のピーク電流密度を得ることができた。このとき、バレイ電流の上昇は、ほとんど確認されなかったので、ピーク電流対バレイ電流比の劣化は見られなかった。
【0046】
ここでは、10モノレイヤの厚さの例をとって説明したが、ここで述べた効果は8から12モノレイヤのときも得られることは明らかである。
【0047】
このように、本実施の形態によれば、GaSb量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位を、InAsエミッタ層の伝導帯の下端の直上にしたので、共鳴トンネルが存在する条件のもとで障壁の実効的な高さを最小とすることができた。そのため、共鳴トンネルが存在する条件のもとで最大の共鳴準位の幅を得ることができた。また、共鳴準位が伝導帯の下端の直上にすることによるバレイ電流の上昇は認められなかった。このため、一定の障壁幅を持つ共鳴トンネルダイオード構造において、ピーク電流対バレイ電流比を下げることなく、ピーク電流密度を向上することができた。
【0048】
さらに、ここでの実施の形態はInAs/AlSb/GaSb系を例に取って説明したが、n型エミッタおよびコレクタ層、p型量子井戸層からなる同様の構造を有する共鳴トンネル障壁構造に対しても、n型エミッタ層内の伝導帯の下端の直上に、p型量子井戸層内の共鳴準位がくるようにp型量子井戸層の厚さを決めても、全く同様の効果が得られた。
【0049】
以上本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、量子井戸層内の軽い正孔の共鳴準位を、エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にすることにより、共鳴トンネルが存在する条件のもとで障壁の実効的な高さを最小とすることができる。そのため、この条件のもとで、最大の共鳴準位の幅を得ることができる。なお、共鳴準位が伝導帯の下端の直上にすることによるバレイ電流の上昇は認められないため、一定の障壁幅を持つ共鳴トンネルダイオード構造において、ピーク電流対バレイ電流比を下げることなく、ピーク電流密度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の共鳴トンネルダイオードの層構造の一例を示す断面図である。
【図2】図1に示した共鳴トンネルダイオードのバンド構造を示す図である。
【図3】図1に示した共鳴トンネルダイオードのGaSb量子井戸層の厚さを変え、ピーク電流密度を実際に測定した結果を示す図である。
【図4】従来の共鳴トンネルダイオードの構造の一例を示す断面図である。
【図5】図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの積層構造に対応するバンド構造を示す図である。
【図6】図4に示した従来の共鳴トンネルダイオードの動作状態のバンド構造を示す図である。
【図7】共鳴バンド間トンネルダイオードのバンド構造の一例を示す図で、(a)はバイアス電圧Vバ イアスが0Vの場合、(b)はバイアス電圧Vバ イアスがVoff resonanceの場合である。
【図8】図7に示した構造における、軽い正孔の基底状態の共鳴準位を計算した結果を示す図である。
【符号の説明】
101…n型GaAs基板、102…n型InAsコレクタ層、103…AlSb第1障壁層、104…p型GaSb量子井戸層、105…AlSb第2障壁層、106…n型InAsエミッタ層、107…エミッタ電極、108…コレクタ電極、
201…伝導帯の下端、202…価電子帯の上端、203…GaSb量子井戸層104内の正孔の基底準位、
401…n型GaAs結晶基板、402…n型GaAsコレクタ層、403…AlGaAs第1障壁層、404…n型GaAs量子井戸層、405…AlGaAs第2障壁層、406…n型GaAsエミッタ層、407…コレクタ電極、408…エミッタ電極、
501…伝導帯の下端、502…価電子帯の上端、Ef E…エミッタ領域のフェルミ準位、503…量子井戸層404における電子の基底準位、504…量子井戸層404における電子の第1励起準位、505…障壁層403、405内のX点、eVCE…エミッタ・コレクタ間のポテンシャルの差、
701…n型InAsエミッタ層、702…AlSb障壁層、703…p型GaSb量子井戸層、704…AlSb障壁層、705…n型InAsコレクタ層、706…伝導帯の下端、707…価電子帯の下端、Ef E…エミッタ領域のフェルミ準位、708…GaSb量子井戸層における軽い正孔の基底準位、eVoff resonance…エミッタ・コレクタ間に共鳴トンネルの禁止されるバイアスVoff resonanceをかけたときのエミッタ・コレクタ間のポテンシャル差、709…InAsエミッタ層701から注入される電子、
801…GaSb量子井戸層内の価電子帯の上端から測ったInAsエミッタ層内の伝導帯の下端のポテンシャル、802…GaSb量子井戸層の厚さを変えたときの軽い正孔の基底状態の共鳴準位Eres、803…従来提案されていた構造のうち最も薄い23モノレイヤの厚さのGaSb量子井戸層の共鳴準位。
Claims (2)
- n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、
前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、
前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、
ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、8から12の原子層からなり、
前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。 - n型導電性の第1の半導体からなるコレクタ層と、n型導電性の第2の半導体からなるエミッタ層と、p型導電性の第3の半導体からなりかつ前記第1および第2の半導体とタイプIIのヘテロ接合を形成する量子井戸層と、前記第1の半導体の電子に対して障壁となる第1障壁層と、前記第2の半導体の電子に対して障壁となる第2障壁層とが、前記コレクタ層、第1障壁層、量子井戸層、第2障壁層、エミッタ層の順に積層されてなる共鳴トンネルダイオードにおいて、
前記第1障壁層および第2障壁層がアルミニウムアンチモン(AlSb)からなり、
前記第1および第2の半導体がインジウム砒素(InAs)であり、かつ、前記第3の半導体がガリウムアンチモン(GaSb)であり、
ガリウムアンチモン(GaSb)からなる前記第3の半導体が、10の原子層からなり、
前記量子井戸層内の軽い正孔の基底準位が、前記エミッタ層内の伝導帯の下端の直上にあることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
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