JP2002245958A - 回転陽極型x線管およびその製造方法 - Google Patents

回転陽極型x線管およびその製造方法

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JP2002245958A
JP2002245958A JP2001281608A JP2001281608A JP2002245958A JP 2002245958 A JP2002245958 A JP 2002245958A JP 2001281608 A JP2001281608 A JP 2001281608A JP 2001281608 A JP2001281608 A JP 2001281608A JP 2002245958 A JP2002245958 A JP 2002245958A
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Hideki Ide
秀樹 井手
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液体金属潤滑剤の漏出を防止し、動作中、動
圧式すべり軸受に液体金属潤滑剤を過不足なく安定に供
給する回転陽極型X線管およびその製造方法を提供する
こと。 【解決手段】 陽極ターゲット12と、動圧式すべり軸
受23、24が相互間に設けられた内側円筒17および
固定体19を有し、陽極ターゲット12を回転可能に支
持する回転機構15と、陽極ターゲット12および回転
機構15を収納する真空容器11とを具備した回転陽極
型X線管において、動圧式すべり軸受23、24から真
空容器11内の空間に至る途中に、液体金属潤滑剤に対
し動圧式すべり軸受23、24側に向かう圧力を発生す
る動圧発生部36を固定体に設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、陽極ターゲット
を回転可能に支持する回転機構の軸受部分に供給される
液体金属潤滑剤の漏洩を防止した回転陽極型X線管およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管は、陽極ターゲットを
回転機構で回転可能に支持し、高速回転する陽極ターゲ
ットに対して電子ビームを照射し、陽極ターゲットから
X線を放射させる構造になっている。陽極ターゲットを
支持する回転機構は回転体や固定体などから構成され、
回転体と固定体間に軸受が設けられている。
【0003】回転機構の軸受には、ボールベアリングの
ようなころがり軸受、あるいは、軸受面にらせん溝を形
成し、ガリウム(Ga)やガリウム−インジウム−錫
(Ga−In−Sn)合金など、動作中に液状となる液
体金属潤滑剤をらせん溝などに供給する動圧式すべり軸
受が用いられる。
【0004】動圧式すべり軸受を用いた例は、特開昭6
0−117531号、特開平2−227948号、特開
平5−13028号、あるいは、特開平7−19266
6号の各公報に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】回転陽極型X線管は、
動作状態に入ると、陽極ターゲットは3000rpm乃
至9000rpmという高速で回転し、X線管の向きも
使用状況によって変化する。回転機構の軸受として動圧
式すべり軸受を用いた場合、X線管の姿勢に関係なく、
動圧式すべり軸受のらせん溝などの部分に、長期間にわ
たり液体金属潤滑剤を過不足なく供給することが必要と
なる。
【0006】しかし、動圧式すべり軸受の空間部分など
にガスが残留し、あるいは、軸受部材からガスが放出す
ると、ガス気泡の圧力によって、回転体および固定体の
間隙部分に供給されている液体金属潤滑剤がX線管を構
成する真空容器内の空間部分に噴出する場合がある。そ
の結果、らせん溝などに供給される液体金属潤滑剤が不
足し動圧式すべり軸受の動作が不安定になる。
【0007】ところで、回転陽極型X線管の回転機構の
軸受に動圧式すべり軸受を用いる場合、通常、回転体を
半径方向で支持するラジアル方向の動圧式すべり軸受お
よび回転体を管軸方向で支持するスラスト方向の動圧式
すべり軸受がそれぞれ一対ずつ設けられる。この場合、
たとえばスラスト方向の動圧式すべり軸受の1つが真空
容器内の空間部分に近い位置に設けられる。このスラス
ト方向の動圧式すべり軸受は回転体を管軸方向に支持す
ると同時に、液体金属潤滑剤に対し軸受方向に向う動圧
を発生し液体金属潤滑剤の漏れを防止している。
【0008】しかし、X線管の姿勢が変わると軸受に対
する荷重が変化し、回転体と固定体の相対位置が変化す
る。このとき、軸受部分の圧力分布が変わり、液体金属
潤滑剤の流れが真空容器内の空間方向に向い、液体金属
潤滑剤が漏れる場合がある。動作中に、液体金属潤滑剤
が真空容器内の空間部分に漏れると、上記したように軸
受部分の液体金属潤滑剤が不足し動圧式すべり軸受の動
作が不安定になり、あるいは、X線管の耐電圧性能が損
なわれる。
【0009】逆に、動圧が大きいと、液体金属潤滑剤が
軸受方向に移動し、らせん溝よりも真空容器内の空間側
に位置する軸受面に対する液体金属潤滑剤の供給が不足
し、動圧式すべり軸受の動作が不安定になる。
【0010】本発明は、上記した欠点を解決し、液体金
属潤滑剤の漏出を防止し、動作中、動圧式すべり軸受に
液体金属潤滑剤を過不足なく安定に供給する回転陽極型
X線管およびその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、陽極ターゲ
ットと、液体金属潤滑剤が供給される動圧式すべり軸受
が相互間に設けられた回転体および固定体を有し、前記
陽極ターゲットを回転可能に支持する回転機構と、前記
陽極ターゲットおよび前記回転機構を収納する真空容器
とを具備した回転陽極型X線管において、前記回転体お
よび前記固定体が互いに対向する部分で、かつ、前記動
圧式すべり軸受から前記真空容器内の空間に至る途中
に、前記液体金属潤滑剤に対し前記動圧式すべり軸受側
に向かう圧力を発生する動圧発生部を設けたことを特徴
とする。
【0012】また、この発明は、陽極ターゲットと、液
体金属潤滑剤が供給される動圧式すべり軸受が相互間に
設けられた回転体および固定体を有し、前記陽極ターゲ
ットを回転可能に支持する回転機構と、前記陽極ターゲ
ットおよび前記回転機構を収納する真空容器とを具備し
た回転陽極型X線管の製造方法において、前記回転体と
前記固定体が互いに対向する部分で、かつ、前記動圧式
すべり軸受から前記真空容器内の空間へ至る途中に、前
記液体金属潤滑剤に対し前記動圧式すべり軸受側に向か
う圧力を発生する動圧発生部を前記固定体に形成する第
1工程と、前記動圧発生部が前記動圧式すべり軸受より
も上になる姿勢に前記回転陽極型X線管を配置し、管内
を排気する第2工程と、この第2工程の後、前記回転体
の回転軸が水平または前記動圧発生部が前記動圧式すべ
り軸受よりも下になる姿勢に前記回転陽極型X線管を配
置し、前記回転体を回転させる第3工程とを有する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図1を
参照して説明する。
【0014】符号11はX線管を構成する真空容器で、
図ではその一部が示されている。真空容器11内に、X
線を発生する重金属製の円盤状陽極ターゲット12が配
置されている。陽極ターゲット12はナット13によっ
て回転支柱14に固定されている。回転支柱14は回転
機構15に連結され、陽極ターゲット12は回転機構1
5によって回転可能に支持されている。
【0015】回転機構15は回転体と固定体から構成さ
れている。回転体は、たとえば回転支柱14が直接固着
されたほぼ有底円筒状の鉄合金製の中間円筒16、この
中間円筒15の内側に第1の断熱間隙Gaを保って配置
された内側円筒17、中間円筒16の外側に第2の断熱
間隙Gbを保って配置された銅製の外側円筒18の3層
構造などから構成されている。内側円筒17および中間
円筒16、外側円筒18は隣接するどうしが互いに部分
的に接合されている。
【0016】内側円筒17の内部に、鉄合金製のほぼ円
柱状をした固定体19が嵌合挿入されている。固定体1
9は、たとえば図示上方に位置する直径の小さい第1径
小部19a、および、図示中間に位置する直径の大きい
径大部19b、第1径小部19aよりも径がたとえば大
きく径大部19bよりも径が小さい図示下方に位置する
第2径小部19cなどから形成されている。
【0017】また、内側円筒17の下端開口部を実質的
に閉じるようにスラストリング20が設けられている。
スラストリング20はねじ止めによって内側円筒17に
固定され、内側円筒17と一体に回転する回転体を構成
している。
【0018】回転機構15の内側円筒17および固定体
19の嵌合部分に動圧式すべり軸受が構成されている。
たとえば、固定体19の第1径小部19aの外周面に、
動圧を発生する動圧発生溝たとえばヘリンボンパターン
らせん溝21、22が軸方向に離れた2箇所にそれぞれ
対に形成され、内側円筒17の内周面とともにラジアル
方向の動圧式すべり軸受23、24を構成している。
【0019】また、固定体19の径大部19bの図示上
面25に、動圧を発生する動圧発生溝たとえばサークル
状のヘリンボンパターンらせん溝26が形成され、これ
と近接対向する内側円筒17の段差面とともにスラスト
方向の動圧式すべり軸受27を構成している。スラスト
リング20の上面28にも、同じくサークル状のヘリン
ホンパターンらせん溝29が形成され、これと近接対向
する径大部19bの図示下面とともにスラスト方向の動
圧式すべり軸受30を構成している。
【0020】固定体19の一部、たとえばラジアル方向
の動圧式すべり軸受23、24に挟まれた領域に外径の
小さい部分を設け、液体金属潤滑剤を貯蔵する空間31
を形成している。また、固定体19の外周面に、動圧式
すべり軸受のらせん溝および軸受間隙などの各部分に液
体金属潤滑剤を供給する複数の通路それぞれの開口32
a〜32dが軸方向に所定間隔で設けられている。
【0021】スラストリング20の下方に、液体金属潤
滑剤の漏出を防止する複数個のトラップリング33、3
4が固定されている。固定体19の第2径小部19cの
外周部分は封止金属リング35の内側に気密溶接され、
封止金属リング35の外側は真空容器11のガラス部分
に封着されている。
【0022】上記の構成において、ラジアル方向および
スラスト方向の動圧式すべり軸受23、24、27、3
0のうち、真空容器内の空間11aに一番近い動圧式す
べり軸受たとえばスラスト方向の動圧式すべり軸受30
から真空容器内の空間11aに至る途中で、スラストリ
ング20と同軸状に対向する第2径小部19cの外周面
に動圧発生部36が形成されている。
【0023】動圧発生部36は、管軸に対し傾斜する向
きに設けた所定長さの複数のらせん溝37から構成さ
れ、らせん溝37は円周方向に所定間隔で設けられてい
る。複数のらせん溝37は、回転機構15の回転体が回
転した場合に、液体金属潤滑剤に対して、図示下方に位
置する真空容器内の空間11aの側から、図示上方に位
置する動圧式すべり軸受23、24、27、30の側に
移動させる圧力いわゆる動圧を発生する。
【0024】上記した構成によれば、動圧式すべり軸受
23、24、27、30部分の空間に残留するガスや軸
受部材から放出するガスの圧力、あるいは、軸受の姿勢
変化などに伴う軸受内部の圧力変化によって、液体金属
潤滑剤の流れが真空容器11内の空間11a方向に向っ
ても、らせん溝37の動圧で流れが抑えられ、液体金属
潤滑剤の漏出が防止される。
【0025】なお、上記した構成では、動圧式すべり軸
受23、24、27、30で支持された回転体が回転す
る際などに、動圧発生部36が設けられた領域の回転体
と固定体が機械的に接触しないように、動圧発生部36
が設けられた領域の回転体と固定体の間隙を、動圧式す
べり軸受36が設けられた領域の回転体と固定体の間隙
よりも大きくしている。
【0026】次に、本発明の他の実施形態について図2
を参照して説明する。図2は、動圧発生部の近傍を抜き
出した図で、図1に対応する部分に同じ符号を付し、重
複する説明を一部省略する。
【0027】この実施形態の場合、動圧発生部36の図
示上方、たとえば径大部19bとらせん溝37との間の
第2径小部19cに、らせん溝37が形成された部分よ
りも外径が小さい小径部分19dが設けられている。小
径部分19dにおけるスラストリング20との間隙は、
動圧式すべり軸受23、24、27、30側に位置する
動圧発生部36の始端部分における回転体と固定体の間
隙、すなわちスラストリング20と第2径小部19cと
の間隙よりも大きくなっている。この場合、小径部分1
9dとスラストリング20との間に管軸を囲む環状の空
間が生じる。この環状の空間は液体金属潤滑剤を貯蔵す
る貯蔵空間41として機能する。
【0028】また、第2径小部19cの外周面と対向す
るスラストリング20の内周面の一部、たとえば、らせ
ん溝37が形成された動圧発生部36の軸方向における
ほぼ中間に、その上下両側に位置する動圧発生部の部分
42a、42bよりも内径が大きい大径部分が設けられ
ている。この大径部分によって、スラストリング20と
第2径小部19cとの間に管軸を囲む環状溝が形成され
る。この環状溝は液体金属潤滑剤とガスの置換空間43
として機能する。
【0029】この場合、置換空間43の上下両側に位置
する部分42a、42bは、その少なくとも一部が、そ
れぞれ第2径小部19cに形成されたらせん溝37の図
示上端および下端に対向している。
【0030】上記した構成によれば、第2径小部19c
の小径部分19dによって液体金属潤滑剤を貯蔵する貯
蔵空間41が形成されている。そのため、スラスト軸受
30などへの液体金属潤滑剤の供給に過不足が生じな
い。また、貯蔵空間41に貯蔵された液体金属潤滑剤は
らせん溝37の動圧によって漏出が防止される。
【0031】また、置換空間43の図示上方に位置する
軸受部分の空間から、動圧発生部36を形成する部分4
2aにおける動圧よりも大きい圧力で噴出してくる液体
金属潤滑剤やガスは置換空間43で捕捉される。したが
って、置換空間43よりも図示下方に位置する真空容器
内の空間11aへの液体金属潤滑剤やガスの噴出が防止
される。置換空間43で捕捉された液体金属潤滑剤は、
その後、らせん溝37の動圧で貯蔵空間41に戻され
る。
【0032】なお、回転機構15の回転体が静止してい
る静的状態、たとえばらせん溝37による動圧が発生し
ない状態では、液体金属潤滑剤を噴出させるような突発
的なガスの圧力増加はほとんど発生しない。しかし、液
体金属潤滑剤の自重による漏出を防止する必要がある。
このような漏出は、たとえば液体金属潤滑剤に濡れてい
る面と濡れていない面との境界に働く液体金属潤滑剤の
表面張力による抗力によって防止される。
【0033】上記した構造の場合、らせん溝37が形成
されているスラストリング20の部分42bまで液体金
属潤滑剤が存在し、これらの部分は液体金属潤滑剤に濡
れており表面張力による抗力は発生しない。しかし、第
2径小部19cと同軸状に対向するスラストリング20
の一部、たとえばその図示下側に位置し真空容器内の空
間11aに最も近い部分42cでは、これと対向する第
2径小部19cの面にらせん溝37が設けられていな
い。したがって、このらせん溝37のない領域に液体金
属潤滑剤に濡れない部分が生じ、この部分に表面張力に
よる抗力が働く境界が形成され、静的状態における漏出
が防止される。
【0034】上記の実施形態の場合、第2径小部19c
の外周とスラストリング20内周の片側の間隙たとえば
置換空間43が設けられていない部分の間隙は、らせん
溝37の深さ分を除き、管軸を中心にした半径方向の寸
法で0.05mm乃至0.2mmの範囲が実用上望まし
い。また、らせん溝37の深さは上記間隙の0.5倍乃
至2倍の寸法が望ましい。
【0035】また、らせん溝37が設けられていない部
分42cの間隙寸法は、らせん溝37の設けられた部分
42a、42b、たとえば動圧発生部36の動圧式すべ
り軸受側に位置するその始端部分および動圧式すべり軸
受と反対側に位置するその終端部分における間隙よりも
狭くしている。
【0036】なお、上記した構成のX線管を製造する場
合、少なくとも排気工程の途中までは、第2径小部19
cの外周面とスラストリング20が対向する部分41、
42a、43、42b、42cのうち、少なくとも符号
43、42b、42cの各部分の空間に液体金属潤滑剤
が存在しないように組立て、さらに、回転体の回転軸が
ほぼ鉛直で上記各部分43、42b、42cが動圧すべ
り軸受よりも上になるような姿勢にX線管を保ってい
る。
【0037】その後、X線管の回転軸を水平にし、また
は、上記の各部分43、42b、42cが動圧すべり軸
受よりも下になるような姿勢にX線管を保ち、回転体部
分を回転させる。
【0038】この方法によれば、動圧式すべり軸受の空
間内部におけるガスの排気が促され、部分42a、42
bの動圧で液体金属潤滑剤の漏出防止効果が確実にな
る。
【0039】なお、固定体19の材料には、たとえばモ
リブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、あるい
は、それらを主体とする合金、もしくは、鉄、鉄合金、
ニッケル、ニッケル合金、その他の金属材料、セラミッ
クスなどが使用される。
【0040】また、らせん溝37が設けられた部分42
a、42b、貯蔵空間41および置換空間43の各部分
の部材の表面に、液体金属潤滑剤で侵されにくく、か
つ、液体金属潤滑剤に濡れやすい材料の被膜を形成して
もよい。また、らせん溝37の設けられていない部分4
2cを形成する部材の表面に、液体金属潤滑剤で侵され
にくく、かつ、液体金属潤滑剤に濡れにくい材料の被膜
を形成してもよい。
【0041】次に、本発明の他の実施形態について図3
および図4を参照して説明する。図3および図4は、図
1および図2に対応する部分に同じ符号を付し、重複す
る説明を一部省略する。図4は図3の動圧発生部の近傍
を抜き出し拡大した図で、管軸mに対して対称であるた
めその左側だけを示している。
【0042】この実施形態の場合、固定体19の第2径
小部19cの図示下方たとえば真空容器内の空間11a
側の部分に、第2径小部19cよりも外径を小さくした
第3径小部51が設けられている。これによって、第2
径小部19cと第3径小部51の境界に、たとえば管軸
mに垂直な環状の段差面52が形成される。また、スラ
ストリング20のたとえば図示下端に、固定体19の段
差面52に沿って平行に管軸m方向に突出する環状突出
部53が形成されている。
【0043】この場合、図4に示すように、固定体19
およびスラストリング20の間隙は、第2径小部19c
の部分ではその第1間隙54が管軸m方向に伸び、ま
た、段差面52の部分ではその第2間隙55が管軸mと
垂直に管軸m側に向って伸びている。この場合、回転体
の回転で液体金属潤滑剤に遠心力が作用しても、第2間
隙55の部分で液体金属潤滑剤の空間11a方向への移
動が抑えられ、真空容器内の空間11aへの漏出が防止
される。
【0044】先に説明した図1の構造の場合、固定体1
9とスラストリング20との間隙は管軸m方向にのみ設
けられている。そのため、固定体19とスラストリング
20の間隙を進み、真空容器内の空間11a側の端部に
到達した液体金属潤滑剤は、スラストリング20の回転
で発生する遠心力によって漏出する場合がある。図3の
構造によれば、このような液体金属潤滑剤の漏出が防止
される。
【0045】たとえば、動圧発生部36は、図1などに
示されるように、固定体19およびスラストリング20
が対向する部分と同軸状に構成される。しかし、動圧発
生部36の間隙は場所によって大小があり、周方向に勾
配が生じる。回転体が安定な定常状態で回転している場
合は、間隙の勾配もほぼ定常状態となり、動圧発生部が
発生する圧力のほとんどは液体金属潤滑剤に対し軸受側
に移動させるように作用する。
【0046】一方、回転体が停止状態から回転起動する
場合や不安定な回転で振れるような場合は、間隙の勾配
が変化し、間隙は拡大や縮小を繰り返す。その結果、液
体金属潤滑剤に対して周方向および軸方向に移動させる
ように作用する。この場合、真空容器内の空間11a方
向に移動させる力の方が軸受方向に移動させる力よりも
大きくなると、液体金属潤滑剤は真空容器内の空間11
a方向に移動する。そして、液体金属潤滑剤が空間11
a側の端部に到達すると、回転によって液体金属潤滑剤
に遠心力が作用しているため回転体に押しつけられる。
このとき、固定体と対向する回転体のたとえば内周面
が、空間11a側に向い径が小さくなる構造になってい
ないと、液体金属潤滑剤は端部から空間11a側に向っ
て移動し漏出する。
【0047】しかし、図3の構造によれば、管軸mに接
近する第2間隙の部分で真空容器内の空間11a方向へ
の移動が抑えられ、図1の構造で問題となる液体金属潤
滑剤の漏出が防止される。
【0048】次に、本発明の他の実施形態について図5
を参照して説明する。図5は動圧発生部の近傍を抜き出
した図で、図4に対応する部分に同じ符号を付し、重複
する説明を一部省略する。
【0049】この実施形態の場合、固定体19の第3径
小部51と対向するスラストリング20の環状突出部5
3の内側端面に内径を大きくした管軸を囲む環状の溝6
1が形成されている。この場合、動圧発生部36が発生
する動圧よりも大きい圧力で噴出してくる液体金属潤滑
剤は溝61で捕捉され漏出が防止される。
【0050】次に、本発明の他の実施形態について図6
を参照して説明する。図6は、図4に対応する部分に同
じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0051】この実施形態の場合、第2径小部19cの
段差面52の外縁部分と対向するスラストリング20の
対向面、たとえば管軸mに垂直な第2間隙55の部分
で、管軸mから一番遠い位置に管軸を囲む環状の溝62
が設けられている。この場合、動圧発生部36が発生す
る動圧よりも大きい圧力で噴出してくる液体金属潤滑剤
は溝62で捕捉され漏出が防止される。また、溝62で
捕捉された液体金属潤滑剤は動圧発生部36の動圧で軸
受方向に戻される。
【0052】次に、本発明の他の実施形態について図7
を参照して説明する。図7は、図6に対応する部分に同
じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0053】この実施形態の場合、固定体19の第2径
小部19cと第3径小部51との間の段差面52が真空
容器内の空間11a側に向って徐々に径が小さくなるよ
うに傾斜している。スラストリング20の対向面は固定
体19の段差面52に合わせて真空容器内の空間11a
側に向って徐々に径が大きくなっている。この場合も、
固定体19の傾斜する段差面52の部分に、真空容器内
の空間11a側の方が管軸に接近する接近区間が形成さ
れ、遠心力による液体金属潤滑剤の漏出が防止される。
管軸mに対して傾斜する部分に接近区間を設けた場合、
たとえば固定体19の半径方向の寸法が限られていて
も、接近区間の長さを長くできるという利点がある。
【0054】次に、本発明の他の実施形態について図8
を参照して説明する。図8は図7に対応する部分に同じ
符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0055】この実施形態の場合、固定体19の傾斜す
る段差面52に、第2径小部19cに設けられた複数の
らせん溝37がそのまま延長して形成されている。
【0056】なお、上記の各実施形態において、動圧式
すべり軸受から真空容器内の空間に至る途中で、回転体
および固定体が互いに対向する間隙の部分に、動圧式す
べり軸受側の方の間隙が広く、真空容器内の空間側の方
が狭い領域を設けることもできる。この場合、たとえば
回転体と固定体の対向面が液体金属潤滑剤で濡れていな
い状態では、表面張力によって液体金属潤滑剤が間隙の
広い側に引っ張られる性質があり、液体金属潤滑剤の漏
出が抑えられる。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、動作中における液体金
属潤滑剤の漏出を防止し、動圧式すべり軸受に液体金属
潤滑剤を過不足なく供給でき、安定な軸受動作が維持さ
れる回転陽極型X線管およびその製造方法を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【図3】この発明の他の実施形態を示す縦断面図であ
る。
【図4】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【図5】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【図6】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【図7】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【図8】この発明の他の実施形態を示す要部縦断面図で
ある。
【符号の説明】
11…真空容器 12…陽極ターゲット 13…ナット 14…回転支柱 15…回転機構 16…中間円筒 17…内側円筒 18…外側円筒 19…固定体 20…スラストリング 21…らせん溝 22…らせん溝 23…ラジアル方向の動圧式すべり軸受 24…ラジアル方向の動圧式すべり軸受 25…固定体の径大部の上側軸受面 26…ヘリンボンパターンらせん溝 27…スラスト方向の動圧式すべり軸受 28…スラストリングの上側軸受面 29…ヘリンボンパターンらせん溝 30…スラスト方向の動圧式すべり軸受

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極ターゲットと、液体金属潤滑剤が供
    給される動圧式すべり軸受が相互間に設けられた回転体
    および固定体を有し、前記陽極ターゲットを回転可能に
    支持する回転機構と、前記陽極ターゲットおよび前記回
    転機構を収納する真空容器とを具備した回転陽極型X線
    管において、前記回転体および前記固定体が互いに対向
    する部分で、かつ、前記動圧式すべり軸受から前記真空
    容器内の空間に至る途中に、前記液体金属潤滑剤に対し
    前記動圧式すべり軸受側に向かう圧力を発生する動圧発
    生部を設けたことを特徴とする回転陽極型X線管。
  2. 【請求項2】 動圧発生部は複数のらせん溝から形成さ
    れている請求項1記載の回転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 動圧発生部は複数のらせん溝から形成さ
    れ、前記複数のらせん溝が固定体に設けられた請求項1
    記載の回転陽極型X線管。
  4. 【請求項4】 動圧発生部が形成された領域における回
    転体と固定体の間隙は、動圧式すべり軸受が形成された
    領域における前記回転体と前記固定体の間隙よりも大き
    い請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の回転陽
    極型X線管。
  5. 【請求項5】 動圧発生部が形成された領域に、回転体
    と固定体の間隙が小さい部分に挟まれて、この小さい間
    隙よりも間隙が大きい部分が設けられた請求項1乃至請
    求項4のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管。
  6. 【請求項6】 動圧式すべり軸受と動圧発生部との間
    に、前記動圧式すべり軸受側に位置する前記動圧発生部
    の始端部分における回転体と固定体の間隙よりも前記回
    転体と前記固定体の間隙が大きい部分を設けた請求項1
    乃至請求項5のいずれか1つに記載の回転陽極型X線
    管。
  7. 【請求項7】 動圧発生部から真空容器内の空間に至る
    途中に、前記動圧式すべり軸受と反対側に位置する前記
    動圧発生部の終端部分における回転体と固定体の間隙よ
    りも前記回転体と前記固定体との間隙が小さい部分を設
    けた請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の回転
    陽極型X線管。
  8. 【請求項8】 らせん溝の深さは、動圧式すべり軸受側
    に位置する動圧発生部の始端部分および前記動圧式すべ
    り軸受と反対側に位置する前記動圧発生部の終端部分に
    おける回転体と固定体との間隙よりも大きい請求項2ま
    たは請求項3のいずれか1つに記載の回転陽極型X線
    管。
  9. 【請求項9】 陽極ターゲットと、液体金属潤滑剤が供
    給される動圧式すべり軸受が相互間に設けられた回転体
    および固定体を有し、前記陽極ターゲットを回転可能に
    支持する回転機構と、前記陽極ターゲットおよび前記回
    転機構を収納する真空容器とを具備した回転陽極型X線
    管の製造方法において、前記回転体と前記固定体が互い
    に対向する部分で、かつ、前記動圧式すべり軸受から前
    記真空容器内の空間へ至る途中に、前記液体金属潤滑剤
    に対し前記動圧式すべり軸受側に向かう圧力を発生する
    動圧発生部を前記固定体に形成する第1工程と、前記動
    圧発生部が前記動圧式すべり軸受よりも上になる姿勢に
    前記回転陽極型X線管を配置し、管内を排気する第2工
    程と、この第2工程の後、前記回転体の回転軸が水平ま
    たは前記動圧発生部が前記動圧式すべり軸受よりも下に
    なる姿勢に前記回転陽極型X線管を配置し、前記回転体
    を回転させる第3工程とを有する回転陽極型X線管の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 回転体および固定体が互いに対向する
    間隙部分で、動圧発生部が設けられている領域から真空
    容器内の空間に至る途中に、前記真空容器内の空間側に
    向って管軸に近くなる接近区間が設けられた請求項1記
    載の回転陽極型X線管。
  11. 【請求項11】 接近区間内の回転体の表面に溝を設け
    た請求項10記載の回転陽極型X線管。
  12. 【請求項12】 動圧発生部が設けられている領域から
    真空容器内の空間に至る固定体の一部に、前記動圧発生
    部が設けられている部分よりも外径が小さい径小部を設
    け、前記動圧発生部が設けられている部分と前記径小部
    との間に位置する前記固定体の段差面の部分に接近区間
    が設けられた請求項10記載の回転陽極型X線管。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009283421A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Toshiba Corp 回転陽極型x線管
JP2012043555A (ja) * 2010-08-13 2012-03-01 Toshiba Corp 回転陽極型x線管及びx線管装置
JP2015014370A (ja) * 2014-09-09 2015-01-22 サムスン電機ジャパンアドバンスドテクノロジー株式会社 ディスク駆動装置

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